辺りは硝煙と血臭でむせ返るほどだった。  メイジは死んだように眠っているとしあきのそばに跪き、そっとその頭を抱えた。  すると、としあきは気だるそうにうめき、重そうな双眸をゆっくりと開いた。「メイジ……」「ね、としあき」  寝ぼけたようなとしあきとは対称的にメイジは唇の端を持ち上げる。  光の加減か彼女の茶色い虹彩が血のような紅色に染まっていた。彼女の表情はまさしく、生贄を前にした悪魔のそれだった。  少女は悪魔じみた魅惑的な笑みを浮かべ、囁く。「シよ」  まだ眠気が勝っている様子のとしあきだったが、彼女の言葉を受けてその眉を寄せる。「ここで?」  「そう、ここで」「……でも」「もう、大丈夫。全部終わったから」「そう」  としあきの表情が緩む。   死体と血だまりが点々と散らばるこの場に似つかわしくないほど穏やかなもので、  男性であるにもかかわらず、どこか女性的な艶っぽさを備えた淫靡なものだった。 *********************************************************** 「…………」  メイジはゆっくりととしあきの上に追いかぶさり、キスをする。長い金髪がベールの ように二人の顔を隠した。  貪る様なメイジの舌と、それをひたすら受け入れるとしあきの舌。 「は、んむ……んぅ」  としあきの苦しげな息遣いと唾液を潤滑材としながら粘膜の絡み合う猥褻な音が、ブロ ンドのベールの内側でやけに大きく聞こえた。 「えぁ、やぁ……」  としあきの唇を食むと彼が声を漏らす。やめて欲しいと言っているのはわかっていたが、  すぐにはやめず、そのまま彼の体に跨って、後ろ手にジーンズの股間を撫でる。 「ふふっ、大っきくなってる。キスで感じた?」 「メイのキスが激しいから……」 「だって、としあき可愛いんだもの」  言いながら、彼女は熱を持ったとしあきのペニスを形に添って撫でる。 *********************************************************  としあきは更なる快感を要求するように腰をくねらせる。  しかし、指先だけの愛撫は彼に決して満足な快感を送りはしないし、上に乗ったメイジの体が思うように体を動かす事を阻んでいた。 「ねぇ、メイ……口でして」  緩々とした愛撫に痺れを切らし、甘えた声を漏らすとしあきをメイジはサディスティックに見下ろし、唇を薄く開いて舌で唇を濡らす。 「ダメ、としあきにはしてあげない」「……そんな」  指先の愛撫でとしあきのペニスは熱と硬度を増し、ジーンズ越しにその脈動を感じ取れるほどにまで成長していた。  としあきの上で彼を弄ぶ倒錯した精神的な快感に、メイジは口に溜まった唾を飲み込む。 「じゃあ、としあき。私がイくまで我慢できたらしてあげる。いつも私がとしあきにしてるみたいに、喉の奥までめちゃくちゃに犯させてあげる」  メイジは未成熟な外見から想像もつかないほど艶っぽい表情と声で囁いて口を開いて真っ赤な舌を見せ、挑発するようにその舌を蠢かす。  としあきの薄い喉仏がゆっくりと上下し、メイジは指先で彼のペニスがひときわ大きく脈打つのを感じた。  としあきは、まんまと少女の罠にかかった。