『まきばといちご』 夏休みに入ったある週末、メイジは小岩井いちごを家に呼んでいた。 としあきは二人の邪魔にならないように家の隅にいた。 そんな時としあきのスマホが鳴った。 「え、もう来るのか?」 としあきは二人のところに顔を出した。 「悪い、急に俺の友達がウチに来るって言ってきてもうすぐ着くんだって」 「え!としあき友達いたの?」 「メイジうるさい。まあすぐ二人で出ていくから。ちょっとうるさくなるけどごめんな」 **************** それからすぐに玄関チャイムが鳴り、としあきは出迎えに行った。 ドアを開けるととしあきと同じくらいの年齢の男がいた。 「よう、としあきひさしぶり」 「まきば、来るならもうちょっと早く言ってくれ」 「悪い悪い。まあとりあえず入れてくれ」 まきばという男はさっさと中に入り、靴を脱ぎかけた。 しかし急に靴を脱ごうとしたまま動きが止まった。 彼の目は玄関にあった靴に集中している。 「なんで…」 「どうした、まきb」 バキッ! まきばの拳がとしあきの顔にめり込んだ。 **************** 「なんでいちごの靴がお前んちにあるんだよ!?」 「えっ?…ええ?なんのこと?」 「ふざけるな!この靴はいちごの靴だ!特徴とか細かい傷や汚れとか俺には分かるんだ!」 「何言って…」 突然起きた騒ぎにメイジといちごが表れた。 「としあき!?」 「にーに!?」 「いちご!」 まきばはいちごに駆け寄り抱き抱えた。 「いちご大丈夫か!?としあきに酷いことされてないか!?」 「う、うん、大丈夫だよ」 「よかった…」 まきばは安心して泣きそうになっていた。 **************** 訳が分からないメイジはとしあきに聞いた。 「ねえ、あの人誰なの?」 「あいつは俺の友達で小岩井まきば。昔からシスコンっぽい奴だと思ってたけど、もしかしてとは思ったけど小岩井いちごちゃんってあいつの妹だったのか」 「そういえばいちごもお兄ちゃんがいるって言ってた」 「まああの様子だとそういうことだろうな」 いちごはまきばに抱き抱えられて嬉しそうに笑っている。 その様子はまるでイチャイチャである。 それを見てメイジが言った。 「スルーしてたけど、あの子も結構ブラコンっぽいんだよね…」 「え、マジで?アイツいつか一線越えたりしないだろうな…」 「その時は友達として止めないとダメだよね…」 「あとその前に俺完全に殴られ損だよな…」 メイジは友達の新たな一面を知ったのだった。 終わり ------------------------------------------------------------------------------------------------ 記念スレだし何か書けたらいいなと思っていたら校舎裏トリオのイラストが描かれたので いちごの兄まきばについて考えていたことを書いてみました 19周年おめでとうございます