『13日の金曜日』 今日は13日の金曜日。 毎年必ず訪れる不吉な日として日本でも普通に認識されるようになって久しい。 一見普通のビジネスマン風の「氷室巧一」と名乗るこの男も、この日を待ちわびてる一人であった。 待ち合わせ場所は人気のない高速道路の下のコンクリートの箱形トンネル。 「さて、誰に死んでもらいたいのかな?」 流暢な日本語を話すが、髪や目の色から純血の日本人ではないのは明らかだ。 「本当に殺せるんですか?」 SNSで偶然知ったという女が今日の依頼者だ。 「安心したまえ、事故に見せかけて殺してやるよ。もちろん足は付かないし、あんたからの依頼だとバレる心配もない」 「私から全てを奪ったこの女を殺して。私の彼を寝取ったのよ・・・」 本来なら寝取ったとされる女は悪くない。浮気した野郎の方が悪いのだが、女の心理は理解しがたいと思いながら価格交渉に入る。 「報酬はあんたの全財産だ。とは言ってもあまり金に興味はないから、今持ってる財布の中身だけでイイ」 「本当にそれだけで良いの?」 「そうは言っても、居酒屋で焼き鳥食いながら、ビール10杯は飲めるだろう。俺はそれで充分だ。大金貰っても足が付いたら割に合わないからな。証拠が残らない程度が丁度イイ」 氷室は女から財布を受け取ると、入ってる札を数枚抜き取り、ターゲットの写真と個人情報を受け取る。 手袋をしているので、指紋を残すなどの凡ミスは決して犯さない。 スマホで簡単に受け取る事は出来るのだが、証拠を焼却して隠滅しやすいので、写真と個人情報はプリントアウトした紙で受け取るのが氷室の流儀だ。 「確かに受け取りました。この事を知ってる人は少ないほうが良いですよね?」 「ええ、まぁそうですね・・・」 ゴキッ・・・ 氷室は依頼者の女の首を片手でへし折る。 「いつ聞いても、首の折れる音はイイ音色だ。人を呪わば穴2つ・・・」 「ターゲットは毎朝電車通勤か。それなら通勤途中でヤッちまうか」 翌日、駅のベンチで新聞を読みながら30分ほど待機していると、階段を登るターゲットを見つけて後を付ける。 「Excusez-moi・・・」 「Quel train prendre aller ici・・・」 「・・・I can't speak English・・・」 氷室がフランス語で話しかけると、女は明らかに意味がわからないといった感じで英語で受け答えをする。 (こいつは英語とフランス語の違いも分からんのか?) 氷室はちょっと呆れながら、女の首に手を回す。 「美しい黒髪ですね」 「えっ・・・」 ゴキッ・・・ 首を折られた女は階段を転げ落ちてピクリとも動かない。 「Mission accomplie、これで転落事故に見せかけられる。次の13日の金曜日まで殺しは休業だ」 居酒屋でビールを飲んで酔い潰れる気満々で、駅を後にする氷室。 「今日くらいは潰れてもイイ日にする。明日から勉強を頑張ろう」 自分に言い聞かせながら、良い感じに酔って安アパートに帰ったのは結局翌日だった。 明日やろうは馬鹿野郎の典型のようなダメ人間。 **************** 一週間後、氷室は突然の採用の知らせに戸惑いながら、教員採用試験の願書の臨時採用希望欄に丸を付けていたことを思い出し、即答でOKした。 氷室は教員免許はあっても教員採用試験に落ち続けていて、塾講師で食いつないでいた。 殺しが趣味のロリコンという、人格的にアレなのが多分に影響しているのだろうが、本人に自覚がないのが残念なところである。 「・・・ここが今日から俺の職場か・・・とりあえず、人柄だけはよく見えるように頑張ろう・・・」 氷室のこの決意もいつまで続くか分からないのだが・・・。 「今日から新しい先生が来るらしいよー、芽衣子先生が言ってたよー」 「ふーん、男?女?」 「男の先生だってー、ハーフで、顔だけは良いってゆってたよー」 教室の扉の前で中から聞こえてくる声に緊張しながら、氷室は第一印象を良くしようと笑顔で扉を開ける。 教壇に立ち、黒板に名前を書くと、明らかに日本人的な名前に子供たちがちょっと驚くが、そんな反応は日常茶飯事なので、気にも留めずに自己紹介を始める。 「今日から6年生クラスの担任になりました氷室です。前任の先生は事故で治療中との事で・・・?」 書類を見ながら話していると、そこに書いてあった前任の先生の名前は自分が殺した女だった事に気づく。 「えーっと、とりあえず、治療が終わるまでの臨時ですが、よろしくお願いします」 (生きてるとしても、再起不能なはずだから、このまま本採用になれるように、本性は隠しておこう) 「みんなの顔と名前を覚える為に、出席をとります」 名簿を見ると、女子10人、男子8人・・・氷室は出席を取りながら、女子の顔を確認していく。 6年生にもなると、扱いづらい年齢でもあるが、前職の塾の生徒よりもレベルが高い彼女らを自分好みに調教出来ればと考えると、自然に股間が膨らんでくるが、マニュアル通りに事を進めて自分の性癖に気づかれないように気をつける氷室。 「先生に質問です。先生は独身ですか?」 最前列の双子の片方が興味津々で新任の教師に探りを入れる。 「君は森永みるくさん、隣の娘はここあさんだね」 最前列の席に座る双子の姉妹は、氷室的にはド・ストライクの美少女だが、平静を装いながら質問に答える。 「とりあえず、独身で、彼女はいません。先生はハーフなので日本人なのに外国人に見られるのが悩みです」 「彼女が居ないって言っても、特定の彼女が居ないって事じゃないの?」 みるくは顔が良いのに居ないというのを不審に思ってツッコミを入れる。 「特定も、不特定も居ません。女性と知り合っても、なぜか全く長続きしませんね」 「それなら、彼氏は居るんですね。ハーフでそこそこの顔なのに誰とも付き合ってないのはちょっと不自然に思えるのです」 ここあはBLモノにちょっと興味があるので、そんな質問が自然に出てしまう。 「先生はノーマルです。普通に女性が好きですので、安心して下さい」 「それなら、私が彼女になってあげる」 「みるくだけズルいです。私も先生の彼女になります」 氷室はもちろんソッチ系の趣味は無いので、誤解を与えないようにキッチリ否定するが、それが思わぬ結果を招いてしまった。 (ロリ彼女が初日に二人・・・悪くないが、初対面であからさまに喜んではイメージが良くないな) 一人悶々と妄想していたいのだが、そんな時間は無いので、テキトウに切り上げて、本題に入る。 「一時間目は算数の文章問題のテストです。これは前任の先生の予定にも入っていたので、みんなの実力を知るには丁度よいですね。終わった人から採点しますので、持ってきて下さい。二枚あるので落ち着いて解いて下さい」 テストの内容はそれほど難しいものではないので、平均点は高いだろうと思うが、一応どの問題に時間がかかっているかを知るために見回りながら、解くスピードも確認する。 氷室は男子どもには目もくれずに、女子の横に立ったりしながら様子を見ると、前かがみになって問題を解いてる女子の胸元から乳首が見える事に気づく。 (夏はロリの季節・・・薄着で最高。ノーブラでTシャツ、ワンピース一枚の娘もいるし、学校だから割とガードも緩いな) ここあとみるくはボーダー柄リボン付きのノースリーブワンピースの色違い。 ここあはブラック、みるくはレッドのボーダーがよく似合う。 若干サイズが大きめなのは成長期を見越しての事だろうか。 氷室は双子でも若干の差異があり、みるくの方が胸がちょっと大きいなと冷静に分析をしつつ、胸元をガッツリ覗くと二人共ノーブラだった。 (乳首が見えるが、あまり見続ける訳にもいかないし、本命は後に取っておこう) 氷室はターゲットを変えて、ショートヘアにメガネ、細い肩紐のワンピースの町田瑠海に狙いを定めて横に立つ。 (これはなかなか攻めた服だな。胸元と脇の下が大きめに開いたノースリーブ・・・ロリコンには堪らない。細い肩紐で分かるが、完全にノーブラだ) シャッターチャンスと思いながら、盗撮用に無音化したスマホの標準カメラで連射すると、興奮を抑えながら、落ち着いて胸元を観察する。 (小6にしては大きめだな、もう少しジックリ観察するか) しばらく横に立って、大きめの乳房が呼吸に合わせて上下に揺れるのを堪能していると、消しゴムを床に落として、拾おうとしている。 瑠海は前かがみになって床に手を伸ばすと、肩紐がズレてしまうが、気にする風でもなく消しゴムに手を伸ばす。 「町田さん、不正行為を疑われないように、消しゴムは先生が拾ってあげます。落とさないように注意しましょう」 氷室が一応教師らしい事を言いながら、消しゴムを手渡すと、全く警戒する様子もなく、問題を解き始める。 (ヲイ、肩紐を直すのを忘れてるよw、胸元が広がりすぎて乳首が丸見えじゃないか。揺れる胸は動画で保存だ) 気付かれないようにスマホで時間を見るフリをして素早く事を済ますと、教卓に戻ってガチガチに勃起したペニスがおさまるのを待つ。 テスト中とは言え、初日に不審な行動をしていては後々の学級運営に差し障るので、授業の進み具合や長期欠席をしていた児童がいないかなどを確認していると、テストを解き終わった子供達がテスト用紙を持って来てそれどころでは無くなってしまった。 「皆さん、なかなか優秀ですね。まだ出来てない人も焦る必要はないので、ゆっくり解いて下さい。スピードよりも確実に解ける事の方が重要です」 クラスの大半が解き終わった頃には、授業時間も終わりに近づいていたが、焦らす必要はないというのが氷室の主義だ。 それから10分ほどして、ほぼ同時刻にテストを解き終わったみるくとここあが、暇を持て余して、隠し撮りに成功した乳首の動画を閲覧している氷室の所に来てささやく。 「私達が今日ノーブラだったのは先生を試すためです。ロリコンじゃないならガッツリ見ようとしませんよね。明日からはブラをしてきますけど、彼氏になってくれるなら、期待しても良いですよ」 みるくはロリコンの扱いを心得ているかのごとく、主導権を握る。 「先生、深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのですよ」 小6でフリードリヒ・ニーチェの言葉を引用するここあに驚きを隠せず、『覗かれたロリもまた、覗くロリコンを覗いてる』という事かと得心が行く氷室だった。