『ブラックメイジと居合斬り』 きっかけはほんの些細な事だった。 席を立ちかけた弾みに、ヤクザの肩が隣のBOX席に居た爺さんの杖に触れた。 ただそれだけの事である。 薄暗い店内の奥の席に座り、静かに焼酎の水割りを舐めるように飲んでいた爺さん。 見た感じは還暦が近いのではないかと思わせるほどに髪は白く、痩せ型で背も高くはない。 気配を殺すかのように、一人静かに酒を楽しむ爺さんという感じで、隣のBOX席でホステスをはべらせ、大声で騒ぐ二人のヤクザは居ることすら気付かないほどだった。 ヤクザどもはいかにも喧嘩慣れしてると分かるゴツイ体格。 女をはべらせて酒も入ってたせいで、気性も荒くなっていた。 そのうちの一人が便所に立とうとした拍子に、爺さんの持っていた杖に軽く触れたのである。 どういう訳か、爺さんは杖を肩に担ぐようにして、グラスを傾けながら飲んでいた。 安っぽい地味な柄の甚平を着込み、いかにも暇を持て余した近所の爺さんといった様相である。 「けっ、気を付けろよ」 杖に触れたヤクザは、気持ちよく飲んでいたので、これで勘弁してやるつもりだった。 ヤクザどもはいかに自分たちの生き方が、仁義を重んじているのかというような任侠道について熱く語っていたのだった。 一般人からすれば、そんな生き方はクズなのだが、酒と女と自分に酔うヤクザどもにはそんな自覚は全く無かった。 その爺さんが、ヤクザどもの隣に座っていたのであれば、聞く気は無くともそのクズどもの会話は否応無しに聞こえていたはずである。 一般人であれば、触らぬ疫病神に祟り無しで、会話からヤクザと分かり関わり合いを避けるはずである。 しかし、その爺さんはその疫病神に自らツバを吐きかけた。 「・・・クズどもが・・・」 BGMは店の隅にあるピアノの生演奏でJAZZの枯葉が流れていたが、その演奏に掻き消されるほどに低く小さい声でつぶやいたのだった。 ヤクザどもは何かを言われた事に気付いたが、爺さんは自分に注意を喚起させる為にあえてそうしたのだった。 「何か言ったか?」 明らかに苛立った口調で、ヤクザの一人が聞き返す。 爺さんは先ほどと変わらぬ口調でつぶやく。 「ゴミクズどもが・・・」 爺さんの言葉は注意して聞いていても、断片しか聞き取れないほど小さかったが、ヤクザの暴力スイッチをONにするには充分だった。 一人が喧嘩を売られれば、他の仲間もたやすく逆上出来るのが、ヤクザの便利な性分である。 杖に触れたのが一番強そうな男であったが、目の前に立たれて圧倒的な体格差を見せられても、全く怯まない爺さんは不気味な雰囲気を漂わせていた。 「ふんっ・・・」 ため息を吐くように爺さんがかすかに笑った。 「野郎――」 怒声とともに屈強な男の拳が空を切り、爺さんの顔面を砕く―― 並の相手ならこれだけでケリが付き、侘びを入れるはずだった。 しかし、今回は相手が格上過ぎたようだ。 ヒュン―― 自分の拳が爺さんの顔面を砕くかに思えた寸前に、甲高い音を屈強な男は聞いた。 一瞬遅れて「チン」という小さい音が聞こえた。 最初のヒュンは爺さんの仕込み杖が空を切り裂く音。 次のチンは一閃した白刃が再び元の鞘に収まる音だった。 無論、通常人にはその一瞬の出来事を視認する事は不可能である。 屈強な男は自分の右腕が軽くなったような気がして目を向けると、右腕は肩から落ちていた。 切られた事を体が認識するまで数秒掛かったかのような感じで、数瞬遅れて肩の断面から鮮血が噴き出す。 破れた水道管のごとく噴き出る鮮血が床に血溜まりを作る頃には男の意識は無く、前のめりに血溜まりに崩れ落ちるとピクリとも動かない。 もう一人のヤクザは―――両すねを切られて床に崩れ落ちる。 この爺さん以外には、何が起こっているのかを正確に理解できていない。 切られた当の本人たちは、気付いたら切られていたという一瞬の出来事。 それほどまでに速い、神速の居合い斬り。 足を切られたヤクザは青ざめながら体勢を立て直し、必死に止血を試みる。 「無様だな――」 下卑た薄ら笑いを浮かべながら、爺さんがつぶやく。 必死に足を縛るヤクザにとって、その笑いは狂人のそれであり、生まれて初めて真の意味での恐怖を知った。 「おめぇらみてぇなクズを見ると、虫唾が走ってしょうがねぇ――、ヤキを入れてやりたくなるのも人情だろ?」 狂人の論理は理解しがたいが、ヤクザと一緒に飲んでいたホステスの一人は妙に納得していた。 「この人達、ヤクザがいかに男気溢れる生き方でカッコいいかを自慢していましたよ」 この血溜まりの惨事でも全く動じない胆力も大したものである。 「俺も聞いていたさ、だがなこんな半端もんが言って良い事じゃねぇよな?」 「堪忍してつかぁさい・・・・・・」 ヤクザは国の方言を思わず出しながら、命乞いするのがやっとだった。 「無理だな――このまま生きてても人様の迷惑になるだけだ――」 チン―― 今度はヤクザの腹が切れ、鮮血が噴き出し腹圧で腸が飛び出す。 「~~あぐぅ・・・――、タスケ・・・・」 言い終わるのを待たずに白刃が空を切る。 チン―― ヤクザの頭がゴロリと落ちて、鮮やかに切れた首の断面から、鮮血が噴き出した。 「ヤクザなら勝てねぇと分かっていても、無駄な抵抗くらいするんじゃねぇのか?チャカを持っていてもイザとなったら抜く事すら出来ねぇとはな」 爺さんは首を切られて絶命したヤクザの懐を漁ると、拳銃を取り出し自分の懐に入れた。 「戦利品という事でこいつは貰って行く――、いいな?」 肩を切られたヤクザの顔を蹴り上げ、一応了承を取ろうとしたが、既に息絶えていた。 「まったく根性がねぇなぁ――」 **************** メイジが小学校に行ってる間の暇つぶしの一つ、ビデオ鑑賞。 今回はガチ物という触れ込みでちょっと話題になっていた物を、アングラサイトからダウンロードしてDVDに焼いた。 あまり乗り気ではないが、ブラックメイジが日本のマフィアに興味があるというので、しかたなく一緒に見ることにしたのだったが・・・・。 「俺はもうダメ・・・見てられないよ・・・」 としあきはリモコンの停止ボタンを押してつぶやく。 昨今の自主規制だらけの映画ではなく、昭和の時代の任侠映画は暴力シーンに手加減がないので、としあきはギブアップしてしまった。 しかし、ブラックメイジは目をランランと輝かせて、画面にかぶり付くように見ている。 「銃が主力の現代とは違うのねぇー・・・でも、この仕込み杖のお爺さんは強すぎねー」 「チェルノはこんなのが好きなの?映画だからほぼフィクションだろうけど、居合斬りは実際に出来る人もいるようだよ」 ブラックメイジは派手な出血にも動じるどころか、むしろ噴出する血に興奮していた。 通常人には視認できない居合斬りも、動態視力が優れているブラックメイジには、何とか鞘から抜く所くらいは見えていたようだ。 「ナイフの戦闘術の基礎は・・・ゴニョゴニョ・・・人斬りモリナガとか言ってたけど、実在のモデルがいるのかなー」 血に興奮するのも、性的興奮もブラックメイジにとっては同じようで、スカートを盛り上げるように股間をパンパンに膨らませていた。 「メイジの友達の森永あろえちゃんとは関係無いだろうけど・・・」 「メイジが帰ってきたら聞いてみようよー、何か知ってるかもだよー」 ブラックメイジは居合斬りに興味津々であり、実際に見ないと収まりが付きそうにない。 「それより、パンパンになってるよね・・・」 としあきはメイジとやるのも良いが、なかなかしてくれないブラックメイジとしたい気持ちがあり、それとなく誘ってみる。 「トシアキは私としたいのー?今はメイジが居ないから浮気になるよー」 「俺は二人を平等に好きだから、浮気にはならない。むしろチ ェルノだけ我慢してるのは良くない」 純情なブラックメイジをとしあき理論で丸め込むと、強引にキスをする。 メイジにはなかなか出来ない事でも、ブラックメイジには出来るとしあきはある意味ゲスい。 じゅるじゅる、るるるぅ、れろれろぉ・・・ ブラックメイジは舌を絡めながら、としあきの服を脱がすと馬乗りになりながら、両腕を押さえつける。 「トシアキ、私の唾液を飲みなさいー」 いつの間にか主導権はブラックメイジに移っているが、としあきはメイジで慣れているので、何の違和感も感じずに舌をからめて唾液をすする。 「私の唾液は美味しいかなー?」 絶え間なく流し込まれる唾液を飲み込んでると、馬乗りになったブラックメイジの股間の体温と相まって、としあきのペニスもガチガチに勃起していた。 「トシアキのここもパンパンになってるよー」 ブラックメイジはちょっと嬉しそうに腰を振り、自分のペニスをパンツ越しに擦り付ける。 所詮は幼女の腕力なので、強引に振りほどこうとすれば簡単に形勢を逆転させる事は出来るのだが、あえてとしあきはブラックメイジに委ねて楽しんでいる。 「うぅううう・・・ああぁ・・・」 としあきは擦り付けられるだけで、嬌声をあげてしまった。 「そんなにこれが良いのー?トシアキは敏感なのねー」 「おおおぉおおっ・・・」 ブラックメイジはとしあきのペニスを軽く握って亀頭に爪を立てる。 一瞬の痛みを伴うが、ブラックメイジに握られているという快感の方が強く、莫大な快感がとしあきを襲う。 「こんな事で出してしまうのももったいないわねー。ぬるぬるがいっぱい出てるけど、入れるのは私だからねー」 ブラックメイジはパンツを脱いでギンギンになったペニスをあらわにすると、自分のカウパーをとしあきの尻穴に塗りつける。 「ちゃんとしてあげるからそんな顔しないのー」 「俺は手コキをして貰えるもんだと思ってたんだけどな・・・」 としあきは本音を吐露するが、ブラックメイジはとしあきに入れたい衝動を抑えられない。 「手でしなくとも、私が入れれば出る事もあるんじゃないのー?ノブはトコロテンがどうとか言ってたしー」 としあき自身は前立腺刺激による射精、いわゆるトコロテンの経験がないし、ブラックメイジからトコロテンという言葉が出てくるのは想定外だった。 「トコロテンかぁー、メイジと何度ヤッても無理だったんだけどなー・・・」 「考えても仕方ないから、もう入れるよー」 ブラックメイジはとしあきのカウパーも自身のペニスに塗り、ローション代わりにして後背位で尻穴に亀頭を押し付ける。 としあきの尻穴もすっかり慣れたもので、多少の抵抗があるものの難なく全てを飲み込んで、ぎゅうぎゅうと締め付けながら、ブラックメイジを攻める。 「私はあまり経験がないんだから、そんなに締め付けないでよー」 としあきはやられっぱなしでは癪なので、尻穴をギュッと締めてブラックメイジの動きを止めようと頑張る。 「これでちょっとはゆっくりしてくれるかなー?」 ささいな抵抗だが、逆にブラックメイジのやる気を喚起してしまい、グリグリと腰を円運動をさせて、尻穴を引き伸ばす。 「ああっ、ちょっと強すぎ、手加減して・・・」 としあきはスペック的にはメイジと同じである事をすっかり失念していたようだ。 「こんなにギッチリ咥えこんで何言ってるのー?手加減してって事はしなくて良いって事だよねぇー」 ヲイ、それは芸人の「やるな=やれ」の論理かととしあきは思うが、ツッコミを入れる余裕は無かった。 「うっ、ひゃっ・・・ああああ~」 ガンガン突き入れられるペニスで前立腺を刺激され、としあきのペニスもギンギンになっていた。 ブラックメイジはとしあきのイイ所を的確に探り当てて、突き当てる事を学習したようだ。 「へー、としあきはここがイイんだー、もっとガシガシしてあげるねー」 「あっ!!ああーっ、ううっ・・・」 としあきはブラックメイジにして貰ってるという事だけで、メイジに掘られるよりも興奮して締め付けを強める。 「としあきが締めすぎるから、もう出そう・・・」 ブラックメイジはラストスパートを掛けて、数日分の溜まった特濃ヨーグルトを吐き出した。 「初めてしたときよりも、気持ちよかったけどー、トシアキはトコロテンが出なかったねー。次は絶対出してあげるよー」 何か目的が違ってないかと思いながら、ちょっとした浮気を楽しむとしあきだった。(やっぱり浮気かよw)