辺りは硝煙と血臭でむせ返るほどだった。  メイジは死んだように眠っているとしあきのそばに跪き、そっとその頭を 抱えた。すると、としあきは気だるそうにうめき、重そうな双眸をゆっくりと 開いた。 「メイジ……」 「ね、としあき」  寝ぼけたようなとしあきとは対称的にメイジは唇の端を持ち上げる。  光の加減か彼女の茶色い虹彩が血のような紅色に染まっていた。  少女は悪魔じみた魅惑的な笑みを浮かべ、囁く。 「シよ」 --------------------------------------------------------  まだ眠気が勝っている様子のとしあきだったが、彼女の言葉を受け てその眉を寄せる。 「ここで?」 「そう、ここで」 「……でも」 「もう、大丈夫。全部終わったから」 「そう」  としあきの表情が緩む。  死体と血だまりが点々と散らばるこの場に似つかわしくないほど穏 やかなもので、男性であるにもかかわらず、どこか女性的な艶っぽさ を備えた淫靡なものだった。 「…………」  メイジはゆっくりととしあきの上に追いかぶさり、キスをする。 長い金髪がベールのように二人の顔を隠した。 ---------------------------------------------------------------------  貪る様なメイジの舌と、それをひたすら受け入れるとしあきの舌。 「は、んむ……んぅ」  としあきの苦しげな息遣いと唾液を潤滑材としながら粘膜の絡み合 う猥褻な音が、ブロンドのベールの内側でやけに大きく聞こえた。 「えぁ、やぁ……」  としあきの唇を食むと彼が声を漏らす。やめて欲しいと言っている のはわかっていたが、すぐにはやめず、そのまま彼の体に跨って、後 ろ手にジーンズの股間を撫でる。 「ふふっ、大っきくなってる。キスで感じた?」 「メイのキスが激しいから……」 「だって、としあき可愛いんだもの」  言いながら、彼女は熱を持ったとしあきのペニスを形に添って撫でる。 -------------------------------------------------------------------  としあきは更なる快感を要求するように腰をくねらせる。しかし、 指先だけの愛撫は彼に決して満足な快感を送りはしないし、上に乗っ たメイジの体が思うように体を動かす事を阻んでいた。 「ねぇ、メイ……口でして」  緩々とした愛撫に痺れを切らし、甘えた声を漏らすとしあきをメイ ジはサディスティックに見下ろし、唇を薄く開いて舌で濡らす。 「ダメ、としあきにはしてあげない」 「……そんな」  指先の愛撫でとしあきのペニスは熱と硬度を増し、ジーンズ越し にその脈動を感じ取れるほどにまで成長していた。  大の男に跨り、弄ぶ倒錯した快感にメイジは口に溜まった唾を飲み込む。 --------------------------------------------------------------------- 「じゃあ、としあき。私がイくまで我慢できたらしてあげる。いつも 私がとしあきにしてるみたいに、喉の奥までめちゃくちゃに犯させて あげる」  メイジは未成熟な外見から想像もつかないほど艶っぽい表情と声で 囁いて口を開いて真っ赤な舌を見せ、挑発するようにその舌を蠢かす。  としあきの薄い喉仏がゆっくりと上下し、メイジは指先で彼のペニ スがひときわ大きく脈打つのを感じた。  としあきは、まんまと少女の罠にかかった。  メイジは四つ這いになったとしあきの後ろに立った。  彼の張り詰めた股間からは先走りが細い糸となって滴り落ちている。 それはそのまま彼の期待の表れでもあった。 ---------------------------------------------------------------------  これから始まる脳を真っ白に焼き焦がすほどの快楽に期待している のか、それともその後に待っているはずの〝ご褒美〟に期待してい るのか、メイジにはわからなかった。  だが、彼女にとってそれはどうでも良い問題だった。  としあきを開発したのはほかならぬメイジ自身だ。少し前立腺を 擦ってやれば彼は意思とは関係なく快楽を貪る肉穴に成り果てること も良く知っている。  メイジは暴力的な快楽の奔流に必死で抗おうとするとしあきの姿が 見たかった。  それはきっとこの上なく官能的で愛しく感じられる痴態の筈だ。   彼女の凶悪な大きさを誇るペニスが疼き、待ちきれないとばかりに ワンピースの裾を持ち上げる。 --------------------------------------------------------------------  メイジは裾を口先で咥えて隆々としたペニスを露にすると、彼の菊 座に凶暴な切っ先をあてがう。  としあきの体が僅かに震える。  メイジは薄作りな唇の端を持ち上げ、腰を突き出す。 「ひぅっ……」 「挿れただけでそんな声を出すの? としあきは、ご褒美欲しくない?」  彼女を受け入れようと、浅い呼吸を繰り返しているとしあきを見下 ろしながら言った。  ごりごりと竿を締め上げる括約筋、熱いゼリーに包まれているよう な腸壁。彼の〝性器〟は申し分のない名器だった。  このまま物理的な快楽に浸ってしまうのも悪くないように思えた。 「ご褒美……欲しい」  呻くようなとしあきの声。メイジはこの声をもっと聞きたかった。 ------------------------------------------------------------------- 「じゃあ、がんばって」  彼女は言って腰を引く。そして、太く張り出したカリで彼の急所、 前立腺を抉る。 「うっ、くぅ……」  としあきが鳴いた。  前立腺が充血して膨れ、これから腸壁を蹂躙しようとするメイジの ペニスを圧迫しようとする。しかし、それは決して抵抗の印ではない。 彼の体が快楽に飲み込まれる準備を終えた証だ。 「はぁっ、はぁっ、はぁっ」  前立腺がペニスに触れているだけで感じるのか、としあきはしきり に息を吐いている。既に口を閉じる事すら出来ないのか、口の端から 今にもよだれが零れ落ちそうだった。 -------------------------------------------------------------------- 「……いぢめてあげる」  涼やかな彼女の声音は快楽の水門が開く音に他ならなかった。 ------------------------------------------------------------------