Ⅳ「よぉとしあき。ハジメマシテ……じゃないよな? そうだよ。俺だ。懐かしいな。え? 何で俺がこんな事をしてるかって?  それは俺のセリフだぜ。何でお前がうちの組織なんかに関わっちまってんだ? まぁいいや。それより、ここで引き返してくんない?  これ以上先に行かれるとまずいのよ。久しぶりに出会えた幼馴染のよしみで――な? ……ありゃ、駄目? じゃあ仕 方ねぇよなぁ。四天王No.Ⅳとして、お前を排除する。悪く思うなよっ!」 ------------------------------------------------------------------------------------------ Ⅲ「動くなよ。分かってるとは思うが、今のはワザと外した。見えないだろうが、今度はお前の頭を狙っている。卑怯だとか言うなよ?  俺はスナイパーだ。本来なら、最初の一発で殺していたところだ。が、お前、NoⅣを倒したんだろ? 心配すんな。 奴は生きてるよ。伝言を預かってる。「次は容赦しねぇ。ぶっ殺してやる」だとよ。嫌われたもんだな。つか、その前 に俺に殺されるから、意味ねぇわな。っと、話がずれちまった。俺は奴の相棒でね、駆け出しの頃からの戦友だ。 その戦友に勝った男だ。俺もマジでヤリあいたくなっちまったわけよ。そんな訳で、ちいと付き合ってくれよ。命懸けのゲ ームにな。まずは俺を探し出してみな」 ------------------------------------------------------------------------------------------- ここいらでロリなNo.Ⅱ「わ~い。あの時のおにぃたんだ~。また一緒にアソボ? え?おにぃたんがとしあきなの? え~。じゃあ、ボ ク達の敵って、おにぃたんなの? えぇ~。ヤだよぅ。おにぃたん、殺したくないよ~。そうだ! おにぃたんもボ ク達の仲間になろ? そしたら、毎日ボクと遊べるし、殺さなくていいよね? 大丈夫。パパにゴメンナサイすれば、 きっと腕一本くらいで許してくれるよ! ……え~。イヤなの? 分かった。ボクも一緒に謝るから。そしたら、 パパも何もしないかもしれないから! ……分かんないよ! そんな事、ボクには分かんない!! そんなわがままなおにぃたん… …嫌いだよっ!!」 --------------------------------------------------------------------------------------------- Ⅰ「グヘヘヘヘ! まさかここまで来るとは、思っても見なかったぜ! しかしここまでだ。あいつらが負けたのは、 甘さゆえだ。俺様は違う。俺様はナイフ使いだ。このナイフで女子供も喜んで殺した! 使えねぇあいつ等とは、 非道さが違うのよ。グヘヘヘヘッ! じゃあ行くぜ? 俺様は四天王No.Ⅰのグペッ!?」 「ぺ、クソヤローが。テメーじゃとしあきには勝てねぇよ。さてとしあき、再戦と行こうじゃねぇか……っと、言いたいところだが、 参ったぜ……。まだ傷が癒えてねぇ上に、ここまで来るのに護衛どもを片付けながらだったからな、疲れちまった… ………。くそっ! あいつら、俺を裏切り者扱いだぜ? 俺はとしあきをこの手で殺したかっただけだっつの。しかし、 それも叶わねぇ夢らしい……ダセェ…………。行けよ。この先の護衛はもう俺が倒しちまって誰もいねぇ。あ~ぁ、 何やってんだろうな…………まったく…………………………」 ------------------------------------------------------------------------------------------- 「グヘヘヘヘッ! いやね、俺様は死ぬかと思ったぜ? グヘヘヘヘッ」 「悪かったよ。だからほら、今日の飲み代は俺が出すって言ってるでしょ? 機嫌直してよ。ほらお酌」 「ちゃっかりⅣも生きてるしね~。実は生きてました設定って、ボクはどうかと思うよ~?」 「ちびっ子はジュースでも飲んでなさい。だからね? 俺の武器は警棒でしょ? これで人を殺そうと思ったら、 一撃じゃ無理でしょ。ね? 殺すつもりなら、もっとボッコごコにしないと…ね? ほら、殺意ない!」 「ホントかよ? その割りに、かなり殺意感じたぜ? 首の骨が折れたかと思ったぜ。グヘヘヘヘッ」 「つか、お前が生きてることも含まれてるんだがね」 「あれ?俺様シカト? グヘヘヘヘッ」 「いやいや、だからね? 言ったでしょ?疲れたのよ。としあきに受けた傷は致命傷じゃなかった。そして、護衛 どもにやられるほど俺は弱くない。これでどこに死ぬ要素があるのよ? 無いでしょ?」 「あ~、俺様完全にシカトかよ。よし、怒った。そこの切ったら気持ち良さそうなオネ~サン。そう、アンタ。この店 で一番良いお酒持ってきて。 グヘヘヘヘッ」 「も~! グヘヘヘうるさ~い!」 「はいはいは~い、おつかれちゃ~ん。赤い物食べてる?」 「あ、パパだ! わ~い」 「ボス、CVの人意識しすぎッスよ」 「ダ~ブラー!」 ------------------------------------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------------------------------------ ボスとNo.Ⅱ ------------------------------------------------------------------------------------------ けたたましく鳴る非常事態サイレン。 それは我輩を眠りから覚まさせる心地よい目覚まし音。 この組織に、非常な事が起こらない日はない。 そう、非常こそがこの世界の日常。 我輩は非常事態が起こった場所を確認する。 そこは……地下実験室。 「NoⅡか」 我輩は今日の非常を楽しむべく、足を踏み出した。 ------------------------------------------------------------------------------ 「ポット内をガスで満たせ! ……駄目か、なら直接麻酔を撃て! かまわん。俺が許可する!」 「おやおや、一研究員にそんな権限を与えた覚えはないが?」 「こ、これはボス……非常時でしたので……」 「いや、構わん。で? 状況は?」 「はっ! 新薬の実験に失敗しまして、Ⅱが暴走を……ですが、ご安心ください。  ボスが出向くほどの事ではございません。どうぞ、部屋でお休みください」 「邪魔かね?」 「い、いえ! ごゆっくり見学ください!」 「……素晴らしい…………」 「は?」 「アレがⅡなのだろう?」 「はい。ご覧の通り、人の姿を留める事も出来ず、心も失っております。アレではタダの獣……実験は完全な失敗ですが……」 「ふ……。もっと心の目を磨きたまえ。私には、どんな芸術作品にも勝る美しいモノに見えるよ」 「はぁ……」 --------------------------------------------------------------------------------- 「バオォオォォォオオオ!!!」 強化ガラスで出来ているポットの中で、暴れるNo.Ⅱだったもの。 ガラスが割れるのは時間の問題であった。 「で、麻酔を撃つのだったな。即効性かね?」 「いえ、それだと効かない恐れがあります。ですので、効果が現れるのは多少遅れますが、強力な物を」 「ふむ……どれくらいで効果が現れる?」 「早くても10分は掛かります……」 「その間、足止めが必要……か。良かろう」 「ボ、ボス! 危険です!」 「では、誰がⅡを止める? 黙って十分間暴れさせるかね?」 「そ、それは…………」 「心配はいらん。イスに座って命令するだけの男では無い事を見せてやろう。いいか? Ⅱがポットを破壊した瞬 間に麻酔を撃ち込め」 「……仰せのままに…………」 ------------------------------------------------------------------------------------ ポットが割られ、麻酔が撃ち込められた。 我輩は上着を脱ぎ捨て、Ⅱの前に立ちはばかった。 「ぱ……パパ…………」 「ほう、自我が少々残っているのか。我輩としても、そのままおとなしくしてもらえると助かるのだが」 「ブオオォォォオオ!!!」 鼻息も荒く、突進してくるⅡ。 「そう言うわけにも行かんか。来い! パパがお前の愛を受けとって見せよう!」 突進してくる三メートルはある猛獣を止める……が、桁外れのパワーで押し戻された。 「グ……おっ!」 丸太のような腕を振りかぶるⅡ。我輩はとっさに横に跳んだ。 と同時に今まで我輩が居た空間がその腕によって削り取られる。 力勝負では話にならないようだ。ならば、スピードはどうだ?我輩は軽やかなステップを刻んでみた。 Ⅱは先ほどの突進でこちらに向かって来る。それをやすやすとかわした。 「これならば、容易く時間を稼げるな」 我輩は闘牛士よろしくⅡの突進をかわし続けた。