超番外編 ※色々理不尽だったりしますが番外編ですのでご容赦を。 昼下がり、自室にて。 オレはふと気になったことがあって、メイを部屋へ呼び出した。 「なあ、メイ。ちょっと訊きたいことがあるんだが」 「なんでしょう?」 メイをオレの隣、ベッドの上に座らせた。 ごくり、と喉が鳴る。 思ったより緊張しているらしい。 「その、なんだ。メイって、イク時って何を出してるんだ?」 「ヨーグルトです(きっぱり)」 超即断言。 「そんなバカな」 きっとオレの緊張の面持ちをみてからかっているに違いない。 「いえ、本当です。食べたヨーグルトが体内を循環して」 しかし、オレの知ってるメイは冗談でもそんな軽々しく嘘をつく子じゃない。 「……マジか」 「落ち着いてください」 「うわぁっ」 ベッドの下から、ぬっと顔を出したのは金髪の少年だった。 どこと無くメイと似た雰囲気がある。 って、何冷静に観察してるんだオレ。 「誰だお前、どうやって」 見る間にずるずると這い出してくる。 怖。 「ノブ、とでも呼んでください。どうやってここに入ったかは秘密です」 ぽんぽん、と服を叩いてほこりを落とす。 「ベッドの下のサンクチュアリに一冊ふたなり物が混ざっていました」 なっ、いきなり何を! 立ち上がりかけたオレをノブが制す。 「いえ、言いたい事はわかります。ですがコレは参考にはならない!」 色々先行して言われたっ! 「お……いや、としあきさん。半陰陽についてどれくらいご存知ですか?」 「うーん、女の子におちんちんが」 「残念」 早っ。 「いいですか?一口に半陰陽といってもいろいろあるんです。まず」 ベッドの下からフリップを取り出す。 もう、ツッコむ気力も無い。 先天性、後天性と書いてある。 フリップ用意する意味あるのか? 「大雑把に先天性と後天性があります」 「それって……」 「そうです。後天性というのは早い話が改造人間です」 偏見的な物言いだなぁ…… 「まず、世に出回っているいわゆるシーメール物はほぼ全部、作り物です」 過去に一度、怖いもの見たさで見てみたが玉が付いてて萎えた。 人によってはご褒美らしいがオレには無理だと思ったものだ。 「心当たりがあるみたいですね?まあいいでしょう。次は先天性のものについてです」 またフリップを取り出す。 そこにはURLが書いてある。 「詳しくはwikipediaを参照してください。またはググれ」 「んないい加減な!」 「ですよね。でもコレは難しい話ですし、長々話してわかってもらえるものでもないので」 まあ、そうかもしれない。 「で、ぶっちゃけメイはちんこから何出してんだ?」 「またぶっちゃけますね」 メイのほうをちらと見ると、相手にされないせいか、ふてくされている。 「いや、本人に聞いてもごまかされるし」 「まあ、本人にも何が出てるのかわからないのでしょう」 そうなんだろうか。 「んー、確かに私には睾丸はありませんし、仮性半陰陽か擬似半陰陽だとはおもうのですが」 部屋着のズボンの中を覗き込みながらメイが言った。 そんなはしたない……と思ったがたしなめるのもめんどくさい。 「精液の成分は前立腺液が3割、精嚢分泌液が7割です。どちらもおk……メイさんにはないものですから何が出てるか謎ですね?」 ……何で知ってるんだ? 「そんなジト目で見ないでくださいとしあきさん。色々事情があるんです」 オレの大事な人の体の秘密を知っている事情? どんな事情だ。 立ち上がりかけるオレをまたもノブが制す。 「まあまあ。メイさんはペニス部のみが完全に分化しているようです。単なる肥大化陰核とは違う」 「はあ」 「これはあくまでも推測ですが、おそらくスキーン腺が発達しているのでしょう」 「スキーン腺?」 「これもwikipediaを、といいたい所ですが簡単に説明しますとGスポットです。女性の前立腺ともいわれています」 またもやベッドの下からフリップ。 「メイさんのスキーン腺の位置はとしあきさんが良くご存知でしょうから割愛しますが、分泌される液体は精液に含まれる成分とよく似ているのです」 「つまり潮吹きということか」 「そうですね。潮吹きは尿だという説もありますがメイさんの場合は発達したスキーン腺液であると考えられます」 そういえば責める時におちんちんの裏がいいってせがまれたような。 「えっち」 メイが非難めいた目でオレを見ている。 そんなにエロ顔してたかオレ。 「そうか。精液ではないのか……」 「そうですね。あくまで可能性の話ですが。少なくともヨーグルトよりは現実的かと」 ノブとオレは思わず苦笑する。 「それではボクは用事も済んだので帰りますね」 「あ、もう帰るんだ?」 「まあ、あんまり長居していい身分ではないので」 結局何者なんだ? ノブはそそくさとベッドの下へと引っ込んでいく。 「どうかお幸せに、父さん」 「あ、ああ。ありがと。お前もな。って、え?」 にこっと笑うとノブはベッドの下へ消えた。 ……つか、父さん?何のことだ? オレは今までキチンと避妊してるし、そもそも色々計算が合わない。 身を乗り出し覗き込む。 ベッドが軋み、オレの体が傾く。 あ、と思ったときには遅かった。 「ぐぇ……」 床につんのめった姿勢で目が覚める。首が痛い。 「夢か」 カーテンの隙間から朝の光が差している。 時計を見ると正午過ぎ。 春休みだからって寝すぎだ。 ベッドの脇に座ってぼけーっとしている内に夢の内容は頭から消えていってしまった。 なんか妙に理不尽だったような。 「他の人の話じゃ重要人物なのになぁ」 言ってて自分でも意味がわからない。 「んー、なんか静かだな」 リビングまで出てみるか…… To be continued...?