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アニメキャラ・バトルロワイヤル 作品投下スレ2 無料アクセスカウンターofuda.cc「全世界カウント計画」
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アニメキャラ・バトルロワイヤル 作品投下スレ2
1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/10(日) 20:17:51 ID:hrtOP/vY
ここは
「アニメ作品のキャラクターがバトルロワイアルをしたら?」
というテーマで作られたリレー形式の二次創作スレです。

参加資格は全員。
全てのレスは、スレ冒頭にあるルールとここまでのストーリー上
破綻の無い展開である限りは、原則として受け入れられます。

「作品に対する物言い」
「感想」
「予約」
「投下宣言」

以上の書き込みは雑談スレで行ってください。
sage進行でお願いします。

現行雑談スレ
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1165450622/l50

2 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2006/12/07(木) 20:28:35 ID:0plmBHDT
【基本ルール】
 全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
 勝者のみ元の世界に帰ることができる。
 ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
 ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
 プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。

【スタート時の持ち物】
 プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
 ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
 また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
 ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
 「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム」

 「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。詳しくは別項参照。
 「地図」 → MAP-Cのあの図と、禁止エリアを判別するための境界線と座標が記されている。
 「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
 「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
 「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。
 「名簿」→全ての参加キャラの名前がのっている。
 「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
 「ランタン」 → 暗闇を照らすことができる。
 「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1〜3個入っている。内容はランダム。

【バトルロワイアルの舞台】
ttp://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/34/617dc63bfb1f26533522b2f318b0219f.jpg

まとめサイト(wiki)
http://www23.atwiki.jp/animerowa/

2 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/10(日) 20:20:11 ID:hrtOP/vY
【キャラクターの状態表テンプレ】

【地名・○○日目 時間(深夜・早朝・昼間など)】
【キャラクター名@作品名】
[状態]:(ダメージの具合・動揺、激怒等精神的なこともここ)
[装備]:(武器・あるいは防具として扱えるものはここ)
[道具]:(ランタンやパソコン、治療道具・食料といった武器ではないが便利なものはここ)
[思考・状況](ゲームを脱出・ゲームに乗る・○○を殺す・○○を探す・○○と合流など。複数可、書くときは優先順位の高い順に)

◆例
【B-6森 2日目 早朝】
【園崎魅音@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:疲労(左腕・右足に切り傷)
[装備]:刀、盾
[道具]:ドアノブ、漫画
[思考]
第一行動方針:のび太を殺害する
第二行動方針:アーカードの捜索
基本行動方針:最後まで生き残る

【作中での時間表記】(0時スタート)
 深夜:0〜2
 黎明:2〜4
 早朝:4〜6
 朝:6〜8
 午前:8〜10
 昼:10〜12
 日中:12〜14
 午後:14〜16
 夕方:16〜18
 夜:18〜20
 夜中:20〜22
 真夜中:22〜24


3 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/10(日) 20:21:09 ID:hrtOP/vY
【首輪】
参加者には生存判定用のセンサーがついた『首輪』が付けられる。
この首輪には爆弾が内蔵されており、着用者が禁止された行動を取る、
または運営者が遠隔操作型の手動起爆装置を押すことで爆破される。
24時間以内に死亡者が一人も出なかった場合、全員の首輪が爆発する。
実は盗聴機能があり音声は開催者側に筒抜けである。
放送時に発表される『禁止エリア』に入ってしまうと、爆発する。
無理に外そうとしたり、首輪を外そうとしたことが運営側にバレても(盗聴されても)爆発する。
なお、どんな魔法や爆発に巻き込まれようと、誘爆は絶対にしない。
たとえ首輪を外しても会場からは脱出できない。

【放送】
0:00、6:00、12:00、18:00
以上の時間に運営者が禁止エリアと死亡者、残り人数の発表を行う。
スピーカーからの音声で伝達を行う。

【禁止エリア】
放送から1時間後、3時間後、5時間に1エリアずつ禁止エリアとなる。
禁止エリアはゲーム終了まで解除されない。

4 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/10(日) 20:22:01 ID:hrtOP/vY
【能力制限】

◆禁止
・ハルヒの世界改変能力
・ローゼンキャラの異空間系能力(間接的に人を殺せる)
・音無小夜の血液の効果

◆威力制限
・BLOOD+のシュヴァリエの肉体再生能力
・Fateキャラの固有結界、投影魔術
・長門有希と朝倉涼子の能力
・レイアース勢、なのは勢、ゼロ勢、遠坂凛の魔法
・サーヴァントの肉体的な打たれ強さ(普通に刺されるくらいじゃ死なない)
・サーヴァントの宝具(小次郎も一応)
・スクライドキャラのアルター(発動は問題なし、支給品のアルター化はNG)
・タチコマは重火器の弾薬没収、装甲の弱体化
・アーカードの吸血鬼としての能力

◆やや威力制限
・うたわれキャラの肉体的戦闘力
・ジャイアンの歌

◆問題なし
・ローゼンのドールの戦闘における能力
・ルパンキャラ、軍人キャラなどの、「一般人よりは強い」レベルのキャラの肉体的戦闘力


5 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/10(日) 20:23:28 ID:hrtOP/vY
【参加者一覧表】

6/6【涼宮ハルヒの憂鬱】
   ○キョン/○涼宮ハルヒ/○長門有希/○朝比奈みくる/○朝倉涼子/○鶴屋さん
5/5【ドラえもん】
   ○ドラえもん/○野比のび太/○剛田武/○骨川スネ夫/○先生
5/5【スクライド】
   ○カズマ/○劉鳳/○由詫かなみ/○君島邦彦/○ストレイト・クーガー
5/5【ひぐらしのなく頃に】
   ○前原圭一/○竜宮レナ/○園崎魅音/○北条沙都子/○古手梨花
5/5【ローゼンメイデンシリーズ】
   ○桜田ジュン/○真紅/○水銀燈/○翠星石/○蒼星石
5/5【クレヨンしんちゃん】
   ○野原しんのすけ/○野原みさえ/○野原ひろし/○ぶりぶりざえもん/○井尻又兵衛由俊
5/5【ルパン三世】
   ○ルパン三世/○次元大介/○峰不二子/○石川五ェ門/○銭形警部
5/5【魔法少女リリカルなのはシリーズ】
   ○高町なのは/○フェイト・テスタロッサ(フェイト・T・ハラオウン)/○八神はやて/○シグナム/○ヴィータ
5/5【Fate/stay night】
   ○衛宮士郎/○セイバー/○遠坂凛/○アーチャー/○佐々木小次郎
5/5【BLACK LAGOON】
   ○ロック(岡島緑郎)/○レヴィ/○ロベルタ/○ヘンゼル/○グレーテル
5/5【うたわれるもの】
   ○ハクオロ/○エルルゥ/○アルルゥ/○カルラ/○トウカ
4/4【HELLSING】
   ○アーカード/○セラス・ヴィクトリア/○ウォルター・C(クム)・ドルネーズ/○アレクサンド・アンデルセン
4/4【攻殻機動隊S.A.C】
   ○草薙素子/○バトー/○トグサ/○タチコマ
3/3【ゼロの使い魔】
   ○平賀才人/○ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール/○タバサ
3/3【魔法騎士レイアース】
   ○獅堂光/○龍咲海/○鳳凰寺風
3/3【ベルセルク】
   ○ガッツ/○キャスカ/○グリフィス
2/2【デジモンアドベンチャー】
   ○八神太一/○石田ヤマト
2/2【OVERMAN キングゲイナー】
   ○ゲイナー・サンガ/○ゲイン・ビジョウ
2/2【BLOOD+】
   ○音無小夜/○ソロモン・ゴールドスミス
1/1【MASTERキートン】
   ○平賀=キートン・太一
80/80

>>1を訂正
現行感想スレはこちらです
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1165650766/

6 :復讐の道を行く男、愛に生きる女1/8 ◆qwglOGQwIk :2006/12/10(日) 20:27:07 ID:odmSMrZA
殺し合いなど隻眼隻腕の黒い剣士、ガッツには何の関係も無かった。
ただ、男の戦う相手が魔物か人間かの、ガッツにとっては細かな違いである。
ガッツにとって最も重要な点はゴットハンド、及びゴットハンドへ転生したグリフィスへの復讐である。



俺にとって殺し合いなんてどうでもいい。
だがこの殺し合いの場に飛ばされるときに見た最後の顔を絶対に忘れちゃいねえ。

間違いない、絶対に間違いない。
あいつは、グリフィスだ。

俺の、俺の居場所だった切り込み隊、・・・ガストンの奴。
対立もしたけれど、頼れる仲間だった。ジュドー、コルカス、ピピン・・・。
俺たち鷹の団の全てを「生贄」にしたグリフィス。
そして俺の、俺の目の前でキャスカを・・・キャスカを陵辱しやがったグリフィス。


グリフィスグリフィスグリフィスグリフィスグリフィスグリフィスグリフィスグリフィスグリフィス
グリフィスグリフィスグリフィスグリフィスグリフィスグリフィスグリフィスグリフィスグリフィス
グリフィスグリフィスグリフィスグリフィスグリフィスグリフィスグリフィスグリフィスグリフィス
グリフィスグリフィスグリフィスグリフィスグリフィスグリフィスグリフィスグリフィスグリフィス
グリフィスグリフィスグリフィスグリフィスグリフィスグリフィスグリフィスグリフィスグリフィス


・・・
グリフィスの野郎を殺せるなら、俺はどんな犠牲だって問わない。
それこそ本当に殺し合いなんてどうでもいい、グリフィスに復讐さえできれば何も関係ない。

早速グリフィスを捜索しようと行動を始めた俺だが、体が妙に軽いのが気になる。
特に違和感を感じた背中を調べると、俺の相棒である大剣「ドラゴン殺し」が見あたらねえ。
それどころか体中に仕込んだ武装一式、ご丁寧にも左手の義手からまで火砲を除去していやがる。

さすがに、剣が無い状態では復讐の遂行が出来ない。
あの仮面野郎、(仮面の魔物か?)がご丁寧に支給してくれた袋の中身を見ることにした。

ちっ・・・ついてねえな。
中身は水食料に加えていくつかの道具が入っているのは確認できた。
だが俺の望む獲物、剣は結局出なかった。
説明書によると刃を飛ばせるらしいナイフ、「スペツナズナイフ」が5本
もう一つの支給品はたくさんの弾薬らしく、銃という武器が無ければ使い物にならない品らしい。
スペツナズナイフは強力な武器らしいが、こういうちまちました武器は俺の柄じゃねえな。
グリフィスだけでなく、俺の獲物である剣を探す必要もあるようだった。
とりあえず、俺は支給品を袋にほおり込み、名簿を確認することにした。

『グリフィス』

いた、いやがったぜグリフィスの奴。俺の目に間違いは無かった。
狂喜するガッツは、同時にもう一つの名前が目に入る。

『キャスカ』

・・・!?キャスカだと、キャスカの奴は確かにゴドーの場所で見つからないように隠れていたはずだ。なぜ・・・
ちっ、探し人がもう一人増えちまいやがったか。あいつ、無事だといいが・・・
そして他に名前を確認するが、他には変な名前があるだけで知り合いは居ないらしい。
まあ俺に、知り合いなんて呼べる奴は後はゴドー達ぐらいか・・・


7 :復讐の道を行く男、愛に生きる女2/8 ◆qwglOGQwIk :2006/12/10(日) 20:28:21 ID:odmSMrZA
俺は地図とコンパスを片手に場所を確認することにした。
近くに小川が見えることからどうやら川べりに居るようで、更に言えば相当山奥に居るらしいな。
地面の起伏もかなり険しいことから考えて、小川の上流にいるこたぁ間違いない。
これらを総合判断するに、どうやら俺はA7かB6という所に居るらしい。
グリフィスの奴はこんな辺境の山奥に意味も無く篭る奴じゃねえ、きっとこの地図で言う街の方にいやがるに違いない。
そういうわけで俺はグリフィスを探すついでに、剣を探すために川沿いを歩き始めた。

グリフィス、必ず見つけ出して俺が殺す。





・・・

「よ、ようこそおめでとうございまーす!
ワタシを引き当てたあなたはラッキー! 魔法少女リリカルみさリン、あなたのモトにただいま参上☆」

あ、あれ?反応が無い?
とっさに手持ちのステッキを片手に、うまい具合にアドリブをしたはずなのに目の前の黒い鎧を着た大男には反応が無い。
大男はげんなりした、呆れたような表情で私、野原みさえのことを見つめていた。

・・・

ち、沈黙って嫌だなぁ。あたしこういうのは嫌いなんだけどな。アハハ・・・
そんな沈黙が30秒ほど続いたか、目の前の大男の表情がきりっと引き締まり、私が顔の前に近づく。
や、やだ。この大男ワイルドすぎるけど、よく見たらちょっとイケメンじゃない。
私に惚れ直したのかしら、ホホホ・・・

「おい、グリフィスのことを知っているか?お前も参加者なんだろ。」
「グリフィス?誰よそいつ、そんな名前聞いたことも無いわ。確かに私も参加者だけど」
「そうか、邪魔したな。」

目の前の男は私のことを握る手を緩め、優しく地面へとエスコートする。
と思ったら、大男は踵を返して歩き始める。わたしのことを居なかったように無視して

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!あんた聞くだけ聞いて可愛い女性を放置なんて何様!」

みさえは叫ぶものの、大男はみさえに反応する様子は無い。
こうなったら、これだっ!
みさえはとっさにスモールライトを目の前の大男に浴びせる。
効果は無いか?と思ったが少しして大男も同様に縮小を始めた。
私はやっりぃ!と心の中で呟き、スモールライトをポケットにしまう。
そして縮小した大男?に接触するべく走り出した。
砂利の上って、小さくなると結構歩きづらいわね・・・


8 :復讐の道を行く男、愛に生きる女3/8 ◆qwglOGQwIk :2006/12/10(日) 20:29:25 ID:odmSMrZA
さすがの大男もこれにはかなり驚いている様子で、砂利の上で困惑しながら周りをキョロキョロしていた。
なんとか大男に追いついた私はは大男の鎧に掴みかかる。

「ちょっとあなた!人の話もちゃんと聞きなさいよ。私だって聞きたいことがあるんだから」

男が私に振り返ると同時に、体がふわっと浮く。私は一瞬何が起こったかわからなかった。
少しして私は、男に胸倉を掴み上げられ体を持ち上げられていることに気が付いた。

「おい、これは一体どういうことなんだ?」
「あなたがわたしの話を聞かないから、足止めしてやっただけよ!」
「なんだと、ふざけるんじゃねえよ・・・」

目の前の大男は私に掛ける力を強める。苦しい・・・。

「さっさと元の体に戻る方法を教えやがれ、おばさん」

お、おばさんですってえ〜。何よこの男、ちょっとイケメンだからって調子に乗りやがってぇ
と私が思ったのも束の間、ガサガサと茂みが揺れる。
すると私は地面に投げ捨てられた、いったぁ〜

「ちっ・・・」

大男はわたしのことなんか居なかったみたいに茂みの方を見ている。
それからすぐ、茂みの向うから小さな女の子が現れた。
どうやらしんのすけよりは年上の、小学生ぐらいの女の子のようだ。
わたしはその女の子に助けを求めるべく大声を上げた。

「お〜〜い」
「ば、馬鹿何やってやがる。」
「何って助けを求めてるんじゃない、あんたも声を出しなさいよ。」

私は大男にそう言ってやった。すると目の前の女の子は私達に気が付いたようだ。
やった、これでこんなよく分からない状況から抜け出せるのね!
私は女の子に向かって勢いよく走り出す。





・・・驚きましたわね。世の中にはこんな小さな人間?もいらっしゃるのですのね。
私が茂みを抜けるとなにやら小さな声がして、その方向を見れば人形のような小人がいるじゃありませんか。
私の目の前に現れたのは小人は二人、おばさんみたいなのが一人。
そして漫画にでも出てくるような黒い西洋甲冑を着込んだ男が一人。
おばさんみたいなのは何か色々まくしたてているが、賢いわたくしはもっと重要なことに気が付きましたのよ?
二人の小人にはちゃーんと首輪がありますの、つまりこの小人達は参加者。
にーにー、見ていてくださいね。

私は左手に持っていたにーにーのバットを両手持ちにし大きく振りかぶる。そして勢いよく振り下ろしたっ!

グシャッ!

・・・外れてしまいましたか。
私がおばさんの小人目掛けて振り下ろしたバットに、何かを叩き潰すような感覚は無かった。
バットのすぐ近くには仕留め損ねたおばさんが居る。そしてそのおばさんを掴んで引っ張り上げたらしい男がいる。
私は間髪居れずそのままバットを薙ぎ払う、すると小人は吹き飛ばされ、茂みの近くに飛んでいった。
私はもう一度にーにーのバットを振りかぶり、今度こそしとめようとする。
しかし、薙ぎ払って行動不能にしたと思っていた小人達はすでに逃げ出し始めていた。
あの茂みに逃げられると厄介ですわね。特にあの男の小人はなんだか特に厄介な感じがしますわ。


9 :復讐の道を行く男、愛に生きる女4/8 ◆qwglOGQwIk :2006/12/10(日) 20:30:40 ID:odmSMrZA
ちっ・・・あのクソガキめ。容赦ない真似しやがる。
俺はとっさにクソガキからの殺気を感じ取り、反射的にこの女を助けてしまった。
気が付いたら俺は大きく吹っ飛ばされていた。くそっ・・・
女のほうもどうやら無事のようだった。もう考えてる時間はねえな。

「おい、二手に分かれてあの茂みに走るぞ!」
「えっ、えっ、ちょ、ちょっと待ちなさいよ〜」

俺は後ろを振り返る。後ろに見えるのは鈍器を振りかぶったクソガキと女。
この状況を全く理解していないらしい女に、再び悪態を付きながらもう一度言ってやった。

「だから二手に分かれたほうが安全なんだよ、分かったらさっさと二手に分かれやがれ!」

二手に分かれれば、少なくともあのクソガキはどちらか片方しか標的にすることができない。
最初にあのおばさんを狙ったことから考えて、俺が狙われる確立は低いだろうと踏んだ。
これならクソガキがあの女を仕留めるのには多少の時間が掛かるはずだし、その間に俺は逃げ切れるだろう。
女はやっと俺の言葉を理解したらしく、俺から離れ始めるが・・・

ドガン!

俺はとっさに飛んで攻撃を回避する。あのクソガキめ、俺に狙いを変えやがった?
クソガキの攻撃は鈍器を乱暴に振り上げて叩き下ろすか、薙ぎ払うだけなんで避けるのは難しくない。
だが、これはまともに食らったらひとたまりも無いだろうな・・・。
俺はあの時薙ぎ払いの一撃の際、どういうわけかあの女を庇ってしまったらしくまだ体中には痛みが残っていた。

「ホホホ、待ちなさい〜」

誰が待つか。
こんなクソガキごときが俺様を舐めやがって・・・

ヒュン・・・!ガスッ!

ぐっ・・・、まともに食らったか。鎧が無かったらマジで死んでたかもな・・・
ゴロゴロと転がりながらも、何とか俺は受身を取って立ち上がる。・・・だがこの状況はかなりやばいぜ。
俺は相手の攻撃を見切る余裕すら無いと判断し、力を振り絞って目の前の茂みに飛び込む。

ヒュン、ドガッ!

間一髪、何とか逃げ切れたか・・・。
そう思っていたとき、茂みは大きくガサガサと揺れ、再び鈍器の振り下ろされる音がまた引き起こる。
ちっ、まだ休む暇もねえのか・・・。俺は体を起こすと、金属音の響く茂みの中を走り出した。





・・・逃しましたわね。いや、まだまだ終わってはいませんわよ・・・
茂みの中は月明かりではどうしようもないほどの暗闇で、茂みの中を探すのはかなり困難。
だけどあいつらその大きさゆえに遠くに逃げ出すことは出来ない。
まだまだ私が絶対の有利なんですのよ。にーにー、私はちゃんとやり遂げますわよ。
にーにー、ちゃんと見ていてくださいね。


10 :復讐の道を行く男、愛に生きる女5/8 ◆qwglOGQwIk :2006/12/10(日) 20:31:42 ID:odmSMrZA
「はぁ、はぁ、死ぬかと思った・・・」

私、野原みさえは茂みの中で尻餅を付きゼイゼイと声をあげていた。
周りにはバットの音が木霊するが、少なくともこの茂みのようではないようなのでとりあえず安堵する。
暗いとか怖いとかそういう問題じゃなく、私はたしかに「殺し合い」に巻き込まれているのを理解していた。
あー、もうどうしよう?つ、疲れた・・・

ゼイゼイと声を上げる私に黒い塊が何かぶつかり、強い衝撃が走る。
えっ、もしかして死んじゃう?私。
と思うが、吹き飛ばされながらも意識があることから、どうやらあのバットの一撃でないことらしいわね。
すると私の顔の前にあの大男が現れる。・・・っ!この人血まみれじゃないの。
私は大男を心配して一言声を掛けようとするが、大男はそんなことは知ったことじゃないとばかりに自分の話を進める。

「前置きはいい、どうしてこうなったのかをさっさと教えろ。元に戻せ」
「ちょっと、元に戻せって言ったって・・・」
「ああ?」
「ちょ、ちょっとは落ち着きなさいって、今説明するから・・・」

私はポケットにしまっていたスモールライトを見せ、名前と効果と一部始終を説明する。
大男は呆れた表情を見せ、頭を抱えている。

「こういうこと、わかった!」
「ああ、よく分かったからそいつをよこしな。」

よこしな。と男は言うものの、男は私の同意など無いように手からライト取り上げると適当にいじくり始めたではないか。

「ちょ、ちょっと壊れたらどうするの!」
「煩い、黙ってろ。」

男は適当にスモールライトをいじくり回す。するとまたあの光が・・・





完璧に逃しましたわね・・・。これはかなり厄介なことになりましたわ。
私は茂みを調べて回るものの、森にある茂みを暗闇の中調べることに飽きていた。
最初はにーにーのバットを振り回していたが、これでは効率が悪いことに気が付いて一つ一つ探し始めた。
しかし、ライトで茂みの中を見渡した所で一向に人影は現れなかった。
私は小人達に逃げられた。これはかなり手痛いミス。
自分が戦いを挑めるような相手は多くない。
わたくしのような小娘では最初に出会ったあの大剣を振り回すような奴には絶対勝てる訳が無い。
だからこそ自分が勝てる相手は全力で叩き潰さなければならなかったはずだ。
・・・私が戦って勝ち残らないと、にーにーは帰ってこない。
だから、何としても勝ち残らないといけないのに、本当に痛いミスですわね。
私はため息を一つ吐くと、再び砂利道の方に戻ろうとした。した。

したはずですわっ・・・
動けない、私の体は、いや右手は・・・何者かに強く掴まれていた。握りつぶされるような痛みがっ
正体を確かめるべく後ろを振り返ると・・・ひぃっ!
あの、あの血だらけの小人が、血まみれの大男になっているっ!
わたくしの手を痛いほど強く握る大男は、にやりと笑う。


「よおクソガキ、さっきはよくも散々な目にあわせてくれたな。」


11 :復讐の道を行く男、愛に生きる女6/8 ◆qwglOGQwIk :2006/12/10(日) 20:32:45 ID:odmSMrZA
助けてにー・・・痛っ!

わたくしは大男に掴み上げられた後投げ飛ばされ、地面に叩きつけられる。
とっさに受身を取ったものの、体が痛い。逃げなきゃ、助けてにーにー・・・
わたくしは体を這いずって逃げ出そうとする。後ろから大男の声がする。

「逃げるとはずいぶんと調子がいいな、クソガキめ」

声を聞きわたくしは大男に、振り返る。ひぃっ!?
その大男はわたくしに憎悪の目を込め、血だらけになりながらバットを振り上げて佇んでいた。
後ずさりする私に向かって無情にもバットは、私に向かって振り下ろされましたわ。

「・・・・・・ッつぎゃあああああああああ」

猛烈な痛みが走る。痛い痛いイタイイタイ・・・
わたくしの足は、み、右足は・・・右足だったものはグシャグシャに潰されていた!
こ、殺される。本当に殺される。あ、謝らないと、謝って許してもらわないと

「ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・」
「今更命乞いとは本当にふてえクソガキだ。」

ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。許してください。
痛い、痛い、痛い・・・。許して許して許してごめんなさいごめんなさい。
私は頭を何度も何度も下げて謝る。男は私の髪をわし掴みにして目の前に寄せる。
痛い痛い痛いごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

「よく聞けクソガキ、グリフィスって奴を・・・」
「みさリンキ〜ック!」

ドガッと音がして、どてっと大きな音がする。大男は私の髪を離して背中を見せる。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。許してください許してください許してください。

「おい、おまえは一体何のつもりだ?」
「何って、こんな小さな子供を苛めるなんていい大人のすることじゃないでしょ!」

おばさんが大男に食って掛かる。助、かった・・・。

「このクソガキは俺だけじゃなく、お前も殺そうとしたんだぞ?」
「だからって、謝ってる子供を殺そうとするなんて駄目よ!」
「うだうだうだうだうるせえなぁ、お前はどっちの味方なんだよ!」

おばさんが男に掴みあげられる。どちらも表情は変わらない。
すると、パシンと何かを叩く音が鳴ったのですわ・・・。

「女性に暴力を奮うなんて最低の男ね。何様よあなたは!」
「この野郎・・・」
「私は野郎じゃなくて女です。春日部市の主婦、野原みさえなんだから!」

おばさん、・・・みさえさんがぴしゃりと言い切った後、再び沈黙が走る。
ほんの少しの後、大男はみさえさんから目をそらし、何か言葉を漏らしながらみさえさんを下ろす。

「・・・ちっ、好きにしやがれ。」

みさえさんが地面に下ろされる。
助かった・・・。許してくれたの?にーにー、にーにー・・・
不意に安心した私は、急に目の前が暗くなっていったのですわ・・・。

12 :復讐の道を行く男、愛に生きる女7/8 ◆qwglOGQwIk :2006/12/10(日) 20:33:54 ID:odmSMrZA
あの女、野原みさえは俺の苦手な目をしていた。
女がふい見せる弱くも力強い意思を持った瞳、俺はああいうのと戦うのは嫌いだ。
そのせいか、これ以上面倒なことになるのは嫌だったから仕方なくクソガキを開放してやることにした。
クソガキを見ると気絶しているらしく、グリフィスの情報について知れないのは痛いが、それよりもこの場に居るのが嫌だった。
俺はみさえからスモールライトを再び取り上げると、あの時に小さくなっていた俺の支給品を元のサイズに戻した。
そしてクソガキの持っていた袋を回収し、中身をあさり始める。
袋の中からは水や食料の他、薬が出てくる。説明書によるとどうやら傷薬らしい。
早速、俺は傷薬を使ってあのクソガキに散々甚振られた傷を治療することにした。





私はあの大男から解放されると、あの女の子の様子を見に行った。
私は女の子の胸に耳を当て、心臓の音を確認する。よかった・・・気絶しているだけね。
でも、これはちょっと酷いわね・・・。
目の前の女の子の右足は痛々しく血が流れ、ぐしゃぐしゃに潰されている。
その顔には涙がボロボロに流れた後が見えた。本当に酷いわね。本気で殺されかけた私が言うのもなんだけど・・・
しんのすけがたまにつけてくる擦り傷のような怪我ならともかく、これは私には手に負えない代物だった。
さすがにどうしようもないので大男のほうをちらっと見ると・・・
ってえーーー、何か塗ってるうー!

「ちょっとあなた、何やってるのよ!」
「何って傷の治療だ。見りゃ分かるだろ」
「えっ、傷薬ですって。どうしてあなたが傷薬なんて持ってるのよ!」
「あのクソガキの荷物の中でたまたま発見しただけだ。文句あんのか?」
「あるわよ!女の子に大怪我をさせておいてそのまま、本当に自分勝手な男ね!」
「うるせえなぁ・・・」

大男はイライラした表情で私の問答に答える。
ふいに大男はぷいと目を逸らし、私に向かって傷薬の残りを投げつけてきた。

「そいつはくれてやる、だからもう二度と俺に関わるんじゃねえ」

そういって男はディパックを抱えると、私達のことなどどうでもいいように歩き出す。
はっ、いま気がついたけどあの男ディパックだけじゃなくスモールライトまで持っていってるじゃない。

「ちょっとちょっと、スモールライト返しなさいよー」
「うるせえなぁ、傷薬をくれてやったくせに贅沢言うんじゃねえ」
「え?いやそんな話じゃ・・・」

大男は振り返ると私をギロリ睨み付け、イライラした声で言い捨てた。
私は少しばかりその表情に恐怖して後ずさりをする。ワイルドとかじゃなくて、やっぱり顔怖いわね・・・。
私がうろたえている間にも男は、どこ吹く風かもう川下のほうへ歩き出してしまった。
私が男を再び呼びかけるも、今度こそ本当に私のことを無視をして歩き出した。
もう何よ。あの大男ったら本当に自分勝手で、しかも名乗りもしないなんて・・・

13 :復讐の道を行く男、愛に生きる女8/8 ◆qwglOGQwIk :2006/12/10(日) 20:35:05 ID:odmSMrZA
ちっ・・・、ついてないぜ。あの女は本当にやりにくい・・・。
これだけの大怪我を追いながら、俺が手に入れたのは鈍器とこのスモールライトと呼ばれる道具だけ。
スモールライトは戦闘では有用であるものの、やはり剣が手に入らなかったのは痛い。
スモールライトのような変な道具があるようじゃあ、油断してたら何があるか分かったもんじゃねえな
俺は気を引き締め、鈍器を肩に抱える。そのうち傷薬が効いてきたのか少しだけ体が楽になってきた。


そういえば、刻印がうずかねえなぁ・・・



【A-7の山中・川のほとり 1日目 黎明】

【野原みさえ@クレヨンしんちゃん】
[状態]:体が痛い、精神的ストレス(ヒステリーに転化される)
[装備]:なし
[道具]:エルルゥの傷薬(使いかけ)@うたわれるもの
[思考]
第一行動方針:気絶している女の子の介抱
第二行動方針:家族の安否確認、できれば合流したい
基本行動方針:ひろしやしんのすけも心配だが、一人残されているであろうひまわりが心配……(⇒もとの世界に帰る)

【北条沙都子@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:右足粉砕(傷薬でも殆ど直らないレベル)、打ち身。気絶
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
第一行動方針:不明
第二行動方針:生き残ってにーにーに会う


【ガッツ@ベルセルク】
[状態]:全身打撲、大ダメージだが一応治療済み。苛立ち
[装備]:悟史のバット@ひぐらしのなく頃に、ボロボロになった黒い鎧
[道具]:
スモールライト@ドラえもん(電池大消耗、残り1〜2回分)、支給品一式、ディパック3人分
スペツナズナイフ*5、銃火器の予備弾セット(各200発ずつ)
[思考]
第一行動方針:この場を離れる
第ニ行動方針:キャスカを保護する
第三行動方針:俺の邪魔する奴はぶっ殺す
基本行動方針:グリフィス、及び剣の捜索
最終行動方針:グリフィスを探し出して殺す

※ガッツの時間軸はアニメ一話直前、キャスカは幼児退行している状態だと思っています。
※ガッツはスモールライトの使い方を理解しました。また未知の支給品への警戒感が生まれました。



※レイジングハート(1/10サイズ) は沙都子に薙ぎ払われた際、みさえが現場のどこかに落としました。

14 :RESSRRECTION LOUISE〜即席のスリーアロー〜 ◆hqsGYwUFfw :2006/12/10(日) 21:30:29 ID:SrUaQ3mT
衛宮士郎はゆっくりと街を彷徨っていた。
そしてあの部屋で青年の男性と小学生の女の子を殺した男に対して強い怒り。
黙ってみているしか出来なかった自分に強い憤りを感じていた。
「くそっ。・・・まただ。また見てるだけしか」
士郎は悔しかった。誰一人犠牲にしない。その理想が自分の眼前に破壊されたのだ。許せなかった。
「・・・はっ。そうだ。名簿だ。道具も。くそっ。どうして俺は冷静に行動できないんだっ」
士郎はまたしても自分のミスに気づき歯がゆくなる。
もうゲームが開始にて数時間がたつ。
それなのにただギガゾンビに対する強い殺意だけで闇雲に歩き回り何も行動をしていなかった。
遠坂がもし近くに居ればぶちきれて怒り狂うだろう。また殺人鬼が襲ってくれば恐らくは既に退場者になっていただろう。

『あんた。何感情で先走ってるのよ。もっと冷静に物事を見なさいっ!』
今にもそんな遠坂の叱咤が飛んできそうな気がした。

士郎は地面に腰を落としてゆっくりと名簿の確認を行う。
「とりあえずは名簿だな。えっと知り合いは・・・なっ」
士郎は名簿を見て驚愕に顔をする。
遠坂凛の名前は分かる。セイバーもだ。だがバーサーカーにやられたはずのアーチャーとマスター不明の佐々木小次郎の名前まであったのだ。
「そんな・・・あいつ生きてたのか。でもそれならどうして?」
士郎は激しく疑問に思った。あの時を境に姿を消したアーチャー。その名前がどうしてある。
佐々木小次郎はマスター不在なのを考えれば同姓同名の別人も考えられる。もしくは次のロックが不明だったマスターの可能性もある。
だがアーチャーは・・・士郎には理解できなかった。
「・・・とにかく会うしかない。アーチャーに。もちろんセイバーと遠坂もだ」
士郎は結局その結論に行き着いた。アーチャーの正体は見ない限りは分からないからだ。
「・・・他には・・・えっ!?」
士郎はロックの少し下にある名前に驚く。ヘンゼル、グレーテル。
自分も子供の頃に読んだ記憶がある童話だ。普通は誤植か何かと思うだろう。
だがあの部屋には明らかに人間じゃない者もいた気がする。童話の登場人物が出て来ている可能性もある。
「一応・・・探そう」
士郎は少し気になったのでその二人にも少しだけ興味があった。
「他は・・・もう無いか」
士郎は他に知った名前が無いのを確認すると名簿をバッグに戻す。
桜や藤ねえやイリヤの名前が無いのは安心だった。戦闘力の無い彼女達では恐らく何も出来ずに殺されただろう。
そして新たに武器を探す。
「・・・なんでおもちゃのハンマーが?」
士郎はあきれる。綺麗にデコレーションされたハンマーがあったのだ。どう見てもおもちゃにしか見えない。
『グラーフアイゼン。魔法アイテムです。魔力を送り込めば強力な武器になります』
備え付けの説明書で確認をするがやはりおもちゃとしか思えない。それに仮にこれが本物だとしてもだ。
魔力の放出が出来ない。魔術師として欠陥品の士郎にとってはやはりただのおもちゃのハンマー以外の使い道は無い。
「他には・・・ドライヤー?」
『瞬間乾燥ドライヤー。汚れた服もおねしょ布団も海に落ちてびしょぬれの服も一瞬で乾燥。染み抜き機能のオマケ付きっ!」
「・・・・・・・」
さすがの士郎もこの説明書きにはあきれる他は無かった。
この状況下で染み抜き機能があるドライヤーが何の役に立つ。おねしょ布団って別に赤ちゃんは居ない。
汗をかいて気持ち悪いのが直るがそれだけ。まあ日常生活でなら色々と便利だろう。
しかし正直言って現状の士郎には何の役にも立たない。
「やっぱり・・・自分で作るしかないのか」
士郎は手に全神経を集中した。そしてイメージした。この状況で役立つ武器を。
「はあっ・・・」
士郎は少し大きな声を出して集中力を高めそして投影した。・・・アーチャーが愛用していた剣を。一本のみだが。
「どうして・・・うっ」
士郎は膝を付いた。そして少し息も上がっている。疲労も前より少しだが上がっている。
「そんな・・・ばかな!?」
士郎は疑問でいっぱいだった。最初にアーチャーがいるのも。
唯一の魔術師としての特技、投影もそのアーチャーの剣二本をイメージしたのが一本のみで疲労に襲われている。
「くそっ。どうして」
士郎は悔しさで地面を一度殴る。そして二度目の時だった。
「無駄に体を痛めつける。サバイバルでは決してしないことだな」
一つの低い女性の声が士郎の耳に響いた。


15 :RESSRRECTION LOUISE〜即席のスリーアロー〜 ◆hqsGYwUFfw :2006/12/10(日) 21:31:25 ID:SrUaQ3mT
士郎はその女性を見て焦る。
「えっ!?」
そんな間の抜けた声しか出なかった。
剣は手元にある。だがドライヤーとグラーフアイゼンも一緒に散らかしている。
これでは相手に銃を所持してないのが丸分かりだ。しかも腰を地面に落ち着けた状態だ。すばやい反応が出来ない。
相手に殺意があれば攻撃対象としてうってつけの状態だ。
まただ。どうして俺はっ。
士郎は気づいた限りでも二度目のミスに自分自身が憎くなった。

だがその女性は士郎に攻撃を加えなかった。
それどころか士郎に近づいていった。
「へえ。武器はその剣一つだけ。それでどうする?戦う」
女性は周りに散らかった物を視認して、そして士郎を少し見下したような目で見つめる。
私がやる気ならすでにあなたは死んでいる。
そんな風に士郎には聞こえた。

士郎の考えは決まっていた。
「俺は戦う気は無い。一人でも多くの人の命を助けたいだけだ。だから自らは絶対に殺したりはしない」
士郎は剣を持たずに立ち上がる。
「そう。武器はそれだけなの」
「ああ。この剣とそこの魔法のハンマーと衣服を瞬時に乾かしてくれるドライヤーだけだ」
女性の問いに士郎は正直に答える。
厳密には剣は支給品の武器とは違うのだがそれを説明すると長くなるのでここは士郎はあえて言わなかった。
「・・・瞬間で乾かすドライヤー!?良いわね。借りるわよ」
女性は有無を言わさず背負っている物をおろすとドライヤーとかばんの中の濡れた服を取り出した。
奇跡が起きた。ドラえもん道具では大外れに入るドライヤーが早くも大いに役立ったのだ。
「えっ。ちょっとこれは」
だが士郎はそんな奇跡には当然気付かない。それよりも目の前に転がる少女に士郎は驚く。
今まで気づかなかった士郎も驚き物だが目の前の女性は軽々と一人の少女を抱えて歩いていたのだ。
「あのっ。この子は?」
士郎は疑問に思い質問をする。
「さっき拾った」
女性は黙々と濡れているスカートとショーツを広げながらあまりに簡潔に話す。
「ちょっとそれじゃ・・・そういえば名前も聞いてなかった。俺は衛宮士郎だけどあなたは」
士郎は不満の声を言いかけ、そういえば名前を聞いていなかったことを思い出し名前もついでに聞くことにした。
「ここでの名前は草薙素子。・・・でも助かったわ。その子の着替えダブダブだし」
素子は簡潔に自己紹介を済ませ、文字通り瞬時に乾いた服を再度気絶している少女に着替えさせようとした。
ダブダブの服では目が覚めた後に動きづらいだろうしショーツが無いと大騒ぎを起こす可能性がある。
無意味なことで時間を使うのはこの状況下では避けたかった。
「あのっ。その子の名前は?それにどうして気を失ってるんです。指に巻いてるハンカチは?」
士郎は二人の状況が良く分からなかった。素子のことも色々謎が多すぎた。
士郎は全て知っておきたいと思った。
「分かったわ。・・・この服着せたら・・・すぐにでも教えてあげる」
素子は悪戦苦闘しながら服を着せ替えていた。
「あっ。すいません」
士郎はさすがにそれを手伝うわけにもいかないので黙って後ろを向いて着替えを待った。
その際一瞬だが少女の素肌が見えた気がしたが士郎は全力で忘れようとした。


16 :RESSRRECTION LOUISE〜即席のスリーアロー〜 ◆hqsGYwUFfw :2006/12/10(日) 21:33:24 ID:SrUaQ3mT
そして数分後。
きれいに乾いた元の服に戻った少女はまだ意識を閉ざしている。
その横で素子は士郎に先ほどした事をある程度オブラートに包んで説明した。

「ふざけるなよっ。無闇に女の子を怯えさせるなんて。それに爪が剥がれてたっけ。やりすぎだろ。怖いことがあったんだから錯乱だってっ」
それはオブラートに包んだ内容でも士郎を激怒させるには十分に足る物だった。
「そう。・・・まあ確かにやりすぎだったな。でも襲ってくる敵を容赦は出来ない。殺さなかっただけでもマシだな」
素子は士郎の激怒を軽く冷静な口調で受け流す。
「くっ・・・」
最初に反省を言われた手前、士郎は更なる言及を押しとどまるを得なかった。
正直言って少女を襲う。そのようなこと。士郎には許せることではなかった。
イリヤに襲われたことはあるが。それでも自分は人を信じたかった。

「うっ。ううう」
そこで少女がふと目を覚ましそうになった。

「目が覚めたのか」
素子は少女に近寄ろうとした。だがそれは士郎が許さない。
「俺が話す。素子は後ろに下がって」
恐怖心を植えつけられた素子より自分の方が安心だろう。
士郎はそう思い少女の元で腰を下ろす。
素子もここは士郎に任せ自分は少しだけ後方で待機を決めた。


少女は夢を見ていた。
夢の中では制服姿の女性朝倉涼子が少女に襲い掛かろうとしていた。
「いやあ。サイト助けてー」
夢の中で少女は叫ぶ。それと同時にサイトは現れた。
「ルイズ大丈夫か。怖がらせてごめんな。でも俺が居るから大丈夫だ」
サイトはルイズと朝倉涼子の間に入り襲い掛かる敵に剣を一振りした。
すると朝倉涼子はどこにもいない。存在が消えていたのだ。
「・・・サイトぉ。やったのぉ?」
ルイズは震えた声で聞く。
「ああ。ルイズ。無事でよかったよ」
サイトはルイズの無事に安堵すると強く強く抱きしめた。
「サイト。私・・・」
そして少しずつ少女は現実へと覚醒していった。

17 :RESSRRECTION LOUISE〜即席のスリーアロー〜 ◆hqsGYwUFfw :2006/12/10(日) 21:34:50 ID:SrUaQ3mT
「うっ・・・ここは」
「おはよう」
目覚めたルイズに士郎は出来る限り優しい表情と声で話しかける。
「う、サイト・・・夢?・・・・・・はっ・・・きゃっ!」
頭が覚醒した少女は目の前の見知らぬ男の顔面に右ストレートを繰り出した。
「ぐっ」
不意の出来事に士郎はクリーンヒットを許してしまう。幸いにも非力な少女のパンチ。
士郎は鼻頭が赤く染まっているがそれほどの重傷ではなかった。
「ふっ」
後ろで素子はその光景をただ見つめている。

「ちょっとここは?・・・サイトは・・・」
少女があたりを精一杯見渡しても少女が求める男、平賀才人はここにはいない。
少女は目いっぱいに涙を浮かべた。
怖い。才人がいない。怖い目にあった。何も出来なかった。貴族の少女には辛すぎた。
「サイト、サイト、サイト・・・サイトっぉぉぉーー!」
少女はただサイトの名前を呼び涙を流し続けた。
「・・・落ち着いて」
士郎は泣き続ける少女にちょっと焦る。だが優しい声は忘れないようにした。とにかく刺激しないように努めた。
ほんの少し背中をさすってあげようとしたが
「いやっ。サイト以外触らないで・・・うっ」
完全に少女は拒絶した。
士郎には言葉をかけ続ける以外の術はなかった。

数十分が経過した。
素子はほんのわずかにイライラしたが少女を襲い爪を剥いだ人間の名前は知りたい。
わざわざ殺さずに爪だけ剥いだのだ。かなりの凶悪人物である。放置は危険だ。そのために我慢強く待っていた。
士郎はとにかく少女が泣き止むのを待った。ただ優しい言葉だけをかけ続けて。
最初は『サイト』のことばかり口にして泣いたのもほんの少しだけだが落ち着いている気がした。

18 :RESSRRECTION LOUISE〜即席のスリーアロー〜 ◆hqsGYwUFfw :2006/12/10(日) 21:35:49 ID:SrUaQ3mT
さらに数分。
「うっ・・・う」
少女の泣き声も少しだが収まった。
「大丈夫か。ところで君の名前は?」
「・・・ルイズ・・・ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」
ルイズは途中で小声のボソボソしゃべりになりながらも自分のフルネームを言った。
「えっ。ルイズフランソワルブラ・・・」
士郎は長すぎるフルネームに少し混乱した。
「・・・・・・・・・ルイズで良いわ」
ルイズは士郎にルイズと呼ぶことを了承した。その声は先ほどよりさらにはっきりした口調で聞こえた。
「そうか。えっとルイズ。どうして爪を」
士郎は聞きづらく小さな声でゆっくり話す。
「・・・」
ルイズはその問いのは押し黙ってしまう。
「あっ。やっぱり良いよ。辛いだろ。別に」
士郎はルイズを気遣いすぐに止めた。だが
「・・・・・・何だか腹が立ってきたわ。私は貴族なのよ。それなのにこんなこと・・・」
「・・・もう良いわ。教えてあげる。あの女・・・」
ルイズは長期間の気絶と号泣で逆にすっきりしたのかざっくばらんなぐらいはっきりとした口調で自分を最初に襲った女のことを口にした。
その説明には改めて思い出して自分のふがいなさ、相手への怒りも相まってドンドンハイテンションになっていった。
若干の脚色もあったかもしれない。だが記憶にある限りの全てを伝えた。
名前は名乗らなかったが涼宮なんとか、なんとかみくる、鶴屋さん、キョン、長門の五人は殺すなといったことも。
「そう。じゃあ恐らく襲った相手はその五人の知り合い。朝倉涼子・・・もしくはドラえもん。どちらかで間違いないわ」
じっと聞いていた素子が名簿と照らし合わせて確認した。
女でのび太や剛は考えにくい。その次の女と思わしき名前は性別が不明の11番の先生か14番の由託かなみ。それは遠すぎる。
既に絞り込んだ二人のどちらか。ルイズの話の限りではかなりの危険人物だ。見つけ次第射殺の覚悟も必要だった。
「・・・そう。やるじゃない」
素子が前に出るとさすがに少し怖いのかさりげなく士郎の背後に隠れる。
しかし隠れながらも上から目線の言葉だけは決して変えなかった。
素子はそんなルイズの姿などおくびにも気に留めずさっさともう一つの支給品を手に取った。そしてルイズに投げる。
「ただのおもちゃよ。遊んでなさい」
そういってグラーフアイゼンをルイズに投げる。
ルイズは前のトラウマか咄嗟に士郎の背中に隠れる。そのため士郎が受け取る形になる。
「・・・えっと。ルイズ。これ魔力を流せば武器になるみたいだぜ。一応使うか?」
士郎はルイズにそっとグラーフアイゼンを差し出す。
「魔力っ!?」
ルイズは士郎の声に聞くが早いかグラーフアイゼンを取る。
そして自分の魔力を少し流す。
するとドイツ語で(以後は『』内はグラーフアイゼンの声を和訳したものです)
『あなたがマスター?』
「・・・ええ。このルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールがマスターよ」
ルイズは自信満々にグラーフアイゼンに我がお前の主だと伝える。
『オーケー。では魔力の更なる供給を』
グラーフアイゼンはさらに魔力を求める。
「分かったわよ。良い。ちゃんと受け止めなさい」
ルイズはさらに魔力を送り込んだ。すると一瞬ルイズは激しく心臓が揺さぶられるような錯覚を感じた。
そして莫大な光の渦がちょうどグラーフアイゼンを向けた方向にある一つの民家を吹き飛ばしてしまう。
すさまじい威力だった。だがそこでグラーフアイゼンは沈黙してしまう。
ルイズの息も大きく上がっている。
「はあ・・・はあ。何これ?ちょっと魔力流しただけで吸い込まれるよう・・・それにこの威力って・・・このばかっ!」
ルイズは沈黙してしまったグラーフアイゼンに思わず八つ当たりをしてしまう。
「・・・ふん。まあいいわ。今はちょっと気を抜いただけよ。敵が来たら絶対、ぜったい、ぜえぇぇっったい使いこなしてやるんだから」
ルイズは得意の強がりも見せた。あの時の覚えた表情が嘘のようだった。

19 :RESSRRECTION LOUISE〜即席のスリーアロー〜 ◆hqsGYwUFfw :2006/12/10(日) 21:37:26 ID:SrUaQ3mT
「魔法・・・本当にあるのか!?」
素子はさすがに驚いた。そしてすさまじい威力には脅威も僅かながらに感じていた。
「まだまだ調べる必要があるな」


「それでルイズ?サイトって誰?もう完全に落ち着いたようだし。教えなさい」
素子はルイズが完全に本調子なのを確認し、ずっと気になっていたルイズが何度も口にした
『サイト』の名前を質問した。
「えっ。それは・・・使い魔よ。私の使い魔。飼い犬といっても・・・良いわっ!」
突然の問いかけにルイズは顔が赤くなった。だが必死で『使い魔』と主張した。
「それだけ?」
素子がなおも食い下がるとルイズの顔が余計真っ赤になる。
「もう終わりですよ。詮索しすぎだ」
ルイズの顔が赤くなったのを見て士郎が割ってはいる。
「・・・はいはい。じゃあ他に知ってる人は居る?」
士郎が割って入ったのでサイトの詮索をやめ別の質問でルイズに名簿を突きつけた。
「なっ。ってええっ」
ルイズはいきなり目の前に名簿を出されて驚いた。
そして平賀才人と自分の下にあるもう一つの知っている名前タバサを見つける。
「タッタバサなら知ってるわよ。本好きのちょっと暗い子よ。どうせ図書館で本でも読んでるでしょ」
タバサのことを軽く伝える。そして他の者は知らないことも一緒に伝えた。

「そう。・・・じゃあいくぞ。時期に日が昇る。電車に乗って街だ」

ルイズが完全復活したのを見届けると士郎とルイズをつれて素子は駅へと向かった。

20 :RESSRRECTION LOUISE〜即席のスリーアロー〜 ◆hqsGYwUFfw :2006/12/10(日) 21:38:14 ID:SrUaQ3mT
【F-2のF-1のほぼ境目に近い位置の街・1日目 黎明】
【草薙素子@攻殻機動隊S.A.C】
[状態]:機能良好。ルイズが精神的に安定して安心。士郎も一応は敵では無さそうだ。
[装備]:ベレッタ90-Two(弾数17/17)
[道具]: 荷物一式×3、ルールブレイカー@Fate/stay night、トウカの日本刀@うたわれるもの
     水鉄砲@ひぐらしのなく頃に、もぐらてぶくろ@ドラえもん、
     バニーガールスーツ(素子には似合う?)@涼宮ハルヒの憂鬱
     獅堂光の剣@魔法騎士レイアース、瞬間乾燥ドライヤー(電池を僅かに消耗)@ドラえもん
[思考]:
1、バトー、トグサ、タチコマを探す
2、ルイズと士郎と駅に向かう。
3、首輪を外すための道具や役立ちそうな人物を探したい
4、ギガゾンビの情報を知っていると思われる、のび太、狸型の青い擬体、少年達、中年の男を探す
5、ルイズの爪を剥いだ人間を放置するわけには行かない。見つけ次第射殺も辞さない。
6、平賀才人とタバサもついでに探してやる。
7、ギガゾンビの”制圧”
[備考]:参加者全員の容姿と服装を覚えています。ある程度の首輪の機能と構造を理解しました。
    草薙素子の光学迷彩は専用のエネルギーを大きく消費するため、余り多用できません。
    電脳化と全身擬体のため獅堂光の剣を持っても炎上しません。



【ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール@ゼロの使い魔】
[状態]:激しい疲労。左手中指の爪が剥がれている。しかし痛みはほとんど引いた。
     精神が安定も若干ハイテンション気味。理不尽な出来事に激しい怒りがある。
     ショーツとスカートが一度汚れたことに気づいていない。
[装備]:グラーフアイゼン(本来はヴィータの武器。ルイズが魔力をほとんど使ったため(暴発に近い)数時間は使用不能)
[道具]:最初の貴族の服。(素子に着せられたために聞くずれしてたが自分で直した)
[思考・状況]
1、才人と1秒でも早く合流する。(現状は素子に同行。途中の敵は素子と士郎にお任せ)
2、才人に手伝ってもらって朝倉涼子かドラえもんに5倍返しの報復。(1も3もまだの場合は同行者二人に隠れる)
3、魔力の回復を待ってグラーフアイゼンを使いこなす。
4、タバサとも一応会いたい。
5、1と2と出来れば4も完了次第もとの世界に帰る。(3と4はそれほど思っていない)
6、5の際に時間があれば主催のバカ男に願いを叶えさせて胸を大きくさせる。
7、6の際に余裕があれば才人と協力して素子に先ほどの仕返し。
8、7をやってもさらに余裕があれば主催のバカ男を自国に連れ帰って貴族の名の元に極刑(6が成功の場合恩赦有り)を与える。

【衛宮士郎@Fate/stay nigh】
[状態]:健康。ルイズのパンチが非力だったために少しだけ鼻頭が赤いが問題無い。
[装備]:自らが投影した剣。(型はアーチャーの剣干将・莫耶。宝具の力は無いが強度は結構ある。士郎は剣の名前は知らない)
[道具]:着の身着のまま(支給品は素子が預かっている)
[思考・状況]
1、セイバーと凛と合流。(とりあえず素子に同行)
2、アーチャーが居る理由と正体を確かめる。
3、ルイズを才人に合わせる。
4、出来る限り一人も傷つけずにゲームを終結させる。
5、佐々木小次郎の正体も確認したい(ロックがマスター?)
6、ヘンゼルとグレーテルに少しだけ興味(童話の兄妹?)


衛宮士郎はバーサーカー戦が終了してキャスターと戦うまでの間の状態で呼び出されました。
素子はルイズのドタバタで士郎に名簿の確認を取るのを忘れています。
ルイズの使用したグラーフアイゼンによる民家一軒崩壊で四方一マスにはその音が聞こえたと思われます。
ルイズはグラーフアイゼンを現時点では暴発ぐらいでしか殺傷力のある魔法は出せません。
そのため本来の接近戦での細かい操作は現状ではかなり難しいです。


タイトルの意味はフランス語で復活のルイズです。

21 :復讐の道を行く男、愛に生きる女8/8 ◆qwglOGQwIk :2006/12/10(日) 21:45:46 ID:odmSMrZA
>>13
状態欄最後の部分を修正。

誤 ※レイジングハート(1/10サイズ) は沙都子に薙ぎ払われた際、みさえが現場のどこかに落としました。

正 ※バルディッシュ(1/10サイズ) は沙都子に薙ぎ払われた際、みさえが現場のどこかに落としました。


22 :決意の言葉 1/4 ◆wlyXYPQOyA :2006/12/11(月) 00:01:26 ID:GYhBUekN
音無小夜がこの世界の大地に降り立って数十分が経つ。
その間で彼女は驚きや混乱をなんとか抑えつけた。

「……よし」
まずは灯りを点して地図を確認する。H-7と区分されている場所にいるらしい。
次に名簿を確認すると、見知った人物がたった一人しかいなかった事に驚く事になった。
ソロモン・ゴールドスミス。ハジ曰く、「本能すら超えて、小夜の本当のシュヴァリエとなった」男。
彼が何故こんな場所にいるのかが判らない。だが受け入れるしかないようだ。もう一度冷静になって名簿を見る。
何度も確認しても、名簿にあるのはソロモンと自分の名前のみ。あのハジやカイの名前は載っていなかった。
彼らがいない事に少しばかり心細さを覚えつつも、この殺し合いの中に参加させられていない事に安堵する。
それにここにはディーヴァもいない。彼女がいないだけでも更に余計な心配は減る。

だが、つまり。
今の自分は孤独である事とほぼ同義である。

自分を知るのはただ一人、ソロモン・ゴールドスミス。
彼がどう動くか、それが少し気がかりではある。
「小夜の為に」と人を殺すか、「小夜が悲しむ」と殺しをしないか。
いくらでもイレギュラーが生み出されるこの状況では推測の域を出ないが
恐らくはこの単純な二択であろう。ソロモンはそういう男だ、きっと。
ならば、と小夜は思考する。自分はどうする? 自分はどう動くべきだ?
勿論、他の罪も無い参加者を殺す事はしたくない。
だがこの状況では自らの血を赤に染める人間も少なくは無いはずだ。
それを放っておけば、この世界には血の臭いが蔓延してしまう。

そこまで考えて小夜の答えは決まった。
この世界で人を殺そうとする者達を、自分の手で排除する。
自分がやらなければならない。あの時と同じように、被害者を減らす為に戦わなくてはいけない。
そうと決まれば、とデイバッグを開く。中に武器が入っていれば万々歳だ。
中に手を入れて遠慮なく引っ張り出すと、出てきたのは散弾銃だった。驚きつつ説明書を見る。

ウィンチェスターM1897
正式名称は「Winchester Model 1897」
アメリカのウィンチェスター(Winchester)社が開発したポンプアクション式散弾銃。
3発以上の装弾数を持つ散弾銃の元祖といわれ、民間はもちろんのこと軍隊や警察などでも使用された。
全長は985mmで重量は3.3kg、口径は12ゲージ。装弾数は5発である。

恐らく随分と強力な物を引いたのだろう、という事は理解出来た。
他にも何かあるだろうか、と再び手を突っ込む。出てきたのは、この散弾銃の予備弾だった。
ケースに入っているそれは視覚的にもずっしりとしている。説明書曰く入っているのは30発分らしい。
ランダムに渡されたとされる物品はこれで終了。武器が散弾銃一つとは言えど、これは大きなステータスだ。
しかしここで、小夜が散弾銃を使った事が無いという致命的な問題点が残る。
一体どうすればいいのだろうか。

「……撲って使おうか」

溜息が漏れた。

23 :決意の言葉 2/4 ◆wlyXYPQOyA :2006/12/11(月) 00:03:10 ID:GYhBUekN


一方こちらは真紅。あれから彼女は東へと進んでいた。
その途中に遠目で見た観覧車の破壊には驚いたが、
まずは移動が先決だとばかりに孤独に遊園地の中を進んでいく。
全てはジュンや他の姉妹達を捜す為にだ。
だが突然彼女は立ち止まった。そのまま何をするかと思えば、デイバッグに目をやる。
「……武器が入ってるかどうかを見ていなかったわね」
そう、彼女はまだ支給品の全てを確認してはいなかった。
辺りを確認し、隠れられる場所を全て探す。近くにベンチがあったようだ。
警戒しつつベンチの下に隠れて息を殺し、誰もいない事を確認すると袋を開いて手を突っ込んだ。

「まぁ……なんと言う事……」
まず中に入っていたのは犬のぬいぐるみ。そう、まさしく真紅達が愛してやまない
子供向け人形劇番組「くんくん探偵」の主人公、くんくんの人形だったのだ。
「ああ、くんくん……あなたまでこんな所に連れて来られたのね……可哀想にっ」
そのぬいぐるみがくんくん本人(本犬?)だと言わんばかりに話しかける真紅。
話しかけている本人は至って真面目であり、更にはマジ泣き一歩手前だ。
微笑ましいどころの話ではない。もう一度言う、本人は至って真面目なのだ。
「……いえ、でも心配しないでくんくん。あなたは私が守るわ!
 だから今はこの袋の中に隠れていて。そして私を見守って頂戴……」
だが持ち直した。真紅は使命感によって更に燃え上がったのである。
涙など見せない。ジュンの為に、姉妹の為に、くんくんの為に!
私は気高きローゼンメイデンの第五ドールよ。何か文句があって!?
そう言わんばかりに更に袋を弄る。そして何か金属のようなものを掴んだようだ。
全貌を明らかにする為にそのまま勢い良く引っ張り出した。
出てきたのは――

「Zieh!」

明らかに真紅のサイズには合わない装飾された剣。理解を超えている。
しかもそれが出てきた瞬間、今度は流暢というより最早ドイツの住人みたいな発音のドイツ語が聞こえたのだ。
叫んでいるのはこの剣らしい。自分達、薔薇乙女の様に喋る事が出来る剣があるとは。
説明書を読むと、剣がレヴァンティンという名前を持っているという事、
そして更には魔力を込めると力を発揮出来る、といった事まで書かれていた。
魔力での行使……自分には可能だろうか? 一応花弁を具現化させる等の力は持っている。
これをお父様が魔力と呼んだかは知らないが、万一の事もある。一度安全な場所で確認するべきかもしれない。
――しかしそれはともかくとして、いきなりの声が『抜け!』という叫びだったのはどういう事だろうか。折角隠れていたのに。
「騒がしいわ、静かになさい」
「Mir tut es leid!(申し訳ありません!)」
「私の言葉が通じないの? 判ったわ。Halten Sie den Mund!(口を閉じなさい!)」
「Sie reden vielleicht in Japanisch!(日本語で構いません!)」
「あなた……私を馬鹿にしているの……?」
「Nein!(いいえ!)」
「そう……」
成程。本人(本剣?)は至って真面目であり、
この叫びは癖なのだろう。それは理解出来たのだが。

溜息が漏れた。


24 :決意の言葉 3/4 ◆wlyXYPQOyA :2006/12/11(月) 00:06:18 ID:wr+P8ayK


「でも無いよりはマシ……」
小夜は予備弾を袋にしまい、ショットガンを構える。


「私はあなたを持ったまま歩いたりは出来ない。だからこの中にいて頂戴」
「Jawohl!(了解!)」
真紅は結局最後の最後まで叫んでいた剣を、柄を少し露出させた状態でしまう。


「この世界は、危険が常に隣り合わせだけど……」
小夜は静かに辺りを見渡す。


「レヴァンティン、よく聞こえないかもしれないけれど聞いて。
 私はここがどういう場所かは判らないけれど、大丈夫よ」
真紅は窮屈なベンチの影から再び外に出る。


「最初から諦めちゃいけない」
小夜は前を見据える。


「そう、私は美しく咲き誇る薔薇乙女」
真紅は再び歩き出す。


「罪の無い人達を殺戮から守りたい」
小夜は歩き出す。


「ここで倒れてしまっては、お父様にも姉妹達にも笑われてしまうもの」
真紅はしっかりと歩き続ける。


「だから、この殺し合いに乗った人たちを……倒す!」
更にしっかりと前を見据え。


「だから、皆を捜す。儀式とやらの計画を破綻させて、ここから脱出するのだわ」
思いを現実にする為に。


「私がやらなきゃいけないから……あの時の様に!」
決意を固める為に、言った。


「終わらせる方法は……きっと一つではないのだから」
「Ja!(はい!)」
返事を聞くと、今度はレヴァンティンを完全にバッグへとしまった。



この世界で、二人の望みは叶うのだろうか。

25 :決意の言葉 4/4 ◆wlyXYPQOyA :2006/12/11(月) 00:08:25 ID:wr+P8ayK


【H-7・1日目 深夜】

【音無小夜@BLOOD+】
[状態]:健康
[装備]:ウィンチェスターM1897
[道具]:支給品一式、ウィンチェスターM1897の予備弾(30発分)
[思考・状況]
1:どこかへ移動
基本:まずはPKK(殺人者の討伐)を行う


【F-4 遊園地内部・1日目 深夜】

【真紅@ローゼンメイデン】
[状態]:健康、人間不信気味
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、レヴァンティン@魔法少女リリカルなのはA's、くんくんの人形@ローゼンメイデン
[思考・状況]
1:遊園地内部を東に移動中
2:自分の能力が『魔力』に通ずるものがあるかを確かめたい
基本:ジュンや姉妹達を捜し、対策を練る

26 : ◆wlyXYPQOyA :2006/12/11(月) 00:17:27 ID:wr+P8ayK
「決意の言葉」の修正です。

>>22より。

×だがこの状況では自らの血を赤に染める人間も少なくは無いはずだ。



○だがこの状況では自身の手を真赤に染める人間も少なくは無いはずだ。


に変更します。下が変更後です。

27 :飛び込んで行け、夜へ ◆.9Q8uilou6 :2006/12/11(月) 00:35:06 ID:H91yIhsR
それは剣と言うにはあまりにも大きすぎた
大きくぶ厚く重く
そして大雑把すぎた
それはまさに鉄塊だった

「いったい誰がこんな剣使えるって言うのよ!」

デイバックを空けて出てきたのはどうやって中に入っていたのかも分からない巨大な剣だった。
私だって並みの男に負けない力を持っている自信がある。
でもこの剣は無理だ。
持ち上げるだけで精一杯でとてもじゃないが戦闘には使えそうも無い。
いったいどんな人間がこんな剣を振れるのか想像しようとして、一人の男の姿が思い浮かんだのであわててその姿を打ち消した。

あの男───ガッツが去ってから全てがおかしくなった。
グリフィスはガッツを追うように行方不明になり、鷹の団はミッドランドのお尋ね者になり逃亡生活。
だが───やっとグリフィスの居場所を掴んだ。
後は計画を練ってグリフィスを救い出せば全てが元通りになるはずだった。
こんな殺し合いに巻き込まれなければ。
「この剣は戦闘には使えそうも無いわね…何か他に武器は…これは?」
次に私は参加者の名前が書かれた紙を見つけた。

「ガッツ!?それにグリフィスも!?」

私は今までこの殺し合いに優勝して元の世界に戻りグリフィスを救出するつもりだった。
でもグリフィスはここにいる。
それに───ガッツも。
そして生き残れるのは一人。
私はどうしたらいい?
自分が生き残るためにグリフィスを殺す?
無理だ、そんなこと、力の面でも心の面でも出来るわけが無い。
私はグリフィスの剣。私の命はグリフィスの命の為にある。
じゃああのギガゾンビとやらを殺す?
それも無理だ。
私もグリフィスもガッツもただの剣士だ。
離れたところから魔法で相手の首を爆破する相手にかなうはずが無いし、そもそもここにいない相手を殺すことなど出来るはずもない。
なら私のすべき事は一つ。グリフィスのために他の参加者を殺して、最後に自害する。
でも私が全員を殺してる間にグリフィスが死んだら───
大丈夫。グリフィスは私よりも遥かに強い。
グリフィスを殺せる人間なんて───
『ガッツ』
私は名簿に書かれていたもう一人の知り合いの名前を思い出した。

28 :飛び込んで行け、夜へ ◆.9Q8uilou6 :2006/12/11(月) 00:36:16 ID:H91yIhsR

ガッツ、ガッツならグリフィスにも勝ってしまうかもしれない。
そして何より───グリフィスにガッツは殺せない。
グリフィスにとってはガッツは何にも変えがたい心の支えだ。
───多分、ガッツが鷹の団を捨てて去っていった今でさえ。
グリフィスにガッツは殺せない。
でもこの殺し合いで生き残れるのはただ一人。
なら、私が殺すしかない。
殺せないまでも、傷を負わせる事が出来れば他の参加者が殺してくれるかもしれない。
その為にも何か私にも使える武器は───
そう思いカバンに手を入れると、私の手が何かを掴んだ。

「これは───黄金の剣?」

今度の剣は先ほどの剣のように無茶苦茶なサイズではなく、私が今まで使っていた剣と同じくらいの大きさだった。
これなら、これならやれる。
決意は固めた。武器も手に入れた。後は───実行するだけだ。




【A-5・1日目 深夜】

【キャスカ@ベルセルク】
[状態]:健康
[装備]:エクスカリバー@Fate/stay night
[道具]:支給品一式、カルラの剣@うたわれるもの(持ち運べないので鞄に収納しました)
[思考・状況]
1:ガッツを殺す。
2:他の参加者(グリフィス以外)を殺して最後に自害する。

※1 キャスカはガッツが一度去って再開する直前、グリフィスが捕まってから一年後の状態で来ています。

29 :淵底に堕ちた鷹  ◆KZj7PmTWPo :2006/12/11(月) 01:10:52 ID:b1g1/6t9
 輝くがらくたを求めて石畳を駆け抜けた、嘗ての幼少時代。
 茜色の帳が下りる夕暮れの中、ただただ純粋に目指した至高の到達点。
 最初は何も持ってはいなかった。だが、最初から他人が羨むものを持っていた。それは才能と言い換えてもいい。

 始まりは光の差さぬ陳腐な路地裏で。底辺に位置する穴倉から、曖昧に輝く真なる王城を求めて。一歩一歩と確実に歩みを進めてきた。  
 一つずつ、丁寧に丁重に。積み木を重ねるが如く慎重にだ。
 積み上げる腕は震えることなく、万事滞りなく高みを目指していった。
 順調にゆるりと進行した自身の目的であったが、そんな折に一人の男が現れる。
 躓きがなく、面白みに掛ける遊戯であったが、彼との邂逅は愚鈍な遊びに転機をもたらした。
 
 男は自分以上に何も持ってはいなかった。他人に羨まれるものとて所持していなかった。
 ―――だが、自分に持っていないものを持っていた。
 我を通す奔放さに、揺ぎ無い反骨心。常に直進する屈強な精神。
 目が眩むほどの男の特性を、一目で看破した。 
 故に思う。
 ―――欲しいと。
 そして、事実手に入れた。
 当然だ。今まで欲したもので、手に収まらなかったものはないのだから。
 男を加えてからというもの、自分の遊びは終幕へ向けて加速した。
 減速などありえない。推進剤の役目を担う男を伴って、全ての事を抜かりなく進行していく。
 夕焼けに誓った壮大な理想を叶えるべく、一刻たりとも静止せずに突き進んだ。
 自身が望む、自身の『国』を保持するという理想へ向けて。
 漠然と霞んでいた望みは、男の加入もあって鮮明さを増した。
 ―――あと少し。あと少しだ。あと少しで、自分は満たされると。
 だが、再び転機をもたらしたのは、やはり例の男であった。転機とは名ばかりの、暗い深淵へ転がり込む転機は確かに自分を深く叩き落した。
 男が去ったのだ。今まで留まることを知らなかった心を叩き折り、自分を差し置いて抜きん出た。屈辱という感情を置き土産にだ。
 一生懸命溜め込んだ砂利が指の隙間から抜け落ちていく喪失感に、精神の枷が外れたように自暴自棄となった。
 大いなる目的の為に小さな些事を斬り捨てながら保っていた精神の安定が、堰を切ったかのように流れ出した。
 決して媚びずに省みない男の存在が、感情の安定を確かに留めると共に、自身の起爆剤とも成り得たのだろう。  


30 :淵底に堕ちた鷹  ◆KZj7PmTWPo :2006/12/11(月) 01:11:53 ID:b1g1/6t9
 ―――結果、自分は全てを失った。富も名誉も、他人が羨望する自身の特性も全てが全て。積み上げた積木は総じて崩れ落ちたのだ。
 これまで歩んできた人生が、愚かしいほどに無謀な計画だと自覚せざるを得なかった。
 つまらなかった。何もかもが。くだらなかった。自分を含めた有象無象の全てが。
 今更だった。男を失って、初めて後悔を自覚したことが既に後の祭りであることは。
 手中に収めたと思っていた筈が、何時の間にやら逆に掌握されていたという事実。
 崇高で神聖な目的を果たす巡礼の旅は、男と共にいることで陽炎の如く揺らめき、淡く色褪せていった。
 理想へ近づいていた筈が、どうしてこんなにも霞んでいくのだろうか。
 耐え難かった。一身を捧げて遥か遠い理想郷を目指していたのに、一人の男がそれを狂わせた。
 確かに距離を縮めていたのに、男といれば強迫観念とも言える使命さえ忘れることが出来た。
 ―――楽しかったのだ。時間すらも忘れて、初めて対等と思える他者と接したことは、何よりも尊かった。
 それが、耐え難かったのだ。
 長年追い求めてきた理想の果てが、男一人の手により夢の残滓に消えるのか。
 ―――駄目だ。容認できない。
 暗き路地裏から理想を見上げるだけに留めておけば、自分とてここまで苦しむことはなかった。
 だが、もう遅い。自分は取り返しの付かない地点まで駆け抜けて、―――既に、再起不能の身体を抱えてしまっているのだから。
 想像を絶する拷問を受け、身体機能は著しく退廃した。
 剣も鎧も担げぬ身体で、一体何を成し遂げようものか。何も出来はしないのだ。
 目が眩んで理想を求めた果てが、結局これかと。―――本当につまらない。

 そして、やはり来た。
 矮小で脆弱となった自身を救出すべく、それでも男は現れた。
 ―――男は自分を“救い”に来たのだ。地に沈んだ自身へ、高みから手を差し伸べたのだ。
 それが苦痛でもあり、それ以上に憎らしかった。
 確かに格下であったものが同等となり、仕舞いには憐憫の視線で見下ろされる始末。
 男だけには。ただ一人、彼だけには哀れみの視線を投げかけられることは我慢ならない。
 これでは自身の価値など、男の踏み台となるべく生を繋いだ哀れな生贄ではないか。
 助けられた己は、羨望の的であった己は、仲間であった者からも須らく見下されていた。
 仲間達にその気はなくとも、自分にはそう感じた。そうとしか感じられなかったのだ。
 それも当然か。なにしろ一人では何ひとつ成し遂げることも叶わぬ醜態な存在へと、無様にも成り果てたのだから。
 ―――恐ろしかった。意味も意義も無情に失われるということは、どうしよもない恐怖へと駆り立てた。
 全てを失くしたと、改めて身の境遇を自覚してしまうと心が凍てついた。
 突き刺さる同情の眼差しが、自分を絶望へと苛ませる。
 こんな惨めで情けない姿を晒されるぐらいなら、いっそ光の灯らぬ拷問部屋で息絶えた方が幾分か増しだったというものだ。
 自分を救出したと思い込む男達は、亀裂が入った精神の傷口に塩を塗りこむ行為と同義だということに気付きもしない。
 這いずるしか能のない蛆虫な自身に、価値ある生を求めること自体間違っているのだ。
 意味を失った命などに執着はなく、全ての柵を投げ捨てて川岸の畔で命を絶った。

31 :淵底に堕ちた鷹  ◆KZj7PmTWPo :2006/12/11(月) 01:14:55 ID:b1g1/6t9
 元より不鮮明だった視界が閉ざされ、安楽という死へと堕ちていく筈だった。
 だが、漆黒の闇の中で、確かに意識が存在する。
 混雑極まりない思考が、あろうことか幻聴までも響かせた。
 どんな声色か声質か、今では判別もできはしないが、それでも確かに聞き届けた。
 それは再び機会を与えるという言霊に他ならない。
 言葉を受けた意識が明確となり、水中に浮ぶかのような浮遊感の中で、彼は眼光を灯らせた。
 暗き闇の淵に立つ自分の視界上で、彼方に聳える黄金色の城が、手の届かぬ位置で眩しく輝いている。 
 眩んだ目を薄め、ふと背後を振り返った。
 ―――そこには、ざわざわと蠢く嘗て人であった醜悪な肉の塊。
 一面を敷き詰めたように何十何百、何千何万の見るも無残な屍が延々と脈打ちながら続いていた。
 怨嗟の雄叫びを奏で、凄惨の悲鳴を響かせる無数の眼球は、怖怖と自分を見詰めている。
 そんな亡者共が連なるように積み上がり、自身の理想へ向けて長々と広がっていた。
 さながら過去に駆け抜けた路地裏の石畳の如く、欲求に従うよう親切にも踏み場を用意してくれているような光景だ。
 無意識にも理解する。―――それは贄だと。
 己が遊戯と称して積み上げてきたものは、断じて積木などではなかった。
 小さな犠牲と大きな犠牲を際限なく生んできたこの光景こそが、今の凝縮された世界なのだろう。 
 そして、頂きに届かせるべく、一体一体の不完全な屍を積み上げていったのは他でもない。
 ―――自分自身が築き上げたのだ。理想の為に斬り捨てた亡者の路地裏は、彼が積み上げてきたものだ。
 地獄の底から噴するように、絶望極めし幾重の唸り声を耳にした途端、唐突に不思議な感覚に囚われた。
 修羅の道を歩んだ先が、この光景を醸し出しているのだとしたら、自分は何を意固地に突き進んできたのだろうか。
 屍の罵るような言葉が問答無用に突き刺さり、彼は居た堪れなくなって頭を抱えた。
 感情を伴わない無情な罵倒が、途切れることなく自分へと降り注いだ。
 だが、死を意識せざるを得ない凄惨な挽歌の中で、閉じられた瞼の上から強い刺激を受けた。
 彼は、堪え切れずに面を上げて瞳を見開いた。
 ―――背後に広がる地獄絵図を霞ませるほどの眩い輝き、人生を賭して夢見た黄金郷が変わらぬ姿で佇んでいる。
 
 ―――そうだ、全てはこのためだ。
 何よりも尊ぶべき『国創り』。それが永久不変の目的ではなかったのか。
 人間という莫大な財産を無用に捨てたままで満足できるのか。志半ばで泣き寝入りを許容できるのか。
 ―――断じてありえない。嘆き続ける悲運な亡者共を価値ある死へと昇華せんために、自分が歩みを止めることなど許されない。
 理想の糧となった敵や味方達には、一欠けらの同情や謝罪する余地はない。
 詫びることなど決して出来ない。ここで詫びてしまえば、行為を悔やんでしまえば、今までの所業全てが水泡と化すのだから。
 数多の仲間や敵を踏みしだいて置きながら、今更何を躊躇う。
 諦めてしまえば、もう二度とあの場所へ手を届かせることは叶わない。
 だから、彼は振り返るのはもうやめた。 
 一心に輝く理想の果てを見届けて、彼の意識は四散する。


32 :淵底に堕ちた鷹  ◆KZj7PmTWPo :2006/12/11(月) 01:16:40 ID:b1g1/6t9
 ****

「…………」

 彼―――グリフィスは開いた視界で辺りを見渡した。
 そこは黒幕で閉ざされた小さな一室。
 瞼を二三度瞬かせて、彼は小さく息を吐く。
 眼球を走らせて視界を回す。
 ―――見える。傷つけられた網膜が正常に機能する。
 鼻を振るわせて周囲を嗅ぐ
 ―――香る。削がれた鼻腔が正常に機能する。
 口内を乾かせて言葉を吐き出す。
 ―――紡げる。切断された舌が正常に機能する。
 指の関節を一本一本折り曲げて拳を固めた。
 ―――動く。千切られた腱が正常に機能する。
 グリフィスは能面の表情で哂った。 
 何の冗談か、まるで現実味がない。だが、認めざるを得ない真実こそが今であろう。
 今際に耳朶を打たせた煩わしい言霊。
 恐らく此度の主催者、ギガゾンビのものであったのであろうか。
 お陰とは思わない。都合のいい偶然と数奇なる宿命だと納得する。
 どっちにしろ、グリフィスが行うことに差異はない。
 薄汚い路傍を駆け抜けた頃と、なんら違いはないのだ。
 
 彼は近くに転がる支給品に手を伸ばす。 
 それは黒光りする頭身に、無骨なフォルムを備える短機関銃。
 傍には、何重にも繊維が張り巡らされた簡素な衣服。耐刃防護服だ。
 防護服は一撫でしただけで、使用用途については理解した。硬く繊細で、それでいて軽量化が施された防衛道具に感心する。
 甲冑ほど被害を低減させるほどではないが、何よりも軽装だというのが魅力であった。
 すぐさま装着し、次いで機関銃に触れる。
 グリフィスがいた世界でも数少なくではあるが、携帯銃火器も確かに存在はしている。
 刀剣類が主流となっているために、こういった武装は正直お目にかかることも稀であろう。 
 訝しげに短機関銃を眺め回すが、引き鉄に手を差し込むことで銃把が掌に適合した。
 根底まで続きそうな暗闇へと、機関銃の銃口を向ける。
 トリガーに掛かった指を引いた瞬間、騒音を伴う一発の銃弾が大気を裂きながら放出された。
 バキリと、何かが砕けた音がする。弾丸が室内の備品を破壊したのだろう。
 多少の衝撃を肌で感じ、銃口から立ち込める硝煙をグリフィスは眺めた。

「戦におあつらえ向きだな……」

 銃の射程や威力等、最低限の有用性を見抜いたグリフィスは無表情で懐に支給品を仕舞い込む。
 さらにバックから参加者名簿を引き抜いた。
 適当にさらっと目を走らせて、二つの名前に釘付けとなる。
 
「―――キャスカ……。そして、やはりいたか……ガッツ」

33 :淵底に堕ちた鷹  ◆KZj7PmTWPo :2006/12/11(月) 01:18:49 ID:b1g1/6t9
 漠然と予感はしていた。
 キャスカはともかく、機会を設けた自身を差し置いて、ガッツがいない筈がないのだ。
 ガッツはグリフィスの本当の意味での友である。友愛の感情を持て余すほど惹かれている。
 ―――だがらこそ許せない。
 ガッツは自分を異常に狂わせる。一度でも彼を甘受してしまえば、手放すことが惜しいほどの執着心が沸き起こる。
 彼の輝きは、自身の理想を覆い尽くすほどにギラギラと目に付き刺さるのだ。
 それが苦痛だと、最初から気付いてしまえば良かったものを。
 耐え難い嫉妬の感情を必死に内包し、ガッツを常に格下、もしくは同等と見定めることで矜持を保っていたというのに。
 しかし、それは儚くも破裂した。
 ならば感情を持て余し、吐露すべき矛先は何に向ければいい。
 今ならば、少し考えれば自ずと理解も出来よう。―――当の本人に向ければ万事解決だ。
 ガッツと対峙した時に、既に心は決めていた筈なのだ。
 ―――手に入らぬのなら、いっそのこと―――
 
 今までは―――そうだ。少し休みすぎた。
 遊びは終わってはいない。これから再び始まるのだ。積木遊びは今も尚、頂を目指すべく継続している。
 故に、止まることは二度となく、積木と言う名の屍はこれからも築いていくだろう。 
 唯一無二の渇望を満たすべく、生ある命の全てが生贄だ。至高の到達点へ辿りつくために捧げられる人間は、ただの肉の御供に過ぎない。
 程よく揃っているバトルロワイヤルの参加者達は、例外なく競い合う軍鶏として献上されるだろう。―――自分の野望の為に。
 元より誰の為でもない。全ては欲求。全ては自己満足。その上に成り立つグリフィスの壮大な夢は、鮮血の絨毯で彩られている。
 彼は一切躊躇うことはないだろう。金輪際、眼前しか進まずに、見果てぬ世界を二度と見失うことはない。
 ―――紅の日暮れを背に駆け抜けた、あの路地裏の石畳はまだ続いているのだから。
 
「ふふ……。そうだな、そうだった。夕日は今も尚、輝きは失っていない……。沈んではいない。
 理想の為に……死んでくれるな、ガッツ?」

 グリフィスは動き出す。与えられた機会を活用すべく、自身の意義を見出すために。
 壊れた精神と、逸脱した思考を抱えて。
 理想を貧欲に求める渇望の狂戦士が、闇夜の戦場に降り立った。



【G−4 遊園地(お化け屋敷内)・1日目 深夜】
【グリフィス@ベルセルク】
[状態]:正常
[装備]:マイクロUZI(残弾数49/50)・耐刃防護服
[道具]:予備カードリッジ(50発×1)・支給品一式
[思考・状況]
1:皆殺し

『備考:グリフィスの時間軸は蝕の寸前。川岸で覇王の卵を手にする直前なので、フェムトフラグは無し。
    五体満足で、精神だけが連れてこられた状態です。身体能力についてはガッツと決闘した時と大差ないです』

34 :「某としたことが……」 ◆LXe12sNRSs :2006/12/11(月) 01:33:20 ID:90yWaiFt
「先刻は失礼した。某(それがし)の名はトウカ。エヴェンクルガ族の武士(もののふ)なり」

 なんとかロワイアルに巻き込まれて早数分、首筋に刃物を突きつけられるといういきなりのピンチに遭遇した俺だったが、今はなんとか難を逃れることに成功した。
 時代劇に出てきそうな武士の着物を身に付け、鳥類の羽を模した耳を携える謎のコスプレイヤーさんの名前は、トウカというらしい。
 なぜ彼女はこんな異常事態に、こんなふざけた格好をしているのか。少なくとも、先ほど出刃包丁を突きつけてきた時の彼女にはマジな緊迫感を感じたんだが。
 ひょっとして俺の錯覚だったか? それとも、彼女は真剣にこの姿で殺し合いに臨むつもりなのだろうか。
 オイオイ、まさかとは思うが、この舞台のどこかにいるであろう朝比奈さんも、SOS団給仕用のメイド服を着ていたりはしないだろうな。
 メチャクチャ可能性ありそうで、限りなく不安なんだが。

「しかしそなた……随分と珍妙な格好をしているが、いったい何処の国の出身だ?」

 珍妙な格好はどっちだ。自慢じゃないが、北高男子の制服はオーソドックスすぎるブレザーで、地味なことだけが自慢なんだぞ。ってやっぱ自慢になんねーよ。
 それに何処の国の出身かって、そんなもん一目瞭然じゃないか。あんたが今話している言語は何処の国のものだ。俺の知識じゃ該当する国は一つしかないのだが。

 と、俺の常識とトウカさんの常識をぶつけ合うこと自体そもそもの間違いだったのだと、その後の情報交換で思い知らされることになる。
 なんでも、トウカさんの出身国はハクオロという王様が統治するトゥスクルというところだそうで、豊かな自然と寛大な王に守られた素晴らしく住み心地のいい国らしい。
 しかしおかしいな。俺は世界地図でも地球儀でも旅行番組でも、トゥスクルなんて国はお目に掛かったことがない。
 エヴェンクルガ族とかいうのも初耳だし、ひょっとしたら国というよりはどこかの辺境民族の集落かなんかじゃ、と俺は考えた。
 我ながら、常識人らしい考えを持っちまったと思ってる。
 現在自分の身が置かれている状況と、普段自分が遭遇しているビックリ体験の連続を照らし合わせてみろ。
 この鳥の羽の耳を付けたコスプレイヤーさんじゃない人が何者なのか、トゥスクルという国が実在するのか否か、答えは実に簡単じゃないか。

 つまりトウカさんは――ハルヒが創りだした閉鎖空間のような――パラレルワールドの住人というわけだ。

 もちろん、この世界も俺の知る世界なんかじゃなく、その類のものなんだろうな。
 だとしたら、やっぱり元凶はハルヒか? アイツ、宇宙人や未来人や超能力者では飽き足らず、密かに鳥耳少女と友好を深めたいとか願ってやがったのか?
 って、いや、ちょっと待てよ俺。いくらハルヒがトウカさんみたいな特異な人種との遭遇を願ったからといって、そこが殺し合いの場である必要性なんて皆無のはずだ。
 確かに八十人が生死を懸けて戦うなんてのは、刺激的を通り越して猟奇的すぎるイベントだ。
 だがハルヒが心の底からそんな惨劇を望むかといえば、答えはノーに決まってる。実際、夏休みに起きた孤島での殺人事件もお芝居だったしな。

35 :「某としたことが……」 ◆LXe12sNRSs :2006/12/11(月) 01:35:14 ID:90yWaiFt
 とまぁ、この世界における俺の浅知恵な考察はこの辺にしておこう。
 この殺し合いゲームにハルヒが関与しているにせよしていないにせよ、俺みたいな一般ピープルが一人が悩んだところで答えが見えるはずもない。
 何度も言うが、俺は至って普通の男子高校生だ。宇宙人でも未来人でも超能力者でもないし、そうなりたいとも思わない。
 ただちょっとばかり、周りが特殊すぎるだけだ。ライオンの檻の中に一人迷い込んだネコみたいな存在なんだよ、俺は。

「で、トウカさんはまず仲間たち――ハクオロさんとエルルゥさんとアルルゥさんとカルラさん、この四人と合流したいと」
「ああ。カルラ殿ほどの実力者なら心配要らないだろうが、エルルゥ殿やアルルゥ殿を一人にしておくのはあまりに危険。
 それに聖上は、絶対に失ってはいけぬ御方。某がなんとしてもお守りしなければ。キョン殿は――」

 ちなみに。
 これから俺に会う奴会う奴、みんな俺のことをキョンと呼ぶのだろうが、その辺のことについてのツッコミはご遠慮いただきたい。
 そもそも参加者名簿での登録名があだ名ってのはどうなんだ。いくら俺が本名で呼ばれることがないからって、これじゃあ初対面の相手にもキョンって名乗らなきゃいけねぇじゃねぇか。
 例外は俺だけでなく、鶴屋さんもよく『鶴屋さん』なんて呼称で名簿に載ることになったもんだ。ってか殺し合う相手に対してさん付けがデフォルトってのはどうなんだ。

「――えすおーえす団、というところの仲間を捜しているのであろう? 人捜しをするならば、人手が多いに越したことはない。
 どうだろう。ここは某と、協力関係を結んではくれまいか?」

 協力し合うことには何の異存もないだのだが、仮にも殺し合いをしろと言われてここにいるのに、そう簡単に人を信用していいものか。
 もっともそんな心配をしているのは俺だけのようで、トウカさんの瞳は曇りを一切持たない天真爛漫な光で輝いている。
 きっと、人を疑ったりとかあんまりしない人なんだろうな。

「あのギガゾンビなる怪人が如何程の実力を持っているかは分からぬが、某とて武の民エヴェンクルガ族の端くれ。
 某と共に歩んでくれるというのであれば、身命に懸けてキョン殿のお命を守ることを約束しよう」

 やたら勇敢なことを言ってくれるが、俺はうら若い女性に守ってもらうほど弱い男じゃない。
 そりゃ俺は古泉みたいな超能力バトルはできないし、この世界からの脱出方法についても結局は長門頼りだが、それなりに修羅場はくぐって来たつもりだ。
 運よく身を守るための武器も支給されているし、トウカさんにそこまで苦労をかけるつもりは――

「某の実力が疑わしいというのであれば、それなりの証拠をお見せしよう。そこで見ていてくれ」

 どうやら俺の気遣いの意味を取り違えてくれたらしい。
 トウカさんは弱く見られたと思っている自分の実力を見せ付けるため、支給された出刃包丁片手に一際高く聳えた大木の前に立つ。
 そしてそのまま腰を落とし、出刃包丁を持った右腕は左脇の辺りに構えた。

36 :「某としたことが……」 ◆LXe12sNRSs :2006/12/11(月) 01:36:20 ID:90yWaiFt
 ああ、この構えなら分かるぞ――これは、世にいう『居合い』というものだ。

 剣術なんてものには浸透していないが、どういう技なのかはそれなりに知っている。
 刀を鞘に納めた状態で腰元に構え、相手が間合いに近づいてきた瞬間に抜刀、一撃で斬り伏せる神速の型だ。
 その姿は剣戟モノの時代劇で見る役者なんかよりよっぽど堂に入っており、思わず見惚れる程でもある。
 だが忘れちゃいけないが、彼女が持っているのは日本刀ではなく出刃包丁だ。
 そしてそれを使って斬り伏せようとしているのは、秋刀魚や鯵ではなく樹齢100年はあろうかという大木だ。
 ミスマッチにもほどがある。そんな風に考えていたら、風が吹いた。

 ――ヒュンッ

 トウカさんの出刃包丁による居あい斬り――その一振りが、轟音と突風を生み出したのだ。
 その剣速には正直俺も驚いたが、そんなことよりもまず、訪れた残酷な結果に言葉を失ったね。

「なぁ!?」

 案の定というかお約束というか想定通りというか、出刃包丁は見事に大木に減り込んでいた。半分にも斬り込めていない。
 まぁ、刃渡り数センチの刃物で人よりも大きな木を一刀両断なんて離れ業は、たとえ中国雑技団でも無理な芸当だ。
 こうなることは予測できていたのだが、なんというか、意外そうに目をパチクリしているトウカさんを見ると居た堪れない気持ちになってくる。
 自分の失態が納得いかないのかそれとも恥ずかしいのか、トウカさんは減り込んだ出刃包丁に力を込め、強引に木から引き離そうとしている。
 あーあー、そんなに力いっぱい引き抜こうとしたら……

 ――ポキンッ

 危惧して忠告しようとしたのも束の間。
 無理やりに力を込めた出刃包丁は、ものの見事に折れてしまった。

「なななななななななななななァァ――!?」

 や、そんなに驚かれても対応に困るのだが。
 そしてそのままがっくりと項垂れるし。
 トウカさんの剣の腕が凄いってのは分かったが、出刃包丁じゃこれが限界ってことをぜひ知ってもらいたい。

37 :「某としたことが……」 ◆LXe12sNRSs :2006/12/11(月) 01:37:28 ID:90yWaiFt
「クッ! 某としたことが……一生の不覚ッ!」

 不注意から武器を失ってしまったことにショックを受けているのか、トウカさんは悔しそうに嘆いていた。
 
「まぁまぁ。そうだ、剣が得意っていうなら、俺のヤツを譲りますよ。俺の支給品、偶然にも刀でしたから」
「それはかたじけない。キョン殿には何から何まで、迷惑をかける……アッ!」

 俺が物干し竿をトウカさんに譲ろうと、徐に支給品類を広げた時のことだ。
 突如トウカさんの瞳が宝物を見つけたかのような反応を見せ、キラキラと輝きだす。
 その視線の先は俺が差し出した物干し竿ではなく、もう一つの支給品……不細工な上にやたらとデカイ、ウサギのぬいぐるみに注がれていた。

「か、かわいい……」

 ……そ、空耳か? 今一瞬、この不細工ウサギを見つめながら可愛いと称賛する声が聞こえたのだが。
 もしかしてあれか? トウカさんは、気丈な性格の割に実は無類の可愛い物好きというお決まりな設定を秘めているというのか?
 ……だとしたらそれなんて……ゲフンゲフン。いや、俺はトウカさんの正確な素性とかよく知らないぞ。原作とか、そういう単語はNGワードとして登録するように。

「そ、そういえば、トウカさんの他の支給品はなんだったんです? まさか出刃包丁一本だけってことはないでしょう?」

 話題を切り替えようと、俺はトウカさんに手持ちの荷物を見せてくれるよう頼む。
 これで支給品が包丁一本だけだったらどう慰めようかとも思ったが、あいにくその心配は杞憂に終わったようだった。

 トウカさんが新たに取り出した支給品は二つ。
 一組のボクシングローブと、造花のようにも思える一輪の花だった。
 俺はその二つの花の方を手に取り、説明書片手に難しい顔をするトウカさんに尋ねる。

「この花はなんていう道具なんですか?」
「『わすれろ草』、というらしい。なんでも、この花のにおいを嗅いだ者は、たちまちその時思っていたり考えていたことを忘れてしまう……と」

 なんじゃそら。つまり相手から思考を奪う道具ってわけか……まさかと思うが、なんかヤバイ薬の原材料とかじゃないよな。
 しかしまあ、使いようによっては使える道具かもしれない。
 たとえばもし誰かに襲われたとして、その相手にこの花のにおいを嗅がせれば、襲っていたこと自体を忘れちまうわけだ。
 ご丁寧にも数十分で効果が切れるとの補足説明付きだが、急場凌ぎくらいにはなるだろう。もちろん、使わないにこしたことはないのだが。

38 :「某としたことが……」 ◆LXe12sNRSs :2006/12/11(月) 01:39:02 ID:90yWaiFt
「じゃあ、このボクシンググローブみたいなものは? これはどことなく武器っぽいですけど」
「ぼくしんぐぐろーぶ……というのはよく分からないが、それは『けんかてぶくろ』という名前らしい」

 なんつーまんまなネーミングだ。製作者はもっとこう、センスというものを考慮しなかったのだろうか。
 機能については説明を受けるまでもない。ただのボクシンググローブではないようだし、十中八九けんかが強くなるとか、そいうまじないめいたものが込められた道具なのだろう。
 俺はそのけんかてぶくろなるものを拝借し、試しに手に嵌めてみた。
 ボクシンググローブを嵌めるなんて機会は滅多にないからな。気分はプロボクサーだ! なんて思いつつ、少々舞い上がりシャドウボクシングなどしてしまった。
 それが、最大の間違いだったんだな。

「ぐふぉっ!?」

 ――突然、殴られた。誰にかって? 他でもない、自分の腕にさ。

「ごふっ!? ぐおっ!?」
「キョ、キョン殿!?」

 混乱するな。誰がなんと言おうと俺が一番驚いている。
 一応断っておくが、俺は急に自虐の楽しみに目覚めたとかそんなんじゃないぞ。
 シャドウボクシングするつもりで空に振り被ったパンチが、意図せずUターンして俺の顔面に飛び込んできた。ただそれだけさ。
 結果的に、俺は自分で自分を殴っていることになる。それも自分の意思とは関係なしにだ。
 力の調節もできたもんじゃない。どうすれば止まるのか見当も付かず、俺は激痛の走る顔面から鼻血を垂れ流していた。

「こ、これはいったいどうなって……」
「ト、トウカさんごふぉ、説明書をぼっ、読んでくださべっ!?」
「説明書……は! な、なんと! 『自分で自分と喧嘩できる道具』と書かれている!?」

 な、なんてこった。喧嘩が強くなる、なんてとんだ見当違いな効果じゃねーか!
 あまりの馬鹿げた効果に怒り狂いたかったところだが、腕が殴ることをやめない内ではそれも叶わない。
 つーか誰だこれ作ったの。責任者出て来い。

39 :「某としたことが……」 ◆LXe12sNRSs :2006/12/11(月) 01:40:20 ID:90yWaiFt
 ――危うく、自分の拳に殴り殺されるところだった。
 結局、俺の腕が俺の顔面を殴り続けるというアホすぎる行動から解放されたのは、五分が経過してから。どうやら時間制限が付いているらしい。
 だがあえて文句を言わせてもらおう。なげーよ五分。というかこんなものはこの先一分一秒足りて付けたくはない。てかもう絶対付けねぇ。
 もし俺の拳が本当にプロボクサーのものだったら、それこそ死んでいたかもしれない。効果はふざけているが、考えようによっちゃ恐ろしすぎるアイテムでもある。
 ないとは思うが、こんなものが普通にデパートに並んでいたとしたら、消費者から事故が発生するのは間違いないと思う。

「申し訳ないキョン殿! 某としたことが……支給品の効果を見誤るとは、なんたる不覚!」

 トウカさんはといえば、自分の支給品で俺を傷つけてしまったことが居た堪れないのか、ほとんど土下座の体勢でさっきから謝り続けている。
 もとはといえば、先走ってあんなものを嵌めてしまった俺が悪いのだが。
 俺はトウカさんに気にしないよう言葉を投げかけてみるのだが、この人の性格も相当頑固なようで、自らの手で責任を取らなければ気が済まない様子である。

「かくなる上は……割腹し、この命を持ってお詫び申し上げまする!!」

 ――――ハ?

「え、あの、トウカさん? 何もそこまでしなくても……」
「いいえ! せっかく協力し合えた相手にこのような失態を働いてしまうとは、エヴェンクルガ族末代までの恥!
 義を重んじる民の者として、償いを入れねば某の気が治まりませぬ!」

 俺が制止を入れても聞かず、トウカさんは正座の体制から腹部目掛け、折れた状態の出刃包丁を付きたてようとする。
 いくら折れてるからって、あんなもの突きつけりゃ怪我をすることは間違いなしだ。

「聖上……某の未熟が故の失態、どうかお許しください。願わくば、皆が無事に生還できることを……」

 覚悟を決めたのか、目を瞑り切腹の体勢に入る。

「わー! ストップストップ!!」

 俺は慌てふためき、咄嗟に地面に置かれた一輪の花を手に取った。
 わすれろ草、だったか。彼女を止めるには、もうこれしか方法がない。

「忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ!」

 トウカさんの鼻元で、がむしゃらにわすれろ草を振るいまくる。
 するとトウカさんはむず痒かったのか、ハクチュ、と可愛らしいクシャミを一回。
 そして、次の瞬間には手から出刃包丁を放していた。

40 :「某としたことが……」 ◆LXe12sNRSs :2006/12/11(月) 01:42:54 ID:90yWaiFt
「あれ……某はいったい何を……?」
「や、やだなぁ座り込んじゃって! ほら、早く立ってくださいよ! 仲間を捜しに向かうんでしょう?」

 俺はやや強引にトウカさんの手を引き、方向も確認せずに歩き出す。
 トウカさんはやや不服そうな顔を見せたが、すぐに自分の成すべきことに気づき、自らの足で歩みだした。

「そうだ……一刻も早く聖上を見つけ出し、お守りしなければ。某としたことが……そんな大事なことを失念してしまうとは」
「そうですよ〜ハハハ……」

 つ、疲れるっ! なんかもの凄く疲れたぞこれまでの一連の行動っ!
 ともかく俺は心強いかどうかはかなり微妙な線をいく協力者を得て、仲間達の捜索に当たった。
 正直先行きはかなり不安なんだが……ま、グチを言っても始まらんだろう。


 ちなみに。
 トウカさんは今回、「某としたことが……」と三回も口にした。おそらくは、本人も知らない内に口癖になっているだろう。
 そしてそれを分析して、俺は確信したね。
 口には絶対出さんが、トウカさんは重度の「うっかり者」で間違いない。絶対。


【A-3森 初日 黎明】
【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:軽度の疲労(精神面含め)、顔面に軽傷
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、わすれろ草@ドラえもん、けんかてぶくろ@ドラえもん
[思考・状況]1:トウカと共に仲間の捜索。
       2:ハルヒ達との合流(朝倉涼子に関しては保留)。
      基本:殺し合いをする気はない。

【トウカ@うたわれるもの】
[状態]:健康
[装備]:物干し竿@Fate/stay night
[道具]:支給品一式、出刃包丁(折れた状態)@ひぐらしのなく頃に、なぐられうさぎ@クレヨンしんちゃん
[思考・状況]1:キョンと共に仲間の捜索。
       2:エヴェンクルガの誇りにかけ、キョンを守り通す。
       3:ハクオロ等との合流。
      基本:無用な殺生はしない。

※それぞれの支給品を交換しました。

41 :approaching!  ◆XnCOMfEOg. :2006/12/11(月) 02:23:06 ID:6T6S/WUD
 暗闇にも随分目が慣れてきた。
 いざ毛布を被ってみると、目に広がるのは闇の青ではなく、どれほど前か知れない先刻に見せられた赤の飛沫。
 目に映る赤に興奮したなのはの体のコマネズミが、あっちこっちを走り回って心臓を蹴ってぐるぐるぐる。
 眠れるわけがない。
 暗闇にも随分目が慣れてしまった。
 逃げ込んだ場所はどうやら小さめの家具を扱う雑貨屋だったようで、クッションに毛布と、寝る準備だけは整えられる。
 とりあえず最初に手をかけたら鍵が開いていたので忍び込んだだけだった。
 この分なら、近くを探ればもっと色々な物も手に入るかもしれない。
 そう考えながら、すっかりバターと油の匂いが充満した店の中を見回す。
 食べるだけ食べて満腹の不良さんが一人。
 テーブルかけの説明書には、使いすぎると効果がなくなりますと書いてあった。あと何回使えるんだろう。
「……? 呼んだか?」
「えっ、う、ううん」
「ん、そうかよ」
 消化不良そうな顔をして、カズマはなのはから視線を外す。
 あとは夜の暗さがどっしりと、体中に乗っかってきているばかりだった。
 カズマはそれっきり何も言わない。心細さから誰かも構わずに呼び止めてしまったけれど、
 相手によってはあの場で殺されていても文句は言えない状況だった。
 カズマはちょっと怖い人だった。でも、信じても大丈夫みたいに思う。少し離れたところで目を少しだけ開けて、下を向いている。
 やっと気持ちが落ち着いてきたかもしれない。
「あの、お布団まだありますよ」
「いらねえよ」
「でも」
「いらねえっつってんだろ」
 ぶっきらぼうに言い捨てると頭を上げて、背の衣装棚にもたれかかっていた。

                          ※

 街灯のスポットライトを避けながら南へしばらく歩いていると、商店街と思しき場所に入り込んだ。
 深夜ともなると物音がよく響く。昼なら絶対に気づかないだろう、という音まで聞こえてきて、時々必要以上に身に力が入ってしまう。
 さっきのドラのような音は何だったのだろう。聞こえるには聞こえたが、それほど近くもなさそうで、放っておいてもいいような気がする。
 ふと立ち止まった。横に立っている商店は、なんとなく雰囲気が違う。
 周囲に気をつけながら建物を一周してみて、ここだけちゃんと窓にカーテンがかかっていることに気がついた。
 人がいる。
 しかもカーテンをしているということは、これから寝ようというのだろうか。なんだい余裕だなあ、と呆れ笑いが出た。
 でも、そういう相手なら話し合う余地もあるはず。
 意を決して窓をノック。
「すいませーん。いいかーい? いいかなー?」
 警戒されないように、こちらから声を出す。と同時に、すぐに窓枠から身を外した。
 狙い撃ちにされては、お粗末にも程がある。

42 :approaching! 2/6  ◆XnCOMfEOg. :2006/12/11(月) 02:24:56 ID:6T6S/WUD
 案の定、応答なし。
「もしもーし?」
 今更だが、相手が問答無用だった場合は、このやり方はすごく危険だ。
「誰かいるんだよねーっ。あたしも入れてよーっ」
 悪くすれば、もう周りを囲まれている可能性も……ないと思いたい。一目見れば罠を張っていないとわかってもらえるはずだ。
 建材の擦れるビニール質の音を小さく立てて、糸ほどに戸が開いた。

                          ※

 心強いから、という。
 高町なのはと名乗った女の子の意見に、鶴屋は全面的に賛成だった。
 この子も、鶴屋の笑顔にすっかり心を開いたのか、鶴屋を招き入れた時のような固さがかなり和らいでいる。
 だが残念ながら同時に、使えそうもないなあとも思った。
 おそらく衣装棚の前でふてくされている柄の悪い青年も同意見だろう。
 不良の方は喧嘩はできそうだが、殺し合いとなるとどうなるか。なのはに至ってはどこにでもいる普通の女の子だ。
 ちょうどさっき殺したような。
「あーのさ、そっちの彼の名前も教えてほしいなって」
「そうですよ、カ……」
「その前に聞きたいことがある」
「名前? さっき言ったじゃん、あたしは鶴屋……」
「そうじゃねえ。その袖の血だ。バッグにもだ」
 デイバッグに、セーラー服に、気をつけても見落としかねないレベルの小さな血飛沫がひとつ、ふたつ。
 青年の上げた顔に、いつの間にか野犬の目が光っていた。
 やってしまった。頚動脈からの噴血である。バッグを押し当てた程度では、抑え切れなかったのか。
「そりゃあ……」
 最初に女の子の首が飛んだ時さとありがちな言い訳をしようとして、鶴屋は止まった。デイバッグにまで飛んでいる血の説明がつかない。
 危ない危ない。
 危ないついでに、もう少し危ないを重ねるしかない。
「うん、実はここに来る前にちょっと襲われちゃってね」
「お前に怪我はねえようだな」
「まあね……っ。相手に怪我させて、その隙に逃げたのさっ」
「どんな奴だ?」
 さっきまでのくつろいだ空気もすっかり消えてしまい、なのはが隅でうろたえている。
「あの……」
「あっはははー。めがっさ暗くてよくわからなかったのさ! 結構体格はよさげな感じだったよ!」
 いくら本当の話でも、10歳かそこらの女の子に刃物を向けた話なんかして、いい印象なわけがない。
 胃がもたれていそうな顔をして、カズマは黙った。
「あのさっ、それで君の名前……」
 答えはない。
「にょろーん……」
 再びほぐれた緊張に、なのはが場をつなぐように笑った。

43 :approaching! 3/6  ◆XnCOMfEOg. :2006/12/11(月) 02:26:08 ID:6T6S/WUD
                          ※

「なのはちゃんなのはちゃん、支給品の確認って済ませたかい?」
 手持ち無沙汰になのはとコミュニケーション。
 彼女にチンピラの名前を聞いてもいいような気がするが、答えるなとでも言いたげなプレッシャーが彼の全身からにじみ出ている。
 変に話をさせて、チーム仲を悪くしてもしょうがない。
「あ、はい……そんなにいいものは入ってませんでした」
「あーらら、そりゃ残念だねっ。まあ、あたしも人の事言えないけどさっ」
 ボディブレードを取り出し、びよんびよんと振ってみせる。情けなそうにだが、なのはからまたひとつ笑顔が出てきた。
 この子は、話していて落ち着く。やたらと裏を読まなくてもよい雰囲気だからだろう。
 彼女と比べると、表すら見せてやるものかと牙を剥いている連れの男がなおのこと近寄りがたい。
「ちなみに聞いていいかなっ。何が入ってた?」
「あ、ええっと、テーブルクロスです」
「そりゃひどいね」
 外に声が聞こえないように、二人揃って忍び笑い。本当に殺し合いをさせるつもりの支給なのだろうか。
 今は、かなみと同じやり方はやめた方がいい。なのはだけならともかく、青年の出方が読めない。
「そうそう、あたし人探ししてるのさっ。ちょっといいかい?」
 となると後する事は情報交換ぐらいになる。カーテンを少し開いて、街灯の明かりで名簿を照らす。
 フェイト、はやて、シグナム、ヴィータ。名前と、特徴。
 そういう姿の人間に会った時になのはの名を出せば、少なくともその場は凌げる。ただし、なのはが生きている限りだ。
 そしてなのはたちにもこちらの名前を出すように言っておけば、SOS団との不慮の交戦の可能性はぐっと減る。
「テスタロッサ? うっわー、強そうな名前だねっ」
「え、そう、です、か……?」
 困り顔のなのはの向こうで、不機嫌そうな青年が、興味の無い顔をしてこちらを窺っている。
 暇なのだろう。
「んふふ、君も見るかいっ? 名前を教えてくれるかなっ?」
「ケッ」
「ありゃりゃ、正直じゃないね」
 なのはもどうしようもないなあという顔で笑っている。
 仕方がないので二人で名簿を見ていると、またカズマが少しずつ近づいてきている気がする。
 目線を上げると、今度はカズマが名簿を注視している顔に行き当たった。
「ふふん、やっぱり興味深々にょろねキミ。それじゃあ名簿からキミの名前を当てて……」
 言い終わらないうちに、カズマの腕が参加者名簿をむしりとった。暗がりに引っ張り込まれた名簿が、また光の下に戻ってくる。
 ただし今度はカズマごと。
「かなみ……!」
 自分の顔が強張ったのが、はっきりと感じ取れた。
「クーガー……劉鳳……!」
 幸運にも、鶴屋の異常は気づかれなかったらしい。それ以上に、カズマの衝撃の方が強かった。
「君島……!?」
「うんうん、私の友達もさ……」
 そろそろ合いの手を、とうっかり口を開いてしまった鶴屋に、カズマの動揺が殺到した。

44 :approaching! 4/6  ◆XnCOMfEOg. :2006/12/11(月) 02:27:36 ID:6T6S/WUD
「どこだ!? かなみは! 君島はどこにいる!?」
 尋ねてもわかるわけがない。カズマの暴走に過ぎない。普通は逆さに振っても「知らない」としか言えない。
 だが、心当たりのありすぎる鶴屋の脳裏に走った思考はそうではなかった。
 この男はかなみを知っている。ならば、自分の来た方向へ行かせてはならない。
「あ、あっち!」
 咄嗟に、あらぬ方向を指差した。
「間違いねえな!? 間違ってたらブッ飛ばす!」
 なにせ相手がチンピラの御面相で、今にも絞め殺しかねない気迫を放っている。勢いに負けて、思わず首を縦に振る。
「くそっ!」
 一声叫ぶと、跳ね起きて扉を蹴破った。逆側に打ち込まれた蝶番が、建材の破片を撒き散らしながらバウンドする。 
 追いかけた方がいい。かもしれない。少なくとも、一人でいるよりはマシなはずだ。
 だが、いなかった場合に吊るし上げを食らったらどう言い逃れるか。わざと撹乱していると思われたら最後だ。
 だがここで考えていても仕方が――――
「あ、カズマさん!?」
 上げかけた腰が固まった。
 なのはが慌てて荷物をかき集め、追いかけようとしたところで、座り込んだ鶴屋を顧みる。
 崩れかけた笑顔をつくろって、とりあえず笑ってみましたという態を装うと、彼女は少しだけ迷った後、外へ飛び出した。
 手前勝手に離れていくカズマを優先したのだろう。
 四角く切り取られた壁から、宵闇と街灯が染み込んできている。
「……うっひゃあ」
 そうだ。
 ついていく馬鹿はいない。
 一雨降られたかのような勢いで、汗が流れていく。
 追いかけるなどという気が起ころうはずもない。カズマの存在感と、なのはの軽い駆け足が遠ざかっていくのを聞き取るまで、
 鶴屋は全身を耳にして、じっと外を窺っていた。
 寒いのは、吹き込む夜風のせいばかりではない。

                          ※

「かなみー! どこだ! 聞こえたら返事をしろ! かなみー! 君島ぁー!」
「かっ、カズマさん! 大きな声なんて出したら……!」
 夜はただでさえ静かで音が通りやすい。すぐに見つかって大変なことになってしまう。
 どうにか追いついて腰にかじりついたが、なのはを引きずってでも進むつもりらしい。
「カズマさん! おち、落ち着いて!」
 歩調をあわせられず、数メートル引きずられたところでようやく止まった。
「そんなに大きな声を出したら、二人を見つける前に危ない目に遭っちゃいますよ!」
 腰にぶら下がったまま見上げると、相当に殺気立った視線が降りてきている。
「かなみは何もできねえ。俺なんかいい、今危ねえのは俺よりあいつだ。早いとこ見つけてやらねえと……それに……」
 カズマは顔を上げた。奥歯がすごく踏ん張っている音がする。
「君島は死んだ。墓も作った。埋めたのも俺だ。こんなところにいるはずがねえ」

45 :approaching! 5/6  ◆XnCOMfEOg. :2006/12/11(月) 02:29:42 ID:6T6S/WUD
 一瞬、カズマが殺したのかと思ったが、それなら名簿を見て慌てるのは変だ。
 カズマは乱暴だけど、嘘をついたり変なごまかしをしたりしないと思う。してもすぐばれると思う。
 爪先がやっと地面を探り当て、なのはは腰から降りた。
「君島さんって?」
「……腐れ縁だ」
 ようやく、気持ちが落ち着いてきた。
「友達……なんですね?」
「……まあな」
「かなみちゃんは……?」
 なんて答るか、ちょっと気になった。思ったとおりカズマは、眉間にしわをつくって何かじっと考えている。
「……いいだろそんなことは! かなみはかなみだ!」
「私も、友達を探してるんです。あの、一緒に探せないかな、って」
 苛立ちをかわされて、カズマが詰まった。ぐりぐりと眉間のしわに力を入れていたが、ため息をひとつ吐いて、肩から力を抜いた。
「知るかよ。もう好きにしろ」
「うん、好きにやります」
 そうと決まれば、まずはお互いの友達の話から始めなければ。
 知らずに戦ったりなんかしたら大変だ。
「……あれ、そういえば鶴屋さん」
「ほっとけよ。来たくねえから来ないんだろ」
 それはそうかもしれない。
 でも、それでも一人で置いていくのは危ないし、何かがちょっとだけ引っかかる。

46 :approaching! 6/6  ◆XnCOMfEOg. :2006/12/11(月) 02:30:49 ID:6T6S/WUD
【G−8(モール)・1日目 黎明】

【カズマ@スクライド】
[状態]:正常
[装備]:なし
[道具]:高性能デジタルカメラ(記憶媒体はSDカード)・携帯電話(各施設の番号が登録済み)・支給品一式
[思考・状況]
ギガゾンビを完膚無きにボコる。邪魔する奴はぶっ飛ばす。
かなみの保護あるいは君島の確保を最優先。次点、協力要請及び状況把握のためクーガーとの接触。劉鳳? 後だ後!

【高町なのは@魔法少女リリカルなのはA's】
[状態]:正常
[装備]:なし
[道具]:グルメテーブルかけ@ドラえもん(回数制限有り:残り22品)・支給品一式
[思考・状況]
カズマと一緒に知人探し。
フェイト、はやて、シグナム、ヴィータの捜索。


【G−8(商店内部)・1日目 黎明】

【鶴屋さん@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:正常。服およびバッグに、ごく目立たないレベルの返り血の付着。
[装備]:ハンティングナイフ
[道具]:自分の支給品、かなみの食料と水、ボディブレード
[思考・状況]
SOS団の面子(キョン、涼宮ハルヒ、長門有希、朝比奈みくる)と遭遇した場合、彼らを守る。
それ以外の面子と遭遇した場合、接触し、利用できそうなら共に行動。利用できそうにないなら隙を見て殺す。
カズマ、なのはは今後、殺害可能状況が来るまで回避する。
基本:ステルスマーダーとして行動


※カズマと君島の原作時間軸は多少の前後があるようです

47 :従わされるもの ◆lbhhgwAtQE :2006/12/11(月) 03:25:45 ID:r1+BaKHM
「ようやくここまで辿り着いたか、っと」
俺は背負っていた少女を下ろし、横たわらせると自分もその場に座り込んだ。
そりゃ、ずっと女の子一人を背負って歩いてりゃ流石の俺だって疲れるさ。
で、休憩がてら、とりあえず俺は地図を広げた。現在地を確認するためにな。
「……っと、確か最初C7って位置にいて、南西に進んできたんだから……今はD6あたりってことかぁ?」
最短で山を下りれそうだったルート。それを進んだ結果が、南西方向への下山だった。
何せ、女の子一人背負ってるんだ。出来るだけ近道を使いたいってのが道理だろ?
……で、俺の視界には山の麓にそびえるホテルらしき建造物の姿が映っているわけだが。
「なぁるほど。あっちの方角に、こいつが見えるって事はぁ……大体ここらへんかぁ」
目の距離感覚を信じて俺は大方の目星をつけた。
現在位置が、D6ブロックの中央北寄りあたりである、ってな。
そうと分かれば話は早い。
俺は嬢ちゃんを連れて、とっととそのホテルを目指すことにした。
……何、別にやましいことなんざ、考えちゃいない。この嬢ちゃんには野宿をさせたくないだけだ。
ホテルなら、屋根もベッドもあるしな。
ま、そういうわけで俺は休憩を終わりにして、嬢ちゃんを背負おうとしたんだが……その時俺は耳にしたんだ。
背後から何かが近づいてくる音をな。
……やれやれと思ったさ。どうしてこうも、俺は背後から誰かと会うんだろうな、ってな。
だが、もし相手がやる気だったら、このまま殺されちまう。
そんなのまっぴら御免だ。
だから、俺は後ろを振り返った。マテバを構えてな。
――すると、草むらの向こうに見えたのは……


梨花から逃げてどれくらい時間がたったのであろうか。
アルルゥは走っていた。
その小さな身体でひたすら山道を。
途中何度も石や蔦につまずき転び、身体にいくつもの傷が出来ても。
例え、それが本当に山を下りる道なのか分からなくても。
しかし、その手に持つ鉄扇だけは放さぬように。
アルルゥはひたすら走った。
――そして、彼女が草むらをかき分けて飛び出そうとした先には……
「…………!!」
そこには人がいた。
赤いジャケットを羽織った長身の男。
そして、その横で眠っている少女。
それを見たアルルゥは、無意識のうちに手近にあった木の後ろへと隠れた。
先ほどと違い、もう投げるものはない。
あるものは、父と慕う男の大事な武器だけ。
これを投げるわけにはいかない。
どうすればいいんだろう……アルルゥは困りながらも鉄扇を握り締めて、じっと木の裏に隠れていた。
すると、そんな彼女の耳に、男のものらしき声が。
「はぁい、そこにいる方はどなたですか?」

48 :従わされるもの ◆lbhhgwAtQE :2006/12/11(月) 03:26:50 ID:r1+BaKHM
いやはや驚いたぜ。
草むらから飛び出してきたのは、ちっちゃいお嬢ちゃんだったんだから。
歳は大体、あのギガゾンビに殺された女の子と同じくらいなんだろうけど、その格好がこれまた珍しかった。
服装は、日本の北海道にいるアイヌ民族の服装をアレンジしたっぽい感じで、しかも犬みたいな耳の形をした飾りをつけていたときた。
こりゃあ、一体どこの宗教なんだ、と思ったんだか、それも束の間、その子は目にも留まらぬ速さで180度ターンすると木の後ろに隠れちまった。
……俺ってそんな隠れられるほど悪人面してっかなぁ? いや、確かに悪人なんだがな。  
……だが、どうやらあの様子だとやる気ってわけじゃなさそうだな。
となると、ただ怯えているだけってことだが……そんな怯えている女の子を放って置いたとなれば男が廃る。
ひとまず、あの子をなんとかこっちに呼び出してやろうか、っと。
――まずは、優しく声を掛けて……
「はぁい、そこにいる方はどなたですか?」
「……! …………」
「こっちは君を取って喰おうだなんて考えちゃいないぜ。だから、出ておいで」
「………………」
……あらら、やっぱりダメか。
こっちをちらちらと見てはいるけど、来る気配はないねぇ。
だったら、直接――とは思うものの、そんなことしたら余計に警戒されそうだ。
ここは一つ、何かあの子をこっちに来させる方法を――っと。これなんかどうだ。
俺は、今まで役に立ちそうにないだろうなと思っていたそれを取り出した。


アルルゥは木の後ろから、じっと向こうの男の様子を見ていた。
男は彼女に声を掛けたりもしたが、それでも動かず、ただじっと彼女は様子を伺っていた。
だが。
「ほら、こっちに来たら、これをあげよう。……だから、おいで」
男の手に載せられていたふわふわしたもの。
それを見ると、アルルゥは耳をぴこーんと立てた。
「ほら、おいしそうだぞ。中には……ほら! アンコの他にチーズまで入ってるんだぜ。こいつぁたまらないぜぇ?」
どうやら、それは食べ物であるらしい。
アルルゥはそう判断するや否や、目をギュピーンと効果音が出そうなほど輝かせる。
……だが、それでも人見知り名性格ゆえに一歩が踏み出せなかった。
だがその一歩も――
「お前さんがこないなっら、お〜れが食べちゃおっかなぁ〜――っと、おぅわっ!!」
その一歩も、食べ物の力により簡単に踏み出せてしまった。

アルルゥ――人見知りを食べ物で解決できる少女であった……。

49 :従わされるもの ◆lbhhgwAtQE :2006/12/11(月) 03:28:25 ID:r1+BaKHM
いやはや驚いたぜ。
まさか、ドラ焼き一つで、ここまで食いつかれたとは。
しかも、あのドラ焼きを奪い取った速さ……俺よりも速いんじゃないのか?
……とまあ、それはさておき、飛び出てきた女の子は今、実に美味そうにドラ焼きを食べている。
その食べっぷりを見ていると、こっちまで腹が空いてきそうだぜ。
「よぉ、お嬢ちゃん。お嬢ちゃんは一体今までずっと一人だったのかい?」
「……はぐっ、むぐっ…………ん!」
「ここに来たときも一人だったのか? 仲間とか知り合いとかは……」
「むぐっ……んぐっ……んー、おとーさんとおねーちゃんとカルラおねーちゃんとトウカおねーちゃんがいる」
最後の一個を食べきったお嬢ちゃんが手についたアンコやチーズを舐めながら答える。
お父さんにお姉さん……この子は家族を皆連れてこられたってのか。
あのギガゾンビって野郎め……胸糞悪い事しやがるぜ。
「って、こたぁ、お嬢ちゃんは今、その家族を探しているのかい?」
「……ん。アルルゥ、おとーさん探してる」
アルルゥ――それが、この子の名前か。
……それにしても、この子、よく見れば鉄で出来た扇……鉄扇以外は何も持ってないじゃないか。
しかも、服も汚れてるし、顔にも擦り傷が……よっぽどな事があったのかねぇ。
俺はそのつらかったであろう今までの出来事と想像すると、無意識のうちにその子の頭を撫でていた。
「……ふぁ?」
「そうか……。お嬢ちゃんも色々あったんだなぁ」
「……んふ〜」
すると、アルルゥは気持ちよさそうな声を出して俺に擦り寄ってきた。
……おいおいおい、俺は流石にそういった趣味はないぜぇ。
確かにあと十何年かしたら、いい女になりそうだけどよ。
でもま、別に害は無いからかまわないか。
「……何やってんのよ、このロリコン男ぉぉぉ!!」
「うっひゃあ!!」
ま、そんな風に思っていたのも、もう一人のお嬢ちゃんが目覚めるまでだったわけだけどな。


涼宮ハルヒは起きて早々ご立腹だった。
それもそのはずで、目を覚ましてみれば自分が仕留め損ねた男が、小さい女の子の手を出していたのだ。
最初見た時から怪しいとは思っていた。
だけど、まさか幼女に手を出すとは……ハルヒの怒りは意識がはっきりすると同時に爆発した。
「……何やってんのよ、このロリコン男ぉぉぉ!!」
「うっひゃあ〜〜!!」
ハルヒの握り拳は、ルパンの顔をすれすれで通過する。
「よけるんじゃないわよ、この未成年略取男!」
「ちょ、ちょっと待ってくれ――どひゃあ〜!」
ハルヒの拳は意外と素早く、ルパンも驚きつつ避けていった。
「んもう、避けてたら当たらないでしょ! じっとしてなさい!」
「んな、ムチャクチャな」
「問答無用! 食らいなさ――って、え?」
すると、ハルヒとルパンの間に一人の少女が割って入った。――アルルゥだった。
「ちょっと、どきなさい。私はこの男を殴らないといけないんだから!」
「や」
「嫌、じゃないの。とっととどきなさい。でないと……」
「おじさん、お菓子くれたからいい人。だからぶっちゃだめ」
「お菓子くれたからからって……そんな事で信用しちゃって……」
「おいおい、酷い言われようだなぁ。俺は少なくともレディには優しいぜぇ」
「……んー」
ハルヒはルパンとアルルゥの顔を交互に見やると、
「分かったわ。この子に免じて信じてあげる」
頬を膨らませたままだったが、ハルヒはとりあえずルパンを信じることにしたようだった。
……いざとなればどうにでもなる状況のはずなのに、何故かルパンはそれを聞いて心から安堵していた。

50 :従わされるもの ◆lbhhgwAtQE :2006/12/11(月) 03:30:39 ID:r1+BaKHM
とりあえずお嬢ちゃんが落ち着いたところで、俺達は互いに自己紹介も兼ねて情報を交換することにした。
……とりあえず初っ端に俺が、世紀の大怪盗の孫だって事を言ってみたものの、お嬢ちゃん――ハルヒには本の読みすぎって言われ、アルルゥにいたっては知らない、って言われるとはね……少し切なくなったさ。ここだけの話。
んで、本題に入ると、ハルヒも俺やアルルゥ同様に仲間や同級生と一緒にここに連れてこられたことがまず分かった。
要するに、ここにいる連中は、最低でも一人は知り合いがいるようなことになりそうだ。
……知り合い同士を集めて殺し合いたぁ、ますます胸糞悪い。
「……な〜るほどねぇ、つまりお嬢さんはそのSOS団のメンバーを探している、と」
「そうよ! 古泉君はいないけど、あたしたちが集まればどんな困難だって乗り越えられるんだから!」
話を聞く限りじゃ、そのSOS団ってのは高校の部活動レベルの団体っぽいが、ハルヒの強気な言い方を聞くと、どうも本当にそんな気になっちまうなぁ。
……ここはダメ元で聞いてみるとするか。
「……そんじゃあよ、SOS団の中に、こいつを解体できそうな奴ってーのはいたりするかい? いたら頼もしいんだけどなぁ。なぁ〜んて」
俺は首につけられた首輪を指差しながら尋ねる。
ま、そんなこと高校生に任せるようじゃ、俺も地に堕ちたようなもんだけどな――
「勿論、いるわよ!」
「うんうん、まぁそれは仕方がな――って、えぇ!? それホント?」
「あたしが嘘をつくはずないじゃない。本当よ!」
「で、それって……」
「それは勿論、私達よ!」
……は? この嬢ちゃんは一体何を……。
「あたし達SOS団はね、野球大会では常連のチームに勝ったし、パソコンゲームではコンピ研に勝ったし、殺人事件も解決したし、映画だって作ったのよ。そんな私達に掛かれば首輪なんてイチコロよ!」
そこまで言い切るたぁ、余程自信があるのかねぇ。
俺は素直に感心した。このハルヒって嬢ちゃん、仲間をそれだけ信頼してるってことだもんな。
……と、感心してると今度はアルルゥに袖をつかまれたぞ。
「どうした、アルルゥ?」
「おとーさんも頭いい。あと強い。トウカおねえちゃんもカルラおねえちゃんも強いし、おねーちゃんもちょっと怖いけど……」
どーやら、仲間の……いや家族の信頼具合はこっちも同じようだ。
……とかいう俺も、次元や五ェ門、不二子ちゃんにとっつあんなら、やってくれるって信じてるぜ。
やっぱ、仲間ってのは、これくらい信じあえないとな。
「分かった。そんじゃ、さっそく行くとしますか」
「行くって……どこに?」
「街の方にさ。そっちに行けば、誰かに会う確率だって高くなるだろ?」
会うのは知り合いだけじゃなさそうだがな。
「……そ、そうね! あたしも同じことを考えていたのよ、えぇ!」
やれやれ、口の減らない嬢ちゃんだことで。
「……さて、と。そうと決まれば早速――」
「――ちょっと待った!!」
俺が腰を上げようとすると、ハルヒがまた声を張り上げた。
あんまり大声を出して欲しくはないんだけどなぁ。
「……どうしたんだい、嬢ちゃん」
「決めたわ! あなた達をSOS団に特別団員にしてあげる!」
…………何だって?

51 :従わされるもの ◆lbhhgwAtQE :2006/12/11(月) 03:31:35 ID:r1+BaKHM
涼宮ハルヒはいつも唐突だ。
唐突に企画を立ち上げ、団員達(主にキョンとみくるだが)を振り回す。
それも、慣れさえすれば、多少は楽なのだろうが、ここにいるルパンとアルルゥがそれに慣れているはずもなく。
「SOS団の特別団員?」
ルパンが鸚鵡返しに尋ねると、ハルヒは頷く。
「えぇ、特別団員! 本当は北高の部活動だから、あなた達を入れることは出来ないの。だから特別!」
「いや、特別団員って言ってもねぇ、嬢ちゃん――」
「本当なら、団長であるあたし自ら団員を入れることなんか無いんだから感謝しなさいよ!」
ルパンの言葉をハルヒは聞こうとしない。
「……んで、今回のSOS団の活動内容は勿論、こんな下らないゲームを止めて、皆でここを出ること! 分かった?」
ハルヒの勢いに気圧されルパンは喋れなくなるが、ハルヒの言うことには全面的に賛成だった。
だから、あえてルパンは止めようとしなかった。
「あ〜、それにしても、こんな萌え萌えな子がこの世にいたなんてね〜、やっぱり世界は広いのねぇ〜」
そして、ハルヒはそんなルパンをそっちのけで、アルルゥを抱きかかえると頬擦りをする。
「犬風の耳と尻尾に、和風をイメージした衣装、そして何よりロリっ子! 完璧だわ! みくるちゃんと同等……いやそれ以上かもしれないわ!」
「……んふー」
アルルゥは何を言われているかわからなかったが、それでも抱きかかえられ頬擦りされて満足げだった。


やれやれ、俺はとんでもない奴と会っちまったんじゃないか、って今更思い始めてきたぜ。
こんなに気が強くて物怖じしない女、そうお目にかかれないはずだ。
……だが、それだけにこの子の目は本当に決意に満ち溢れている。
俺は、そういう意味では気に入ったね、この嬢ちゃんを。
……って、あれ? 何か嬢ちゃんが近づいてきたぞ?
しかもデイバッグを二つ持って……?
「……そんなわけだから、あなたが荷物持ちね!」
何がそんなわけなんだ、と思う暇も無く。
「だって、あなたしか男がいないんだから仕方ないでしょ! はい、持って!」
押し付けられる荷物を俺はただ、受け取るしか出来なかった。
――って、ちゃっかり日本刀は自分で持ってるわけね。
「それじゃ、さっそくしゅっぱーつ!!」
「お〜!」

……こりゃこれからも大変なことになりそうだぜ。

52 :従わされるもの ◆lbhhgwAtQE :2006/12/11(月) 03:33:17 ID:r1+BaKHM
 【D−6 1日目 黎明】
 【ルパン三世@ルパン三世】
 [状態]:健康 やれやれ SOS団特別団員認定
 [装備]:マテバ2008M@攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(弾数5/6)
 [道具]:支給品一式 エロ凡パンチ・'75年4月号@ゼロの使い魔
 [思考]:1、とりあえずハルヒに従いつつ行動
     2、他の面子との合流
     3、協力者の確保(美人なら無条件?)
     4、首輪の解除及び首輪の解除に役立つ道具と参加者の捜索
     5、主催者打倒

 【涼宮ハルヒ@涼宮ハルヒの憂鬱】
 [状態]:健康 やる気十分
 [装備]:小夜の刀(前期型)@BLOOD+
 [道具]:支給品一式(本人は中身確認済)
 [思考]:1、SOS団のメンバーや知り合いと一緒にゲームからの脱出

 【アルルゥ@うたわれるもの】
 [状態]:健康 満腹 SOS団特別団員認定
 [装備]:ハクオロの鉄扇@うたわれるもの
 [道具]:無し
 [思考]:1:ハルヒ達に同行しつつハクオロ等の捜索
     2:ハクオロに鉄扇を渡す

 ※一行はこれから市街地方向へ移動の予定
 ※ルパンのホテルへ行区という当初の予定はハルヒが目覚めたために保留扱いに

 【カマンベールチーズ入りドラ焼き】
 [状態]:全滅

53 :ムーンマーガレット  1 ◆B0yhIEaBOI :2006/12/11(月) 15:27:45 ID:L+2tXmRp

今夜は月夜。それも、満月。


月明かりの中、山を下って、市街地の方へ走る。
人工的な明かりの無い山中だったけれど、真昼のように――否、真昼以上に辺りのことが良く見えた。
走っている最中に、色々な音が聞こえたし、実際何人かの人も居た。
爆発音、銃声、叫び声、笑い声、泣き声。話し声。
そして、いくつかの人影。一つの場所に留まるものも、移動する者もいる。
でも、今は接触を避けて駆け抜ける。
まずは日中に留まれる拠点と、マスター、ウォルターさんを見つけるのが先決だ。

なんだか、まるでこの山中が小さな箱庭であるかのような錯覚を覚える。
きっと満月の夜というロケーションが、私の五感を昂ぶらせているのだろう。
でも、あの人たち、あれで隠れているつもりなのかしら。

「ふふッ」

自然と笑みがこぼれる。
いけない、今は笑っていられるような状況じゃないのに。
でも、今なら、
ほんのちょび〜〜〜〜〜〜〜〜っとだけ、
……マスターの言う、『闘争』っていう言葉が分かるような気がしてしまう。
正直、今他の人に会いたくないのは、この闘争心、というか、『疼き』のせいでもある。
もし、万が一戦闘になりでもすれば、その時は――
ああ、あんまり認めたくは無いけれど、やっぱり私って吸血鬼なんだなぁ……
 


54 :ムーンマーガレット  2 ◆B0yhIEaBOI :2006/12/11(月) 15:28:33 ID:L+2tXmRp
そして私は、思ったほどの時間も経たない間に市街地の端へと到着した。疲労はほとんど感じない。
取り敢えず、日中に潜めるような場所を探す事にする。
でも、その時、あることに気付いた。

――見られている!

進行方向の、路地裏に誰かがいる。今は姿も完全に隠れているけれど、確実に今もそこにいる。
『私には、わかる』
でも、私の進行方向にいて、私が行くのを分かっているのに姿を現さない。
……ということは、待ち伏せ?
なら、あそこに隠れているのは、殺し合いを好む殺人鬼、ということなのだろうか?
それなら、戦闘を避けようとしても、狙われてるわけだから、迂闊に逃げるのは危険かな……


って、冗談じゃない!
そっちが殺人鬼なら、こっちは吸血鬼だっつーの!
相手がその気なら、こっちから仕掛けてやる。先手必勝。取り敢えず、先に押さえ込んでしまおう。
私は勢いで今までの思考をひっくり返し、路地に向かって走り出した。
我ながら、今夜は好戦的だなぁ。

「止まれッ!」

私が走り出した直後、男は路地から姿を現した。
顔にはマスク、いや暗視ゴーグルを着けている。このせいで私は発見されてしまったのか。
男が、黒い何かを私の顔に突き出す。
――銃!?危ない!!
作戦変更、とりあえずぶん殴って大人しくさせてしまえ!!

「――警察だッ!!」  
 


55 :ムーンマーガレット  3 ◆B0yhIEaBOI :2006/12/11(月) 15:29:44 ID:L+2tXmRp
「へっ!?」
よく見れば、手にしているのは警察手帳。や、やばっ止まらな――――

ズゴォン!!







「……ご、ごめんなさい……」
「……寿命が3年は縮まったよ」
彼の頬スレスレを通過して、私の拳は彼の背後の壁にめり込んでいた。
……ギリギリセーフ、結果オーライ!?



†   †   †   †   † 


56 :ムーンマーガレット  4 ◆B0yhIEaBOI :2006/12/11(月) 15:30:49 ID:L+2tXmRp

「ごめんなさい!ごめんなさい!本当にごめんなさい!!」
「ああ、もういいって。お互い怪我も無かったんだしさ」
「で、でも……ごめんなさい!」

あの後私は、衝撃音を誰かに聞かれたかもしれない、ということで、あの場所から歩き出したのだった。
この男と一緒に。男の名は――
「あれ、そういえばお名前聞いてませんでしたね。私はセラス・ヴィクトリア。セラスと呼んで下さい」
「俺はトグサ――トグサでいい」
「わかりましたトグサさん。そういえばトグサさんも警察官なんですか?」
「ああ、一応ね。君も警察官なのかい?」
「あ、はい!でも今は警察官というか特殊情報機関員と言うか……あ゛」

うっかり機密を漏洩してしまった。トグサは苦笑しているようだ。
「ハハ、今のは聞かなかったことにしとくよ……その代わりと言っちゃなんだが、2、3聞かせて欲しいことがあるんだけど」
「え?ええ、何ですか?」
「セラスは何処に向かってたんだ?実は暫くの間尾行してたんだが……まさか見つかるとは思って無かったがな。油断したよ。
観察していた観想だが、セラスは何か探し物か、探し人でもいるのか?」

――え゛……そうだったのか。気付かなかった。全ての人を感知できていたワケではなかったのか。私こそ油断していた……
「いえ、私、ちょっと日の光に弱い体質でして……で、日中を過ごせる場所を探していたんです。あと、私の仲間も」
「へぇ、まるでドラキュラじゃないか。変わったタイプの義体だな」
まるで、というか、そのものなんデスけど……


57 :ムーンマーガレット  5 ◆B0yhIEaBOI :2006/12/11(月) 15:31:41 ID:L+2tXmRp
「でも、トグサさんは何をするつもりだったんですか? ハッ、まさか、ストーカー……」
「おいおい、失礼なこと言うなよ。セラスが生身とは思えないスピードで市街地に入ってきたから、念のため様子を伺ってただけさ。
一応言っとくけど、俺の目的は……とりあえず情報収集ってところだな。参加者、この世界、それらについての多元的、多面的な情報を集めたい」
「あれ?トグサさんはお仲間とかはいらっしゃらないんですか?」
「いるよ。でも合流は後回しだ。今は先に集められるだけ情報を集めたい」
「ど……どうしてですか?お仲間さん達は心配じゃないんですか?」
「ないよ」
トグサはあっさり言い切った。

「ええ!?それちょっと酷くないですか!?」
「大丈夫さ。俺の同僚はそう簡単にくたばるようなタマじゃ無いしな。
それどころか、多分ほっといても、今回の状況の収拾をつけるための各自にとって最善の行動を取るはずだ。
恐らく、他参加者の掌握、殺し合いに乗る奴の制圧なんかはあいつらに任せておけば大丈夫だろう。
なら俺は、今俺にしか出来ないことをやるべきだ。だから、取り敢えずは情報を集めて、あいつらのサポートに徹することにする。
なに、嫌でもそのうち合流できるさ。」

ヤバ、なんだかちょっとカッコよかった。中年ストーカーからかなりのランクアップだ。
「信頼……してるんですね」
「そう、かもな。それにうちのボスが口酸っぱくして言ってるんだよ。

『我々の間にチームプレイなどという都合のいい言い訳は存在しない。 必要なのはスタンドプレーの結果として生じるチームワークだけだ』

――ってな。だから、俺は俺の考えるベストをするだけさ」
「……なんだか私のところのボスとちょっと似てる気がします」
「ハハ、お互い厄介なボスに当たったもんだな」
「同感です!」
厳しい上司を持つと苦労する。この点に関しては深く共感できた。
絶対私のボスの方がタチが悪いけど(マスターは別格)。


58 :ムーンマーガレット  6 ◆B0yhIEaBOI :2006/12/11(月) 15:32:39 ID:L+2tXmRp
「だから、とりあえず今は情報……特に情報端末を探したいところだな。ライフラインの有無も確認したい。
あと、何らかの通信設備もあれば言うことはないんだが」
「でしたら、とりあえずホテルの方に行きますか?そこでしたら一通りの設備は整ってるでしょうし……
あっ、ホテルで今いかがわしいこと考えませんでしたか!?」
「思ってね〜よ。これでも妻子持ちなんだよ、俺は!」


――と言うことで、暫くの間、私はトグサさんと行動を共にすることになりました。
そういえばトグサさんのお仲間の名前を聞けなかったり、逆にこっちの情報をペラペラ喋ってしまったりした気もしますが、
とりあえず悪い人ではないみたいだし、むしろ、ちょっと頼りになるかもしれません。
いろいろと心配事(主に私の知り合いに関して)もありますが、なんとか今回の事件解決に向けて頑張って行こうと、
改めて心に誓った私でした。



「トグサさん……きっと、何とかなりますよね?」


「当たり前だろ。俺達九課を巻き込んじまったのが、奴さんの運の尽きさ」




59 :ムーンマーガレット  7 ◆B0yhIEaBOI :2006/12/11(月) 15:34:03 ID:L+2tXmRp
【D-6:市街地・1日目 黎明】
【セラス・ヴィクトリア@ヘルシング】
[状態]: 健康、満月で絶好調。
[装備]: エスクード(風)@魔法騎士レイアース
[道具]: 支給品一式 (バヨネットを包むのにメモ半分消費)、バヨネット@ヘルシング
[思考・状況] 1:トグサと同行し、ホテルへ向かう。そして、ホテルを拠点として確保。
2:アーカード、ウォルターと合流
3:ドラえもんと接触し、ギガゾンビの情報を得る
※ドラえもんを『青いジャック・オー・フロスト』と認識しています。

【トグサ@攻殻機動隊S.A.C】
[状態]: 健康
[装備]: 暗視ゴーグル(望遠機能付き)
[道具]: 支給品一式、警察手帳(元々持参していた物)、支給アイテム×1(詳細不明、トグサ本人は確認済み)
[思考・状況] 1:ホテルに向かい、情報収集
2:通信設備の発見、確保。情報ネットワークの形成。
3: 機会があれば九課メンバーと合流。
※他メンバーの行動の妨げにならないよう、他メンバーについての情報は漏らさないつもりです。
※セラスのことを、強化義体だと思っています。


※セラス達はルパン一向よりも先にD-6市街地に侵入しています。


60 :NAIL TRAPE-キュートな悪魔- ◆colbOqlL7. :2006/12/11(月) 19:38:47 ID:iPyHi4mH
二人は防波堤に腰を落ち着けて座っていた。目の前の森は月明かりだけが照らしている。

「ちょっと待って・・・じゃああんたってトゥスクルって国の王様?」
仮面の青年の自己紹介に少年は驚く。
「ええ。名前はハクオロと申します。してそなたは?」
ハクオロは少年にも名前を尋ねる。
「俺は平賀才人です。でも凄いなあ。王様って・・・」
才人にとって王様は珍しいわけではなかった。
だがどうも才人の周りの貴族はわがままや自己中心的な人間が多い。
アンリエッタは優しいがどこかピントがずれている節がある。
だからハクオロのような穏やかで丁寧でしかも危険を顧みず自分を守ろうとした。
そんな王は新鮮だった。

驚いたな。わがままじゃない人もいるのか。
才人は素直に関心してしまった。

「いえいえ。そんな凄いことでは。才人こそ先ほどの赤い服の男との戦闘。見事でしたよ」
ハクオロも才人を称える。
先ほどのあの男との一戦を見た限りでは決して彼はただの子供では無いと感じた。

「それより」
ハクオロは表情を変えて(仮面のためにはっきりは分からないが目で何となくそんな気がした)才人に尋ねる。
「先ほどの剣。それはいったい?」
ハクオロは疑問を口にした。さきほど特殊な効果と言われたがそれで納得できるわけは無い。
才人の剣。つい先ほど赤い服の男を一戦を交えた際に腕を斬った。だが今自分のバックに入ってる腕からは一滴も血が流れていない。
それどころか落ちていた木の葉を切断面にくっつけても血が全くつかない。
ありえない話だった。

妖術の類か。それとも先ほどの男はこの世の生き物ではないのか?
ハクオロはそんな疑問さえ抱いていた。

「これはですね。斬ってもこののりでくっつくみたいです。不思議ですけど」
才人はハクオロの問いに簡潔明瞭に答える。だがそれはハクオロを一層混乱させていた。
「・・・そんなことが」
ありえない話だ。自分は戦の過程で武士の腕や足が切られるのは何度も見た。
だがそれは絶対に結合など不可能だった。そのわけの分からない『のり』でくっつく。

いくらなんでもとっぴ過ぎた。
・・・だが現に腕からは一滴も血が流れていない。
その怪奇現象のためにハクオロは未だに先ほどの赤い服の男の腕を捨てきれずにいた。


61 :NAIL TRAPE-キュートな悪魔- ◆colbOqlL7. :2006/12/11(月) 19:40:06 ID:iPyHi4mH
「ところでさ。俺も名簿と支給品と地図見て良い?見る暇無かったから」
才人は一応ハクオロに確認を取る。
「あっ。すまない。分かった」
ハクオロは考え事の最中に不意をつかれ少し声が裏返りながらも了承する。
才人はハクオロの裏返り声にはあまり気にせずに、まずは名簿から目を通す。
「えっと・・・」
才人は名簿を見る。
だがすぐにルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの名前を見つける。
長い名前なのが助かった。

だけどギガゾンビもよく正確にフルネームで書いたな。
それだけは凄いぜ。・・・でもまあルイズのことだ。
・の位置一つでも間違えていたら怒って何をやらかすか分からないし。
ギガゾンビって人もきっとそれを配慮したのだろう。意外とマメだな。
才人はギガゾンビにおかしな感想を持ってしまう。

・・・そしてそのすぐ下にはタバサの名前も。
自分とルイズとタバサ。三人だけだ。
アンリエッタもシエスタもキュルケもモンモンもギーシュも居ない。三人だけ。
才人は少し安心した。
アンリエッタは戦いにはまずむかない。シエスタもきっとあっさり殺されてしまうだろう。
だがルイズは意外と気が強い。タバサも無口だけど魔法は結構使える。
きっと自分が行くまでは無事で居てくれるはず。
それを信じたかった。

「・・・支給品は何かあるかな・・・」
才人とバックをあけて名簿と入れ替わりに中身を探す
さっきは焦ってたが何か無いか・・・。
「んっ?」
才人は探して居るとチャンバラ刀ののりの陰に隠れて見損じていたが大きなリボルバーの銃が出てきた。
「これは・・・」
それは銃身がやたら長い銃だ。
才人は試しに五メートルほど離れた木に向かって発砲する。
・・・
巨大な銃声が響いた。そして銃弾は狙った木の隣の木にめり込んでいる。
「何だ今のは?それも魔法の一種か?」
ハクオロは先ほどの銃声に驚く。
その前に自らが放った魔法の杖もそうだがありえないことが多すぎる。
「・・・いえ。これは火薬の力で鉄を飛ばす物です。・・・でも」
才人の手はびりびりとしびれていた。
そして思った。
これは使えない。
元々剣を主な武器としているのもあるが銃は苦手だ。
才人は銃を銃として使うの諦める。銃身が長いから刃物対策には使えると考えた。
そしてもっと使いやすい支給品が無いか調べる。そして見つけた。最悪の支給品を。

62 :NAIL TRAPE-キュートな悪魔- ◆colbOqlL7. :2006/12/11(月) 19:43:20 ID:iPyHi4mH
「なっ!・・・どうし・・・て」
才人は最後の支給品に驚愕した。ある意味で最悪の支給品だった。
それは漆黒のボディスーツ、漆黒の鞭、漆黒の目隠し、等で構成されたSM嬢の衣装だったのだ。
しかも明らかに胸が小さく、慎重も160センチ弱の人用のサイズだった。
つまりルイズにぴったりのサイズだったのだ。
士郎は強く思った。
ギガゾンビはルイズのストーカーに違いない。
名前が正確なこともストーカーなら当たり前だ。
しかも名簿順は使い魔の自分がルイズより前。
ルイズがそれに怒り喧嘩するのも計算に入れての所業。根暗のストーカーなら当たり前だ。
そこにサイズぴったりのそれもルイズの性格にまでピッタリの衣装。これが作為的でなくて何なんだ。
そもそも最初の少女の爆発だって幻覚なだけかもしれない。魔法ならそれぐらい簡単だ。
あの赤い服の男はギガゾンビに雇われたのかもしれない。ルイズと距離が近い自分を殺してそして・・・。


その後才人がギガゾンビの間違った方向への解釈は書ききれないので割合。


「・・・じゃあ次は地図で・・・」
才人はルイズが着ると自分が痛い目にあう。
ある意味では機関銃より危険なSM嬢セットをバックに戻すと地図を広げた。

えっと。ここは防波堤沿いか。林が目の前にあるからH-2の方か。
・・・そういえばさっき観覧車が倒れたよな。誰だよ。赤い服の奴以外にも殺し合いに参加する奴居るのかよ。
ここは遊園地を避けたほうが良いな。
中心部へ行くなら二つ道があるけどどっちから行くべきか。
駅から電車なら時間的には速いけど・・・ルイズが電車を知ってるわけ無いしな。まさか線路を歩いて轢かれては・・・。
・・・・・・でもいくらなんでもそんな間抜けな死に方はしないよな。コントじゃないんだし。
はあ・・・ハクオロも電車は知らないみたいだしルイズみたいに別の世界の人間なのか?
そういえばあの部屋には青い狸みたいなのやロボットもいたし。
それにハクオロが王の国というトゥスクルも聞いたことがない。
いったい俺の知らない世界っていくつ有るんだろ・・・。
才人は少し感傷気味にふける。だが一瞬で立ち直り考えを纏めた。
でも俺の知り合いも歩道の方で移動してそうだし・・・決めた。

「ハクオロ。この地図だけど・・・ここから移動しようか」
才人はハクオロに自分の意思を伝える。
「んっ。やはりそうか」
ハクオロも才人の指した指に頷く。
「ああ。このF-2の歩道から中心部に。ハクオロの仲間の人もこの道で移動していると思うし」
「この駅という物が良く分からないが・・・。そうだな。エルルゥやアルルゥも分からないものは使わないだろう」
ハクオロも才人も意見が重なった。
まっすぐ北上して歩道へ出る。そして中心部へ。
それが共通意識になった。
そしてそのために二人は林へと歩を進める。

63 :NAIL TRAPE-キュートな悪魔- ◆colbOqlL7. :2006/12/11(月) 19:44:41 ID:iPyHi4mH
うふふ。獲物が二人か。さっきの女は一人だったから駒にしたけど二人ならしょうがないわね。殺しちゃえ。

朝倉涼子は林の影から発見した。男二人。
どっちも剣は持っている。だがこっちにはまるで気付いていない。

ふふふ。最初に仮面の人を殺してから混乱してる男の子も殺そうかな。反応次第で駒にしても良いけど。
朝倉涼子は標的を定めると弓を構える。
弓がしなる音が鳴る。
矢はハクオロの方に完全に向いている。
だがその弓矢は射るより早く男の声が響く。
「そこにいるのは誰だ?」
ハクオロは影に隠れた女に声をかけた。
「えっ!?」
才人はハクオロの声に驚き動きがフリーズする。
「才人。あそこだっ!」
ハクオロは朝倉が潜む陰を指差した。
「えっ!!」
朝倉も驚く。
そしてそのまま手がピクッと反応して矢を放してしまう。
ハクオロはそれを読んでいたのか予め体を横に一歩体を移動させて矢を回避してしまう。
「弓矢・・・敵かよ」
才人も弓矢にはかなり驚く。
赤い服の男に襲われた時の疲労は若干戻ったとはいえ精神的にはまだ休まっていない。

そんな。完全に無防備だったはず。どうして・・・
朝倉は少しだけ驚く。

「弓がしなる音が聞こえた。聞きなれた音だ。そして凄まじい殺気。気付かないわけがない。さあ出てきなさい」
ハクオロは林の影の主に姿を見せるように促す。

しかたないですわ。やっぱり弓矢は苦手です。
朝倉は決断するが早いが弓を捨て矢だけを五本束ねて右手に持ち、二人の前に現れた。
「始めまして。あなた達は誰ですか?」
朝倉は丁寧な口調で話す。いつもの委員長の口調でだ。
「それならまずはそなたから名乗るのが筋というものだ」
ハクオロは毅然とした態度で応える。
「良いんですよ私は。それよりあなた方はピンク色の長い髪の女性を知っていますか。黒いスカートに白いシャツを着ています」
朝倉は淡々と委員長スマイルの笑顔で話す。才人の方にさりげなく目線を向けて。
「えっ!」
才人は驚く。ピンクの長い髪。黒いスカート、白いシャツ。ルイズの特徴に酷似していた。
「・・・・・・なっ・・・なあ・・・そのピンクの髪ってウェーブ掛かってた?」
才人は少し声が引きつりながらも聞いた。
「うーん。どうだったかなあ。・・・うんっ。たしかしてた。『サイトォ』って叫んでた。すっごく怯えてたよ」
朝倉は笑顔で少しルイズの口真似をしてみせた。とても楽しそうに。語尾にハートマークが付くように。
「・・・なっ・・・なあ。・・・その・・・子ど・・・こ?」
才人はほとんど震える唇で必死に朝倉に問いかけた。才人の目は凄く頼りなかったかもしれない。
「えへへ。これ。なーんだ」
朝倉は満面の笑顔でルイズからむしりとった爪を取り出す。
「!・・・そ・・・れ」
サイトはそれを見て顔が青く凍りつく。

64 :NAIL TRAPE-キュートな悪魔- ◆colbOqlL7. :2006/12/11(月) 19:45:47 ID:iPyHi4mH
しょうがないですね。このままじゃどうせ負けちゃいます。
朝倉は一度バックステップで距離をとると野球のサイドスローの要領で矢を投げる。
「なっ!?」
ハクオロは何とか矢を捌く。だがその隙に朝倉は全速力で逃走を図る。
「待てっ・・・くそ」
ハクオロは追おうとするが思いとどまる。
才人が座り込んだまま動かない。
一度ハクオロは朝倉涼子の出てきたところに向かいドリィやグラァの弓矢なのかを確認し再び戻る。
「・・・才人。・・・大丈夫か」
ハクオロは才人を優しく励ます。
「・・・ばかやろ」
才人は小さく呟く。
「えっ?」
ハクオロは聞き取れなかった。
「ばかやろー。ルイズは俺の主だー。さっきの女ー絶対に許さねーぞー!!!」
才人はすくっと立ち上がりそして大声を張り上げ朝倉の逃げた方向に叫んだ。自分を鼓舞するように。必死に。搾り出すように。
「・・・気が済んだか?ではいくぞ。そなたのルイズ、私のエルルゥやアルルゥが待っている」
才人が一瞬で立ち直ったのに驚きながらもハクオロは微笑みかける。
「ルイズを探すよ。タバサも元の世界に送り届けてやらねーと。俺が・・・絶対」
才人の目は怒りと決意に燃えていた。
自分がいないと何も出来ないルイズ。そして友達のタバサ。二人は絶対に守る。それが才人を奮い立たせる。

ハクオロは才人の心配するルイズという少女のことも気がかりだった。
あの女。なぜ爪だけ?殺したのならもっと別の物の方が・・・。
ハクオロは朝倉の行動に少し疑問を持っていた。
二人は再度北上する。


【G-2の林・1日目 黎明】
【平賀才人@ゼロの使い魔】
[状態]:全身にかすり傷。(痛みは無い)。大声を張り上げたために少し喉に痛み。朝倉に対しての激しい怒り。
[装備]:チャンバラ刀、カトラス/残弾5、
[道具]: チャンバラ刀専用のり、予備弾丸24、SM嬢セット一式(ルイズにぴったり)、ルイズの左手中指の爪、支給品一式
[思考・状況]
1、ルイズのもとに向かう(生存を信じる。赤い服の男に教われないかも心配。無事ならずっと傍に・・・)
2、タバサとも合流。(朝倉か赤い服の男に襲われる前に守る)
3、歩道から中心部へ。
4、ルイズの状況次第では朝倉涼子を殺す。

注:才人はカトラスを接近戦の鈍器として使うつもりです。

【ハクオロ@うたわれるもの】
[状態]:健康。
[装備]:オボロの日本刀、破壊の杖(M72ロケットランチャー)/残弾0、弓矢/残数4
[道具]: アーチャーの右腕、支給品一式
[思考・状況]
1、エルルゥたちを探す。
2、北上して歩道から中心部へ。
3、次こそマーダー化したものを捕らえ、凶行を阻止する。
4、弱者は救済し、このゲームを止める。
5、ルイズという少女の爪だけを見せた朝倉の真意を知りたい。

注:ハクオロは弓矢の使用経験はありません。

65 :NAIL TRAPE-キュートな悪魔- ◆colbOqlL7. :2006/12/11(月) 19:46:35 ID:iPyHi4mH
朝倉は何度も全力で走った。
とてもじゃないがあのままやれば、
もし才人を殺せば逆に本気を出され殺された恐れがあった。
その上追い詰めたはずの才人の雄たけびが先ほど耳に届いた。
ありえない。あれだけ追い詰めて瞬時に復活。あれがあの女の男サイト。
許さないです。絶対に殺してあげます。
朝倉は迷い考えそして行動を決めた。
「そうですね。やっぱり最初が楽すぎたのがいけません。次は弱い人から武器を奪ってからです」
朝倉涼子は再び優等生スマイルを完全に取り戻し行動を決めた。


【H-2の林・1日目・黎明】
【朝倉涼子@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:全力疾走による若干の疲労。手足の複数の切り傷(傷は浅い)
[装備]:SOS団会長のワッペン
[道具]: 無し(支給品は逃走最優先のために放置)
[思考・状況]
1、とりあえず防波堤に向かいそこから遊園地へ向かう。(観覧車倒壊時間林内に居たため惨状を知らない)
2、強い武器を持った弱い人間を狙い武器を奪う。
3、武器の無い人間と強そうな人間はリスク回避のため一時的に放置
4、キョンを殺して涼宮ハルヒの出方を見る。
5、人数を減らしていく上で、世界と涼宮ハルヒにどんな変化が起こるかを観察する。
6、5を実行するため、涼宮ハルヒの居場所だけでも特定したい。
7、サイトと仮面の男を殺してあげる。

ハクオロが弓矢以外の支給品に手を付けなかったためにG-2の林内には朝倉涼子の支給品が放置されています。
才人の雄たけびは周囲1マスで聴力が高い人のみ、かすかに聞こえた可能性もあります。


66 : ◆colbOqlL7. :2006/12/11(月) 20:01:17 ID:iPyHi4mH
訂正
>>62
士郎は強く思った×
才人は強く思った○
です。

67 :NAIL TRAPEーキュートな悪魔ー修正版 ◆colbOqlL7. :2006/12/11(月) 21:56:45 ID:iPyHi4mH
二人は防波堤に腰を落ち着けて座っていた。目の前の森は月明かりだけが照らしている。

ハクオロが先ほど使用した破壊の杖は既に自分のバックにしまっている。
才人の説明によってあれは一回こっきりの代物だと分かったからだ。
刀が無ければ鈍器で活用しようとしていた。
だがオボロの刀が有る以上は重量を考えても手で持つ必要は無かった。

そして二人は互いの自己紹介を始める。
「ちょっと待って…じゃああんたってトゥスクルって国の王様?」
仮面の青年の自己紹介に少年は驚く。
「ええ。名前はハクオロと申します。してそなたは?」
ハクオロは少年にも名前を尋ねる。
「俺は平賀才人です。でも凄いなあ。王様って・・・」
才人にとって王様は珍しいわけではなかった。
だけどどうも才人の周りの貴族はわがままや自己中心的な人間が多い。
アンリエッタは優しいがどこかピントがずれている節がある。
だからハクオロのような穏やかで丁寧でしかも危険を顧みず自分を守ろうとした。
そんな王は新鮮だった。

驚いたな。わがままじゃない人もいるのか。
才人は素直に関心してしまった。

「いえいえ。そんな凄いことでは。才人こそ先ほどの赤い服の男との戦闘。見事でしたよ」
ハクオロも才人を称える。
先ほどのあの男との一戦を見た限りでは決して彼はただの子供では無いと感じた。

「それより」
ハクオロは表情を変えて(仮面のためにはっきりは分からないが目で何となくそんな気がした)才人に尋ねる。
「先ほどの剣。それはいったい?」
ハクオロは疑問を口にした。さきほど特殊な効果と言われたがそれで納得できるわけは無い。
才人の剣。つい先ほど赤い服の男を一戦を交えた際に腕を斬った。
だが今自分のバックに入ってる腕からは一滴も血が流れていない。
それどころか落ちていた木の葉を切断面にくっつけても血が全くつかない。
ありえない話だった。

妖術の類か。それとも先ほどの男はこの世の生き物ではないのか?
ハクオロはそんな疑問さえ抱いていた。

「これはですね。斬ってもこののりでくっつくみたいです。不思議ですけど」
才人はハクオロの問いに簡潔明瞭に答える。だがそれはハクオロを一層混乱させていた。
「…そんなことが」
ありえない話だ。自分は戦の過程で武士の腕や足が切られるのは何度も見た。
だがそれは絶対に結合など不可能だった。そのわけの分からない『のり』でくっつく。

いくらなんでもとっぴ過ぎた。
…だが現に腕からは一滴も血が流れていない。
その怪奇現象のためにハクオロは未だに先ほどの赤い服の男の腕を捨てきれずにいた。

68 :NAIL TRAPEーキュートな悪魔ー修正版 ◆colbOqlL7. :2006/12/11(月) 21:57:35 ID:iPyHi4mH
「ところでさ。俺も名簿と支給品と地図見て良い?見る暇無かったから」
才人は一応ハクオロに確認を取る。
「あっ。すまない。分かった」
ハクオロは考え事の最中に不意をつかれ少し声が裏返りながらも了承する。
才人はハクオロの裏返り声にはあまり気にせずに、まずは名簿から目を通す。
「えっと…」
才人は名簿を見る。
すぐにルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの名前が見つかった。
長い名前なのが助かった。

だけどギガゾンビもよく正確にフルネームで書いたな。それだけは凄いぜ。・・・でもまあルイズのことだ。
・の位置一つでも間違えていたら怒って何をやらかすか分からないし。
ギガゾンビって人もきっとそれを配慮したのだろう。意外とマメだな。
才人はギガゾンビにおかしな感想を持ってしまう。

…そしてそのすぐ下にはタバサの名前も。
自分とルイズとタバサ。三人だけだ。
アンリエッタもシエスタもキュルケもモンモンもギーシュも居ない。三人だけ。
才人は少し安心した。
アンリエッタは戦いにはまずむかない。シエスタもきっとあっさり殺されてしまうだろう。
だけどルイズは意外と気が強い。タバサも無口だけど魔法は結構使える。
きっと自分が行くまでは無事で居てくれるはず。
それを信じたかった。

「…支給品は何かあるかな…」
才人とバックをあけて名簿と入れ替わりに中身を探す
さっきは焦ってたが何か無いか…。
「んっ?」
才人は探して居るとチャンバラ刀ののりの陰に隠れて見損じていたが大きなオートマチックの銃が出てきた。
「これは…」
それは銃身が少し長めの銃だ。
才人は試し撃ちをするか考えた。
だが先ほどロケットランチャーの爆音が響いたのだ。
今さら銃声一つで大勢が変わるとは思えない。
それより銃の威力を確認したかった。
才人は五メートルほど離れた木に向かって発砲する。
先ほどロケットランチャーの炸裂音が響いたのだ。

一つの銃声が響いた。そして銃弾は狙った木の隣の木にめり込んでいる。
「何だ今のは?それも魔法の一種か?」
ハクオロは先ほどの銃声に驚く。
その前に自らが放った魔法の杖もそうだがありえないことが多すぎる。
「…いえ。これは火薬の力で鉄を飛ばす物です。…でも」
才人の手はびりびりとしびれていた。
そして思った。
これは使いにくいな。
元々剣を主な武器としているのもあって銃は苦手だ。
才人は銃を銃として使うの諦める。銃身が長いから刃物対策には使えると考えた。
そしてもっと使いやすい支給品が無いか調べる。そして見つけた。最悪の支給品を。

69 :NAIL TRAPEーキュートな悪魔ー修正版 ◆colbOqlL7. :2006/12/11(月) 21:58:34 ID:iPyHi4mH
「なっ!…どうし…て」
才人は最後の支給品に驚愕した。ある意味で最悪の支給品だった。
それは漆黒のボディスーツ、漆黒の鞭、漆黒の目隠し、等で構成されたSM嬢の衣装だったのだ。
しかも明らかに胸が小さく、慎重も160センチ弱の人用のサイズだった。
つまりルイズにぴったりのサイズだったのだ。
才人は強く思った。
ギガゾンビはルイズのストーカーに違いない。
名前が正確なこともストーカーなら当たり前だ。
しかも名簿順は使い魔の自分がルイズより前。
ルイズがそれに怒り喧嘩するのも計算に入れての所業。根暗のストーカーなら当たり前だ。
そこにサイズぴったりのそれもルイズの性格にまでピッタリの衣装。これが作為的でなくて何なんだ。
そもそも最初の少女の爆発だって幻覚なだけかもしれない。魔法ならそれぐらい簡単だ。
あの赤い服の男はギガゾンビに雇われたのかもしれない。ルイズと距離が近い自分を殺してそして…。


その後才人がギガゾンビの間違った方向への解釈は書ききれないので割合。


「…じゃあ次は地図で…」
才人はルイズが着ると自分が痛い目にあう。
ある意味では機関銃より危険なSM嬢セットをバックに戻すと地図を広げた。

えっと。ここは防波堤沿いか。林が目の前にあるからH-2の方か。
…そういえばさっき観覧車が倒れたよな。誰だよ。赤い服の奴以外にも殺し合いに参加する奴居るのかよ。
ここは遊園地を避けたほうが良いな。
中心部へ行くなら二つ道があるけどどっちから行くべきか。
駅から電車なら時間的には速いけど・・・ルイズが電車を知ってるわけ無いしな。まさか線路を歩いて轢かれては…。
……でもいくらなんでもそんな間抜けな死に方はしないよな。コントじゃないんだし。
はあ…ハクオロも電車は知らないみたいだしルイズみたいに別の世界の人間なのか?
そういえばあの部屋には青い狸みたいなのやロボットもいたし。
それにハクオロが王の国というトゥスクルも聞いたことがない。
いったい俺の知らない世界っていくつ有るんだろ…。
才人は少し感傷気味にふける。だが一瞬で立ち直り考えを纏めた。
でも俺の知り合いも歩道の方で移動してそうだし…決めた。

「ハクオロ。この地図だけど…ここから移動しようか」
才人はハクオロに自分の意思を伝える。
「んっ。やはりそうか」
ハクオロも才人の指した指に頷く。
「ああ。このF-2の歩道から中心部に。ハクオロの仲間の人もこの道で移動していると思うし」
「この駅という物が良く分からないが…。そうだな。エルルゥやアルルゥも分からないものは使わないだろう」
ハクオロも才人も意見が重なった。
まっすぐ北上して歩道へ出る。そして中心部へ。
それが共通意識になった。
そしてそのために二人は林へと歩を進める。

70 :NAIL TRAPEーキュートな悪魔ー修正版 ◆colbOqlL7. :2006/12/11(月) 21:59:41 ID:iPyHi4mH
うふふ。獲物が二人か。どうしよっか。さっきの女は一人だったから駒にしたけどね。
でも二人ならしょうがないよね。もっと増えたらいろいろ困っちゃうし。
でもさっき銃声が響いた気もしたんだけど。爆発音も…持ってないし別人か。殺しちゃお。

朝倉涼子は林の影から発見した。男二人。
どっちも剣は持っている。だがこっちにはまるで気付いていない。

ふふふ。最初に仮面の人を殺してから混乱してる男の子も殺そうかな。反応次第で駒にしても良いけど。
朝倉涼子は標的を定めると弓を構える。
弓がしなる音が鳴る。
矢はハクオロの方に完全に向いている。
だがその弓矢は射るより早く男の声が響く。
「そこにいるのは誰だ?」
ハクオロは影に隠れた女に声をかけた。
「えっ!?」
才人はハクオロの声に驚き動きがフリーズする。
「才人。あそこだっ!」
ハクオロは朝倉が潜む陰を指差した。
「えっ!!」
朝倉も驚く。
そしてそのまま手がピクッと反応して矢を放してしまう。
ハクオロはそれを読んでいたのか予め体を横に一歩体を移動させて矢を回避してしまう。
「弓矢…敵かよ」
才人も弓矢にはかなり驚く。
赤い服の男に襲われた時の疲労は若干戻ったとはいえ精神的にはまだ休まっていない。

そんな。完全に無防備だったはず。どうして・・・
朝倉は少しだけ驚く。

71 :NAIL TRAPEーキュートな悪魔ー修正版 ◆colbOqlL7. :2006/12/11(月) 22:00:24 ID:iPyHi4mH
「弓がしなる音が聞こえた。聞きなれた音だ。そして凄まじい殺気。気付かないわけがない。さあ出てきなさい」
ハクオロは林の影の主に姿を見せるように促す。

はあ。失敗か。やっぱり弓矢は苦手です。
でもさっきサイトって…うふ。私運が良いのかも。
朝倉は決断するが早いが弓を捨て矢だけを五本束ねて右手に持ち、二人の前に現れた。
「始めまして。あなた達は誰ですか?」
朝倉は丁寧な口調で話す。いつもの委員長の口調でだ。
「それならまずはそなたから名乗るのが筋というものだ」
ハクオロは毅然とした態度で応える。
「…うふ。良いわ。それより。…これって一人しか生き残れないのよ。どうして二人で居るのかな?」
「そんなこと決まっている。あの男を退治し、全員で生き延びるためだ」
朝倉の問いにハクオロは迷うことなく応える。
「…そう。でもね。私は思うの。有機生命体の死の概念って実は分からないんだ。だからね。生きるのに執着するのも
ちょっとピンと来ないの。それにね。涼宮さんがどんな反応をするのかも見たいわ。人が死んでどんな反応を示すのか」
朝倉は笑顔で話し続ける。
「待て。その涼宮というものは?」
ハクオロは聞かぬ名前を出したことに謎を覚え問いかける。
「…それよりあなた達。ピンク色の長い髪の女性って知ってる。黒いスカートに白いシャツを着てたよ。」
朝倉は淡々と委員長スマイルの笑顔で話す。才人の方にさりげなく目線を向けて。
「えっ!」
才人は驚く。ピンクの長い髪。黒いスカート、白いシャツ。ルイズの特徴に酷似していた。
「……なっ…なあ…そのピンクの髪ってウェーブ掛かってた?」
才人は少し声が引きつりながらも聞いた。
もしルイズなら…先ほどの発言と照らし合わせても嫌な汗が流れる。
「うーん。どうだったかなあ。…うんっ。たしかにしてたよ。『サイトォ』って叫んでた。すっごく怯えてたよ」
朝倉は笑顔で少しルイズの口真似をしてみせた。とても楽しそうに。語尾にハートマークが付くように。
「…なっ…なあ。…その…子ど…こ?」
才人はほとんど震える唇で必死に朝倉に問いかけた。
怯えてた。それがドンドン嫌な方向に思考を加速させる。
才人の目は凄く頼りなかったかもしれない。
「えへへ。これ。何かな?」
朝倉は満面の笑顔でルイズからむしりとった爪を取り出す。
「!…そ…れ」
サイトはそれを見て顔が青く凍りつく。

72 :NAIL TRAPEーキュートな悪魔ー修正版 ◆colbOqlL7. :2006/12/11(月) 22:01:55 ID:iPyHi4mH
ルイズが死んだ?
死んでなくてももう無事ではいない。プライドの高いルイズが・・・。もう正気ではいないかもしれない。
才人は顔面蒼白になり腰から砕け落ちる。

「だってえ。『助けてぇ』と『止めて』と『サイト』しか言わないだもん。もう弱すぎてつまらなかったよ。
ねえ。これその子の爪だけどほしい?あげるね。」
朝倉はルイズの爪をサイトに投げつける。
その爪は才人の額に当り地面に落下する。
才人も額に当った瞬間に少しだけピクッと反応する。
それと同時に朝倉は才人の方に向かって飛び出した。
「じゃあ死んでね。」
可愛い声と笑顔とはまるで正反対のアンバランスな行動で朝倉は矢じりを持って才人に突っ込む。
完全に意気消沈。簡単に殺せる。才人を一気に殺し剣を奪いハクオロも殺す。
朝倉の策略はほぼ完璧だった。隣がハクオロでなければ。

「くっ。才人っ」
ハクオロが朝倉より一瞬早く才人の前に立ち朝倉の攻撃を受ける。
幸いにも日本刀と比べ矢じりのみで切り結ぶ必要がある矢の違いもありハクオロは互角以上に立ち回れた。


ここで朝倉はこの状態になるまでの三つのミスに気付く。
一つは最初に弓矢で襲撃をしたこと。
自分の容姿と演技力なら容易に油断させて不意打ちを仕掛けられた。
一つは自分の奇襲を見破った男が隣に居るのに割ってはいるのを計算に入れなかったこと。
普通に弓矢で粘り強く狙撃すべきだった。
その方が遥かに勝算があった。
一つはそもそもルイズに日本刀を渡したこと。
接近戦用の唯一の武器を自ら放棄。
あれがあればハクオロにも負けなかったかもしれない。

朝倉は何とか矢じりの部分でハクオロと立ち回りを続けた。
ハクオロがどこかでエルルゥとさほど歳の変わらぬ女性を殺すことにほんのわずかの躊躇があること。
すぐ後ろで座り込んで動かない才人がいること。
ハクオロ自身も日本刀が不慣れだったこと。
そして彼を守りながらの戦いが朝倉にはアドバンテージであったはずだった。
だがそれでも手や足に複数の切り傷は出来てしまう。
さらに束ねて少しは丈夫なはずの矢も徐々にボロボロになっていく。
ハクオロの予想外の接近戦での技量に朝倉は焦っていた。


73 :NAIL TRAPEーキュートな悪魔ー修正版 ◆colbOqlL7. :2006/12/11(月) 22:02:53 ID:iPyHi4mH
しょうがないかな。このままじゃ負けちゃうかも。
朝倉は一度バックステップで距離をとると野球のサイドスローの要領で矢を投げる。
「なっ!?」
ハクオロは何とか矢を捌く。だがその隙に朝倉は全速力で逃走を図る。
その際にハクオロの足下にあった支給品バックを手に取ることは忘れずに。
「待てっ…くそ」
ハクオロは追おうとするが思いとどまる。
才人が座り込んだまま動かない。
一度ハクオロは朝倉涼子の出てきたところに向かいドリィやグラァの弓矢なのかを確認し再び戻る。
「…才人。…大丈夫か」
ハクオロは才人を優しく励ます。
「…ばかやろ」
才人は小さく呟く。
「えっ?」
ハクオロは聞き取れなかった。
「ばかやろー。ルイズは俺の主だー。さっきの女ー絶対に許さねーぞー!!!」
才人はすくっと立ち上がりそして大声を張り上げ朝倉の逃げた方向に叫んだ。
自分を鼓舞するように。必死に。搾り出すように。
爪しか出てきてない以上生存を信じるよう自分自身に言い聞かせた。
「…気が済んだか?ではいくぞ。そなたのルイズ、私のエルルゥやアルルゥが待っている」
才人が一瞬で立ち直ったのに驚きながらもハクオロは微笑みかける。
「ルイズを探すよ。タバサも元の世界に送り届けてやらねーと。俺が…絶対」
才人の目は怒りと決意に燃えていた。
自分がいないと何も出来ないルイズ。そして友達のタバサ。二人は絶対に守る。それが才人を奮い立たせる。

ハクオロは才人の心配するルイズという少女のことも気がかりだった。
あの女。なぜ爪だけ?殺したのならもっと別の物の方が・・・。
ハクオロは朝倉の行動に少し疑問を持っていた。
そして少し不安にもなる。
エルルゥやアルルゥがあの女と出会えば…。それ以外にもあのような者が多く居れば…
両者大小の違いは有るが不安を抱えながら、二人は再度北上する。


【G-2の林・1日目 黎明】
【平賀才人@ゼロの使い魔】
[状態]:全身にかすり傷。(痛みは無い)。大声を張り上げたために少し喉に痛み。朝倉に対しての激しい怒り。
[装備]:チャンバラ刀、カトラス(ベレッタM-92-F)/残弾14、
[道具]: チャンバラ刀専用のり、予備マガジン2、SM嬢セット一式(ルイズにぴったり)、ルイズの左手中指の爪、支給品一式
[思考・状況]
1、ルイズのもとに向かう(生存を信じる。赤い服の男に教われないかも心配。無事ならずっと傍に・・・)
2、タバサとも合流。(朝倉か赤い服の男に襲われる前に守る)
3、歩道から中心部へ。
4、ルイズの状況次第では朝倉涼子を殺す。

注:才人はカトラスを接近戦の鈍器として使うつもりです。
  追い込まれたらガンダールヴ後からが発動する可能性があります。

【ハクオロ@うたわれるもの】
[状態]:健康。若干の焦燥感
[装備]:オボロの日本刀、弓矢/残数4
[道具]: 支給品一式(朝倉のもの)
[思考・状況]
1、エルルゥとアルルゥを危険人物より先に見つける。
2、北上して歩道から中心部へ。
3、次こそマーダー化したものを捕らえ、凶行を阻止する。
4、弱者は救済し、このゲームを止める。
5、ルイズという少女の爪だけを見せた朝倉の真意を知りたい。

注:ハクオロは弓矢の使用経験はありません。
  支給品一式は朝倉とハクオロのものが入れ替わりました。

74 :NAIL TRAPEーキュートな悪魔ー修正版 ◆colbOqlL7. :2006/12/11(月) 22:03:54 ID:iPyHi4mH
朝倉は何度も全力で走った。
とてもじゃないがあのままやれば、
もし才人を殺せば逆に本気を出され殺された恐れがあった。
その上追い詰めたはずの才人の雄たけびが先ほど耳に届いた。
ありえない。あれだけ追い詰めて瞬時に復活。あれがあの女の男サイト。
許さないです。絶対に殺してあげます。
朝倉は迷い考えそして行動を決めた。
「だめね。やっぱり最初が楽すぎたのがいけないのかしら。次は…慎重に頑張らないとね」
朝倉涼子は再び優等生スマイルを完全に取り戻し行動を決めた。


【H-2の林・1日目・黎明】
【朝倉涼子@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:全力疾走による若干の疲労。手足の複数の切り傷(傷は浅い)
[装備]:破壊の杖(M72ロケットランチャー)/残弾0、SOS団会長のワッペン
[道具]: 支給品一式(ハクオロのもの)、アーチャーの右腕
[思考・状況]
1、ハクオロの支給品を確認する。
2、とりあえず防波堤に向かいそこから遊園地へ向かう。(観覧車倒壊時間林内に居たため惨状を知らない)
3、強い武器を持った弱い人間を狙い武器を奪う。
4、キョンを殺して涼宮ハルヒの出方を見る。
5、人数を減らしていく上で、世界と涼宮ハルヒにどんな変化が起こるかを観察する。
6、5を実行するため、涼宮ハルヒの居場所だけでも特定したい。
7、サイトと仮面の男を殺してあげる。

才人の雄たけびは周囲1マスで聴力が高い人のみ、かすかに聞こえた可能性もあります。
朝倉涼子はまだハクオロの支給品のチェックは行っていません。

75 : ◆B.Jiitryd2 :2006/12/11(月) 22:43:48 ID:9H9Z7l41
「う〜ん、どうしよう。」
夕日の中、一人思案に暮れる妙齢の美女。非情に絵になる光景である。
…肌着は随分と変態的だったが。
◆colbOqlL7(これで何度目?)を悩ませているのは、SSの採用のさせ方である。
「碌に推敲もしないのとwikiでゴリ押しはしちゃダメって言われちゃったし……」
「だからと言って作品を破棄するなんて絶対に嫌だし…」
「あーーーっ!もう、こんな時に自作自演が使えないなんて!」
先程からこれの繰り返しである。途中に入った突っ込みにも、信用度がマイナスに突入している事にも気付いていない。
結局、この永久ループが終わったのは30週目が終わった時だった。

ズガンッ!

「愚かです。」
食料の入ったバッグを掴み、住人 (◆colbOqlL7 以外)はその場から立ち去った。


そう、こんな殺伐とした場で無茶なSSをゴリ押しし続ければ、こうなる事など十分に予測できたはずなのである。
それこそが、彼女に筆を起こす為に最初にすべきことだった。

【49 ◆colbOqlL7  今度こそ筆を折る】
【52 住人 地図職人、wiki職人、良SS、SS、良書き手、書き手、良読み手、読み手、糞読み手】
【残り まとめサイト】

76 : ◆B.Jiitryd2 :2006/12/11(月) 22:48:52 ID:9H9Z7l41
自分でも無理があるとは思っていたので、残念ですが>>75を破棄します。
ラ・ヨダソウ・スティアーナ

77 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/11(月) 23:40:44 ID:4iAX5nMi
>>60-76は無効です。
詳細は感想スレにて。

78 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/11(月) 23:44:42 ID:nj5sE9uN
>>77
鳥晒せ

79 :鬼軍曹 ◆wlyXYPQOyA :2006/12/11(月) 23:57:32 ID:4iAX5nMi
>>78
すまん、俺だ俺。鬼軍曹。
本人が破棄って言ってたから俺が勝手に、すまん。
やっぱ拙かったか?

80 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/12(火) 00:00:47 ID:nj5sE9uN
>>79
ああいや、管理人権限の強制行使なら別にいいんだ、多分。

81 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/12/12(火) 00:01:43 ID:3f/ocmLA
軍曹は管理人じゃない気がするぜ!
でもこの流れでは破棄は当然の流れだから、問題ない気がするぜ!

82 :鬼軍曹 ◆wlyXYPQOyA :2006/12/12(火) 00:03:59 ID:4iAX5nMi
>>80-81
管理人じゃNEEEEEEEwwwwwww
とりあえずここは投下スレなんで撤退するぜ!
っていうかここで疑問系の投稿してすまなかった。さぁ、帰ろう。

83 :嗤うベヘリット(1/15) ◆tC/hi58lI. :2006/12/12(火) 01:30:46 ID:jIsCCc0+

 お気に入りの人形の手入れをするような優しい手つきで、
グレーテルは膝に置いた支給品を確かめていた。

 ミニミ軽機関銃。

 それはグレーテルの得手とする武器に近く、かなり喜ばしい支給品であった。
 他の人たちにどんなものが渡されているのかは知らないけれど、自分にはこれがあれば十分。

 一応他に入っていたものも確かめてみたが、地図などの必須品の他には血の色をした卵形の奇妙なペンダントと、
米飯の塊2つに黄色いおまけのついた、お弁当らしき包みだけであった。
 説明を読むと、ペンダントはともかくもう一方は役立つこともありそうだったが、使いどころが肝心と思われた。
 今は用を為さぬその二つはデイパックの中に戻してある。

 名簿はすでに目を通したが、彼女の片割れの名は無かった。
 名簿の中ほど辺りにある「ヘンゼル」と「グレーテル」というのが自分たちの名前だということには、
まだ気づいていないのである。

 しかしグレーテルは、名前はなくとも「兄様」も確実にこのゲームに参加しているであろうことを
確信していた。
 だって、たくさんたくさん人が殺しあうんでしょう? いっぱいいっぱい天使さまを呼ぶんでしょう?
こんな素敵な遊びにひとりだけ呼ばれなかったら、「兄様」がかわいそう。


84 :嗤うベヘリット(2/15) ◆tC/hi58lI. :2006/12/12(火) 01:32:04 ID:jIsCCc0+

 マシンガンを撫でているグレーテルの耳に、異音が入った。
 左が眩しくなる。振り向くと木々の影の間を、何か大きなものがゆっくりと通過してゆく。

 それは軍用トラックだった。

 木が邪魔してよく見えないけれど、運転しているのは子供のように見える。
 丁度いいわ、あれに乗せてもらいましょう。
 もし嫌がられても、これを出してお願いすればいいし。
 にっこりと天使の笑みを浮かべ、グレーテルは機関銃をデイパックにしまった。
 長くかさばる全身をすべて収めても、デイパックの外面には膨らみすら目立たなかった。
 傍目にはマシンガンなんて物騒な品が入っているとは予想もつかないであろう。

 木々の間から洩れる光の方向に向かって、グレーテルは歩き出した。
 街に待つであろう、自分にとってもっとも好ましい血の惨劇を想像しているうちに体の奥が昂ぶってくる。
己の体を意識することは、ほぼ同じものを持つ双子の片割れを意識することに結びつく。
 「そうね、兄様もきっとそこにいるわ」

 「姉様」はわたしで、「兄様」もわたし。きっと同じことを考えるもの。



【B-8森 1日目 黎明】
【グレーテル@BLACK LAGOON】
[状態]:健康
[装備]:ミニミ軽機関銃
[道具]:おにぎり弁当
     (たくわんニ切れ付。食中毒を引き起こす毒物アイテム)
     真紅のベヘリット
[思考]
第一行動方針:とりあえず、あのトラックに乗せてもらって街へ向かいましょう
第二行動方針:兄様はどこかしら?
基本行動方針:「兄様」を探しつつ、自分の嗜好を満足させるために素直に殺し合いに乗る。


85 :嗤うベヘリット(3/15) ◆tC/hi58lI. :2006/12/12(火) 01:33:53 ID:jIsCCc0+


 山の横を抜け(途中、山の斜面中腹に寺のような屋根が見えた)、ちょうどエリアの縁すれすれにあたる場所を
ヤマトとぶりぶりざえもんの乗ったトラックは走行していた。

 道とも言えぬ道を、軍トラはめりめりぱきぱきばきばきがさがさと、容赦なく音を撒き散らしながら
進んでゆく。
 ハンドルを握るヤマトはその音を気にしながらも、慎重に、ごく慎重に運転を続ける。
 「おい、もっとスピードをあげろ」とうるさいぶりぶりざえもんを聞かぬふりでいなしつつ、
安全運転を心がける。メーターはまだ時速20キロと30キロの間をそわそわと振れているばかりだ。

 「ん?」
 ふと、頬に風があたる。
 窓は襲われることを考えて、開けていないはずだが……?
 「エアコンを入れたのか?」
 「ん? ああ、寝るには少々寒いからな」
 一般の自家用車しか知らないヤマトは、エアコンが付いていたところで大して驚きはしなかったが、
軍用の乗り物でエアコン付きとはわりと贅沢仕様である。
 だが問題はそっちではなく。

 「おまえ……この状況で寝るのか、というか寝られるのか?」
 「私は戦に備えて休む。ので運転はたのんだ」
 言うやいなや目を閉じ、イビキまで1秒。
 鼻ちょうちんまで出して、すでにぶりぶりざえもんは眠りの中だ。
 「あ、待て、おい……!」
 がしかし、ヤマトの声に反応してすぐにぱちりと目を開けた。
 ずずいと顔面、いや豚面? を近づけ、ドスのきいた声で言い聞かせる。
 「く、れ、ぐ、れ、もだ。寝首を掻こうなどと考えるなよ?」
 ヤマトが気押されてうなずいたのを確かめ、ぶりぶりざえもんは満足そうに腕組みしたまま、
再び助手席に寝転がった。
 「コイツ、本当に役に立つのか……?」
 依然として、半信半疑なヤマトであった。

86 :嗤うベヘリット(4/15) ◆tC/hi58lI. :2006/12/12(火) 01:35:23 ID:jIsCCc0+

 ようやく静かに運転に集中できるようになった。
 ヤマトはため息を吐きつつ、横のカーナビの画面を確認する。

 マップの現在地が表示されるほかはラジオしか機能のない旧式のものであったが、
現在地が表示されるのは有難いと思った。
 現在は「B-8」エリアの縁すれすれで、もう少し東にはみ出ればマップから出てしまいそうだった。

 助手席側の窓をとおして、東の景色を見やる。
 ――ほんの少し、垣間見える遠くの空の色が変わってきているように思えた。
 そこには、鬱蒼と茂る森林が続いていて――鉄条網や、バリアのようなものは見当たらない。
見張りらしき影もない。

 「…………」

 わずかに口内が乾くのを感じ、唾を飲み込んだ。
 もしかしたら……脱出できはしないか?
 もし見張りなどがいても、このトラックなら強行突破もできるかもしれない。
 いや、それはいくら何でも甘いか? そうやすやすと逃がしてくれるようなことはないだろうし……
……と思いながらも、その考えを捨てられない。


 (偵察するだけだ……何か危ない兆しがあったら、すぐに戻ればいい)

87 :嗤うベヘリット(5/15) ◆tC/hi58lI. :2006/12/12(火) 01:37:26 ID:jIsCCc0+
 そう決めると、ぶりぶりざえもんがぐっすり眠っているのを確認する。
 そして、ヤマトは静かにハンドルを切って方向転換をした。
 フロントガラスの向こうには、大森林。
 ……やはり、バリアも見張りも見当たらない。

 ペダルの踏み込みを浅くし、もともと低速走行だったのをさらに減速して、人の早歩きするのと
そう変わらない程度の速度までに落とす。
 メーターが水平に近くなる。異常があったときにすぐにハンドルを切れるように構え、じりじりと進む。

 掌に汗がにじんでくる。知らず知らず前傾姿勢になり、ハンドルにかぶりつくようになる。もし見えないバリアが
あるのなら、それはむしろ幸運だ。だがもし、少しでもエリアから出ただけで射殺されたりしたら? 首輪を爆破されたら?
心臓が、痛い。死んだらどうなるんだ? デジモンワールドはどうなるんだ? 太一たちはどう思う? ナビの画面の縁の線の上に
トラックを示す光点はある。もうすぐ外だ。どうなる、死ぬのか? ハンドルを握り直す。死ぬものか。だって。深呼吸する。
タケル。




 ナビ画面の光点が、消えた。


 マップの外に、出た。




 何もない――バリアも飛んでくる銃弾もない。
 全身からどっと汗があふれた。
 ヤマトは息を吐こうとして――




88 :嗤うベヘリット(6/15) ◆tC/hi58lI. :2006/12/12(火) 01:40:51 ID:jIsCCc0+





 『警告します。禁止区域に抵触しています。
  あと30秒以内に爆破します。』






89 :嗤うベヘリット(7/15) ◆tC/hi58lI. :2006/12/12(火) 01:42:37 ID:jIsCCc0+


 点滅する赤と緑の光。
 吐き出しかけていた息の塊が喉に詰まった。

 鼻ちょうちんがぱちんと割れた。
 警告音声にぶりぶりざえもんも跳ね起きた。点滅している自分の首輪を見てパニックに陥る。
 「わ、私の寝ている間に何をやっている!」
 ぶりぶりざえもんが、硬直しているヤマトの手に飛びついて無理矢理ハンドルを切らせた。
 しかし、動転していたせいか、まったく逆の方向へとトラックは進む。

 首輪の点滅が早くなる。繰り返し音声が流れる。
 警告します。禁止区域に抵触しています。
 あと20秒以内に、

 「違う! 逆だ、ぶりぶりざえモン!」
 ぶりぶりざえもんを力任せに振り払い、ヤマトは元のB-8エリアに向かってハンドルを切り、アクセルを
渾身の力で踏み込んだ。
 軍トラはドリフトよろしく尻を振り回して真逆に方向転換し、一気に加速して駆け抜ける。
メーターが直角へと近づき、近づき、とうとう越える。



 程無くして、首輪の点滅が消えた。
 とりあえずは危地を脱したのを感じ、体から力が抜けそうになった。
 「ぶりぶりざえモン、すまない……大丈夫か?」
 汗で滑るハンドルを握りなおしながら、ヤマトは前面に目を向けた。




 ――――真正面にいる少女と、目が合った。














                           ドンッ


90 :嗤うベヘリット(8/15) ◆tC/hi58lI. :2006/12/12(火) 01:44:04 ID:jIsCCc0+


 停止と同時に、ヤマトは運転席から飛び降りた。
 ヘッドライトの明かりで照らされている範囲に、西洋風の衣服を着た少女がうつぶせに横たわっていた。

 血の赤は見えず、見た目には手足がちぎれ飛んでいるなどの怪我もない。しかし、背中や指のもがくような痙攣が、
不吉な予感をさせていた。


 駆け寄るなり抱き起こし、声をかける。
 「おい、大丈夫か!?」
 トラックの直撃を受けてはね飛ばされた少女――グレーテルの目が、薄く開いた。

 「兄……様……?」

 グレーテルを抱えたヤマトの腕が、びくりと震える。
 まだ何か言いたそうなその唇がまた動くのを、叱られる子供のように身を固くして待った。

 「………… …  」
 かすかな言葉は、トラックのエンジンの唸りにかき消された。

 抱えたグレーテルの体が、ほんの少し――軽くなったように思えた。



91 :嗤うベヘリット(9/15) ◆tC/hi58lI. :2006/12/12(火) 01:44:58 ID:jIsCCc0+




 ………………。


 …………。

 ……。


 その白い頬を、軽く叩いてみた。
 自分の弟を起こすように、肩を優しく揺さぶってみた。

 長い髪をかき払い、胸に耳を押し当ててみた。
 手首の脈も確かめた。
 うすく開いたままの唇がまた動くのを、待ってみた。

 抱えたグレーテルの体は、次第にずっしりと重く――冷えてゆくように思えた。




 煌々と輝くヘッドライトに照らされたグレーテルの顔は、きれいだった。



92 :嗤うベヘリット(10/15) ◆tC/hi58lI. :2006/12/12(火) 01:47:27 ID:jIsCCc0+










 「……ぶりぶりざえモン」
 タイヤの影で、びくつく気配がした。
 ヤマトが何か言うよりも早く、ぶりぶりざえもんは虚勢を張って肩を怒らせ詰め寄る。
 何かいろいろ言っているが、意訳すると「自分は悪くない」みたいな事をまくしたてている。
 しかし、それらはヤマトの耳には入らない。
 
 ヤマトの心中はかき回され、さざなみ立つ。やってしまったことの重さにゆらぎ、それでも驚くほど
頭の中では動揺していないのを感じ、そのことに何よりも深く動揺する。
 まだ、現実感がなかった。
 デジタルワールドでの冒険は、いくらそれが危険なものであっても、どこか現実感を欠いていた。何かミスをして
ピンチになってしまっても、必ず何かがあって助かった。これまで危険な目にあったことは何度もあったし、もう
怯えるだけの子供でもなくなっていたが、今起こったことは、対処しようにもその方法さえわからないような、
そんな恐怖ととまどいがあって、ヤマトはそれに押しつぶされそうになっていた。

 腰の辺りから、じわりと痺れるような感覚が背骨を伝って上がり、よくわからないものがこみ上げて首をしめつけ、
頭に血が昇る。思考停止の静けさの合間にさまざまな思いや言葉やすべきことが点滅する。
 オレはどうしたらいい?

 この子は、「にいさま」と言っていた。
 おそらく、きょうだいがいたのだろう。……そのことが、ヤマトをさらに深い罪悪感に突き落とす。


 しようと思えば、冷静に考え、行動することはできそうだった。しかし考えたくなかった。
しばらくは彼女の死にうちひしがれ、沈黙し、何も考えられないままにいたかった。


93 :嗤うベヘリット(11/15) ◆tC/hi58lI. :2006/12/12(火) 01:49:24 ID:jIsCCc0+

 だが、その思いもぶりぶりざえもんの不審な挙動で打ち消された。


 「……待て」
 「な、何だ?」
 「……今、何か隠さなかったか?」
 「い、いや? 見間違えだろう、気にするな」
 ぶりぶりざえもんは不自然にそっぽを向く。
 だが、そのズボンの股間の辺りが不自然に膨らんでいる。

 「…………」
 ヤマトはグレーテルをその場に横たえ、無言で近づく。
 ぶりぶりざえもんも、ヤマトが近づいたぶん後退する。
 「な、何だ? 何をする気だ?」
 ヤマトは早足で一気に距離を詰め、ぶりぶりざえもんをうつぶせに押さえつける。
 そして、ズボンを剥ぎ取った。

 「な、何をする! こら返せまさかお前そんな趣味が」
 ぶりぶりざえもんが股間を隠してじたばたわめくのを無視して、ヤマトはズボンを脱がせた時に
転がり落ちたものを拾い上げた。


 「……これは?」
 「……ブー、ブー」
 「どうしてこれを隠した?」
 「ブー、ブー」
 「……この子のものだろう。それをなぜ、こっそり取ろうとした?」
 「ブー、ブー」
 「…………」

 ヤマトは、近くに落ちているグレーテルのデイパックに目をやる。


94 :嗤うベヘリット(12/15) ◆tC/hi58lI. :2006/12/12(火) 01:50:19 ID:jIsCCc0+
 中を探ると、ヤマトらのデイパックにも入っていた名簿類の他に、笹の葉で包まれたおにぎり包みと、
巨大な銃――――そして、「3枚の」説明書が出てきた。
 三枚すべてに目を通し、ヤマトは再び拾ったものを見る。

 真っ赤な卵型のペンダント。福笑いのように、目鼻口のパーツがばらばらに彫り込まれた不気味な石。
 説明書にはこう書いてあった――――



 ”真紅のベヘリット。
 か弱き存在である人間に、生贄と引き換えに力を授けてくれる魔法の石。”




95 :嗤うベヘリット(13/15) ◆tC/hi58lI. :2006/12/12(火) 01:53:16 ID:jIsCCc0+

 ヤマトは掌にベヘリットを握ったまま、グレーテルを抱き上げた。
 「……これは俺が預かっておく」
 ぶりぶりざえもんは、股座を隠しながらヒヅメを踏み鳴らして抗議する。
 「キ、キサマー! それは私が拾ったものだぞ!」
 「何となくだが……お前に持たせておくと危ない気がするからな」
 そして、グレーテルを抱えたままトラックに戻ろうとする。
 「な、何をしているんだ! そいつは置いていって早くこの場を」
 「誰かに見つかったらどうする!」

 言ってから、ヤマト自身が自分の言葉に動揺した。
 違う、そうじゃない。そんなことを考えていたわけではなかった。

 「い、いや……こんな所に野ざらしでは、かわいそうだ」
 この場にあわせた冷静な判断から出た言葉かもしれないが、それでもさっきの自分の台詞はあんまりだ。
 こんな冷静さは嫌だ。
 まるで俺が人でなしみたいだ。


 後部座席にグレーテルの死体と彼女のデイパックを安置しながら、ヤマトは呼びかけた。
 「……ぶりぶりざえモン」

 踵を返して逃げようとしていたぶりぶりざえもんの足がこわばる。

 「…………街へ行こう。そして、この子をふさわしい場所に眠らせてあげよう。
 それが、俺たちの最低限の責任だ」
 「そ、そうだな。それも救いのヒーローの務めだ。不慮の犠牲は、お助け事業の前ではやむを得ないことだからな。
 うん、気にするな、少年」
 ヤマトへの返事というよりも自分に納得させるように、ぶりぶりざえもんはうなずいた。
 とりあえず危害を加えられるわけではないと安心して、慌ててヤマトの後を追う。




 再び運転席に座ったとき、ヤマトの掌中で何かがもぞりと動く感触がした。
 知らず固く握っていたこぶしを開き、ヤマトは見えたものに息を呑んだ。




 目尻をにゅるりと下げ、ベヘリットが嗤っていた。


96 :嗤うベヘリット(14/15) ◆tC/hi58lI. :2006/12/12(火) 01:54:15 ID:jIsCCc0+

【B-8森 1日目 黎明】



【友情と救済の軍トラズ】



【石田ヤマト@デジモンアドベンチャー】
[状態]:人をはね殺したことに対する深い罪悪感、精神的疲労
[装備]:クロスボウ、73式小型トラック(運転)
[道具]:ハーモニカ@デジモンアドベンチャー
     RPG-7スモーク弾装填(弾頭:榴弾×2、スモーク弾×1、照明弾×1)
     デジヴァイス@デジモンアドベンチャー、支給品一式
     真紅のベヘリット@ベルセルク
[思考]
第一行動方針:街へ行って、どこかにグレーテルを埋葬してやる
第二行動方針:八神太一との合流
第三行動方針:ぶりぶりざえモンはアテにしない
基本行動方針:生き残る
備考:ぶりぶりざえもんのことをデジモンだと思っています。

【ぶりぶりざえもん@クレヨンしんちゃん】
[状態]:ややショック、そのせいで少しテンション高め
[装備]:照明弾、73式小型トラック(助手)
[道具]:支給品一式 (配給品0〜2個:本人は確認済み)パン二つ消費
[思考]
第一行動方針:ヤマトの運転を補助
第二行動方針:強い者に付く
第三行動方針:自己の命を最優先
基本行動方針:"救い"のヒーローとしてギガゾンビを打倒する


チーム共通行動指針:
市街地に向かい、グレーテルを埋葬するのに適当な場所を探す。
チーム共同アイテム:ミニミ軽機関銃、おにぎり弁当
(鮭とイクラ+たくわんニ切れ付。食中毒を引き起こす毒物アイテム)
※二つともグレーテルの所持品だったもの。後部座席に置いてある。

97 :嗤うベヘリット(15/15) ◆tC/hi58lI. :2006/12/12(火) 01:57:04 ID:jIsCCc0+
[追記]
(※この部分は次回以降の状態表に持ち越す必要はありません)

 ・支給品のおにぎりには、「黄色ブドウ球菌」が繁殖しており、食べれば高確率で食中毒を引き起こします。
 ※このおにぎりを食べると、約3時間後に激しい嘔気・嘔吐、疝痛性腹痛、下痢を伴う急激な急性胃腸炎症状を
発します。症状には個人差がみられますが、まれに発熱やショック症状を伴うこともあります。重症例では
入院を要します。ですが一般には予後は良好で、死亡することはほとんどなく、通常1日か2日間で治ります。
 しかしロワ内においては、死には至らなくても激しい体力の低下・戦闘力の低下を引き起こすおそれのある
十分に危険なアイテムでしょう。

・ベヘリットについて
 このベヘリットはただのベヘリットではなく、グリフィスのもとに付いてまわった「真紅のベヘリット」。
 このロワの中で生かされる特性は、因果に選ばれた者=「魔物の王」になる資質のある者(様々な作品からの
キャラクターが参加しているこのロワ内では、必ずしもグリフィスのもとに行き着くとは限らない……)に、
自然と引き寄せられる(人の手を伝い、あるいは偶然拾われるなどして)。
 例え捨てたり紛失したりしても何らかの形で手元に戻り、逆に必要としていない(因果に選ばれていない)者が
手にしてもいずれ手元を離れていく。
 しかし、「次元の扉を開け、生贄と引き換えに人間を異次元の世界の魔物へと転生させる」
という能力は、ベルセルク世界とは異なるルールのもとに動いているこの世界では発動されない。
 要は、このロワにおいてのベヘリットは、不気味ではあるが無力な、単なるマスコットにすぎない。
勿論「蝕」を引き起こすこともない。
 しかし、問題なのは、このアイテムの説明書には「ロワ内では無力」という肝心の一文が
抜け落ちているという点である。
 単なる手落ちか、ギガゾンビの作為かは謎。

98 : ◆tC/hi58lI. :2006/12/12(火) 02:00:26 ID:jIsCCc0+
申し訳ありません、「嗤うベヘリット(14/15)」において最も重要な一文が
コピペミスで抜けておりましたorz





【グレーテル 死亡】




99 :(修正版)嗤うベヘリット(8/15) ◆tC/hi58lI. :2006/12/12(火) 02:35:58 ID:jIsCCc0+


 停止と同時に、ヤマトは運転席から飛び降りた。
 ヘッドライトの明かりで照らされている範囲に、西洋風の衣服を着た少女がうつぶせに横たわっていた。

 血の赤は見えず、見た目には手足がちぎれ飛んでいるなどの怪我もない。しかし、背中や指のもがくような痙攣が、
不吉な予感をさせていた。


 駆け寄るなり抱き起こし、声をかける。
 「おい、大丈夫か!?」
 トラックの直撃を受けてはね飛ばされた少女――グレーテルの目が、薄く開いた。







 グレーテルは思う。

 ああ……
 夜の闇よりも暗いのは、どうしてかしら。
 さっきまではあんなに眩しかったのに、どうしてかしら?
 目がよく見えない。誰かが私を呼んでいるのに。
 誰?


 「兄……様……?」

 グレーテルを抱えたヤマトの腕が、びくりと震える。
 まだ何か言いたそうなその唇がまた動くのを、叱られる子供のように身を固くして待った。

 「………… …  」
 かすかな言葉は、トラックのエンジンの唸りにかき消された。

 抱えたグレーテルの体が、ほんの少し――軽くなったように思えた。




100 :有機生命体の耐久度調査(1/5) ◆Bj..N9O6jQ :2006/12/12(火) 04:17:23 ID:rEdi/4UR
「うん、予想通り。
 防波堤から歩いてきたわね、二人。
 防波堤を橋代わりとして使う人物はいると思ったのは当たりね。
 組んでるってことは、殺し合いにそれほど積極的じゃない……
 でもさっき、何か爆発が起こってたわよね。
 じゃ、そういうことができる武器を持ってるかもしれない。
 そしたら、正面から立ち向かうのは危険よね。うん危険。
 ちょっと策を練らなくちゃ。
 統合思念体に連絡が取れない以上、前準備は大切よね」




「……ハクオロさん、でしたっけ?」

 防波堤からやっと途切れたその先は、木や雑草が生い茂っている森だった。
 防波堤ではまた襲撃に遭った時に海に落とされる危険性があるため、
まず陸に上がることに決めて情報交換は歩きながら行っていた才人だが、
どうしても気にならずにはいられないことがあった。

「私の仮面が気になったか?」
「まあ、それもありますけど……なんで腕を持ってこさせたんですか?」

 そう。ハクオロはなぜかさっきの男の腕を才人のデイパックに入れさせていた。
斬った当人である才人も、さすがに先が無い腕なんて持ち歩く趣味は無い。
猟奇的な連続殺人犯でもあるまいし。
気持ちを理解したか、ハクオロは頷きながら説明した。

「もしあの男がまた襲ってきた場合、交渉材料に使えないか、と」
「え?」
「いくらなんでも、腕がくっつけられると聞いては黙ってはいられないだろう?
 そして、腕を持つならくっつけられる道具を持っている者の方がいい。
 いらない物で実演できる」

 つまり、こういうことだ。
もしまた襲ってきた場合……腕が簡単にくっつけられる旨を説明してやる。
そして襲ってきたらこの腕を捨ててやるぞ、
くっつける道具を捨ててやるぞとでも言えばいいわけだ。
例え腕を諦めるにせよ信じないにせよ、少なくとも隙ぐらいは生まれるだろう。
ハクオロの説明を受けた才人は思わず感心していたが……

「でもなぁ……」

 感心しても、自分の荷物の中に腕があるというのはやはりよろしい気分ではない。
もっとも、ハクオロとしてもそれは分かりきっている。それでも。

「だがこの森の中だ、また遭遇するかもしれない。
 それにお互い探し人がいる、襲われている状況で再会するとも限らないだろう」
「そうですね……」

101 :有機生命体の耐久度調査(2/5) ◆Bj..N9O6jQ :2006/12/12(火) 04:18:21 ID:rEdi/4UR
 長期的に見れば、有益になる可能性もあるのだ。
才人はふとルイズやタバサがあの男に襲われている様子を思い浮かべて、
慌てて頭からその考えを振り払った。
自分からわざわざ最悪の光景を思い浮かべたくは無い。

……そんなことをしていたからだろう。

「どうやら、違う者に遭遇したようだ」
「!?」

 隠れた人物に気付けなかったのは。
慌ててハクオロの視線を追った才人は、木の陰に誰かが隠れていているのに気付いた。
ただ……先ほどの男でないのは確かだ。
青い長髪が風で流れているし、スカートらしき物も見えている。

(もしかして、女の子か? こんな場所じゃ怖がるのも当然だ)

「とりあえず、出てきたら? やる気はないし……」

 おずおず、といった声で才人は呼びかけた。
できるだけ不審人物でなさそうに聞いたつもりだが、
正直ハクオロの格好は不審人物だと才人は思っていたりもした。
まだあまり事情を聞いていないのに失礼な評価かもしれないが。

「……ふむ」
「あ」

 出てきたのは、まず間違いなく美少女と呼べる部類に入る女の子だった。
だが何よりもまず才人が驚いたのは……彼女の服。
もしかすると……

「……もしかして、日本人?」
「? なんでそんなことを聞くのかしら?」
「いいから。名前は?」
「……長門有希」
「やっぱり」

 間違いなかった。彼女は「才人の」世界の人間だ。
言い知れない気持ちが心に溢れる。望郷とか、そういった気持ち。
思わず才人は安心していた。日本人なら、平和慣れしているから大丈夫だ。
だが……長門と名乗った女の子は才人達を信用していないらしい。
お愛想笑いのような、ぎこちない笑みを浮かべている。
その表情が多少気になったのか、ハクオロが疑問げな表情を浮かべて質問した。

「そんな顔をされる理由は無いのだが」
「仮面を付けてるから、どう反応すればいいか分からないのかも……」
「……これは、一応事情がある」

 脇から答えた才人の言葉に、ハクオロは苦笑するしかない。
もっとも、一応これは才人なりの気遣いである。

102 :有機生命体の耐久度調査(3/5) ◆Bj..N9O6jQ :2006/12/12(火) 04:19:09 ID:rEdi/4UR
彼女が才人の世界から来たなら、仮面を付けた人物は思いっきり不審人物の分類に入る。
あの子が言いづらいならこっちから言ってあげた方がいい、
そう推測して才人は言ったのだが……女の子ははっきりと通る声で。

「腕、持ってたわよね」

 と告げた。

「あ……」
「む」

 才人とハクオロは思わず言葉に詰まる。
なるほど、斬った腕を持ち歩く様子を見れば信用などしたくなくなるのも当然だろう。
もっとも……同じ言葉に詰まった状態でも、考えていることはまるで違っていた。
ハクオロは将来的に、これを広められることにより自分達が危険人物扱いされないかと。
才人は今、なんとかして信用を得て元の世界の話を聞けないかと。
それでも一応、二人が導き出した「今行うべきこと」は一致していた。
言い訳だ。

「私は襲撃されていた才人殿を助けただけなのだが。
 ……まあ、危険な目には遭わせてしまったがね」
「俺も、正当防衛だし……それに、この剣は斬っても大丈夫なんだ」
「?」
「ああ、えっと……斬っても痛くないし、くっつける手段がある」

 女の子は明らかに疑いの目を向けている。当然といえば当然か。
しばらく後。

「じゃあ、実演して」
「う」
「……才人殿、そこまではしない方がいい」

 こんな事を才人は言われた。……さすがにそれは嫌だ。
自分で自分を斬る趣味も才人にはない。ハクオロに警告されなくてもやらない。
かといって、懐かしい世界の住人と少し話がしてみたいのも事実だった。
躊躇っていると、女の子は地面から木の枝を拾い上げて、

「これ、切って」
「……ああ、それくらいなら」
「……?」

 別に問題は無い。ただ……こんなに細い木の枝はくっつくんだろうか?
さすがに気になったが、くっつかなかったらその辺の木でも切るか。
何か引っかかっているような目のハクオロを気にせずに、
才人は木の枝を受け取ろうと女の子の手前まで行って。

「えいっ」
「……え?」

 視界が、赤く染まった。

103 :有機生命体の耐久度調査(4/5) ◆Bj..N9O6jQ :2006/12/12(火) 04:20:05 ID:rEdi/4UR




「っああああああああああああああ!」

 才人とかいう男の子が絶叫する。有機生命体はやっぱり脆い。
左目に木の枝が突き刺さるくらいで絶叫するなんて。
虹彩に水晶体や角膜が貫かれただけで、視神経や脳は無事じゃない。
長門さんは全身を貫かれても平気だったし、
キョンくんは奇襲でもちゃんと対応できたのにね♪
この木の枝はあらかじめ構成因子を変えておくことで鋭さを増した特別製。
以前長門さんに放った、椅子から生み出した槍と原理は同じ。
結構時間をかけたのに、出来はそれより劣っちゃっているけどね。

「貰うわね、これ」
「待て!」

 仮面の男が刀を向ける。だが、間に合うはずも無い、間に合わせない。
男の子の剣を奪い取ってその右腕ごとデイバックの紐を断つ。
へえ、本当に血が出ないんだ。まあ、それに驚くのは後でいいかな。
相手はまだ私をただの有機生命体の女の子だと思っているはず、そこが付け目。
剣で荷物を引っ掛けながらもう片方の腕で軽々と男の子を持ち上げて。

「なっ!?」
「……くす」

 男の子を盾にして刀を受ける。呆然とする仮面の男。
あーあ、痙攣してる。これは死んじゃったかな?心臓に刺さってるし。
もっとも私はそんなこと構わない。男の子のお腹を蹴飛ばした。
より深く心臓に刀が刺さり、勢いを付けられた死体が仮面の男と縺れ合って倒れ込む。
当然、見逃さない。

「じゃあ、死んで♪」

 剣ですっぱりと、男の子ごと仮面の男の首を切り落とす。
もっとも、血は出ていない。痛みも無いんだろう。右腕を切った時にそれは理解できた。
だから、とどめを刺すべく首をサッカボールのように蹴飛ばした。
見事な軌道を描いて生首は海に着水。
念のため、海辺に行って様子を見届ける。
首が発していたんだろう泡もそのうち出なくなった。

「……簡単ね」

まさしく最高の結果だ。あっさり二人を殺せたし、それに。

「この剣は意外と使えそうね♪」

 そう、いい物を手に入れた。この剣なら脅しに最適だ。
腕を切り落とし、返して欲しかったら人を殺せと言えばいい。

104 :有機生命体の耐久度調査(5/5) ◆Bj..N9O6jQ :2006/12/12(火) 04:20:51 ID:rEdi/4UR
まさにうってつけ。私向け。

「いっそ、SOS団員の五体をバラバラにして涼宮ハルヒに見せるのもいいかもね」

 考えただけで心が躍る。
もしまだ生きているキョンくんの首を……文字通り生首を見せたら?
涼宮ハルヒはどんなリアクションをするだろう、楽しみだ。


【H-2森 1日目 黎明】
【朝倉涼子@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:少し疲労
[装備]: チャンバラ刀@ドラえもん、SOS団腕章『団長』@涼宮ハルヒの憂鬱
[道具]:荷物三人分、弓矢(矢の残数10本)@うたわれるもの
   チャンバラ刀専用のり@ドラえもん、オボロの刀(1本)@うたわれるもの
   アヴァロン@Fate/Stay night、アーチャーの腕@Fate/Stay night
[思考・状況]1:出会った参加者の四肢を奪い、言う事を聞かせる。
     2:それができない参加者は躊躇なく殺していく。
     3:キョンを殺して涼宮ハルヒの出方を見る。
     4:SOS団の四肢を奪い、涼宮ハルヒに見せる。できれば生首がいい。
     5:人数を減らしていく上で、世界と涼宮ハルヒにどんな変化が起こるかを観察する。
     6:3、4、5を実行するため、涼宮ハルヒの居場所だけでも特定したい。

※チャンバラ刀とのり
未来の子供がちゃんばらごっこに使う道具
実際に斬れるが血は出なく、専用のりでくっつけると治る


【ハクオロ@うたわれるもの 死亡】
【平賀才人@ゼロの使い魔 死亡】

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