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レズ小説★SAMURAIDRIVE☆
1
レズ小説★SAMURAIDRIVE☆
投稿者:
リリー
投稿日:2007年02月22日(木)21時44分15秒
SAMURAI DRIVE
CAST
村田ちひろ
中村有沙
内容…アクション&サスペンス
エロ・レズ描写有り
OB・OG・現役戦士、多数出演予定
hitomiの楽曲とは関係ありません
2
☆レス500までを見る☆
3
☆レス1150までを見る☆
1151投稿者:
全く問題ないですよ!
投稿日:2007年06月25日(月)21時43分50秒
リリーさんの真骨頂ですから!
何度読んでもあきません。まってました!
1152投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月25日(月)21時45分04秒
「デカアリ…。聞いていいか?」
「ん?なんだ…デカアリに逆戻りか?ま、いいか、愛の治療時間は終わったんだからな。何だ?サムライガール?何でも答えてやるぜ!」
「有沙は…中村有沙は…何で組織を抜けたんだ…?危険を冒してまで…」
「チビアリには聞いてないのか?」
「こんな組織に嫌気が差した…としか言わない。確かにそうだろうが…まだ、何かを隠してるような気がするんだ」
「ふ〜ん…。ま、そりゃ、ウソじゃねぇとは思うんだが…。いきなりだったからなぁ…逃げ出したの…」
「え?じゃ、じゃあ、おまえと一緒にいる時に逃げ出したのか?」
「ああ…。仕事中にな…。私もなめられたもんだぜ!チビアリめ!すぐさま追い駆けてとっ捕まえようとしたんだが、持ってる『武器』を私に投げつけて逃げた。荷物もカードも武器も…何も持たずに…」
「仕事中…。そう言えば、あいつと初めて会った時、あのゴスロリとかいう服しか持ってなかった…」
「相当、切羽詰ってたのか、突然そう思い立ったのか…とにかく、あいつは組織から逃げ出した」
「おまえは、追わなかったのか?おまえだったら、捕まえることぐらい…」
「無理だよ。仕事中…ターゲットと戦ってる最中だぜ?16対2が、16対1になったんだぜ?いくら私でもそんな余裕はねぇ!」
「16対1…?一体、何の仕事だ?」
「武装強盗団の奪った金を、奪い返す仕事だよ」
「…おまえ達も、少しは世のためになる仕事をしてるんだな…」
「バカ言え。その金は組織に納めるんだ。つまり、強盗から強盗したってワケだ」
「………」
1153投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月25日(月)21時47分31秒
ダーブロウ有紗は、忌々しそうに眉間のシワを深くさせて言う。
「あいつが逃げ出したおかげで…チームリーダーの私に責任を押し付けられちまうし…!面倒なヤツだぜ!」
「だから…おまえは、有沙を追っているのか?組織から責任を取らせられるのを回避するために…!?」
ちひろが、ダーブロウ有紗の肩に掴みかかった。
「お、おい!落ち着けよ!痛ぇな…!誰もそんなこと、言ってねぇだろう!」
「だったら、何でおまえは有沙を追うんだ?ただ、純粋に助けたい為か?」
「そうだよ…!組織から脱走して、捕まった者は、どうなるか知ってるか?」
「…梨生奈から…聞いた…。この世のものとも思われない、あらゆる苦痛と辱めを受けて、長い時間をかけて殺されるって…」
「ふん!新米が!聞いた話しを言ってるだけだ!あいつはまだ実際にその場面を見てねぇからな…」
「な、何だ?おまえは見たのか?」
「ああ…。二度ほどな」
一体、中村有沙は、どんな目に遭うのか、この女は知っている…。
聞きたくても、恐くて聞き出せない…。そんなちひろの心情を知ってか、ダーブロウ有紗はニヤリと笑った。
「教えてやるよ…。脱走者の末路をな…」
1154投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月25日(月)21時48分59秒
「もし、チビアリが…このまま組織に捕まったら、どうなるか…」
緊張しながら聞く、ちひろの顔を真っ直ぐに見ながら、ダーブロウ有紗はもったいつけて語る。
「まずは『ラビ』達の前に、できるだけ無傷で捧げられる。この無傷ってのが、面倒でな。だって、同じ『戦士』を無傷で捕まえるなんて、こんなに骨の折れることはない」
「だから…あんなに大勢で…?」
「ああ。でも、今回はチビアリが『武器』も持たずにたった一人で逃げたってことで、『チームJ』のジョアン一人が向かったんだろうな」
「し、しかし…」
「そう…。どうやったか知らねぇが、おまえがジョアンを返り討ちにした。強力な助っ人が中村有沙についたってことで…急遽チームを増援させた」
「そ、その…助っ人ってのが…私か…?」
「そうだ。で、ジョアンの相棒のジャスミンは私を追う…。まだ、ジャスミンとは会ってねぇけど…。会ったとしても、私がボコボコにしてやるだけだが…」
そのジャスミンという名前はジョアンから聞いただけで実際の力は見ていないが、ダーブロウ有紗なら、確かに勝ってしまいそうだ。
「そ、それで、捕まったら、どうなる?」
「ああ、悪い…。そう…無傷で『ラビ』達に捧げられる…。何故なら、チビアリを傷つけるのは『ラビ』達だからだ。お楽しみを奪ってはいけないってことさ」
「お楽しみ…?」
「まずは…辱めだ…。身体を汚される…。やつ等の唾液と精液にまみれ、嫌という程の屈辱を受ける…」
「…う…」
もう、ちひろはゲンナリした。しかし、『ラビ』達の制裁はまだまだ続きがある。
1155投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月25日(月)21時50分45秒
「そして、チビアリを犯すのに飽きたら、今度はまたじっくりと時間をかけて拷問される。聞き出すことなんてない…泣き叫んでも、許しを乞うても終わらない…果てしない拷問…」
ちひろは、そんな目に遭う有沙の姿を想像してみた。いや、想像したが、恐くてすぐに、頭から振り払った。
「チビアリの泣き叫ぶ声も、流す涙も枯れ果てた時…ようやく、殺される…。これまた、長い時間をかけて…じわじわと…」
「も…もう…いい…。もう…わかった…」
「いいや、わかってねぇ!最後まで聞きな!そしたら、おまえは何が何でもチビアリを守りたいって思うはずだぜ!」
ダーブロウ有紗は、話しを続けた。
「あの透き通るような白い肌、華奢な細い身体が無残な傷で覆われて息絶えた時…チビアリは解体される。皮膚、筋肉、内臓、骨…全てバラされる…」
ちひろは、気分が悪くなった。
「そしてその解体された『材料』で料理される…」
「りょ…料理…!?」
「そう…。『中村有沙フルコース』さ。食卓の中央にチビアリの生首を置き、それを愛でながら、やつ等はその料理に舌鼓を打つ…」
「う…」
「その晩餐会に、私達『戦士』も呼ばれるのさ。そしてチビアリを食うように強要される。見せしめのためさ…。逃げ出したら、どうなるか…ということを、視覚と嗅覚と味覚にはっきりと覚えさせる…」
「う…うぇぇ…」
「お、おい!こんな所で吐くな!」
「だ、大丈夫だ…。はぁ…はぁ…。し…しかし…なんて…おぞましい…」
「だから…!私は、何が何でもチビアリを、やつ等よりも早く見つけ出して守るんだ!」
ダーブロウ有紗は、力強く言い切った。
1156投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月25日(月)22時06分12秒
>>1151
ありがとうございます
そう言って頂けると本当に嬉しいです
以前、私が途中まで書いたデータを誤って消した、ということを書いたと思いますが、今日、やっとその前に書いた所まで書き進みました
まったく同じ作業をやらなければならないことになって、正直テンションが下がりましたが、もう一度書いて見ると、以前書いたものよりは数段良くなっていると思います
以前書いたものは、ちひろVS『チームR』の戦い、ちひろへの拷問シーン、ダーさんの『チームR』との戦い(イジメ)はもっとダラダラと長く続いていました
『TTK』のコードネームという設定もなかったですし…
それに、途中で放り出してインドへ行ってしまった間、続きを読みたいというレスをたくさん頂いたことが、とても励みになりました
ですから、途中で諦めないで書いててよかった、ということが言いたかったのです
これからもよろしくお願いします
では、今日はこれでおちます
1157投稿者:
今日もすばらしいです
投稿日:2007年06月25日(月)22時12分47秒
また待ってます
1158投稿者:
ダラダラバージョンも
投稿日:2007年06月25日(月)23時14分06秒
読んでみたい気がする
どんな戦いで、どんな拷問で、どんなイジメだったのか
できたら教えてください
1159投稿者:
age
投稿日:2007年06月26日(火)02時13分15秒
1160投稿者:
また
投稿日:2007年06月26日(火)20時30分43秒
猟奇的な描写も健在で…
1161投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月26日(火)21時12分22秒
はい、覚えてる限りでは…
ちひろVS『チームR』は、AVEXの他にも技がいくつかあって、それをちひろが何とか切り抜けての繰り返し
ちひろの拷問は、ほんと長くてウンザリするくらい
ダーさんの『チームR』のお仕置きは、ナイフで素っ裸に剥いて、『バタフライ』を2人にも無理矢理飲ませて、ちひろにやったことを同じ様に仕返しされる…というものでした
では、更新します
1162投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月26日(火)21時13分38秒
「な、なるほどな…。よくわかった…。よく…」
「わかったのなら…おまえにも協力してもらうぞ!」
「わ、私にも…?」
「おまえはジョアンを撃退した。戦力になる。だから、おまえを助けたし、解毒治療もしてやった!」
「わ、私は人殺しなど…」
「人殺し?何言ってんだ!おまえのその甘さ…チビアリを殺すことになるぞ!?」
「…う…!」
「いいのか?チビアリが…あんな目に遭っても…!」
凌辱…拷問…解体…『中村有沙フルコース』…。
「い、いやだ!そ、そんなこと…!でも…」
中村有沙を助けることが…人を殺すことの免罪符になるのか…?ちひろは悩んだ。
「し…しかし…!おまえはどうなんだ!?」
「何がだよ?」
「梨生奈も、羅夢も、あのボウガンの二人も…おまえは殺さなかったじゃないか!」
「…ああ…。『仲間』を殺せるもんかよ…」
「『仲間』…?」
「あいつ等も虐待されている弱者なんだ…。殺せるもんか…。私が殺すのは、あの醜く太った豚ども、『ラビ』だけ…う…つぅ…」
ダーブロウ有紗は、こめかみを強く抑えた。
1163投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月26日(火)21時15分05秒
「どうした?デカアリ?」
「だ、大丈夫だ…。少し頭痛がしただけだ…。チビアリは、いつだって私の頭痛の種だ…。しかし、チビアリめ…なんだって脱走なんて…」
「え…?」
「チビアリだって、脱走した『戦士』の末路を見てるはずなんだ…。晩餐会にだって出席して『戦士』を喰わされた…。なのに…」
「そうまでして、組織を抜けたかったのか…。そ、そう言えば、有沙は、デカアリ…おまえに会うことを、避けて…いや、恐れていたように見えたが…?」
「ん…?そうなのか?私と会うことを…?そうか…。だとしたら…あいつが逃げ出したのは、私が原因かも…」
「おまえが原因…?」
「シゴいたからなぁ…。かなり厳しくよ…」
「シゴいた?」
「私は、チビアリの相棒でもあり、師匠でもある」
「師匠?」
「あいつに戦闘術や殺人術、拷問にベッドテクニック…全て教えてやったのは私だ…」
「あいつに…モノを教えた…?素直に聞くのか?あの有沙が…」
「聞くわけねぇだろ!まったく!クソ生意気なガキが…!!」
ダーブロウ有紗は、激しく湯船を叩いた。
1164投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月26日(火)21時16分57秒
飛び散って顔にかかった湯を手で拭いながら、ちひろは聞いた。
「どうやら…いい生徒ではなかったようだが…?」
「わかるだろ?ああ言えばこう言う…!敬語の一つも使えねぇ…!あー!腹が立つ!だから…」
「だから…?」
「泣かしてやった。ワンワンに…。私に屈服するまで執拗にな…」
「泣かした…?有沙を…?」
「ああ…泣かしてやった。涙と鼻水とヨダレを垂れ流しながら、私の足に擦り寄って許しを乞うまでな…」
「そ…想像できん…」
「そんな姿を見れるのは、私だけだろうぜ…。でもなぁ…あのチビアリの姿があまりにも可愛かったから…」
「可愛かったから…?」
「事ある毎に泣かしちまうんだよな。ちょっと反抗的な態度をとった時とか、訓練や仕事で失敗した時とか…」
「は…はぁ…?」
「終いには、何も悪くないのに泣かしたり…」
「お…おい…!」
「だから…私から逃げ出したかったのかも…。そして…私に会いたくないのかも…」
「ふ、ふざけるな!!」
ちひろは、思わず怒鳴った。
1165投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月26日(火)21時18分41秒
「おまえのせいだ!かも、じゃなくて、おまえが原因だ!」
「そ、そう、怒るなよ…。だから反省して、あいつを守る為に戦ってるんじゃねぇか!」
「まともなヤツは皆無だな!『TTK』は…!」
そう言えば、ダーブロウ有紗は、『チームR』から拷問を受けて泣き叫ぶ自分をも、鑑賞して楽しんでいた。
サディスト…。『チームR』や『チームE』で見せた戦い…いや、いじめ…。まさに、ダーブロウ有紗はサディストだ。
「可哀そうに…有沙…。あいつは何も持たずに、5日間も、野宿をしたと聞くぞ…」
「野宿…?私だってそうだぜ。今はいい居候先を見つけたけどな」
「野宿?おまえが?ゴールドカードを持ってるのに?」
「あのゴールドカードは、今まで使えなかった」
「何故だ?」
「使った途端、『ラビ』達に知らせが届くようになってるんだ。私達『戦士』がどこにいて、どれだけ使ったか、全部筒抜けになる」
「で…でも…さ、さっき…おまえ…カードを…」
「ああ、使った。だから、私達がここにいるってことが、『ラビ』達にも知れちまってる」
「じゃ、じゃあ…ここに…」
「組織の『戦士』がここに到着する頃だろうな」
1166投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月26日(火)21時19分51秒
「デ、デカアリ…!!貴様!!」
ちひろは、勢いよく湯船から立ち上がった。今度はふらついていない。
「何だよ?」
デカアリは、ちひろの怒りに満ちた顔を見上げる。
「やはり、貴様も『ラビ』達の差し向けた刺客だったのか!?この私を罠にはめて、有沙を捕まえる為に…」
「うるせぇ!!」
ダーブロウ有紗は、目の前にある、ちひろの陰毛を、数本掴んで引き抜いた。
「痛!!」
ちひろは、思わず湯船にしゃがみ込んだ。そのちひろの顔を、ダーブロウ有紗は乱暴に掴んだ。
「おい!よくも、私を裏切り者呼ばわりしやがったな!?いくらおまえでも、ぶっ殺すぞ!!」
「だ…だって…!ここに、組織の『戦士』が来るんだろ…!!」
ちひろは、涙目になりながらも反論する。
「聞け!ここにやつ等をおびき出すために、カードを使ったんだよ!」
「お、おびき出す…?」
「チビアリの解毒剤が手に入った。今頃、ドとツンツンがチビアリの元に届けてるはずだ。つまり、やつらのアジトを襲う前に、少しでも駒を減らしておきたいんだよ!」
「駒を…減らす?」
ちひろは、ダーブロウ有紗の真意が、まだわからない。
1167投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月26日(火)21時21分00秒
「どうしておまえの身体から、『バタフライ』を抜いてやったんだっけ?」
「わ…私を…戦力に使う為…」
「そうだ!今から、私とおまえがチームを組んで、やつ等と一戦交える」
「い…今…から…?」
突然の話しで、ちひろは戸惑った。
そんなちひろの思いなど、お構いなしにダーブロウ有紗は説明を続ける。
「さっき、羅夢からこの街に来てる『戦士』の人数と名前を聞いた。今残ってるチームは、『チームK』と『チームT』と『チーム7』と『チームJ』の片割れ、ジャスミンの7人だ」
「だ、だから、何だ?」
「おそらく、夏希の『チームK』は来ない。夏希は作戦を統率するのが役目だ。『兵隊』の仕事はしない。ジャスミンか、『チーム7』…。もしくは、『チームT』と共闘してくるかもしれない…」
「お、おい!答えろ!」
「来るヤツがわかれば、対策も立てられる。つまり、誰が来ようと、私とおまえが組めば、充分勝てるとふんだのさ」
「か、買いかぶりすぎだ…!私を…」
「だって、おまえ、ジョアンを…」
「だから…!それは、偶然勝ったんだ!」
「偶然…?運も実力のうちだぜ?」
「運は運!実力は実力だ!全くの別物だ!」
「そう、考えるおまえは、充分強い。大丈夫だ。自信を持て」
中村有沙にも、そんなことを言われたような気がする…。
1168投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月26日(火)21時23分37秒
今日はこれでおちます
1169投稿者:
age
投稿日:2007年06月26日(火)22時59分34秒
1170投稿者:
次
投稿日:2007年06月26日(火)23時27分41秒
来るのは誰だろ?
1171投稿者:
うむ
投稿日:2007年06月27日(水)00時14分38秒
新入りか
1172投稿者:
もうそろそろ
投稿日:2007年06月27日(水)01時08分42秒
ジャスミン希望
あと七海も
一七同盟以来だもんね
1173投稿者:
age
投稿日:2007年06月27日(水)18時08分22秒
1174投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月27日(水)21時25分26秒
次に登場するのか…すぐにわかりますよ
では、更新します
1175投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月27日(水)21時26分05秒
19『人喰い虎と深紅の雨』
「おっちゃん。…おっちゃん。…なすびのおっちゃん…!」
居眠りをしてた、『ラブホテル・アンダーキャッスル』フロント係の、顔の長い男は目を覚ました。
真正面には…さっきゴールドカードを出した、外国人風の少女と同じ、スィートロリータのドレスを着、室内だというのに日傘を差した美少女が、ニッコリと微笑んでいた。
「あ…。な、なんでしょう…?」
男は、その美少女に向かって答えた。
「ちゃう、ちゃう!こっちや、こっち!」
下の方から声が聞こえる。
カウンターから、虎の耳が覗いている。
「!?」
男は、カウンターから身を乗り出す。
そこには、虎の耳のカチューシャをつけ、黒い前髪を一直線に切り揃えた、これまた可愛らしい少女が、クリクリとした大きな目をこちらに向けていた。
その小さな少女も、日傘の少女と同じ様なドレスを着ている。
しかし、色が違う。日傘の少女は白とピンクの色のドレスだが、虎耳の少女は黒のドレスに黄色のフリル…虎のような色合い…しかも、腰には虎の尻尾が付いている。
「な、なすびのおっちゃん…?お、俺のこと?」
「そうや。顔がなすびみたいに長いから、なすびのおっちゃんや」
「で…な、何かな?お嬢ちゃん…」
奇妙に思いながら、男は取ってつけたような笑顔で応対する。
「うち等、部屋を貸して欲しいんやけど…」
1176投稿者:
まってました
投稿日:2007年06月27日(水)21時26分11秒
リリーさん
1177投稿者:
七海
投稿日:2007年06月27日(水)21時27分08秒
キター
1178投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月27日(水)21時27分28秒
また、女同士の客…。しかも、今度は、片割れが見るからに未成年…小学生ではないか…。
「あのね…お嬢ちゃん…。ここは、女の子同士のお客さんは泊められないんだよ。それに、子供はこんな所に来ちゃダメだから…」
「え〜!!だって、さっき、女同士で未成年の二人を泊めたんとちゃうん?うち等だけアカンなんて、不公平やん!」
虎耳の少女はそう言って頬を膨らませた。
(ははぁ…。さては、さっきのゴールドカードの友達だな…?同じ服を着てるし…。もしかしたら、この子達も、ゴールドカードを…)
男は、咳払いをしながら、これまた取ってつけたような大人の威厳でこう言った。
「ダメ、ダメ!早くお家に帰りなさい!親御さんも心配してるでしょ!さ、いい子だから、言う事を聞きなさい!」
「あ〜もう…!めんどくさいおっちゃんやな…」
虎耳の少女は溜息をつく。
(よし、ここでゴールドカード…)
ガン…。しかし、虎耳の少女が出したのは、黄金に輝く金属バットだった。
男は、金属バットを顔面にモロに喰らい、後ろへひっくり返って気絶した。
1179投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月27日(水)21時29分29秒
「ダメよ、七海さん…。乱暴は…」
日傘の少女は、虎耳の少女…藤本七海をやんわりとたしなめた。
「別にええやん。殺してへんのやし。七世は口うるさいねん!」
七海は、日傘の少女…岩井七世にそう不平を言った。
「もう…。私はあなたの師匠なのに…。呼び捨てにしてはいけません」
「はい、はい、堪忍な、七世大先生!」
「それに…いきなり気絶させてどうするの?有紗さんの借りた部屋を聞いてもいないのに…」
「あ、そうやった…!それは、うちがアホやったな…!」
七海はカウンターを飛び越えて、気絶している男の腹の上に乗っかった。
「ゴホ!!グハ!!グホ…!!」
男は、咽ながら気を取り戻す。
「なあ、なすびのおっちゃん、うち等と同じドレス着たヤツ…たぶん、ゴールドカードを使うたと思うんやけど…そいつ、どこの部屋におるん?」
「あ…そ…その…お嬢さん達なら…12階の…8号室です…」
「お嬢さん達…?」
七海は七世の方を振り返る。
「たぶん…有紗さんと、サムライガールのことでしょうね…。ラブホテルに一人で泊まる方が不自然よ」
七世は、日傘をクルクル回しながら言う。
「サムライガール?ああ…結局、『チームR』も『チームE』も仕留めそこなったんか…。何やっとんねん…素人相手に…。ブッサイクな連中やな!!」
「う〜ん…。ここは、サムライガールを褒めるべきではなくて?素人ながら、天晴れって…」
「ま、ええか…。おっちゃん、ありがとさん。もう、眠ってええよ」
七海は、再びバットの先で、男を小突いた。
1180投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月27日(水)21時30分55秒
「六甲おろしに〜 颯爽と〜 蒼天翔ける〜 日輪の〜」
阪神タイガースの応援歌が廊下に響く。
藤本七海が金属バットを引き摺りながら、廊下を歩く。
岩井七世は、日傘を閉じて後からついて来る。
ここは12階…。そして、8号室の前まで来た。
「さてと…ほんじゃ、『TTK』・『チーム7』期待の新人、藤本七海選手のデビュー戦といきまっか?」
七海はそう言うと、ドアの前に立ち、金属バットを振り上げた。
「…!?いけない!七海さん!」
七世は、七海の腰の尻尾を引っ張った。
ドバン!!…勢いよくドアが開き、中からダーブロウ有紗が、両手にナイフを持って飛び出して来た。
もう、すでにスィートロリータのドレスを着、身体中にナイフを差した黒革のベルトを取り付けて、臨戦態勢に入っていた。
「あれ…?誰もいない…。惜しいな…いきなりナイフで切り刻んでやろうと思ったのに…」
そう言うと、ダーブロウ有紗は『チーム7』の二人を睨みつける。
「なるほどな…。うち等の殺気を感じて、いつでも殺れる用意をしてたっちゅうワケかい…」
七海はダーブロウ有紗を見て、ニヤリと笑った。
「あん?殺気?いや、ヘタクソな歌が聞こえただけだが…?」
「ヘタクソ言うな!コラ!シバくぞ!」
七海はダーブロウ有紗を下から睨み上げた。
1181投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月27日(水)21時33分22秒
「ん?何だ?このチビッコは…。おまえ、新人か?」
「そうや!うちは、『TTK』の大型ルーキー、『チーム7』所属、ゴシックロリータ担当、コードネーム『キラー・タイガー(人喰い虎)』、藤本七海様や!!」
「『キラー・タイガー』…ねぇ…。こりゃまた大袈裟なコードネームだな…。『ブラック・タイガー』の方が良くないか?」
「『ブラック・タイガー』?おお、それもカッコええやん!」
「気に入ったか?魚屋で一尾100円で売ってるヤツのことだが…」
「そうそう、フライにしても良し、天ぷらにしても良し、経済的で主婦も大助かりやわぁ…て、エビのことやないか!コラ!」
「あはは…ノリ突っ込みだ!やっぱり関西弁で聞くと面白いな!」
そんな二人の間に、七世は遠慮がちに口を挟む。
「あの…漫才の途中で申し訳ないんですが…お久しぶりです…有紗さん」
「おお…。久しぶり…!元気だったか?出っ歯ちゃん」
「もう…矯正しました…」
七世は、恥ずかしそうに歯をにっと見せると、すぐに口を閉じた。
「ん?本当だ!随分、キレイになったじゃないか、出っ歯ちゃん!」
「もう出っ歯じゃないのに…」
「おまえは、いつまでたっても、私の中では出っ歯ちゃんだよ…」
ダーブロウ有紗は、穏やかな笑顔でそう言った。
1182投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月27日(水)21時34分36秒
「おい、コラ、何オバサン同士で昔話に花さかせとんのじゃ!うちを無視すんなや!」
七海は二人の間に割り込んだ。
「こいつ…。おまえといい、羅夢といい…また、オバサン扱いしやがって…!まだ、私は二十歳前なんだぞ!私から見れば、おまえ等の方がガキなんだよ!」
「二十歳前?ホンマに?もう、20代後半かと思うたわ。外人顔は老けて見えるさかい、堪忍な!」
「………おい…七世…。こいつ、何なんだよ…。新人の教育、ちゃんとしてるのか?」
「ごめんなさいね。私は、この子の師匠なんですが…なかなか言う事を聞かなくて…」
「ぶん殴れ!!」
「いえいえ…。私は、根気よく、のびのび育てる方針でして…」
「マジかよ…?私なら、考えられねぇ…」
「あなたの教育方針では、逃げられます…。中村有沙みたいに…」
ダーブロウ有紗は、苦笑いをしながら頭を掻いた。
「う〜ん…それを言われると返す言葉がないな…」
「それよりも…サムライガールも一緒じゃありませんこと?」
「そうや!サムライガールをここに呼べや!なんでも、ジョアンをボコボコにどつき回したそうやんけ!!」
「おう、今すぐ呼んでやらぁ!おい、サムライガール!こっちに来い!!」
8号室から、黒いレザーコート姿のちひろが溜息をつきながら出てきた。
「やれやれ…どんどん噂が大きくなっていく…」
1183投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月27日(水)21時36分36秒
今日はこれでおちます
1184投稿者:
七海のゴスロリ
投稿日:2007年06月27日(水)21時38分48秒
想像出来ない
1185投稿者:
たしか
投稿日:2007年06月27日(水)21時43分25秒
ゴスロリっていうかチョコレートっぽい色のドレス着た七海の写真を見たことある気がする
1186投稿者:
>85
投稿日:2007年06月27日(水)21時51分48秒
萌え画貼り付けスレにあったような気が・・・
1187投稿者:
age
投稿日:2007年06月28日(木)18時55分43秒
1188投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月28日(木)21時16分52秒
久しぶりに七海を書きましたが、やっぱり書いてて楽しいです
では、更新します
1189投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月28日(木)21時18分17秒
七海は、ちひろの姿をジロジロ見る。
「ふ〜ん…こいつがサムライガールかいな…。もしかして、コートしか着てへんの?おまえ、露出狂の変態ちゃうん?」
「ち…違う…!これは、梨生奈と羅夢に…」
「そうだ、こいつは『チームR』に捕まって、素っ裸にされて縛られて、クリを捻り潰されそうになりながらも、チビアリの居場所を吐かなかった、たいした根性の持ち主だ!」
「こ、こら!!デカアリ!余計なことを言うな!!」
ちひろは顔を真っ赤にしながら、怒鳴った。
「なんや?それはただ、コイツがドMやってだけの話しやろ?それに『チームR』ごときに捕まったって…結局大したことあらへんやん!」
「七海さん。敵を過小評価するのがあなたの悪いクセよ。彼女はジョアンを倒したってことを、忘れてはいけないわ」
そう忠告する七世に、七海は鼻で笑いながら言う。
「せやったら、そのジョアンも大したことあらへんのとちゃうんかい?こんな素人にやられるんやからな!」
1190投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月28日(木)21時21分07秒
ダーブロウ有紗は、そんな七海にイラつきながら詰め寄った。
「おい、おまえがサムライガールをバカにするんじゃねえよ!」
「あん?なんやと、コラ?うちとやるんかい?」
「おう、遊んでやるよ!よく見りゃ可愛い顔してんな?リカちゃん人形みたいだぜ。よく遊んだもんだ、リカちゃん人形で…」
「さよか?ぜんぜん、そんな風に見えへんけどな!」
「ああ、遊んださ。手足や首をバラバラにしてな…。おまえもそうしてやろうか?え?」
「おもろいやんけ!やってみぃ!」
「おう、やってやるよ!このパッツン!」
「何や?パッツンって」
「おまえのあだ名だよ!前髪がパッツンだから、おまえのあだ名はパッツンだ!」
「勝手にあだ名つけんなや!」
「や〜い、パッツン、パッツン!」
「パッツン言うな、コラ!どつくぞ!!」
1191投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月28日(木)21時21分49秒
「お、おい!デカアリ…!もう、やめろ!傍から見てて、凄くみっともないぞ!」
ちひろが、二人の間に割り込んだ。
「ホンマや…。アホの相手はしてられへん…」
七海は溜息をつきながら七世の所へ戻る。
「おい、逃げるのか?負けを認めるんだな?」
「ああ、おのれの勝ちにしといたるわ!アホらし!」
「イエ〜ィ!!私の勝ちぃ〜!!」
ガッツポーズをとるダーブロウ有紗を、しらけた目で見ながら、ちひろは言った。
「いや…おまえの負けだと思うぞ…。私は…」
「そうか?私の勝ちだと思うぞ?」
「ん…?おまえ…それは…」
ダーブロウ有紗の頭には、いつの間にか虎耳のカチューシャがついていた。
「ああ…!うちの虎耳…!!」
思わず、七海は頭を抑えた。
いつの間に取られた…?全然気が付かなかった。
1192投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月28日(木)21時22分37秒
「おい、コラ!返せ!返さんかい!!」
「やだよ!これは私んだ!!」
ダーブロウ有紗は、頭のカチューシャを両手で押さえつけた。
「おい、デカアリ…。返してやれ…」
ちひろも、たまりかねてそう言った。
「やだね!コレ、本物の虎の耳だぜ?ワシントン条約に違反してんじゃん!」
「おい、コラ!!返せ!返せ言うとんのじゃ!!」
「はい、七海さん、それまで!」
七世は、七海の頭を日傘でパシンと叩いた。
「痛!な、なんや、七世!あいつ、うちのカチューシャを…」
「カチューシャなら、私が取り返してあげる。だから、もうやめなさい。ね?」
「………わかった…」
渋々、七海は七世に従った。
「尻尾もゲーッツ!!」
振り向くと、ダーブロウ有紗の高く上げた右手に、虎の尻尾が…。
「ああ!うちの尻尾も!返せ!!」
「はい、七海さん、二度も同じ事言われない!」
また、七世は七海の頭を日傘で叩いた。
1193投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月28日(木)21時23分38秒
血気盛んな七海、冷静な七世…。このチーム、『チームR』と似ている…と、ちひろは思った。
ただ、『チームR』の梨生奈と羅夢は姉妹のような関係だったが、『チーム7』の七世と七海は母娘のような関係だ。
七世はゆっくりと言い聞かせるように七海に語りかける。
「いい?有紗さんの相手は私がするから…。あなたはサムライガールを相手しなさい」
「何でや!?何でうちが、あんな素人の相手をせぇへんとあかんのや!プロ野球選手がリトルリーグを相手にするようなもんや!!」
それを聞いて、またダーブロウ有紗はキレた。
「おい!サムライガールがリトルリーグだと?リトルなのは、おまえの背だろうが!」
「あん?いちいちうっさいねん!いつでも、やったんぞ!?おう!?」
「へへん!七世から言われたろ?この『マッド・エッジ』、ダーブロウ有紗様の相手は、まだ早いとよ!」
「『マッド・エッジ』?へ〜、それはようつけたコードネームやな…。『キ○ガイに刃物』って意味やろ?」
「てめぇ!!ぶっ殺す!!」
七海に掴みかかるダーブロウ有紗を、ちひろは後ろから羽交い絞めにした。
「やめろ!デカアリ!」
「離せ!そもそも、サムライガール、おまえがバカにされてるんだぞ!?」
「私のことはいい!それよりも…早くここは切り抜けて、有沙の所に行かなくては…!」
1194投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月28日(木)21時25分51秒
その言葉で、ダーブロウ有紗は冷静になった。
「そうだな…。おまえの言う通りだ。よし、早いとここいつ等を片付けて、チビアリ姫の所に急ぐとするか…!」
そう言うと、ダーブロウ有紗は背中のホルスターから、刃渡り40センチの大振りのナイフを抜き、ちひろに渡した。
「な、何だ?これは…?」
「何だ?って…武器だよ、武器。これを使え。おまえの木刀やロッドよりは短いが…コレが私のコレクションの中で一番長いナイフだ」
「ナイフ…。デカアリ…私は、ナイフは使い慣れていない…」
「おい、おい、贅沢言うなよ!丸腰で戦うよりはマシだろ?」
「もしも、デカアリ…おまえが弓矢を手渡されたら…使いこなすことができるか?」
「…?できるよ?」
「………私には無理だ…」
「木刀もナイフも大して変わりねぇだろ?振り回せばいいんだよ!」
「えらい違いだ!ナイフには刃が付いている!」
「ナイフだから、当たり前だろ!!」
「つまり…これを使えば…相手が死ぬ…」
1195投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月28日(木)21時27分13秒
ダーブロウ有紗は、イライラしながら髪の毛を掻き毟る。
「あのなぁ…サムライガール…。この期に及んでまだ、おまえは…」
「おまえだって、殺す気はないんだろ?『戦士』は仲間だって…!仲間は殺せないって…」
「まあ…そう言ったが…。あの出っ歯ちゃん相手に…それが通用するかどうか…」
「何?そんなに強いのか?あの出っ歯ちゃんは…」
「おまえが、出っ歯ちゃんって言うな!コラ!」
そこに、七海の怒声が割り込む。
「コラ、コラ、コラ、コラ、おのれ等!!今、何言うた?おう!?」
「な、何だ?私が出っ歯ちゃんって言ったことか?」
「ちゃう!ナイフはうちを殺すかも知れへんやと!?おい!うちをなめると、承知せぇへんぞ!!」
七海は、金属バットで壁を思いっきり叩いた。
「その殺し合いをするんとちゃうんかい!!眠たいこと抜かすな!さっさと掛かってこんかい!サムガー!!」
「サ、サムガー!?な、何だ、それは?」
「サムライガールなんて、長ったらしくて言えるかい!大阪の人間はせっかちなんや!略してサムガーや!」
「りゃ、略すな!」
「サムっでええわ!サムっで…」
「そ、それでは、まるで私が寒いみたいじゃないか!」
そんな吉田みたいなあだ名をつけられてたまるかと、ちひろは思った。
1196投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月28日(木)21時28分27秒
今日はこれでおちます
1197投稿者:
つまり
投稿日:2007年06月28日(木)22時39分05秒
ちひろVS七海
ダーさんVS七世
1198投稿者:
d
投稿日:2007年06月28日(木)23時28分19秒
1199投稿者:
age
投稿日:2007年06月29日(金)18時41分56秒
1200投稿者:
七世の武器は
投稿日:2007年06月29日(金)19時42分05秒
なんなんだろう?
1201投稿者:
では逆に聞こう
投稿日:2007年06月29日(金)19時45分26秒
歯以外に何があると思う?
1202投稿者:
吉田みたいなあだ名w
投稿日:2007年06月29日(金)21時02分34秒
1203投稿者:
歯で戦うのは
投稿日:2007年06月29日(金)21時07分16秒
さすがにむりっしょ!w
1204投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月29日(金)21時21分51秒
>>1200
実は、もう出てます
それでは更新します
1205投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月29日(金)21時22分37秒
「さあ、パッツンは殺す気満々のようだぜ。どうする?サムガー」
「お、おまえまで、サムガーって言うな!」
「おまえは、殺す気でやったぐらいが丁度いいんだよ!行け!」
ダーブロウ有紗は、ちひろの背中をドンと押した。
「う、うわ!」
ちひろは、七海の前につんのめる。
「お?絶好球や!」
七海は、金属バットをフルスイングした。
「わ、わあ!」
ちひろは、寸での所で下にかわした。頭のすぐ上で、金属バットが高速で通過する。
「あ…危ないじゃないか!デカアリ!」
「ほら、ほら、よそ見してる余裕はねぇだろ?シャキっと戦え!サムガー!!」
はっと上を見る。
七海がバットを振り上げている。
「う…!」
ちひろは、床を転がりながら避けた。
ガン!…バットは床を思いっきり叩く。
「チョコマ逃げんな!コラ!!」
七海はブンブンとバットを振り回す。
ちひろは、それを懸命に避ける。
空振りしたバットは、床や壁を凹まし、ヒビを入れていく。
1206投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月29日(金)21時23分23秒
水平に振られたバットを、しゃがんで避けるちひろ。
すぐさま、バットは振り下ろされる。
それが、ちひろの背中を直撃する。
「ぎゃ!」
ちひろは、背中を押さえながら、後退りする。
「ホレ!ホレ!ホレ!」
七海はバットを繰り出してくる。
その内の一発が、ちひろの脇腹に炸裂する。
「…ぐ…!」
『バタフライ』が身体に残っていたら、間違いなく悶絶死だろう。
8号室のドアが半開きになっている。
たまらず、8号室に逃げ込むちひろ。
「おい、コラ!待たんかい!!逃がさへんで!!」
七海はすぐさま、ちひろを追い駆け、部屋の中に入るとドアを閉めた。
1207投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月29日(金)21時24分04秒
「あらら…。バカだな…サムガー…」
ダーブロウ有紗は大きく溜息をついた。
「この狭い廊下で戦った方が、パッツンのバットの動きを封じられるのに…。やっぱり、潜在能力があっても素人か…」
七世も頷きながら言う。
「そうですね…。それに、部屋の中はいろいろありますし…」
「いろいろある…?何だ?そりゃ」
「さあ…何でしょう?」
「あのパッツン、どんな戦法を使う?」
「それは言えません。知ってどうします?あなたは、サムライガールを助けに行けないのに…」
七世は、日傘でダーブロウ有紗を指す。
「さっきから気になってたんだが…。その傘は何だ?今日は雨も降ってねぇし…日傘だとしても、今は夜だぞ」
「私…武器を替えました」
「ん?薙刀はどうした?」
「あれ…とってもかさ張るし…振り回すのに力がいるから腕がどんどん太くなるし…で、新しく選んだ武器がこの日傘です」
「何だと?」
「だから…コードネームも替えました。『ホワイト・ダイアンサス(白の撫子)』から…『クリムゾン・レイン(深紅の雨)』に…」
「白から紅に…?こりゃまた思い切った方向転換だな?私は、撫子の方が好きだったけど…」
「私は、気に入ってるんですよ…。だって、血の雨が…本当に降るんですから…」
1208投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月29日(金)21時25分31秒
「その血の雨は…どっちの血だ?」
「もちろん…あなたです」
「ふ〜ん…出っ歯が治った途端に………生意気な口、叩くじゃねえか!!」
ダーブロウ有紗は、一歩踏み出した時に二本のアーミーナイフを出し、二歩踏み出した時にナイフを回し、三歩目では七世に狙いを定めて突っ込んできた。
七世は日傘を広げ、その陰に隠れた。
「そんなもんで防げるかよ!!」
アーミーナイフを傘に突き立て、切り裂くが…ビキビキビキ…甲高い金属音がした。
「!?」
傘はなんとも無い。
七世は傘を閉じるとともに、前に突き出す。
傘の先端には、鋭く研いだ細い槍がついている。
ダーブロウ有紗は、それをナイフで払うと、後ろへ飛び退いた。
そして、自分のナイフの刃先をじっと見る。
「刃こぼれしている…。その傘…タダの傘じゃねぇな?」
七世は再び傘を広げると、肩にかけてクルクル回した。
「ええ…。金属の繊維で編みこんであります。あなたのナイフでは、この傘に傷一つつけることはできません…」
1209投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月29日(金)21時26分41秒
ダーブロウ有紗は、舌打ちをしながら言う。
「ち…!攻撃よりも、まず防御を考える…おまえらしい戦い方だな?」
「あなたは、攻撃しか考えてないんです」
「随分、偉くなったもんだな?弟子を持つとそんなに変わるもんかね?」
「はい…。手のかかる弟子ですが…その方が私自身も成長できますし…」
「そりゃ、結構!でも、死んじまったら、成長もへったくれもねぇんじゃねぇの!?」
ダーブロウ有紗は再びナイフを振り上げて突っ込んでくる。
「だから…無駄です」
七世も再び傘を広げる。
しかし、ダーブロウ有紗は、今度はナイフではなく、前蹴りを傘に放った。
「う!」
傘が上に跳ね上がる。
「ほれ!がら空き!!」
ナイフを突き出す。
七世は傘を閉じ、ナイフの攻撃を払い除けた。
1210投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月29日(金)21時27分26秒
ギン、ギン、ギン…金属音が響きわたる。
ダーブロウ有紗のナイフと、七世の日傘…激しい攻防が繰り広げられる。
やはり、正攻法になったらダーブロウ有紗に有利だ。
七世は一歩後ろに下がると、身体を回転させるとともに、傘を広げた。
「!?」
ダーブロウ有紗は後ろに跳んだ。
ギャギャギャギャ…四方に突き出た傘の骨が、壁に傷をつけた。
「ふぅ…。この傘、武器の塊りじゃねぇか…。こりゃ、いい武器選んだな?出っ歯ちゃん」
「お褒めに預かり光栄です」
七世は片手でスカートをチョイと摘み、足を交差させてお辞儀した。
「それから…もう一つ褒めて欲しいんですけど…」
「あん?」
「先取点…私が獲りました」
七世は黒のベルトを差し出す。
ダーブロウ有紗の、肩に巻き付けていたナイフを指したベルトが切られている。
思わず肩を見ると、小さくドレスが切り裂かれ、血が滲んでいる。
1211投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月29日(金)21時28分28秒
「ほぉ〜…この私から傷をつけるなんて、おまえが初めて…でもねぇか…」
ついさっき、掌をエリーの毒矢で傷つけたのを思い出した。
「でも、これくらいで勝った気でいるんじゃねぇだろうな?まさか、毒が塗ってあるとか?」
「いいえ…。私は、毒には頼りません」
「そうか、そりゃ良かった。まだ、野球で言うなら3回表、サッカーで言うなら前半20分ってところだ。まだまだ試合はわからねぇぞ」
「そうですか?私は野球で言うなら9回裏、サッカーで言うなら後半ロスタイム突入だと思ってました」
「だったら、延長戦の準備をしておきな!!」
ダーブロウ有紗はナイフを構え、天井まで跳んだ。
七世は傘を広げて防御を固める。
が…いつまで経っても攻撃がこない…。
「なあ…それ、ちゃんと敵の動きを把握できるのか?」
「!?」
下を向くと、ダーブロウ有紗がしゃがんで七世を見上げていた。
「うりゃ!!カエル跳びアッパー!!」
ダーブロウ有紗は、ナイフを握った手でアッパーカットを放った。
七世はブリッジで避け、そのままバック転で体勢を整える。
「ほら、延長戦だ!」
七世のドレスの肩が切り裂かれ、血が滲んでいる。
1212投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月29日(金)21時29分34秒
今日はこれでおちます
1213投稿者:
そうか
投稿日:2007年06月30日(土)00時19分40秒
傘だったのか
1214投稿者:
血の雨
投稿日:2007年06月30日(土)00時28分52秒
ナルトでもこんな台詞あったな
我愛羅「千本の雨か……じゃあオレは…血の雨を振らせてやる」
1215投稿者:
ナルトナルト
投稿日:2007年06月30日(土)00時33分27秒
うるさい
1216投稿者:
剣心でも
投稿日:2007年06月30日(土)00時45分36秒
巴「あなたは…本当に血の雨を降らせるのですね…」
1217投稿者:
あげ
投稿日:2007年06月30日(土)09時57分54秒
1218投稿者:
考えてみたら
投稿日:2007年06月30日(土)16時52分54秒
ちひろはダーさんとも七世と七海とも共演してたんだな
長いよなあ…
1219投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月30日(土)21時38分47秒
わかりますよ
自分の好きな漫画は、ついつい語ってしまいますよね
私も、意味もなく小説の中で『蒼天航路』なんて出してしまいましたし…
では、更新します
1220投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月30日(土)21時39分20秒
20『VS チーム7』
12階、8号室内…。ついさっきまで、ちひろとダーブロウ有紗が愛し合った…いや、解毒治療をした部屋…。
今は、ちひろと七海の死闘の場となる。
「ケケケ…。この部屋に逃げ込んだのが運の尽きや。廊下で戦うてた方が、おのれに有利やったんやで?」
「何?」
「広い部屋や…。これなら思いっきりバットを振り回せるってもんや!」
七海はバットを振りかぶり、ちひろに向かって猛突進していく。
ちひろは、咄嗟にダーブロウ有紗から借りたナイフをかざす。
やはり、刃渡り40センチは短すぎる。両手で構えるのは無理だ。
それに、ナイフでバットの攻撃を受け止められるのか?
そう考えていると、バットはちひろの頭に振り下ろされる。
思わずナイフを出す。
ギャン!ギィン!
火花が散った。
「ぐ…!」
ちひろは後ろに下がり、刃先を見た。
刃こぼれはしていない。
七海のバットを見ると、金色のメッキがはがれ、長い傷が2〜3本入っている。
1221投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月30日(土)21時40分07秒
「これは…凄いナイフだな…」
改めて、ちひろはナイフを見る。しかし、これは防御するものではない…。攻撃するもの…。
このナイフで攻撃するということは…七海を刺す、斬る…つまり…殺す…。
できない…。できるはずがない…。
『チームR』との戦いを思い出す。
殺さないように、殺さないように戦って…あのザマだった…。
捕まって、拷問され…ダーブロウ有紗に助けられなければ死んでいた。
しかし…このナイフはどうしても使えない…。
七海は、自分のバットを眺めて言う。
「ふ〜ん…ごっついナイフやな…。でも、ただ持ってるだけや、しゃあないで!使わんかい!」
ちひろは、ナイフを構える。
構えて…どうする…?
戦いのイメージが湧かない…。どうすればいい?このナイフで何がしたい…?
木刀が欲しい…。あの、護身用ロッドが欲しい…。
1222投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月30日(土)21時41分25秒
「そら!そら!もう一発いくで!」
大きくバットを振り上げる七海。
これが剣道の試合だったら…『突き』だ…!
七海の攻撃は大雑把でガサツだ。喉元ががら空きだ。
ちひろの身体が無意識に動く。
最高のタイミングで『突き』が決まる…!
(…ま、待て…!)
自分が持っているのは、ナイフ…。このままでは、七海の喉を刺し貫く。
ちひろは、動きを止めた。
そして、紙一重でバッドがちひろの前髪を揺らした。
「…ぐ!!」
七海は、身体を回転させてバットを一閃する。
ナイフが弾かれた。
「しまった…!」
ガス…!花柄の壁に、大振りなナイフが突き刺さった。
1223投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月30日(土)21時42分13秒
丸腰…。ナイフを持っていれば、防御だけはできた。
しかし、今はその防御もできない。
人を傷つけることを恐れ、思い切った行動ができないおかげで、また自分を困難な状況に追い込んだ。
一体、何度同じことを繰り返すつもりだ…?
ちひろは、いい加減、自分にうんざりした。
とにかく、今は七海から離れなければ…。
ちひろは、体裁も考えずに逃げ回った。
「コラ!逃げ回んな!正々堂々戦わんかい!!」
七海は怒鳴り散らした。
(何とでも言わせておけ!離れていれば、バットは届かない…)
しかし、七海は自分を追う気配はない。
「…?」
ちひろは奇妙に思った。
そう言えば…この七海の武器…バット…。
ジョアンの鞭、ダーブロウ有紗のナイフ、梨生奈のトンファー、羅夢のヌンチャク、エマとエリーのボウガン…これらは武器だ。
人を殺傷する目的の道具だ…。
しかし、バット…?これは武器ではなく、道具だ。野球道具だ…。
この七海の武器だけ、他の戦士の武器と比べて、浮いている…?
1224投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月30日(土)21時43分34秒
七海は、そんなちひろの気持ちを見透かしたように、言う。
「なあ、振り回して殴るんやったら、棍棒や金棒だってええわって思わへん?」
そう…その通りだ。
「何でうちが、バットを使うてるのか…?野球好きってだけやないで」
バット…。バットでなければいけない理由?
「さて、問題です…。バットの本来の使い道は?」
「バット…?そ、それは…ボールを打つ…道具…?」
「ピンポン、ピンポン!大正解や!」
七海はゆっくりと、テーブルの前に移動する。
「ここは…廊下と違うて、いろいろあるからな…」
そして、大きくバットを振りかぶる。
目の前には、バラが生けられているガラス製の花瓶が…。
「やばい!」
ちひろは、両腕で顔を覆い、背中を向けた。
打ち込まれたガラスの花瓶は、粉々に砕け散り、破片が散弾銃のようにちひろの方へ飛んでいく。
「うわ!!」
無数のガラス片が、ちひろを襲う。
1225投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月30日(土)21時44分30秒
「うわ〜〜〜!!!」
ガラスの弾が、ちひろの身体に叩きつけられる。
しかし、ダーブロウ有紗のレザーコートは、その事如くを弾き返す。
ちひろの身体が傷つけられることはなかった…が、七海の接近を許してしまった。
「ケケ!それじゃ、ホームランをかっ飛ばしますか?」
「!?」
七海が、すぐ目の前で、バットを構えている。
そして、フルスイング…!
ちひろは、仰け反った。
チ…。バットが、ちひろの顎にかすった。
グラリ…部屋中が回った。
顎は急所だ。かすっただけで、脳震盪を起こす。
「う…うわぁ…」
まるで、柔らかいトランポリンの上に立っているような感覚…。
ちひろはテレビのボクシングや総合格闘技で、顎や側頭部に一撃を喰らってフラフラする選手に向けて、「しっかり立て!」と檄を飛ばしたことがあったが、それは無茶を言ったと反省した。
立てない…。足がガクガクする…。
そして、そのまま床に崩れ落ちた。
1226投稿者:
リリー
投稿日:2007年06月30日(土)21時45分55秒
今日はこれでおちます
これから『ダイハード4・0』を見に行きますので
1227投稿者:
どうでしたか?
投稿日:2007年07月01日(日)01時52分42秒
見に行きたい…
1228投稿者:
http://31.xmbs.jp/lovelytenka/
投稿日:2007年07月01日(日)02時05分40秒
http://31.xmbs.jp/lovelytenka/
1229投稿者:
この時間から
投稿日:2007年07月01日(日)05時40分32秒
見に行くの?
1230投稿者:
七海の必殺技
投稿日:2007年07月01日(日)12時03分47秒
ラーメンマンに出てくる、流星拳・砲岩の散弾流星脚?
1231投稿者:
age
投稿日:2007年07月01日(日)20時43分36秒
楽しみっす。続きをお願い致します。
1232投稿者:
>>1230
投稿日:2007年07月01日(日)21時00分29秒
さすがのリリーも知らないと思う
1233投稿者:
ano
投稿日:2007年07月01日(日)21時23分21秒
age
1234投稿者:
機矢滅留苦落血
投稿日:2007年07月01日(日)21時25分08秒
1235投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月01日(日)22時22分21秒
>>1230
すいません
ほんと、わかりません
でも、ナルトといい、ラーメンマンといい、新しいアイデアを思いついたと思ったら、全部誰かがやってるってこと多いですね
>>1229
レイトショーだったら1000円で安いんです
お客さんも少なくて込んでないし
映画は面白かったです
客を飽きさせないことに全精力をつぎ込んでるって感じの映画です
こういうシンプルで潔い映画も大好きです
コンピュータ社会に依存してる現代人に警鐘を鳴らす、というのがテーマみたいですが、説教臭くないのが良かったです
もう少し父親と娘のやりとりがあったら面白かった
更新、遅くなりました
今まで新垣結依のドラマ見てたので
ガッキーは可愛くて好きです
1236投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月01日(日)22時23分33秒
「なんや!さしずめ内野安打ってとこやな!」
七海は悔しそうに呟いた。
「ま、ええか…」
そう言って気持ちを切り替えると、倒れているちひろの前まで歩み寄った。
「う…うぅ…」
ちひろは仰向けに倒れていて、目が泳いでいる。
ちひろのスラリと伸びた長い足が、コートの裾から覗いている。
七海の悪戯心が、ムクムクと頭をもたげてくる。
七海は、コートの裾をバットの先で捲った。
ちひろの性器がさらされる。
「ケケケ…。おのれのアソコに、コイツを捻じ込んだるわ!」
七海は指でちひろの性器を広げ、バットの取っ手の先を押し付けた。
激しい痛みがちひろを襲う。
「ぐ!!」
そのおかげで目が覚めた。
「な、何をする!」
ちひろは、七海の顔を蹴っ飛ばした。
「ぎゃ!!」
七海は後ろにひっくり返った。
1237投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月01日(日)22時24分14秒
まだ、頭がフラフラするが、このチャンスを逃す事はできない。
「く…!やりおったな!サムガー!!」
七海も起き上がろうとする。
ちひろはコートを脱ぐと、七海に被せて視界を奪う。
コートを脱げば全裸なのだが、素早く仕留めれば問題ない。
「眠ってろ!!」
ちひろは渾身のストレートを、コートの中の七海に放つ。
「痛!!」
殴った感触が硬すぎる…。
七海がコートを振り払うと…顔の前に金属バットをかざしていた。
「おのれが眠れや!!」
バットの先が、ちひろの裸の腹を突く。
「うぐ…!!」
ちひろは、そのバットを掴む。バットを放せば、またフルスイングの攻撃がくる。
「放さんかい!!」
七海のとび蹴りが、ちひろの首に炸裂した。
1238投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月01日(日)22時24分55秒
「あう…!!」
羅夢の蹴りよりは軽いが…それでもまた頭部への打撃…。
ちひろは、後方へよろめきながら、壁に激突した。
また、頭がグラグラ揺れる。
「し…しまった…!」
また、真っ直ぐに立つ事が困難になった。
「ケケケ…。そのまま大人しゅうしとけ!」
七海は追撃を急がず、余裕を持って部屋の中を物色する。
そして、天井のミラーボールに気付く。
「おお!ええもん見っけ!やっぱり、バットはボールを打つ為のモンや!」
七海は天井目がけてジャンプした。
そして、思いっきりミラーボールを打った。
ミラーボールは天井から離れ、ちひろを目がけて飛んでいく。
「う…うわ!!」
ガシャ!!…ミラーボールがちひろの後頭部に直撃した。
(う…く…!や、やばい…!い、意識が…)
ちひろの意識は、再び暗闇に包まれた。
1239投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月01日(日)22時25分41秒
気を失って、倒れるちひろを見下ろす七海。
「勝ったな…。チョロイで!ジョアンはこないなヤツにやられたんか?ホンマにヘタレなやっちゃ!いや、うちが天才なのかもしれへん!」
そして、バットを振り上げる。
「サムガーの身代わり死体は…確か顔を潰されたんやったな…。ここで潰しておこうか?」
気を失ったちひろの顔を見る七海。
「…よう見ると…可愛らしい顔しとるな…。潰すのはカンベンしといたろ」
七海はバットを置く。
全裸で倒れている、ちひろ。その身体には、中村有沙によってつけられたキスマークが…。
また、七海の中から悪戯心が湧き上がる。
「今すぐサムガーにトドメを刺して、七世の所に行って、加勢するべきやろうけど…」
七海はドアの方を見る。
「七世のことや…負けはせんやろ…」
そして、またちひろの裸体に目を落とす。
「…あかん…。辛抱たまらん…。ええい!少しくらい、ええやろ!?」
七海は、着ていたドレスを大急ぎで脱ぎ始めた。
「殺せる時に殺しておけ」…『TTK』の鉄則だ。七世が側にいれば、間違いなくこう忠告するだろう。
しかし、ここには七世がいない。自分一人だ。自分の自由だ。
七海は、靴と、黒と黄色のストライプの太ももまである靴下だけ身につけた姿になると、ちひろに覆いかぶさった。
ちひろの成長した裸と、七海の未発達な裸が重なり合った。
1240投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月01日(日)22時27分05秒
今日はこれでおちます
1241投稿者:
ガッキー好きなの?
投稿日:2007年07月01日(日)22時37分31秒
恋空映画化されるみたいけどみるの?
ガッキー主演
1242投稿者:
レイトショーって
投稿日:2007年07月01日(日)22時43分30秒
1200円じゃないの?
1243投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月01日(日)22時46分57秒
>>1241
そうなんですか?
恋空は読んでませんが、映画なら見るかもしれません
>>1214
近所の映画館では1000円でした
その日だけ特別だったのでしょうか?
1244投稿者:
恋空ね
投稿日:2007年07月01日(日)22時51分02秒
あまりお薦め出来ないよ
文章は幼稚だし感動しないし命を馬鹿にしてる感じがする
リリーさんが読むなら止めない
1245投稿者:
あげ
投稿日:2007年07月01日(日)23時07分02秒
1246投稿者:
age
投稿日:2007年07月02日(月)06時51分56秒
1247投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月02日(月)21時25分49秒
>>1244
そうなんですか
でも、人気の小説ですよね
では、更新します
1248投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月02日(月)21時26分55秒
その8号室前の廊下、ダーブロウ有紗と七世の激闘は続く。
ナイフと日傘がぶつかる度に、火花が散る。
日傘は忙しく開いたり閉じたりしながら、ダーブロウ有紗の攻撃のリズムを狂わせていく。
日傘の布は、ナイフをことごとく跳ね返す。
ナイフの刃は、その度に欠けていった。
「ち…!」
ダーブロウ有紗は、一度七世から距離を置いた。
「さっきから、全然進歩がねぇな…」
七世も日傘を床に突いて、一休みする。
「あら?少なくとも私の方では進歩はありましてよ?どんどん切れ味が悪くなってませんか?そのナイフ…」
確かに、ナイフの刃の滑らかさは失って、ギザギザの鋸のようになっている。
1249投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月02日(月)21時27分34秒
「ふん…!知らねぇのか?切れ味の悪いナイフで斬られたら、痛いぞ〜?」
「斬られればね…。あなたの攻撃は、私には通用しません」
「まったく…さっきから、防御と攻撃のバランスが偏りすぎてるぞ?」
「あなたもね…。野球に例えると…あなたは読売ジャイアンツ、私は中日ドラゴンズでしょうか?」
「サッカーで例えろよ。よく盛り上がったじゃねぇか。2002年のワールドカップ」
「懐かしいですね。『日本対ロシア』の時間に緊急の仕事が入って、有紗さん、その命令を無視してさぼってテレビを見てて、『ラビ』達にお仕置きされてましたね」
「日本代表、ワールドカップ初勝利の瞬間を見れたんだ。あれぐらい我慢できた。でも、あの稲本のゴール、ありゃ、オフサイドだったけどな」
「七海さんが野球好きでして…今は一緒に野球観戦に付き合わされてますが…サッカーは今でも好きですよ。そうですね…サッカーで例えるなら、私は守備重視のイタリア代表、有紗さんは攻撃重視のブラジル代表ですかね?」
「なるほど…。さしずめその日傘は『カテナチオ(閂)』か?」
「そう…。カウンター攻撃も得意です。そして、あなたの自慢のFWツートップは、私のDF陣にジワジワと削られていってる…。二点目が入るのも近いですね…」
1250投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月02日(月)21時29分38秒
そんなサッカー談義の合間、時々8号室のドアを横目で見るダーブロウ有紗。
その隙に、傘の先の槍が襲ってくる。
「おっと!」
間一髪で避け、ナイフを構えて七世を牽制する。
「あぶねぇな!マリーシオ(ずる賢い)サッカーは嫌いだよ!」
「部屋の中が…サムライガールが気になりますか?」
心の中を読まれてしまった、ダーブロウ有紗は苦笑した。
「出っ歯ちゃんは…パッツンが気にならないのか?」
「私達『チーム7』は、屋外はもちろん、室内でも無類の強さを発揮します。七海さんなら大丈夫でしょう」
「なあ、私がブラジル、出っ歯ちゃんがイタリアなら…パッツンの強さだと、どこの代表だ?」
「そうですねぇ…七海さんは…ポーランドでしょうか?」
「これまた、微妙だな…。ジョアンはどこだと思う?」
「メキシコでしょうか?」
「なるほど…。梨生奈と羅夢は?」
「う〜ん…これから急成長するんでしょうけど…今の実力では、日本と韓国ですね」
「メキシコに勝って、日本と韓国に負ける…?おい、おい…サムガーは一体、どこになるんだよ?」
「比較論で考えると、ワケがわからなくなりますよ。あなたの印象では?」
「う〜ん…潜在能力と身体能力の高さを考えると…アフリカの新興国か…」
「セネガル…トーゴ…アンゴラ…コートジボアール…?」
「サムガーは今、木刀を持っていない…。ドログバのいないコートジボアール?ヤバイじゃねぇか!」
1251投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月02日(月)21時34分05秒
「まあ、それはいいとして…ポーランド対コートジボアールよりも、イタリア対ブラジルを楽しみましょう!」
「確かに…視聴率も高そうだ!」
ダーブロウ有紗は、二本のナイフを床に突き刺す。
そして、腰のベルトに無数に差さっている、8センチ程のナイフ(『バタフライ』を真っ二つにし、エマの砲丸の紐を切り取ったナイフ)を次々と七世に投げつけた。
「!!」
七世は日傘を広げると、クルクルと回し始めた。
ナイフは弾かれたが、七世が日傘を高く掲げる。ナイフは、そのまま日傘の上を回転している。
「お…!?海老一染乃助・染太郎…?」
「いつもより、大目に回しております…」
七世が日傘を閉じると、回転していたナイフはバラバラと落ちる。
そして、落下しているナイフの中に日傘を突っ込むと、勢いよく広げた。
その反動で、ナイフがダーブロウ有紗の方へ飛んでいく。
「うおお!?」
ダーブロウ有紗は、床に刺したナイフを慌てて抜いて振り回すと、その飛んでくるナイフを叩き落した。
「はい…。二点目…」
七世が指差す。
ダーブロウ有紗の左肩…先ほど七世に切り裂かれたのと同じ場所に、ナイフが一本刺さっていた。
1252投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月02日(月)21時35分20秒
ダーブロウ有紗はしかめっ面で、ナイフを引き抜く。
「ふん!どうってことねぇ!今からハットトリックを決めてやらぁ!!」
「もう、延長戦後半、ロスタイム突入ですよ?」
「PK戦はねえ!このまま終わらせる!!」
ダーブロウ有紗は、相変わらず真正面から突っ込んでいく。
七世は日傘を広げると、同様に突っ込んでいった。
「ぐぅ…!!」
ナイフは日傘を通さない。広げた傘はそのままダーブロウ有紗を圧迫し、壁際まで押し付けた。
「この!この!」
ナイフを何度も突き立てるが、日傘は穴一つ空かない。
七世は、傘の取っ手を引き抜く。そこからは、長い針が…。
「はい!三点目!!」
その針をダーブロウ有紗の顔面目がけて突き刺した。
ダーブロウ有紗は、首を横に曲げる。
針は耳元をかすって、壁に突き刺さる。
「残念!コーナーポストに嫌われました!」
ダーブロウ有紗は、七世の腹に蹴りを入れて吹っ飛ばした。
1253投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月02日(月)21時36分56秒
「あん!惜しい!」
七世は慌てて、取っ手の針を傘に戻した。
「選手交代!ロナウドに代わりまして、ロビーニョ!!」
ダーブロウ有紗は、右手のアーミーナイフを手から放すと、スカートを捲くり上げてガーダーベルトから拳銃を出す。
そう、『チームR』を撃破したあのマンションで、抜け目なく拾っておいたのだ。
「!?」
七世は咄嗟に傘を開いて、出来る限り身を隠す。
パン!パン!パン!
乾いた音が響き渡る。
ギン!ギン!ギン!
金属の繊維で織られた日傘の布は、弾丸をも弾き返したが…そこに僅かな穴が空いた。
ダーブロウ有紗は、残った左手のアーミーナイフで、その穴目がけて突き刺して、思いっきり引き裂いた。
ギャギャギャギャギャ…!!
耳をつんざく様な金属音とともに、日傘の布の一部が剥がれてしまった。
「よっしゃ!カンナバーロ、負傷退場!!」
「拳銃なんて、レッドカードです!」
「残念!主審はモレノさんでした!!」
1254投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月02日(月)21時37分55秒
ダーブロウ有紗は、その破れた布の隙間から拳銃の握った手を突っ込んで、七世に突き出した。
引き金が引かれる瞬間、七世は傘を回転させる。
「!?」
咄嗟にダーブロウ有紗は、拳銃を握った手を引っ込めた。
手首が傘の骨に触れる。
「痛!」
拳銃を床に落とす。
すぐさまその拳銃を拾おうとしたが、七世がそれを蹴っ飛ばした。
仕方なく、ダーブロウ有紗は仕切りなおした。
「くそ!早くもロビーニョが退場かよ!」
「それだけじゃありません。三点目が入りました。決定的な…」
ダーブロウ有紗は手首を見る。
手首の内側から血が噴き出している。
「ちくしょう!これじゃ、まるで私がリストカットするような、チョロイ精神の持ち主だと思われるじゃねぇかよ!!」
そう言いながら、スカートの裾をナイフで切り取ると、その切れ端を手首に巻きつけた。
「なかなか、点が入りませんね?」
七世が額の汗を拭って言う。
「どうかな?カテナチオが破られたんだ。これからゴールラッシュが始まるぜ?」
ダーブロウ有紗は、歯で布を引っ張って、手首の止血を完了させた。
1255投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月02日(月)21時40分19秒
今回も、少し趣味に走りました
サッカー知らない人は、何を言っているのかわからないかもしれません
すいませんでした
今日はこれでおちます
1256投稿者:
サッカーの例えは
投稿日:2007年07月02日(月)21時42分19秒
意味が全く分かりませんでした^^
でも面白かったです
1257投稿者:
ある意味楽しいよ
投稿日:2007年07月02日(月)21時43分26秒
恋空批判サイト貼っとく
http://50.xmbs.jp/koisorawarosu/
リンク利用すればネットで読めるよ
1258投稿者:
懐かしくてすごく
投稿日:2007年07月02日(月)21時57分59秒
おもしろかったです
1259投稿者:
なんかリズムがいいねw
投稿日:2007年07月02日(月)22時48分28秒
ここが特に
「よっしゃ!カンナバーロ、負傷退場!!」
「拳銃なんて、レッドカードです!」
「残念!主審はモレノさんでした!!」
1260投稿者:
戦士をサッカー代表に
投稿日:2007年07月02日(月)23時33分26秒
例えるのは、凄くわかりやすい(サッカー知ってる人、限定だけど)
つまり
ダーさん(ブラ)>七世(伊)>・・・ジョアン(墨)>・・・・・梨生奈(日)=羅夢(韓)=七海(ポ)・・・>ちひろ(コート)ってことか
て、いうか梨生奈と羅夢が日本と韓国ってこんなに弱かったの?
1261投稿者:
ドログバのいないコートジボアール
投稿日:2007年07月02日(月)23時37分39秒
たしかにヤバイw
1262投稿者:
でも…読者に
投稿日:2007年07月02日(月)23時39分32秒
サッカーが全然分からない子もいるんだ、とゆうことも知って欲しい
1263投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月03日(火)00時36分50秒
>>1262
そうですよね、すいません
解説を入れておきます
カテナチオ…イタリア語で閂(かんぬき)イタリアは守備が堅いことで有名
ロナウド…ブラジル人FW(攻撃手)最近、太りすぎで精彩を欠く
ロビーニョ…ブラジル人FW(攻撃手)期待の若手選手
カンナバーロ…イタリア人DF(守備)世界最高峰の守備の選手
ドログバ…アフリカの新興国、コートジボアールのトップスター選手
モレノ…日韓W杯で疑惑の判定をして悪名を轟かせた審判
レッドカード…悪質な反則をした選手に出される、一発退場になるカード
先のモレノは、レッドカード級の反則を見逃したせいで、イタリアが韓国に負けるという大番狂わせを演じた
ちなみに、戦士をサッカー代表に例えたのは、ダーさんと七世の遊びで、絶対的なものではありません
羅夢がこの会話を聞いたら、「アタイと梨生奈はスペインとポルトガルだ!」と言うかもしれません
1264投稿者:
あげます
投稿日:2007年07月03日(火)16時10分23秒
毎日楽しみにしてます。頑張って下さい!
1265投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月03日(火)21時33分49秒
>>1264
ありがとうございます
今、随分先まで書き進んでいます
終わりが見えてきました
解説の補足です
オフサイド…敵DFの最終ラインより先にパスを受けてはいけないという反則
このルールがないと、サッカーのスコアは10対8みたいなことになる
ハットトリック…一人の選手が3得点すること
ロスタイム…45分の試合時間が過ぎても、負傷の治療や選手交代で時間を使った分、審判が余分に試合時間を延ばすこと
一般的には2〜3分
では、更新します
1266投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月03日(火)21時34分54秒
ちひろは、奇妙なくすぐったさを感じて目を覚ました。
『R&G探偵社』の自分の部屋の、ベッドの上。
自分が裸で寝ている。
そして、体温を感じる。
「…?あ、有沙…?」
中村有沙が自分の身体に顔を埋めていた。
「ちひろ…。ようやく起きたのか?」
中村有沙は顔を上げて、微笑んだ。
「な…何をやっている…?」
「何をって…ちひろが寝たまま全然起きないから、その間に思いっきり悪戯してやろうと思ってな…」
「私は…何をやっていた…?」
「考えなくていい。何も考えるな。ただ、私に身を委ねていればいい…」
再び、中村有沙は、ちひろの身体に顔を埋めた。
ゾクゾクするとともに、身体が深く沈んでいくような感覚…。
不安はない。このまま底まで沈んで、意識がなくなるのも悪くない…そう考えた。
「ちひろ…」
「…ん?」
「気持ちええやろ?」
「…!」
なぜ、有沙が関西弁を…?
1267投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月03日(火)21時35分45秒
ちひろは、目を覚ました。
薄暗い照明に、けばけばしい赤い天井が見える。
(…ん…ここは…?)
身体がくすぐったい…。そして、重い…。体温を感じる。誰かが上に乗っている?
ちひろは、頭を起こした。
黒い、長い髪が見える。
裸の少女が、自分の身体の上に覆いかぶさっている。
そして、丹念に乳首を舐めている。
(だ…誰なんだ…?)
少女の頭は、ゆっくりと、舌を這わせながら下半身へ…。
少女の小さな舌は、ちひろの性器に触れた。
「は…ああ…」
ちひろは、思わず声をあげる。
少女はちひろに顔を見せた。
「ケケ…。死ぬ前に極楽見せたるわ…。冥途の土産や。よう、味わっとき!」
(こいつ…!『TTK』の…!)
ちひろは、今、はっきりと意識を取り戻した。
1268投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月03日(火)21時36分37秒
ちひろは、七海の首に、その長い足を挟んで締め付けた。
「ぐ…!が…!な、何や!?」
七海は、苦しげな声を上げる。
「く…!き、貴様…!」
ちひろは、足に力を入れた。
「サ、サムガー!!おのれ…!気ぃついたんかい!!」
「よ、よくも…!よくも、私を悪戯してくれたな…!」
七海の顔が、真っ赤にうっ血してきた。
「ふ…ふん…!文句、言われる筋合いはないで!」
「な、なにを!?」
「き、気持ちよさそうに…よがってたやないか!!」
「よ、よがってなんか、いない!!」
ちひろは、このまま七海を締め落とす考えだ。
「く…うぅ…や、やばい…!こ、このままやと…」
七海は、全身の力を振り絞って、足で首を締め付けるちひろを持ち上げた。
「な…何…!?」
慎重差は30センチはあろうかというのに、七海の身体にどこにそんな力が…?
ミラーボールを打ち、壁や床をバットで凹ませるだけの力…背筋力が半端ではないのだろう。
「う、うりゃあ!!くらえ!」
七海は、プロレスの大技、パワーボムを、ちひろに仕掛けた。
1269投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月03日(火)21時38分57秒
「ま、まずい!」
これ以上、頭部に打撃を受けるのは危険だ!
ちひろは咄嗟に腕を後ろに回した。
床に叩きつけられても、後頭部を何とか守ることができた。
しかし、足は七海の首から離してしまった。
七海はすぐさま傍らに置いたバットを掴む。
ちひろは、転がりながら逃げる。
二人は立ち上がり、裸のまま睨み合う。
「散々人のことを露出狂だとか変態とか言っておきながら…!なぜ、貴様まで裸なんだ!」
「やかまし!やっぱり、トドメを刺すべきやったな!」
七海はバットを振り回して、ちひろに向かう。
ちひろは、そのバットの動きを見切って寸でで避ける。
クラクラする頭だが、何とかしのいでいる。
七海のバットは、部屋にある家具やインテリアをことごとく破壊していく。
「う…!こ、この…!」
七海は完全に冷静さを失い、180センチの高さのある、木製の電気スタンドをへし折った。
へし折れた電気スタンドの柱は、ちひろの足下に転がった。
1270投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月03日(火)21時40分05秒
その折れたスタンドの柱は、長さ1メートル程…。先は、黒のプラスチックのソケットに、電球がはまっている。
(こ…これは…)
ちひろは、思わずそれを拾いかけた。
「何をする気や!!」
七海は、ちひろの手を目がけてバットを振り下ろそうとする。
その時…パン、パン、パン!…銃声が部屋の外から聞こえてきた。
「な、なんや!?」
七海はドアを見た。
「け、拳銃!?七世はそないなモン持ってへんから…ダーブロウとかいうヤツが撃ったんか?七世の傘は、弾丸なんか通さへんと思うけど…」
七海は、ちひろの方を向き直る。
すると…ちひろは、へし折れた電気スタンドの柱を、七海に向けていた。
「なんや…?何のマネや…」
ちひろは、まるで木刀を構えるように、スタンドの柱を構える。
木刀に比べれば軽い…しかし、長さは丁度いい…!
(そうだ…!これだ…!この感覚…!)
ナイフよりも断然、こちらの方が戦いやすい!
「はあ!」
ちひろは、電球のついた先を七海に向ける。
「そないなモン、武器になるかい!」
バットは、電球を粉々に砕いた。
しかし、ちひろは、バットの先を掻い潜り、七海の手首を柱の先で撃った。
1271投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月03日(火)21時41分08秒
カラン…。
バットが床に転がる。
「へ…?」
七海は、そんなに強く打たれたわけではないのに、何故バットを落としたのか、わからなかった。
七海は防御も回避も忘れて、転がったバットをじっと見入った。
「…は!」
七海はやっと我に帰ると、慌てて後ろに飛び退いた。
(く…!バットを拾えんかった…!)
七海は唇を噛み締めた。
しかし、ちひろはスタンドの柱を構えたまま、動かない。
「…?」
怪訝な顔で、ちひろを見る七海。
「…拾え…」
「な、何やて?」
「バットを拾え…」
七海は、ちひろの言葉が理解できなかった。
1272投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月03日(火)21時42分47秒
「拾えって…どういうことや!?」
「おまえは、私を殺すチャンスがあったのだろう…?だが、そうはしなかった。だから、私もおまえにチャンスをやる。拾え!」
七海は、思わず笑った。そして、当然の如く怒った。
「なめたマネしくさって…!後悔するで!!」
七海はバットを拾う。
「そんな、細い棒切れ…!へし折ったるわ!」
そう…金属バットがぶつかれば、簡単にこんな棒は折れる…。当たればだ…。当たらなければ…。
七海はバットを振る。
バットの先を縫うように、棒は動く。
そして、七海の腕とバットの柄の間に棒が入り込む。
カラン…。
バットが床に転がった。
「はぁ…?」
七海は、信じられないという表情で、転がったバットを見つめた。
「拾え…」
ちひろは、再び、構えをとり後ろへ下がる。
1273投稿者:
更新楽しみにまってました
投稿日:2007年07月03日(火)21時42分57秒
1274投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月03日(火)21時43分37秒
「な…?」
「拾え…」
「う…!くぅ…!!おのれ…!」
七海はバットを拾い、思いっきりバットを振り上げた。
ちひろの棒の先は、バットの取っ手を突いた。
カラン…。
七海の後方に、バットは落ちる。
「…え…?」
三度目…。
さすがに七海は、深い喪失感に襲われる。
(な、何や…!?こ、これ…。この、サムガー…棒切れ持っただけで…全然別人やんか…)
七海は呆然と、ちひろを見る。
「拾え…」
ちひろは、また同じ言葉を七海に投げた。
1275投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月03日(火)21時44分28秒
「う…。サ、サムガー…お、おのれ…」
「拾え!」
ちひろの声に、七海はビクンと小刻みに震えた。
「今から…貴様が望んでいた『殺し合い』をしてやる…。拾え!」
「う…くぅ…」
七海は、震える手でバットを拾う。
「来い…」
ちひろは、真っ直ぐに七海を見据える。
「う…うわぁぁぁ〜!!」
七海はバットを振り上げる。
コツン。
棒の先は、七海の額に当たる。
「う…」
「来い…」
「く…!おのれ、いい加減にせぇ!!」
七海はバットを振り上げる。
チョン。
今度は、七海の喉に棒の先が触れる。
「うぅ…」
「来い…」
ちひろは、また同じ目で、同じ言葉を繰り返す。
1276投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月03日(火)21時45分14秒
「う、う、うおおお〜〜〜!!!」
七海はバットをフルスイング…する前に…。
トン。
今度は、棒の先は、七海の左胸…心臓の上に当たった。
「あ…ああ…」
七海は、今度こそ言葉を失った。
ちひろは、そんな七海をよそに、棒の向きを変えた。
そう…へし折れた方…鋭く尖った先である。
「さあ、もう一度来い…」
「…え…?」
「私も、もう一度同じことを繰り返す…。ただし…こちらの方でな…」
「あ…う…」
鋭く尖った棒の先が、七海に迫る。
「さあ…。貴様が本当に殺し合いを望んでいるのなら…来い…」
「あ…ひ…」
七海は、ちひろに圧倒された。身体が動かない…。
そんな七海に、ちひろはもう一度言い放った。
「来い!!」
1277投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月03日(火)21時46分51秒
>>1273
ありがとうございます
今日は少し多めに更新させてもらいました
キリが良いところで…
今日はこれでおちます
1278投稿者:
age
投稿日:2007年07月04日(水)00時51分14秒
1279投稿者:
あげ
投稿日:2007年07月04日(水)15時39分18秒
ちひろかっこいいいい!
1280投稿者:
惚れた
投稿日:2007年07月04日(水)19時02分51秒
ちひろに
1281投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月04日(水)21時23分31秒
最近、ちひろは負け続けなので…そろそろカッコいい場面を用意しなければ、と思いました
主人公だし…
では、更新します
1282投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月04日(水)21時24分19秒
廊下。
ダーブロウ有紗と七世の死闘は続く。
しかし、七世の持っている日傘は、ナイフとぶつかる度に形が崩れていく。
七世の武器である、仕込み傘は精密な道具である。
日傘の布が剥がれ落ちたことが、武器全体のバランスを崩した。
まさに、DFの要が抜けたサッカーチームの如く、崩壊が始まった。
傘の骨が折れ、それが七世の手首を傷つけていく。
「く…!」
七世は、傘の先をダーブロウ有紗に向けた。
ドン…!
小さな槍が、発射された。
その槍は、ダーブロウ有紗の顔面に…。
しかし、ダーブロウ有紗は、その槍を歯で噛み付いて受け止めた。
「ふん…!ほんなひんへなひかけで、わらしをひほめられるかよ!(こんなチンケな仕掛けで、私を仕留められるかよ!)」
ダーブロウ有紗は、ぷっと槍を吹き出す。
槍は、七世の足下の床に突き刺さった。
1283投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月04日(水)21時25分54秒
七世は、もう観念したかのように立ち尽くす。
傘を構えもしない。
そして…手から放す。
「どうした…?出っ歯ちゃん?もう、諦めたか…?」
ダーブロウ有紗の問い掛けに、七世は溜息交じりに微笑む。
「もう…打つ手なしです…」
「そうかい…」
「ここは潔く、負けを受け入れます…」
「そうかい…」
「あなたに…有紗さんに殺されるなら…本望です…」
「そうかい!!」
ダーブロウ有紗は、身体中に付けたナイフを全て、目にも止まらぬ速さで七世に叩き込む。
十数本のナイフは、七世のドレスを、昆虫採集のように壁に張り付けにした。
七世は身動きがとれない。
「ちょっと待ってろよ、出っ歯ちゃん…」
ダーブロウ有紗は、ゆっくりと、廊下の端に転がっている拳銃を拾いに行った。
そして、その拳銃を七世に向ける。
1284投稿者:
更新よぉ〜
投稿日:2007年07月04日(水)21時26分18秒
みんな集まれぇ。
1285投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月04日(水)21時27分08秒
「さてと…。何か言い残すことは?」
銃口は七世の額に定められる。
「そうですね…」
穏やかな顔で七世は伝える。
「七海さんを…できるだけ苦しませずに殺してあげて下さい…」
ふん!と、ダーブロウ有紗は、鼻で笑う。
「パッツンは、サムガーに仕留められてるだろうぜ…。でも、わかった。おまえの願い、聞いてやるよ」
引き金に指をかける。
「じゃあな…。出っ歯ちゃん…」
引き金が引かれる。
銃声が轟く。
七世の頭の上…壁に弾丸がめり込んでいる。
「あ…有紗さん…」
「殺せるもんかよ…。私の可愛い出っ歯ちゃんをよ…」
そう言うと、ダーブロウ有紗は七世の唇にキスをした。
1286投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月04日(水)21時28分31秒
8号室のドアが開いた。
出てきたのは…黒いコートを身に纏った…ちひろだった。
「何発か銃声がしたが…やはりデカアリ、おまえだったか。あのマンションから拾ってきたんだな?」
「お?サムガー!やはり、勝ったか!」
「サムガーって…。それ、定着したのか?」
ちひろは、刃渡り40センチの大振りのナイフを、刃先を自分に向けて差し出す。
「これ、返す」
ダーブロウ有紗はナイフを受け取り、刃先をじっと見つめる。
「…血がついてねぇ…。おまえ、このナイフを使わなかったな?と…いうことは…」
「ああ。殺してはいない…」
その言葉に、壁に張り付けにされた七世は、ほっと息をつく。
そんな七世に、ちひろはチラリと目をやる。
「おまえこそ…殺していないじゃないか…」
「おまえ、私と同じレベルで語ってんじゃねぇよ!」
そう言うと、ダーブロウ有紗は七世のドレスを張り付けているナイフを全て引き抜き、ホルスターに納める。
ちひろも、その作業を手伝った。
七世はガックリと膝をついた。
1287投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月04日(水)21時30分39秒
「さあ、早くパッツンの所に行ってやれ。それから…これ、おまえから返してやんな」
そう言うと、ダーブロウ有紗は、自分の頭に着いていた虎耳のカチューシャと虎の尻尾を七世に手渡した。
「…ありがとう…有紗さん…。そして…あなた、お名前は?」
七世は、ちひろに訪ねた。
「ちひろ…。村田ちひろ…」
「ありがとう…。ちひろさん…。七海さんを殺さないでくれて…」
「少し、お灸をすえてやった。おまえが厳しく躾けないからだぞ?」
「…面目もありません…」
七世はゆっくりと立ち上がると、丁寧に二人にお辞儀をした。
そして8号室へ行きかける七世を、ダーブロー有紗は呼び止めた。
「おい…!『ラビ』達の指令に失敗したんだ…。おまえ等は、あの豚どもからお仕置きを受けることになるが…へこたれるなよ…」
七世は有紗の方を振り返る。
「大丈夫です…。殺されることはありません…。でも…あなた達は違う…。どうか…逃げ延びて…。お師匠様…」
「ああ…。ありがとうよ…。私の最愛の弟子…」
「最愛…?それは中村有沙さんではなくて…?」
「いや…あいつは、弟子というより…ううん、何でもねぇ…。じゃあな、出っ歯ちゃん…」
ダーブロウ有紗は、ちひろと共に長い廊下を歩いて行った。
七世は深く頭を下げると、8号室のドアを開けた。
1288投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月04日(水)21時33分01秒
七世は部屋に入る。
部屋の中は…木材やガラスが散乱している。
どうやら、七海は相当暴れまわったようだ。
その上での敗北…。仕方がない…。
部屋の片隅にはミラーボールが転がっている。
その側には、七海の黒と黄色のゴスロリのドレスが脱ぎ散らかされている。
七海の小さな背中が見える。
七海は全裸でペタンと床に腰を降ろしている。
七世は、虎耳のカチューシャを七海の頭に乗せた。
「はい、七海さん。有紗さん…返してくれたわよ…」
七海は答えることなく、背中を向けたままだ。
「負けちゃったんですって?…私もだけどね…」
七海はコクンと頷いた。
「あなた…何で裸なの…?もしかして…また悪いクセがでたのね?」
七海はコクンと頷いた。
「もう…。何度も言ってるでしょ?仕事中に遊んじゃダメだって…」
七海はコクンと頷いた。
七海の肩が震えている。
1289投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月04日(水)21時34分19秒
「…?どうしたの?七海さん…?」
七海の肩の震えは、ワナワナと大きくなった。
「ふ…ふ…ふ…ふぇぇぇ〜〜〜ん…」
七海は大きな声で泣き出した。
「どうしたの?七海さん…?」
「こ、こ、こ、恐かったよ〜〜〜…。ふぇぇぇ〜〜〜ん…」
七海は幼稚園児のように泣きじゃくった。
「…だから言ったでしょ?戦いっていうものは、とっても恐いものだって…」
七海は泣きながら、何度も頷いた。
「大丈夫?立てる?七海さん…」
七海は泣きながら、首を横に振る。
七海の座っている床一帯が、濡れている。
「七海さん?」
「お、お、お、お漏らし…してもうた…」
「あらら…。どうしましょ…」
七世は、困った顔で苦笑いをした。
1290投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月04日(水)21時36分38秒
ちひろ&ダーさんvs『チーム7』の戦いはこれでお終いです
明日からは、毒にやられた中村有沙と甜歌のその後の話しです
今日はこれでおちます
1291投稿者:
気になってたから
投稿日:2007年07月04日(水)21時51分35秒
凄く楽しみです
1292投稿者:
あげます
投稿日:2007年07月04日(水)22時44分33秒
あなたは神ですね
1293投稿者:
あげ
投稿日:2007年07月05日(木)19時32分37秒
1294投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月05日(木)21時11分54秒
嬉しいコメント、ありがとうございます
励みになります
では、更新します
1295投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月05日(木)21時13分07秒
21『再会』
眼鏡島公園から500メートル。そこに築50年はあろう古いアパート、天心荘はあった。
もう、取り壊しが決まっているらしく、ほとんどの住人は引越しを済ませていた。
隠れ家にはもってこいの環境である。
その2階の一室に、中村有沙と甜歌はいた。
そして、中村有沙は苦しそうに喘ぎながら眠っている。
甜歌は膝を抱えて、不安と戦いながら中村有沙を見つめることしかできない。
車で事故を起こした地点から、甜歌が背負ってきたのだが、その時から目を覚まさない。
中村有沙の顔色は、見るからに悪くなってきている。
月明かりに照らされているせいもあるが、顔も身体も真っ白になっている。
しかし、熱は高く、拭いても拭いても後から汗の雫が湧き出てくる。
甜歌はタオルで拭いてやるが、汗は一向に退かない。
「どうしよう…。どうしよう…」
甜歌は、どうしていいのかわからず今にも泣き出しそうだ。
しかし泣いてしまったら、それが発端となって自分自身が崩れ落ちてしまいそうで、甜歌は必死で堪えていた。
「ちひろさんがいないんだ…。杏奈さんも、卓也も、レッドさんもいないんだ…。私が…私がしっかりしなきゃ…」
「ふぅ…ふぅ…」
中村有沙の息が、荒くなってきた。
1296投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月05日(木)21時14分44秒
「どうしたの…?苦しい…?」
甜歌は中村有沙の顔に耳を寄せた。
「ち…ひろ…。ちひろ…」
「ちひろさんは…まだ帰ってきてない…。大丈夫なのかな…ちひろさん…」
「ちひろ…。ちひろ…」
中村有沙は、ちひろの名を繰り返して呼んだ。
「だから…ちひろさんは…まだ来てないの…。あれからまだ、連絡が…あ!連絡!?携帯!携帯にかかってきてるかも!」
甜歌は、カバンの中から携帯を取り出す。
『着信あり』…杏奈からだ。
甜歌はメッセージを聞いた。
〔て、甜歌!杏奈よ!すぐに連絡して!〕
「あ…杏奈さん…!」
甜歌は急いで杏奈の携帯にかける。
コール1回で杏奈は出た。
〔甜歌!?甜歌なの!?〕
「杏奈さん…!」
安心できる声…甜歌の目から涙がこぼれそうになったが、甜歌は、今泣いてしまってはいけないと、気を強く持った。
1297投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月05日(木)21時16分40秒
「杏奈さん!今、大変なの!」
〔大変?どうしたの?いや、ちょっと待って!甜歌、深呼吸して…落ち着いてから話して!〕
甜歌は言われたとおり、一呼吸ついてから、ゆっくりと話し始めた。
「ちひろさんと有沙と一緒にあのマンションにいたら、『TTK』の『戦士』に襲われたの!ちひろさんは、私と有沙を逃がすために一人で戦っているの!」
〔一人で!?相手は何人なの?〕
「二人…いや、四人だけど…」
〔四人!?で、ちひろから連絡は!?〕
「無いの…!まだ、戦ってるのかな?それとも…」
〔ダメよ!甜歌!泣いたらダメ!〕
「う…うん…!」
声だけで、杏奈は甜歌の心情が理解できた。
〔あいつが行ったから…もしかして、5対1になってるのかも…。有沙は!?有沙を電話に出して!〕
「そ…それが…」
甜歌は、チラリと中村有沙を見る。
苦しそうに顔を歪めながら、胸が上下に大きく揺れている。そして、ちひろの名を呼び続けている。
1298投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月05日(木)21時18分09秒
「有沙は…今、電話に出られない…」
〔どうして?〕
「やつらに…毒にやられてる…」
〔毒!?〕
「有沙は…私を助けながら逃げたんだけど…やつらに毒矢で刺されて…今、死にそうなの…!」
〔…と、とにかく…今、どこにいるの!?私と卓也でそこに行くから!〕
「あ、新しい隠れ家…眼鏡島公園の近くにある天心荘ってアパートの204号室にいるから!は、早く来て〜!!」
〔わかったわ!すぐ行くから!甜歌、一人で不安でしょうけど…がんばるのよ!〕
「う…うん!」
杏奈からの電話が切れた。
「杏奈さん…!卓也…!ぶ、無事だったのね…」
甜歌は、ギュッと携帯電話を抱きしめた。
甜歌は、中村有沙を見る。
顔色が…前よりも悪くなってきている。
額に触ってみる。
火の様に熱い…。
1299投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月05日(木)21時18分55秒
中村有沙の着ているTシャツは、水でも浴びたかのように汗で濡れていた。
甜歌がありあわせの布で肩に巻いた包帯も濡れている。
「このままじゃ、風邪もひいちゃう」
甜歌は中村有沙の服を脱がし始めた。
少し躊躇はしたが、下着も脱がせる。
月明かりに照らされた中村有沙の裸体は白く透き通っていて、汗の雫も輝いて見えて、美しかった。
しかし、今は見惚れている場合ではない。
甜歌は、共同の風呂場で汲んできた水でタオルを塗らすと、中村有沙の身体から噴き出た汗を拭く。
タオルが冷たかったのだろうか、ビクンと中村有沙の身体が反応する。
そして、目を覚ました。
「あ…有沙…!気がついた?」
中村有沙は、ガバっと素早く起き上がると甜歌の肩を鷲掴みにして押し倒し、馬乗りになる。
そして、甜歌の首に手をかけ、拳を振り上げた。
「ま、待って!有沙!!ストップ!ストップ!甜歌だよ!!」
中村有沙は目を細め、必死で叫ぶ甜歌の顔を覗き込む。
「む…?なんだ…おまえか…」
中村有沙は、力なく甜歌の身体から離れる。
1300投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月05日(木)21時20分25秒
中村有沙は周囲を見回す。
「ここは…どこだ…?」
「ああ…ここは、ほら、新しい隠れ家のアパートだよ」
「私を…ここまで運んだのか…?」
「うん。大変だったよ。人に見つからないように運ぶの…」
「放っておけ、と言ったはずだ…。貴様ごときに助けられるとは…」
「ごときって何さ!それに、あんたに助けられっぱなしってのも、癪だったしさ!」
「…ふん!おまえを助けたのは…ちひろの命令だったからだ…」
「私だって、ちひろさんの命令だったから、あんたを…」
「そ、そうだ!ち、ちひろは!?ちひろは帰って来たのか!?」
甜歌は首を横に振る。
「そうか…」
中村有沙は、溜息をつく。そして、自分が全裸でいることに気がついた。
「む…?何で私は裸なのだ?」
「あ、私が脱がしたの」
「貴様…。私が寝ている間に悪戯したのか?」
「ち、違うよぉ!!!寝汗が酷かったから、風邪ひくと思って!」
甜歌は顔を真っ赤にして否定した。
1301投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月05日(木)21時21分25秒
「そうか…。そういえば…身体が熱い…」
中村有沙は、裸の身体を気だるそうに横たわらせた。
「ま、待ってね。今、身体を拭いてあげる」
甜歌は濡れタオルで、汗を拭いてやる。
中村有沙は目を閉じる。
「気持ちいいな…。贅沢を言えば、ちひろにやってもらいたかった…」
「ほんと、贅沢だね!まったく!」
そう言いながらも、甜歌は中村有沙の身体を丁寧にやさしく扱う。
「少し起きれる?肩の包帯も替えるから」
「ん?ああ…」
中村有沙は上半身だけ起こす。
「良かった。血は止まってるよ。そんなに深く刺さっていなかったみたい」
「着ていたちひろのジージャンが分厚かったのと、刺さった角度が浅かったのが幸いしたな。もう少し深かったら、マンションを出る前に気を失っていただろう…」
「でも…私がもっと毒を吸い出していれば…」
「いや…。おまえが毒を吸い出してくれたから、ここまで逃げることができたのだ…」
「う…。なんか変な感じ…。あんたが私にお礼を言うなんて…」
「礼など言うか!褒めてやっただけだ」
「ほ、褒めるって…あ、あんた、何様よ!」
「黙れ。私が人を褒めてやるなんて、滅多にないことだぞ?」
1302投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月05日(木)21時23分06秒
甜歌は、少し気が楽になった。こうして言い争いをしていれば、不安から開放される。
しかしやはり、ちひろのことが気になって仕方がなかった。
「ちひろさん…」
甜歌は呟く。
「心配だな…」
中村有沙も呟いた。
沈黙が続く。
「しかし…。大丈夫だ…。きっと…」
沈黙を破るように、中村有沙は少し明るい調子の声を出した。
「大丈夫…?」
「ああ。ちひろなら大丈夫だ。あいつはそう簡単にやられるようなやつじゃない。だから、安心…」
「何が大丈夫なのよ!!」
甜歌が叫んだ。
「て…甜歌…」
さすがの中村有沙も、これには驚いた。
1303投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月05日(木)21時23分52秒
「どうして、そんなことが言えるの!?無責任だよ!!」
「む、無責任…?」
「ちひろさんは…強いって言っても普通の中学生だよ!?剣道の県大会で優勝したこともあるけど、普通の中学生の大会でだよ!?あんた達とは違うんだよ!?」
「私とは…違う…?」
「それなのに…こんな事件に巻き込まれて…。もう、普通の生活に戻れなくなっちゃったじゃん!みんなあんたが悪いんじゃない!!」
「わ、私が…?」
「私達、探偵って言っても、浮気調査とか、家出人を捜索したりとか、犬や猫を見つけたりとか…そういうことしかやってなかったのに…『殺し屋』って何さ!!『TTK』って何さ!」
甜歌は、今まで溜まっていた感情を、すべて吐き出し、中村有沙にぶつけた。
「あんたが巻き込んだんだ!あんたが『TTK』なんてところ、逃げ出さなけりゃ、ちひろさんは今頃学校に行って、楽しくやってたのに…。私だって…楽しくやってたのに…」
「私が…ちひろを…?」
中村有沙は愕然とした。
「もし、ちひろさんが死んじゃったら、あんたを殺してやる!」
「私を…殺す…?」
「私なんか、あんたにやられちゃうかもしれないけど…それでも殺してやる!殺されたって、殺してやる!!」
涙で濡れた目で、甜歌は中村有沙を睨みつけた。
1304投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月05日(木)21時24分50秒
「ちひろさん…。ちひろさん…。戻ってきてよ〜…。今、どうしてるの…?どこにいるの…?」
甜歌は顔を覆って泣いた。畳に額を押し付けて、声をあげて泣いた。
「私が…ちひろを…巻き込んだ…」
中村有沙は、自分に言い聞かせるように呟いた。
そして、フラフラとよろめきながら、ゆっくりと立ち上がる。
甜歌は、ふと顔を上げる。
中村有沙が背中を向けて立っている。
「ちょ…ちょっと…。有沙…?どこに行くの…?」
甜歌の問い掛けに、中村有沙は背中を向けたまま答える。
「ちひろのところだ…」
「ちひろさんの…?」
「ちひろを…助けにいく…」
「え…?」
「私が…ちひろを…守る…」
「な、何を言ってるのよ…。今、あんたは…」
「甜歌…。私が、ちひろをここに連れてきてやる…。だから…もう、泣くな…」
中村有沙は、ふらつきながら一歩、二歩と歩き…そして、倒れた。
1305投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月05日(木)21時25分40秒
今日はこれでおちます
1306投稿者:
激しいな甜歌
投稿日:2007年07月05日(木)22時56分15秒
1307投稿者:
あげ
投稿日:2007年07月06日(金)19時53分24秒
1308投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月06日(金)21時13分16秒
2人の関係が少し変化してきます
と、言ってもそんなには変りませんが…
では、更新します
1309投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月06日(金)21時16分56秒
「あ、有沙!!大丈夫!?まだ、動いちゃダメだって!!」
甜歌は慌てて、中村有沙に駆け寄った。
「有沙!」
そして抱き起こした。
身体が…冷たい…。
「私が…私がちひろを…助ける…」
更に、顔が真っ白になり、唇が紫色に…。
「有沙!しっかり!」
「ちひろ…。今…行くから…。私が…助けるから…。おまえを…守るから…」
「もう、いいから!有沙は動いたらダメ!」
まるで氷を抱えているようだ。
発熱よりも危険な気がする。
甜歌は、中村有沙の身体を擦った。
「さ…寒い…。寒い…」
しかし、中村有沙の身体は小刻みに震え、歯をカタカタ鳴らしている。
1310投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月06日(金)21時17分44秒
どうすればいい…?どうすれば…?
甜歌は本能で動いた。
着ているセーラー服を、下着を、すべて脱いで裸になった。
そして、しっかりと中村有沙を抱きしめた。
「どう?暖かい?」
肌と肌が触れる。本当に冷たい…。自分の体温が吸い取られてしまいそうだ。
中村有沙は、ギュッと甜歌にしがみ付いた。
赤ん坊が母親にするように…。
「暖かい…。暖かい…ちひろ…」
「ち、ちひろさんじゃないよ!甜歌だよ!」
「ちひろ…。もっと…。もっと…」
中村有沙は、甜歌の胸に顔を埋める。
「…ま、いいか…」
安心できるんなら、自分がちひろの代わりになってあげよう…甜歌はそう思った。
1311投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月06日(金)21時19分04秒
どれだけ時間が経っただろうか。
甜歌が添い寝をするように抱きしめてから、中村有沙の容態は落ち着いてきた。
しかし、相変わらず顔色は悪いし、身体も冷たい。
甜歌は優しく中村有沙を包み込む。対して、中村有沙は甜歌の身体に痣ができるのではないかという程、力いっぱいにしがみついている。
すると…ドアが強く、何度も叩かれた。
「え!?」
甜歌は思わず身体を起こす。
「おい!開けろ!開けろ!!」
男の声だ。『TTK』ではない。
「だ、誰?」
甜歌は立ち上がろうとしたが、中村有沙が腕を掴んだ。
「い…行くな…。私を…一人に…するな…」
初めて見る、すがるような弱々しい、中村有沙の顔…。
「大丈夫…。どこにもいかないよ…。安心して…」
甜歌は、掴んだ手を優しく包み込むと、そっと離した。
「おい!開けろよ!早く!!」
更にドアは叩かれる。
古いドアだ。今にも蹴破られてしまいそうにガタガタと揺れている。
1312投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月06日(金)21時19分56秒
「ちょ、ちょと待ってったら!!」
甜歌は、慌ててセーラー服を身につける。
そして、ドアを内側から押さえながらドアの向こうの人物に訊ねる。
「あ、あんた、誰よ?」
「お、俺だよ!」
「俺って誰さ!?」
「ほら…覚えてない?あの夜…それに工場跡地で会っただろ?」
思い出した。あの4人組の、自称貴族のインチキ外人…望だ!
「て、敵じゃん!な、何しに来たのよ!!」
「中村有沙!中村有沙がいるんでしょ!?開けなさいよ!!」
この高圧的な声…。一緒にいた女の声…愛実だ。
「あ、有沙に、何の用なのよ!!」
「中村有沙、毒で死にそうなんでしょ!?」
「え…?な、何で知ってるの?」
「解毒剤持ってきたの!だから、開けなさいよ!」
「げ、解毒剤…?」
「そう!これで中村有沙は助かるから!だから早く開けなさいよ!」
甜歌は中村有沙を見る。
甜歌が抱きしめていないので、自分自身を抱き抱えながら、背中を向けて震えていた。
1313投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月06日(金)21時20分48秒
早く、中村有沙を楽にしてやりたい。
しかし、散々自分達を追い駆けまわした連中の言う事を信用していいのか…。
ここは、自分が決断しなければならない。
「おい!頼むよ!もし、中村有沙が死んじゃったら、俺たちもダーさんに殺されちゃうよ!」
望は、情けない声をあげた。
「ダ、ダーさん?ダーさんって誰?」
これには愛実が答えた。
「あの工場跡で会ったでしょ?コート着て、ナイフ振り回してた…」
「げげ!やっぱりダメ!絶対にここ、開けない!!」
「あ〜!もう!!望、ドアを蹴破っちゃおうよ!!」
「わ、わかった!おい、そこ、離れてろ!!」
「ひ、ひぃ!!イヤ!来ないで!!」
甜歌は、全体重をドアに預けた。
ドン!ドン!とドアが揺れる。
甜歌は必死でドアを押さえる。
「絶対…絶対に、有沙は渡さない!渡さないんだから!!」
甜歌は悲鳴に近い声で叫んだ。
1314投稿者:
r
投稿日:2007年07月06日(金)21時25分42秒
その時、甜歌の聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「あ…あんた達…あの時の…!な、何やってるのよ!」
杏奈の声だ。
「あ、あ、あ、杏奈さ〜ん!!」
甜歌は叫んだ。
「あ…丁度良かった!君達からも言ってやってくれよ!このドアを開けるように…」
「うわああああ〜〜〜!!!」
「ゲフッ…!」
卓也の声?そして木製の床に転がるような音…。
「おまえ等なんかに、おまえ等なんかにもう、負けないぞ〜!!」
「うわ!ちょっと、待てよ!何だよ、急に!!」
「な、何なのよ!あんた!」
「た、卓也!や、やめなさい!ちょっと!」
卓也、望、愛実、杏奈の声が交差する。
一体、ドアの外で何が起こっているのか?
「わ、わかった!わかったから!き、君達からこれを渡してくれ!」
「これ…?何よ、これ…」
「だから…!解毒剤だって言ってるでしょ!本当に中村有沙、死んじゃうよ!?」
1315投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月06日(金)21時26分14秒
解毒剤…。甜歌からも中村有沙が毒で苦しんでいると聞いた。
「わかった。私から甜歌に言うから…。甜歌?聞こえる?杏奈よ!」
「あ、あ、杏奈さ〜ん…」
「中村有沙の具合はどう?」
「そ、それが…い、今にも死にそう…」
その甜歌の声を聞いて、望が叫んだ。
「げげ!ヤバイじゃん!は、早く!解毒剤を飲ませてくれよ!」
「わかった。とにかく、あんた達も中に入って詳しく説明を聞かせて!さ、甜歌、ドアを開けて」
「う、うん…今…あ…!ダ、ダメ!男の人はダメ!女の人だけ入って!!」
「…え?わ、わかったわ。あなた、中で事情を説明してくれる?」
杏奈は愛実に言った。
「うん、いいけど…」
「いい?女の人だけだよ?」
甜歌は、やっとドアを開けた。
杏奈の顔が見えた。
「あ、あ、杏奈さん…」
「ダメ!まだ、泣いちゃダメ!できるよね?」
「う…うん!さ、早く入って!」
杏奈と愛実を中に入れ、甜歌はドアを閉めた。
1316投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月06日(金)21時26分36秒
今日はこれでおちます
1317投稿者:
あげ
投稿日:2007年07月06日(金)22時47分45秒
1318投稿者:
有甜
投稿日:2007年07月07日(土)10時29分03秒
チョイレズきた
1319投稿者:
みんな笑顔でハッピーエンド!
投稿日:2007年07月07日(土)10時51分51秒
ブイブイ!
1320投稿者:
そう言えば
投稿日:2007年07月07日(土)13時14分19秒
04年でも有沙と甜歌の共演って、そんなになかったよな
1321投稿者:
木生OPで歌ったのしか
投稿日:2007年07月07日(土)13時16分54秒
憶えてない
1322投稿者:
あと勝手議会で
投稿日:2007年07月07日(土)16時44分05秒
望の出した議題「好きな子が2人できたら同時に付き合っても良い」という法案での甜歌(可決派)の自由奔放な発言にありりん(否決派)がドン退きしてたのも思い出す
1323投稿者:
あげ
投稿日:2007年07月07日(土)21時37分06秒
あげ
1324投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月07日(土)21時59分22秒
>>1322
私もアレには唖然としました
でも、まだ小学校5年生だったし、あまり深い意味はなかったのかな、と思います
では、更新します
1325投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月07日(土)22時00分21秒
杏奈と愛実は、呆然と中村有沙を見下ろした。
本当に、真っ白だった。血の通った人間の身体とは思えなかった。
「まるで…四谷シモンの人形作品みたい…」
誰もわからないような例えを、杏奈は口にした。
「な、何で、裸なの?震えてるじゃない!」
愛実が甜歌に詰め寄った。
「寝汗が酷かったんだよ!熱があって…!それで、寒がるから、私も裸になって暖めてたの!何よ!何も知らないくせに!!」
「わ、わかったわよ!と、とにかく解毒剤を…」
杏奈は解毒剤を愛実から受け取ると、中村有沙の口の中に流し込む。
しかし、解毒剤は口の端から流れ出てしまう。
「ダメだよ!そんなんじゃ!私に貸して!」
甜歌は杏奈から解毒剤の瓶を取り上げると、自分でそれを口に含んだ。
そして、中村有沙の唇に…。
「え…?口移し…?マ、マジ…?」
愛実は軽くひいた。
「これくらい、どうってことない!だって、肩から毒を吸い出してあげたんだから…!」
甜歌は、カバンから着替えを出す。
杏奈も愛実も眠っている中村有沙に服を着せる手伝いをした。
しかし、女三人がかりでも、眠っている者に服を着せるのは一苦労だった。
1326投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月07日(土)22時01分29秒
中村有沙の容態は、安定した。
解毒剤の効果はてき面だった。呼吸は穏やかになり、顔色も血の気を取り戻してきた。
これで中村有沙は安心だろう。
「がんばったね、甜歌…。さ、もう泣いてもいいよ」
杏奈は甜歌の頭を撫でた。
しかし、甜歌はその手を払い除ける。
「て、甜歌…?」
「まだだよ!まだ!だって…まだ、ちひろさんが帰ってきてない!ちひろさんの無事を確認しなきゃ、泣いてなんかいらんない!!」
「あ…!」
甜歌の言葉に、愛実は何かを思い出したようだ。
「ちひろって…あの、剣道のムチャクチャ強い、あの子だよね?」
「そ…そうだけど…。何か知ってるの?」
「その、ちひろって子なら、大丈夫だよ」
「え…!?ど、どういうこと…?」
「だって、ダーさんに助けられて、あの後、二人でどっかに行ったけど…大丈夫だと思う」
1327投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月07日(土)22時02分39秒
「ダーさん?ダーさんって?」
そう聞く杏奈に、甜歌が答える。
「あの、工場跡で会った、コート着た恐い女だよ」
「あ…あいつが…?ちひろを助けた…?どうして…?」
「ダーさんは中村有沙の味方なのよ。中村有沙を探してたのは、守る為だったのよ。そして『TTK』にやられそうになった、ちひろを助けたんだって…」
「そ…それで…ちひろは、そのダーさんと、どこに行ったのよ?」
「わかんない…。でも、ダーさんと一緒なら、絶対に大丈夫だよ!だって、ダーさんは無敵だもん!」
愛実は強く言い切った。
あの女と一緒にいる…。確かにこれほど心強いことはないのかもしれない。
そして、再び杏奈は甜歌の頭に手を置いた。
「だってさ、甜歌。どうする?泣く?泣いちゃう?」
「だ、だって…だって…。まだ…ちひろさんの顔、見てないし…声、聞いてないし…」
「いいから…。泣いちゃいなよ…」
「ひ…ひ…ひぃぃぃぃ〜〜〜ん…」
甜歌は、杏奈の胸にしがみ付いて泣きじゃくった。
1328投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月07日(土)22時03分33秒
その頃、外に締め出された男二人は…。
卓也は膝を抱えて、腐りかけた木の床に力なくうな垂れて腰を降ろしている。
その様子を、望は一歩退いて見ている。
「お…おい、だ、大丈夫か…?なんか、死にそうな顔してるけど…」
卓也は、ふと顔を上げる。
「あ…ああ…。うん…大丈夫…でもないけど…。君こそ大丈夫?その顔の痣…僕がやったのかな?」
「え?いや、これはさっきバイクでコケた時のだから…」
「そう…」
卓也は、また目を伏せた。
「ねえ…」
そして、望に話しかける。
「ん?何?」
「女は…魔物だよね…」
「…?ああ。魔物だよな」
望は何がなんだかわからないまま同調した。
すると、外からバイクの音がした。
そして、あの怒鳴り声。
「お〜〜〜い!!今、到着したぞ〜〜〜!!出迎えはどうした〜〜〜!!!」
1329投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月07日(土)22時04分29秒
「う…うう…!」
卓也は股間をギュっと抑えて震えた。
「あ!ダーさんだ!ダーさんが帰ってきた!!」
望は、ドアの向こうの三人に向かって叫んだ。
愛実と杏奈と甜歌は、ドアを跳ね飛ばす勢いで出てきた。
「ガフッ!!」
望は、ドアで額をしこたま打って、もんどりうって倒れた。
「ちょっと!望!そんな所で何寝てるのよ!」
「邪魔よ!どいて!」
「ち、ちひろさん!ちひろさんは…!?」
甜歌は望を踏みつけて、外へ出る。
ガタガタと建てつく開き戸を開けると、そこにはバイクに跨ったアマロリドレスのダーブロウ有紗と、その後ろに…コート姿のちひろがいた。
「ち…ち…ちひろさん…」
「甜歌…。無事だったのか…?」
甜歌は、ちひろと目が合った途端、滝のように涙をこぼした。
「ち、ち、ちひろさ〜〜〜ん!!!」
甜歌は、バイク上の二人目がけて、ボディアタック気味に飛び込んだ。
「う、うわ!!」
三人は、バイクごと後ろに倒れこんだ。
1330投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月07日(土)22時06分09秒
「こ、こら!甜歌!いきなり、あぶないじゃないか!」
「わあああ〜〜〜ん!!ちひろさ〜〜〜ん!ちひろさ〜〜〜ん!!」
甜歌は、ちひろにしがみ付いて泣き叫んだ。
ちひろは、そっと甜歌の頭を撫でて言う。
「そうか…。すまなかったな、甜歌…。心配をかけた…」
ダーブロウ有紗は、ドレスについた泥を払いながら立ち上がった。
「ち…!勝手にやってろ!」
「ダーさん!ご無事で!」
望と愛実がダーブロウ有紗のもとに駆け寄る。
「おう、ド!ツンツン!チビアリはどうだ?解毒剤は?」
「はい。飲ませました。よく効いてます」
1331投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月07日(土)22時06分36秒
「そうか…。じゃ、ちょっくらチビアリに用があるから、部屋に案内しな」
「え…?で、でも、まだ話しができる状態じゃ…」
「あいつの状態なんて、知ったことか!私が会うって言ったら会うんだよ!」
そして、アパート内に入ると、杏奈と卓也と鉢合わせになった。
「…あ…!」
杏奈は、言葉を失った。そして、卓也は目を伏せる。
「なんだ。メガネっ子とフニャオも来てたのか」
「メ、メガネっ子…?」
「フ…フニャオ…って…」
また、ダーブロウ有紗の勝手なあだ名の犠牲者が二人増えた。
1332投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月07日(土)22時07分35秒
今日はこれでおちます
1333投稿者:
フニャオwwwww
投稿日:2007年07月07日(土)22時25分55秒
ツボにキタwwwww
1334投稿者:
ダーさんのつけたあだ名
投稿日:2007年07月07日(土)23時34分59秒
サムガー・・・ちひろ
チビアリ・・・有沙
パッツン・・・七海
出っ歯ちゃん・七世
ド・・・・・・望
ツンツン・・・愛実
マンプク・・・幸生
メガネ・・・・洸太
メガネっ子・・杏奈
フニャオ・・・卓也
1335投稿者:
まさか
投稿日:2007年07月08日(日)02時15分42秒
フニャ子フニャ雄から・・?
1336投稿者:
サムガーは
投稿日:2007年07月08日(日)03時10分18秒
七海がつけたんでしょ?
1337投稿者:
age
投稿日:2007年07月08日(日)09時56分30秒
1338投稿者:
でも結局
投稿日:2007年07月08日(日)14時31分45秒
定着してるじゃんw
1339投稿者:
あげ
投稿日:2007年07月08日(日)21時04分20秒
楽しみ
1340投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月08日(日)21時20分19秒
フニャ子フニャ雄って、ドラえもんに出てきた漫画家の名前ですよね
久しぶりに思い出しました
>>1339
ありがとうございます
それでは更新します
1341投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月08日(日)21時22分36秒
外では、ちひろが甜歌のハグからやっとのことで抜け出した。
「あ、有沙はどうしてる?大丈夫なのか?」
「は、はい…。薬を飲んだら…良くなったみたいです…」
「そうか…。良かった…。今、会えるか?」
「会うだけなら…」
「連れてってくれるか?」
「…はい…」
ちひろは、甜歌と一緒に古いアパートに入ろうとすると、そこに卓也と杏奈が。
「ちひろ…」
「あ、杏奈さんに卓也!無事だったのか!?心配してたんだ!『TTK』に捕まったんじゃないかって」
卓也は、まともにちひろの顔を見れなかった。
「ち、ちーちゃん…あの…ご、ごめん…。僕が…君達の居場所を…」
しかし、ちひろは屈託の無い笑顔で返す。
「本当に良かった。お互い、命があったんだ。さあ、早く有沙の所に行こう!」
1342投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月08日(日)21時25分14秒
そして、中村有沙のいる204号室のドアを開けると、そこにはダーブロウ有紗が、静かに横たわっている中村有沙を、仁王立ちで見下ろしていた。
「チビアリ…」
静かに、ダーブロウ有紗は語りかける。
「起きろ…。チビアリ…」
そんなダーブロウ有紗に、愛実は後ろから声をかける。
「ダーさん、今、有沙は目を覚ましませんよ」
「起きろ、チビアリ」
「だから、ダーさん…」
ダーブロウ有紗は、ス〜っと息を吸う。
「や…やばい…」
ちひろは、思わず呟いた。
「起きろ〜〜〜〜〜!!!!!」
ダーブロウ有紗の怒声は、古いアパート中をガタガタと揺らした。
1343投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月08日(日)21時27分55秒
「ひぃぃ!!」
ちひろ以外の全員が、その場に腰を抜かした。
「起きろって言ってんだ、コンチクショウがぁ!!」
ダーブロウ有紗は、中村有沙の胸座を掴んで、無理矢理引き摺り立たせる。
「てめぇのせいで、どれだけの迷惑が…混乱が起きてんのか、わかってんのか!?コラァ!!」
そして、往復ビンタ…いや、往復パンチを、眠っている中村有沙に喰らわせる。
ゴツッゴツッと骨のぶつかる音が響く。
「てめぇ!このぉ!偉そうに!眠りくさって!こら!起きろ!こら!」
中村有沙の首が、もげるのではないか、というくらい揺れる。
杏奈、卓也、甜歌、望、愛実は、腰を抜かしながら、呆然とその様子を見るしかなかった。
「や、やめろ!デカアリ!!」
さすがのちひろも、ダーブロウ有紗の腕にしがみ付くのが遅れた。
「ああん!?邪魔すんじゃねぇ!おまえだって、チビアリの被害者だろうが!?」
「被害者だなんて、思っていない!それを言うなら、チビアリがおまえの被害者だ!!」
「何だと!?どういう意味だ!?」
「チビアリがおまえの元を逃げた理由がわかった!おまえが元凶だ!チビアリも私もみんなだって、おまえの被害者だ!」
「てめぇ…言ってくれるじゃねぇか…!表出ろ!」
ダーブロウ有紗の手が、ちひろの首にかかる。
その手を、中村有沙が制した。
1344投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月08日(日)21時28分55秒
「や…やめろ…。デカ…アリ…」
中村有沙はダーブロウ有紗にしがみ付きながら、ズルズルと倒れる。
「あ…有沙!!」
ちひろは、慌てて中村有沙を抱える。
「デカアリの…言うとおりだ…。みんな…私が…悪いのだ…。私が…ちひろ達を…巻き込んだ…」
痣のできた顔を、苦しそうに歪ませて、涙の溜まった目でちひろを見つめる。
「な…何を言う!おまえらしくないぞ!そんなことを言うなんて…!」
「私は…おまえを…おまえの人生を…滅茶苦茶にした…。私は…おまえの人生を…」
「ち、違う!これは、私が望んだことなんだ!私は、自分の意志でおまえを守りたいんだ!」
「ちひろ…すまない…。本当に…すまなかった…」
中村有沙の目から、涙がこぼれた。
意外だった。中村有沙が涙を流すとは…。
生死をさ迷ったことが、彼女の心境に変化を与えたのだろうか?
「もう、いい…。もういいから…」
ちひろも、思わず涙を流した。
1345投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月08日(日)21時30分12秒
そんな中村有沙の様子を、これまた意外そうな顔で見つめる、ダーブロウ有紗。
「おいおい…。なんだ?このセリフ…。本当にチビアリかよ…?毒が頭にも回ってんじゃねぇのか!?」
そしてその大きな鼻を、バツが悪そうに掻く。
「まいったな…。最初から素直に謝れば、私もあんなに殴らなかったのに…」
「な、何言ってんのよ!眠ってる有沙を、有無を言わさずいきなり殴ったんじゃない!」
杏奈は呆れ果てながら突っ込んだ。
「まあ、いいじゃねぇか、メガネっ子!細かいことは!」
「そ…その、メガネっ子って…やめてもらえない!?」
「何で?メガネかけてるから、メガネっ子じゃねぇか」
「あのさ…。諦めた方がいいよ…。ダーさんに一度あだ名を付けられたら…」
望がそっと、杏奈に言った。
「それよりもおまえ等、表へ出ろ!」
「ええ!?な、何で僕等がぶん殴られなきゃいけないんですか?」
「バカヤロ!誰が殴るっつった?言葉通り外に出ればいいんだよ!」
と言いながら、望の頭を叩く、ダーブロウ有紗。
ちひろと中村有沙だけを部屋に残し、皆はアパートの外へ出た。
1346投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月08日(日)21時33分29秒
アパートの庭兼駐車場に出る、ダーブロウ有紗達。
「さてと…。これからのことだけどよ…」
「これから?」
「ああ。まずはアジトを移らなきゃな」
「アジト…?」
「ここは狭いし、変な匂いがするだろ?もっと広い、いい所があるんだ。そこに移る」
「どこよ?そのアジトって…」
「メガネの家にみんなで住むことにする」
すると、杏奈がヒステリックに叫んだ。
「ちょっと!あんた、勝手に何言ってるのよ!?」
ダーブロウ有紗は、普通に面食らった。
「何だ?どうした?メガネっ子」
「何で、私の了解も得ないのに、そういうことを勝手に決めるの!?」
「え?おまえの了解がいるのか?」
ダーブロウ有紗は、本当に不思議そうな顔をした。
杏奈は、頭に血が昇りすぎて立ちくらみがした。
「あ…あんた…一体、どういう神経してるの?当たり前じゃない!私の家に勝手に住むなんて決めないでよ!こんな大人数で!」
「ちょっと待て!誰がおまえの家に住むって言った?」
「今、さっき言ったでしょ?メガネっ子の家にみんなで住むって…」
1347投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月08日(日)21時34分29秒
「いや、いや、いや…。誰もそんなこと言ってねぇぞ!私はメガネの家をアジトにするって言ったんだよ」
「だ…だから…。それ、私の家のことじゃ…」
愛実が杏奈の肩をつついて言う。
「違うよ。メガネってのは、私達の仲間の洸太ってやつのことよ。あんたのことじゃないわ」
「…え?」
ダーブロウ有紗も杏奈に言う。
「そうだよ。私が言ったのは、メガネのこと!メガネっ子のことじゃねぇよ!間違えるな!」
杏奈は、また立ちくらみがした。
「な…なんて安直なあだ名をつけるのよ、あんたは!!被ってるじゃないのよ!ややこしい!!」
ダーブロウ有紗は、腕組みをして考えた。
「う〜ん…。確かに、メガネとメガネっ子じゃややこしいな…。ただ単にメガネをかけてるってだけだもんな…。ダーブロウ有紗と中村有沙くらいややこしい。いや、悪い!悪かった!」
そして、杏奈に顔を近づけて、マジマジと見る。
「な…何よ…?」
「メガネ、とってみ?」
「な、何でよ!?」
「いいから…。メガネとってみ!」
杏奈は、渋々メガネをとる。
「おまえ…よく見ると、愛嬌のある可愛い顔してるな…」
「あ、あら…。ほんと?」
「何だったかな…?おまえ、アレに似てるんだよな…。ほら…アレに…」
1348投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月08日(日)21時36分31秒
「な、何よ…。その、アレって…」
杏奈は、嫌な予感がした。
「思い出した!カピバラ!カピバラに似てるんだ!」
「カ…カピバラ…?」
「そう!カピバラ!」
「カピバラって…南米のアマゾン川流域に生息してるネズミの仲間の、あの…?」
「そう!そのカピバラ!おまえ、よく知ってんな!今からおまえのあだ名は『カピバラ』だ!」
「い…いや…メガネっ子でいい…。私のあだ名、メガネっ子でいい…」
「いや、カピバラに決定だ!うん、我ながらいいあだ名だ!うん!」
ダーブロウ有紗は、一人で悦に入っている。
「だから!勝手に人のあだ名を決めないでよ!」
「あのさ…。諦めた方がいいよ…。ダーさんに一度あだ名を付けられたら…」
「うるさい!」
杏奈は、望に八つ当たりした。
「あ…あの…できたら、僕のフニャオってあだ名も変えて頂けたら…」
卓也は、恐る恐るダーブロウ有紗に進言したが、蚊の鳴くような声だったため、杏奈の怒声に掻き消された。
1349投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月08日(日)21時37分29秒
今日はこれでおちます
1350投稿者:
卓也哀れw
投稿日:2007年07月08日(日)21時48分23秒
1351投稿者:
白木カピバラ
投稿日:2007年07月09日(月)01時04分48秒
たしか、テレビアの杏奈先生の先祖の名前だったよね
1352投稿者:
age
投稿日:2007年07月09日(月)19時27分02秒
1353投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月09日(月)21時28分14秒
白木カピバラって名前は、ツボにはまりました
では更新します
1354投稿者:
更新来たーーーーーーーー
投稿日:2007年07月09日(月)21時28分55秒
あげ
1355投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月09日(月)21時29分14秒
そして、外に連れ出された連中は、ダーブロウ有紗の鶴の一声で解散することになった。
甜歌は、望のバイクで家に帰されることに。
「いいか、ド。ちゃんと送ってやれよ。間違っても送りオオカミになるんじゃねぇぞ?」
「手なんか出さないですよ、こんなガキに…」
「何さ!私だって、あんたなんかに送られたくないわよ!!」
甜歌は、望のバイクを蹴る。望はバイクごとひっくり返った。
その後二人は、ダーブロウ有紗の一喝が入るまで言い争いを続けた。
「おい、ド!その子を送り届けたら、またここに戻って来い。今度はツンツンをメガネの家に送って行くんだ」
「え?愛実はダーさんが乗せて行くんじゃないんですか?」
「私はここに残る。もしかしたら『TTK』の刺客が襲ってくるかもしれねぇし」
「そうですね。じゃあ、コイツを送り届けたら急いで戻ってきます」
「ツンツンにも手ぇ出すんじゃねぇぞ」
「…う…」
「何でそこで、すぐに否定しないのよ!」
愛実がヘルメットの上から望の頭を殴った。
1356投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月09日(月)21時32分39秒
「それから…甜歌とか言ったか?おまえ」
「は…はい!」
不意にダーブロウ有紗に声をかけられて、緊張する甜歌。
「おまえ、チビアリをここまで連れてきてくれて、ずっと側にいてくれたんだってな…」
「は…はい…」
「ありがとな。そして、ごくろうだった」
ダーブロウ有紗は、ヘルメットの上から甜歌の頭を撫でた。
「…ど…どうも…」
「そうだ。おまえ、なんてあだ名で呼ばれたい?」
「え?あだ名?」
「そう、あだ名」
「ん〜…と…。テンカリン!」
「そうか。じゃあ、おまえのあだ名はテンカリンだ!」
甜歌だけ、あだ名の希望を聞かれた。
ドもツンツンもカピバラもフニャオも内心面白くなかった。
1357投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月09日(月)21時33分50秒
望は甜歌を後ろに乗せ、走り去って行った。
「さてと…。カピバラもフニャオも、もう帰んな。フニャオ、おまえ、ちゃんとカピバラを送ってやれよ。私が男のままにしておいてやったんだから!」
「は…はい…」
卓也は、自分の股間を思わず手で抑えた。
二人はアパートから出ると、眼鏡島公園を横切っていく。
「杏奈…話しがある…」
卓也は静かに…しかし、強い意志を含んだ声で言った。
「な、何よ…。話しって…」
杏奈は少し奇妙に思った。
「座ろうか…」
卓也は公園のベンチに腰を降ろす。
杏奈も隣に座った。
長い沈黙が続く。
「ねぇ…何よ…?話しって…」
その気まずい時間に耐えられなくなった杏奈は、自分から切り出した。
1358投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月09日(月)21時35分53秒
「僕ね…決めたんだ」
「決めたって…何を…?」
「僕…『R&G』で働くよ…」
「え?」
「僕…ちーちゃんの為に『R&G』で働くよ…。ちーちゃんの手足になる」
「ど、どうして…?」
「僕は今日、ちーちゃんを裏切った。一生かかっても償いきれない程の裏切りを…」
「ちひろの…居場所を喋ったこと?」
「うん…。いずれ、きちんと謝りたいと思うけど…。だから…少しでも罪を償うために…僕は、この人生をちーちゃんの為に使う」
卓也の声には強い意志が感じられた。
「大学は…?」
「もちろん、行くよ。だって、僕にはまだまだ足りないものばかりだから。今のままじゃ、ちーちゃんの役には立てない」
1359投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月09日(月)21時36分49秒
杏奈は深い溜息をついて、そして決心したように言った。
「しょうがないわね…。だったら…私も『R&G』に入社しなきゃいけなくなっちゃったじゃない!」
「え…?杏奈も…?」
「だって…ちひろに甜歌に卓也にレッドさん…このメンバーじゃ危なっかしくって見てらんないわよ!私も手を貸してあげなきゃしょうがないじゃない!」
「小説家になる夢は?」
「もちろん、諦めないわよ。それに、探偵やってた方が、書くネタに困らないでしょ?」
「この事件も、小説のネタになる?」
「いいわね。ベストセラーになって…映画化されたりして…」
「だったら、僕の役は伊藤英明がいいな。『TTK』の子に言われたんだ。似てるって…」
「あはは!伊藤英明は女の子の色香に負けて、仲間の居場所を喋っちゃうようなカッコ悪い役、やらないわよ!」
杏奈の一言に、卓也は暗く沈んだ。
そんな卓也をよそに、杏奈は真剣な顔に戻し、こう言った。
「でも…小説にするなら…絶対にハッピーエンドよ…!絶対に…!」
1360投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月09日(月)21時38分01秒
今日はこれでおちます
1361投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月09日(月)21時41分02秒
と、思いましたが…キリのいいところまで更新します
1362投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月09日(月)21時41分26秒
アパート内。
ちひろと中村有沙が肩を寄せ合って、窓の月を眺めていた。
中村有沙はギュッとちひろの腕にしがみ付いた。
「どうした?有沙?」
「ここにいる…。ここにいるんだな…ちひろ…」
「ああ…。ここにいるぞ、ちゃんと…」
「もう…会えないと思った。二度と会えないと…」
そう言うと、一層力強く、ちひろにしがみ付いた。
そんな中村有沙の手を優しく包み込むちひろ。
「私もだ…。こうしてまた会えたことが…嬉しくてしょうがない」
中村有沙は、ちひろの手首の痣をみつける。
「どうした?この痣…」
「あ…。これは、梨生奈と羅夢に…」
「拷問されたのか?」
「ああ」
「おのれ!あいつ等め!よくも私のちひろに…」
中村有沙は立ち上がったが、立ちくらみがして後ろに倒れた。
それを、ちひろが抱きとめた。
1363投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月09日(月)21時42分23秒
「大丈夫か?無理をするな!あいつらなら…デカアリが倒したから…」
「そ…そうか…。デカアリが…。ならば、やつ等、相当酷い仕打ちを受けたな?」
「ああ…。見ていて逆に可哀そうなくらいな。おまえに毒をくらわせた二人も、デカアリがやっつけた」
ちひろは、そっと中村有沙の肩を撫でる。
「おまえこそ…もう、大丈夫なのか?」
「ああ。もう、だいぶ気分がいい。こうやってちひろが側にいてくれるから…」
「私達は二人とも、今日は死を覚悟した…。だが、こうやって生きて会えたことは…奇跡だ」
ちひろは、強く中村有沙の肩を抱いた。
「ああ…。私は…こんなに幸せな気持ちになれたことは…今まで一度もなかった」
中村有沙も、ちひろの腕を強く握った。
「こうしていたい…。いつまでも、ちひろと…こうしていたい…」
ちひろの手に、涙が落ちた。
「…?有沙…?泣いているのか?」
中村有沙の肩が、小さく震えている。
「私が…私が悪いんだ…。私はちひろと出会えて、こんなに幸せなのに…ちひろは、私と出会ったおかげで…こんな…」
ちひろは、優しくそっと、しかし、強い口調で囁いた。
「違うぞ、有沙…。私も、おまえと出会えたことは嬉しいんだ。おまえが幸せなら…私も幸せなんだ…」
1364投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月09日(月)21時43分30秒
更にちひろは、中村有沙を抱き寄せる。
「不思議だな…。私達、出会ってからまだ4日だというのに…。もう、長い間ずっと親友でいるみたいだ…」
「うん…。うん…」
中村有沙は、涙声で頷く。
ちひろは、一層強く抱きしめながら言う。
「私は、おまえが『TTK』を逃げ出したことは、正しいことだと思う。おまえは、幸せになれる権利があるんだ。私は…おまえを…幸せにするために…守る!」
中村有沙は、ちひろの抱擁を振りほどくと、今度は自分が力強く抱きしめた。
「違う!私がちひろを守る!もう、ちひろを二度とこんな目に遭わせない!おまえが私を守ってくれたように…今度は私がおまえを守るから!」
ちひろは、目を閉じた。
「助け合おう…。私達、二人…いや、甜歌も、杏奈さんも、卓也も、レッドさんも…それに…デカアリだっている…」
「デカアリのことは言うな…!私は…ちひろ…おまえを守る!そして、以前と同じ暮らしを…人生を取り戻してやる…。絶対に…!」
月の明かりに照らされた4畳半の部屋で、二人はいつまでも抱き合った。
「ふん!いい気なもんだぜ、二人とも!私は今夜、徹夜で見張りをしなきゃいけないのによ!」
ダーブロウ有紗は、ドアの側で胡坐をかきながら吐き捨てるように呟いた。
そこに、汗でグシャグシャになりながら、今にも死にそうな態でアパート内に転がり込んできた男がいる。
「ダ、ダ、ダ、ダーさん…。今、到着しました〜」
それは、レインボウハイツで置き去りにされた、幸生だった。
「お?マンプク!おまえ、今までどこ行ってたんだ?」
ダーブロウ有紗は、幸生に走って着いて来いと言ったことを、すっかり忘れていた。
1365投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月09日(月)21時45分07秒
それでは、今度こそおちます
1366投稿者:
ナイスフェイントですね(笑)
投稿日:2007年07月09日(月)21時45分50秒
焦らされちゃいました
1367投稿者:
つまり
投稿日:2007年07月10日(火)00時01分41秒
リリー=杏奈ってことですか?
1368投稿者:
あげ
投稿日:2007年07月10日(火)20時31分17秒
1369投稿者:
1335
投稿日:2007年07月10日(火)20時52分14秒
ちがったんですかー
でもさすが、通じましたね(笑
1370投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月10日(火)21時29分21秒
>>1367
そういうわけではないんですが、「この事件を小説化」ってところでそう思われたのでしょうか
>>1369
ドラえもんは大好きです
未来の漫画雑誌の連載漫画「モライモンとヒロイモン」も覚えてます
1371投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月10日(火)21時29分53秒
では、更新します
1372投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月10日(火)21時31分33秒
22『ひとつ屋根の下』
翌朝、中村有沙の体調が完全に快方に向かうと、早速洸太の家に移ることになった。
洸太の家は立派な日本家屋で、旅館並に部屋がいくつもあった。
洸太以外の家族は、弟の療養の為に留守にしていて、今は洸太以外に住んでいる者はいない。
そこには、ダーブロウ有紗、中村有沙、ちひろ、そしてちひろ殺しという、まったくの濡れ衣で警察に追われている幸生、望、愛実もひとつ屋根の下で暮らすことになった。
ただ、スクラッチのリーダー、里穂の姿がない。
「おい、リッピーのやつ、まだ戻ってきてないのか?」
ダーブロウ有紗の質問に、愛実は悲しそうに首を横に振る。
「まったく…!リーダーの座を私に獲られたのが、そんなに気にくわねぇのかよ…!ガキだな!」
「私達…今でも姉御のこと、リーダーだって思ってるのに…。今、どこで何をしてるんだろう…」
「お…おい!私のこと、リーダーだって思ってなかったのかよ!」
「い、いえ…そういうわけではないんですけど…。ダーさんは、助っ人的な感じが…」
愛実は慌てて言い訳をした。
1373投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月10日(火)21時31分50秒
「ふん…。おまえが思っている程、慕われていないようだな…」
中村有沙がボソっと呟いた。
「何だと!?コラ!おう!?」
「いや、ただ滑稽だな、と思っただけだ」
「こ、こいつ…!やっぱり何も変ってねぇな!表出ろ!コラ!」
中村有沙の胸座を掴むダーブロウ有紗。
「おい!やめろ!デカアリ!」
「ダーさん、落ち着いて…!」
ちひろ、幸生、望、愛実、洸太は二人の中に入ったり、後ろからしがみ付いて引き剥がしたり…今朝から何度も同じことを繰り返している。
1374投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月10日(火)21時33分45秒
その日の夕食は、中華料理のフルコースだった。
大きく立派な造りのちゃぶ台に、所狭しと料理が並べられた。
作ったのは、なんとダーブロウ有紗だった。
ちひろは目を丸くしながら、その料理を見た。
「お…おまえ…。こんなものまで、作れるのか?」
「昨日はイタリアンだったよ」
幸生は、早速シュウマイをつまみ食いしながら言った。
「ああ。昔な、一流ホテルのスイートに住んでいる要人を暗殺する仕事があったんだよ。チビアリと二人でレストランの厨房でバイトしながら暗殺の機会を窺ってな、そん時料理を覚えたんだよ」
「ちょ、ちょっと待て。有沙は未成年だろ?アルバイトなんかできるのか?」
「私だって、まだ未成年だぜ?童顔の女子大生ってことにしたら、まんまと雇ってくれたけどな。けどよ…」
ダーブロウ有紗は、黙々と食事をとる中村有沙を横目で睨む。
「こいつ、こんな性格だろ?一日でクビになってよ、結局は私が一人でバイトした」
「おまえも、よくバイトなんて勤まったものだな…」
「私はプロだからね。よく働いたよ。で、料理長が盲腸になって入院してな、副料理長も交通事故で利き腕骨折したもんだから、厨房が混乱しちまって…で、しょうがねぇから私が仕切ったんだよ」
「バイトのおまえが?」
「ああ。そしたら、『あんまり目立つな』って夏希のヤツに叱られちまったけど…案外面白いぜ、料理って」
望がウットリした目でダーブロウ有紗を眺めながら呟く。
「俺…ダーさんみたいな人と結婚したい…」
「やめておけ。命がいくつあっても足りないぞ」
中村有沙は淡々と言った。
1375投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月10日(火)21時38分10秒
洸太にとって、ダーブロウ有紗を家に招き入れたことで得したことと言えば、この夕食だった。
いつも一人でピザなどの出前をとって食べていたので、こんな賑やかで豪勢な夕食は、素直に楽しかった。
洸太は目の前の餃子を箸で摘んで、しげしげと眺める。
「どうした?メガネ。早く食えよ」
ダーブロウ有紗が、洸太に声をかけた。
「え…?いや…僕の弟、餃子が大好物でして…。コレ、食べさせたら喜ぶだろうなって…」
「そうか?弟達はいつ帰って来るんだ?こんなモンでよかったら、いつでも作ってやるよ」
「え…?も、もしかして、ダーさん、ずっとこの家に住み着くつもりですか?」
「なんだ?何か不都合でもあるのかよ?」
「だ、だって…父さん、母さんに何て説明すれば…?」
「おまえ、頭いいんだろ?上手い言い訳くらい、考えとけ!」
洸太は、そんなダーブロウ有紗に辟易しながらも、それなりにこのひと時を楽しんだ。
そして、それは幸生も望も愛実も…そしてちひろも遠く懐かしい、一家団欒の記憶を呼び起こすものだった。
「しかし…人には意外な一面もあるものなんだな」
ちひろも、この料理の美味さに感心しながら言った。
「私は、デカアリのことは好かんが…この才能だけは素直に認めている」
中村有沙の言葉に、ダーブロウ有紗は卓をバンっと叩く。
「てめぇ、何様のつもりだ!?」
「私が褒めてやっているのだ。素直に喜べばよかろう?」
「く…!コンチクショウ…!やっぱり、我慢ならねぇ!表に出ろ!」
また、ちひろ達は二人の中に入らなければならなくなった。
1376投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月10日(火)21時40分33秒
「でも、ほんと美味しいですよね、この料理。私もここに住んじゃおうかな〜」
ちひろは、上機嫌で食事をしている甜歌をジロリと見る。
「で…なんで、おまえがここにいるんだ?甜歌!おまえは家に帰れ!」
「さっき家に電話しました。今日は杏奈さんの家に泊まって勉強を教えてもらうって。明日、創立記念日で休みだし」
「そんなウソをついて…。非行の始まりだぞ?」
「いいじゃねぇか!サムガー!テンカリンがここに居たいって言ってんだ。住まわせてやろうぜ!」
「わぁ!デカアリさん!話しがわかるぅ!」
「よし、よし、テンカリン、何が欲しい?ほら、もっと餃子食え!」
ダーブロウ有紗は、幸生の前にあった餃子の皿を、甜歌に出した。
「あ…!お、俺の餃子…!」
「うるせぇ、マンプク!!おまえ、少しはダイエットしやがれ!さ、テンカリン、腹いっぱい食べな」
「は〜い!ありがとうございますぅ〜」
どうやらダーブロウ有紗は、甜歌を気に入ったようだ。
1377投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月10日(火)21時42分20秒
ちひろは、しらけた目で二人を眺めて言う。
「デカアリ…。あんまり甜歌を甘やかさないでくれ。それに、甜歌も最近太り始めてきたんだ」
「そうか?私はポッチャリした女の子が好みなんだよ。誰かさんみたいにガリガリよりかはよ…!」
そう言って、ダーブロウ有紗は中村有沙の方を見た。
中村有沙は一睨みして、溜息をつきながら言った。
「豚は太らせて喰うのが定石と言うしな…」
「あ!酷い!有沙、私のこと豚って言った!」
甜歌は、ダーブロウ有紗に泣きついた。
「おい!!コラ!チビアリ!!私のテンカリンをいじめるんじゃねぇ!!」
「だから、そこでいちいちケンカをするな!」
今度はちひろがちゃぶ台を叩いた。
洸太は、そんなやり取りを、ひきつった笑顔で見ていた。
たしかに賑やかな食事は楽しいが、それはたまにあるからこそ楽しいんだ、と痛感しながら。
1378投稿者:
あめぞうは
投稿日:2007年07月10日(火)21時43分22秒
この小説読むためだけに来てます
1379投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月10日(火)21時44分10秒
今日はこれでおちます
1380投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月10日(火)21時44分58秒
>>1378
ありがとうございます
とても嬉しいです
1381投稿者:
期待
投稿日:2007年07月11日(水)01時08分17秒
あげ
1382投稿者:
あげ
投稿日:2007年07月11日(水)19時15分47秒
1383投稿者:
素直に
投稿日:2007年07月11日(水)21時17分31秒
読んでいて楽しいです
1384投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月11日(水)21時35分53秒
>>1383
ありがとうございます
私も、素直に嬉しいです
1385投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月11日(水)21時36分13秒
更新します
1386投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月11日(水)21時37分29秒
その後、大量の洗い物は男三人に任せ、ちひろ達は夜遅くまで談笑した。
まるで修学旅行のような気分。
こんな気分に浸っている場合ではないのだが、こんな息抜きは、肉体的にも精神的にも疲れきった彼女達には必要なのだ。
そして、午前1時頃になると、ようやくみんなは床に就いた。
しかし、ちひろは目が覚めた。どうも深く眠れない。
こうしている間にも、『TTK』の刺客が襲ってこないとも限らない…。
そんな不安が過ぎるようになったのだ。
隣を見ると、中村有沙の布団が空になっている。
「…?」
ちひろは、眠れないついでに、中村有沙を探しに寝室を出た。
居間につながる廊下にある縁側に…パジャマ姿の中村有沙が座って、月を眺めていた。
「有沙…」
ちひろは声をかけた。
「ん?おお、ちひろか」
中村有沙は振り向いて答えた。
こうして見ると…普通の少女だ。
暗殺集団に属し、そしてその組織に狙われているなんて…ちひろには、どうしても思えなかった。
1387投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月11日(水)21時38分34秒
「隣…いいか?」
ちひろは少し間を空けて座った。
そして、中村有沙の横顔を見る。
月明かりに照らされて…美しい顔に思わず見惚れた。
「眠れないのか?ちひろ」
不意に中村有沙は、ちひろの方を向く。
「あ、ああ…。ここ数日、よく眠れない…」
「無理も無かろう。『TTK』の戦士達は神出鬼没だ」
「デカアリは?あいつも布団にいなかった」
「あいつは、家の周りを警備している」
「え?こんな時間に?」
「こんな時間だからこそだ」
「あいつも、本気でおまえを守りたがっているようだな?」
「うむ…」
「本当に、おまえのことを心配してるんだな。もう、そう毛嫌いすることないだろう?」
「………」
中村有沙は、あからさまに不愉快そうに押し黙った。
「確かに、あいつは滅茶苦茶なところもあるが…」
「いや、そういうワケではないのだ…。あいつは…いや、何でもない…」
中村有沙は開きかけた口を、また噤む。
1388投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月11日(水)21時39分35秒
「…なあ、有沙…。今日は、楽しかったな」
「…ああ…。楽しかった…」
「修学旅行を思い出した。ああやって、大勢で賑やかに食事をしたり、他愛も無い雑談で盛り上がって夜更かししたり…」
「私は、修学旅行なるものを経験したことがないが…ああいうものなのか?」
「ん?ああ…。夜はな…」
「そうか…。随分楽しいものなんだな…。表の世界は…」
中村有沙は月を見上げながら言った。
そう…。中村有沙は、産まれた時から…いや、産まれる前から『TTK』だった。
裏の世界で、命を奪い、または奪われかけることを宿命づけられた存在…。
「有沙…。これからも…ずっと修学旅行の様な夜を過ごそう…。私が側にいるから…」
「うむ…。しかし、それにはやつら『TTK』を倒さねば…」
「心配するな。私がおまえを守るから…」
「いいや、逆だ。ちひろ、私がおまえを守る。今までおまえは私を守ってくれた。その恩を返す」
「恩?恩なんて、感じなくていい」
「ならば…情…か?ちひろ、私はその情が、とてつもなく嬉しいのだ…」
中村有沙が微笑んでいる。その微笑みは…間違いない。表の世界にふさわしい笑顔だった。
1389投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月11日(水)21時43分03秒
「不思議だな…」
中村有沙は、呟いた。
「不思議?」
ちひろは、聞いた。
「昨夜も言ったが…私とおまえが出会ったのは、たった4日…いや、5日前…」
「ああ…。たった5日前だ」
「ここまで、心の通い合える仲になれるとは…正直思わなかったぞ」
「私もだ…。おまえと初めて会った夜…。思い出すだけでも腹立たしい…」
そう言って、ちひろは苦笑した。
「あの時の私は…ただ、自分自身が生き延びるのに必死だった。私を守ってくれる…僕が欲しかった…」
「僕…か…」
「私は、おまえのことを、そういう風にしか考えなかった。だから、あんな酷い仕打ちをおまえにした。おまえの心を折ってしまった…」
そして深い溜息をつき、こう言った。
「すまん…」
ちひろは、また苦笑した。
「おまえらしくもない…」
「ああ…。私らしくない…」
中村有沙も笑った。
1390投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月11日(水)21時45分13秒
「しかし…おまえは、そんな酷い仕打ちを受けながら、私を守ってくれた。そして、親友とまで言ってくれた…。そして…」
中村有沙は言葉を詰まらせる。
「そして…私に人殺しをさせない…と言ってくれた…」
ちひろは、ゆっくりと、静かに口を開く。
「おまえは…本当に綺麗なんだから…。その手を、汚したらいけない…」
「ありがとう…。だが…私は…苦しい…」
「苦しい?」
「おまえを守る為に…やっぱり、私はやつ等を殺してしまうだろう…。そしたら…おまえが…私から離れていってしまうのだろう…?」
中村有沙の手は、ギュッと硬く握られている。
その手を、ちひろは、そっと優しく包み込む。
「離れない…」
「え?」
「私は、おまえから離れない…」
「ち、ちひろ…」
「おまえは、人を殺さない…。だから、私はおまえから離れない…」
「…?」
「逃げよう…。一緒に…」
ちひろは、優しく…そして力強く言った。
1391投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月11日(水)21時46分09秒
「逃げる…?」
「そうだ…。戦わなければいい…。戦わなければ、人を殺すこともない…」
「ふ、不可能だ…!やつ等から…『TTK』から…『ラビ』達から逃げ延びるなんて…!」
「また逃げるんだ!襲ってきたら、逃げるんだ!地の果てまで…!」
「で…でも…」
「逃げよう!有沙、私と逃げるんだ!」
ちひろは、中村有沙を強く抱きしめた。
中村有沙は、目を閉じる。
そして、目尻から涙がこぼれる前に目を開き、ちひろから離れる。
「ダメだ…」
「ダメ…?」
「私は…おまえを表の世界に戻してやりたい…。おまえに、普通の…今夜のような楽しい時を取り返してやりたい…。その為には…」
「言うな!それ以上、何も言うな!」
ちひろは、再び中村有沙を抱きしめた。
1392投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月11日(水)21時46分59秒
今日はこれでおちます
1393投稿者:
毎晩更新が楽しみです
投稿日:2007年07月11日(水)21時49分42秒
1394投稿者:
あげます
投稿日:2007年07月12日(木)00時05分16秒
1395投稿者:
age
投稿日:2007年07月12日(木)19時47分44秒
1396投稿者:
なんつーか
投稿日:2007年07月12日(木)20時00分22秒
小説の模範だよな
1397投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月12日(木)21時11分04秒
私も、読んでくださる方々のコメントが楽しみです
では、更新します
1398投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月12日(木)21時12分16秒
「おう、おう!お熱いねえ!お二人さん!」
ダーブロウ有紗がいつの間にか後ろに立っていた。
相変わらず、あのスイートロリータのドレスに、ナイフのベルト姿…臨戦態勢だ。
それに、金に輝く錦の袋に入った長い棒のような物と、ジェラルミンケースを両手に提げている。
「う…!デカアリ…!おまえ、いつからいた!?」
中村有沙は、涙ぐんだ目を、慌てて拭きながら言った。
「いつから?一回目の抱擁からだよ。『ああ…!ちひろ…!抱いて!私を抱いて!そして、グチャグチャにしてぇ…!』ってところから」
「そ、そんなこと、私が言うか!!」
中村有沙は、ダーブロウ有紗に掴みかかった。
「よせ!有沙!相手にするな!」
ちひろは、中村有沙の肩を掴んで座らせる。
「相手にするなって…。冷てぇな…サムガー…。おまえ等の為に真夜中の警備をしてやってたのによ…」
そう言って、彼女はちひろと中村有沙の間に、強引に座り込む。
「く…!貴様…!忌々しい!」
中村有沙は舌打ちをした。
「お互い様だっつうの!」
ダーブロウ有紗は、そう言って舌を出した。
1399投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月12日(木)21時16分54秒
「けどよ…。サムガーも無茶言うぜ」
「何?」
急に話しを振られて、ちひろは軽く背筋を伸ばした。
「殺し屋に向かって『殺しはいけない』?なんだそりゃ?おまえ、うなぎ屋に『うなぎを殺すな』って言うのか?頭、張り倒されるぜ?」
「わ、私が言っているのは、そういうことではない!人の命を奪うことは…」
「ああ、わかった。おまえ、アレだ!『うるるん滞在記』で、ホームステイ先の家族が家畜の豚を潰して歓迎会を開いてくれるってのに、『豚が可哀そう〜』ってワンワン泣くクソタレントと同じ感覚か?」
「な…何だと!?」
「私、アレ見る度にテレビを蹴り壊したくなるんだよな。だったら見るなってチビアリに言われたが…」
そして、ダーブロウ有紗は、ちひろを真っ直ぐに睨みつける。
「だから、おまえは裏の世界の事情を何も知らねぇんだよ!」
「う、裏?」
「せっかくチビアリがおまえの為に殺してくれるって言ってるんだから、素直にお言葉に甘えりゃいいじゃねぇか!」
「わ、私の為!?私の為に人を殺すなど、私は耐えられん!!」
「だったら、おまえが殺せよ…」
「な、何…?」
呆気にとられたちひろに、長い錦の袋が投げ寄越される。
ちひろは、思わず受け止める。
ズシリと重い…。
1400投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月12日(木)21時19分03秒
「こ、これは…?」
「開けてみな…」
ちひろは、袋の口を開ける。
中から出てきた物は…黒く輝く、漆塗りの棒…日本刀だった。
「か…刀…?ど、どうしてこんな物を…?」
「メガネの家の蔵の中を物色してたら、コイツが出てきた。おまえ、木刀折られて武器がないんだろ?」
「…え…?」
「使ってみろよ…。それ…」
ダーブロウ有紗は、とんでもないことをサラリと言ってのけた。
「そ、そんな勝手な…!洸太には…いや、洸太の親に断ってないんだろう?」
「私がゴールドカードで買い取ってやらあ!ま、私の金じゃなくて『ラビ』の金だけどな…」
ダーブロウ有紗は、へへっと自嘲気味に笑う。
「さ、抜いてみろよ。サムライガール…」
わざわざ、『サムライ』という言葉を投げかけられた。
ちひろは、両手の上の日本刀を見詰めながら、ゴクリと唾を飲み込んだ。
1401投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月12日(木)21時21分06秒
「だ、だが…デカアリ…おまえ、『TTK』の戦士は殺さないって、言ったよな?」
「ん?ああ…。ありゃ、前言撤回だ」
「前言撤回?」
「覚えてるか?出っ歯ちゃんとパッツンの『チーム7』と戦った時のこと」
「お、覚えているとも…」
「おまえ、パッツンと戦ってたから、私と出っ歯ちゃんの戦いを見てなかったろ?私、相当ヤバかったぜ?」
「そ…そうなのか…?」
「殺す気で戦わなければ勝てなかったんだ。ま、幸いな事に、出っ歯ちゃんが悪足掻きせずに、素直に負けを認めてくれたから、殺さずに済んだが…」
ちひろも、七海との激闘を生き延びたと思ったが、ダーブロウ有紗は、それと比べ物にならないくらいの死闘を繰り広げていた…。
「今、残っている『戦士』は、加藤夏希の『チームK』。俵姉妹の『チームT』。そして『チームJ』の片割れ、ジャスミンの5人…。はっきり言って、これまでの『戦士』とレベルが違う!」
ダーブロウ有紗は、ゆっくりと指を折りながら言った。
「加藤夏希はヤバい…。本当にヤバい…。そのパートナーの加藤ジーナってヤツは知らねぇけど、夏希の相方なら、それなりの力があるんだろうな…」
加藤夏希…。覚えている…。最初に接触した『戦士』だ。
「そして、ジャスミン…ジャスミン・アレン…。ヤツと戦って、無傷で済むとは思えねぇ…。ま、私が勝つのには変わりないが…」
ジャスミン…。あのジョアンのパートナー。名前だけは何度も聞いたが…。あの時、二人同時に襲ってきたら、どうなっていただろうか…?
「それから、俵姉妹…。捕縛専門だから、戦闘能力は大したことない。だが、他のチームのサポートに回ったら、これほど厄介なやつ等はいない…」
ダーブロウ有紗ほどの者が、ここまで警戒する連中が…これから対峙する敵…。
ちひろは、言葉を失った。
1402投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月12日(木)21時24分26秒
「さあ、抜けって…」
ダーブロウ有紗は、ちひろを急かす。
ちひろは、ダーブロウ有紗を一睨みすると、ゆっくりと鞘を抜いた。
鞘から刀身が晒される。
それは…美しく輝く貴金属のように、神々しい光を放っていた。
月の光が刃に反射する。
一瞬、ちひろは目が眩んだ。
そして、刀身に自分の目が映り、自らの目と合った。
ちひろは、反射的に刀身を鞘に納めた。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
ちひろの額に汗が浮かぶ。そして、息が荒くなる。
苦しい…。
この美しい日本刀は…美術品などではない…。戦いの道具…。人を殺す道具…。
剣道は、戦うことによって自分の精神と身体を鍛え、成長させる武道…。
竹刀も木刀もその為の道具…。
しかし、今、自分が手にしているのは、相手を殺す為の道具…。
違う…。あまりにも違いすぎる…。
(これが…裏の世界…。有沙の生きていた世界…)
ちひろは、胸が苦しくなった。
1403投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月12日(木)21時26分01秒
今日はこれでおちます
1404投稿者:
更新キタキタ
投稿日:2007年07月12日(木)21時29分44秒
読ませて貰いますね
1405投稿者:
リリー
投稿日:2007年07月12日(木)21時37分25秒
ありがとうございます
作品を書く気力が湧きます
1406投稿者:
age
投稿日:2007年07月13日(金)00時24分49秒
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