AAAキャラバトルロワイアルpart6
- 1 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/22(日) 14:41:56 ID:Y5SGUGGa0
- ここはトライエース(以下AAA)キャラでバトルロワイヤルを行う企画です。
参加資格は全員にあります。
参加型リレー小説というテーマを元に、皆さんで物語を作り上げていきましょう。
・企画発祥スレ
バトルロワイアル企画を考える inゲームサロン
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/gsaloon/1160050565/l50
・過去スレ
http://game12.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1162909976/
http://game12.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1172767328/
http://game14.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1186147301/
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1204348476/
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1222700688/
・まとめWiki
http://www23.atwiki.jp/aaarowa/
・したらば掲示板
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9356/
詳しい説明・ルールは>>2以降。
- 2 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/22(日) 14:43:33 ID:Y5SGUGGa0
- 【基本ルール】
・全員で殺し合いを行い、生き残った最後の一人が勝者。
・勝者には元の世界への帰還と、それとは別の褒美が主催者より与えられる?(未決定)
・参加者間でのやり取りに反則はない。
・参加者全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者無し)となる。
【スタート時の持ち物】
・参加者があらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
(義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない)
・また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される
・ゲーム開始直前に参加者は開催側から以下の物を支給される
「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。鞄などの類であればなんでも可
「地図」→ 大まかな地形の記された地図。禁止エリアがあるならば、それを判別するための境界線と座標がひかれている。
「コンパス」→ 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる
「照明器具」→ 着火器具+携帯ランタン(油は2〜3日分or切れない)、または懐中電灯。
「筆記用具」→ 普通の鉛筆と紙、もしくはノートの類。
「水と食料」→ 通常の飲料と食料。目安としては通常の成人男性で二〜三日分。
「名簿」→全ての参加者の名前のみ明記。
「時計」→ 普通の時計。時刻がわかる。主催者側が指定する時刻はこの時計で確認する
「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが入っている。作中の道具や武器、銃火器など
【放送関連】
一日四回、六時間毎に放送が入る。(0時、6時、12時、18時)
放送内容は「禁止エリアの場所と指定される時間」「過去6時間に死んだキャラ名」
「残りの人数」「主催者の気まぐれなお話」等。
【首輪・禁止エリア関連】
ゲーム開始前からプレイヤーは全員、「首輪」を填められている。
首輪が爆発すると、そのプレイヤーは死ぬ。(例外はない)
主催者側はいつでも自由に首輪を爆発させることができる。
この首輪はプレイヤーの生死を常に判断し、開催者側へプレイヤーの生死と現在位置のデータを送っている。
24時間死者が出ない場合は全員の首輪が発動し、全員が死ぬ。
「首輪」を外すことは専門的な知識がないと難しい。
下手に無理やり取り去ろうとすると首輪が自動的に爆発し死ぬことになる。
プレイヤーには説明はされないが、実は盗聴機能があり音声は開催者側に筒抜けである。
開催者側が一定時間毎に指定する禁止エリア内にいると首輪が自動的に爆発する。
なお、どんな魔法や爆発に巻き込まれようと、誘爆は絶対にしない。
例え首輪を外しても会場からは脱出できないし、禁止能力が使えるようにもならない。
首輪の材質は「何が起きても首に超フィットする不思議なご都合主義パワーが篭った首輪」。
よって体を巨大化させるなどしても首輪を外すことは出来ない。
主催者側が一定時間毎に指定する禁止エリア内にいると首輪が自動的に爆発する。
禁止エリアは1時間ごとに1エリアづつ増えていく(以前は2時間に1つだったが、ペースが速まった)
- 3 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/22(日) 14:53:37 ID:rUKFHjD40
- 【能力・能力制限関連】
身体能力、攻撃能力については基本的に無し。
(ただし敵ボスクラスについては例外的措置がある場合あり)
治癒魔法については通常の1/10以下の効果になっています。蘇生魔法は「気絶状態を治す」程度。
キャラが再生能力を持っている場合でもその能力は1/10程度に制限される。
しかしステータス異常回復は普通に行える。
その他、時空間移動能力なども使用不可。
MPを消費するということは精神的に消耗すること。MPを消費する=疲れる。
全体魔法の攻撃範囲は、術者の視野内にいると判断された人物。
MPは自然に徐々に回復(通常時なら二時間で10%、睡眠時はその2倍ぐらい)?
【キャラの特殊能力制限で決まっている設定】
・レナス 原子配列変換及びMP変換、世界再生能力の無効、精神集中※後述
・フェイト ディストラクションの弱体化(本編で使える技は特に制限なし)
・マリア アルティネイションの弱体化(本編で使える技は特にry)
・フレイ 空中浮遊の高度制限 空間移動←まだ決まっていない
・ダオス 時間転移能力の無効 空中浮遊の高度制限
・ガブリエル 崩壊紋章の無効、真・ガブリエル化による能力上昇無し(神曲は使用可能)
・ロキ ドラゴンオーブによるパワー解放の無効(支給品のドラゴンオーブを入手すれば可)
・ルシオン 形態変化の無効 再生能力の効果の弱体
・アーチェ 杖浮遊の無効(支給品にアーチェの浮遊杖があるなら別)
・レザード 移送方陣の無効 屍霊術(一人ぐらい)
・エイミ 竜変化(一回だけ)
・ノートン 再生能力の弱体
・シン 空中浮遊の高度制限
※レナスの精神集中について
1.放送毎に1回使用可能
2.使用中は完全に無防備
3.使用するには集中できる環境が必要
4.聞ける声は任意で選べない
5.声は聞こえるが人物を特定できる程鮮明ではない
6.ブラムス探知能力は無し
7.一応レナス一行が介入する事でその人間の死を回避する事は可能(放っておいたり、間に合わない場合は当然死亡)
【アイテム・クリエイション・料理関連】
アイテムによる回復は制限を受けない。
料理は「材料があればつくれるが、回復効果はない」いわゆる空腹を満たす程度。
ボーマンの調合スキルは薬草があればOK
【フェイズガン関連】
フェイズガンは弾丸がなく、エネルギー弾を発射する銃である。
だから弾込めする必要はないが、エネルギーが切れると撃てなくなる。
最大エネルギー量は100%で、銃の残量を(***/100)と示す。
[例] (70/100)とすると,残量が70%残っていることになる。
銃の威力または性能によって、弾を撃ったときの消費量が異なる。
またエネルギーが足りないときは一切撃てない。
[例] 残量が(41/100)の時、パルスショットガン(散弾式のフェイズガン)消費エネ33%は撃てるが、残量が(32/100)の時は撃てない
フェイズガンのエネルギーは放送ごとに50%補充される。
注意)徐々に補充されるわけではなく、一気に補充される。
フェイズガンを所持品と持っているとき〔名前〕〔性能〕〔消費エネルギー〕〔残量〕の順番に書く。
- 4 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/22(日) 14:56:19 ID:rUKFHjD40
- 【会場関連】
舞台になるのは原作ロワと同じ沖木島。街並みは現代風の田舎町。
現地調達できるアイテムは『普通に使ったら武器にならない』かつ『類似品が支給されてない』
・悪い例
「押入漁ってたらこんなの出ちゃいました」
「ちょwニュートロンボムwww」
・良い例
「押入漁ってたらこんなの出ちゃいました」
「広辞苑か……まあ役に立つかもなしれないし、貰っておくか」
食料は一軒につき一食分程度?
診療所には医療器具は無い?
- 5 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/22(日) 14:58:35 ID:rUKFHjD40
- 【書き手の心得その1(心構え)】
・この物語はリレー小説です。
みんなでひとつの物語をつくっている、ということを意識しましょう。一人で先走らないように。
・知らないキャラを書くときは、綿密な下調べをしてください。
二次創作で口調や言動に違和感を感じるのは致命的です。
・みんなの迷惑にならないように、連投規制にひっかかりそうであれば保管庫にうpしてください。
・巧い文章はではなく、キャラへの愛情と物語への情熱をもって、自分のもてる力すべてをふり絞って書け!
・叩かれても泣かない。
・来るのが辛いだろうけど、ものいいがついたらできる限り顔を出す事。
できれば自分で弁解なり無効宣言して欲しいです。
【書き手の心得その2(実際に書いてみる)】
・…を使うのが基本です。・・・や...はお勧めしません。また、リズムを崩すので多用は禁物。
・適切なところに句読点をうちましょう。特に文末は油断しているとつけわすれが多いです。
ただし、かぎかっこ「 」の文末にはつけなくてよいようです。
・適切なところで改行をしましょう。
改行のしすぎは文のリズムを崩しますが、ないと読みづらかったり、煩雑な印象を与えます。
・同じ文末を連続して使用するのはなるべく避けましょう。
・かぎかっこ「 」などの間は、二行目、三行目など、冒頭にスペースをあけてください。
・人物背景はできるだけ把握しておく事。
・過去ログ、マップはできるだけよんでおくこと。
特に自分の書くキャラの位置、周辺の情報は絶対にチェックしてください。
・一人称と三人称は区別してください。
・極力ご都合主義にならないよう配慮してください。露骨にやられると萎えます。
・「なぜ、どうしてこうなったのか」をはっきりとさせましょう。
・状況はきちんと描写することが大切です。また、会話の連続は控えたほうが吉。
ひとつの基準として、内容の多い会話は3つ以上連続させないなど。
・フラグは大事にする事。キャラの持ち味を殺さないように。ベタすぎる展開は避けてください。
・ライトノベルのような萌え要素などは両刃の剣。
・位置は誰にでもわかるよう、明確に書きましょう。
【書き手の心得3(一歩踏み込んでみる)】
・経過時間はできるだけ『多め』に見ておきましょう。
自分では駆け足すれば間に合うと思っても、他の人が納得してくれるとは限りません。
また、ギリギリ進行が何度も続くと、辻褄合わせが大変になってしまいます。
・キャラクターの回復スピードを早めすぎないようにしましょう。
(今までの話を平均すると、回復魔法使用+半日費やして6〜8割といったところです)
・戦闘以外で、出番が多いキャラを何度も動かすのは、できるだけ控えましょう。
あまり同じキャラばかり動き続けていると、読み手もお腹いっぱいな気分になってきます。
それに出番の少ないキャラ達が、あなたの愛の手を待っています。
・キャラの現在地や時間軸、凍結中のパートなど、雑談スレには色々な情報があります。
本スレだけでなく雑談スレにも目を通してね。
・『展開のための展開』はイクナイ(・A・)!
キャラクターはチェスの駒ではありません、各々の思考や移動経路などをしっかりと考えてあげてください。
・書きあがったら、投下前に一度しっかり見直してみましょう。
誤字脱字をぐっと減らせるし、話の問題点や矛盾点を見つけることができます。
一時間以上(理想は半日以上)間を空けてから見返すと一層効果的。
- 6 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/22(日) 15:01:02 ID:rUKFHjD40
- 【作品を書いた時の必要事項】
・作中での時間表記
深夜:0〜2
黎明:2〜4
早朝:4〜6
朝:6〜8
午前:8〜10
昼:10〜12
真昼:12〜14
午後:14〜16
夕方:16〜18
夜:18〜20
夜中:20〜22
真夜中:22〜24
・キャラ表記について
【座標/場所/時間】
【キャラクター名】[MP残量]
[装備]:キャラクターが装備している武器など、すぐに使える(使っている)ものを記入。
[道具]:キャラクターがザックなどにしまっている武器・アイテムなどを記入。
[状態]:キャラクターの肉体的、精神的状態を記入。
[思考]:現在具体的に考えている事・行っている事を記入。
[行動方針]:キャラクターの目的
[備考]:その他何か特記事項。無くても良い。
【名前 死亡】※死亡したキャラが出た場合のみいれる。
【残り○○人】※死亡したキャラが出た場合のみいれる。
以下、人数分。
−例−
【クロード・C・ケニー】[MP残量:50%]
[装備:木刀]
[道具:アップルグミ・フェイスガン・デイバック(支給品一式)]
[状態:頭部裂傷]
[思考:混乱]
[行動方針:主催者を打倒]
【ノートン 死亡】
【残り40人】
【修正に関して】
・修正(NG)要望は、名前欄か一行目にはっきりとその旨を記述してください。
・NGや修正を申し立てられるのは、
「明らかな矛盾がある」「設定が違う」「時間の進み方が異常」「明らかに荒らす意図の元に書かれている」
「雑談スレで決められた事柄に違反している(凍結中パートを勝手に動かす等)」
以上の要件のうち、一つ以上を満たしている場合のみです。
・批判も意見の一つです。臆せずに言いましょう。
ただし、上記の修正要望要件を満たしていない場合は
修正してほしいと主張しても、実際に修正される可能性は0だと思って下さい。
・書き手が批判意見を元に、自主的に修正する事は自由です。
- 7 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/22(日) 15:03:18 ID:rUKFHjD40
- 【読み手の心得】
・このスレは投下・雑談を兼用しています。きたんなく雑談しましょう。
・好きなキャラがピンチになっても騒がない、愚痴らない。
・好きなキャラが死んでも泣かない、絡まない。
・荒らしは透明あぼーん推奨。
・批判意見に対する過度な擁護は、事態を泥沼化させる元です。
同じ意見に基づいた擁護レスを見つけたら、書き込むのを止めましょう。
・擁護レスに対する噛み付きは、事態を泥沼化させる元です。
修正要望を満たしていない場合、自分の意見を押し通そうとするのは止めましょう。
・嫌な気分になったら、バーニィ(ぬいぐるみも可)をふかふかしてマターリしてください。
・「空気嫁」は、言っている本人が一番空気を読めていない諸刃の剣。玄人でもお勧めしません。
・「フラグ潰し」はNGワード。2chのリレー小説に完璧なクオリティなんてものは存在しません。
やり場のない気持ちや怒りをぶつける前に、TVを付けてラジオ体操でもしてみましょう。
冷たい牛乳を飲んでカルシウムを摂取したり、一旦眠ったりするのも効果的です。
・感想は書き手の心の糧です。指摘は書き手の腕の研ぎ石です。
丁寧な感想や鋭い指摘は、書き手のモチベーションを上げ、引いては作品の質の向上に繋がります。
・ロワスレの繁栄や良作を望むなら、書き手のモチベーションを下げるような行動は極力慎みましょう。
・あまりしつこくダジャレを言ってる人がいたら「時空剣士乙」「クレス自重しろ」等で返しましょう。
マリアさんを呼び出してお仕置きしてもらうのも効果的です。
- 8 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/22(日) 15:10:19 ID:rUKFHjD40
- 【参加者&生存状況】
スターオーシャン2(SO2) 7/15
○クロード/○レナ/●セリーヌ/○アシュトン/○プリシス/○ボーマン/●ディアス
○レオン/●オペラ/○エルネスト/●ノエル/●チサト/●シン/●ミカエル/●ガブリエル
スターオーシャン3(SO3) 6/15
○フェイト/○ソフィア/●スフレ/○クリフ/●ネル/●ロジャー/○マリア/○アルベル
●アドレー/●ミラージュ/●クレア/●ノートン/●ビウィグ/●ヴォックス/○IMITATIVEブレア
ヴァルキリープロファイル(VP) 5/13
●レナス/●アリューゼ/○レザード/○ルシオ/●メルティーナ/●ジェラード
●夢瑠/●ロウファ/●エイミ/○ジュン/○ブラムス/○ロキ/●フレイ
ヴァルキリープロファイル2(VP2) 0/2
●アリーシャ/●ルーファス
ラジアータストーリーズ(RS) 1/8
●ジャック/●リドリー/●ガンツ/●エルウェン/●ガウェイン/○ミランダ
●ガルヴァドス/●ルシオン
テイルズオブファンタジア(TOP) 3/9
○クレス/●ミント/○チェスター/○クラース/●アーチェ/●すず
●ダオス/●デミテル/●ジェストーナ
合計 22/62
○=生存 ●=死亡(一日目深夜〜、開始から18時間前後経過)
禁止エリア
C-04、G-03、E-06
19時にH-07、21時にI-07、23時にD-04
1時にD-06、2時にE-02、3時にI-06、4時にE-04、5時にF-06、6時(4回目の放送と同時)にG-07
主催者:ルシファー(スフィア社)@SO3
【キャラの参加時期】
基本的に本編終了後(原作で死亡しているキャラは死亡した後)
SO2:本編終了後、BS前
VP:レナスとルシオはAエンド後 ロキとフレイはChapter7〜8辺り?
VP2:アリーシャ、ルーファス共にユグドラシルのオーディン戦後
RS:人間編END後?
TOP:チェスターは未来編突入直後
- 9 名前:代理投下:2009/02/22(日) 15:12:50 ID:rUKFHjD40
- 代理投下の続き入ります
さるさんはいりましたら避難所でお知らせします
(テンプレをどうするかという意見も出ているので、万が一の場合には一読していただければ幸いです)
----------------------------------------------------
「―――マリアさんは僕が命に代えても守ります。
僕は最後まで絶対にあなたを守り通します」
臆面もない言葉にマリアは赤らめた顔を逸らした。
目の前のいるクレスの瞳に濁りというものはない。ここまで純粋で真っ直ぐな人は見たことがない。
この男はよくもまあ、こんな恥ずかしい言葉をいとも簡単に吐けるのだろうか。
彼の性格上、その言葉に嘘偽りは一切ないだろう。
だからこそ、愛の告白のような誓いは胸を高鳴らしてしまうし、
そういう言葉に慣れていないせいか歯痒い気持ちで満たされる。
「マリア……」
でも、この仲間同士の殺し合いと疑心暗鬼が謳歌するこの舞台で最も信頼できる嬉しい言葉。
だから、私も何らかの形で示さなければならない。私からの友好の証をこの胸に託したい。
「えっ」
「私のことはマリアと呼んで、私も君のことクレスって呼ぶから」
「あの……いきなり何を…マリアさん」
摩訶不思議な返答にクレスは怒らせてしまったのではないかと動揺する。
が、マリアはクレスのたじろぎぶりに目もくれず、小悪魔のような笑みを浮かべる。
「うふふ、おやすみなさい、クレス」
「うえっと、おやすみ、マリアさ……マ、マリア」
『さん』付けしようとすると、マリアは軽く視線を尖らせる。
クレスは慌てて言葉を言い直すと機嫌を直したようで、マリアは軽快に扉を閉める。
「ありがとう……クレス」
ドアを締め切るとマリアは聞こえないようなか細い声でお礼の言葉を伝える。
その言葉はドアの音に掻き消され、霞のように消えていった。
+++
- 10 名前:代理投下:2009/02/22(日) 15:16:05 ID:rUKFHjD40
- 青髪を揺らした少女は最後にボソッと何かを言っていたようだが、ドアに阻まれ何も聞き取れなかった。
クレスは女の子の気持ちは分からないな、とため息を付く。
でも、はじめて見せる彼女の笑みは綺麗だったな、と思いながらミランダの元へと足を進めた。
居間でくつろいでいたミランダを発見するとクレスは睡眠をとるように提案する。
「そうですか。それではお言葉に甘えて。えっと……クレスさん、何か良い事ありましたか?」
「ん、どうしてだい?」
「さっきから嬉しそう笑っていらっしゃるものですから」
ミランダはにたにたと頬を緩めているクレスに何気なく尋ねてみた。
「ああ、まあね」
マリアと初めて出会った時よりも、遥かに親しくなったことにクレスは感慨深くなる。
何だろうか。彼女に溜まっていた、負の感情が吐き出されたのだろう。
彼女は確実に強くなったし、穏やかになったはずだ。まあ、厳しいところは変わらなそうだけど。
「マリア自身、僕自身、溜まっていたものを全部出したから、
お互いに心身ともにすっきりできたんだ。
だから、僕は嬉しいんですよ」
クレスは照れながら頭を掻いた。
「……あれ? ミランダ…顔が真っ赤だけど…どうしたんだい?」
ミランダの褐色の肌が真っ赤に染まっている。
クレスはわけも分からず、熱があるのかいと尋ねるが。
「だから、二人きりになりたかったのですね」
「半時間以上も部屋から出ないから変だと思ったんですよ」
「私が近くにいるのに、恥ずかしくないと思わないのかしら」
「思い出してみればギシギシと全体が揺れていた気も……」
ミランダは惚けたままぶつぶつと呟きながら、マリアとは別の寝室に向かっていったのだ。
「変なミランダだな…」
クレスはハテナマークを掲げ、ミランダが寝室に入るのを見届けると見張り番の任に付いたのであった。
- 11 名前:代理投下:2009/02/22(日) 15:19:30 ID:rUKFHjD40
- 【F−1/深夜】
【クレス・アルベイン】[MP残量:40%]
[状態:右胸に刺し傷・腹部に刺し傷・背中に袈裟懸けの切り傷(いずれも塞がっています)、HPおよそ30%程度]
[装備:ポイズンチェック]
[道具:なし]
[行動方針:皆を救うためにルシファーを倒してゲームを終了させる]
[思考1:仲間を守る(特にマリアを)]
[思考2:6時まで見張り番をする]
[思考3:チェスターを説得する]
[思考4:平瀬村を捜索し、武器(出来れば剣がいい)や仲間を集める]
[思考5:チェスターが仲間を連れて帰ってきてくれるのを待つ]
[現在位置:平瀬村の民家B(表札に『中島』と書かれている民家)内]
【マリア・トレイター】[MP残量:70%]
[状態:睡眠中、右肩口裂傷・右上腕部打撲・左脇腹打撲・右腿打撲:戦闘にやや難有]
[装備:サイキックガン:エネルギー残量[100/100]@SO2]
[道具:荷物一式]
[行動方針:ルシファーを倒してゲームを終了させる]
[思考1:睡眠が終わりしだい平瀬村を捜索し、武器(出来れば剣がいい)や仲間を集める]
[思考2:ミランダは信用できない]
[思考3:チェスターが仲間を連れて帰ってきてくれるのを待つが、正直期待はしていない]
[思考4:移動しても問題なさそうな装備もしくは仲間が得られた場合は平瀬村から出て仲間を探しに行くつもり]
[現在位置:平瀬村の民家B内]
※クレスに対し、絶大な信頼をおいています。
※高い確率でブレアは偽者だと考えています
※マリアの考察
・自分たちはFD世界から観測できるエターナルスフィアではなく、
別の平行世界の(ED空間から独立した)エターナルスフィアに存在している。
・ルシファーはエターナルスフィアそのものになった(ブレアの言葉から)。
そのため、万物を実現する力を手に入れた
・ルシファーは本来のFD空間におらず、ES内に自分が創造した仮想のFD空間に存在している。
・ルシファーはエターナルスフィアと融合したことに気付いていない。
・ルシファーの居場所さえ特定すれば、フェイト、マリア、ソフィアの能力は重要ではないと考えています。
【ミランダ】[MP残量:10%]
[状態:睡眠中]
[装備:無し]
[道具:時限爆弾@現実、パニックパウダー@RS、荷物一式]
[行動方針:神の御心のままに]
[思考1:……不潔]
[思考2:参加者を一箇所に集め一網打尽にする]
[思考3:クレスとマリアを利用して参加者を集めたい]
[思考4:直接的な行動はなるべく控える]
[現在位置:平瀬村の民家B内]
※ミランダはクレス達を目撃してからしばらく二人をつけていました。
途中で気付かれたものの、しばらくは移動していたので、ルシオ達の潜伏する民家Aと現在ミランダ達のいる民家Bはそれなりの距離があります。
※クレスとマリアが恋人同士だと半ば思っています。
127 名前: ◆O4VWua9pzs 投稿日:2009/02/22(日) 13:52:23 [ zqSEfSHM ]
投下完了しました
色々と問題がありそうなので、指摘がありましたら教えてください
- 12 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/22(日) 15:23:25 ID:rUKFHjD40
- 代理投下、以上です
リロードし忘れて変な事になるわ、スレ容量の計算を見誤るわ、
なんともぐだぐだで穴があったら入りたいです、ご迷惑おかけしました
ついに時空剣士組も考案しだしましたね
そして妙なフラグが立ったぞー!
鈍感男な時空剣士とデレたマリアさんと勘違いミランダさん、それぞれに自重すればいいと思うよw
- 13 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/22(日) 15:35:14 ID:wiUGF9TIO
- 投下及び代理投下乙でしたー!
マリアさんの覚醒に萌えて小っ恥ずかしいやりとりに悶えてと忙しかったぜ……!
ミランダを追い払う時の演技には「ちょwwww」と吹かざるを得なかったw
考察は俺の頭じゃよく理解できなかったぜ!
とりあえずミランダの勘違いが事実になる日が訪れかねないから困るwww
- 14 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/22(日) 16:42:59 ID:GojhYlKm0
- SO4のボーナスボードが壊れたから休憩がてら来てみれば大作きてるわ、スレが埋まってるわでびっくりしたw
◆O4VWua9pzs氏と代理投下の有志達よ乙でした。
よく考えたら現在結成しているパーティーで一番一緒にいる時間が長いのってクレス・マリア組なんだよな。
そりゃフラグの一本やそこら立っていてもおかしくないのに今まで無かったからなw
それと中島の家でイチャついてるんだったら菅野神社まで支給品取りに行ったほうがいいぞw お前らが一番貧弱なんだから。
マリアの考察はオリジナルって事であってます?それとも一部公式資料の引用?
個人的には二次創作だし本編にない設定をつけてしまっても問題ないとは思うけどその辺が問題になりそうって事なのかな?
今ん所主催打倒ルートにはフェ、マリ、ソフィの生存が不可欠っぽい流れだし、この説のおかげでこいつらを殺しやすくなるからいいと思います。
- 15 名前: ◆Zp1p5F0JNw :2009/02/22(日) 21:56:48 ID:IWXQektdO
- 遅れてすいません。
相変わらず規制されてるのでしたらばに作品を投下しておきました。
アーチェの荷物についてですが、一応クロードから逃げてる途中に落としたって事にしました。
作品に問題が無ければ、94話においてアーチェが荷物を落とした描写を追加しようと思います。
それと、新スレ&新作乙です!
そういえば他作品キャラの恋愛ってこのロワ初だったかも?
二人の会話やミランダの誤解などニヤニヤしながら読ませてもらいましたw
何より鉄パイプ、ロリ巨乳、女お…マリアさんの強靱な生存フラグを弱くしたのもGJ!
これが時空剣士の死亡フラグにならなきゃいいんだが…
- 16 名前:偽者だとばれたら負けかなと思ってる (代理:2009/02/22(日) 22:11:19 ID:rUKFHjD40
- よーし、代理投下やっちゃうよ!
-----------------------------------------------------------
「…ん?」
森林を抜け、F-3とF-4の丁度協会付近の街道に出た所にそれはあった。
「これは…デイパックですよね?」
道の真ん中に落ちていたのは、参加者全員に配られていたデイパック。
しかし周辺には持ち主と思われる参加者はおろか、遺体も見当たらない。
「誰かが捨てていったんでしょうか?」
「それにしては妙ですね。中には幾つか道具が入っていますし、多少消費しているとはいえ食料品も入っています。捨てていくなら、中身は全部持っていくと思うのですが」
「う〜ん、そうですよね」
中に入っていたアイテムは拡声器とボーリング玉。
確かに武器とは言えないし使い所には困るアイテムだが、このデイパックがある限りは別に持ち運びには困らない。
何より食料品という貴重な消耗品に手を付けていないのが不自然だ。
「まあ危ない物は入ってないし、取り合えずもらって行きましょうか」
「それなら、それはブレアさんが持っていて下さい。包丁だけでは万全とは言い難いですし、何か役に立つかもしれません」
「そ、そうですね」
自分で持っていこうとは言ったが、正直拡声器やボーリング玉如きが一役に立つとは思えなかった。
それに意味も無く支給品を放置している辺りどうも怪しい。
これは罠であり、荷物を拾っていく参加者を狙うために、食料に毒が仕込んであったりする可能性も考えられる。
適当な毒見役も探さなければ。
そしてデイパックを回収した二人が再び歩き始めた時、三回目の放送が始まった。
「ククク…ご機嫌いかがかな、諸君?
今放送を聞いている者は、このゲームの一日目を無事乗り切ったという事になるな。おめでとう。
二日目も、これまで以上に殺戮に励んで頑張って生き延びて貰いたい。期待しているぞ。
また放送の最後には、一つ朗報を発表してやろう。ありがたく思うがいい。
では、恒例の死亡者の発表から行おう…」
耳障りなルシファーの声は嫌でも耳に入ってくる。
クロードは死亡者の中に知り合いがいない事を祈りながら、放送に耳を傾けた。
だがその祈りは叶うことはなかった。
- 17 名前:代理投下:2009/02/22(日) 22:14:26 ID:rUKFHjD40
- 『チサト・マディソン』
助けたかった仲間の名前。
救えなかった。間に合わなかった。とうとう誤解を解く事はできなかった。
アシュトンの名前が呼ばれてないという事から考えるに、彼がホテルに着いた時には全て終わっていたのだろう。
チサトさんは最後まで僕が殺し合いに乗ったと思いながら逝ってしまったんだろうか。
そう思うと悲しかった。
『ジャック・ラッセル』
この島に連れて来られて初めてまともに会話した少年。
ちょっと軽そうな所が目立ったが、悪い奴では無かった。あのまま一緒に行動していれば信頼し合える友人になれたと思う。
目の前で死んでしまったジャックの名前が呼ばれているのだから、今更だけど名前を呼ばれた人は本当に死んでしまったんだろうな。
セリーヌさんやオペラさん、ノエルさんも…。
『アーチェ・クライン』
僕が不用意に剣を抜いてしまったせいで、怯えさせてしまった少女の名。
そうか…彼女も死んでしまったのか。
あの時僕がもっと冷静でいられれば、ジャックもアーチェも死なせずにすんだかもしれない。
ごめん、二人とも…。
『ディアス・フラック』
まさか。まさかディアスまで死んでしまうなんて。
僕なんかよりずっと強いあのディアスが。…いや、ここにはあの十賢者だって連れてこられている。
彼らともし一対一で戦えば、彼とて勝つのは難しいだろう。
『リドリー・ティンバーレイク』
ジャックが探していたという少女。本人は否定していたがどう考えてもジャックの恋人、もしくは想いを寄せている人だった。
直接面識があるわけでは無い。だがジャックが大切にしている人なら、彼の分まで彼女を守りたかった。
せめて天国では、ジャックと二人で幸せに暮らして欲しい。
「クロードさん」
放送終了後、俯いたままのクロードにブレアが問いかける。
「知り合いの方がいらしゃったのですか?」
「ええ、まあ…」
随分と落ち込んだ様子だ。
死亡者の内、確かクロードと元々仲間だったのはチサト・マディソンとディアス・フラックの二人だったはず。
それに加え先程の話を聞くに、アーチェやジャックとも会っている。
結構な数の知り合いの名が呼ばれているのだ。
「でも…」
そう呟いてクロードが立ち上がる。
(レナはまだ生きている)
拳を強く握り締めて、「世界と同じ名を冠する剣」エターナルスフィアを持つ。
(それならディアスの分まで、レナを守ればいい。レナだけじゃない。プリシスやアシュトン達、それに他の人達も…!)
仲間を失った苦しみには耐えられた。立ち止まっている暇は無い。
- 18 名前:代理投下:2009/02/22(日) 22:17:26 ID:rUKFHjD40
- 「僕は大丈夫です。ミカエルやガブリエルも倒れたようだし、多少は危険も減ったと思います。
それよりも、早くレザードって奴を倒さなければなりません。急ぎましょう」
言ってクロードは歩き出す。
その様子を見て、ブレアは小さく舌打ちした。
(できるならこの時点でマーダーに誘導してやりたかったけどね…)
『共に戦った仲間』如きでは彼を殺し合いに乗せるには弱かったらしい。
やはりレナのように恋人レベルで無いと難しかったか。
まあ、いい。クロードにはレザードを倒してもらわないと困る。マーダーに仕立てるのはその後でも遅くは無い。
(それにしても、ガウェイン・ロートシルトも死んでしまったようね)
レザードをマーダーだという噂を広めるよう言っておいた男。その後すぐ退場するとは、使えない奴だ。
せめてレザードに重症を与えてから死んでいればいいのだが。
放送後クロードの進む速度はかなり速くなっていた。
ブレアの目から見ても、明らかに焦っているのが分かる。
(もう生き残ってる人は、22人しかいない…!)
ゲーム開始から一日が経ち、参加者は既に半分は愚か1/3にまで減ってしまっている。自身の知り合いだって、十賢者以外にも半分近く死亡した。
このままのペースで殺し合いが続けば、明日にはゲーム完遂という事にもなりかねない。
それだけは何としても避けなければ。
(この状況で、僕ができる事は…)
首輪の解除。主催者の打倒。この島からの脱出。ゲームを打破する為に必要な事項は多い。
プリシスのような機械技術も無いし、レオンのように頭の回転がずば抜けて速い訳では無い。ブレアのように主催者に関する情報も持っていない。
そんな自分に出来る事といえば、殺し合いに乗る者―――マーダーを撃破し、他の参加者を守る事だ。
だからまずは、凶悪なマーダーだというレザードを倒す。
その一心がクロードの足を動かしていた。
- 19 名前:代理投下:2009/02/22(日) 22:20:14 ID:rUKFHjD40
- しかし半日気絶していたとはいえ体中に傷を負い、ここまで移動しっ放しのクロードにも着実に疲労が蓄積されていく。
段々と汗の量は多くなり、歩みも遅くなっていった。
「クロードさん…無理は禁物ですよ」
その様子を見て、ブレアがクロードの肩を叩いた。
「随分と急いでいるようですが、少々疲れているのでは無いですか?」
「そんな、僕は大丈夫ですよ」
疲れているのは事実だが、いても立ってもいられない。
アシュトンとの約束もある。何とか無理を押して鎌石村へ向かおうとするクロードだが。
「クロードさん。レザードという男はかなりの強さを持った男です。戦ったとしても苦戦が予想されます。
ましてベストでは無い状態では勝率はさらに低くなるでしょう。闇雲に向かうよりは、体を休めた方が懸命です」
「………」
言われて見ればその通りではある。
コンディションの悪い状態で戦いに挑むのは愚策もいいところだ。
冒険をしていた時も毒に犯されたりした場合はすかさず回復し、治った後で戦いに挑むよう心がけていた。
だからブレアの言う事が正しいのは分かるのだが…。
「しかし、僕が休んでいる間に、またレザードが誰かを襲うかもしれませんし」
「大丈夫ですよ。今は夜ですし、レザードや他の参加者も動くのは控えるでしょう。その間に私達も体調を整えておくべきです」
「うーん…」
クロードは言葉に詰まる。やはり今の内に少し休んでおくべきか?
確かに今の自分は身体的にも精神的にもベストとは言い難い。こんな状態では自分の本来の力の半分も出せないだろう。
レザードの強さは分からない。だがミカエルやガブリエルが倒されている事を考えると、レザードも十賢者並みに強い可能性もある。
レザード以外にも十賢者クラスの力を持つ奴がいるかもしれない。
最悪、そいつらと一対一で戦わなければならないかもしれない。
そういった事を考えると、やはり少し休んだ方がいい気がしてきた。
森の中で休むのもやや不安だが、エネミーサーチもあるし大丈夫だろう。
道を少し外れて森に入り、周辺の木に比べ一際太い幹の近くに二人は腰を落ち着けた。
「ブレアさんは休まなくても大丈夫なんですか?」
既に幹にもたれかかり寝る体勢に入っていたクロードは、立ったままのブレアを見やる。
「二人共眠るのはさすがに無用心ですからね。私はさほど疲れてはいませんし、周辺を見張っています」
「しかし…」
「何かあったらすぐ起こしますから、心配しないで下さい。このエネミーサーチがあれば気炎もすぐに察知できるでしょうし」
クロードから渡されたエネミーサーチを見せながら、ブレアは笑顔で答えた。
「ですからクロードさんはゆっくり休んで下さい。これからの為にも」
「…分かりました。ではすいませんが、少し休ませてもらいます」
言って、クロードは目を閉じる。余程疲れていたのだろう、数分もしない内に寝息が聞こえてきた
- 20 名前:代理投下:2009/02/22(日) 22:23:17 ID:rUKFHjD40
- クロードが寝静まった後、ブレアはその周辺の見回りを開始した。
一応しばらくはクロードを駒として残しておきたいし、できる事なら味方も増やしたい。
正直な話、クロード1人でレザードを倒せるとは思っていない。
自分も加われば分からないが、できれば自分は非戦闘員として振舞っていたかった。その方が色々と動きやすい。
(この後はこのまま道を北上して鎌石村へ向かうのが妥当だけど…戦力がやや不安ね)
途中にあるホテルで少しでも戦力を補充できれば良いが。
そんな事を考えながら街道に戻ってみたが、エネミーサーチにも反応は無く、参加者は特に見当たらない。
(異常は無い様ね)
そう言えば、先の放送では支給品を新たに配布するとの発表があった。
場所的には、ここからだとE-2の菅原神社が近い。
(しかしクロードには十分な装備と武器があるし、私には特に武器は不要。あまり行く意味はなさそうだけど…)
だがそれを目当てに参加者が集まってくる可能性もある。行けば駒を増やすチャンスになるかもしれない。
(まあ、頭の片隅に入れておく位は…)
そこでブレアは一時的に思考を中断した。
背後の木々の間から物音がする。
(誰か…来る?)
葉を踏みつけるような音が聞こえてくる。
エネミーサーチに反応は無い。敵意が無いのか、まだこちらに気付いていないのか。
すかさず付近の木の影に身を隠し、様子を伺う。
「そっちも気付いているんだろ?出ておいでよ。こっちに敵意は無いよ?」
男の声がする。やがて森の中から、褐色肌の男が姿を現した。
(あれは…確か、ロキという男…)
知略に長け、かつ戦闘力も優れた参加者。性格も掴み所が無く、殺し合いに乗るかどうかは五分五分といったところ。
要注意人物の一角にも挙げられていた。
(どうする…?)
エネミーサーチの反応は未だ無い。少なくとも、こちらを襲う気は無いようだ。
しかし一筋縄ではいかない男だ。敵意は無いにしろ、何かを企んでいるかもしれない。
味方につける事ができれば、対レザードの戦力としては申し分無いのだが。
ブレアがロキの前に姿を現す。
月夜に照らされたロキの笑顔はとてつもなく不気味だった。
…何故なら、その顔面は痛ましい程の傷を負っていたから。
「ああ、ちょっと前に厄介な奴の相手をしてね。命からがら逃げてきたけどこのザマさ」
自嘲気味に笑うロキは、まだ痛むのか顎の辺りを頻りに抑えている。
「それは災難でしたね」
ブレアが返す。
簡単に一言二言会話を交わすが、どうやらロキはゲームには乗らずに主催を倒す事を目標としているようだ。
さて、ここからが問題だ。
この男をいかにして味方に付けるか。
プライドの高そうな男だ。それに、素直に「皆で協力して主催者を倒そう!」と言いそうな性格でも無い。
(そんな男を味方に付けるには…)
やはり『主催者の妹』というカードを使うしかないだろう。
そう名乗れば、脱出を目指す者にとって自分は重要なキーマンになる事ができる。
いくらロキといえど、無視できない存在になるだろう。
- 21 名前:代理投下:2009/02/22(日) 22:26:22 ID:rUKFHjD40
- 「なるほど、あのルシファーの妹、ねぇ」
ブレアは、自分がルシファーの妹である事、エターナルスフィアの事などを簡潔に説明した。
聞けば先程フェイト・ラインゴッドと遭遇し、ある程度の話を聞いているとの事。
突拍子も無い話を信じるかが問題だったが、これなら大方の事は信じてもらえるだろうと全て真実を話した。
「でも本当に信じられない話だよねぇ。創造主とかさ」
「それでも、私の話した事は全て本当なんです。どうか信じて下さい」
「ふん、まあフェイトも同じ事を言ってたしね。あまり信じたくはないけどね」
多少は信じてもらえたようだ。
後は情報を提供する代わりに、レザードの討伐を手伝わせなければ。
「ふ〜ん、レザードがね。確かにあいつならゲームに乗るだろうな」
「では、手伝って頂けるのですか?」
ロキは納得した様子だった。これなら味方に付ける事ができるかもしれない。
「でも、返事はNO!」
「な…!?」
腕でバッテンを作って答えるロキ。
「あいにくレザードなんて相手にしてる暇は無いんだよね。悪いけど、今忙しいから」
「忙しいって…」
「そういう訳で、この話は終わり。それじゃーね」
踵を返して背を向けるロキ。
「ま、待って…!」
ブレアは舌打ちする。
こんな展開は想像していなかった。脱出を目指す者なら、自分を仲間にしないという選択しなど存在しないと思っていた。
(くそ、プログラムの分際で、私に逆らって!!)
先程から思考に介入してくるノイズ。それがブレアをたまらなく苛立たせる。
自分も相手も所詮ルシファーの作り物に過ぎない。
それなら作り物同士でも、ルシファーに直接命令を下されている自分のほうが優れているはずなのだ。
何としてもロキを屈服させないと気は済みそうに無い。
(ここまで話したのだから、嫌でも協力してもらうわよ)
バッグからパラライズボルトを取り出しす。
無防備に背後を晒すロキに向かって、ブレアが右手に持ったパラライズボルトを押し当て――
「見え見えなんだよ、バーカ」
- 22 名前:代理投下:2009/02/22(日) 22:29:28 ID:rUKFHjD40
- それは一瞬。まるでブレアが攻撃するのを分かっていたかのようだった。
ブレアがパラライズボルトを押し当てる直前、振り向いたロキがブレアの右腕を掴んでいたのだ。
「なっ…!?」
予想外のロキの行動に僅かだが隙を見せてしまうブレア。僅かに腕の力が緩んだのをロキは見逃さない。
素早くパラライズボルトを奪い取り、ブレアの腹部に押し付けた。
「あああぁっ!」
全身に痺れが走る。手足の自由を奪われたブレアが地面に倒れた。辛うじて口を動かす事だけができた。
「な、何故…」
「少し考えれば分かるさ。お前がゲームに乗ってる事くらいはね」
「なん…だと…?」
倒れ伏すブレアに向かい、ロキは心底楽しそうな笑顔で話を続けた。
「エターナルスフィアだのFD界だのってのは、むかつくけど真実なんだろうね。フェイトも同じ事を言っていたし。
でもおかしいだろ?お前は主催者やFD界の知識や技術を持ちすぎている。実際、前はブレアがフェイトたちを支援したせいで負けたんだろ?
ゲームに乗りそうも無い。むしろゲームを打破するきっかけになる危険性がある」
ブレアからの返事は無いが、ロキは構わず続ける。
「そんな奴を参加者にして何のメリットがある?どう考えてもデメリットしかないんだよ。…『本物』のブレアならね」
ロキがそう言った時、ブレアの表情が明らかに変わった。
「ん?図星かな?まあ少なくともお前は『フェイト達を助けたブレア』とは別人だと思うよ。本物だとしても操られているか…。
そうなればメリットも見えてくる。『フェイト達を助けたブレア』として参加していれば参加者を油断させる事が出来る。
裏で色々やって混乱させたりすれば、争いの火種を撒けるしね。
だから俺は最初から分かってたのさ。お前はゲームに乗っている、ってね」
勝ち誇ったようにブレアを見下ろすロキ。ブレアは怒りの表情で睨み返すが彼は全く動じない。
「えーと持ち物は、何々、パラライズボルト?スタンガンと同じような物か。それと…包丁。こっちには何が入ってるんだ?」
ブレアが落としたバッグを拾い、中身を物色する。
「鉄球と…ん?これは何だ?カクセイキ?なるほどなるほど…声や音を大きくして周辺に流す、ね」
バッグから拡声器を取り出したロキは、「あーテステス」などとマイク部分に向かって囁く。
スピーカーから出た自分の声を聞き、満足そうに頷いた。
「面白そうな物を持ってるじゃないか。使ってみようかな?」
「何をするつもり…?」
「そうだな?『ブレアは偽者だ!ゲームに乗っているぞ!信用するな!』とか叫んでみようか?」
「何ですって…!?」
「そしたらどうなるかな?その辺にいる参加者にはこの声が聞こえるだろうね。そしてお前への警戒心が生まれる…。
そういえば近く仲間がいるんだっけ?そいつに聞こえたらどうなるかな…?
きっと逃げ出して、この事を他の参加者に言うだろうね。そしたらお前はかなり動きにくくなるし、信用も失う…」
「……!」
もう何度目になるか分からない舌打ちをするブレア。
そんな事をされたら、もし他の参加者に聞かれれば非常にまずい事態になる。
もしロキが言うような事を聞かれても全て鵜呑みにする参加者はほとんどいないとは思う。
しかし多かれ少なかれ警戒心を抱かれるだろう。
何より近くにはクロードがいる。せっかく手に入れた駒を失うような事は避けたい。
さらに悪い展開としては、正義に燃える参加者が集まってきて拘束される危険もある。
「く…このクソガキが…!」
思わず感情が言葉が出た。
「ん?クソだって…?空耳かな?主導権を握っている者に対しての言葉とは思えないような単語が聞こた気がするけど…悪いけどもう一回言ってくれないかい?」
それですら余裕で返すロキ。
ブレアの怒りが最高潮に達する。
自分より格下の相手…いや、格下でなければならない相手に主導権を握られているというこの状態。
頭の中がノイズで溢れていくのを必死に押さえ込んだ。
- 23 名前:代理投下:2009/02/22(日) 22:32:51 ID:rUKFHjD40
- 「要求は何…?」
「そうだなあ。ルシファーの事もあるけど…取りあえず、お手伝いをしてもらおうかな?」
「手伝い…?」
「そ。お前がレザードを倒そうとしてたみたいに、俺も倒さないといけない奴がいてね」
ロキの頭に、先程の戦闘が浮かぶ。
正体不明のハゲ男…最初は誰だか分からなかったが、最後に喰らった技を見て正体が分かった。
あの息も吐かせないほどの連続攻撃…あれは『ブラッディカリス』――不死王ブラムスの奥義に他ならない。
フェイト達の救援にブラムスが来るのは計算外だった。
ブラムスは本来なら味方に付けておかなければならない人物。しかしあの一件で、向こうからは危険人物と認識されてしまっただろう。
だがロキとしては、ブラムスは何とかして味方に付けておきたい。
自分をフルボッコにした相手と組むのは非常に不本意だが、それを押し殺してでも味方にしておく価値と強さがブラムスにはあるのだ。
(それには、もう一回ブラムスと接触する必要があるからね)
しかし邪魔になるのがフェイト、エルネスト、クラースの三人。
彼からはほぼ確実にゲームに乗っている連中と同等に扱われているだろう。
ブラムスは所詮、話でしか自分がした事を聞いていない。説得は可能だと思う。
フェイトに対しては拷問まがいの事をしようとしたが、お人よしそうだし警戒されながらも説得はできる。
問題は残りの二人だ。あいつらは何があっても自分を信用しようとはしないだろう。
要するに邪魔なので殺しておきたい。
ブラムスから逃げた後、そうする為の作戦を練っていたところでブレアを発見、現在に至る…というわけだ。
ロキの作戦はこうだ。
まずブレアをフェイト達に接触させて、仲間としてパーティーに加えさせる。
主催者の妹な上、『本物のブレア』を知っているフェイトならすんなり仲間に加えるだろう。
そこで不意打ちでクラースとエルネストを殺害。その後で今度は自分が接触すればいい。
「どうだ?簡単だろ?」
協力してくれればブレアの事をバラすような事はしない、とロキは付け加える。
「お前は殺し合いに乗っているんだろ?一応参加者は減るし悪い条件じゃないと思うぞ?勿論、手伝いが済んだ後は自由にしていいさ。俺を殺しにかかってもね」
ロキはあくまで『お手伝い』と言うが、これはほぼ脅迫だった。
事実ロキはそう言いながらも、左手には拡声器、右手にはグーングニルを持ってブレアの眼前に先端を置いている。
「くそ、貴様如きの命令なんて…!」
「あれあれ?そんな事言っていいんですか?使いますよ、拡声器」
「おのれぇぇぇ…!」
青筋が顔に現れる。思えばここまで怒りを抱いたのは生まれて初めてかもしれない。
しかし最初から選択肢は一つしか無かった。
断れば拡声器どころでは無い。目の前の槍が体に突き刺される事だろう。
動けない自分にはどうしようもない。いや、例え動けるようになっても、武器を全て奪われている状態では…。
(おのれ、おのれ、おのれぇぇぇぇぇぇぇあqwせdrftgyふじこlpあshだghhkfd!!!!!!!)
- 24 名前:代理投下:2009/02/22(日) 22:36:04 ID:rUKFHjD40
- 「クロードさん、クロードさん」
「ん…むにゃ」
誰かが呼ぶ声がする。意識が朦朧としているが頭を振って無理やり覚醒させ、クロードは目を覚ました。
「少しは疲れ取れましたか?」
「あ、ブレアさん。おはようございま…ん?」
立ち上がったクロードは、ブレアの背後に見慣れない人物がいる事に気付く。
「えっと、後ろの人は?」
「ああ、クロードさんが休んでいる間に出会ったんです。ご心配なく、彼もゲームを止めようとしている方です」
「ロキだ。よろしくね」
「クロード・C・ケニーです。こちらこそよろしく」
ロキと呼ばれた男が手を差し出してくる。クロードもそれに答え、差し出された手を握った。
「早速で申し訳ございませんが…私達はここでクロードさんと別れます」
「ええ?」
思わず素っ頓狂な声を挙げてしまう。
突然別れるなんて一体どういう事だ?しかも今会ったばかりの人間と行ってしまうなんて。
「ど、どうしてまた?」
「実は…先程ロキさんを襲った者がいるらしいのですが…どうも、私の顔見知りらしいのです。私は、その人を止めに行きます」
「だったら僕も」
「いえ。勿論その人も止めなければならないですが、レザードを放っておくわけにもいきません。
ですからクロードさんは、先に鎌石村に向かって下さい。お願いします」
「ブレアの方は俺が案内する。心配ないさ、用が済んだらこっちもすぐ鎌石村へ向かう」
ブレアの表情は真剣そのものだ。
彼女の気持ちは分かる。自分ももし知り合いが殺し合いに乗っていたなら、全て後回しにしてその人を止めに言ってしまうだろう。
ブレアが心配ではあるが、ロキという人も殺し合いには乗っていないようだし、二人なら大丈夫だろう。
こっちは先に村へ向かい、アシュトンらと合流してレザードを倒す為のメンバーを集めておけばいい。
「分かりました。でも気を付けて下さい」
「クロードさんも。お一人で行かせてしまってすいません」
ブレアから返してもらったエネミーサーチを装備すると、クロードは再び走り出した。
アシュトンの誤解を解き、合流する為。
殺し合いに乗っているレザードを倒す為。
知り合いを止めに行くと言う、ブレアやロキと後で合流する為。
それら全てが、偽りであるとも知らず。
「行ったようだね。それじゃこっちも行こうか?」
ロキが言うが、ブレアは答えない。ただ先立って歩き始めただけ。
やれやれと微笑を浮かべその後を歩くロキ。
その手にはパラライズボルトが握られ、ブレアの背中に密着させられていた。
- 25 名前:代理投下:2009/02/22(日) 22:39:35 ID:rUKFHjD40
- 【F-04/深夜】
【クロード・C・ケニー】[MP残量:100%]
[状態:右肩に裂傷(応急処置済み、大分楽になった)背中に浅い裂傷(応急処置済み)、左脇腹に裂傷(多少回復)]
[装備:エターナルスフィア@SO2+エネミー・サーチ@VP、スターガード]
[道具:昂魔の鏡@VP、首輪探知機、荷物一式×2(水残り僅か)]
[行動方針:仲間を探し集めルシファーを倒す]
[思考1:鎌石村へ直行 可能ならばアシュトンとアシュトンの見つけた仲間達に合流する]
[思考2:プリシスを探し、誤解を解いてアシュトンは味方だと分かってもらう。他にもアシュトンを誤解している人間がいたら説得する]
[思考3:レザードを倒す、その為の仲間も集めたい]
[思考4:ブレア、ロキとも鎌石村で合流]
[備考1:昂魔の鏡の効果は、説明書の文字が読めないため知りません]
[備考2:ブレアによって1回目の放送内容を把握しました]
[備考3:ブレアの持ち物は基本的な物以外は万能包丁だけだと思っています]
[現在位置:街道を北上中]
【IMITATIVEブレア】[MP残量:100%]
[状態:体にやや痺れ 激しいノイズ、ロキに対する怒り臨界点突破]
[装備:無し]
[道具:荷物一式]
[行動方針:参加者にできる限り苦痛を与える。優勝はどうでもいい]
[思考1:非常に不本意だがロキに協力 ]
[思考2:レザードがマーダーだと広める ]
[思考3:無差別な殺害はせずに、集団に入り込み内部崩壊や気持ちが揺れてる人間の後押しに重点を置き行動]
[思考4:ロキ殺す。マジでぶっ殺す]
[思考5:レナの死をクロードが知った場合クロードをマーダーに仕立て上げる(その場にいたら)]
[備考1:※ルシオ、ルーファス、クリフの特徴を聞きました。
名前は聞いていませんが、前持って人物情報を聞かされているので特定しています]
[備考2:フェイト達に会うまでは保身を優先し、誤情報を広めるつもりはありません]
[備考3:クロードの持ち物は基本的な物以外エターナルスフィアとスターガードだけだと思っています]
【ロキ】[MP残量:90%]
[状態:自転車マスターLv4(ドリフトをマスター)
顔面に大きな痣&傷多数 顎関節脱臼(やや痛むが何とか修復完了) 神生終了のお知らせ]
[装備:グーングニル3@TOP、パラライズボルト〔単発:麻痺〕〔50〕〔90/100〕@SO3、]
[道具:10フォル@SO、ファルシオン@VP2、空き瓶@RS、スタンガン、ザイル@現実世界、
万能包丁@SO3、拡声器@現実、ボーリング玉@現実、首輪、荷物一式×2]
[行動方針:ゲームの破壊]
[思考1:ブレアを使ってクラース、エルネストを殺害]
[思考2:1を実行後、ブラムスとフェイトを何とかして味方に付ける。出来なかった場合は…?]
[思考3:ブレアは用が済んだら殺しとく]
[思考4:見つけ次第ルシオの殺害]
[思考5:首輪を外す方法を考える]
[思考6:一応ドラゴンオーブを探してみる(有るとは思っていない)]
[思考7:できれば自転車取り返したいなー]
[備考1:顎を直しましたが、後2時間位は長い呪文詠唱などをすると痛みが走るかもしれません]
[備考2:自分をフルボッコにした相手はブラムスと特定しています]
[備考3:レザードは多分殺し合いには乗っていないだろうと予測(マーダーであるブレアが殺したがっているから)]
[現在位置:北部の街道]
- 26 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/22(日) 23:15:05 ID:rUKFHjD40
- 何とかさるさんに邪魔されずに代理投下終了です
それにしても相変わらずクロードは騙され上手でロキが外道過ぎるw
拡声器の呪いは別の意味で発揮されましたか……南無、偽ブレア
それと1点ほど
クロードが一時的にとはいえエネミーサーチを貸し与えたため、
偽ブレアの状態欄の備考3はいらないかもしれません
- 27 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/23(月) 00:16:39 ID:2VXSrGDE0
- 一日に2作もこんな過疎ロワに投下されるなんて思っていただろうかw
相変わらずロキは鬼畜だし、自分より格下だとめっぽう強いなw
ブレアさんはこの後どうなる? まぁ、クロードといるよりはSO3関係の人物と絡めた方が面白そうだわな。
そしてクロードは何をやっているのかと。今回やった事なんてエネミーサーチっていう隠し玉晒して寝てただけだぞw
クレスですら頑張ってんだからもっと頑張れ!
- 28 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/02/23(月) 00:52:22 ID:2VXSrGDE0
- そして誰もこんな短時間でこれ以上投下があるなど思ってもいないハズ。
って事で投下します↓
- 29 名前:鎌石村大乱戦 開幕 〜守りたい者の為に〜:2009/02/23(月) 00:53:54 ID:2VXSrGDE0
- 俺はただ許せなかった。
こんなか弱そうな少女をこんなになるまで痛めつけて殺してしまうなんて…。
弓を取り出す為に地面に横たえた名も知らぬ少女の亡骸は、何故だろう? どこか安堵した様な表情で眠っていた。
今際の際にこの子が掠れた声で呟いた言葉
「ジャック、ジャック…。最後にお前に会えて嬉しいな……。
私、恐かったんだよ……一人は恐かったんだよ……」
「…私はお前と……」
この子とジャックと呼ばれた人物との関係は全く知らない。
それでも、この子のジャックに対する想いは伝わってきた。
死ぬ寸前に出てくる名前だ。きっと、この子にとって大切な人だったんだろう。
そして、最期の言葉は本当に、今にも消えてしまいそうな微かなものだったけど、その言葉はしっかり俺の元に届いていた。
―――共に歩きたかった。
彼女は確かにそう言っていた。この二人の歩む道はどういう訳か、どこかで違えてしまったんだと俺は思う。
それでも、生きていれば…生きてさえいれば、また同じ道を歩む事だって出来た筈なんだ。
こんなところに集められなければ、こんなところで殺されなければきっと…。
だから俺はルシファーを許しはしない! たとえこの身体が朽ちようとあいつに一矢報いてやる。
この子を殺した奴だって同罪だ!
守りたかったモノ、また掴み損なっちまったけど、だからって何もせずにいるなんて俺は嫌だ。
この子の最期を看取った者として、ジャックって奴の代わりに俺がこの子の仇をとる!
それが、俺がこの子にしてやれるせめてもの弔いだから。
- 30 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/23(月) 00:54:24 ID:Xa4L8hQK0
- アッー、何か投下ラッシュがえらい事に\(^o^)/
- 31 名前:鎌石村大乱戦 開幕 〜守りたい者の為に〜:2009/02/23(月) 00:55:47 ID:2VXSrGDE0
- ■□■□■□■□■□■□■□
やれやれ…。
あんなに熱くなっちまって、あの様子だと今度はまた駄々をこねて
「この子の仇を討ちたいんだ! 頼む! 力を貸してくれ!」
なんて言うに決まってる。
まったく、俺の身を隠す絶好の場所だと思ってたんだが、どうもうまく行かないみたいだな。
隣を見やると、アシュトンの奴も呆れて物も言えないって感じの表情でチェスターの奴を見てるしな。
さて、どうしたもんか?
わざわざ危険な所にノコノコと出て行く気なんか無いんだけどな。適当に慰めてさっさと菅の神社を目指したい。
正直こんな女の子を、ここまで穴だらけにして殺してしまう様な奴等とは係わり合いになりたくないってのが本音だしな。
改めてこの少女の亡骸を眺めていると、ふと気になる箇所が目に止まった。
この子の手が、手の甲まで血で真っ赤になっている。
溢れる血を押さえようとしたとしても、手の平が血まみれになるだけで、手の甲までそうはならない。
そう、これはまるでこの子が人体を素手で突き破ったとしか思えない血の痕。
こんなか弱そうな少女がそんな真似出来るのか?
とも思えるが、十賢者の中には子供の容姿をしたサディケルや、ただの爺さんにしか見えないカマエルってのもいたからな。
見た目だけで判断するのも良くないな。
さて、ここで一つ仮説を立ててみよう。
この女の子は実はゲームに乗っていて、誰かを襲撃し、その戦闘の末この様な状態になったのだとしたら…。
戦った相手も無事には済んでいまい。
つまり、そいつらの支給品を奪うチャンスって事だ。
率先して他の参加者から支給品を奪うってのは、殺し合いに乗っていないというポーズをとっている以上今は出来ない。
だが、この子の仇を取ろうって流れなら、ゲームに乗ってるなんてこいつらには思われないだろう。
それに正直手持ちのアイテムはまだ心細い。
仮にこの子を殺した奴等が元気でも、チェスターやアシュトンを囮にして逃げる事も出来る。
リターンとリスクを考えればリターンの方がでかい。
「なぁ、アシュトン、ボーマンさん…」
ほれ来た。だが、それは俺の望んだ流れでもある。
「あぁ、皆まで言うな。俺もこの子を殺した奴等が許せない。仇を取ってやろう」
「ボーマンさん…」
チェスターの奴め、涙が出るほど嬉しいか。
アシュトンの方は俺の答えに更に唖然としちまっているが、
このパーティーでの意見は決まった様なもんだ、こいつも付いて来ざるを得まい。
- 32 名前:鎌石村大乱戦 開幕 〜守りたい者の為に〜:2009/02/23(月) 00:58:11 ID:2VXSrGDE0
- ■□■□■□■□■□■□■□
はぁ〜。僕って本当についてない。
てっきり堅実派なボーマンさんは、チェスターの提案を却下してくれると思ったのに。
「アシュトンも来るよな?」
「…」
僕としてはこんな女の子の事なんて放って置いて、早く菅原神社に行きたいんだけどな。
でもそう言った所で僕の意見なんか聞いてくれないんだろうし…。
それに、よく考えたら前の放送から今までの間に新しい首輪を手に入れてなかったんだ。
そう考えると、この子を殺した奴らの所に行くのも悪くない気がしてきたなぁ。
「わかりました。行きましょう」
そうだ、プリシスの一番になるにはもっともっと首輪を集めないといけないんだよな、多少の嫌な事は我慢しなくちゃ。
結局僕達はこの子の仇討ちをすべく北東を目指した。
理由は簡単だ。あの子の血の痕が点々とそっちの方角に続いているからだ。
間違いなくこの先に女の子を殺した奴らがいる。
歩き出してしばらくたってから放送の時間が来た。
「ククク…ご機嫌いかがかな、諸君?
そんな風に始まった第3回目の放送。
目下僕の関心はプリシスとクロードの安否だけ。
14名の名前が呼ばれる中どうやら二人とも無事でいてくれたみたいだ。
その事にギョロとウルルンも安堵の息を漏らしている。
やっぱり僕達は一心同体なんだね、この二人も僕と同じ様にクロードとプリシスの無事を喜んでくれている。
これからもよろしくね。僕達三人が揃えばどんな辛い事だってきっと乗り越えられるんだから。
■□■□■□■□■□■□■□
(やはりうまくはいかないか…)
放送を聴きながらギョロは溜め息を漏らした。
(運よく今回の放送でプリシスの死が知らされたのなら、
うまい事アシュトンを誘導して再度狂戦士に戻ってもらおうとしたのだが…。
今アシュトンの奴は、プリシスと生き残る事が出来たなら自ら命を絶つつもりでいる。
誰かの為に命を捧げる。確かに話として聞けば美談として語られる事であろう。
アシュトンとしても愛する者の為に死ねるのならば満足だろうさ。だが、それでは俺は困るのだ。
別に俺はプリシスの為に死んでやるつもりなど毛頭も無いのだからな。
幸いこいつらは見ず知らずの女の為に戦うつもりらしい。
ここで時間を浪費してくれれば、その間にプリシスが死亡してくれる可能性も上がるというもの。
だが、こいつらの仇討ちとやらが終わったのなら手を打たねばならないな…さて、どうしたものか)
アシュトンとプリシスの再会を何としても阻みたいギョロは策を練り始めた。
■□■□■□■□■□■□■□
(ちっ、意外としぶといな)
犠牲者の名前の中にクロード、プリシスの名前が無い事にウルルンも溜め息を漏らした。
(少し寄り道をするみたいだが、約束の場所まで残り僅かだ。
この寄り道の間に死んでくれていればいいのだが…。いや、希望的観測はよそう。
奴等はそれなりに腕が立つ。それはアシュトンと共にあいつらと戦ってきた俺も良く知っている。
人間にしては見所のある奴らだったが…。仕方が無い。我等の前に立ちはだかるのなら…)
ほの暗い殺意を胸にウルルンは放送の続きに耳を傾けた。
- 33 名前:鎌石村大乱戦 開幕 〜守りたい者の為に〜:2009/02/23(月) 01:00:10 ID:2VXSrGDE0
- ■□■□■□■□■□■□■□
放送を聴きながら俺は舌打ちを漏らした。
(くそっ、さっきまでの目的地に支給品の配布だと? 聞いてねえぞ。
まったくこんな事ならチェスターの言う事を蹴っておくんだったな。
だが今更やっぱやめようぜってのが通じる状況でもないしな…)
ふと隣を見ていれば怒りに打ち震えるチェスターの姿が、
そして逆の方向を向けばどこか安心した様子のアシュトンが立っている。
「くそっ、ジャックって奴も…」
なんてチェスターが呟いている。誰だよ? ジャックって。
(まぁ、いい。こうなったら是が非でもあの女の子を殺した連中から支給品を巻き上げてやる)
「絶対あの子の仇を取ってやろうぜ! ボーマンさん! アシュトン!」
(はいはい、わかったわかった。まったく、クロードを憎んでいたかと思えば今度はあの子の仇ってか?
本当に忙しい奴だな。まぁ、アシュトンみたいに非協力的なのよりはいいか。
派手に動いてくれた方が協力するにしても逃げるにしても動きやすいからな。せいぜい張り切ってくれ)
地図に禁止エリアとその時間を書きつつ、支給品の置かれる場所にも一応丸をつけておいた。
この禁止エリアの配置だと、役場の方の支給品の回収は微妙なラインだな。
C−5とD−4が禁止エリアだが、D−5からC−4に移動さえ出来れば回収出来そうなんだが…。
禁止エリアに足を踏み入れた瞬間ドカンの可能性だってある以上自分で試すのは躊躇われる。
それとなくチェスターにでも入ってもらって、安全が確認できたら役場の方は行ってみるか。
- 34 名前:鎌石村大乱戦 開幕 〜守りたい者の為に〜:2009/02/23(月) 01:02:38 ID:2VXSrGDE0
- ■□■□■□■□■□■□■□
二人の男が横たわるその脇で一人の少女が佇んでいる。
彼女の名前はソフィア・エスティード。彼女は今、泣き腫らした瞳で夜空を唯々見上げていた。
そんな彼女の瞳に忘れ得もしない男の姿が、月明かりを遮る様に闇夜に出現する。
「ルシファー…」
少女はその男の名を口にするとその目を伏せた。
これから始まるのは6時間前より今までの間に死んでしまった人間の名が呼ばれる言わば定時報告。
その中に確実に含まれているであろう青年の事を思い出し、その目を伏せたのだった。
頑張ると、強くなると誓ったのに、それでも涙が零れそうになる。
案の定呼ばれた青年の名前。あれほど涙を流し、とうに枯れ果ててしまったと思っていたのに再び流れ落ちてしまう。
加えて呼ばれてしまった者の名の中にミラージュ・コーストの名もあった。
とても気が利く人で、一緒に戦った女性陣の中でお姉さん的な存在の優しい人だった。
そして、傍らで眠るクリフの大切なかけがえの無いパートナーでもあった人。
今彼は眠っている。いずれ知らせなければならない彼女の死の事を思うと目の前が真っ暗になる。
それでも彼女は絶望したりしなかった。
何故ならば、彼女は約束をしたから。
諦めたりはしないと、幾度となく自分を守ってくれた青年に誓ったから。
その誓いの証ともいえる、首にかかる指輪を通したネックレスを強く握り締める。
弱気になり始めた心に勇気の灯がともるのが感じられる。
少女は変わりつつあった、守られるだけの自分から。泣いてるだけで何もできなかった自分から。
だから彼女は立ち上がる。
武器を持ってこちらに迫って来る3人の男達の前に立ちはだかる。
守られてばかりいた姫君が、今初めて自分の意志だけで杖を取る。守りたい者たちへの想いと共に。
- 35 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/23(月) 01:02:49 ID:Xa4L8hQK0
- 寝る前の支援!
ちとこれ以上は厳しいので誰か頼んだ……
- 36 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/23(月) 01:03:40 ID:ontFWx5w0
- ちょwwwクロード組の読んでる間に投下きとるwwww
支援
- 37 名前:鎌石村大乱戦 開幕 〜守りたい者の為に〜:2009/02/23(月) 01:06:07 ID:2VXSrGDE0
- ■□■□■□■□■□■□■□
「ひでぇ…」
少女の血の痕を頼りに歩いていたチェスターは、目の前に広がる光景を見てそう漏らすしかなかった。
その一角は完全なる焦土となっていた。
所々に大地に刻まれた、抉る様な傷跡と、なぎ倒された木々は、どこか失われた故郷の最期の姿に似ている。
その焦土の先に人影が見える。
一人は自分と同じ位の歳の少女。そしてその傍らには傷だらけの衣服を纏い横たわる二人の男の姿。
(間違いないあいつらだ…! あいつらがあの子を!)
弓を握る手に自然と力がこもる。矢筒から取り出した矢を装填し、その人影へと歩み寄る。
もう少しで射程内に入ろうかという所で、俺達の行く手を遮る様に少女が言葉を放った。
「止まって下さい。私は今この人達の治療をしています。殺し合いに乗っていないのなら、
武器を収めて手を貸してくれませんか? もし殺し合いに乗っているのなら…」
(そうか、この子は偶々この場に来てしまって傷だらけの男達を見つけて介抱してたんだな)
「君! そいつらから離れるんだ! 俺達はゲームになんか乗ってない! 乗っているのはそこの二人だ!!」
「なっ、何を…?」
「俺達は見たんだ。あっちの方で全身血塗れになった、金髪を左右二つに分けてる女の子を!
俺達はその子をあんな殺し方をした奴らをやっつけてやろうと」
俺が目の前で死んでしまった子の容姿を口にすると、この女の子は小さく息を呑み一歩後ずさった。
その瞳には怯えの色が映っている。
「だからそこを退いてくれ! 抵抗できない奴を殺すのは気が進まないけど、
それ以上にあの子をあんな目に合わせたこいつらが俺は憎い!」
「退きません! この人達は…私が守ります! 殺し合いに乗っていないと言うのなら、せめて私達を放っておいて下さい!」
(どうしてだ? 何でこの子はこいつらの肩を持つんだ?)
どうやってこの子を退かそうかと思案していた俺の横からアシュトンが一歩前に出て、苛立たしげに口を開いた。
「うるさいな、君。退いてって言っているのが判らないのかな? それとも、その人達の仲間なの?」
「そうです! この人達は私の事を何度も守ってくれた大切な人達ですっ! そして、私が守らなくちゃいけない大切な人達なんです!」
(なんだって? 俺はてっきりこの女の子とこいつらは無関係だと思っていたのに…、という事はそれって…)
「そう…。じゃあもう一個質問。さっきチェスターが言っていた女の子を殺したのは君達?」
「…。はい。私達はその子と戦いました…。そして、その戦いでこの二人はこんなにも傷ついてしまった…」
「聞いたかい? チェスター? あの子を殺したのは彼女達なんだって…」
「うそだろ? 君みたいな子がどうして!?」
だってそうだろ? 気丈に武器を持って俺たちと対峙しているけど怯えているじゃないか。
必死に叫ぶその声が微かに震えているじゃないか。
それなのにこの子がさっきの子を?
「もういいだろチェスター? 僕達はさっきの女の子の仇を取りに来たんだよね。
そして、目の前にその仇がいる。戦うには十分な理由じゃないかな?」
その言葉を聞いて、目の前の女の子はまた一歩後ずさる。
怯えた表情をこちらに向けるが、首にかけたネックレスを握り締めると意志を宿した澄んだ瞳でこちらを睨み返してきた。
「待ってくれ! アシュトン!」
そんな少女に向かって歩み始めたアシュトンの肩を掴む俺。
不愉快そうな表情のアシュトンが振り返って睨みつけてくる。
あまりにも冷たいその眼差しに、思わず気押されて息を呑んでしまう。
その手を横からボーマンさんが退ける。
「チェスター、思い出せ。あの子の死に様を。あんな惨たらしい殺し方をするなんて尋常じゃない。
あいつらはあの子を含めてここで殺すべきなんだ!」
「でも…でも!」
「別に君が手を出さないならいいよ…。僕がやるから」
そう言って飛び出したアシュトンの肩を再度掴もうとした俺の手は空を切った。
- 38 名前:鎌石村大乱戦 開幕 〜守りたい者の為に〜:2009/02/23(月) 01:09:08 ID:2VXSrGDE0
- ■□■□■□■□■□■□■□
(来たっ!)
今にも逃げ出してしまいたい弱い自分を押し殺し、迫りくる双龍を背負った青年に牽制の紋章術を放つ。
本来なら術師が一人で剣士に抵抗するのは困難である。
無防備な詠唱時間の間フォローしてくれる仲間がいて初めて戦えるのが術師だ。
だが、ソフィアの生きる時代では、いくつかの紋章術は普段よりも莫大な精神力を消費する事で、
その詠唱を破棄して術を行使できるようになっていた。
放った『ファイヤーボール』が青年の行く手を遮るべく飛来する。
迫る火の玉をバックステップで交わし、それでも自分に追尾してくる火の玉を切り落とすと彼は煩わしげに呟いた。
「何? 邪魔する気? だったら君から殺すよ?」
(怖い、逃げたい)
金龍クェーサーのそれに勝るとも劣らない、剥き出しの刃を思わせる殺気を向けられソフィアはそう思った。
それでも彼女は逃げなかった、自分の後ろにはずっと守ってくれた人達がいる。
ここで逃げ出してしまえばこの人達の死を意味してしまう。
「ギョロ!」
青年が背負った龍を嗾ける。彼の背中にいる赤い方の龍は、その口から体の色と同じ紅蓮の炎を放った。
避ける事も出来たが背後には彼らがいる。だからソフィアはその炎を真っ向から打ち落とした。
『イフリートソード』
またも詠唱を破棄して放った紋章術は炎の魔人を召喚する『イフリートソード』
呼び出した炎の魔人は手にした大剣でギョロのブレスをかき消すと、返す剣を上段にアシュトンに迫る。
その一撃を手にした剣に紋章力を込めて受け止めたアシュトンだったが、重たい一撃に吹き飛ばされてしまった。
「くぅ! 炎の威力は彼女の方が上か…。頼んだよウルルン!」
着地した体勢のままもう一匹の龍に語りかける。
蒼い体皮の龍が全ての動きを止めるかの様な氷結の息を放つ。
放たれた絶対零度のブレスが炎の魔人を氷漬けにしてソフィアに迫った。
『リフレクション』
何とか間に合った防御魔法による障壁と、身につけていた『アクアリング』のおかげで大したダメージは受けなかった。
精々防壁を突き破った氷の粒がソフィアの肩口を掠めて切り傷を作ったぐらいだった。
戦闘経験の乏しいソフィアにとっては十分に痛い傷ではあったが、
今まで戦ってくれたルーファスやクリフの傷を思うと弱音を吐くわけにはいかない。
『レイ』
三度放つ詠唱破棄による紋章術。
本来なら、直ぐにでも精神力が枯渇してしまいそうな勢いで術を行使するソフィアだが、
偶々支給されていた『フェアリィリング』のおかげでまだ戦い続ける余力が残されていた。
彼女の紋章術によって地面に描かれた魔方陣より無数の光線がアシュトンに向かっていく。
その場に踏ん張り紋章力を込めた『アヴクール』でその熱線を可能な限り逸らしていくアシュトン。
捌ききれなかった一筋の光線がアシュトンの脇腹を掠める。
「痛っ、これじゃあ近づけない!」
- 39 名前:鎌石村大乱戦 開幕 〜守りたい者の為に〜:2009/02/23(月) 01:11:58 ID:2VXSrGDE0
- ■□■□■□■□■□■□■□
「苦戦してるじゃないかアシュトン。加勢するぞ」
そう言うと正に疾風の様な速さでアシュトンを横切り、ソフィアに迫るボーマン。
一瞬ボーマンの俊足に驚いたアシュトンだったが、彼が履いている靴を見て納得した。
俊足ウサギとでも言うべき生物バーニィの脚力を宿したその靴は、身につける者に同様の脚力をもたらす代物だ。
『ライトニングブラスト』
迎撃の為に放たれた電撃をその速力を生かし潜り抜ける。拳打の間合いまで詰めたボーマンが拳を振り上げた。
「悪いなお嬢ちゃん。せめて苦しまない様に一撃で!」
反物質を加工して作り出した手甲『エンプレシア』を装着した拳で渾身の力を以って少女にその拳を突き出す。
『プロテクション』
放った『ライトニングブラスト』が回避されるや否や、直ぐに詠唱を開始した呪紋が物理的衝撃を防ぐ障壁を形作る。
ボーマンの放った拳はガキィ!と音を立て紋章力の防護壁によって防がれた。
「か、堅え!」
その強固さに思わずそう漏らしてしまうボーマン。
『グロース』
このまま受け止め続けるわけにもいかないソフィアは筋力強化の呪紋を自身にかけ、力いっぱいグラップロッドで殴りつけた。
思わぬ反撃を受けたボーマンはガードするのも間に合わず、腹部を殴打され後方に大きく殴り飛ばされた。
なんとか空中で体勢を立て直し着地に成功するボーマンであったが、予想以上の威力に膝を突いてしまう。
「威勢よく飛び出した割には情けないですね、ボーマンさん」
そんなボーマンを皮肉るアシュトン。
(ちっ、アシュトンの癖に言うようになったじゃないか)
「うるせえ! こうなりゃ同時に仕掛けるぞ!」
- 40 名前:鎌石村大乱戦 開幕 〜守りたい者の為に〜:2009/02/23(月) 01:15:14 ID:2VXSrGDE0
- ■□■□■□■□■□■□■□
(今度は同時に!?)
とにかく進行を阻止しなければならない。広範囲の紋章術を選択し、すぐさま発動させる。
『サンダーフレア』
迫り来る二人を囲むように作り出した力場の中を、幾多の電撃が行き交いスパークする。
これで何とか足止めは出来そうだが、このままではいずれ押し切られてしまう。
いくらフェアリィリングの効果があるとはいえソフィアの精神力は無尽蔵ではないのだ。
(誰か…誰か助けに来て…!)
つい弱気になり、そんな事を思ってしまうソフィア。
術の効果が切れ、電撃による驟雨から開放された二人の襲撃者。
(くっ、距離を開けないと…)
『アースグレイブ』
大地より作り出した巨大な槍を以って、その二人を弾き飛ばす。
「はぁ…、はぁ…」
ソフィアの精神力は残り僅かになってきていた。
その証拠に彼女の瞳は虚ろになり、あまりの疲労からか肩で息をしている。
(助けを待っているなんて駄目! そうよ。私はルーファスさんと約束したんだから。
絶対に諦めないって。絶対にっ、絶対に二人を守って見せるんだから!)
「今のは痛かったな…。でも、もう満足したよね? いい加減死んじゃえよ!」
龍を背負った方の青年が怒りを露に、双龍のブレスと共に突撃を仕掛けてきた。
回避という選択肢の取れないソフィアは残り僅かとなる精神力を振り絞る。
『ディープフリーズ』
ブレスと自分との間に紋章力によって生成される氷柱を作り出し、炎のブレスを受け止め、氷のブレスを弾いた。
しかし、ソフィアには一息つく間もなかった。
アシュトンは氷柱を切り刻むと、舞い落ちる氷柱の欠片を浴びながらソフィアに斬りかかる。
『プロテクション』
その斬撃をかろうじて受け止めたソフィアだったが、視界に映った光景に思わず叫びを上げてしまう。
「駄目ーーーーっ!!」
そこには、アシュトンに気を取られている隙にクリフへと詰め寄るボーマンの姿があった。
- 41 名前:鎌石村大乱戦 開幕 〜守りたい者の為に〜:2009/02/23(月) 01:19:30 ID:2VXSrGDE0
- ■□■□■□■□■□■□■□
(へっ、悪いな。嬢ちゃんが頑張るからいけないんだ。このまま正面からやりあったって泥沼だからな。
先にこいつから仕留めさせてもらうぞ!
それに、守ろうとした者を失った奴の脆さってのは、俺もよく知ってるからな…。こいつの後を直ぐ追わせてやるよ!)
この速度で交差気味に拳を打ち付ければ、無防備な相手なら致命傷となる。
振り上げた拳を叩き付け、手応えを感じたボーマンであったが、
打ち付けた拳から発せられた音は拳打による鈍い音ではなく、金属同士がぶつかり合う甲高い耳障りな音だった。
「おいおい…。起き抜けにいきなりご挨拶じゃないか!」
「ちっ!」
ボーマンの一撃は寸での所で目を覚ましたクリフに拠って阻まれていたのだ。
「クリフさん!」
復活したクリフの姿を見て、この様な状況にも拘らず安堵の表情を見せるソフィア。
クリフは横になった体勢のまま足を突き出し、襲撃者を蹴り飛ばす。
続けてすぐさま起き上がると、ソフィアが攻撃を受け止めている相手に殴りかかった。
ソフィアの防護壁に止められていた剣を引き、クリフの一撃をその刃で受け止めるアシュトン。
拳と剣がぶつかり合い闇夜に火花が瞬いた。
瀕死の重症からの復活直後にも拘らず、その押し合いを制したのはクリフだ。
クェーサー戦終了後から懸命に治癒術を施していたソフィアのおかげである。
「痛っ、まだ体が痛みやがるぜ…。状況は? って聞くまでもないな。
すまないな、肝心な所で寝ちまってたなんて。たった一人で頑張ってくれてたんだろ…。ありがとよ」
周囲の状況を見渡し、何があったか悟ったクリフがそう漏らせば
「ううん! 私ずっと守られてただけだもん。
これからはルーファスさんの為にもめげないって決めたから、だから、こんなの全然へっちゃら!」
ソフィアは嬉しさの余り、涙を浮かべながらも微笑みで返す。
「ルーファス? そういや何でソフィアの後ろでルーファスの奴が寝てるんだ?
それに、クェーサーは? っとまぁ先にこいつらを追っ払わないとな!」
自分が力尽きた後何があったか知る由もないクリフだったが、
湧き出る疑問を振り払い自分達と対峙している二人を睨み付け拳を構える。
「はいっ!」
(ふっ、俺が寝てる間に何があったか知らないが随分と頼もしくなったじゃないか…
これなら安心して背中を預けられるぜ!)
力いっぱい大地を蹴り駆け出したクリフの背後には、朗々と歌うように詠唱を始めたソフィアがいた。
- 42 名前:鎌石村大乱戦 開幕 〜守りたい者の為に〜:2009/02/23(月) 01:22:38 ID:2VXSrGDE0
- ■□■□■□■□■□■□■□
『エンゼルフェザー』
賛美歌の様な詠唱を終えたソフィアが紡いだ紋章術は、最上級の補助効果を誇る天使の抱擁。
クェーサー戦の傷と疲労によって鉛の様に重かった体が軽くなるのを感じる。これならば思う存分戦える。
(先ずはあの足の速いオヤジからだっ)
得意のクロスレンジまで距離を詰め、渾身の右ストレートを放つ。
共に繰り出す拳が正面から激突し、その衝撃から砂煙が立ち上った。
(腕力はそんなに自慢じゃないみたいだな、このまま押し切る)
ぶつけたままの拳を力任せにねじ伏せ隙を作る。
(もらった!)
しかし、そこで異変に気付いた、異常な量の木の葉が自分を中心に渦を作りながら舞っているのだ。
『リーフスラッシュ』
舞い散る木の葉が視界を塞ぎ、その隙を突いてもう一人の敵が背後に立っていた。
「しまった」「もらったよ!」
真一文字に薙がれた剣閃に対処しきれない。腕の一本ぐらいは覚悟するかと思ったその時、
『ライトニングブラスト』
こちらの危機を救うべくソフィアが電撃呪紋を放った。
双龍の男は直撃を受けながらも、まだ痺れの残る体で振り返り、手にする大剣を虚空に奔らせる。
「邪魔ぁ、しないでよっ!」
不思議な輝きを放つ刀身が真空の渦を形成し、巻き起こした剣風が風の刃となりソフィアを襲う。
『リフレクション』
回避は不可能と悟ったのか、直ちに防壁を展開するも、全てを防ぐ事は適わずその身を切刻まれてしまった。
「くっ」
いずれの傷も深いものではなかったが、思わず膝を突いてしまうソフィア。
それを好機と見たのかオヤジの方が疾風の俊足で以って彼女に肉薄する。
余りの速さに防御魔法の展開もままならない。忽ちゼロにした間合いから唸る拳を繰り出そうとしている。
「させるかっ!」
側面よりオーラを纏った体当たり『バースト・タックル』を見舞う。
振りかぶった腕をガードに回し、こちらの攻撃によるダメージを軽減させると、
更にインパクトの瞬間に飛ばされるよりも先にその方向へステップをいれ、ダメージを抑えやがった。
派手に吹き飛びはしたものの、そのダメージは最小限に留まっている様だ。
(ソフィアへの攻撃を阻めたが、あのオヤジやりやがる…)
「大丈夫かっ? ソフィア」
「はい」
彼女を気遣う言葉を送りながらも合図を送る。
- 43 名前:鎌石村大乱戦 開幕 〜守りたい者の為に〜:2009/02/23(月) 01:25:55 ID:2VXSrGDE0
- 「余所見をするなんて、余裕じゃないかっ!」
闇夜を切り裂く白刃が背後より襲い掛かった。
何とかその攻撃を受け止めて強引に押し返し、弾いた剣に依ってガードの甘くなった脇腹目掛け鞭の様に撓る回し蹴りを直撃させる。
蹴り飛ばした相手に追撃を仕掛けるべく間合いを詰めようとしたが、今度はオヤジが立ちはだかってきた。
顔面目掛けて放たれた拳を受け流し、その隙を突いて槍の様な中断蹴りを見舞う。
その一撃を身を翻すことで回避したオヤジが即座に反撃に移る。回転の勢いを活かした上段後ろ回し蹴りが俺を捉えた。
強烈な一撃に思わず意識を失いそうになるも執念で繋ぎ止め、お返しにと右腕より繰り出す剛腕でオヤジの体を串刺しにする。
くの字に体を折り曲げ悶絶している所に追撃を入れようとした所でまたしても邪魔が入る。
今度は龍の方だ。
ソフィアの補助紋章のおかげで接近戦において二対一の状態であるにも拘らず優勢なのだが、相手も中々にやる。
一朝一夕では先ずありえない程に互いの動きを把握した上で、どちらかに生じた隙をもう片方が埋めてくる。
そして、ソフィアの掛けてくれた補助呪紋の効果時間も切れ、優勢だった戦況がひっくり返された。
次第に二人のコンビネーション攻撃に押され始めたが、何も二人で戦っているのはあちらだけではない。
守るべきだった少女は、いつしか頼れる相棒になっていたのだから。
『エクスプロージョン』
先程の合図より始めた詠唱を完成させ、ソフィアが大爆炎の術式を発動させる。
ソフィアの紋章力が作り出した火球は、まるで小型の太陽を思わせる熱波と光を放ちながら膨れ上がり、周囲の空間を灼熱地獄へと変貌させる。
絶妙なタイミングで放たれた紋章術だったが、対する相手は予想以上に強敵であるらしい。
どうやら、しばらくソフィアの呪紋が来てない事から、デカイ一撃を狙っていると読まれていた様だ。
こちらの退避に併せて深追いする事をせず、その場から退避していた。
ソフィアを守る様に彼女の前に立ち、再度構えを作る。
(今回も厳しい戦いになりそうだ…)
- 44 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/23(月) 01:26:14 ID:2gsKtm8QO
- 支援DA!
- 45 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/23(月) 01:29:44 ID:ontFWx5w0
- あつすぐる・・・!
チェスターがどう動くかこええええええ支援
- 46 名前:鎌石村大乱戦 開幕 〜守りたい者の為に〜:2009/02/23(月) 01:30:16 ID:2VXSrGDE0
- ■□■□■□■□■□■□■□
「あいつら中々やりやがるな…」
ぱっと見ただの女の子と満身創痍の男にこれほどの苦戦を強いられるとは思っていなかったボーマンが呟いた。
その呟きに傍らにいるアシュトンが答える。
「チェスターは使い物になりませんしね…」
(まったくだ。これならあの時引き入れないで殺しておくんだったな…)
「どうしますか? あの大男かなりの怪力でしたよ。勝てない事もありませんが…」
「あの金髪は俺がやる。あっちの紋章術師の方はお前がやれ!」
まさか、強そうな方の相手をボーマンが引き受けてくれるとは思わなかったアシュトンは、
一瞬呆けた様な表情をするがすぐさまその申し出に頷いた。
(どう見てもあの大男は死に掛け…。『バーニィシューズ』を履いた俺の動きについて来れるわけがない。
格闘戦における速力の優位は俺にある。それを踏まえれば迎撃メインの術師の相手をするよりこっちの方が御しやすい。
それにさっきの殴り合いで判ったがやはり『エンプレシア』を使い続けるのは厳しい。
あの男をブチ殺して奴の使っている手甲を奪い取ってやる)
「来るぞアシュトン!」
猛牛か何かの様な突進を仕掛けてくる大男の一撃を、ボーマンは交差させた両腕のガードで受け止めた。
大半の勢いを殺した後に半身引き、その腕を掴んで投げ飛ばす。
身を翻し着地の体勢に入ったクリフに対して追撃を仕掛けた。
『首枷』
跳躍と共に空中で脳天を下に、拳を突き出して標的であるクリフにダイブ。
『ビーン・バッガー』
対するクリフは急降下をしてくる相手に対して大地を踏みしめ、闘気を込めたアッパーを放つ。
威力は互角、互いの技の衝撃を受け距離が開いた。
その間合いをいち早く詰めたのはボーマンだ。
瞬く間に拳の間合いまで踏み込んだボーマンが連打を仕掛ける。
『桜花連撃』
間断なく打ち込まれる拳と脚による舞にクリフは防戦一方となった。
そのクリフの防御の中を掻い潜り、一瞬だけ開いた胴に天まで打ち貫くかの如き強烈なアッパーが入る。
「がはっ!」
思わず肺から押し出された空気と共に血を吐き出すクリフ。
そのまま突き刺した腕を振り抜き空中に打ち上げるボーマン。
その後も彼の容赦ない攻撃が続く。
打ち上げて回避が出来ないクリフに対して空中回し蹴りを三連打、
それでも止まらない回転の余勢を生かし、軸を横から縦に変えると、そのまま踵落としを空中で決めた。
地面に叩きつけられたクリフに、尚も一気呵成に攻め立てる。
空を打つ拳より放たれる『気功撃』でダメ押しのラッシュを仕掛ける。
クェーサーにより焦土と化した大地がボーマンの技を受け粉塵を巻き上げた。
- 47 名前:鎌石村大乱戦 開幕 〜守りたい者の為に〜:2009/02/23(月) 01:33:34 ID:2VXSrGDE0
- 「やったか…?」
巻き上がる粉塵に向けて呟くボーマン。
「まだだぁ!」
そんな叫び声と共に煙の中から天高く飛翔するクリフの姿が現れた。
まさか煙の中から、しかも空中にその姿を現すとは思ってもいなかったボーマンは一瞬その場に釘付けとなる。
その隙を見逃すクリフではない。否、既に技の予備動作は済ませていた。
後は全力で叩き込むだけだ。
『エリアルレイド』
先ほどの空中からの攻撃の意趣返しにと、クリフは強大なオーラを纏いながら全体重を両足に乗せボーマンに飛び掛った。
ズドォーンと迫撃砲か何かが地面に着弾したかとしか思えない轟音が辺りに鳴り響く。
何とかガードは間に合ったものの、隕石を受け止めたかの様な衝撃にボーマンの視界はひっくり返る。
ダメ押しにとクリフは地面に叩き付けられバウンドし、空中にいるボーマンを掴むと更なる大技を仕掛ける。
「無限に行くぜぇ! 『フラッシュチャリオット』オラオラオラオラオラオラァッ!」
クリフの両腕より放たれる拳の弾幕。某星の白金宜しく容赦なく叩き込まれる拳はボーマンをサンドバックへと変貌させた。
「こいつでぶっ飛びやがれぇ!」
フィニッシュブローを打ち込みそのまま彼方へと殴り飛ばす。
傍目から見たならば勝負あったと思わせる一撃だったが当の本人は違った。
(くそっ、打点を外された…。あのオヤジ相当やりやがる。それに、クェーサーとやりあった疲労は隠せないか…)
本来ならば仕留めていたであろう大技から大技につなげるラッシュだったが、疲労困憊のクリフの現状ではその威力も半減していた。
構える拳が重い。大地を踏みしめなければならない両足に力が入らない。
それでもクリフは気圧されない様に、昂ぶる闘志と共に相手を睨みつけた。
十数メートルは飛ばされたボーマンが、多少ふらつきながらもしっかりとした足取りで立ち上がる。
(休めるのは当分先になりそうだ…)
- 48 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/23(月) 01:37:12 ID:ontFWx5w0
- バトルすげえええええええ
終盤だけあってバトルのクオリティがすごいことになってきてるな
支援
- 49 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/23(月) 01:40:14 ID:g1H+9bRRO
- はいはい。さるさんさるさん。
続きはいつもの場所へ。
- 50 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/23(月) 01:40:44 ID:2gsKtm8QO
- クリフ頑張れ
支援
- 51 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/23(月) 01:41:46 ID:ontFWx5w0
- 今日モンキー大忙しだな・・・w
しかしスロークイックにもほどがあるだろお前らwwwww
- 52 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/23(月) 01:43:48 ID:ontFWx5w0
- 俺の書き込みの前に代理投下されなかったら俺が代理投下するぜ
- 53 名前:代理投下:2009/02/23(月) 01:44:32 ID:ontFWx5w0
- ボーマンは立ち上がると懐から作り置きしていた最後の丸薬である『秘仙丹』を取り出すと一口で飲み下した。
(やはり気休め程度にしかならんか…。死に損ないの癖になんて動きをしやがる。
こんな事なら『破砕弾』を作っておくんだった…)
所々悲鳴を上げる体を無視して構えを作るボーマン。
しかし、対峙している死に損ないと称した男の放つ闘気に思わず後ずさりしてしまう。
その時、
『禁止エリアに抵触しています。首輪爆破まで後30秒』
と、首輪から警告が発せられた。
直ぐに一歩前に踏み出すとその警告は鳴り止んだ。
戦闘に入る前に見た地図と現在位置を照らし合わせると、
今自分はD−5エリアの北部に位置しているのだとボーマンは結論付けた。
(随分派手にやりあったもんだ。こんなところまで来るなんてな…。
アシュトン達はどうなった? いや、しばらくは援軍も見込めんか…。どうする?
このままやりあってもいいが、決定打となる手札が…)
そこでふと思い出した地図に描いた丸印。
その箇所には開始前に殺されたどちらかに渡されるはずだった支給品が置かれる事になっている。
(まだ、放送からそんなに経っていない…。『バーニィシューズ』を履いている今なら一番乗りも可能か?
仮に先客がいても逃げ延びれるはず。それに何よりこいつが後を追ってきたのならそいつに対応させればいい。これは分のいい賭けだ)
そうまとめるや否や、踵を返し西の方角へ、鎌石村役場のある方向へと駆け出した。
それを見て驚いたのはクリフである。
まだ、どちらも優勢ともいえない戦況でいきなり相手が逃走をしたからだ。
(いったいどこへ? まぁ、いい深追いは禁物か…。ソフィアの嬢ちゃんも気になるし…。
待てよ…。あの野郎が向かった方向は!)
そう、クリフの考えた通りボーマンの逃走先はまさしく鎌石村役場。
そして、そこにはクリフのパートナーであるミラージュがいるはずの場所。
今も尚戦っているはずであるソフィアの事も気にかかるが、重傷を負っていたミラージュの事も気になる。
深手を負っている状態のミラージュではあのオヤジには勝てない。そんな板ばさみの思考の末クリフは
「くそっ、すまねえ嬢ちゃん。直ぐにあの野郎をぶっ飛ばしてミラージュ連れて帰ってくるからよ!」
とソフィアがいる方向に呟くと逃走したボーマンの追跡を開始した。
放送を聞き逃した彼は知る由もなかった、既にそのミラージュはリドリーの手にかかっていて死んでしまっている事を。
だから誰が彼のこの行動を責める事が出来よう、彼は唯大切な者を守る為に駆け出しただけなのだから。
- 54 名前:代理投下:2009/02/23(月) 01:45:35 ID:ontFWx5w0
- 【D−5/深夜】
【クリフ・フィッター】[MP残量:25%]
[状態:疲労大、全身強打、あばら骨を骨折(これらの傷はソフィアによってある程度緩和しています)]
[装備:ミスリルガーター、閃光手榴弾、サイレンスカード×2]
[道具:エターナルソード、メルーファ、バニッシュボム×5、フレイの首輪、荷物一式×3]
[行動方針:首輪を解除してルシファーを倒す]
[思考1:脱出の手段を見つける]
[思考2:仲間を集める(マリア、フェイト優先)]
[思考3:首輪は調べられたら調べる]
[思考4:鎌石村役場に向かいミラージュと共にボーマンを倒してソフィアの元に戻る]
[備考:第3回目の放送を聴いてません]
[現在位置:D−5北西部]
【ボーマン・ジーン】[MP残量:30%]
[状態:全身に打身や打撲 ガソリン塗れ(気化するまで火気厳禁)]
[装備:エンプレシア、フェイトアーマー、バーニィシューズ]
[道具:調合セット一式、七色の飴玉×2、荷物一式×2]
[行動方針:最後まで生き残り家族の下へ帰還]
[思考1:完全に殺しを行う事を決意。もう躊躇はしない]
[思考2:アシュトン・チェスターを利用し確実に人数を減らしていく]
[思考3:鎌石村役場に行き支給品を獲得する。先客がいた場合はクリフの相手をさせ逃走する]
[思考4:菅原神社に向かいながら安全な寝床および調合に使える薬草を探してみる]
[備考1:調合用薬草の内容はアルテミスリーフ(2/3)のみになってます]
[備考2:アシュトンには自分がマーダーであるとバレていないと思っています]
[現在位置:D−5北西部]
- 55 名前:代理投下:2009/02/23(月) 01:46:37 ID:ontFWx5w0
- ■□■□■□■□■□■□■□
(どうして…どうしてなんだよ!?)
チェスターは戦いを続けるソフィアとアシュトンの姿を見ながら立ち尽くしていた。
(あの子の仇を取るって、そう決めたのに!)
だが、彼の心がその行為に対して強く歯止めを掛ける。
頭ではアシュトンの戦っている女の子を金髪の少女の仇として認識しているのに、
健気にも戦い続ける少女の姿を見ていると、あの子は殺しちゃいけないと思考とは別の所が叫びを上げる。
だが、チェスターはその叫びの理由がわからず苦悩していた。
きっとそれは自分の中でとても大切なものだったはずなのに、今のチェスターにはどうしても判らない。
(どうして?)
抱いた疑問の答えを得るべく、少女の動きを目で追い続ける。
そうしてチェスターは気付いた。
少女が常に地面に横たわる緑色の髪をした男とアシュトンの間に立って戦っている事に。
少女は守る為の戦いをしているという事に。そして同時に思い出す。自分の抱いた戦う本当の理由を。
(あの子は奪いたいんじゃない。守りたいんだ。
俺もそうだったじゃないか。アミィみたいに理不尽に奪われる命があるのが嫌で戦おうとしてたんだよな…。
失われてしまった命は二度と戻らないから、奪わせない為に強くなろうって決めたのに。
なのに、今の俺はどうだ? 確かにクロードの奴は憎い。
奪っていったアイツにツケを払わせてやりたい。でも、その為だけに戦おうとしてた…。
それって、俺が弓をとった理由だったか?
確かにダオスと戦ったのは村の皆の、家族の仇を取りたいからだった。
でもトーティス村があんな事になる前から俺は弓を握ってた。
じゃあ、一番最初の理由はなんだった?)
己に対して質問をする。その答えは直ぐに返ってきた。
(俺の属する小さな世界を守りたかったからだ。村を、皆を、家族を、親友の背中を守りたかったんだ!
だから弓を取ったのに、何で忘れてしまっていたんだろう…。
今みたいに憎しみを持って戦うだけじゃ、守りたいモノを守る事なんて出来やしない!
あの女の子みたいに、俺も大切なモノを守りたい。守らなくちゃいけないんだっ。
それが、俺の戦う本当の理由なんだから!)
- 56 名前:代理投下:2009/02/23(月) 01:47:47 ID:ontFWx5w0
- ■□■□■□■□■□■□■□
ボーマンさんは大男と殴り合いながら北の方向に行ってしまった。
依然と役立たず(チェスター)は同じ位置で立ち尽くしている。
(まぁ、いいか。そろそろあの子の消耗も限界だろうし、かわいそうだけど殺させてもらうよ)
三度目になる少女に対する突撃。だが無策ではない。
今度はデイパックから取り出した『レーザーウェポン』の形状を変化させ得意の小剣二刀流の構えを取り、その剣には紋章力を込めてある。
多少の紋章術なら切り裂いて止めをさせるはずだ。
少女から放たれる氷の矢をギョロに蒸発させ、残りの距離を詰める。
続けて放たれた火球はウルルンが凍らせた。
もうまもなく僕の剣の間合いだ。
目の前の少女は悪あがきをする様に、再度僕に紋章術で呼び出した炎の魔人を嗾けて来た。
「残念だけど、その攻撃はもう見切っているんだ…」
振り下ろされる巨大な剣を受け流し、炎の魔人を十字に切り裂く。
さぁ、もう僕の間合いだ。苦しまない様に一撃でその首を刎ねてあげるよ。
『プロテクション』
尚も悪あがきを続けるこの女の子の張った防御壁を切り裂く。
僕の斬撃は杖の柄の部分で受け止められてしまったが、構わずそのまま力任せに振り抜く。
吹き飛ばされた女の子は後方の木の幹に激突して尻餅をついていた。
頭を打ち付けてしまったのだろうか、頭から血が流れ落ちている。
「抵抗するから苦しむのに…。いい加減死んでくれないかなぁ!」
尚も震える杖をこちらに向ける女の子に引導を渡すべく、両手持ちの剣に形状を変えた『レーザーウェポン』を振り上げた。
- 57 名前:代理投下:2009/02/23(月) 01:48:52 ID:ontFWx5w0
- ■□■□■□■□■□■□■□
「抵抗するから苦しむのに…。いい加減死んでくれないかなぁ!」
そんな風に叫びながら私に迫る龍を背負った剣士の青年。
嫌だ…。死にたくない。
死ぬのは今でも怖い…。
でも、死ぬ事自体が怖いんじゃない…。
今私が死んじゃったら、ルーファスさんの中にいるレナスさんを守る事が出来ない。
その事の方が自分の死よりも恐ろしかった。
(誰か…、私の事はいいから。ルーファスさんとレナスさんだけは守って!)
私の体はまだ、この青年に杖を向けている。
自分の紋章術は彼には通用しない事を承知で、唯々守りたくて杖を向ける。
ソフィアは少し誇らしかった、いつも泣いてばかりいた、守られてばかりいた自分がこうして誰かを守る為に命を賭けて戦っている事に。
(これもルーファスさんが私にくれた勇気のおかげかな…)
ルーファスから受け取った勇気を胸に、ルーファスからもらった魔道の杖をその手に、彼女はまだ抗おうとした。
「これで終わりだね…さようなら」
凍りつく様な視線をソフィアに送るアシュトン。
そうして、無常にも振り下ろされる白刃は
「やめろぉぉぉぉっ!」
少年の慟哭と共に放たれた矢によって弾かれた。
- 58 名前:代理投下:2009/02/23(月) 01:50:41 ID:ontFWx5w0
- ■□■□■□■□■□■□■□
「どういう…事かな?」
放たれた矢の方角、チェスターの立つ方を振り替えり、
抑揚の無い、しかし、溢れんばかりの怒りを込めた言葉を送るアシュトン。
「もうやめろっ! 俺はこの子に死んで欲しくなんかない!」
次の矢を抜き放ち、その矢を構えながらチェスターは叫ぶ。
「意味がわからないな…。さっき見つけた女の子を殺した連中を殺そうって言ったのは君だよね?」
「言ったよ、言ったけど。こんなにも仲間の為に戦っているこの子が、理由もなくあの子をあんな風に殺したなんて思えないんだ!
その子は大切な人を守ろうと必死になっている。俺も最初は力を持っていない人達を守りたかったんだ!
けど、どんどん殺されちまって、誰も助けられなくて、目の前で死なれて、俺は次第に殺す奴等を恨むようになっちまった!
戦う理由が摩り替わっちまってたんだ。
その子は俺の理想としていた、なろうとした姿なんだ!
親友を、クレスを振り切って復讐の為にここまで来ちまったけど…、漸く思い出せた!
その子が思い出させてくれた。俺が戦う理由…。力の無い人達を守る為に!
だから俺は! この子を守るっ!」
そんな気迫に満ちたチェスターの独白に対し、先程となんら変わる事の無い冷たい表情でアシュトンが切り返す。
「それで…、僕が納得すると思ってる?」
「思わない…。でも頼む。剣を引いてくれ、でないと俺…」
「どうするの?」
「お前を倒してでも止めなくちゃならない…」
一時でも行動を共にした人間に矢を向ける事をしたくないと苦悩の表情を見せるチェスター。
「そう、わかった…」
「えっ?」
このアシュトンの返答を肯定と取ったチェスターが驚きの表情をあげる中
「最初は何かの役に立つかもしれないと生かしておいたけど、もういいや…、今ここで殺そう。
よく考えたらクロードの事をゲームに乗ってるなんて言いふらしている奴だもんね、生かしておく理由が無いじゃないか…。
クロードとの約束は守れなくなるけど、決めたよ。君達は、ここで殺す!」
アシュトンはそう呟くとデイパックより大剣『アヴクール』を抜き放った。
- 59 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/23(月) 01:54:09 ID:CBMGeQrXO
- あと1歩だったというのに、案の定さるさんである
あとは頼みます
- 60 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/23(月) 01:55:15 ID:g1H+9bRRO
- したらばに投下を終了しました。
支援をしてくださった方と代理投下をしてくださった方に感謝。
- 61 名前:代理投下:2009/02/23(月) 02:21:53 ID:7sPJeBqn0
- 【D−5/深夜】
【ソフィア・エスティード】[MP残量:20%]
[状態:疲労、頭部に傷]
[装備:クラップロッド、フェアリィリング、アクアリング、ミュリンの指輪のネックレス@VP2]
[道具:ドラゴンオーブ、ヒールユニット@SO3(ガウェインの支給品)、魔剣グラム、レザードのメモ、荷物一式]
[行動方針:ルシファーを打倒。そのためにも仲間を集める]
[思考1:レナス@ルーファスを守る]
[思考2:怪我人(クリフとレナス)を介抱する]
[思考3:フェイトを探す]
[思考4:四回目の放送までには鎌石村に向かい、ブラムスと合流]
[思考5:自分の知り合いを探す]
[思考6:ブレアに会って、事の詳細を聞きたい]
[思考7:レザードを警戒]
[現在地:D-5東部]
[備考1:ルーファスの遺言からドラゴンオーブが重要なものだと考えています]
【チェスター・バークライト】[MP残量:100%]
[状態:全身に火傷、左手の掌に火傷、胸部に浅い切り傷、肉体的・精神的疲労(重度)、
クロードに対する憎悪、無力感からくるクレスに対する劣等感]
[装備:光弓シルヴァン・ボウ@VP(クレアの支給品)、矢×39本、パラライチェック@SO2の紛い物(効果のほどは不明)]
[道具:スーパーボール、チサトのメモ、アーチェのホウキ、荷物一式]
[行動方針:力の無い者を守る(子供最優先)]
[思考1:クロードを見つけ出し、絶対に復讐する]
[思考2:リドリーの死の真相をソフィアから聞きだす]
[思考3:ソフィアを守る]
[思考4:今の自分では精神的にも能力的にもただの足手まといなので、クレス達とは出来れば合流したくない]
[備考:チサトのメモにはまだ目を通してません]
[現在位置:D−5東部]
- 62 名前:代理投下:2009/02/23(月) 02:22:32 ID:7sPJeBqn0
- 【アシュトン・アンカース】[MP残量:105%(最大130%)]
[状態:疲労微、体のところどころに傷・左腕に軽い火傷・右腕にかすり傷(応急処置済み)、右腕打撲]
[装備:アヴクール、ルナタブレット、マジックミスト]
[道具:無稼働銃、イグニートソード、物質透化ユニット、首輪×3、荷物一式×2]
[行動方針:第4回放送頃に鎌石村でクロード・プリシスに再会し、プリシスの1番になってからプリシスを優勝させる]
[思考1:プリシスのためになると思う事を最優先で行う]
[思考2:ボーマンを利用して首輪を集める]
[思考3:菅原神社に向かう]
[思考4:プリシスが悲しまないようにクロードが殺人鬼という誤解は解いておきたい]
[思考5:チェスターとソフィアを殺す]
[備考1:ギョロとウルルンは基本的にアシュトンの意向を尊重しますが、プリシスのためにアシュトンが最終的に死ぬことだけは避けたいと思っています]
[備考2:ギョロとウルルンはアシュトンが何を考えてるのか分からなくなるつつあります。そのためアシュトンとの連携がうまくいかない可能性があります]
[現在位置:D−5東部]
【レナス・ヴァルキュリア@ルーファス】[MP残量:30%]
[状態:ルーファスの身体、気絶、疲労大]
[装備:連弓ダブルクロス、矢×27本]
[道具:なし]
[行動方針:大切な人達と自分の世界に還るために行動する]
[思考1:???]
[思考2:ルシオの保護]
[思考3:ソフィア、クリフ、レザードと共に行動(但しレザードは警戒)]
[思考4:四回目の放送までには鎌石村に向かい、ブラムスと合流]
[思考5:協力してくれる人物を探す]
[思考6:できる限り殺し合いは避ける。ただ相手がゲームに乗っているようなら殺す]
[現在地:D-5東部]
[備考1:ルーファスの記憶と技術を少し、引き継いでいます]
[備考2:ルーファスの意識はほとんどありません]
[備考3:半日以内にレナスの意識で目を覚まします]
[備考:近くに弾かれたレーザーウェポン@SO3が落ちています]
162 :鎌石村大乱戦 開幕 〜守りたい者の為に〜:2009/02/23(月) 01:53:18 ID:URy58WHg
投下終了です。
久々にバトルをやりましたけど、他の方みたく濃いバトルの描写はどうすれば出来るのでしょうか?
一瞬の駆け引きとかをもっと濃厚に書きたかったんですが…。
アドバイスと後、指摘などありましたらお願いいたします。
それと、放送を読んでどうしてもクリフにミラージュの死を知らない状態で役場で遺体とご対面ってシーンを見てみたくなり、ちょっと無理遣り気味ですが行ってもらいました。
チェスターは前話から豹変してリドリーを殺した奴を守ろうってなっちゃってますが、行動方針的には問題ないかなと思ってたりします。
ただ今までの話の流れ的にこの二人の行動はツッコミ所あるかなって感じです。
問題ありの様であれば破棄します。
- 63 名前: ◆MJv.H0/MJQ :2009/02/23(月) 02:28:18 ID:7sPJeBqn0
- なん……だと
次スレに移行してた上に3本も投下されていたとか予想外すぎるw
取り敢えず眠くて死にそうだから感想は明日じっくり読んでから書かせてもらいます
あ、あとルシオと洵を予約します
- 64 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/23(月) 14:49:59 ID:ontFWx5w0
- 投下乙ですー
>クロード組
ロキ調子乗ってるなwwww
相変わらず弱者に強い男だ……
これでブレアはフェイトと対面か
狙われた中年二人の運命やいかに!?
しかし>>27見て思ったけど今回で一気にクロードはクレスに差をつけられたなw
昔は役に立ってないと連呼された各作品主人公で未だにまともに活躍してないのクロードだけじゃないかw
がんばれ光の勇者様
>スーパー鎌石村大戦
大乱戦キターー!!
十分濃いバトル描写だろJK……
肉弾戦書くのが苦手な俺には羨ましいくらいだぜ……
クリフは問題ないんじゃないですかね
この手のバラけ方はジャンプ愛読者には日常茶飯事だぜ!
チェスターも問題ないかと
即効アシュトンを止めてたら「えー」となったかもしれませんが、時間を置き、なおかつソフィアの戦いをしっかり見せていましたから
- 65 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/23(月) 18:48:00 ID:Xa4L8hQK0
- 投下乙!
うおおおお、なんかソフィアと勘違い大魔王が覚醒しちゃった!
そして放送を聞いてなかったクリフ、
事前情報無しでミラージュの死を目の当たりにするんだろうな、ご愁傷様……
>>63
おっと、更に予約来たー!
これは期待せざるを得ない
ここで前スレにもあった放送後に動きがあったキャラのまとめでも
【放送後話が投下されたキャラ】
アルベル、プリシス、レオン、レナ、マリア、ミランダ、クレス、
偽ブレア、クロード、ロキ、アシュトン、ボーマン、チェスター、
ソフィア、クリフ、レナス@ルーファス
【予約中】
洵、ルシオ(+アルベル、レオン)
【愛の手待ち】
レザード、エルネスト、フェイト、クラース、ヅラ
それと、読み手の心得……対時空剣士対策が増えているような……
- 66 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/23(月) 18:53:29 ID:ontFWx5w0
- まとめ乙ー
時空剣士対策は一ヶ月くらい前に見たときからあったなあ
いつ追加されたんだろw
あと「あれ問題じゃね?」ってのが出なかったら明日にでもwikiに収録しようと思ってるけど、多分1話に収まらないと思うので、
今のうち「分割必須ならここで切っておいて」ってのを教えて頂ければ助かるなあとか思ったり
- 67 名前: ◆O4VWua9pzs :2009/02/23(月) 22:59:44 ID:4A6xMJ8e0
- 投下乙ッス
>>26
流石トリックスター 上手い感じにロワを弄ってくれそうだ
それにしてもクロードは相変わらず空回っているなwww
知らない内に色々と思惑が渦巻いてるのに、のんびりしてやがるロワ的に
>>62
ソフィア覚醒!!ソフィア覚醒!!
(潜在能力は高いけど)ほとんど一般人の彼女がここまで戦えるとは熱いぜ!
それにしてもバトル描写がパネェよ
特にボーマン、アシュトンVSソフィアのパートで手に汗握りました。
>>66
マリアがミランダを追っ払ったところで区切ってくれると
ありがたいです
- 68 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 01:05:01 ID:KjG+J45HO
- 投下乙です!
ちょっと気になったんだけど、バーストタックルと
サンダーフレア食らったらボーマン引火するんじゃ…?
- 69 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 01:51:55 ID:y6MAZbV40
- >>68
言われてみて見返してみた
>>状態:全身に打身や打撲 ガソリン塗れ(気化するまで火気厳禁)
……思いっきり【火気厳禁】って書いてある!
- 70 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 02:18:47 ID:7TbILRgZO
- 修正するとしたら
1ハンサムなボーマンは突如として助かる方法を思い付く ボーマン「クロスアウッ!」
2 実はガソリンが気化していて助かる
3 【ボーマン 死亡】現実は非情である
4 ソフィア&クリフ「くっ、ガッツが足りない」
このどれかになるかな?
- 71 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 02:22:10 ID:7JDUzwvQO
- 5、ガソリン使ったクリフVSボーマンのプロットを練ってる俺を救うため技自体を変えてみる
- 72 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 04:08:46 ID:pVpt7UkHO
- 6、クリフの技により発生するのは闘気であり火気ではないので、発火は起こらないという屁理屈で押し通す
- 73 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/02/24(火) 06:16:12 ID:KPq8VO5t0
- しまった。自分でガソリンぶっ掛けておいて忘れてましたorz
サンダーフレア自体は広範囲魔法だったら何でもよかった今では反省している。って感じなので別に差し替えます。
バーストタックルも吹き飛ばせればなんでもよか(ryなのでこちらも当たり障りのない技に差し替えます。
ガソリンの気化ってどれ位でしょうか? チサト戦から大体4〜5時間位は経過してるけど…。
この辺を今日早く帰れたら今日にでも。遅くても次の土日には修正して差し替える文をしたらばにでも投下します。
申し訳ありませんでした。
- 74 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 13:35:40 ID:ujkiOkRB0
- ガソリンの気化・・・何でググれば分かるのかすらわからねえ・・・
とりぜず気化したら炎が気化なくなるんですよね!
- 75 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 15:09:30 ID:U3Tv5fdMO
- 少しでもクレスを見直した俺が馬鹿だった
- 76 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 20:46:25 ID:Ey3L2LsO0
- スタオ3三人衆の生存フラグが弱くなったけど、他にかなり強い生存フラグの持ち主いるかな?
プリシスなんかも機械技術持ちって事で結構強いと思うけど、首輪ある程度解析したし大丈夫だろうか。
まあ某ヘソとか某ヅラとか某ダジャレとかギャグキャラ枠は無しと考えてw
- 77 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 20:54:54 ID:ujkiOkRB0
- 今はもういない気がするなー
レザードのフラグもメモが残ってる限り他の魔術師に移せるし
・・・ギャグ枠の方が強いって一体・・・w
あ、鎌石村対戦のwiki収録は修正版が来たら行います
- 78 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 20:59:48 ID:El62qAwqO
- >>76
猫耳、時空剣士辺りか。
- 79 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 21:01:25 ID:y6MAZbV40
- ギャグキャラ枠自重w
とはいえ某ダジャレはともかく、一応は強者揃いではあるからそれなりに頑張るんじゃないかと
そういやエターナルソード絡みは制限必至ではあるけれど、
あんまりフラグとしては上っていないみたいだね
- 80 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 21:08:32 ID:ujkiOkRB0
- エターナルソードなあ・・・
時空剣士はしばらく待機だし、時空剣士の手に渡る気がしねえw
しかし当面はミランダに生存フラグが経ってる気がするぜ
潜伏中のステルスだからなあw
- 81 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 21:15:51 ID:cjuyma0J0
- エターナルソード関係は時空剣士が死んでもクラースがいればオリジン呼べるし
クラース死んでもダイヤモンドがあるからオリジン継承できるんじゃね?
- 82 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/02/24(火) 21:42:26 ID:KPq8VO5t0
- 修正をしたらばに上げました。お騒がせして済みませんでした。
多分この話は2分割っぽいので、ソフィアがエクスプロージョン撃つまでを前編、それ以降を後編でお願いします。
後、毎度wiki更新乙です。毎回現在状況を楽しみにしてみてますw
- 83 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 22:18:51 ID:y6MAZbV40
- wiki更新乙
ミランダの現在状況吹いたw
- 84 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 23:37:20 ID:Ey3L2LsO0
- >>79-80
そもそもエターナルソード持ってる奴が未だに存在に気付いてないからなあ…
状態も結構満身創痍だし
- 85 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 00:42:44 ID:lk4UsavQO
- そういやデイパックの耐久ってどのくらいだっけ
デイパックごと消し飛ぶ心配がないなら、反主催の奴だけになった時にアイテム整理辺りするだろうから見つかるんじゃね?
消し飛ぶ可能性があるならクリフ頑張れとしか言えないがw
ボーマンに奪われてボーマンごと燃え尽きたりしたらシャレにならんw
- 86 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 13:05:33 ID:DOBUvr3LO
- 個人的にはエターナルソードが破壊されるシーンはあまり想像できないな。
会場のルールによるリミッターをカットした上で、
フェイトがパワー全開でデストラクションをぶっ放した、とかなら話は別だろうけど。
何が言いたいかっつーと、ガソリンの炎くらいでエターナルソードがロストする事はないんじゃね? ってこと。
- 87 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 16:24:37 ID:YlVazwTKO
- 咎人の剣だって、ガブリエルの遺体が残らないような爆発でも傷すらつかなかったからな。
エターナルソードだって大丈夫さ。
- 88 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 16:32:26 ID:hHiv5FMI0
- まぁガソリンの炎くらいで消し炭になるエターナルソードじゃ紅蓮剣や鳳凰天駆が仕様できないしなw
- 89 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 20:02:19 ID:o5j0oSiTO
- あ、デイバックごと消滅はないのか。
>>81
たぶん無理だと思う。TOP全クリしたことないしはっきり覚えてないから分からんが、TOPより前の時代のTOS(シンフォニア)ではオリジンが認める人(かつハーフエルフのみ)じゃないとエターナルソードは使えなかったはず。
- 90 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 21:10:03 ID:8n72iY6z0
- >>90ここでレナス@ルーファスさんの出番ですねw
認めるってのがあれだけどレナスなら認めさせるのも出来そうじゃない?
生存フラグといえばまだマリアさんは固いだろうなぁ。
クレスが体張りそうだし、首輪解除にハッキングをするようなもん作らなきゃいけないから
プリシス死んだらマリアさんぐらいしか出来そうな人がいない。
- 91 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:16:03 ID:5oRTGmPR0
- >>90
フェイトだって未開惑星もの物とはいえ初見の紋章兵器あっという間に直しちゃうような奴だし大丈夫でしょ
クリフも機械のクリエイト能力はそこそこ高かった気がするし
後は限りなく可能性は低いけど、偽ブレアを反主催側に付けるとか…無理か。
まあ外部から真ブレアってのもありかもな、第三回放送の描写を見るに。
しかし機械関係になるとやっぱSO勢が強いよなー
- 92 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:40:56 ID:lk4UsavQO
- ミランダとTOP組は機械類絶望的だからなあ……
- 93 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:54:39 ID:E8uVu/TV0
- VP組も機械類だめだろうな
某外道と某変態は魔術関連ならそれなりだろうけど、
他は揃いも揃って脳き……じゃなくて肉体派揃いだからな
- 94 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 00:17:03 ID:IAMERLNXO
- >>90
レナス@ルーファスならなんとかなるかもだけど、クラースさん死亡したらエタ剣使用可能はクレスのみ(オリジン呼べない)、レナスryがエタ剣使用するならクレス死亡必須(1人しか契約不可。TOSでは英雄ミトスとの契約は破棄したはず)だなぁ。
クリフは修理できても解体は無理な気がする。そもそも紋章術やら何かしらが関与してるなら専門外だろうし。
- 95 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 00:25:29 ID:nNyw6xFH0
- ダイヤモンドってオリジンと契約する為の物でしょ?
例えばクラースがオリジン呼び出して、ダイヤモンド装備した奴と契約よかできないのかな
TOPもTOSもやった事無いから分からないけど。
あとエタ剣って契約してなくても普通の剣として使える?
天空の武具みたいに勇者じゃないと持つ事もできないとか
- 96 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 01:20:10 ID:mKIgdb2VO
- >>89-95らへん
TOPやTOSでの描写を総合すると、
そもそもエターナルソードを作り出すには以下の3アイテムが必要らしい。
@、炎の魔剣フランベルジュ
A、氷の魔剣ヴォーパルソード
B、@とAを合成するための触媒であるダイヤモンドの指輪
これらのアイテムを手に入れた状態で、オリジンの力があって初めてエターナルソードの合成が可能。
要するにフランベルジュとヴォーパルソードがエターナルソードの材料で、
オリジンの力はエターナルソードを鍛造するためのエネルギー源に相当するわけ。
そして合成されたエターナルソードを操る資格があるのは、
A、TOPやTOSのハーフエルフみたく生来から魔力を操る素養を持つ種族
B、何らかの方法で、後天的に魔力を操能力を得た、(TOP世界の)人間みたいな非魔法的種族
のいずれかに該当する者で、彼または彼女がオリジンに力を認められて、初めてエターナルソードを使える。
ちなみに魔法を使えないはずのクレスが、何故後天的に魔力を得ることなくエターナルソードを使えるのか、
って謎も一緒に出てくるが、
俺個人としては以下の仮説を提唱しとく。
「実はアルベイン流はTOSの魔剣士をルーツとする流派で、いわゆる魔法剣技を操る流派だった。
クレスの属するアルベイン家の血には僅かながらこの魔剣士の血が流れており、
よってこの血のお陰でクレスは後天的に魔力を得ることなく、そのままエターナルソードが使えた」
この仮説の論拠は、
・クレスのアルベイン流の剣技は、
本来魔術でなければ傷付けられないはずのダオスにノーペナルティでダメージを与えられる
・アルベイン流とTOSの魔剣士に、魔神剣や閃空裂破などいくつか共通する技がある
って二点かな。
- 97 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 01:26:50 ID:IAMERLNXO
- ダイヤモンド(の指輪?)は本来オリジン宜しく精霊と契約した証だから、契約するのに必要な材料じゃなく契約した証明書>ダイヤモンドってオリジンと契約する為の物でしょ?
極端に原作離れしなければ大丈夫。>例えばクラースがオリジン呼び出して、
上記参照。>ダイヤモンド装備した奴
精霊の二重契約は原則として不可能。基本的には契約者が死亡しない限り契約は破棄されない訳だから、クラースがオリジンを呼び出すのは可能でも、レナス宜しく誰かがオリジンと契約してエターナルソードを使う為にはクレス死亡が前提。(クレスが使えばいい訳だけども。)続く
- 98 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 01:28:27 ID:IAMERLNXO
- TOPではクレス、TOSではロイドがオリジンと契約を結んだ訳だけど、TOSでミトスが生きているのにロイドが契約を結べた訳は、ミトスが既にオリジンを失望させ、自ら色々やらかして契約を破棄していたから。
余談だけどテイルズロワではクレス、ロイド、ミトスの3人の時空剣士が同じ時関の同じ空間にいた訳だから、その時点で原則無視されオリジンが外部から干渉できなかった。>契約よかできないのかな
使えない。オリジンに認められたハーフエルフのみ使用可能。理由として元々はオリジンがハーフエルフであるミトスの為に作ったから。
TOSのロイドがエターナルソードを使えたのは、アイオニトスっていうチート薬物(説明めんどい)を使ったから
>あとエタ剣って契約してなくても普通の剣として使える?天空の武具みたいに勇者じゃないと持つ事もできないとか
- 99 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 01:38:49 ID:IAMERLNXO
- >>97-98は>>95に対する答えね。
見にくくてごめんよ。
因みに>>96のダイヤモンドは要らない気がする。あれはクラースとか藤林しいな(@TOS)が精霊と契約した証だからエタ剣装備者はオリジンの加護(認められさえすれば良かったかも)があれば自在にエタ剣に変えることができたはず。
フランヴェルジュとヴォーパルソードはエタ剣の基礎になっただけであって、ドラクエの合成みたいに○○+○○=△△ではない。ロイドは上記2つの剣をマテリアルブレード(TOS準拠、ロイドは双剣士です)として使ってたはず。
- 100 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 01:40:01 ID:mKIgdb2VO
- おっと、それから言い忘れたけど、
時空剣士は同時に二人以上存在する事はできない。
んでもって、時空剣士がオリジンとの契約を自主的に破棄するか、
時空剣士が自ら結んだ契約内容を自ら破るか、
時空剣士が死なない限り、時空剣士の契約はずっと維持されたままになる。
結論を言うと、現状ではクレスとクラースの両方が死ねば、エターナルソードによる脱出フラグはパーになるな。
それからエターナルソードを無理やり非時空剣士が使った場合は、
原作中になかったケースだし推理する手がかりもない。
使用自体は物理的に不可能ってわけじゃないだろうけど、
そもそもエターナルソード自体、生半可な剣士に操れる代物でもないだろうし、
無理やり使った場合、最悪ただのナマクラ大剣に成り下がる可能性もある。
このケースは、実際そんな事態になったときに書き手が空気とフラグを読んで決めりゃいいと思う。
以上、テイルズ厨からの長文レス。
- 101 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 01:42:08 ID:mKIgdb2VO
- うわ、レスが錯綜しちまったorz
重ねがさねスマン
- 102 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 01:49:39 ID:zhQ9ueyV0
- 読んでて思い出したんだが、時空剣士いなくてもエタ剣の力を引き出す術も一応あるよね
ま、どのみちあの人が死んだら意味ないしネタ潰しになりそうだから具体的なことは言わないけど
- 103 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 10:49:37 ID:89VIvIwzO
- クラースの召喚以外にオリジン呼び出す方法って無いの?
それさえあれば時空剣士とマッハ中年死んでも大丈夫な気が
- 104 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 12:32:46 ID:IAMERLNXO
- TOPだけで言うなら、ない。
マリアの考察みたいにAAAロワオリジナルで新たに設定できる話があるなら別だけど。
ソフィアのイフリートソードとかは紋章術で具現化してるだけだからまた別だろうし。
精霊はマナの塊みたいなものだから、そもそも紋章術の概念にあてはまらない。
VPとかラジアータ未プレイだから他は知らん。
- 105 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 14:59:54 ID:mKIgdb2VO
- >>103
遠回しな手ではあるけれど、クラースと同じかそれ以上の頭脳を持った人間が、
クラースから召喚術の手ほどきを受けてダイヤモンドの指輪を譲り受け、
そこで契約を結べば可能と思われる。
時空剣士と違って、召喚士は複数いても問題ないし、一体の精霊が複数の召喚士と同時契約することも可能みたいだし。
(サモナーズリネージっつうTOPの外伝ゲームでは、召喚士の主人公とクラースが同じ精霊と同時に契約してた)
更に召喚術は魔法の才能がなくても使えるから、フラグ継承のハードルは比較的低いと思われる。
そもそも、ヅラに守られている今のクラースを上手いこと殺そうと思ったら、
色々と手間ひまかかりそうではあるけどなw
- 106 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 15:39:55 ID:SbR0ivus0
- TOP何度もクリアしたはずなのに話についていけねえwww
お前ら詳しいなオイw
こういう情報ってwikiのどっかに格納しておいた方がいいんだろうか?
wikiといえば目次なんだが、あれでよかった?
便利かなと思って今まで追跡表には死体での登場も含めて、目次の登場人物には生存者だけを含めてたんだけど、
レナスとルーファスは最新話から追跡表にも未登場で、レナス@ルーファスだけ追跡表に入れちゃったけど・・・
あと目次に普通に「レナス@ルーファス」って書いちゃったんだが、ネタバレ防ぐためにも「レナス」にした方がいいんだろうか?
- 107 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 16:38:30 ID:IAMERLNXO
- >>105
サモナーズryはお祭りゲーだろ……?
精霊と同時契約は否定するよ。そうじゃなかったら精霊が藤林しいなと契約するときにミトスとの契約を破棄する必要ない
- 108 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 18:35:27 ID:rYcrY0at0
- >>106
同士よ……
テイルズはエターニアまででそれ以後は一切プレイしていないから、
その辺りの詳しい事はさっぱり分かんないしこの流れについていけない悲しさ
レナス@ルーファスのページを最初に作った奴ですけど、
現在情報にあったからレナス@ルーファスをページ名として、
同行者からのリンクはネタバレ防止の為にレナスとしてみたけれど、
よく考えてみたらページ名自体が既にもうネタバレなんだな……
この辺り、どうしたらいいものか……
- 109 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 21:12:50 ID:T92Z6Gz70
- 正直このスレで書き込みしている時点でネタバレって何?って連中がほとんどだろうしなw
新規に来た人を考慮しようとすると難しいわなw復活ってパターンも珍しいだろうけど前例があるならそこから習ったほうがいいかもね。
後契約云々は俺もTOS未プレイだからなんとも言えないけど、
このロワの会場がTOP世界の法則がそこまで適応するのかどうか決めてないし(ルールや制限に書いてない)
それこそルシファーがそのようにして作ったんじゃない?って出来ると思う。
それにその考察こそ放送後書き手がついてないヅラ一行のいいネタになると思うんだけど。
しばらく移動するしかないだろうから、その考察をしつつ繋ぎとしてみるとか。
このスレ的に書いたもん勝ち(致命的な場合は除く)だし、一筆どうでしょう?
- 110 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 13:18:11 ID:GPAY9xdtO
- >>109
判定が微妙。
エタ剣がテイルズロワのソーディアンみたあに誰にでも使えるようにするのはいいと思う(勿論ただの剣としての扱いだから時空剣士以外の時空剣は使用不可)。
精霊に関しては「マナの塊」と捉えるか「意識集合体(一個人)」として捉えるかでだいぶ違う気がする
- 111 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/01(日) 17:28:45 ID:7UKOHd2O0
- 保守代わりに現在までの生存している参加者の登場話数を数値にしてみました。(wikiが分割掲載の場合は1とカウントしてます)
SO2
クロード:計9話(25、39/63、84/92、94、97、98/109) レナ:計7話(4/59、66/87、93、102/107)
アシュトン:計10話(23、34、47/55、59、71、82/97、103/110) プリシス:計8話(6、34/71、81/93、99、102/107)
ボーマン:計7話(32/70、85/91、97、103/110) レオン:計8話(11、46/62、82/87、93、102/107)
エルネスト:計8話(9、18、48/56、79/100、101、105/)
SO3
フェイト:計8話(OP、8、48/56、79/100、101、105/) ソフィア:計8話(30、50/69、78/89、96、103/110)
クリフ:計9話(12、36、51/72、77/88、96、103/110) マリア:計10話(OP、16、45、49/60、70/94、97、104/108)
アルベル:計10話(3、20、40/66、82/87、93、99、102/107) ブレア:計6話(14、43/65、76/98/109)
VP(レナスはルーファスに憑依後の話もカウント)
レナス:計9話(OP、35、50/69、78/89、96、103/110) レザード:計8話(22、43/65、69、78/89、96、103/)
ルシオ:計6話(25、39/61、73、83/104/) 洵:計6話(5、49/60、73、83/104/)
ブラムス:計8話(27、38/69、78/90、100、101、105/) ロキ:計8話(28、33/68、79/100、101、105/109)
RS
ミランダ:計5話(31/61、83、104/108)
TOP
クレス:計9話(16、45、49/60、70/94、97、104/108) チェスター:計8話(17/61、63、85/94、97、103/110)
クラース:計8話(9、18、48/56、79/100、101、105/)
こうして見ると人気キャラ=話数が多い訳じゃないんだな(ヅラは8話)
全体的にほぼ横並び(ミランダがトップ組とダブルスコアだが)因みにカッコ内の数が掲載話、/が放送タイミング。
- 112 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/01(日) 18:13:16 ID:ud41azQn0
- >>111
乙!
ヅラはあれだよ、1作1作のインパクトがでかいんだよ
やっぱりSO勢はやっている人も多いのか、話数も多めだね
それに引き換えRSは……かく言う自分もプレイしてなくてごめんなさい
- 113 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/02(月) 05:15:30 ID:S3sFJXjc0
- RSは色々と惜しい
- 114 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/02(月) 23:19:09 ID:gtVmeuzpO
- 超乙!
ヅラさんとロキはクラース達と会うまでぼっち期間が長かったからなあ
最近の目立ちっぷりに反して話数が少ないのは仕方ない
ミランダは……すでに死んだキャラにも話数が負けてそうなのが……
大丈夫さ、未だ無傷かつ本性が誰にもバレてない唯一のステルスだし、ミランダさんはこれからの人なんだよ、うん
- 115 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/07(土) 11:27:05 ID:QM3ngq0d0
- ブラムスの持ち物に棺桶あるんだけど、ロキにブン投げた後にミカエル戦に突入して
周りの木々が燃えても棺桶は無事なのね…
ヅラといい棺桶といいブラムスの持ち物には炎耐性100%のルーンでもついてるのかな?
- 116 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/07(土) 12:12:58 ID:q5pExNGaO
- >>115
ヅラの棺桶なら、ロキにゴシカァン! した後で袋にしまってる描写があったから、
多分大丈夫じゃね?
袈裟の方はボロボロに焼け焦げてる描写もあったけど。
それでもヅラが、ミカエルの炎ですら焦げ跡一つ付かない原理は不明だけどなw
- 117 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/07(土) 13:07:11 ID:QM3ngq0d0
- >>116
すまん、見落としてた。
あれ?じゃあ棺桶運びながら戦ってたのか?
それとも四次元ポケットみたいな袋って設定だっけ?
- 118 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/07(土) 14:40:27 ID:N5yMAq2H0
- どう考えても袋に入らないような物も難なく入るからきっと四次元
では何故参加者はそのことに触れないのか、だって原作でも道具袋は四次元だし
- 119 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/07(土) 16:38:42 ID:q5pExNGaO
- VP世界なら、使わないアイテムは普段マテリアライズを解いて非物質化して、
必要に応じてマテリアライズして使ったり装備したりしてる、とでも考えればいいけど、
ロワ参加者が全員それで納得するはずもないしなあ……。
何よりマテリアライズ自体、会場でかなりキツい使用制限が課せられてるし。
(神族とエインフェリア勢は肉体のマテリアライズ状態を強制&解除不能、
レナスはMP変換も原子配列変換も禁止)
- 120 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/07(土) 20:03:16 ID:uJn0WuAmO
- 115だけど、四次元説で妙に納得。と言うか気にしない事にしよう。
ヅラムスは理屈じゃ語れないよね!
つまらん疑問出してしまって失礼。
- 121 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/07(土) 21:56:15 ID:LuC8IHZe0
- そういえば予約してた二人はどうなった?
少し前に全版規制がどうのって聞いたが巻き込まれた?
- 122 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/07(土) 22:21:48 ID:vhfN2Szh0
- 少なくとも避難スレに動きはなかった
どうしたんだろうな……
- 123 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/07(土) 23:57:36 ID:SnL2JxFO0
- 書けるかどうかテスト
- 124 名前: ◆wKs3a28q6Q :2009/03/08(日) 00:00:09 ID:SnL2JxFO0
- よし、書き込めた
予約期限(1週間にしろ10日にしろ)を大幅にオーバーして申し訳ありません
明日か明後日に投下させて頂く予定です
勢いづいていた時に長期にわたるキャラの拘束をしてしまい申し訳ありませんでした
あと原作のゲームも馬鹿みたいな荷物量で旅してますし、デイパックはそういうノリなんじゃないかと解釈しています
- 125 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 00:17:56 ID:nR1eSdoi0
- >>124
投下来る!これで勝つる!!!
- 126 名前: ◆MJv.H0/MJQ :2009/03/08(日) 00:41:54 ID:3yWmis4i0
- 申し訳ありません、もう暫らく掛っちゃいます
もっと全体の流れを練ってから予約すべきでした。期限に間に合わなくなってしまい本当にごめんなさい
- 127 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 11:56:07 ID:X9TUSaWcO
- 期限が10日だから、投下までは十日だね!
ナンチャッテアハハ
- 128 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 12:52:17 ID:iLToPm2NO
- >>127のところに棺桶で桃白白ごっこをしている怪人が飛んで行ったが、見なかったことにしよう
- 129 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 00:28:56 ID:IZ4DaGJL0
- ,'^^⌒^^ヽ 人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人
., (レ=\レ/レ=ゝ < すごい駄洒落を感じる。今までにない何か面白い駄洒落を。 >
| (゚)=(゚) | < ダオスをだおす・・・なんだろう吹いてきてる確実に、着実に、僕たちのほうに。>
| ●_● | < 中途半端はやめよう、とにかく最後まで言ってやろうじゃん。 >
/ ヽ < ツッコミ役にはマリアさんがいる。決して一人じゃない。 >
| 〃 ------ ヾ | < 信じよう。そしてともに戦おう。 >
\__二__ノ < 住人から自重を求められるだろうけど、絶対に流されるなよ。 >
YYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY
- 130 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 00:31:12 ID:1EhP1bvO0
- 時空剣士乙
アホな事言ってないで、期限の10日を過ぎちゃってるけど投下を待投下
- 131 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 01:23:38 ID:JeqAiOXD0
- >>129-130
おwまwえwらw
そっちに外道対主催と元祖変態と変態仮面と目覚めかけた変態が向かっているから気をつけるんだな!
- 132 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/09(月) 03:37:25 ID:Wsszh/iZO
- VP勢ロクなのいねえなw
目覚めかけた変態は某プリンか……
- 133 名前: ◆wKs3a28q6Q :2009/03/10(火) 04:17:32 ID:Cqy/QAOI0
- すみません、仕上がってはいるのですが、急用が入ったので3月10日の内に投下できるか微妙です
遅くても3月11日の内には投下できるので、もうしばらく延長させてください
- 134 名前: ◆Zp1p5F0JNw :2009/03/11(水) 01:06:26 ID:Yyc92dKT0
- >>126、133
了解。楽しみにしています。
予約中の作品に期待しつつ一応報告。
今更ですが、94話の作中にアーチェが支給品を落としていたという描写を追加しておきました。
それと、この前投下した作品の誤字脱字とか表現が変な所とかを軽く修正。
改めて見ると変な箇所が多く、推古が甘かった事が露呈してしまいました…。
もっとしっかりしなくちゃな。
- 135 名前: ◆Zp1p5F0JNw :2009/03/11(水) 01:08:34 ID:Yyc92dKT0
- 書き忘れ。
>>26
クロードはあと昂魔の鏡も持っているので、それの存在はまだ知らないかなと思って
ブレアの備考3は残しておきました。
- 136 名前: ◆wKs3a28q6Q :2009/03/11(水) 03:28:44 ID:yUdDJqJk0
- 夜分遅くですが投下させていただきます
大遅刻申し訳ありません
- 137 名前:To Destroy Nightmare ◆wKs3a28q6Q :2009/03/11(水) 03:30:29 ID:yUdDJqJk0
- F-05の森の中を2つの影が進んでいく。
レオンの前を行くアルベルが、このルートを行くことを提案した。
愚者の様に見えなくもないが、アルベルとて伊達に漆黒の団長をしていたわけではない。
戦闘のセンスだけでなく、戦術を練ることが出来て初めて強者たりえるのだ。
まだ幼いレオンに山道は厳しいことを承知の上でF-05を通るルートにしたのは、それが最善のルートだとアルベルの頭が判断したからである。
「おいガキ、あんまり遅れるようなら置いていくぞ」
誤算を上げるとしたら、レオンのプライドが思った以上に高かったことだろう。
疲労が溜まってきているであろう今、山道を余裕で行けるのは自分くらいだ。
これで組んだ相手がプリシスかレナだったら相手に合わせて平坦な道を行くところだが、小柄なレオンならさほど苦もなく担ぐことができる。
相手に気を配りながらノロノロと行くよりは、子供一人を担いで自分のペースで走った方が楽だと考えたのだ。
しかし結果はご覧の通り。レオンはアルベルに担がれることを拒否し、自分の足で歩いている。
「大丈夫だよ……迷惑は、かけないから」
レオンの意思は固い。
足手まといの自覚があるだけに、戦闘以外でアルベルに負担をかけたくないのだ。
「…………ふん。勝手にしろ」
進行速度を緩め、レオンの視界にギリギリ収まる位置をキープしながらアルベルは先を急ぐ。
わざわざ時間短縮のために山道を登り、周囲の警戒をせず全力疾走が出来る禁止エリアを突っ切ろうというのだ。
次の放送までに鎌石村の調査を終えられないようなら意味は無い。
襲われる心配が薄い反面エルネストら味方に出会える可能性も低いが、エルネストは村のどちらかにいるというレオンの推理を信じこのルートを選んだ。
そのことをアルベルは後悔していない。
勿論レオンもアルベルの提示した作戦に賛同できたし、納得の上でこのルートに賛同した。
だが……
(どんどん人気のない方に行くけど、大丈夫、だよね……?)
『同性愛疑惑のある相手の提案で、暗い森の奥まで二人っきりで進んでいく』というのが今のレオンの置かれている状況だ。
どうしてもレオンは一抹の不安を感じずにはいられない。
(まさかっ……いや、そんなことあるわけないよね……)
今にも鼻血を吹くんじゃないかというような表情に見えたアルベルも、今ではすっかりクールそのものといった表情だ。
心配はない…………はずなのだが、何故だろうか。
テレパシイやら本能やら守護霊やら第六感やら、とにかくその手の理屈を超えたものがオールキャストで「アルベルはヤバイ」と言っている。
いやいやいやありえないと心の中で反論しながら後を追うが、命の危機に直結しないだけに頭の中から離れない。
直結しない=今すぐ解決しなくても大丈夫な問題なわけで、なおかつ問い質すと今以上にギクシャクしそうとなると、『問題を放置するのが最適解』という結論に至ってしまうのだ。
危険の無いルートなため思考がつい“ソレ”へと向かってしまう。
勿論0というわけではないが、他のルートと比べれば危険なんて無いも同然。
身を隠す以外に禁止エリアに囲まれたD-05に居るメリットはないし、東側から移動する者も禁止エリアに誤って入ってしまわぬようD-06の通過は避けるはずだ。
後方と東以外警戒する必要がないのに、その2方向から誰かが来る確立は恐ろしく低いときてる。
実際想像以上の速度で移動できているし、これは大きなメリットだ。
それでもいまだに慣れないメイド服のせいでアルベルの予定よりは遅れ気味のようだが。
- 138 名前:To Destroy Nightmare ◆wKs3a28q6Q :2009/03/11(水) 03:32:28 ID:yUdDJqJk0
-
「ねえ、アルベルお兄ちゃん」
だから、アルベルに声をかけた。
よくよく考えればメイド服を着続ける意味は無いのだ。
起きたらメイド服で、その後も色々とあったせいで機会がなかったが、本音はずっと着替えたいと思っていた。
それに、レオンにとっては見慣れぬメイド服でも、もしかしたらアルベルにとっては縁のあるものなのかもしれない。
知人の武器が支給されていたのだ、知人の衣服が混ざっているケースがあってもおかしくはない。
殺し合いに参加していないアルベルの恋人の衣服だとしたら、アルベルのあのデンジャラスな視線にも一応の説明が付く。
ならば、脱ぐしかあるまい。
脱いで返せばアルベルの機嫌も良くなるだろうし、レオンとしてもアルベルを性的な意味で危険視しなくて済むようになるので一石二鳥だ。
貴重な時間を費やしてまで着替えることをアルベルが許してくれるなら、の話だが。
そう考え、勇気を振り絞ってレオンは言う。
「たいしたことじゃないし、その、言いにくいんだけどさ……」
ただでさえ自分が足を引っ張っている状況なので、正直脱衣の間待っていてもらうのは気が引けるが、離れ離れになるのは危険である。
先の記述通り敵襲を受ける可能性はとても低いが、はぐれてしまっては洒落にならない。
幸か不幸か森にいる間は誰とも会わず一人でも安全だろうが、目的地である鎌石村には危険が待ち構えている可能性が高いのだ。
まず合流を果たしてから入村しようにも、目的地まで待ち合わせ場所になりそうなものはない。
二人で村に行くためには、村まで別行動を取ることは許されないのだ。
要は脱衣したい旨を伝えて了承を得ないと着替えることが出来ないということである。
アホかと一蹴されるされるんじゃないかという不安と申し訳なさからか俯き気味で、上目使いで見上げながら懇願する。
「もう限界っていうかさ、その……服、脱いじゃ駄目かな……って」
- 139 名前:To Destroy Nightmare ◆wKs3a28q6Q :2009/03/11(水) 03:33:05 ID:yUdDJqJk0
-
アルベル
↓
___
/⌒ ⌒\ ━━┓┃┃
/( ○) (○)\ ┃ ━━━━━━━━
/::::::⌒(__人__)⌒:::: \ ┃ ┃┃┃
| ゝ'゚ ≦ 三 ゚。 ゚ ┛
\ 。≧ 三 ==-
-ァ, ≧=- 。
イレ,、 >三 。゚ ・ ゚
≦`Vヾ ヾ ≧
。゚ /。・イハ 、、 `ミ 。 ゚ 。 ・
※AAはイメージ映像です
- 140 名前:To Destroy Nightmare ◆wKs3a28q6Q :2009/03/11(水) 03:34:29 ID:yUdDJqJk0
-
(あ……ありのまま今起こったことを話すことすらままならねえッ! 何だ!? 何が起きてるんだ!?)
アルベルは焦る。女の子みたいだなと思ってた少年が突然脱ぎたいと言い出したのだ、誰だって焦る。アルベルでも焦る。
鼓動が高まる。薄っすらと赤らむ頬を冷や汗が流れた。
(なんだか分からねえが、とりあえず落ち着け俺……こんな事で動揺するような軟弱者じゃねえだろうがッ!
つーかまずコイツは男だ。んでもって俺も男だ。脱ぐ事は別におかしなことじゃねえ)
深呼吸し、上目遣いのレオンを見つめる。
思わず目を背けそうになるも、気をしっかり持ち睨み返す。
この程度で怯んでいるようでは漆黒の団長は務まらないのだ!
「よし脱げ、さっさとしやがれ」
『脱ぐことに抵抗が無い状況』ことと『脱いでもおかしくない状況』はまたちょっと別物なのだが、そこまでアルベルの頭は回らなかった。
故に男しかいないこのシチュエーションでレオンが脱ぐことに疑問を持たず(正確に言うなら、疑問を持ったが押し殺し)即答でレオンに脱衣を促す。
理由を聞かれるか、ふざけるなと一蹴されると思っていたレオンは、それに僅かな引っ掛かりを覚えた。
(よかった、脱いでもいいんだ……でも、なんだろう、何かものすごーく嫌な予感が……)
メイド服への執着心だろうと自身を納得させ心の奥底に封印していたものが再びハローと顔を出す。
もし仮にアルベルがソッチ系の人(精一杯気を使った表現)だとしたら、この脱衣は自殺行為なのではなかろうか?
脱衣に即OKを出した理由も、『最初からそれが目的だったから』と考えれば説明がつくのでは……?
レオンの中に徐々に焦りが生じてくる。
ちらりとアルベルの様子を見てみた。
何故かアルベルはこっちを見ている。必要以上に見ているようにさえ思える。
しかし今更着替えをやめるわけにもいかない。
やや上擦った声で「見張りをしててもらえる?」とお願いすると、アルベルは素直にその場から離れてくれた。
ぶらぶらと手を振り、「終わったら声をかけろ」と言うアルベルの顔が赤かった気がしたが、レオンは気付かなかったことにした。
レオンレオンと狂ったように迫ってこなければこの際いいやと思って着替え初めてしまうほど、レオンの中のアルベルの印象はアレらしい。
よっぽどよくない印象(性的な方面で)だったということだろう。
(悪い人じゃないのは分かってるんだけどなあ)
恩もあるし、殺し合いに乗っているなんて疑いはもう微塵も持っていない。
好きか嫌いかで言うなら、多分レオンはアルベルのことが好きである。
ただしそれは仲間としてであり、煩悩の数を逆さまから読むような薔薇色の感情ではない。
友人としてじゃれ合う分には問題ないのだが、性的な肉体コミュニケーションを求められても正直困る。
危険な視線くらいならまだ何とか耐えられるが、うっかり一線を越えた挙げ句腰を痛めてしまい戦闘に支障が出たら笑い話にもならない。
深く溜め息を吐き、レオンは上着へと手をかけた。
- 141 名前:To Destroy Nightmare ◆wKs3a28q6Q :2009/03/11(水) 03:35:48 ID:yUdDJqJk0
-
「う、うあっとと……!?」
左腕はやっと馴染んできたところだ、こんなくだらないことで駄目にするわけにはいかない。
故に右腕1本での脱衣を試みているのだが、慣れないメイド服を脱ぐ作業は簡単ではなかった。
「ふあっ!」
上着を脱ごうと片手で奮闘した際、バランスを崩して地面へと倒れこんでしまう。
地面が眼前に迫っていたにも関わらず『左腕を安静にしておかないと』という意識が働いたため、腕で庇うことなく胸を強く打ちつけてしまった。
本当なら腕はとっくに完治しているのだが、別れる前にレナがレオンに言っていたのだ。
腕を大怪我していたから治療した。しかし気を失うくらいギリギリの所で唱えたのでちゃんと治ったか分からない。だから念のためリハビリをしてくれ、と。
言われてから腕を振り回したところ、僅かに腕に違和感があった。
どの程度の怪我なのかは聞かなかったが、制限がかかっていたとはいえ回復のエキスパートであるレナが気絶する程度の怪我だったのだ。
安静にしておくに越したことはないだろう。
特に今は回復役のレナがいないのだ、傷が開いたら打つ手がない。
それを思えば胸の強打くらい何でもなかった。
ちょっと痛いし泥もついたが、起き上がって着替えを再開すればいいだけの話なのだから。
……あくまでも、“レオンにとっては”何でもないというだけなのだが。
「どうしたガキ! 何があっ……た……」
声だけを聞いたアルベルに入ってくる情報は、『見張りの最中突然レオンが悲鳴を上げて倒れた』ということだけなわけで。
敵の強襲じゃないかと考え、油断がなかったとは言いきれない自分に悪態を吐きながら慌てて駆けつけるのも当然なわけで。
そして当然着いた先に待っているのは襲ってきた敵ではなく、メイド服のまま地面に横たわるレオンなわけである。
小振りの尻をアルベルの方へと突き出すような体勢で、乱れたミニスカートからは純白の下着が見えていた。
レオンは子供なので下着もトランクスでなくブリーフである。
暗い中一部分だけをスカートの隙間からチラリと目撃しただけなら、女性用下着と勘違いすることもできるだろう。
まあ、つまりなんだ、要するに暗さも手伝ってその光景は『メイド服を着た小柄な美少女が尻を突き出すようにしてパンチラしている光景』に見えたのだ。
その姿を見たアルベルは頭がフットーしそうになる。
- 142 名前:To Destroy Nightmare ◆wKs3a28q6Q :2009/03/11(水) 03:36:44 ID:yUdDJqJk0
-
アルベル
↓
*o ゚ |+| 。*゚ +゚ } o |* o。! |!
o○+ | ∨ | {r|! *l: + |!*l::j o ○。
・+ ,-i| o.+ ___ 。*゚}‐ 、゚ + |
゚ |i | {r|! *l: /_ノ ' ヽ_\ ノヾ} |
o。! |! * .゚ /(≡)::::::(≡)\ レ ノ ゚|
。*゚ l ・ / /// (__人__) ///\o ゚。・ ゚
*o゚ | | ゝ'゚ ≦ 三 ゚。 ゚
。 | ・ o ゚ l\ 。≧ 三 ==-
|o |・゚ ,.‐- .ハ-ァ, ≧=- 。|
* ゚ l| / 、`イレ,、 >三 。゚ ・ ゚
|l + ゚o i `≦`Vヾ ヾ ≧
o○ | | ヽ. 。゚ /。・イハ 、、 `ミ 。 ゚ 。
・| + ゚ o } } ヽ O。
O。 | | リ、 ..::: .. l 。
o+ |!*。| / `ー:::: , ヘ:::::.. | *
|・ | ゚・ |/ / :::... .. /:::/ | ::..... { |
|_|\∧∧∧MMMM∧∧∧/|_|
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━━┓┃┃ ヽ| |ヽ ム ヒ | |
┃ ━━━━━━━━ | ̄| ̄ 月 ヒ | |
┃ ┃┃┃ / | ノ \ ノ L_い o o
┛
※無理矢理AAで表現した結果がこれだよ!!!(あくまでAAは作者による勝手なイメージ映像です)
- 143 名前:To Destroy Nightmare ◆wKs3a28q6Q :2009/03/11(水) 03:38:11 ID:yUdDJqJk0
-
いきなりの衝撃映像にアルベルの思考回路は思わず停止しそうになる。
さきほどから、いやもっと言うのならメイド服を着せた頃くらいから、アルベルはレオンに悪い意味でペースを乱されっぱなしである。
気持ち悪い事考えてんじゃねえよと自分自身に言い聞かせるも、油断するとつい男として道を踏み外してるような考えをしてしまう。
はっきり言ってアルベル本人にとっても不本意なことだ。
とはいえ、レオンを禁止エリアから助け出す際手を握った時や真面目に首輪の考察をしている時はレオンに欲情などしなかった。
レオンに対してあっはんうっふんな感情を抱きかけるのは、状況に余裕があるときだけである。
ただ分別があるだけとか、そんな余裕がなかっただけとか、そういう可能性もあるだろうが、
ノンケな自分を信じたいアルベルは、その理由をこう考えた。
あのガキは女みたいな容姿をしている。つまり先程からやたらと気になるのはレオンの性別に対する探究心のせいであり、性的な意味は一切無い。
アルベルの出したこの結論ならば、まだ男として道を完全に踏み外したわけではない。
大変歳が離れているが、一応レオンが女ならば仮に劣情を抱いても(男としては)問題がないことになる。
良識ある大人なら「このロリコンめ」となるところだが、いろんな意味でそこまで頭を回している余裕がない。
だがそれも無理はないだろう。何せ薔薇色の漢の世界に足を突っ込むかどうかの瀬戸際なのだから。
ツルペタ幼女説の真偽を確かめたいアルベルだが、どうすれば遠まわしに聞けるのかいいアイデアが浮かばない。
立ち上がって擦りむいた太股を摩る姿はどう見ても少女。女という可能性はゼロではない、いやむしろ結構高い気がしてきた。
余計な思考を今後再発させないためにも、アルベルとしてはここで性別問題の決着を着けておきたい。
(…………ん?)
何か言おうとして、ふと気が付く。
冷静になって考えれば分かることだが、裸体を見せたいなどという色ボケした理由でもない限り、こんな場所で服を脱ぐ理由なんて『別の服に着替える』以外にない。
だがしかし、レオンにメイド服を着せたアルベルは知っているのだ。
他に衣服の類は誰も持っておらず、故に嫌でもメイド服は着続けないといけないのだという事を。
しかし、自分には思いつかないような方法で他の衣服を手に入れた可能性もあるので、念のため聞いてみる。
「なあガキ、お前着替えるつもりなんだろ?」
「え? う。うん、そうだけど……」
自分に対してまだ少し萎縮しているレオンに若干の苛立ちを感じながら、アルベルは質問を続ける。
「何に着替えるつもりだ?」
その高圧的な物言いがコスプレを迫る変態さんに見えないこともなかったが、レオンは必死にアルベルに対する性的な方面での恐怖心を押し殺す。
「え、あの、最初に着てた白衣だけど……」
思わず「駄目だった?」と言いそうになるが、「ああ駄目だ」と言われてしまうと困るのでグッと堪える。
ここで弱気な態度を見せるわけにもいかない。
これは男としてのレオンの股間、もとい沽券に関わることなのだ。
「いや、駄目も何も、その白衣はとっくに捨てちまっただろ」
何言ってんだクソムシがと言わんばかりに言い放つアルベル。
ちなみに、寝ている間に着替えさせられていたレオンにしてみたらそんな話は初耳である。
- 144 名前:To Destroy Nightmare ◆wKs3a28q6Q :2009/03/11(水) 03:39:25 ID:yUdDJqJk0
- 「ふ、ふえええええええ!? 何それぇ、聞いてないよ!?」
ぽかんと口を開け間の抜けた声を上げるレオン。
それを見たアルベルは、やっぱりかと言わんばかりに溜息をつく。
「血だるまにされたのを忘れたのか? お前の服も着続けていたら誤解を招きかねないほど血に濡れてたんだよ」
アシュトンに襲われた直後に意識を手放してしまったため、レオンは己の傷の大きさを知らなかった。
だが夕べの自分が完全に油断していたことを思うと、服が血まみれになるほどの傷を負わされたという話も嘘ではないだろうと思う。
彼がどんなに強いかは、長期間後ろを守ってきたレオン自身がよく知っている。
むしろ血まみれ程度で済んだのならラッキーと思うべきだ。
首と体に分断されていてもおかしくなかった。アシュトンにはそれだけの実力があるのだから。
それが一つの疑問となる。レナが気絶する程度の傷だったことも含めて考え、白衣を捨てられた件には納得できた。引っかかるのはアシュトンのことだ。
既に何人も殺していて疲労していたからレオンを仕留めそこなったのか、それともかつての仲間に手を出すことに躊躇いがあったからレオンを仕留められなかったのか。
レオンの中で、『プリシスの真意を伝えればアシュトンを味方に戻せるんじゃないだろうか』という甘い考えが生まれる。
それを若さ故に夢見がちなだけと言ってのけるのは簡単だが、夢見がちな少年を夢から醒めさせるのは簡単にできることではない。
長い長い旅を共にしてきた男にまだ情が残っていると信じたい。その純粋な想いから見る夢は、とても甘美で離れがたいのだ。
片腕を落とされた事よりも信頼していた仲間に裏切られたことの方にショックを受けるような少年なのだ、レオン・D・S・ゲーステとは。
だからといって、アシュトンと殺し合いを演じたアルベルに「アシュトンには説得の余地があると思う」と意見することはできないだろう。
彼は、この殺し合いに乗った者を許しはしないと思われる。そしてレオン自身そのスタンスには反対していない。
『自分が更生の余地を感じたから』などという理由では、そのアルベルに対してアシュトンの特別視を頼むことなど出来はしない。
プリシスなら説得に失敗しても殺される可能性はないが、レオンやアルベルは説得の失敗が即死に繋がる恐れがある。それもまた言い出せない理由の一つだ。
そう、わかっているのだ。自分がここで死ぬと首輪の解除がまた一歩遠ざかることも、アシュトンの説得はハイリスクの割りにローリターンであることも。
だがずっと思っていたのだ。戦闘で足を引っ張るだけの自分が嫌だと。何か自分にも戦闘で出来ることはないものかと。
襲われてしまった後で説得しようとしたら、結果的にアルベルの足を引っ張ることになるかもしれない。
それはいちばんやってはいけないことだ。それくらい分かっている。
一人のために別の一人を犠牲にする――ましてやその救う一人が殺人者なんてことは、許されることじゃない。
- 145 名前:To Destroy Nightmare ◆wKs3a28q6Q :2009/03/11(水) 03:40:58 ID:yUdDJqJk0
-
(だとしたら、方法は一つしかないよね……)
アルベルよりも先にアシュトンを見つけ、隙を突いて単独でアシュトンに接触する。
勿論二人で居るときにアシュトンが襲ってきたらこの作戦は使えないので、実行の条件は恐ろしく厳しいと言えるだろう。
だがもしもその時が来たら、アシュトンの説得はしてみようと思う。
プリシスと合流するまで、アシュトンを説得できるのは自分しかいない。
そう、今のところアシュトンの説得は“自分にしか出来ないこと”であり、同時に“自分にも出来る可能性があること”でもあるのだ。
村で先にクロードやエルネストといった仲間に出会えたらまた状況も変わるのだろうが……
とにかく、今それができるのは自分しか居ないのだ。
ならば、機会があれば成さねばなるまい。
(説得しなきゃ……それが一番いい方法なんだから……)
アシュトンは強い。敵に回したら被害も少なからず出てしまうだろうし、ルシファー打倒の戦力にするには申し分ない。
戦略面でもアシュトンを味方に引き込むメリットは大きいのだ。
勿論先述の通りアシュトンに固執してアルベルを失うような真似は避けるべきだと考えている。
アルベルや他の仲間を失うようなら早々にアシュトンの説得は諦めるだ。
だが、ベットするのが己の命だけならば、賭けてみる価値はある。
レオンのこの考えに、大きな誤りなどなかった。アシュトンの説得がまず不可能というただ一点を除けば、だが。
「まあ、何だ、とにかくあの野郎にはいずれ借りを返すとしてだ」
こえをかけられ、レオンの意識は現実へと引き戻される。
「俺としてはこれ以上無駄な時間を費やしたくないっつーかだな……」
血の話になった途端、それまで間抜けに呆けていたレオンは暗い顔をして俯いてしまった。
呆けていた時と一変した空気を察し、嫌な思いをさせたと感じてアルベルなりに気を使っているようだ。
キツい言い方になっているのは、こういう気配りにあまり慣れていないからだろう。
この殺し合いやかつての冒険で多くの人間と触れ合い、ようやく『誰かのために慣れない事でもしてやろう』と思えるようになったのだから。
「なんだよそのツラは……」
分かっていた事ではあるが、やはりアルベルは口は悪いが基本的に良い人らしい。
口でその事を伝えても本人は否定するだろうから決して口には出さないが、レオンはアルベルの優しさに少なからず救われている。
もしアルベルがいなければ、『自分にしか出来ないこと』を成そうとするあまり周りが見えなくなっていたかもしれない。
しょげていた時に見捨てられていたら、今頃再起不能になっていたかもしれない。
死んでしまうかもしれないというのに禁止エリアまで助けに来てくれなければ、そもそも自分は100%死んでいたのだ。
「べつに、なんでもないよ」
そんなことを思うと、つい口元が緩んでしまう。思っていた以上に、自分はアルベルに救われてるのだ。
少し変態的な所があるとは思うが、もう性的な意味でもそんなに怖いと思わない。
いろいろと自分のために動いてくれた優しい男が、性犯罪を犯すことはないだろう。
- 146 名前:代理投下:2009/03/11(水) 12:14:21 ID:idBndmFF0
- 「チッ……とにかくだ、無駄な時間を過ごしちまったからな」
レオンに背を向けしゃがみこむアルベル。
「乗れ。かっ飛ばすぞ」
レオンの目には、その背中がとても大きく見えた。
一方的に助けられていることへの負い目はあるが、これ以上心配をかけたくないこともあり、アルベルの要請に笑顔で答える。
「うんっ! 行こう、アルベルお兄ちゃん!」
アルベルの首に両手を回し、体重をアルベルへと預ける。
つい先程までなら体を密着させることに抵抗を覚えただろうが、今のレオンに躊躇いはない。
むしろ己の足を積極的にアルベルの腰へと絡めている。
勿論これは両者共に腕を負傷していることため振り落とされる可能性が高そうという理由からやっているのだが……
(くっ……よく考えたらコイツが女だったら女だったでこの体勢は色々とヤバイんじゃねえか?)
危険と無縁な状態のアルベルにはそんなこと関係ないわけで。
俗に言う『あててんのよ状態』にアルベルは顔を赤くし動揺してしまう。
いやまあ、当然レオンの胸は当てられるほど膨らんでいないし、股間の炎刃王もフリルまみれのスカートのおかげで感触は伝わっていないのだが。
それでも心はドッキンばくばくアルベル。
捲くれたスカートから覗く下着とめくれ上がった上着越しに見えたないしょのつぼみ――先程見てしまったその姿がなかなか頭から離れないようだ。
しかし『相手が少女であることを望んでたし、ロリコンねノックス』と彼を責めないでやってほしい。
地の文でノーマルな人間ですら何かに目覚めると明記されるほどレオンが可愛いのがいけないのだ。
とはいえ可愛いは正義なのでレオンに非があるというわけでないし、アルベルが人として『よっしゃあああッッ THE ENDォオ!!』なことには変わりないのだけど。
レオンは大変なものを盗んでいきました。アルベルの威厳です。
(くそっ、しっかりしろ俺! こっからが正念場だぞ)
くそみそ、もといクソムシと己を罵り、アルベルは正気を取り戻すべく頭を振る。
歪みのアルベルと呼ばれた頃の自分を、昔の冷酷だった自分を思い出せ。
クソガキ如きに心乱される男じゃなかっただろ、と心の中で何度も呟く。
「手、痛かった? ごめんお兄ちゃん」とレオンが耳元で囁いてきた。いやまあ、実際は身長差の関係でたまたま耳元にレオンの唇が来ていただけだけど。
赤く染まった頬が背負われたレオンから見えなかったのは幸いだろう。
仮に見てしまったとしたら、アルベルのうほエイトオーワン疑惑が復活し全体重を預けることができなくなっていたはずだ。
しっかりと抱きついていないと振り落とされる恐れがあるので、レオンのアルベルに対する(性的な面での)恐怖心がなくなったことはかなり大きい。
赤くなっているアルベルにはこのフォーメーションが悪影響に思えるが、今までも肝心な場面ではいつものアルベルに戻れていたので恐らくは問題ないだろう。
- 147 名前:代理投下:2009/03/11(水) 12:15:08 ID:idBndmFF0
- 「一回降りた方がいい?」
自分を支える腕が痛んだのではと心配するレオン。
少しでも負担を減らそうと力をこめて密着するほど逆効果だとは気付いていないようである。
「だ、大丈夫だッ! それより……」
スカート越しながら股間が密着しているので感触で性別が分かるんじゃないのか、などという品のない発想を頭から叩き出してアルベルが言う。
「今からもう掛けられるか? 一気に行くぞ」
何故かは知らないが、ここでは技を繰り出したり紋章術を使ったりするといつも以上に疲弊するらしい。
まだ一度も試していないため、レオンがどれくらいでバテるかは分からない。
故にここまでは紋章術を温存して地道に歩いてきたが、そろそろ実験を兼ねて使ってもいい頃だとアルベルは考えている。
奇襲の心配が少ないここなら安心して実験ができるし、スタミナ切れの心配がないようならこのまま突撃したっていい。
「うん、いけるよ!」
――チーム分けの後、アルベルが鎌石村へと続くこのルートを希望した一番の理由。
それが、D-04とC-05の禁止エリアの存在である。
奇襲の心配がないから全力疾走できるとは言え、この組み合わせでなければ禁止エリアを突っ切って村まで行くという作戦は取らなかっただろう。
楽に背負って移動できるレオンが、移動速度を上げる紋章術『ヘイスト』を習得していたのは僥倖だった。
レオンがヘイストを掛け、レオンを背負ったアルベルが禁止エリアを駆け抜ける。
単純な作戦だが、少しでも早く村に着くには最善の方法である。
大雑把にとはいえD-04とC-05の境界の方角に向かっているので、走り抜けなければならない距離は1エリア分にも満たないだろう。
「ヘイスト!」
レオンに初めて襲い掛かる疲労。
視線の先には、アルベルの首に回した左腕から覗く支給された腕時計。
現在の時刻さえ見ておけば、ヘイストのだいたいの持続時間が分かる。
あまりに早く効果が切れるようなら、時間のロスになるが進路の変更を検討しなくてはならない。
(いつでもまた唱えられるようにしなきゃ……万が一禁止エリアで切れても、動じずに唱えれば大丈夫だ……っ)
言い聞かせるように心の中で呟くレオン。
より一層力強くアルベルを抱きしめ、深呼吸で臨戦態勢に入る。
おそらくヘイストも唱えられてあと4回だろう。
4回目のヘイストの後、自分を回復してくれた後のレナのように自分も倒れる可能性がある。
できることなら3回以内で走り抜けたい。
「しっかり掴まってろ、振り落とされても知らねえぞクソガキ」
アルベルの頭にも、もう煩悩はない。
あるのは、生き残るために全力を尽くそうという意思のみである。
二人の命は、レオンのヘイストとアルベルの脚力に委ねられた。
やみを縫うように、アルベルは暗い森を駆け抜ける。
らんらんと輝く星空のように強い光を瞳に宿して。
なみだを拭い、もう泣かないと誓ったレオンは、必死にアルベルにしがみつく。
いろいろな人から貰った想いを胸に、自分にしか出来ないことを成す為に。
かすかな希望の光を信じて、二人の戦士が鎌石村へと駆けて行く――
- 148 名前:代理投下:2009/03/11(水) 12:15:59 ID:idBndmFF0
- 【F-05/深夜】
【アルベル・ノックス】[MP残量:90%]
[状態:左手首に深い切り傷(レナに治癒の紋章術をかけてもらいました。しばらく安静にすれば完全に回復します)、
左肩に咬み傷(レナに治癒の紋章術をかけてもらいました。しばらく安静にすれば完全に回復します)、
左の奥歯が一本欠けている。疲労小。ヘイスト]
[装備:セイクリッドティア@SO2]
[道具:木材×2、咎人の剣“神を斬獲せし者”@VP、ゲームボーイ+ス○ースイ○ベーダー@現実世界、????×0〜1、
鉄パイプ@SO3、????(アリューゼの持ち物、確認済み)、荷物一式×7(一つのバックに纏めてます)]
[行動方針:ルシファーの野郎をぶちのめす! 方法…はこのガキ共が何とかするだろ!]
[思考1:レオンと共に鎌石村へ。次の、ないしその次の放送までに鷹野神社に戻る]
[思考2:レオンの掲示した物(結晶体*4、死んで間もない人物の結晶体*1、結晶体の起動キー)を探す]
[思考3:エルネストを探す]
[思考4:レオンキュンハァハァ…こんなに可愛いんだし女の可能性も…はっ! 俺は一体なにを]
[思考5:龍を背負った男(アシュトン)を警戒]
[現在位置:鷹野神社内部]
※木材は本体1.5m程の細い物です。耐久力は低く、負荷がかかる技などを使うと折れます。
【レオン・D・S・ゲーステ】[MP残量:80%]
[状態:左腕にやや違和感(だいぶ慣れてきた)]
[装備:メイド服(スフレ4Pver)@SO3、幻衣ミラージュ・ローブ(ローブが血まみれの為上からメイド服を着用)]
[道具:どーじん、小型ドライバーセット、ボールペン、裏に考察の書かれた地図、????×2、荷物一式]
[行動方針:これ以上の犠牲者を防ぐ為、早急に首輪を解除。その後ルシファーを倒す]
[思考1:アルベルと共に鎌石村へ。次の、ないしその次の放送までに鷹野神社に戻る]
[思考2:結晶体*4、死んで間もない人の結晶体*1、結晶体の起動キーを探す]
[思考3:死んで間もない人の結晶体を入手したら可能な限り調査する]
[思考4:信頼できる・できそうな仲間(エルネスト優先)やルシファーのことを知っていそうな二人の男女(フェイト、マリア)を探し、協力を頼む]
[思考5:狩野であればアシュトンを説得したい]
[備考1:プリシスと首輪解析の作業をして確定した点
@ 盗聴器が首輪に付随している事。
A 結晶体が首輪の機能のコントロールを行っている事
B 首輪の持ち主が死ぬと結晶体の機能が停止する事
まだ確証がもてない考察
@ 能力制限について(62話の考察)
A 死んで間もない人間の結晶体が首輪解析に使えるかどうか]
[現在位置:鷹野神社内部]
139 名前: ◆wKs3a28q6Q 投稿日:2009/03/11(水) 03:50:17 [ gzi8KfOg ]
いじょうで投下を終わります
いささかネタに走りすぎたかなとも思いましたが、アルベルのアッーフラグ(?)をとりあえず戦闘に影響を及ぼさない形にしてみました
男同士の恋愛という色々デンジャラスな要素を含んでますが、個人的にギャグの範疇かなと思っています。
まずいようなら遠慮なさらず言ってください
また、修正箇所等ございましたらご指摘の方お願いいたします
- 149 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 12:23:58 ID:idBndmFF0
- 改行制限のため一部分割させていただきましたorz
アッールベルの心理的AAにいちいち吹かざるを得ないwww
戦闘的、信頼関係的には影響少なそうだが相変わらず変態になりつつあるなw
アレな表現は個人的にはこの程度なら十分ギャグの領域だとは思います
これがダメなら今までのもアウトな気が……
>>135
残すにしろエネミーサーチを追加した方がいいんじゃないかな?
- 150 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 18:54:37 ID:2ouqFPzJO
- とりあえず新作乙。
とうとうAAAロワにもAAという名の挿し絵が付きやがったかwww
俺もこの程度の二次ショタネタなら問題ないと思われる。
むしろパロロワを好きと言い張る変t……もとい紳士には、これくらいどうってこたぁn(ry
強いてアドバイスをするなら、もうちょいドタバタ風味を追加するとか、
三人称視点で二人のやりとりにツッコミじみた描写をしてあげるとかして、
ガチな二次ショタ臭を和らげるとかかな?
- 151 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 21:32:13 ID:OAuRMd2a0
- >>136GJ!!
>>141ではこんな事になってたんですねわかりますw
レオン尻
↓
レオン頭→Л λ←アルベル
テンポよく小ネタを挟んでて終始笑いを堪えるのに必死でしたww
元がいいけど>>150の言ってる所があれば更に面白くなっていたんだろうなと思います。
細かいですが状態表の現在位置が神社内部のままって所ぐらいでしょうか。
後こいつらが鎌石村行ったことで平瀬村方面の対主催勢力がクレスのハーレムになっている件についてw
- 152 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/15(日) 14:02:55 ID:9HM9hhJA0
- レオン君に発情しないでくれおん
- 153 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/15(日) 14:30:19 ID:KPznBG6X0
- マリアさんが、>>152をなぐりたそうにしている
- 154 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/17(火) 03:44:10 ID:KTVUIE+F0
- 保守がてら転載
------------------------------------------------------------------------
140 名前: ◆wKs3a28q6Q 投稿日:2009/03/15(日) 08:55:52 [ WjFqTkFU ]
また規制喰らったのでこちらに書かせて頂きます
感想およびアドバイスありがとうございました
アドバイスをもとに精進したいと思います
修正及び破棄の必要性はなさそうなので、wikiに収録させて頂きました
またその際指摘された現在地を神社内部から山頂に変更し、
さすがに時間経過が遅すぎるかなということで時間帯も深夜から黎明へと変更しました
------------------------------------------------------------------------
だそうです
修正とwiki収録、乙です
- 155 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 11:45:27 ID:weuP3C3iO
- 小説なんか書いた事のない俺でも書き手として参加して良いものでしょうか?
構想はあるんだけど。
- 156 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 13:38:04 ID:2FGfLEfe0
- >>155
ここは基本的に誰でもウェルカムだから気にする事はないと思うよ
むしろ新たな書き手キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!で大歓迎かと
構想すらできない自分にはうらやましすぎてたまらない
- 157 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/23(月) 16:59:23 ID:1xuQYsmY0
- >>155
よほどヤバい場合はちょっと修正頼むかもわからんけど、多分問題ないと思うよ
自主撤回以外で破棄になった作品って一つあるかないかなんだぜ?
- 158 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 19:58:45 ID:N8ob2HdGO
- それでは参加させていただきたいと思います!
その前に質問なんですが、
現状で、これだけはやってはいけない展開、というものは有りますかね?
書き手の心得に「フラグは大切に」とあるんですが、どこら辺までがフラグなのかがイマイチ分からなくて。
- 159 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 20:01:01 ID:LoTkHqcD0
- ふむ、自分も正直フラグ云々は分からないんだよな
ただ「他人が書いた作品を大事にしよう」って気持ちを持ってたら致命的ポカとかはやらかさないんじゃないだろうかと思う
大切にしようって気持ちが大事だよ、うん
- 160 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 20:55:28 ID:TcqXHoHE0
- >>158
2chパロロワ事典@Wikiから
ttp://www11.atwiki.jp/row/pages/63.html
これを見ればある程度、フラグの重要性が分かるような気がする?
他ロワの自分の例としては
あるヘタレステルスマーダーにあるフラグを持たせたら
次の話で覚醒フラグとして調理され、覚醒マーダーとして活躍するようになったのだが
私的には対主催フラグだったんだよwwwこれがwww
と、まあフラグを気にしすぎると身動きできなくなる可能性があるから
気にしつつ、気にしない程度にほどほどに
- 161 名前:155:2009/03/24(火) 22:12:59 ID:N8ob2HdGO
- 名前つけ忘れました。申し訳ない。
つまりは、
「レザード寝返りうったら禁止エリア入って死んじゃったよ〜」
などとフザけすぎるのは論外として、
とりあえずキャラの行動方針に沿って動かせば結果は問わない、くらいの認識で良いですか?
- 162 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 22:15:27 ID:LoTkHqcD0
- いいと思います
万が一問題があっても俺はフォローに回らせてもらうぜ!
だから、さあ、勇気を出してトライでーす(トライエース)
- 163 名前:155:2009/03/24(火) 22:46:53 ID:N8ob2HdGO
- ではクリフ、ボーマン、レザードを予約させていただきます!
マリアさんを動かす予定は無いので時空剣士対策は誰かに任せた!
- 164 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 22:53:28 ID:LoTkHqcD0
- >>163
落ち着けハマーD!
予約をするなら鳥が必要だと思うぞ!
ゲリラ投下なら名無しでも多分問題ないけど
- 165 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/24(火) 22:57:08 ID:r8m5qDMk0
- >>163
新人さんの予約来たー!
>>162
そっちにシスコン侍が向かったから気をつけろよー
そういや変態仮面組の動向が放送が全くなかったような……
- 166 名前:155:2009/03/25(水) 00:06:44 ID:5A54FlZLO
- >>164
ド素人で申し訳ない。
鳥って書き手さんのIDみたいな名前の事ですか?
後で調べてきます。
- 167 名前: ◆DaUG6Fo/Lc :2009/03/25(水) 00:25:43 ID:mFf0zgaP0
- 「調べる」と心の中で思ったら!
その時すでに俺が教えているんだッ!
@名前欄に「半角の#」をつけます
A#の後ろに適当な数字を入れます(個人情報は避けるが吉)
Bそれで書きこむとあら不思議、名前欄が『◆+不思議な文字列』に!
ようはIDとは違う個人認証みたいなものです
数字がバレなきゃ同じ鳥にならない、なりすまし不可なコテハンみたいなものね
だから数字は覚えておく必要があるので注意
ためしに#1192296でやってみるといい
俺の名前欄みたいになるから
- 168 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 00:39:20 ID:sdwL27dQO
- 予約ktkr!
しかも新規書き手の!!
精神ポイントを大量消費するがこれをせざるを得ない。
つ『期待』『激励』
- 169 名前: ◆DaUG6Fo/Lc :2009/03/25(水) 00:43:59 ID:gM8BjeTz0
- >>167の親切が!
「言葉」ではなく「心」で理解できた!
かな?
ありがとー兄貴。
数字は7桁以外ダメなの?
- 170 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 00:57:58 ID:mFf0zgaP0
- >>169
うんにゃ、7固定じゃないよ
俺は8桁の使ってるし
ただ短いとよろしくなかったはず
5〜8文字にしておくのが無難かと
- 171 名前: ◆CR5Lmm.00c :2009/03/25(水) 01:03:44 ID:3zOSxxcU0
- トリップは英数も使えなかったっけ?
ちとうろ覚えなので英数も交えてテストさせていただくよ
ついでにこんなものも見つけたので貼っておく
ttp://www.dawgsdk.org/tripmona/tools
- 172 名前: ◆drozdMh63U :2009/03/25(水) 01:12:39 ID:hcTzTnHIO
- 鳥は全角でもオーケーだったりするが全角だと頭2文字までしか認識しない
たとえば「#チンケシーフ」と「#チンケスレイヤー」は同じ鳥になる
- 173 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 13:02:39 ID:E0qv8mLLO
- おおお!!
新書き手さんキター!!
楽しみにまってる。
- 174 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 16:53:14 ID:mFf0zgaP0
- >>171
GJすぎる
ていうかお前らほんと何人潜伏してるんだw
- 175 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/03/25(水) 20:09:32 ID:5A54FlZLO
- では改めまして、鳥はこれで
クリフ、ボーマン、レザードを予約させて頂きます!
皆さん色々ありがとうございました!
でも期待はあんまりされると困ります…
- 176 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 22:09:44 ID:3zOSxxcU0
- >>175
改めて予約来たー!
無理しない程度にがんばってください
後、延長しそうになったらご一報いただければなおうれしいです
>>174
何か話のネタが投下されるとわらわらと出てきちゃうのはもはや仕様かと
しょうがないよね
- 177 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 22:47:16 ID:mFf0zgaP0
- ですよねー
予約期待しています!
・・・・・・結局予約期間ってどれくらいになったんだっけ
- 178 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 22:48:57 ID:Z6gsGrc50
- ,'^⌒^ヽ
.,((レ=レ=レゝ
ピューレ、d ^ -^ノ <仕様だけにしょうがないよね
=〔~∪ ̄ ̄〕
= ◎――◎ クレス・アルベイン
- 179 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/03/27(金) 00:56:29 ID:dNqzz62IO
- >>176
了解です。
いざとなったらレザードの出番を少し削る予定ですw
>>177
一応7日〜10日で考えてますが。
なので、来週末くらいには…出来るといいな。
>>178
マリアさんは動かす予定が無いのでry
- 180 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/28(土) 20:16:26 ID:BoPS7xSTO
- えーと。どこに書くべきか迷いましたが、応援の意味も込めて。
別ロワで書き手をやっているのですが、最新投下で、この企画で出たアイデアが役立ちました。
オペラVSヴォックスの玉手箱の中身決定は、結果も話も面白かったですし、掲示板って環境が活かされてるなぁと感じたもので。
あれを読めたことが嬉しかったですし、作品を書ききるための要素がもらえてありがたかったです。
ステルス苦手なので普段は読み専ですが、近作も高質な戦闘、硬軟相半ばしたキャラ描写、収束する状況と、
毎回楽しみに読ませていただいてます。書き手としてもモチベーションが上がります。
月並みですが、頑張るというか、楽しんで進められるように祈ってます。
- 181 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/03/28(土) 22:12:36 ID:5cg4fDua0
- >>180自分なんかの作品をそんな風に言ってもらえるなんて恐縮ッス。
あの話のアイディアも>>180の役に立てて貰えて嬉しいですし、何よりそう言って貰えて俺もモチベーション上がっちゃいますわw
自分は他ロワには行かないのでどこのロワかわかりませんが、同じ書き手同士企画が成功するよう頑張っていきましょう!
もしよろしければどこのロワか教えていただけませんか? 他ロワがどんな感じなのか気にはなっていたもので。
- 182 名前: ◆69O5T4KG1c :2009/03/28(土) 23:11:06 ID:BoPS7xSTO
- >>181
宣伝になるのも微妙だと思って伏せてました。サガロワです。
同じゲーム系のロワなんで、バトル、とくに乱戦は読んでて勉強になるなあと。
激励もありがたい……マイペースでやっていけたらと考えております。
- 183 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/28(土) 23:20:58 ID:mppnbCA00
- 感想ッ! こんなに嬉しいことはないッ!
またいつでも読みに来てやってくだせえ
しかし墓見てて思ったけど、ラジアータキャラのみならず、スターオーシャンキャラですらAAない奴多いんだなあ……w
更新する人のセンスが見られて違うAAでも十分面白いけどさw
- 184 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/29(日) 01:05:50 ID:YGpWuTF/0
- >>182よっしゃ ちょっくらサガロワ行ってくる
>>むしろAAAゲーキャラのAAをほとんど見ないな。
個人的にはいまみたいな感じにネタに走っててもらった方が好きだからこのままでいいっすけどねw
- 185 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/03/31(火) 20:16:20 ID:IynG1MLLO
- クリフ、ボーマン、レザードの予約した者です。
申し訳ありませんが、一週間の期限ではやはり無理でした。
進み具合はようやく半分くらいでして…
一応明日の夜辺り、今まで書けた分をしたらばの試験投下スレに
投下してみようと思ってるんですが、あのスレそういう使い方して大丈夫なんですよね?
- 186 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/31(火) 20:34:06 ID:/PNkYpPK0
- >>185問題ないっすよ。
ただ、期限過ぎたからって無理に投下したり破棄する必要はないよ。
今回みたいに定期的に報告があれば住民は納得してくれるだろうし。
もちろん先に完成してる分を投下して後日完結編を投下ってのでも構わないと思うけど
その場合はどうなるのかな? 先に投下した分に続けて予約って形になるのか? その辺はちょっと前例がないからわからないや。
- 187 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/01(水) 10:00:27 ID:llBLgDRkO
- 途中まで投下して即予約じゃあいつまでも独占になるからやめた方がいいと思う。
投下後しばらく期間おいてから予約ってのがいいかな
勿論予約が入らなかったら完成後即投下していいと思うけど
- 188 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/04/01(水) 19:36:31 ID:U3FjfHgr0
- 確かに書き終わってもない内に投下する必要は無いんですよね。
混乱させる事になってもアレなんで止めておきます。
とりあえず、予約は延長という事で宜しくお願いします。
しかし小説書くのって難しいですね。
他の書き手さんの作品が映画だとしたら、俺のは紙芝居のようです…
- 189 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/01(水) 23:27:33 ID:FX1NXo5d0
- >>188そんなあなたに規制中の書き手よりしたらばにメッセージが届いてます
141 :名無しのスフィア社社員:2009/04/01(水) 20:57:45 ID:yzYKH8YU
よし、木端書き手の俺からアドバイスだ
書いてる時は全力で自惚れとけ
投下中も「まあ合格点だな」と思って投下しとけ
そして投下後に布団の中でバタバタするんだ!
何か洒落にならない問題があったら指摘されるから、なっ!
しかしAAA,地味な新作特設ページを今日更新してるけど、あれってエイプリルフールネタなのかしら・・・
と、ここまで書いてまた規制されてることを知った
いい加減規制(いい加減にせい)って感じだわ畜生・・・
- 190 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/01(水) 23:47:04 ID:FX1NXo5d0
- 時空剣士乙って感じだが書き手の端くれの自分からも一言
隣の芝生は青く見えるもの
そりゃベテラン書き手の作品と比べたら文章の語彙力とかの差があるのは仕方ないかもしれないが、
ここだけは負けないって所があればそれだけで面白いものになると思うよ。
プロットやアイディアの質は経験値に依存しないしね。
- 191 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/02(木) 02:20:20 ID:oa/I5KJ30
- 時空剣士は自重したらいいと思うが、皆の優しさに全俺が泣いた
書き手ではないけれど、密かに応援しています
- 192 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/04/03(金) 00:50:40 ID:So9geEkIO
- アドバイス、激励どうもありがとうございます!
自分の作品読み直してちょっと凹んでましたが、
とりあえず書き終わるまでは勘違いしときます!
- 193 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/09(木) 00:49:13 ID:6hFA4LgC0
- 保守しいほしゅいよ!
- 194 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/09(木) 06:19:41 ID:a/HGA0Sr0
- >>193
時空剣士よ、噛んじゃ駄目だろうよw
- 195 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/09(木) 23:46:40 ID:JLWi3Srj0
- そういやまだ大集団って出来たことないよな
最大でも4人パーティーか
- 196 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/04/10(金) 00:15:53 ID:d0w29YqDO
- クリフ、ボーマン、レザードを予約した者です。
本当に申し訳ありませんが、まだ書き終わってません。
現在の進行状況が8〜9割くらいなので、もう少々お待ちください。
- 197 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/10(金) 01:09:50 ID:oFhqdD/rO
- >>196了解っす。
後通しで完成して早く投下したくなっても時間を置いた後通しで一度読み直してみるといいよ。
俺みたいに投下してからなんて後悔することが減るから。
- 198 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/10(金) 01:58:26 ID:6bubF8Oq0
- >>195
ニアミス多いからなあ
「氷川村」って一括りにしてイメージするとレナ・ディアス・レオン・アルベル・プリシス・アリューゼと結構な大所帯なんだが
あと一応すぐ死んだけどアーチェ・ジャック・ネル・アリューゼ・プリシスの5人組があったはず
>>196
了解しました
楽しみに待ってるんだぜ!
あとwiki更新した人乙ー
最近はいろんなロワでAAのタグ使ってるけど、{}の数が一定じゃなくてよく分かって無かったんだよなあ
- 199 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/10(金) 03:02:29 ID:+nWpHVxb0
- >>196
おお、がんばってください!
wktkしながら待ってます
>>198
別のwiki(pukiwiki)でこっそり見てみたら{}が2つずつだったので、
当wiki(@wiki)でもできるかどうかテストしてみました
なのでどの数が正しい表記かは実のところ分かっておりません
むしろ数がいろいろなのを今知ったくらい……
編集でプレビュー押した時の整形ルールにAA関連の項目が乗ってなかったので、
試行錯誤を重ねてああいう風にやってみました
- 200 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/10(金) 09:27:03 ID:6bubF8Oq0
- そっかー
多いなら2個で正解かな
改めて乙でした!
- 201 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/04/15(水) 22:33:45 ID:2bvUGhkf0
- 予約期限は10日でいいんですよね?
誰だろう、一昨日の深夜にあんな電波飛ばしてきたのは?
フェイト、エルネスト、クラース、ブラムスを予約します。
- 202 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/15(水) 22:38:42 ID:yJXCxogw0
- 予約期限はいつもあなたの心の中に……
予約期待だぜイヤッハーーー!
- 203 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/17(金) 22:47:03 ID:sNsVBVdq0
- 予約来てたー!
これで放送後、全員動くのか?
- 204 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/18(土) 00:08:26 ID:1aKf9pom0
- 洵とルシオの人が音沙汰無いが何かあったのだろうか?
- 205 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/04/19(日) 14:42:44 ID:W/vrBuI20
- 思ったよりもあっさり完成したんで投下します。
それと先に誤っておきます。いろいろとすまん↓
- 206 名前:大空への翼:2009/04/19(日) 14:44:49 ID:W/vrBuI20
- 焼け野原と化した平地の一角に4つの人影が蠢いていた。
その人影の中の一つ。
碧髪の青年フェイト・ラインゴットは食い入る様に読んでいた一枚のメモ書きを読み終えるとその顔を上げた。
そこで彼はそんな自分の様子をニヤニヤと眺めていた二人の中年男性の生暖かい視線に気が付いた。
「何をそんなにニヤついているんですか?」
そんな彼らに対してフェイトは不満の声を漏らす。
「いや、何ってなぁ? エルネスト」
問いかけられたクラースが隣に立つ金髪三つ目の男性に誤魔化す様に声をかけると、
「これも若さが為せる業か…」
エルネストは何やら遥か遠くを見つめる目をしながら答えた。
「とにかく! 仲間の居場所がわかったんです! 一刻も早く合流しましょう!」
気を取り直すように声を上げたフェイトだったが、この発言で目の前のおっさんは更にニヤニヤを加速させる。
仕舞にはクラースが鳴子をカラカラと鳴らしながらフェイトの背中をバシバシと叩き、
「そんなに手紙の差出人の彼女の事が気になるのか? フェイト少年!?」
と笑い出す始末。
「そりゃそうですよ。幼馴染なんですから!」
正直性質の悪い酔っ払いのそれと大差ないウザさを感じたフェイトは適当に彼をあしらおうとしたが、
絡みっぷりも酔っ払いレベルになっているクラースを追い払う事は適わなかった。
「我もフェイトと同意見なのだが、お前達はどうするつもりなのだ?
少なくともここで無為に時が流れていくのを待つのは避けたいのだがな」
この集団の中の唯一にして絶対の異質者。
どこから突っ込みを入れればいいのか考える事すら放棄せざるを得ない不審人物ブラムスが、
その見た目とは裏腹に至極まともな発言で以って脱線しかけていた一同を呼び戻す。
その一言で生まれてからハイスクールに入学するまでをダイジェスト版で回想していたエルネストが口を開く。
「すまなかったな。だが、動き出すには若干早い。もう直ぐ放送が始まるだろうから、
そこで発表される禁止エリアを考慮した上でルートを決めようではないか。
それまで手持ちの品を整理しておこう。それで構わないな? ブ…ブラムス」
最後に目を見て彼の同意を確認しようとしたエルネストではあったが、いつまで経っても慣れる事が出来そうもない異様な風貌。
ハゲヅラを常時着用といったふざけた外見とは対照的に、
赤く禍々しい光を爛々と放つ一対の瞳を持つこの変質者を直視する事は彼には不可能であった。
「うむ」
そんなエルネストの様子に気分を害する事も無くブラムスは彼に同意した。
- 207 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/19(日) 14:46:22 ID:jYaCzOuB0
- きたあああああああああああああああああああ
支援!
- 208 名前:大空への翼:2009/04/19(日) 14:46:28 ID:W/vrBuI20
- 円形にその場に座りその中心に持ち物を広げ始める一同。
その中にはミカエルの遺体からブラムスが今後の役に立つであろうと回収した首輪もあった。
その首輪を拾い上げさまざまな角度から観察するエルネスト。
彼も文明の発達した惑星の出身ではあるが、どの様な構造なのかは見当がつかなかった。
「少なくとも、リモートで爆破が出来るのだから何らかの電波を受信する装置や、
禁止エリアで爆発するのを考えると位置情報を送信する装置はありそうなんだがな…。
だが、それ以上はわからないな。フェイトはどうだ?」
エルネストから首輪を手渡され、彼がそうしていた様に一頻り観察をした後に
「そうですね…。ルシファーが言っていた制限ってのもこの首輪を通して僕らに作用している可能性もあります。
だた、体に紋章も施さずに人間の持つ本来の力を抑止する様な働きを持たせるというのは、
僕の時代の紋章工学でも理論すら確立していません。
正直僕にはお手上げです」
と、自分の仮説の内の一つ『首輪が能力制限を行っているのでは?』という考えを口にした。
もう一つの『本人に対してプログラムで能力を改変しているのでは?』という仮説は口にしないでおいた。
前者はまだ首輪を解除する事で能力制限からも開放されて脱出が可能になるが、
後者の場合脱出に際して更なる難問が浮上する事になり一同を混乱させるだけに成り兼ねないからだ。
「私の知り合いの使う術に相手の声を奪うものや、身体能力を低下させる効果を持つものがあるが、
その様なものをその首輪を解して作用させているのではないのか?」
「うむ、確かにな。呪いの品という物は、装着者に対しなんらかの枷を強いる物である事が多い。
高度な知識の下で行われた儀式によって、この首輪にそのような効果を付加させた事も考え得るな」
機械技術に関してはさっぱりなクラースとブラムスも、
この様な魔術に関連した事柄ならばフェイトやエルネストよりも遥かに知識がある。
「解体出来れば話は早いんだがな…」
「そうですね…。でも工具も無い今の状態じゃ不可能ですね」
結局は推論を並べるしかない現状ではこれ以上の事は望めそうも無いので首輪をフェイトのデイパックにしまった。
- 209 名前:大空への翼:2009/04/19(日) 14:49:16 ID:W/vrBuI20
- 次に注目したのはクラースがロキより逃走する際にドサクサに紛れてぱくってきたデッキブラシだ。
地面に横たわるデッキブラシを物珍しそうに眺めた後にブラムスはそれを拾い上げた。
付属の説明書を声に出して読み上げる。
「ふむふむ『これと赤いリボンと黒い服で、あなたも立派な魔女オタク』……オタク? オタクとは何だ?」
生まれて始めて耳にする単語の意味を求め周囲の者に誰と無くたずねるブラムス。
「ええっとですね。オタクと言うのはメジャーではない物を集めたり、楽しんだりする人の総称って所でしょうか?」
フェイトがあれやこれやと考えを巡らせた末に当たり障りの無い回答をした。
「そうだな。フェイト。概ねその様な認識でいいだろう。
しかし! その説明書の記述は間違っていると言わざるを得ない!」
そんなフェイトの回答に同意しつつも何故かエルネストが声を荒げた。
「そもそも、魔女っ子=黒服にチャームポイントである大きな赤いリボンというスタイルは
宇宙暦を生きる我々にとって過去の遺物であると言っても過言ではない!
その様な地味な衣装では、昨今の群雄割拠する魔法少女界では生き抜いていく事は出来んのだ!」
「はぁ…」
いきなり熱弁を開始した中年男に些か冷たい視線を送りながらフェイトが相槌を打つ。
「確かにコスチュームのメインとなる色は白や黒でも構わないが、
そのコスチュームに配置されるオプションはメインとなる衣装を引き立てつつも、
それら一つ一つがある種の萌えの記号の象徴として存在していなければならないのだ!
そして、それらが互いに引き立て合う事で初めて完成された魔法少女となるのだ。
それをなくして箒に跨って空を飛ぶなど愚の骨頂!」
最早呆れるしかないフェイト。
身近な魔女っ子の姿を思い出し、(アーチェにそんなもの無かったがな)等と思っていたクラース。
そして、初めて聞く言葉のオンパレードで頭上にクエスチョンマークを浮かべ続けるブラムスが
講師であるエルネストに熱心な学生宜しく質問を投げかけた。
「では、具体的にどの様な衣装が適切と言えるのだろうか?」
そんな生徒の質問に回答をよこすべくエルネストは紙とペンを荷物から引っ張り出すとデッサンを開始。
数分後にはリリカルな衣装を身にまとった魔法少女のイラストを書き上げてブラムスに提示した。
こんなにも可愛らしい魔女っ子のイラストが、こんなにもむさいおっさんの手によって描かれるのだから
世の中には知らなくいい事が山程あるのだと痛感せざるを得ない。
「ふむふむ…。なるほど。つまりはこの様な衣装を着る事で初めて箒を使って空を飛ぶ事が出来るのだと言うのだな?」
何に納得しているのかわからないがしきりに頷くブラムス。
そんな光景の最中、突如夜空に浮かぶ月より放たれる光すらも遮り、放送を告げるべくルシファーの姿が現れた。
「ククク…ご機嫌いかがかな、諸君?」
そんな一言から第3回目の放送が開始した。
- 210 名前:大空への翼:2009/04/19(日) 14:51:33 ID:W/vrBuI20
- 「ブラムスさん! 今呼ばれた人の中にっ!」
放送が終了するや否や開口一番フェイトが焦りを露にして、同じように放送を聴いていたブラムスに詰め寄る。
「うむ、まさかあのレナスが殺されてしまうとは、些か信じがたいが…」
フェイトが焦るのも当然である。
聞いた話だとソフィアの同行者の中に、ミカエルと一対一で渡り合えるブラムスでさえ一目を置く実力者レナス・ヴァルキュリアがいる筈だった。
それほどの人物と一緒にいるのだから無事であると思っていたのだが、そのレナスがこの6時間の間に殺されてしまっている。
「落ち着くんだフェイト。この放送で君の彼女の名前は呼ばれていない。少なくとも今も生きているんだ」
そんなフェイトを宥めるエルネスト。
既に愛する人物も失い、この放送でも2人の戦友の死が告げられている。
それでも彼は取り乱す事無くこの若い仲間を気遣う。ここで彼に冷静な思考を欠いてもらっては困るのだ。
なにせ現在までに遭遇した人物で唯一の主催者の情報を握っている人間で、かつ過去に戦って勝利した事もある人物である。
ここで散っていった者の為。そして、まだこの地で生きている仲間の為にも
一刻も早くフェイトに冷静になってもらい、共に次なる脱出への一手を打つべきだ。
「ですけど、ブラムスさんが言う程の強さを持つ人を殺した人物とソフィアが出会っている可能性は高いじゃないですか!
なんとか逃げ延びたのかもしれないけど、大怪我しているかもしれない…。
もしかしたらまだ逃げている最中なのかも…」
「だからこそだ。ここで君が狼狽しているだけでは何も解決しない。ここは迅速に次なる目的地を決め、一刻も早く行動するべきだ」
尚も興奮状態のフェイトを正面から見据え、諭すように語り掛けるエルネスト。
なんとか彼の言葉を聞き入れたのか、フェイトも漸く落ち着きを取り戻した。
「す、すみませんでした。その…皆さんも仲間を失ってたりしているのに僕だけ不安に駆られて取り乱すなんて…」
伏目がちながらもしっかりとした口調で謝罪をするフェイト。
「まぁ、気にするな。それだけお前にとってその子が大切な存在だという事だ(俺も人の事を言えた義理ではないしな)」
エルネストが前回の放送時の失態を思い出しながらも彼を励ました。
「それよりもどうする?
私達の目的地は鎌石村だった筈だが、今の放送から察するに、なんらかのトラブルに巻き込まれたと判断するしかあるまい。
そうなるとヅラムスが連れと別れた場所周辺にまだいる可能性が高いぞ」
フェイトとエルネストのやり取りが終わるのを待ちクラースが口を開く。
「うむ。そうなると目的地が2箇所になるな…。
我と別れて今までの間に鎌石村に到着しているのかも知れぬが、移動中トラブルに巻き込まれ、そこで立ち往生している事も考えられる」
ブラムスが顎に手を当て思案するような表情をする。
深刻な場面な筈なのに彼の格好は頭頂部に一本残しのハゲヅラに焼け焦げた袈裟。
もうなんというか、コントの一場面にしか見えないのである。
ただ、そんなことに一々突っ込んでいる状況ではない。
あのオリジンでさえブラムスに対してのツッコミを口にせずに一同の話し合いの様子を見つめている。
- 211 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/19(日) 14:54:26 ID:oQMXABP10
- なんと、支援!
- 212 名前:大空への翼:2009/04/19(日) 14:54:56 ID:W/vrBuI20
- 「えぇっと。確か皆と別れたのは第2回放送の前でしたね?」
「うむ。その時間だと鎌石村を目指して移動している場合D−4を南に迂回してのルートを取っていると考えられるな」
「どちらかといえば村の方にいる可能性は低いが、それでも入れ違いは致命的になるな。
それに一刻も早く合流しなければならないこの状況。ここは二手に分かれるのがベストか…」
「周辺にはまだロキがいるやも知れんが止むを得んな」
「ではどの様に組み分けをするかだが…。私に提案がある。フェイトには鎌石村方面に行ってもらう。」
「な、何故ですか?」
少しでも早くソフィアと合流したいフェイトは不満の声を上げた。どちらかというと鎌石村の方にいる可能性が低いからだ。
「反論は最後まで聞いてからにしてくれ。
確かにフェイトの心情を鑑みれば幼馴染と早く合流したいだろうが、お前の今の脚で長距離移動ははっきり言ってタイムロスだ。
自転車を使えばとも思うだろうが進行ルートは山のそばを通る事になる。
そんな悪路に自転車を使っても大した移動時間の短縮にはならないだろう。
だから、お前には自転車で鎌石村を目指してもらう。残りの組み分けだが…」
「ちょっと待つのだクラース。乗り物は他にもあるではないか」
チーム編成を発表しようとしたところで今度はブラムスから横槍が入った。
見るとブラムスは先ほど興味を示していたデッキブラシを手に取っている。
「確かにそれは乗り物だが…。しかしそれを使うには…」
『それ相応の操縦技術を身につける必要がある』と言おうとした所でブラムスが更に割り込む。
「そうだ。先のエルネストの説明によると、これを使って空を飛ぶには特別な装束を身に纏う必要があるのだろう?」
「「「は?」」」
異口同音に疑問符を浮かべる一同を無視して更にブラムスは続けた。
「しかし、案ずるな。我は既にこの絵の少女が着ている衣装に酷似した衣類を持ち合わせている」
そう言ってゴソゴソと自分のデイパックを漁ってブラムスが取り出したものは、
正にエルネストが書いた魔女っ子の衣装に酷似したカラフルな魔法少女のコスチューム。
白を基調とした上着はセーラー服に似た形状の水色の襟と、その下の胸元にワンポイントのアクセントとして黄色い大きめなリボン。
そしてスカートは水色をメインとし、所々に白いフリルをあしらった職人芸。
更に、そのスカートを止めるベルトの中央部には、大きな赤いガラスをハート型の宝石の様に加工した物が埋め込まれている。
「「「何でそんなの持ってるんだーーーー!!」」」
一同は呆然とし、一拍の間を置いた後にまたしても異口同音に同じ台詞を口にした。
そして、今のブラムスが魔法少女コスを取り出している様はどう見ても、
住職のコスプレをした火事場泥棒がなんとか盗み出した一品である女子学生の制服をお披露目している光景にしか見えないのである。
この尋常ならざる光景に流石のオリジンも絶えかねて腹を抱え笑い出す始末。
そんなオリジンを横目に一同の質問に答えるべくブラムスが口を開く。
「我が着ているこの衣が入っていた衣装棚に一着だけこの異彩を放つ衣装が入っていたのだ。
他にあるのは我が着ているものと同じ物しかないのにも拘らずな。
それで我はこの衣装が今頭に装着しているナミヘーノカツラと同じく強力なアーティファクトではないかと考え持ってきていたのだ」
(こいつそんな事を考えながらあのカツラを被ってたのか…)
(無い。絶対にそれは無いから!)
(ってか、袈裟を入れているタンスに一着だけ魔女っ子衣装を入れているなんて、そこの住職何者?)
それぞれが、湧き上がる更なる疑問を胸中で呟く中、ブラムスは更に言葉を紡いでいく。
「これを着れば大丈夫なのであろう?
丁度我の今着ている装束も焼け焦げてしまっている事だしな。我が着ようではないか」
「「「「!!」」」」
最早ブラムスの奇行は留まる事を知らない。
一同が感嘆符のみを台詞とする中、ブラムスは装着したカツラを地面に恭しく置くと(着替えの邪魔になると判断したのだろう)
おもむろに袈裟を脱ぎマジカルチックな魔女っ子コスチュームに袖を通した。
その場にいる全員が彼を止める事すら出来ずに時を静止させていた。
そして、彼らは目の当たりにした。
着替えを終えクルリとターンしたブラムスの姿は↓
- 213 名前:大空への翼:2009/04/19(日) 14:56:26 ID:W/vrBuI20
- /:::::::::::::::::::::::/:レ! , /:〃::::::/ ,.イ _.. -::':Z.__
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/::::::::::::::::>::::::::::::::::::::\ト、::::N:::!:::'::::;:::;イ' ,厶ィ___:::::::::::::::::::::::::、:::\
_(二フニニ:-=ニ:::::/:::::::::::::::Σ` ``ヽ\i::/j/ 乙 ̄:::: ̄:::`ヽ::::::::\:::>
(二ニフ ,:'::::::::::::::::::::斤' 、 ' /,/ i`Yヾ:::、:::::::::::::\:::::::\
ゝ‐‐-く /:::::::::::::::::/:;メ ``ヽ ヽ,ヽ / _,.、- l N::::::;>、:::::::::::::ヽ:::::::::
`ーァ-' 〃:::::::::::ィ'´_ヽi 、 〉 く./ _,, ヽヾ/r;'´\::::::::::::::::::::
`´ヽ /,::::::::::::∧く ) | ,ィニ¬、_ ヽ、 r' _,. ‐;=-、 | i_!_}:/:::::\:::::::::::::
ヽ イ::::::::::::;:::ヘ 辷| ヾt:'tテ=≧′Yニ,r;tデァ'´ !Kノ /::::::::::::::\:::::::
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ヽ|:/,″|::::;::::::::::|^:, / ; ; `ヽ、 _/ ,'ト:'::::::\:::::::::::::ト、|
1 |:1::::::::::l ', _ _ i ; |__::::::::::::::ト、::::::::l
ヽ l/|::_:: -ハ ', ⌒='^ ,' /:|:::::T\::| ヽ::::l
ヽ \|/ ヽ :、.-ー:- ‐ 、,_ /::|::::::l,ィ ゙ヽ }::トゝ
ヽ ヽ \ - ' ̄`ヽ. /!:::ヽ∨{_
ヽ ヽ \ ,、 '´:::::::::::::l,ィ!
ヽ ヽ |rニ= -‐≦-r‐ ;ィ:::::::::::::l⌒) "
r ̄ヽ /:::| |:::::::::::::::::::::>、ヽ:::::::/r'!
(_r、ヾ`ー--Oゝ:::::l ト、:::::::::::::ノ ハ レ⌒ヽ::':,
フ ̄ゝ、::::::::::::::::::ゝヽ`二 ̄ ノ / l:::::',
`ー-r、_「'ーr‐┐|  ̄二ヽ、-- く -‐- /:::::::i.
`^ヘ‐‐':::ヽ __ニゝi }-‐--、\::::!
ヽ:::::::::::l レ二ヽ、 ヽ/:::!
\:::::l、 _,.イ|二ニニヽ、 ハ::!
ヽ:/フ! l ヽ ヽ/ヽ リ
{ / ヽ、r‐' /
※このAAはフェイト達が目にしているブラムスの姿を忠実に再現しています。
- 214 名前:大空への翼:2009/04/19(日) 14:58:07 ID:W/vrBuI20
- そう、我らがアイドル『弾ける血飛沫の腐臭・キュアブラムス』その姿なのである。
それを目にしたフェイト、エルネスト、クラースの3名は茫然自失。
正に( ゚д゚)д゚)д゚)ジェットストリームポカーン状態。
そして、オリジンは腹筋崩壊。
散々笑い転げ回った末ブラムスに向き直り
「ブラムスよ! 王としての貫禄は抜群だな!(不審者王としての)」
そうブラムスに告げると、目の端に涙を溜めながら親指を立てた。
「うむ当然だ。我の王としての威厳は何を身に纏っても変わる事などありはしないのだ」
ブラムスもオリジンに倣い右手の親指をビッと立てた。
「さて、これでフェイトが鎌石村に行かなくてはならない事はなくなったな。これで空も飛べるのだ。
ならば、鎌石村に行って上の空になってしまっても困る故、我が繰るこの棒に相乗りさせようではないか。
クラース達はその自転車を駆り鎌石村へ向かうがよい」
ここで漸く我に返ったクラース。
「はっ! いや! 違うぞヅ…ブラムス!! 私が言いたかったのはだな、それを乗りこなすには練習が必要だという事で…」
「何を申すかクラースよ。先ほどのエルネストの講釈に依れば、この様な装束を身に纏う事で空を飛べると…。
まさかエルネストよ。先の講義は虚偽であったのか?」
ブラムスはそう言いながらエルネストをガン睨み。
眉間に皺を寄せ、鋭く赤い光を放つ眼光を彼に向ける。
「(ちょっ、こわっ!)いや、あれはだな…」
言い淀むエルネスト。
それも当然の事。最早完全無欠のキチガイコスプレ変質者な風体のブラムスに正面からガン睨みされてしまっては、
百戦錬磨のエルネストを以ってしても怯んでしまうのは当然の理。
「まぁよい。見ておるがいい」
説明させるよりも試した方が早いと思ったのか、ブラムスは手にしたデッキブラシに跨った。
「おっと。忘れていた」
何故か動作を止めたブラムスはデッキブラシを地面に置くと、
先ほど地面に置いたハゲヅラの方へと歩み寄り、拾い上げたそれを再度パイルダーオン。
(あっ、やっぱ被るんだ…)
フェイトがその光景に対し心の中でのみツッコミを入れた。
「さて、では気を取り直して」
再度跨り飛翔の準備を整えた。
そして、ゆっくりと、だが確実に浮き上がっていくヅラムス(魔法少女風)
やがて、両足が地面から完全に離れ、そのデッキブラシの高さが地上から1m程になったその時。
ヅラムス(魔法少女風)はデッキブラシを中心に半回転。頭部を激しく地面に強打。
「ぬぐぉぅ!!」
およそ魔法少女らしからぬ呻き声を上げるブラムスに一同は↓
- 215 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/19(日) 15:00:40 ID:jYaCzOuB0
- ちょwwwwwwwwwwwwwwwww支援
- 216 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/19(日) 15:05:18 ID:lWGR2cF3O
- 初めてのAAに戸惑ったせいかさるさんされたorz
続きはいつもの所で
- 217 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/19(日) 15:08:08 ID:jYaCzOuB0
- んじゃ代理投下させてもらうぜー
腹筋がwwwww
- 218 名前:代理投下:2009/04/19(日) 15:09:45 ID:jYaCzOuB0
- 142 名前:大空の翼(続き)[sage] 投稿日:2009/04/19(日) 15:04:52 ID:HWDwQLAU
エルネスト
フェイト↓ ↓ クラース↓
___ ___ ___
/⌒ ⌒/⌒(○)⌒\/⌒ ⌒\
/( ○) /( ○) (○ /( ○) (○)\
/::::⌒(_/::::⌒(__人__) /:::::::⌒(__人__)⌒:::: \
| ゝ'゚| ゝ'゚ | ゝ'゚ ≦ 三 ゚。 ゚
\ 。≧ \ 。≧ \ 。≧ 三 ==-
━━┓┃┃
ジェットストリーム ┃ ━━━━━━━━
┃ ┃┃┃
┛
※このAAはイメージ映像ですが、概ね今の彼らの状態と一致しています。
- 219 名前:代理投下:2009/04/19(日) 15:11:31 ID:jYaCzOuB0
- 143 名前:大空の翼(続き)[sage] 投稿日:2009/04/19(日) 15:06:44 ID:HWDwQLAU
説明しよう。何故彼らが3人同時にブーッをしてしまったのかを。
想像して欲しい。彼らの目の前で浮かび上がったデッキブラシから回転し、
地面に対して激しいランデブーを試みたこのドジっ子魔法少女(中身はヅラムス)が軸となるデッキブラシと接していた部分は当然尻。
その部分が上に来てしまえば、万物全てが重力の束縛から逃れられる事は適わず。
スカートが捲れ上がり、まぁ、そのなんだ?
描写するのもおぞましいので端的に書くと魔法少女の岩石の様にゴツイヒップを覆う白地の布がフェイト達3名とファーストコンタクトを果たしたのだ。
それは正にこの世の地獄絵図。
見たくも無いのにその光景を網膜に焼き付けてしまった一行は、某ラピュタ王が『バルス!』と言われた時と同じ心境なのである。
「ぬぬぬぅ、失敗してしまった」
頭をカツラ越しに摩りながらブラムスが立ち上がった。
事前に被っていた波平のカツラのおかげで怪我をする事はなかった様である。
まさか、彼がこのカツラを初めて被る時に懸念していた『鬘が無ければ即死だった』という事態が現実の物になろうとは誰も予想してなかったのではないだろうか。
「(ドジっ子魔法少女がホウキでの飛翔に失敗。「いたたっ、失敗しちゃった」って光景は王道的な萌えシチュだと言うのに、
中身がブラムスなだけでここまで酷いものになろうとは…)」
「(そんな事はどうでもいい。
それよりも、お前の下らん魔法少女談義が原因でこの様な事になっているのだからどうにかしろ!)」
「(無茶を言うなっ! 実はコスプレなんてものは必要ないと告げて激昂でもさせてみろ。
きっと奴は俺の直腸にあの手に握るイチジク浣腸の中身をぶちまけるに違いない)」
と、中年二人は囁くように口論を開始。
そんな二人を横目に見ながらフェイトがブラムスに歩み寄る。
「ちょっとブラムスさん。それを貸してくれませんか?」
ブラムスの手よりデッキブラシを譲り受けたフェイトはおもむろにそれに跨った。
「待つのだフェイト。その様な平服ではそれを使う事は…」
しかし、ブラムスの懸念とは裏腹にスムーズな浮上を遂げるフェイト。
元々バスケットの優秀選手に選ばれる程運動神経も良く、
ファイトシュミレーターでも似た様なモーションのキャラがいた事が幸いしたのか、フェイトは難なくこのデッキブラシを扱う事が出来た。
「なんと! 何故フェイトは着替えもせずに空を飛ぶことが出来るのだ?」
エルネストの魔法少女理論を鵜呑みにしているブラムスは困惑するばかり。
このままでは自分の直腸に決して入れてはならない劇物が浸入する怖れありと見たエルネストがすかさずフォローを入れる。
「そ、その、ブラムス。言い忘れていたのだが、中には衣装を変える事も無くホウキを扱える天才型魔法少女と呼ばれる存在がいるのだ。
フェイトがまさかそれとは思わなかったなぁー」
どう考えても後付の嘘八百なのだが、その身に纏う衣装同様純真ピュアな心を持つブラムスは彼の言葉を事を信じた。
これにてエルネストは未知のレッドゾーンへチャレンジ(バブルローション直腸注入)をなんとか回避できたのであった。
「何はともあれ、これで僕が鎌石村に行く必要はなくなりましたね。
少しでも早くソフィアにあって安心させてやりたいんです。お願いします。
我侭を言っているのは十分承知です。
でも、僕を観音堂の方のルートに行かせて下さい!」
飛行テストを終えたフェイトが一同に嘆願する。
「わかった。但しそっちのルートはブラムスの知り合いのレナスですら殺してしまった敵がいる可能性が高いんだ。
だから、ブラムスと一緒に行ってくれ。戦力は高い方がいいだろう?」
(こいつ…一緒に歩きたくないからと不審者王をフェイトに押し付けたな?)
クラースが提案する中オリジンが冷やかな目でクラースを見つめた。
- 220 名前:代理投下:2009/04/19(日) 15:14:12 ID:jYaCzOuB0
- 144 名前:大空の翼(続き)[sage] 投稿日:2009/04/19(日) 15:08:08 ID:HWDwQLAU
こうしてチーム分けは終了した。
クラース・エルネスト組は自転車を使いこのまま鎌石村に直行。
対してフェイト・ブラムス組は禁止エリアになる前にE−4を通過しE−5、D−5へ。
それぞれの組が目的地にてソフィア達を捜索する事となった。
出発の準備を終えた中年コンビが、まだ準備を続けているフェイト達へと振り返った。
「いいか? 無茶だけはするなよ? それと再合流ポイントは次の放送までにホテル跡近くのF−4の街道だからな。忘れるなよ」
「後ブラムス、戦闘となった場合相手は強敵だと予想される。ここはフェイトにデッキブラシを相乗りさせてもらい体力を温存しておくんだ」
サドルに跨るエルネストと、荷台に腰を掛けたクラースがチーム『魔法少女(♂)』の面々に語りかける。
「はい」「うむ」
それに対し了解を返す二人を確認すると、エルネストは力強くペダルを漕ぎ始めた。
「それでは僕達も行きましょう」
「わかった」
フェイトはデッキブラシに跨ると徐々に浮上を開始させた。
その後ろではブラムスも同様にデッキブラシに跨っている。
「ブラムスさん。柄を持っているとまたさっきみたいに頭が下になっちゃいますよ?」
「そうか…。では、我はどうしたらよいのだ?」
「僕の体に腕を回してください。そうそんな感じです。後のバランスは僕が取りますから」
「うむ」
ブラムスの頷きを得てフェイトはデッキブラシを離陸させた。
かなりの快速で夜空を駆けるフェイト達。
しかしフェイトは気付いてしまった。
読者諸氏もお気付きであろう。フェイトの体をガッチリホールドしているブラムスの体勢はそう、所謂『あててんのよ状態』なのだ。
そんな状況にフェイトは顔を真っ青にさせてげんなりしてしまう。
いやまあ、ブラムスの胸は当てられる程に膨らんではいるのだが、鋼のように硬い筋肉に覆われていて、
股間のユグドラシルもミニスカートのおかげで感触は直に伝わってきてしまう。
そんな状況だからこそ彼の心は正に萎え萎え。
捲くれたスカートから覗く下着とめくれ上がった上着越しに見えたないしょのつぼみ――先程見てしまったその姿がなかなか頭から離れないようだ。
どうやらフェイトはこの歳にして新たなトラウマを抱える事となってしまったらしい。
だから『そんなに嫌なら、降ろしちゃえばいいじゃねぇか』と彼を責めないでやってほしい。
彼の心は最早罅だらけのクリスタルハート。そんな事をブラムスに頼む気力すらないのである。
因みにこれから1、2時間後アルベルはレオン相手にフェイトと同じ様なシチュエーション(男に女装させ密着)で
ドッキリドキドキ体験をする事になるのだが、中身が違うだけでここまでリアクションが変わるものなのかと痛感する事しきりである。
当然神ならぬフェイトやアルベルがこの事実を知る由も無い。
頑張れ! フェイト!!
負けるな! フェイト!!
そっちの方角にはソフィアがいるんだから元気を出せ!
但し、こんな変態を連れているフェイトと、かっこいい王子様に守られていたソフィアが再開を果たした時に
二人の関係がどうなるかまではこのSSの作者は責任を持ちませんのであしからず。
- 221 名前:代理投下:2009/04/19(日) 15:15:16 ID:jYaCzOuB0
- 145 名前:大空の翼(続き)[sage] 投稿日:2009/04/19(日) 15:09:05 ID:HWDwQLAU
【D−2/真夜中】
チーム【中年】
【エルネスト・レヴィード】[MP残量:100%]
[状態:両腕に軽い火傷(戦闘に支障無し、治療済み)]
[装備:縄(間に合わせの鞭として使用)、シウススペシャル@SO1、ダークウィップ@SO2、自転車@現実世界]
[道具:ウッドシールド@SO2、魔杖サターンアイズ、荷物一式]
[行動方針:打倒主催者]
[思考1:仲間と合流]
[思考2:炎のモンスターを警戒]
[思考3:ブラムスを取り引き相手として信用]
[思考4:鎌石村でブラムスの仲間を捜索]
[思考5:次の放送までにF−4にてチーム魔法少女(♂)と合流]
【クラース・F・レスター】[MP残量:80%]
[状態:正常]
[装備:ダイヤモンド@TOP]
[道具:薬草エキスDX@RS、荷物一式]
[行動方針:生き残る(手段は選ばない)]
[思考1:ブラムスと暫定的な同盟を結び行動]
[思考2:ゲームから脱出する方法を探す]
[思考3:脱出が無理ならゲームに勝つ]
[思考4:鎌石村でブラムスの仲間を捜索]
[思考5:次の放送までにF−4にてチーム魔法少女(♂)と合流]
[現在位置:D-2北部、街道を鎌石村に向けて北上中]
- 222 名前:代理投下:2009/04/19(日) 15:15:58 ID:jYaCzOuB0
- 146 名前:大空の翼(続き)[sage] 投稿日:2009/04/19(日) 15:09:45 ID:HWDwQLAU
チーム【魔法少女(♂)】
【ブラムス】[MP残量:80%]
[状態:キュアブラムスに華麗に変身。本人はこの上なく真剣にコスプレを敢行中]
[装備:波平のヅラ@現実世界(何故か損傷一つ無い)、トライエンプレム@SO、
魔法少女コスチューム@沖木島]
[道具:バブルローション入りイチジク浣腸(ちょっと中身が漏れた)@現実世界+SO2
荷物一式×2、和式の棺桶@沖木島、袈裟@沖木島(あちこちが焼け焦げている)、仏像の仮面@沖木島]
[行動方針:自らの居城に帰る(成功率が高ければ手段は問わない)]
[思考1:敵対的な参加者は容赦なく殺す]
[思考2:直射日光下での戦闘は出来れば避ける]
[思考3:フレイ、レナスを倒した者と戦ってみたい(夜間限定)]
[思考4:フェイトと共にD−5、E−5に行きソフィア達を捜索]
[思考5:次の放送までにF−4にてチーム中年と合流]
【フェイト・ラインゴッド】[MP残量:85%]
[状態:左足火傷(戦闘にやや支障有り。ゆっくり歩く分には問題無し)、魂が抜けかかっている]
[装備:鉄パイプ-R1@SO3]
[道具:ストライクアクスの欠片@TOP?、デッキブラシ@TOP、ソフィアのメモ、首輪、荷物一式]
[行動方針:仲間と合流を目指しつつ、脱出方法を考える]
[思考1:ルシファーのいる場所とこの島を繋ぐリンクを探す]
[思考2:確証が得られるまで推論は極力口に出さない]
[思考3:ソフィアと合流したい!]
[思考4:次の放送までにF−4にてチーム中年と合流]
[現在位置:D-2東部、東西に流れる川付近]
[備考:参加者のブレアは偽物ではないかと考えています(あくまで予測)]
- 223 名前:代理投下:2009/04/19(日) 15:17:14 ID:jYaCzOuB0
- 147 名前: ◆yHjSlOJmms[sage] 投稿日:2009/04/19(日) 15:14:18 ID:HWDwQLAU
以上で投下終了です。
寝る前に降りて来た電波「youキュアブラムス出しちゃいなyo」の言葉を再現したらこんな事に…。
それと◆Mf/../UJt6氏と◆wKs3a28q6Q氏におきましては勝手ながら両名の作品から一部文章にアレンジを加えて使わせていただきました。
気分を害されたのであれば速攻修正するんでおっしゃって下さい。
後時間表記間違えました【深夜】です。
- 224 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/19(日) 15:21:15 ID:jYaCzOuB0
- 代理投下終了ー
ヅwwwwwラwwwwwwムwwwwwwwスwwwwwwwwwwっうえwwwwwwwwwwww
何をやってんだこの不審者王はwwwwwww
ていうか
エルネストさんは他の惑星の文化にどんだけ精通してんだよwwwww
吸血鬼の件といい、立派な雷電となりつつあるなw
フェイトは……イ`としか言いようがないw
アレンジは個人的には全然オーケーです。
普通に笑わせてもらいましたし。
うん、良い意味でとても酷い力作でしたwww
まさかヅラムスが更に酷いルックスになるとはなあ・・・w
- 225 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/19(日) 17:41:36 ID:oQMXABP10
- まずは投下乙です
そして何やってんの、何やってんのヅラァァァァァァァァァァァァッ!
真面目すぎて斜め上を行くのはもう分かっていたけれど、斜め上過ぎるだろうwwwww
ようやくまともな突込みが入るかと思ったら更にその上を行く真面目ボケ炸裂とかもうね
フェイト、頑張れ……君の明日はどっちだ……
爆笑しすぎて涙が出てきてしまった
- 226 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/20(月) 01:07:02 ID:lGTtWvvH0
- ヅラ……なんてピュアな野郎なんだwwwwwwwwww
まさかキュアブラムスや初登場時のフラグ?がここに出てくるとは
オリジンがさりげなくいい味出しているというかある意味酷いなw
いつになったら
不審者王の斜め上の思考と行動に突っ込みを入れられる人物が現れるのだろうか?
中年コンビですら歯が立たないとすれば後は……誰がいる?
- 227 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/20(月) 06:50:06 ID:p4gW0up2O
- レザードさんなら魔女っ子になってるヅラムスみても、ポカーンてならなそうww
- 228 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/20(月) 07:49:57 ID:89Cn2NIHO
- 新作乙wwwwww
久々に腹筋が崩壊するSSを読ませてもらったぜwww
実を言うとこのネタは誰かやらないかとひそかに期待してたが、
まさか本当にやってくれるとはwww
ヅラムスは決してアホの子じゃないんだ……ただ、少し城に閉じこもりすぎて世間に疎くなっただけなんだ……
よなあ?
- 229 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/20(月) 19:57:52 ID:/sZK5xs5O
- 投下乙です!
チェスターが今のヅラムス見たらどう誤解してくれるのやら…
って想像して1人で吹いたw
- 230 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/04/20(月) 20:15:06 ID:/sZK5xs5O
- 鳥つけまして、と。
お待たせして申し訳ない。
どうにか完成しましたので、明日か明後日の夜には投下出来そうです。
結局一ヶ月近くキャラ拘束してしまい、申し訳ありませんでした。
- 231 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/20(月) 20:25:27 ID:lGTtWvvH0
- 世間知らずでピュアな心……
ある種の萌え要素かもしれないのに対象が対象だからアレだよな
>>230
投下予告来たー、正座で待ってる!
- 232 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/20(月) 20:27:42 ID:dRTfKlX20
- 萌えられたらいろんな意味で格が違うってことになるなw
どの層ならあれに萌えられるんだよw
>>230
じゃあ俺犬神家のポーズで待ってる!
- 233 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/04/20(月) 22:59:04 ID:ku2+Rhiy0
- たくさんの感想ありがとうございます。やっぱり皆ヅラムスが大好きなんですねw
ただ、勢いで書いてそのまま投下したせいか誤字がちらほらとorz
後日修正稿を提出します。
>>230投下予告ktkr!!
俺もこのスレにSSバージンを捧げて住民に温かく迎えてもらえましたんで臆する事無くやっちゃって下さい。
- 234 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/20(月) 23:09:47 ID:0Aw5k2YA0
- 腹いてえwwwwwwww
本気×1000倍でヅラムス投下乙!!!!
>>230楽しみだー!
- 235 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/21(火) 00:20:51 ID:n1vXUx6u0
- >>229
チェス太「この変態チックな格好…クロードが無理やり着せたに違いない!」
- 236 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/21(火) 06:02:30 ID:JsZijRTi0
- >>235
きっとこんな感じのやり取りになるに違いないw
チェス太「なぁ、あんたのその格好まさかクロードが無理やり…」
ヅラ「なにを申すか、我は自発的にこの衣装を着ておるぞ」
チェス太(クロードの奴まさか催眠術まで…ゴクリ)
- 237 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/21(火) 20:03:27 ID:z3HrrDQ+O
- じゃあ俺はこう予想するぜ
チェス太「俺はあんな少女こそ守りたかったんだ!」
- 238 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/21(火) 21:52:32 ID:DC6ii2Jl0
- >>237
クソワロタwwww
なら俺の予想はこうだ!
チェス太「それで、何であんたはそんな服を着ようと思ったんだ?」
ヅラ「ふむ、エルネストに言われたのでな」
チェス太「……そいつはどんな容姿だ?」
ヅラ「(こやつの知人にエルネストの知人がいるのか?)金髪で……」
チェス太「間違いないクロードだ!」
ヅラ「……おそらくお前は勘違いをしているぞ。奴は三つ目の」
チェス太「くっ、それが隠された能力か! まさかそれで催眠術を!」
ヅラ「……落ち着け。クロードという者はエルネストの知人と聞いている。
なりすますならわざわざそんな真似はしまい」
チェス太「くそっ! クロードは催眠術使いの部下までいるのかっ!」
- 239 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/21(火) 22:03:36 ID:JsZijRTi0
- チェスターはロワ本編ではシリアスな話しかしてないと思うんだが、こうまでネタキャラ臭が染み付いているのは何故なんだぜ?
- 240 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/21(火) 22:38:41 ID:gF7rbjJC0
- >>239
クロードの仕業
- 241 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/21(火) 22:50:55 ID:DC6ii2Jl0
- >>239
チェス太の行動を真面目にまとめたものとネタっぽくまとめたものを見比べてみれば分かる・・・かも?
シリアスに迷走してるからねえw
まあチェス太は頑張ってるし、迷走もロワ特有の泥沼なんだけど、他のキャラが迷走あんましないでガッツンガッツン死んでる中迷走してるからネタになるんじゃないかしら
最近は主人公組も活躍しててネタになるキャラ少ないし
愛されてるってことだよ、うんw
【チェス太のやったこと(まじめなまとめ)】
アミィの死を思い出し燃え盛る校舎に人命救助に飛び込む。
見ず知らずの幼女の死体に傷つき更にミントも放送で呼ばれるも、へこたれてばかりはいられないと気持ちを切りかえる。
ルシオの情報をはやとちりし、親友が待っているであろうホテルに急行。
そこで襲われているチサト・ガルヴァドスを目撃、助けに入る。
ホテル付近にいた炎使いのマーダーとクロードを誤認。しかし半分以上クロードの自業自得。
その後、クレスの情報を知るボーマンに騙され、アーチェを爆殺してしまう。
怒りに駆られ復讐を誓ったところに、ボーマンが犯人か確信が持てないマリアにクロード犯人説を吹き込まれる。
クレスと決別した後、先刻別れたチサト達を再び救出しようと炎上するホテルへ。
ボーマン犯人説を捨ててしまった所をボーマンに付け込まれ、マーダー二人と組まされてしまう。
その後、惨たらしく殺された少女を見て、彼女の仇を取る事を決意。
しかしその仇グループの一員だった少女の真摯な想いに触れ、ついに対主催として覚醒を果たす。
【チェス太のやったこと(ネタ風のまとめ)】
燃え盛る校舎に単身突っ込み、誰かと遭遇する前から貴重な脱出アイテムを消費ししかも結構な怪我を勝手に負う
↓
ミカエルからするサラマンダー臭の原因の一端になる ←この頃が対主催としての全盛期
↓
ルシオ「金髪に赤いバンダナ」 チェス太「クレスですね、わかります」 ←勘違い@
↓
チェス太「炎操って女の人を襲ってる! ルシオの言ったこと思い出してる場合じゃねー!」
↓
チサト「クロード殺し合いに乗ってる」 チェス太「クロードが少女を燃やした殺人鬼、ちぃ覚えた」 ←勘違いA
↓
チェス太「やったー秘仙丹もらったよー^^」 ←勘違いB
↓
好きな人をうっかり爆殺しました
↓
チェス太「そういうことか……アーチェを殺したのはクロードだったんだよ!!」 ←勘違いC
↓
チェス太「ボーマン(真犯人)とアシュトン(アーチェ襲ってる)はいい奴だ」 ←勘違いD
↓
リドリーの仇討ちを決意するも、相手が少女と知り戦意を失う
↓
唯一正解した殺人者当てクイズの犯人に肩入れしたらアシュトンが敵に見切りをつけられたでござるの巻 ←今ここ
……書いてて気付いたけど、チェスター女運ないなw
少女が絡むとろくなことになってないじゃないか……
- 242 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/04/22(水) 19:33:09 ID:R8js2j8S0
- お待たせしました。
それでは投下します。
>>233
という事で俺もささげます!
気後れしてるのはyHjSlOJmmsさんの後に投下する事だったりします…
- 243 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/04/22(水) 19:34:26 ID:R8js2j8S0
- レザード・ヴァレスの目が開いた時、彼の目に最初に入ったのはレナス・ヴァルキュリアの死に顔だった。
この時レザードはまだ、まどろみの中に居た。レナスの死に顔は、彼に眠りに落ちる直前の映像を連想させた。
輪魂の呪を発動させ、ハーフエルフの肉体にレナスの魂を転生させる事に成功した後、その肉体が立ち上がろうとしていた映像だ。
魂の再構築が完了するまでの間は決して目覚める事が無いはずの肉体が立ち上がるという、有り得ない出来事。
これは夢、もしくは幻覚だったのだろうか、それとも――
「――っ」
レザードは瞬時に覚醒した。
「ヴァルキュリア――」
そして名前を呼び、振り向いた。その先には、誰もいない。
「――!?ヴァルキュリア?」
慌てて辺りを見回すが、レナス(ルーファスの肉体)の姿は見当たらない。先程の映像は夢や幻覚などではなかったのだ。
「…あれが幻覚では無い?馬鹿な、いくらヴァルキュリアであろうと魂の構築が成されない内に動ける訳が――」
そこまで考えた時、辺りを見回していたレザードは、レナスだけでなくドラゴンオーブまでもが無くなっている事に気が付いた。
そして眠りに落ちつつある時、立ち上がったレナスが自分の側に近づいて来たような、ごく僅かに感じた気配を思い出す。
「ドラゴンオーブの魔力…ドラゴンオーブならば魂を再構築中の肉体でも意識を取り戻させる事も可能…か。
いや、それ以外には考えられん。そして意識を取り戻したヴァルキュリアは、おそらくソフィア達を助ける為に
金龍との戦闘に戻って行った…」
レザードは時計を出して時刻を確認した。既に深夜0時を回っている。
レナスが金龍との戦闘に戻ったのだとしても、あれからかなりの時間が経過している今では、既に決着がついていると考えて良い。
おそらくレナスが金龍の所へ辿り着いた頃には、ソフィアとクリフは既に殺されていたはずだ。
そうなればレナスは金龍と1対1で戦う事が出来、負ける事はまず有り得ないだろう。
ただし、レナスが通常の状態であるならば。
レザードには案じている事が有った。
それは、ドラゴンオーブの魔力がどのような形でレナスに影響したか、だ。
ドラゴンオーブの魔力が魂の再構築を早め、完了させる方向で働きかけたのならば良い。
そうではなく、その魔力が魂の代わりとなり、魂の再構築が途中である内にレナスに意識を取り戻させた場合、
何らかのきっかけ――例えばドラゴンオーブを身体から離す、魔力が尽きる等――で
再びレナスが魂の再構築の状態、つまり昏睡状態に陥る危険がある。
もしそうなったら、そしてそれが戦闘の最中であったなら確実にレナスは命を落とす事になるだろう。
「急がねば…」
レザードは地面に置いてある荷物をまとめ、移送方陣を試みた。
だが発動する様子はない。やはりドラゴンオーブが無ければ失伝魔法クラスの術は使用出来ないようだ。
レザードはレナスの死体を名残惜しそうに見つめた。非常に惜しいが、移送方陣の使えない今、この肉体は捨てて行くしかない。
金龍がまだ生きている可能性は0ではない事を考えれば、この肉体を保存する、または屍霊術で操る事に魔力を使う事は出来ないのだ。
レザードはレナスから脱がせた鎧をデイバックにしまうと、
後ろ髪を引かれる思いを強く感じながら、金龍と戦っていた場所、D−5東部を目指して走り出した。
「全く…貴女はどこまでも私を困らせるのがお好きなようですね、ヴァルキュリアよ…」
- 244 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/04/22(水) 19:36:22 ID:R8js2j8S0
- 追って来る気配を感じボーマンが振り返ると、金髪がボーマンに向かって走ってくるのが見えた。
気のせいか彼の顔は先程よりも緊迫しているように見える。
(あの野郎――確かクリフとか呼ばれてたな――こっち来やがったか。
素直に術師の嬢ちゃんのところに戻ってりゃ良いものを…)
手を合わせた感じでは、クリフがダメージを負っている今ならば勝てない事はない。
とはいえ、正面からまともにやり合えばボーマンも五体満足では済みそうにないのも実証済みだ。
クリフがこの島で最後の生き残りだと言うのならまだしも、
参加者がまだ20人以上居る現在、自分が大きな負傷をする危険を冒すのは出来る限り避けたい。
ボーマンが一人でも確実に、そして安全に勝利を収めるにはやはり何かしらの決定打が必要だ。
その決定打を手に入れる為に、鎌石村役場に置かれたという支給品を目指して走り出したのだが、
走り始めてから1つ問題を思いついてしまった。
新たに支給品が配置された場所には、当然それ目当ての参加者が集まってくるだろう。
つまり、そこに向かえば必然的に他の参加者と接触する可能性が高くなるのだが、問題とは「接触する参加者のスタンス」である。
最初は「他の参加者と鉢合わせた場合はクリフを戦わせてボーマン自身は逃げれば良い」と考えたのだが、
その参加者が殺し合いに乗っていなかった場合、同じく乗ってない(と思われる)クリフと協力されてしまう可能性も有り、
「鉢合わせた参加者とクリフを戦わせて、自分は逃げる」という作戦は成り立たなくなる。
その場合、戦闘になればボーマンに勝ち目は無いだろう。
それでも逃げるだけなら可能かもしれないが、その場合にはボーマンがマーダーだと他の参加者に広められる可能性が高く、
なるべく利用出来る仲間を増やしたいボーマンにとっては相当不利な状況になってしまう。
そうならない為にも、役場に着く前に何か対策を考えておかなくてはならない。
(奴が引き返してくれてりゃあ、他の参加者に出会っても逃げれば良いだけなんだがな…
アシュトンなら奴が戻るまでには術師の嬢ちゃんを始末してるだろうし、チェスターも奴が相手なら動いてくれるだろ)
ボーマンのこの考えは希望的観測に近いのだが、ある程度正しい。
確かに先程の紋章術師との戦闘では2対1の有利な状況にも関わらず、予想外に苦戦をした。
だがそれは相手が詠唱も無しに呪紋を発動してくるという、
ボーマンもアシュトンも初めて戦うタイプの術師だったからと言うだけの事にすぎない。
弱点とまではいかないが、エクスプロードのような強力な呪紋は詠唱無しでは使用出来ない(らしい)事や、
その強力な呪紋の詠唱スピードもセリーヌ程には早くない、という、付け入る隙も見つけた。
連発出来るのがそれほど威力の高くない呪紋のみならば、呪紋の回転率にさえ慣れてしまえばどうにでもなるだろう。
ましてや、戦ってるのは炎と吹雪を吐けるギョロとウルルンまで憑いてるアシュトンである。
紋章術への対処はさほど難しくないはずだ。
(金髪は俺との決着をお望みのようだが…俺を見失っちまえば戻ってく可能性も有るか?)
ボーマンはクリフの位置を確認する為にもう一度振り返る。
先程よりも距離が離れているようだ。暗闇でハッキリしないが、クリフはどうやら立ち止まっているらしい。
(ん、諦めたのか?…何だか知らんが振り切るなら今だな!)
そう決断して1つ大きく呼吸をする。息を止めると、全力で駆け出した。
- 245 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/04/22(水) 19:39:00 ID:R8js2j8S0
- (くそったれ、あのオヤジなんつー足だ!さっきから速え速えとは思ってたけどよ、これ程かよ!)
鎌石村方面に逃げていくボーマンを追いかけ始めたクリフだったが、
一向に相手との距離が縮まる様子はなかった。それどころか徐々に離されていく一方である。
(どうにかして止まらせねえと。閃光手榴弾…は駄目か)
クリフは一瞬閃光手榴弾を使う事を考えた。
閃光手榴弾を相手の側で作動させれば、相手を5、6秒はショック状態にさせる事が出来、足止めにはなる。
だが、閃光手榴弾も通常の手榴弾同様、ピンを抜いてから作動するまでに数秒かかる。
数秒あればボーマンの足なら50、いや下手すると100メートル近くは進めるかもしれない。
そうなれば閃光手榴弾を確実にボーマンの側に落とすのは不可能に近く、この状況では使えないだろう。
そう考えている間にも、ますますボーマンとの距離は離れ、既に相手の姿は朧気にしか見えなくなっている。
(ちぃ、追いつけねえ)
まだ追いかけ始めたばかりだが、このまま走っても追いつけない事を悟ったクリフは走るのを止めて立ち止まった。
直接的な戦闘だったならば、例え実力が劣っていても駆け引き次第で差を埋める事も可能だろうが、
「足の速さ」のような単純な勝負となると、能力差が顕著に結果に反映される。
クェーサー戦の疲労も残るクリフには今、走って逃げるボーマンに追いつく手段は何一つもない。
(だが、あのオヤジは絶対に逃がせねえ!)
ボーマンが向かう先には負傷しているミラージュが居るのだ。
追いつけないので逃げられてしまいました、などと子供の言い訳みたいな事は言えない。
何としてもここで止めなくては。
(俺は追いつけそうにねえんだったら…)
そう、「走って逃げる」ボーマンには。
クリフは腰を落とす。そして左腕に闘気を溜め始める。
(直線的に逃げてくってんなら…)
ボーマンの姿はもう見えない。だが方向は分かっている。
辺りの空気が闘気に呼応し、まるで呼吸しているかのような音を立てている。
(こいつに追いついてもらうぜ!)
立ち止まったのは追いつく為。
クリフの左腕が輝きだす。
『マックス・エクステンションッ!!』
ボーマンの走り去った方向に向かって巨大な光弾が撃ち出された。
- 246 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/04/22(水) 19:43:06 ID:R8js2j8S0
- ボーマンは全力で走り出してから、辺りの様子に違和感を感じていた。
何かおかしい。周りの草木が妙にざわめいているような、そんな気配だ。
背後から何かの音が聞こえる。音は徐々に大きくなり、それに伴い周囲が明るくなってくる。
「何だ?」
気になって振り返ると、巨大な光弾がボーマンの方に一直線にカッ飛んで来ていた。
「うぉぉ!?」
光弾がボーマンを飲み込もうとする直前、咄嗟に右側に飛び込んだ。地面を数回転した後、中腰の体勢で止まる。
光弾はボーマンが今居た場所を通過して行き、
前方に生えていた樹を『ベギベギベギ…』と派手で大きな音を立てながらへし折り、飛んでいった。
軌道がもう数メートル程ボーマン寄りだったら避けきれなかったかもしれない。
(危ねぇ!なんっつう事しやがる)
クリフを振り切るつもりで加速していた事が功を奏した。
無傷でかわせた事に一瞬安堵したが、ボーマンにそんな余裕は与えられなかった。
『禁止エリアに抵触しています―――』
北の方から『メキメキメキ…』と樹が折れているような倒れているような音が聞こえてきて、レザードは立ち止まった。
音のする方角を振り向くと、巨大な光が西方向へ飛んでいく様子が見える。
「あの光と音…巨大な魔力が樹を薙ぎ倒して進んでいるといったところか?」
レザードは辺りの樹に手をかざした。
「この辺りの樹木と同じ様な太さの樹木を薙ぎ倒して飛び続けているとしたら、なかなかの破壊力、持続力を持つ光だが…
誰かが戦っているという事か。まさかヴァルキュリアか?…行ってみる価値は有るな」
このエリアはC−5とD−4の2つの禁止エリアに隣接している。
そうそう違う参加者が集まり、戦闘を行っている可能性も低いだろう。
それに、金龍と戦った場所よりも今の光の場所の方が距離が近い事もある。
レザードは少しの間考えを巡らすと、まずは今の光の場所へ向かう事にした。
クリフがマックス・エクステンションを放った目論見は3つある。
1つは当然命中を期待しての事だ。
いくらボーマンの足が速かろうと、飛び道具より速く走れはしない。
クェーサークラスの敵ならともかく、ただの人間がマックス・エクステンションに直撃すれば無事では済まないだろう。
クリフの本音では、戦闘が早く終わるに越した事は無いので出来れば命中していてほしいのだが、
大体の方向が分かっているとは言え、姿は見えない、距離も離れていた、何よりあれだけ素早く動く相手だ。
まともに命中する可能性は低いのは分かっている。これはあくまでも「あわよくば」の話だ。
本命は残りの2つ。
一つ目は、まずマックス・エクステンションを「避けさせる」事でボーマンの足を止める事。
二つ目は、マックス・エクステンション自体の照らす光でボーマンの位置を「確認」する事だ。
- 247 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/04/22(水) 19:47:59 ID:R8js2j8S0
- マックス・エクステンションを放った後、クリフは走って距離を詰めながら光弾の軌道を注意深く観察していた。
光弾は自ら発する光で辺りを照らしながら飛んでいく。
(あの野郎、まだ見えねえ。そろそろギリギリだが…)
クリフが一瞬作戦の失敗を考えたその時、マックス・エクステンションを避けるボーマンが見えた。
しかも転がり込むように避け、体勢を崩している。クリフが考えるベストの状況が生まれた。
(見えた!この距離だと際どいがやるしかねえ!)
『バーストタックル!!』
『バーストタックル』=闘気を爆発させ、炎の闘気と爆風のような突進力で敵に体当たりをくらわす技だ。
その最高速度は瞬間的にはマックス・エクステンションよりも速い。
そう、クリフは正確には追いつける手段は持っていた。バーストタックルなら追いつくだけなら可能だったろう。
しかし正確に当てられなければ一時的に追いつけたところで、再び逃げられてしまう。
この暗闇で、しかも走っている相手にクリーンヒットさせるのは難しく、自信は無かった。
だからボーマンの動きを止める必要が有ったのだ。自身の最大奥義を利用してまで。
クリフは赤い闘気を身にまとい、砲弾のような勢いでボーマンに突っ込んでいく。
ボーマンがクリフの方を振り向いた。その顔が異常なまでに引きつる。
『――に抵――――まで―――』
禁止エリアに進入し、首輪から警告音が発せられる。
しかし目の前のボーマンに集中しているクリフの耳に、その警告音は入らなかった。
「ッラァァァァァァッ!」(もらった!ぶっ飛びやがれ!)
『―――首輪爆破まで後30秒』
(禁止…いや、それより野郎は!?)
禁止エリアの警告に僅かに狼狽えたが、30秒以内に出れば何も問題は無い事は確認済みだ。。
それよりもここでクリフへの対処を間違え、禁止エリアの奥へと吹っ飛ばされでもしたら本当に命を落とす事になる。
そう考えるとボーマンはクリフの方を振り向いた。
「ッラァァァァァァッ!」
そこには赤い闘気を纏い、ミカエルのような勢いでボーマンに突っ込んで来るクリフが見えた。
(スピ…!?やべっ!)
瞬間、ボーマンは自分の後方に跳躍を始める。
同時に両手で白衣をたくし上げると身体を水平に倒し、突っ込んできたクリフの左顔面を狙い両足でドロップキックを放つ。
炸裂音が辺りに響いた。
- 248 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/04/22(水) 19:51:54 ID:aPQSAwnqO
- タイトル考えてなかった事に今気付いた…
全部投下してから考えます。
- 249 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/04/22(水) 19:52:40 ID:R8js2j8S0
- ボーマンのドロップキックはクリフの左肩に命中した。インパクトの瞬間にクリフが身体を捻ったせいで狙いが逸れたのだ。
なんとかクリフを蹴り飛ばしたがバーストタックルの威力は相殺しきれず、錐揉み状態で吹っ飛ばされた。
体勢を立て直す事も出来ずに近くの樹に背中から思い切り激突し、一瞬ボーマンの意識がブラックアウトする。
衝撃で樹から大量の木の葉が辺りに舞い落ち、木の葉と共にボーマンの身体もずり落ちていった。
(…はっ…スピキュールじゃねぇのかよ…紛らわしい技を使いやがって)
若干似たような技ではあるが、無論スピキュールではない。だがさっきのボーマンにはそう見えた。
一瞬本気で死を覚悟したボーマンだったが、
かつての冒険で培ったトラウマ…いや、経験がボーマンの身体を突き動かした。
白衣をたくし上げ、身体を水平にしたのはガソリンまみれの上半身を炎から護る為、
後方への跳躍からの跳び蹴りは反動で禁止エリアから脱出する為。
どちらも考えて行った事ではない。刺激された生存本能が行ったのだ。
ただ、その代償は高くつく事になるのだが…
ボーマンが顔を引きつらせたのを、クリフは「避けきれないと判断して焦っている表情」だと解釈した。
クリフ自身も「確実に命中するタイミング」だと思った。
タックルを当てる為に身体を捻ったその瞬間、ボーマンが跳躍する。
(跳んだ!?)
ガードしてくるくらいは予想していた。そしてバーストタックルならガードごとぶっ飛ばせる自信があった。
だが、まさか動かれるとは思っていなかった。
(知るか!)
ボーマンの跳躍の高度は低い。ならば充分当てられるはずだった。
が、クリフのバーストタックルにボーマンのドロップキックがカウンターで炸裂した。
バランスを崩したクリフはバーストタックルの勢いのまま、十数メートル程うつ伏せに滑り、倒れこむ。
(あそこで跳び蹴りだと?どんな反射神経してやがるんだこのオヤジは)
カウンターを合わされたとはいえ、攻撃された場所は肩。大したダメージは無い。
それよりも今、うつ伏せに倒れているクリフはボーマンの位置を見失っている。
また逃げられたら今度こそ本当に追いつく手段は無いだろう。その事に気付くとクリフは慌てて立ち上がった。
「何処だ?」
ボーマンの位置を確認しようとした時、何かが激突したような音が聞こえた。
音がした方向を振り向くと樹からズルズルと落ちてくるボーマンが見えた。どうやらタックルで吹っ飛ばされて樹に激突した様子だ。
「おし、逃がすかよ!」
追撃に走ろうとした時、クリフの首輪から音声が流れてきた。
『禁止エリアに抵触しています。首輪爆破まで後20秒』
- 250 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/04/22(水) 19:54:43 ID:R8js2j8S0
- 「んだとぉ!?」
つい声を上げ、首輪に手をやる。
実はバーストタックルで突進している最中に1度目の警告音は鳴っていたのだが、
ボーマンをぶっ飛ばす事に集中していたクリフの耳には警告音など入って来なかったのだ。
そして、クリフは目覚めてから今の今まで、禁止エリアの事などすっかり忘れていた。しかしそれも無理も無い事ではある。
クリフの起き抜けには既に戦闘状態だったし、ミラージュの事を思い出してからのクリフの思考は
「ミラージュを護る為にボーマンを倒す」事で埋め尽くされていた。
冷静に考えれば、そして「首輪爆破までの猶予時間」の存在を知らないのであれば、
C−5とD−4を禁止エリアで塞がれているこのエリアから役場方面に逃走されたからといって
通り抜ける事など出来るとは考えられないのだ。取り乱す理由など何も無い。
だが、クリフは動揺した。ミラージュの為に動揺した。それだけミラージュはクリフにとって掛替えの無い人物だった。
(ちぃ、このエリアはC−5か?…だよな?合ってるよな?だったら…)
クリフは自分の走ってきた方向と今いるエリアを頭の中で確認すると、
(こいつの方向に行く分には問題ねえ!)
ボーマンに向かって突っ込んでいった。
少し間が空いてしまったが、ボーマンは激突した樹の下で何故か白衣を脱いでいるところだ。
クリフは助走のついた跳躍から跳び蹴りを放った。
その時、クリフはボーマンのある異変に気付いた。
ボーマンは跳び蹴りを避けるつもりのようだが、何故かボーマンの動きが鈍っているのだ。
(遅え?これなら!)
クリフは蹴りつけた。
『ドゴォ』と衝撃音を立て、クリフの跳び蹴りはボーマンの背後の樹に命中した。間一髪で回避されたのだ。
(チィ、外したか。だが、今の鈍さ…どうやらバーストタックルで足を痛めたみたいだな)
ボーマンは着地すると、まず自身の身体を動かしてダメージを確認した。
(背中は痛むが…筋肉の断裂は無いな。足は…折れてはない、動かせるな。良し、問題ない。動ける)
派手に吹っ飛ばされはしたが、幸いボーマンに骨折等の大きなダメージは無い。
クリフの方を見ると、首輪に手を当てて何やら喚いていた。どうやら禁止エリアに入った事に驚いているようだ。
やぶれかぶれのドロップキックのダメージは少ないらしい。
一瞬、禁止エリアを利用してクリフを殺せないかと考えたが、結局それには直接戦闘する必要がありそうだと気付き、却下する。
今はあのような手で追いつかれはしたが、状況は走り出す前に戻っただけなのだ。
つまり、また役場に向かえば良いだけの事。クリフの手の内がいくつか分かった今は、先程より有利に逃げられる。
(バカでかい気弾は避けるしかねえが、スピキュールもどきには対策を思いついたぜ。次は完璧に逃げ切れる!)
スピキュールもどき(バーストタックル)はスピキュールではないにしろ、炎を纏っているのには変わりは無い。
次に繰り出してきたら、ガソリンが染み込んでる白衣を投げつけてやれば良い。そうすれば逆に炎に包まれ自滅するだろう。
ボーマンはそう考えると白衣を脱ぎだし、いつでも投げられる様にデイバッグの中に突っ込んだ。
- 251 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/04/22(水) 19:56:18 ID:R8js2j8S0
- そこにクリフが跳びかかってくる。
(ほぉ、普通に突っ込んでくるのかよ。もう手が無いなら役場に向かわせてもらうぜ?)
ボーマンはクリフの攻撃をサイドステップで避けたら、そのまま再び走り出そうと考えた。
しかしその時、ボーマンに異変が生じる。
(!?…何だ!?)
何故かボーマンの足が重いのだ。
(遅ぇ!?)
クリフの跳び蹴りが迫ってくる。
『ドゴォ』と衝撃音を立て、クリフの跳び蹴りはボーマンの背後の樹に命中した。間一髪で回避が間に合った。
樹は2度目の衝撃により、ミシミシと音を立てて倒れる。倒れた振動で辺りの空気が軽く揺れた。
(何だ!?今の感覚は!?)
ボーマンには理解出来なかった。
先程までならば余裕で避けていたであろうタイミングでサイドステップをしたのだ。
それなのに足がついてこない。回避出来たのはギリギリだった。一体何故?
とりあえずクリフとの距離を離そうとバックステップを試みる。が、
(やっぱり遅ぇ!何だっつーんだ!?)
自分の身体がスローに感じる。
身体にダメージはほとんど無い。それは間違いないのだ。それなのに何故か動きが遅い。
クリフが指を鳴らしながらゆっくりと近づいてくる。
クリフの威圧感と自分に起こっている異常への不安感がボーマンを思わず後退りさせた。
「オッサン、どうやら足を痛めたみたいだな。悪いが待たせてる奴がいるんでね、そろそろケリつけようじゃねぇか」
(足を痛めた…?)
「あん?俺はまだ27なんだよ。オッサンとか言ってんじゃねぇよ」
(痛みなんかねぇぞ)
ボーマンはそう思いつつも気になって足元を見る。そして愕然とした。
(げ、こいつ27かよ。ミラージュとタメじゃねえか)
瞬間的にクリフは、ミラージュを「オバサン」と呼んで
インフィニティアーツ→キャノンブレイズのリンクコンボでお仕置きされている自分を連想してしまった。
(チッ、この野郎。余計な事考えさせるのが上手いじゃねえかよ。姑息な野郎だ、ますます許せねえ)
これについてはボーマンに何一つ非は無いのだが、クリフはボーマンを「姑息な野郎」と認定した。
「…ま、どうでもいい。決めさせてもらうぜ!」
暗いのでハッキリしないが、クリフにはボーマンの足はボロボロになっているように見えた。
やはりバーストタックルを蹴り返した事で痛めたのだろう。
実際に動きは相当鈍くなっていたのだ。ようやくクリフに勝機らしい勝機が見えてきた。
とは言うもののクリフ自身も疲労困憊、満身創痍の状態だ。
大技ならば後1、2回撃つのが限度。それは何としても決めなくてはならない。
そして、確実に決める為にはもう少しボーマンを痛めつけ、更に動きを鈍らせる必要がある。
- 252 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/04/22(水) 19:57:06 ID:R8js2j8S0
- ボーマンが再び後退りをする。それが合図であるかのようにクリフは動いた。ワンステップで距離を詰め、左ジャブで牽制する。
ボーマンはそれをバックステップで避けるが、
「遅えよ!」
クリフは容易くそれに追いついた。これならば自分の射程外に逃がす事は無い。
それを改めて確認したクリフはボーマンの顔面に左ジャブ、右ストレート、左ストレートの3連打を1呼吸で放った。
ボーマンは後ろに下がりながらそれらを避けるが、やはり動きが鈍い。
クリフは距離を離される事なく食らいつき、追いながら更に顔面を狙い連打を繰り出す。
クリフの連打はことごとく空を切る。だが、徐々に拳とボーマンの距離は縮まってきている。
ボーマンはクリフの拳を避けるのに手一杯で、反撃する余裕は無いようだ。
しっ、と掛け声と共に、おもむろに水面蹴りを仕掛けた。転倒はしなかったものの、ボーマンはバランスを崩してグラついた。
立ち上がる勢いで胸元に掌打を繰り出す。ボーマンは避けきれず両手でガードし、ついに足が止まった。
「オラオラオラァ!」
こうなればこちらのものと言わんばかりに、クリフはガードの上からでも構わず攻撃を仕掛けていく。
ボーマンはガード一辺倒。先程まで攻撃を避けていた得意のフットワークはやはりもう使えないようだ。
クリフの攻撃は両手でガードはされているが、元よりヒットを期待してはいない。ガードをこじ開けるつもりも無い。
更にボーマンの右側に走りこみ右裏拳、左ストレートのコンビネーションを放つ。ボーマンはこれも両手でガードした。
(ここだ!)
クリフは渾身の右ローキックを放った。まともに当たれば人間の脚など簡単にへし折れる威力だ。
両手を右上半身のガードに使い、両足を負傷しているボーマンにこの蹴りを防ぐ手立てはない。
そう思った。思ったのだが。
命中する、と思った瞬間、ボーマンは跳躍をしていた。全力を込めていた蹴りは避けられ、バランスを崩してしまった。
(んなバカな!?ろくに動けもしねえ足だろうが!?)
足を痛めている様子など微塵も感じられない跳躍だった。
一瞬の動揺、そして隙。ボーマンは見逃してはくれない。そのまま顔面に跳び蹴りを食らわされた。
「ぐはっ!」
「おぉぉぉっ!!」
ボーマンが吼える。仰け反るクリフに拳のラッシュが入れられた。
鳩尾、胸部、顔面に両拳が突き刺さる。アッパーで更に仰け反ったところに勢いのついたドロップキックが炸裂し、
クリフは吹っ飛ばされた。なんとか足を地面に擦りつけてブレーキをかけるが、踏ん張る身体に激痛が走る。
クェーサー戦で折れたあばらを再び痛めたようだ。
(……関係ねえ!)
そんな痛みはどうでもいい。今はボーマンだ。追撃に備えて立ち上がり構えをとる。が、それは無意味。
クリフが構えた方向にボーマンの姿は無い。代わりに別の角度から竜巻が飛んできていた。
「断罪者か!?てめえは」
ツッコミを入れる体力があるのは良いが、ガードも避ける事も出来そうに無いタイミングだ。成す術もなく巻き込まれてしまう。
なんとか巻き上げられる事は堪えられるが風圧で身動きが取れない。
しかも大量の砂埃と木の葉を巻き込んでいるこの竜巻の中では視界が全く効かなかった。
(くそっ目が開けられねえ…野郎どこまで姑息なんだ!)
技自体に直接的な攻撃力は無いが、風圧を堪える事であばらが痛み、体力を消耗させられる。
ボーマンのラッシュで切れた口に砂が入り込み、地味に痛む。だが、今は耐えるしかない。
数十秒程そうして居ただろうか。竜巻が僅かに弱まってきたのが感じられる。
これなら動けると判断したクリフは屈み込むと地面を蹴り、転がるように竜巻を脱出した。
(野郎は!?)
ボーマンを探して辺りを見渡す。しかし姿が見えない。気配も感じられない。
「…逃げやがった…」
- 253 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/22(水) 20:22:15 ID:U/QqUqFeO
- リアル投下ktkr
しえーん
- 254 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/22(水) 20:23:23 ID:U/QqUqFeO
- 支援。
- 255 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/22(水) 20:26:39 ID:U/QqUqFeO
- 時間見たら出遅れてたみたいだ。
今帰宅中なんで帰ってからされてないようなら代理行きます。
- 256 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/04/22(水) 20:31:44 ID:aPQSAwnqO
- したらばの方で投下完了しました。
問題ありましたら修正なり破棄なり致しますので、どしどし突っ込んでやって下さい。
- 257 名前:代理投下:2009/04/22(水) 21:21:52 ID:iepo6Lc10
- ボーマンは苛立っていた。現在彼は、とある作業中である。
(まだ腕が痺れてやがる!あんのゴリラ野郎が!)
クリフの攻撃をガードした腕が痺れているせいで作業がしにくい。その事が彼を苛立たせていた。
いや、これは些細な事に過ぎない。苛立つ最大の原因は他にある。
バーストタックルをドロップキックで防いだ後からボーマンの動きは鈍くなっていた。
クリフは「タックルで足を痛めた為」だと考えたがそれは違う。
鈍さの原因、そして現在ボーマンが苛立っている最大の原因は「バーニィシューズが壊れてしまった事」にあった。
元々バーニィシューズは戦闘用に作られたものではない。
走る時の衝撃程度は吸収出来ても、攻撃の衝撃に強い造りにはなってないのだ。
クリフのバーストタックルとボーマンのドロップキックの衝撃を受け止めて耐えられる訳がない。
しかし、ガソリンまみれのボーマンがバーストタックルの炎を防ぐ事が出来たのは、
ガソリンが全くかかっていなかったバーニィシューズを履いていたからである事も事実。
バーニィシューズを犠牲にしなければ今頃は焼け死んでいただろう。
そして意図した事ではないが「足を痛めた」とクリフに誤解させ、大きなダメージも負う事無く戦闘を乗り切れた事も考慮すれば、
使い捨てのアイテムと割り切るなら相当な効力を発揮したと言える。
だが、バーニィシューズが無くなった今「支給品を手に入れる為に役場に向かう」という作戦は変更せざるを得ない。
到底一番乗りは不可能だろうし、他の参加者と出会ったら逃げ切れる保証も無い。
ならばどうするか。答えは既に決まっていた。
(バーニィシューズを壊した責任は取ってもらわねぇとな)
先程、バーニィシューズが壊れている事に気付いたボーマンは愕然とした。
(なっ!?壊れて…これじゃ…役場に…いや…アシュトンはまだかよ!?)
そして軽くパニックを起こす。クリフが何かしゃべっているが言葉が頭に入ってこない。
(アシュトン?…来るわけねぇ。役場…じゃねぇ、こいつが先だ)
クリフの顔付きが変わり、近づいてきた。
先程は不安感からだったが、今度は焦燥感から再び後退りする。
(だがどうする?バーニィシューズが…)
パニックは治まってきたものの、バーニィシューズが壊れたショック、そして、影響は大きい。
今までクリフと互角に立ち回れていたのはバーニィシューズが有った為だと言っても過言ではないのだ。
戦うにしろ、逃げるにしろ、バーニィシューズが無ければ不利は明白。
ではどうすればいいのか?しかし、対策を考えているを考えている暇など与えてくれるはずもなく、クリフが距離を詰めて来た。
反射的にバックステップで距離を取ろうとする。が、すぐに食らいつかれる。
(くッ、足が重てぇ)
実際には足が動かない訳ではない。
バーニィシューズのスピードに慣れすぎていたボーマンには自分本来のフットワークが遅く感じられているだけの事。
つまりただの錯覚なのだ。しかし、錯覚とはいえ動きにくい事に変わりは無い。
「遅えよ!」
そう言ってクリフが攻撃を仕掛けてきた。
何とかバックステップで避けるが、やはり足が重く動きにくい。そして、全くクリフとの距離を離せない。
クリフが追いながらパンチの連打を繰り出してきた。
何とか下がりながら避けるが、ボーマンが下がるよりもクリフの踏み込みの方が速く、徐々に近づかれている。
顔面への攻撃に目が慣れてきたボーマンに、クリフの足払いが引っかかる。バランスを崩したところに追い討ちを掛けられた。
(くそっ避けきれねぇか!)
ついには、やむを得ずガードする事となった。
先程の接近戦で分かっていた事だがクリフのパワーはガードした腕を痺れさせるのだ。
それを計算ずくなのか、ガードの上からでもお構い無しに攻撃は続いた。
エンプレシアとミスリルガーターがぶつかり合い、重い衝撃がボーマンの腕に伝わる。
動きが重い今ではフットワークを使って衝撃を流す事も難しく、
クリフの常人離れしたパワーと、サイズの合わないエンプレシアがますます腕を痺れさせる。
- 258 名前:代理投下:2009/04/22(水) 21:23:00 ID:iepo6Lc10
- (やべぇ…腕が…)
もう何発かガードしていたら腕が持たなかっただろう、という時、クリフのローキックが繰り出された。
反射的にジャンプして避ける。その瞬間、クリフがバランスを崩し、一瞬の隙が生まれていた。
クリフの隙に反応して、ローキックを避けたジャンプから跳び蹴りを放つ。
蹴りはクリフの顔面にクリーンヒットし、クリフが仰け反った。
(チャンス!)
「おぉぉぉっ!!」
両拳のラッシュを仕掛ける。だが腕の痺れが影響し、拳に100%の力を乗せる事が出来ていない。
(くそっ、この馬鹿力が…)
拳では駄目だと判断し、ドロップキックを決めてクリフを吹っ飛ばした。
追撃するチャンスではあったが、先程『桜花連撃』を決めたシーンがフラッシュバックし、それを思い留まらせる。
クリフは桜花連撃をまともに食らっておきながらも、あれだけ高い跳躍から恐ろしい破壊力の急降下で反撃してきたタフネスだ。
腕に力が入らない今、それだけのタフネスを仕留めきれるとは思えない。
そう判断したボーマンは「距離を取る事」を選択した。距離を取ってまずは腕を回復させたい。そしてもう一つ…
ボーマンはクリフが蹴り倒した樹の場所まで走るとボーマン、倒れた樹、そしてクリフが一直線上になるよう位置取りをし
『旋風掌!』
倒れた樹に向かい旋風掌を撃ち込んだ。
旋風掌は樹に生えている木の葉を大量に巻き込み、軌道上にいるクリフに襲い掛かる。
「……!」
クリフが何か叫んでいたようだが、その声は竜巻に阻まれボーマンには届かなかった。
旋風掌がクリフを飲み込んだ事を確認すると、ボーマンはクリフとは反対方向に全力で逃走した。
100メートル程は走っただろうか。
ようやくクリフから離れる事が出来たボーマンだが、それだけでは事態は何一つ好転しない。
(バーニィシューズが壊れるってのは…ちっ最悪だぜ。これじゃ役場には行けねぇ)
役場での支給品入手はもう望めない。
(…アシュトンの方はもう終わったか?)
アシュトンのところに戻れば戦利品を分けてもらえるだろうか?
合流した時はアイテムの交換を拒否されたが、新たに入手したアイテムならばアシュトンも分けないとは言えないだろう。
(…いや、そういや金髪が「仲間を待たせてる」だとかヌカしてやがったな)
だが、きっとボーマンを見失ったクリフは仲間の所へ戻ろうとする。
同じ目的地に向かうとなると、バーニィシューズが壊れた今ではクリフに追いつかれる可能性も充分に有る。
逆に、クリフが戻るところを尾行する事も考えたが、その場合でも気付かれればやはり戦闘になる。
決定打もバーニィシューズも無い状態では、再び戦闘になった場合はこちらの圧倒的不利は明白。
(ここはやっぱ手持ちのカードで何とかするしかねぇな)
ボーマンは足を止めるとデイバッグからフェイトアーマーのカツラ部分と調合セットを取り出す。
(カツラも着けると徐々に体力が回復する、ねぇ。あまり時間は無いが…腕の痺れぐらい取れんだろ)
そう期待をしてカツラを装着する。
アシュトン達にフェイトアーマーの存在を知られたくなかったから装備していなかったが、今なら問題ない。
(アルテミスリーフが約2/3か…殆ど気休めにしかならんが無いよりマシだな)
これで調合用の薬草は底をついてしまうが仕方ない。
普段だったらニーネが、非常時に備えてボーマンの白衣に薬草をいくつか入れておいてくれるのだが
その薬草はこの島には持ち込めなかったようだ。
「ニーネ…エリス…」
つい妻と娘の事を考えたが、いや、とボーマンは頭を振る。
感傷に浸るのは全てが終わってからで良い。今は作業に集中しなくては。
- 259 名前:代理投下:2009/04/22(水) 21:25:30 ID:iepo6Lc10
- 残り2/3しかないアルテミスリーフを更に半分にちぎり、調合作業を開始する。
元々量が少ないので普段よりも時間は掛からない。すぐにフェアリィグラスが完成した。
(次はと…今なら邪魔なチェスターはいねえ。ようやく破砕弾を作れるぜ)
そう、ボーマンが今まで破砕弾を作れなかった理由はチェスターにあった。
アシュトン、チェスターと合流してからここまで、破砕弾を作る時間的余裕ならいくらでも有ったのだが、
チェスターに破砕弾を作るところ、または使うところを見られては、
チェスターに「仲間が爆死したのはボーマンの丸薬のせいだ」と気付かれてしまうかもしれない。そんな危険は冒せなかった。
だが今ならば何も障害はない。ボーマンは早速破砕弾の製作に取り掛かる。
そして、この破砕弾を使用する予定の相手を思い浮かべた。
(今度は俺が奴を追いかける番ってか)
これで決定打が手に入る。そう、距離を取ったもう1つの理由は「決定打」を手に入れる事にあった。
後は仲間の元に戻るクリフを尾行し、アシュトン達と供に奴を殺すか、その前に直接破砕弾で殺すか…どちらでも良い。
どちらにせよクリフを殺し、奴のアイテムを奪い取ってやるのだ。
(バーニィシューズを壊した責任は取ってもらわねぇとな)
ボーマンを見失ったクリフは焦燥感に駆られていた。
(やべえ逃がした…ミラージュ…急がねぇと)
木の葉での目隠し、などという手を使われたとはいえ、むざむざボーマンを逃がしてしまった。
このまま役場に向かわれたならばミラージュが危ない。
焦ったクリフは痛むあばらを押さえ、とにかくボーマンを追おうと走り出した。が、すぐに首輪から警告音が鳴り始めた。
『禁止エリアに抵触しています。首輪爆破まで後30秒』
「っと」(30秒?)
再び禁止エリアに入ってしまった。
竜巻の中にしばらく居たせいで方向感覚が麻痺していたようだ。
後退して禁止エリアを出ると、デイバッグから地図とコンパスを取り出して方向を確かめる。
どうやら完全に方向を間違えてたらしい。今このC―5が禁止エリアでは無かったならば、クリフは真っ直ぐC―6に向かっていた。
(さっきは確か20秒だったが…めんどくせえもん作りやがって、ルシファーの野郎!
…まあいい、何秒だか知らねえが要は警告なったらエリア出りゃ良いんだろ。むしろ現在地の確認になるじゃねえか)
地図を見て、辺りに目印になる様なものは無さそうだ、と判断したクリフは
禁止エリアに入った時の警告をナビ代わりに利用すれば良いと考えた。
いちいちコンパスを見ながら走るよりはよっぽど速く移動出来るだろう。
地図とコンパスをしまうと忌々しそうに目の前の禁止エリアを一瞥し、移動しようとした。その時、
(…何だ?ありゃあ?)
禁止エリア内に落ちている何かがクリフの視界に入った。
何かの塊の様な物が落ちている。あの辺りはさっきクリフとボーマンが戦っていた場所だ。
自身は何か落とした覚えはない。とすればボーマンのだろうか?あるいは別の誰かの物か。
急ぎたい気持ちは有ったが、それが気になったクリフは首輪の警告は無視して塊を拾いに行った。
(…こいつは…どこかで…)
確かにどこかで見た覚えがある。
D−5に戻ってそれを確認すると、ピンク色の毛皮のような物だった。
(これは…そうだ、バーニィに似て…バーニィ!?)
ふと、ボーマンのボロボロの足を連想して、
「バーニィシューズか!?…そういうことかよ!」
1つの答えに辿り着く。
- 260 名前:代理投下:2009/04/22(水) 21:27:36 ID:iepo6Lc10
- クリフの知っている物とは形状が異なるが、確かにソレはバーニィシューズの破片だった。
(野郎の動きが鈍ったのはバーニィシューズが壊れただけだったってか。…くそったれが!)
つまりボーマンの足にはダメージなんて無いのだ。
冷静に観察していればボーマンにダメージを負ったような素振が無い事に気付いただろう。
だが、目先の「勝機」に目が眩み、判断力が鈍っていたのかもしれない。
その判断ミスのせいでクリフは無駄なダメージを負い、ボーマンを取り逃がす事になってしまった。
「情け…ねえ……だが」
自らの判断ミスを悔やむと、バーニィシューズの欠片を握りつぶし禁止エリア内に放り投げた。
(バーニィシューズはぶっ壊したんだ。それなら奴が役場に着く前に追い…いや、まてよ…野郎はそもそも何が狙いだ?)
そして、謎が1つ解けた事に刺激され、ようやくクリフは現状を冷静に考え始める。
デイバッグからペットボトルを取り出した。うがいをし、水を吐き出す。
吐き出した水には大量の砂と血が混じっていた。
(あの状況で役場に行く?なわけねえだろ。行ってどうする?)
ほぼ互角の戦闘状態からの突然の逃亡。
慌てたクリフはミラージュの身を案じて追いかけた訳だが、そもそものボーマンの目的は何なのか?
少なくとも、役場方面に逃走したからと言って役場に行くとは限らない。むしろ、行く理由など無いはずだ。
(なら…ミラージュがあの野郎に襲われる心配なんかまず無い…か?)
確かに普通に考えればミラージュがボーマンに襲われる可能性は少ない、いや、皆無に等しいだろう。
実際にはボーマンは役場に向かっていたのだが、第3回放送を聞いていないクリフに、ボーマンが役場を目指す理由は考え付かない。
(考えられるとしたら…奴の有利な場所に俺を誘い込む…これか?
いや、あれは誘ってるような走り方じゃねぇ。明らかに振り切る走り方だった…ちっ、分からねえ)
考えてもボーマンの狙いなど分かりそうもない。クリフは頭を掻きむしると一つ舌打ちをし、余計な事を考えるのを止めた。
(…まあ、野郎の目的なんざどうでもいい。今はミラージュを護りに行く。野郎を見つけたらぶちのめす。それだけだ)
ボーマンが役場に行く可能性などは無いはずだが、他の参加者ならば、いつ、どんな理由で役場に行くか分からない。
ならば、自分のやる事はやはりミラージュを護りに行く事。そう結論付けた。
そして「最悪ボーマンを逃がしてもミラージュに危険は無い」という結論はクリフの心を幾分か楽にさせ、余裕を持たせた。
クリフはもう1度うがいをする。口の中の砂は気にならない程度には落とせた。ペットボトルをしまい、辺りを見渡す。
(野郎が戻ってこないとは限らねぇ。一応不意打ちは警戒しとかないとな)
クリフは辺りを警戒しながら、役場を目指して慎重に移動を始めた。
近づいてくる足音を聞き、まだ破砕弾を作り終えていないボーマンは少し焦った。
(あいつ、こっち来んのか!?仲間待たせてんじゃねぇのかよ?
…どうあっても俺を倒すってのか。チッ、まだ途中だってのに…しょうがねぇな)
足音はボーマンより東南側を、ほぼ西に向かって移動しているようだ。
つまり真っ直ぐボーマンに向かってきている訳では無いのだが、のんびりと作業している訳にもいかなくなった。
ボーマンは急ピッチで締めの作業に入る。
通常よりもサイズが小さくなってしまい殺傷能力に不安が残るが、この際贅沢は言ってられない。
(後は丸めてっと…何とか出来たな。…服も脱いどきたかったが…)
ガソリンまみれの服を着ていると破砕弾の飛び火に対してやや不安が残るし、
同じ理由から、自分の技の1つで炎の闘気を使用する「朱雀双爪撃」が撃てない。
それ故、出来れば脱いでおきたかったが、足音の持ち主、つまりクリフの姿が見え始めた。どうやらそんな暇は無いようだ。
ボーマンは広げた荷物を音を立ててデイバッグに突っ込んだ。足音が止まる。ボーマンの気配に気付いたようだ。
「てめえ、居やがんのか?出てきやがれ!」
クリフの怒号が聞こえる。ボーマンの姿まではまだ確認出来てないようだ。
(ああ、出て行ってやろうじゃねぇか!)
ボーマンはフェアリィグラスを飲み干した。
- 261 名前:代理投下:2009/04/22(水) 21:30:10 ID:iepo6Lc10
- ボーマンからの不意打ちを警戒して、念の為に禁止エリアからやや離れて移動していたクリフだったが
ガサガサと何かの音がしたのを聞き取り、立ち止まって警戒心を音のした方向に向けた。何か居る。
(…まさか猫や犬とかいうオチじゃねえだろうな?)
そう言えばクリフはこの島で野生生物の姿を一度も見ていない。哺乳類や爬虫類ならまだしも、鳥や昆虫すら見ていない。
おそらくは、この島がエターナルスフィア内に「この殺し合いの為だけに作られたフィールド」だから
余計な物は存在しないという事なのだろうか。(クリフが見てない、または気付いてないだけかもしれないが)
だとしたら、やはりこの気配は人のものだ。
「てめえ、居やがるのか?出てきやがれ!」
声をかけるが返事は無い。
だが、返事の代わりだろうか、再び同じ方向から何かの音が聞こえた。いや、音だけではない。暗闇に動く影が2つ程見えた。
(……誰だ?)
クリフに若干の迷いが生じる。ボーマンなら1人のはずだが、今見えたのは2つの影だ。
見間違いか、ボーマンに龍の男とは別の仲間が居たのか、それとも全く別の参加者か、
考えを巡らせていると、影の1つが飛び出してきた。それはやはりボーマン。ただ、何故か髪が青くなっている。
「なんだぁ?急いでたと思ったらイメチェンしてたのかよ。青髪の野郎は腹黒いって相場は決まってるんだぜ?」
クリフは悪態をつくが、ボーマンは何も答えないで真っ直ぐクリフに向かってくる。
(シカトしやがって。…いや、こいつ…?)
クリフは違和感を覚えた。ついさっきまでは逃げ回っていたボーマンがただ向かってくる、と言うのはどう考えても不自然だ。
何か狙いが有る、それは分かる。だがその狙いは何なのか?今見えた影、または青くなった髪に関係あるのだろうか?
クリフは影が見えた場所に視線を移したが、そこにはもう何も見えない。
(何だか分からんが…)
ボーマンは全く速度を落とすこと無く突っ込んでくる。もう考えている余裕は無い。
ボーマンが走り込むそのままの勢いで右腕を振り下ろしてきた。
(…チッ、しゃあねぇな)
狙いが分からないが、仕方なくボーマンの攻撃を左手で受け流し、右拳でガラ空きの顔面を殴り抜ける。
完璧に入った、と思った瞬間、パン、と軽い手応えをクリフの拳に残してボーマンは消滅した。
「あん!?」
その時クリフの背後から1つの影が迫る。分身に気を取られていたクリフは気配に気付くのが一瞬遅れた。
(後ろか!)
ボーマンがクリフの脇腹目掛けてスピードの乗ったサイドキックを放っていた。
クリフは振り向かずに身体を捻って回避しようとするが、ワンテンポ遅い。
キックがクリフの脇腹を掠め、折れたあばらから更に激痛が走った。
クリフは痛みを堪え、身体を捻った勢いで回し蹴りを放ったが、空を切る。ボーマンは暗闇に走り去っていた。
- 262 名前:代理投下:2009/04/22(水) 21:32:12 ID:iepo6Lc10
- (…そういう作戦かよ…)
仕組みは分からないがボーマンは分身を作り出す事が出来るようだ。
暗闇に乗じて本体と分身で攻撃を仕掛けてくる。しかも、気配を感じてもそれが本物か分身かは分からない。
(暗闇と分身、2つの隠れ蓑に紛れてのヒットアンドアウェイか。なかなか厄介…っと、また来やがった!)
再びボーマン、いやボーマン達が姿を現し向かってくる。今度は1人が前、少し遅れて2人が続いている。
(今度は3人かよ!…1つ確かめてみるか)
クリフはデイバッグからまだ水の残っているペットボトルを取り出すと、先頭のボーマン目掛けて思い切り投げつけた。
ペットボトルは回転しながらボーマンの顔面目掛けて飛んでいくが、そのボーマンは全く避けようとせず、そのまま命中した。
ペットボトルは弾かれて地面に落ち、ボーマンは何のリアクションも無く突進してくる。
(…つまりこの分身は幻や残像って訳じゃねえ…闘気が形作ってるってとこか?)
先頭のボーマンがパンチを放つ。クリフはそれを全力を込めてガードした。腕に衝撃が走る。だが、
(…本物の攻撃よりは軽いな)
拍子抜け、とまでは行かないが分身の攻撃力は高くないようだ。
今の分身は走り去りながら消滅していく。分身発生から消滅までは7〜10秒といったところか。
しかし落ち着いて分析している暇は無い。入れ替わるように後ろの2体が迫り来る。
(だったらこう言うのはどうだ?)
クリフは地面を蹴り、ボーマン達に向かって振り抜いた。抉り取られた土が細かく拡散してボーマン達に降り掛かる。
至極単純な目潰しだ。しかし、どちらもノーリアクション。突進は止まらなかった。
「全部偽者かよ!」
(なら奴は……そういう事か!)
2体のボーマンが浴びせ蹴りを放ってきたが分身と分かっていれば問題は無い。攻撃力が高くないのは確認済みだ。
クリフはそれぞれを片手1本ずつで受け流した。やはり軽い。
(…てめぇが姑息な野郎だってのは…)
クリフはすかさず自分の上空を確認、そして蹴りを突き上げる。そこにはもう1人のボーマンが飛びかかってきていた。
「分かってんだよぉ!」
2人の視線と殺気がぶつかり合った。
ボーマンの拳とクリフの蹴りが衝撃音を作り出す。どちらの攻撃も完全に相殺された。
ボーマンは落下の勢いを利用して地面を転がり、そのまま前方に跳躍して距離を離し、闇に溶け込んだ。
クリフを視認するが、今の反撃の体勢の悪さが影響して追いかけてこれなかったようだ。
(っつぅ!野郎…もう死方陣に対応して来やがるか…やってくれるぜ)
死方陣は、最大3体の分身を闘気により作り出し攻撃する技だ。
攻撃力も持続力も高くはないのだが、分身は作り出した時のボーマンと寸分違わず同じ姿をしていて幻惑効果が極めて高い。
その死方陣がこうも早く対応された事は今までの経験上、記憶に無かった。
いずれ対応されるとしても、もっと先だと考えていたのだがまさか2回目とは。
(…ま、それはそれで構わねぇけどな!『死方陣!』)
だがボーマンは、三度死方陣を繰り出した。この技は1度対応されただけで死ぬ技ではない。
むしろその対応を糧にして新たな駆け引きを生み出せる。
ボーマンは、クリフとの戦いはもうまともに接近戦はしない事に決めていた。
認めたくは無いが接近戦はクリフの方が有利だ。バーニィシューズが無くてもスピードならボーマンに分があるが、
クリフ程の実力者ならばすぐに対応してくるだろう。接近戦ではいずれ敗北するのは明白だ。
だったらわざわざ相手の土俵に立つ事は無い。ボーマンには接近戦以外でも戦う手段があるのだから。
クリフを倒すには撹乱してのヒットアンドアウェイで弱点を突くのがベストだろう。その為には死方陣は最適な技だった。
ボーマンは今度は4体になり、正面から前列に2体、後列に2体でクリフに突進する。
(対応出来るもんならしてみやがれ!)
- 263 名前:代理投下:2009/04/22(水) 21:35:09 ID:iepo6Lc10
- (4体…どうやら分身は3体までか?もっと出せるならさっきやってんだろうしな)
3度目の分身が迫り来る。辺りの気配を探るが、他に気配は感じられない。おそらく今回は本体もこの中に居る。
ならば、とクリフは再び地面を抉り、土を飛ばした。本体が居るならこれで特定出来るはずだ。
だが、それに反応するかのように前列の分身2体が高く跳躍し、後列の分身2体は顔をガードして突っ込んできた。
(そんな事も出来んのかよ!…全く良い技だ。神宮流にも取り入れたいぜ!)
これにはクリフも意表を突かれたが、すぐに体勢を整え、構え直した。
(だが…今のに対応したって事はやはりこの中に本体が居るって事だな)
そう判断すると、クリフはボーマン達を迎え撃つ事を選択した。
この分身技は避けるだけならば比較的容易かもしれない。だが、本体がこの中に居ると言う推測が正しいのなら、
そしてもし空中に跳んだ2体のどちらかが本体ならば、これはボーマンに反撃するチャンスでもあるのだ。
先にクリフまで到達したのは地上に居る2体。跳躍した2体が降りて来るまでにはまだ余裕がある。まずは地上の2体を対処する。
(とりあえず殴り飛ばす訳にはいかねえか)
本体が跳躍した側に居た場合、突進してきた分身に攻撃してしまっては、わざわざ自身の隙を晒けだす事になる。
逆に地上に居る場合、完全な二択となる訳だが、正解を引き当てたところで間違いなく回避なりガードなりしてくるだろう。
つまり本体がどちらに居るとしても、クリーンヒットは望めない。
そう考え、クリフは地上の2体の攻撃はまずガードを固めて凌ぐ事にする。
クリフは少し身体をずらし、2体の攻撃を大体同じ角度から来るように位置を調節した。
ボーマン達が同時に襲い掛かってくる。
片方が左ストレート、もう片方はステップインからのサイドキックを放ってきたが、
クリフは両手を少し動かす事で、両方の攻撃を完璧にガードしきった。
ガードしたミスリルガーターから衝撃音が2度発生した。先程と同じく、軽い衝撃音だ。
(軽い…上か!)
跳躍していた2体は既に攻撃態勢に入っている。
(上から来るなら何体居ようと問題ねえ!)
だがクリフには反撃に転じれる対空技がある。クリフは自分の顔の前で両手を交差させ、ボーマン達の真ん中に狙いを定めた。
「痺れちまいな!『マイト・ディスチャージ!』」
クリフの頭上に巨大な球体の闘気の塊が発現し、爆発した。
地上の分身がガードされた後、ボーマンはクリフが両手を交差させたのを見て、そのまま防御に徹するのかと考えた。
(だったら遠慮無く…って、何かやべぇ!)
だがクリフから伝わってくる闘気はとても防御の為とは思えない。確実に何かしてくる。ボーマンは咄嗟に身体を小さくした。
「痺れちまいな!『マイト・ディスチャージ!』」
クリフの頭上に巨大な球体の闘気の塊が発現し、爆発する。跳躍していた2体のボーマンはとても避ける事が出来ない。
成す術無く爆発に飲み込まれた。そして―――2体共消滅した。
- 264 名前:代理投下:2009/04/22(水) 21:37:30 ID:iepo6Lc10
- (対空技か!脅かしやがって!)
その瞬間、クリフの胸部から骨の粉砕される鈍い音が数回鳴り響いた。
「うぐぁっ!?……て…め…」
クリフの身体が「く」の字に折れ曲がる。更に骨の折れた激痛は流石に堪えきれなかったようだ。
「へっ、蹴りが軽いからって分身とは限らねぇだろ?痺れるのはてめぇの方だったな!」
(顔面が良い位置に来てるじゃねえか!)
言い終わると同時にボーマンは更に強打を叩き込み、クリフを殴り飛ばした。
ボーマンは「後列の2体の内の一方」に居た。わざと分身程度に力を落とした攻撃をガードさせる事で
自信を分身だとクリフに誤解させ、クリフが「跳躍している2体」に気を取られている隙を攻撃したのだ。
マイト・ディスチャージを撃たれた時はどのような技を撃ち出されるか分からなかったので、
地上に居る自分も巻き込まれる事を警戒して回避行動を取ったが、結果的にはそれは無用な心配であった。
(確実に肋骨の数本を粉砕したが…)
吹っ飛んだクリフの様子を伺う。立ち上がろうとしているが、口からは血を吐き出し、身体は痙攣を起こしているようだ。
見るからにダメージは大きい。
「頃合だな」
後はガソリンまみれの白衣をクリフに被せ、破砕弾をぶち当てれば終わりだ。
おそらくは破砕弾だけでも充分殺せるとは思っているが、念には念を入れておくに越した事はない。
ボーマンはデイバッグから白衣を取り出し、洗濯物を干す時のようにパンッ、と広げ、
「最後だ!『死方陣!』」
そして死方陣を発動した。ボーマン達がクリフを中心とした正方形を作る。相手を逃がさない為の陣形ならばこれがベストだ。
クリフはどうにか立ち上がっていたが、ボーマン達を睨みつけると、体力の限界のせいかフラついて屈みこんだ。
口元が動いていたが声は聞こえなかった。いや、そもそも声も出せていないのかもしれない。
(恨むんじゃねぇぞ…ってのは無理な相談か。まあいい、止めだ!)
ボーマンは一気に正方形の陣形を縮小させる。
最初の分身が襲いかかるのと同時に、ボーマンは白衣をクリフの頭上から被せた。
「イチ」
クリフが何かを呟いたのが聞こえた。
言葉の意味を考える間もなく、まだ手から離してない白衣が風圧に持ち上げられ、屈み込んでいたクリフの姿が消えた。
(何!?)
被せようとしていた白衣のせいではっきりとは見えなかったが、クリフは跳躍したようだった。分身の攻撃も当たっていない。
ボーマンは反射的に上空を見上げた。やはりクリフが高く跳躍している。
(さっきの急降下か?悪あが――)
ボーマンの目が、クリフの方向から落下してくる黒い何かを捉えた。
その瞬間、ボーマンは爆音と閃光に包まれ、全ての感覚が吹っ飛んだ。
- 265 名前:代理投下:2009/04/22(水) 21:39:35 ID:iepo6Lc10
- (全くよ…気付いてみりゃあこんな簡単な事だったとはな)
ボーマンが分身したのを確認して、クリフはピンを抜いて屈みこんだ。
「4」
ボーマンの分身は確かに見ただけでは判別不能だ。
クリフも最初は見分ける事しか考えていなかったが、そもそもそれが誤りだった。
重要な事は「どのボーマンが本物か」ではなく「ボーマンは何処に向かうか」だったのだ。
「3」
分身は発現してから10秒程度で消える事は先程確認してある。そして、当然ボーマン達が向かう場所はクリフの所だ。
つまり、ボーマンは分身したら「10秒以内に」「クリフのところへ」必ず向かってくる。
その事に気付けば対処は全く難しくはない。
「2」
ボーマン達が4体同時にクリフに向かって突進してきた。何故か白衣を広げているが、どうでも良い。
(走って逃げる奴には使えねえがな、走って来る奴には立派に使っていけるんだぜ)
「1」
タイミングはこれ以上無いくらいに良い。
クリフは全力を込めて跳躍し、持っていた缶を手から放した。クリフの居た場所に4人のボーマンが集まってきている。
1人、白衣を広げていたボーマンがクリフを見上げたが、星空を見上げて跳躍していたクリフの視界には入らない。
(なかなか良い月だ。クラウストロのには劣るが悪くねえ。俺の審美眼に認められるってのは自信持っていいぜ、お月さんよ)
だが、ボーマンが上を見上げるのはクリフの予想通り。見なくても分かっていた。
クリフの下方で閃光が発し、爆音が辺りを包んだ。クリフの投げた閃光手榴弾が作動したのだ。
(やれやれ、やかましい合図だぜ。…だが、ジャンプに釣られて俺を見上げたてめえは、まともに喰らっちまっただろ?)
閃光手榴弾の爆発に巻き込まれた者は視覚、聴覚を奪われ、爆音によるショックで身体が数秒間硬直する。
基本的に殺傷能力は無いが、遥か昔の閃光手榴弾であれば、爆心地の側に居る者が軽度の火傷を負う程度には攻撃力が有った。
そして、クリフの使った閃光手榴弾はどう考えても20世紀の骨董品とも言える代物だった。
無論、投げたクリフ本人は両手で耳を塞いでいたが、それでも爆音は手を突き抜けて、聴覚を軽く麻痺させた。
だがそれでも大した問題は無い。後は一撃を叩き込んでケリをつけるだけなのだから。
光が治まった事を確認するとクリフは地上を見下ろした。
直視していないとは言え、閃光に包まれたクリフの目は明順応を起こしている。
月明かり程度の光源では、数メートル下の暗闇の中は全く見えないはずだが、見下ろす先には4人のボーマンの姿が朧気に見えた。
その内の1人が立ち尽くしたまま何故か燃えている。その炎により姿が浮かび上がっているようだ。
『エリアル・レイド!!』
クリフはエリアル・レイドを放った。狙いは燃えているボーマンより若干離れた位置。
まるで獲物を狙う猛禽類のような勢いで急降下し、一瞬で地面に到達する。
地面に到達した瞬間、衝撃音と共にクリフの足元から破壊エネルギーの衝撃波が発生し、ボーマン達に襲い掛かった。
ボーマン達が一体ずつ掻き消されていく。最後に残ったのは立ち尽くしたまま燃えているボーマンだ。
ショック状態が覚めていないボーマンは身を護る事も避ける事も出来ない。
そもそも攻撃されている事にも自分が燃えている事にも気付いていないだろう。
衝撃波に巻き込まれ、ボーマンは炎に焼かれながら数メートル上空に吹っ飛ばされた。
物理法則に従って頭から落下を始め、受け身を取る事すらも許されず
『ゴシャアッ!』と奇妙な音を立てて地面に激突し、そして崩れ落ちた。
- 266 名前:代理投下:2009/04/22(水) 21:42:04 ID:iepo6Lc10
- (…どうだ?)
しばらく様子を伺うが、ボーマンが立ち上がる気配は無い。クリフは荒い呼吸をしながら、地面に片膝をついて座り込んだ。
(…はぁ…はぁ…やっぱ動けねえ……野郎、くたばったんだろうな?)
肉体的にも精神的にも限界だったクリフは、エリアル・レイドを撃てばしばらく動けなくなるとは予想していた。
ボーマンに直にエリアル・レイドを当てなかったのも、動けなくなった自分に貰い火するのを警戒しての事だ。
だがクリーンヒットしたとはいえ、衝撃波だけでは蹴り部分よりも攻撃力は落ちる。
おまけに、もし石畳やコンクリートの地面に落下したのならボーマンは即死だったであろうが、ここの地面は土である。
仕留め切れたかどうか今一自信が無かった。
もう1度ボーマンの様子を伺うが、動く気配は無い。死んでいるのか気を失っているだけなのかは分からないが、
「まだショック状態なだけ」と言う事は無いだろう。
何にせよ炎を消さない限りはボーマンは助かりようもない。そして、クリフに炎を消す気は全く無い。
クリフは勝利を確信し、とりあえず安堵する。
「へっ、手こずらせやがって…しかし俺も良い様だぜ。こんなんじゃミラージュのとこ行っても、足手まといにしかならねえ…」
とにかくボーマンは倒した。
後は役場に向かいミラージュを助けに行くだけなのだが、今の戦闘でクェーサー戦の傷がことごとく開いてしまっている。
クェーサー戦の時の疲労よりはマシではあるが、精神力も使い果たし、歩くのがやっとの状態だ。
どうしたものかと考えた時、ボーマンが持っているデイバッグがクリフの目に留まった。
(…こいつ回復アイテムは持ってねえのか?デイバッグは…まだ燃えてねえな)
クリフはボーマンの持ち物に対して淡い期待を抱き、デイバッグを回収しようと彼に近づいた。
炎に焼かれていて死んだ振りも無いだろうが、念の為にボーマンへの警戒は怠らない。
だが、やはりボーマンはピクリとも動かない。燃えている為に呼吸を確かめる事も出来ないので、
生きているかどうかまでは確認出来ないが、動く事は不可能だろう。
それならば、これ以上火力が強くなる前にデイバッグを回収しようと、クリフはボーマンのデイバッグに手を伸ばした。
凄まじい閃光と爆音、そして続けて鳴り響いた衝撃音に導かれて、レザードはその場所に到着した。
2人の人間が居る。1人は倒れていて燃えている。誰かは分からない。
もう1人は顔はよく見えないが、体格や格好からクリフだと判別出来た。
クリフはまだレザードの存在に気付いていない。
(クリフ?生きていたか。…ヴァルキュリアが戻るまでの間とはいえ、あの金龍から生き残るとはなかなかやる。
…と、言いたいところだが、彼が生きているという事はおそらくソフィアも生きているか…)
レザードは倒されている男を見る。
(どうやらクリフは金龍とは別の参加者に襲われたようだが…
クリフがヴァルキュリア達と別行動を取る理由は無いはず。にも拘らず今クリフが1人で戦っていたという事は、
敵は複数でやってきてヴァルキュリアとクリフが分散して戦う事となった、といったところか。
すると、ヴァルキュリアは現在も戦闘中である可能性が有るな…)
ソフィアが生きているであろう事。レナスが今も戦闘中であろう事。
この2つの推測から、レザードの胸中にある不安が広がる。
その不安は1つの目的を発生させ、レザードは瞬時に推測に基づいた計画を立てた。
(まずは確認の為、クリフに話を聞いておく必要がある。
最悪の展開を考えれば、倒されている男はとりあえず生きている方が好ましいが…)
クリフが男に近づいていく。止めを刺す気だろうか?今はそれを止めさせなくてはならない。
レザードは呪文を発動する準備を行う。かつてミッドガルドでメルティーナを殺害した呪文だ。
レザードはクリフが燃えている男に手を伸ばしかけたところで声を掛けた。
- 267 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/22(水) 21:47:20 ID:U/QqUqFeO
- 代理投下もさるったorz
誰か続きを頼む!
俺は続きを読んでくるノシ
- 268 名前:代理投下:2009/04/22(水) 22:41:36 ID:iepo6Lc10
- 「クリフ、ご無事でしたか」
後ろから声を掛けられた。まだ耳鳴りが残っている為に少し声が遠いが、聞き取る事は出来る。聞き覚えのある声だ。
クリフが振り向くとレザードが微笑みながら、左手をクリフの方向に向けて立っていた。
「レザード!?てめえ、さっきはよくも…って、おい!?」
レザードの左手に紋章力のようなエネルギーが集まっている。
クリフがまさか、と思った瞬間、レザードの左手から光線が撃ち出された。
クリフは反射的に防御体勢を取るが、光線はクリフの身体の横を通りぬけていった。
目で光線の軌道を追うと、光線はボーマンに命中して炎を消していく。どうやら冷気の紋章術のようだ。
(こいつを助ける気か?何でまた?)
数秒後、ボーマンを燃やしていた炎は完全に消火された。
レザードが呪紋を止めたのを見てクリフは口を開こうとしたが、それより先にレザードが話し始めた。
「先程は私の力が及ばずにあなた方を置き去りにしてしまう事となり、申し訳ありませんでした」
「あん?」
クェーサー戦の話のようだ。
「本来の私の移送方陣ならば、あの場に居た全員を移動させる事が可能だったのですが、
能力制限のせいか、ここでは移送方陣の効果範囲がごく狭い範囲に狭められているようです。
私もその事には、先程移送方陣を発動させた時に初めて気付きました」
「…要するに、自分だけ逃げ出す事になったのは能力制限のせいだと言いたいのか?」
「言い訳にしかなりませんがその通りです。そして、移送方陣には回数制限も掛けられていたようで、
再び移送方陣でお2人を助けに行こうとしても、発動する事すら不可能でした。
ですが、これは完全に私の落ち度です。私がもっと早い段階で移送方陣を試して能力制限に気付いていれば、
金龍には別の手段を用いて対抗する事が出来たのですから。
…ともあれ、ご無事で何よりです」
その言葉を聞き、クリフは考える。
確かにこのようなサバイバルゲームでは瞬間移動の能力は強力すぎる。
ルシファー側からしてみれば是非とも制限を掛けたい能力なのは間違いないと思われ、レザードの言ってる事は筋が通っている。
筋は通っているのだが、クリフは先程レザードに置き去りにされたという印象が強く、
彼の言い分を鵜呑みには出来ない気持ちが大きかった。しかし、否定する材料も無い。
釈然としないが、クリフはとりあえず置き去りにされた事は置いておく事にした。聞きたい事はもう1つある。
「チッ、それはまあ良い。それでお前、何でこいつを助ける?」
「いえ、彼には少々聞きたい事が有りましてね…最も話す事が可能なら、ですが。まあ、その事については後程説明致します。
それよりもクリフ、あの後金龍はどうなったのです?貴方とソフィアとで倒したのですか?」
その質問を受け、クリフはソフィアの事を思い出した。ソフィアにも危険が迫っているのだった。
「そうだ!っつぅ!」
レザードにソフィアの事を話そうとして思わず力んでしまい、身体が痛み、よろめいた。
「大丈夫ですか!?…無理をしてはいけません。少し横になると良いでしょう」
レザードは倒れかけるクリフを両手で支え、地面に寝かせた。
「レザード、お前ソフィアを助けに行ってやってくれ!ソフィアが危ねえんだ!」
「落ち着いて下さいクリフ。ソフィアが危険と言うのはどういう事です?」
「こいつの仲間とソフィアが戦ってんだ」
クリフはボーマンを指差す。
- 269 名前:代理投下:2009/04/22(水) 22:42:41 ID:iepo6Lc10
- 「クェーサーの事は俺にも良く分からねえ。奴との戦いの途中で気を失っちまって、目が覚めた時は奴はもう居なかった」
レザードは1つ頷き、先を促した。
「だがクェーサーの代わりに…て言うのも変だが、俺が起きた時はソフィアがこいつらと戦ってた。
このオッサンと、龍を背負った男と、後もう1人、ただ突っ立って見てただけの野郎だが、その3人組だ」
「…ソフィアが戦っていた?彼女1人で、ですか?」
レザードは怪訝な顔をした。ソフィアが戦っているという事が信じられない様子だ。
「他に誰が居るっつーんだ!…あ、いや、そういや何でか知らねえがルーファスの奴が生きてたみたいだ。
俺が起きた時、側に寝ていやがった。…もしかしたらクェーサーはあいつが何とかしたのかもしれねえ。
今もルーファスが起きてりゃ良いんだが…」
「…なるほど、大体の状況は理解しました。ソフィアの居場所は金龍と戦っていた場所ですね?」
レザードがそう言い、立ち上がったところを
「そうだ、頼むぜ。…あ、ちょっと待て。もう1つある」
クリフが引き止めた。
「…どうしました?」
「お前、回復の呪紋って使えねえか?使えるなら1つ頼みたいんだがな。
俺はミラージュを助けに行ってやらなきゃならねえんだ」
ミラージュの事はクェーサーに襲われる前の情報交換で話していた。
「…ミラージュ?確か鎌石村役場に待たせているという、貴方とソフィアの仲間でしたね?
ですが、今、ここから向かわれるおつもりですか?」
レザードは眉をひそめる。おそらく禁止エリアの事が引っかかっているのだろう。
クリフはレザードに、禁止エリアの30秒の時間制限について話した。
「そう言う事でしたか…」
レザードは何やら考え込みそうな雰囲気だ。
「考えんのは後回しにしてくれ。で、回復呪紋は出来るのか?」
レザードは我に返ったような表情を見せたが、クリフと目が合うと微笑みを見せた。
「勿論です。では横になり目を閉じていて下さい」
「…悪いな」
クリフは言われた通り、目を瞑る。レザードが再びクリフの側に屈み込む気配が感じられた。
「少し冷えますが、心配なさらず、そのまま横になっていて下さい」
(冷える?何で冷えるんだ?)
クリフがそう聞こうとしたその時、クリフの身体を冷気が包んだ。
冷気の正体が何なのか、考える間も与えられず、クリフの意識は急速に暗闇に落ちていった。
クリフの話を聞き終えたレザードは、男の消火に使ったのと同じ呪文でクリフを凍結させ、彼のデイバッグの中身を確認した。
だが、目当てのドラゴンオーブは入ってない。やはりレナスが持っているようだ。
(まあ、期待はしていなかったがな。
それにしても、この男正気か?ソフィア1人にヴァルキュリアを任せるとは愚作、愚行にも程がある。
考えたくはないが、これではヴァルキュリアが既に殺されている可能性も高いか…?)
レザードが想定していた状況の中でも、今の状況は限りなく最悪に近い。
最悪なのは当然、レナスが既に殺されている事である。だが、今レナスが(クリフが確認した時点では)生きているとはいえ、
ソフィアが1人でレナスを守っているという状況は、最悪の状況と大して変わらないとレザードには思えた。
そして、レナスをそんな状況に陥らせたクリフに激しい怒りを感じていた。
- 270 名前:代理投下:2009/04/22(水) 22:43:33 ID:iepo6Lc10
- (…いや、2人がかりでもソフィア1人を殺しきれなかったような屑共が相手ならば、まだ結論を出すのは早い。
…どちらにしても、まずはこの男だ)
レザードは燃えていた男の様子を伺う。レザードはその男に利用価値を見出していた。
(この男も凍結させるつもりだったのだがな…フリーズチェックの類の道具でも持っているようだな。
…ま、それはどうでも良いが)
燃えていたにも関わらず全く動く様子も見られなかったので既に死んでいる可能性が高いと考えていたが、
腹部が僅かに上下に動いていた。つまり呼吸は止まっていないようだ。
レザードは触診する。彼はホムンクルス研究の一環として、人体の構造には精通している。
先程起きた爆発音からすれば身体の一部が吹き飛んでいても不思議では無かったのだが、そのような致命的な怪我は見当たらない。
(察するに、頭部を強打され脳震盪を起こし、気を失ったところに火を点けられた、といったところか。
頭蓋や首に骨折は見られない。内臓の破裂も無さそうだ。ならば最も重傷なのは火傷部分か)
レザードは自分の荷物からアップルグミとペットボトルを取り出した。
アップルグミを全てすり潰し、ペットボトルに入れて軽く振る。そして男の口へ少量ずつ、ゆっくり流し込んだ。
(グミ単品ではあまり期待は出来ないが、全て使えばあるいは…)
グミ入りの水を全て飲ませ、少し待つと効果が表れ始めた。
焼けただれていた皮膚が多少回復したが、期待していた程の効果は無い。
「ふむ…この程度か。まあ試しておくには良い機会だ」
レザードはそう言い、呪文の詠唱を始めた。
『キュア・プラムス』
癒しの光が男を包む。だが、アップルグミ同様、予想以上に効果が見られない。
普段ならば8割方のダメージを回復出来る回復呪文だが、ここでは回復効果は1割有るかどうかといったところだった。
それでもグミの効力と合わせて、どうにか火傷は重度から軽度くらいまでには回復していた。
(私の「キュア・プラムス」でもこの程度か…攻撃呪文よりも回復呪文の方が制限が厳しいようだな。…仕方あるまい)
レザードがもう1度キュア・プラムスを唱えると、男は微かな呻き声を上げ始める。
(この程度回復すれば動けるだろう。…時間が惜しい。さっさと意識を取り戻して頂くとしよう)
レザードは、もう一本ペットボトルを取り出すと、少し乱暴に男の口に水を流し込んだ。
溺れているような感覚と共にボーマンは意識を取り戻した。そして、
「――ブハッ――ッゲホッゲハッゴヘッ」
口から水を吐き出し、噎(む)せた。噎せながら身体を捻りうつ伏せになる。咳が止まらず、肺が苦しい。
(何だ!?この水は?)
ボーマンは胸を押さえて地面に手をつくと、しばらくの間何も考える事が出来ずに、ただ噎せていた。
「気付かれましたか。良かった」
声を掛けられて初めてボーマンは誰かが側に居る事に気付き、振り返った。
(誰だこいつは?)
全く面識の無い男をボーマンは警戒し、咳き込みながら睨み付ける。
- 271 名前:代理投下:2009/04/22(水) 22:44:15 ID:iepo6Lc10
- 「誤解しないで頂きたい。私に戦う気など有りません。私の名はレザード・ヴァレス。
貴方に協力して頂きたい事がありましてね、不躾ですが戦いに割り込ませて頂きました」
ボーマンは自分が戦闘中だった事を思い出した。死方陣でクリフに止めをさそうとした後、記憶が無い。
(そうだ!俺は何で倒れてるんだ?金髪の野郎は?)
ボーマンは辺りを見回し、そしてクリフの氷像に気付いた。
「何だ?…どうなってんだ、これは?」
驚いてレザードを見る。やったとしたらこの男しかいない。
「…これはアンタがやったのか!?」
「そうです」
「さっき『戦う気がない』とか言ってたよな…こんなことしでかしといて、『戦う気がない』だ?」
「ああ、彼は凍結しているだけで、命に別状は有りません。十〜数十分もすれば自然と元に戻りますよ。
貴方と話をするには、こうした方が都合が良かったものですから。
それに、私が助けなければ貴方は命を落としていたのですよ?疑われては心外です」
言われてボーマンは身体中、特に頭と首、そして上半身が妙に痛む事に気が付いた。
身体を見ると、服は所々焼け焦げ、上半身には火傷が出来ている。さっきまではこのような焦げ跡、火傷は無かった。
いつの間にか気絶していたようだが、何故気絶するような事になったのか全く覚えていない。
ボーマンは立ち上がろうとし、身体がダルく、重い事を自覚する。このダメージにもやはり覚えが無い。
おそらく死方陣を放った時、クリフに手痛い反撃、それも気絶するような一撃を喰らわされたのだろう。
この男が助けてくれていなければ自分が死んでいたと言うのもどうやら確かのようだ。
「…一応、礼は言っといた方が良さそうだな。えっと、レザードっつったか?俺はボーマン・ジーンだ。
助けてくれてありがとよ。アンタの目的もこのゲームを止める事かい?」
ボーマンは自分が殺し合いに乗っていない事を仄めかした。
彼は、殺し合いに乗っていない人物ならば利用する、というスタンスを変える気は全く無かった。
例え、それが自分の命を救ってくれた人物だとしてもだ。むしろそのような人物の方が利用しやすい。
見たところ紋章術師の様だし、仲間にしておいて損は無い。そう思った。
「目的を偽らなくて結構ですよ?あなた方から彼らに襲い掛かったのでしょう?」
「――!?」
言い当てられ、ボーマンは言葉に詰まってしまった。
(チッ、こいつ、金髪と情報交換でもしてやがったのか?
「割り込んだ」とか言うからてっきり不意打ちで凍らせたものかと思ったが…いや、まだ誤魔化せる)
そう簡単に殺し合い乗ってる事を認める訳にはいかない。ボーマンはどうにか誤魔化す事を考えた。
「…確かにそうなんだが、元はと言えばそいつ等が、まだ14,5歳くらいの少女を殺してね。
その子の敵を取ってやろうとしたのさ。俺はそんな弱い者を殺すような奴が1番嫌いでね」
ボーマンはクリフ達に襲い掛かった大義名分を話す。
先程、役場で別の参加者に出会った場合にクリフを貶める為に考えた大義名分だった。これは半分は事実なのだ。
「ほう…14,5歳の少女?…もしや、その少女とは金髪で髪を左右に分け、赤い服を着ていた少女、ですか?」
「――!?…ああ、そうだが…知ってる子か?」
再び言い当てられ、ボーマンは少しレザードに不気味な気持ちを抱く。
「いえ、知り合いという程ではありません。それより確認しますが、その少女が殺されるところを見たのですか?」
「…いや、殺されるところってか、その少女の死に目にあったのさ。誰かに襲われて必死で逃げてきたようでな。
酷え有様だったぜ。全身を何かで貫かれたような傷跡があって、血塗れだった。
彼女の血の跡を辿っていったらその男達が居たって訳さ」
これも事実だ。最も事実を話しているからと言って、相手が信じてくれるかは別問題だが。
「『逃げてきたようだ』という事は、その少女とは会話はしていないのですね?」
「…ああ、話す事も出来ない状態だった」
「そういうことですか。これで確信出来ました」
- 272 名前:代理投下:2009/04/22(水) 22:45:09 ID:iepo6Lc10
- どうやら誤魔化せたようだ。ボーマンはホッとする。
「分かってくれたかい?」
レザードは微笑んで言う。
「ええ、貴方が確実に殺し合いに乗っている事が確信出来ました」
「ちょっ!?…おいおい兄ちゃん、アンタ話聞いてたのかよ?」
「勿論聞いていましたよ。貴方はその少女が殺される現場は見ていないのでしょう?」
「いや、だからな――」
ボーマンは再び説明しようとしたが、その言葉はレザードに遮られた。
「そして、少女の血の跡を辿っていった先で、クリフ達と出会った。その時、話が出来た人物はソフィアのみ。
…ああ、ソフィアというのはこの男の仲間の娘の名前ですけどね。
殺し合いに乗っていない人物が、あの小娘に問答無用で攻撃を仕掛ける訳が無いのですよ。
彼女と会話をしていたとすれば、なおさら詳しく事情を聞き出そうとするでしょう。
あれほど無害そうな娘ですし、ソフィアから先に攻撃を仕掛けるような事はまずありませんからね。
もしも少女が直接殺される場面を見ていた、もしくは死に際に敵討ちでも頼まれた、と言うならば、
殺し合いに乗っていない者でも敵を討つ為に襲い掛かる、と言う事は充分有り得ますが、
貴方はどちらもそうではないと仰った。
おそらく貴方の目的は、主催者に対抗しているかのような意思表示してこの殺し合いで利用できる仲間を増やす事、でしょう?
そう、今私にやったようにね。
貴方の仲間の『龍を背負った男』というのも貴方と同じ考えでしょうね。
唯一殺し合いに乗っていないのは、ソフィアに襲い掛からず、ただ立ち尽くして見ていたという男のみ。違いますか?」
レザードはボーマンに口を挟む余地も与えず、一方的に捲くし立てた。
ボーマンも途中から口を挟もうとは思わなくなり、レザードを睨みつけていた。それほど完璧に見透かされた。
この男が知り合いだったのは金髪少女ではなく、クリフとその仲間の方だったという事か。
ここから誤魔化す事は出来ないだろう。
「…てめえ、この金髪の仲間か?」
だったら何故氷付けにしているのかが疑問ではあったが、そうとしか考えられない。
「そんな事はどうでも良いでしょう?それより、先程申し上げたはずです。『目的を偽らなくて結構です』と。
貴方がこの殺し合いに乗っている事は私にとっても都合が良いのです。その事を想定した上で、貴方に治療を施したのですから」
「…どういうことだ?」
「私と協定関係を結びませんか?取引と言い直しても差し支え有りませんが。
私は貴方の命を助けました。その代価として、して頂きたい事があるのです」
手を組もうという事だろうか。
ボーマンは正直、このレザードという男とは関わりたくなかった。自分が何を企もうと、全て見抜かれる様な気がしていた。
出来ればここは逃げ出したいのだが、自分をマーダーだと気付いている人物を野放しにしておくのも不安がある。
殺すにしても、今のコンディションで勝てる自信はあまり無い。
とりあえず、話を聞くだけでも聞いてみるか、とボーマンは考えた。
- 273 名前:代理投下:2009/04/22(水) 22:46:07 ID:iepo6Lc10
- 「…何がしたいんだ?」
「今、貴方の仲間はソフィアと戦闘中ですね?その戦闘を止めて頂きたいのです」
「戦闘を止める?あの嬢ちゃんを助けてくれって事か?」
(やっぱり仲間なんじゃねえかよ)
ボーマンはそう思った。が、すぐに否定される。
「そうではありません。ソフィアの側に緑髪の長髪の男が眠っていましたね?
彼に用が有りましてね、今死なれるのは困るのですよ」
(そういやもう1人眠ってたな。そっちを助けたいってのか。…だけど、手遅れなんじゃねーか?)
ボーマンの考えを見抜くかのようにレザードが続ける。
「もしも手遅れでしたら、せめて彼に預けた私の道具だけでも回収したいのです。
貴方の仲間が彼を殺した場合は、彼の道具は貴方の仲間が手に入れる事になるでしょう?
その場合、私がそれを回収するには貴方に協力して頂くのが最も効率が良い」
(要するにその道具が目的という事か?…それなら、緑髪の男が死んでても逆上して向かって来る事はなさそうだな。
それに、もし向かってきてもその時にはアシュトン達と一緒だ。3人がかりなら負けねえだろ。
…断ったら今1人でこいつと戦うハメになりかねねえし、だったらここは、とりあえず引受けておくのが無難か。
アシュトン達と合流したら…ま、成り行き次第だな)
ボーマンはとりあえずレザードとの取引に乗る事に決めた。
「…そんな事で良けりゃ協力しても良いけどよ、俺の仲間を止めるにしても何か理由が必要だろ?
俺達も『少女の敵討ち』を理由に攻撃を仕掛けたんだから、『何でもいいからやめろ』ってんじゃあいつらも納得しないぜ?」
ボーマン達は一応「正義の為に」という大義名分をかざして襲い掛かったのだ。
それを止めさせる理由がボーマンには思い浮かばなかったのだが、レザードは考える様子も見せずに言った。
「簡単です。『少女の敵討ち』という誤解が解けて、貴方とクリフは和解した事にすれば良い」
「誤解?誤解ったって、実際あいつらが殺したんだろ?ソフィアって嬢ちゃんはそう言ってたぜ?」
「それは事実ですが、その『金髪の少女』が曲者でしてね。ソフィア達が居た場所はご覧になられたでしょう?」
言われてボーマンはソフィアの居た場所を思い返す。地面にはいくつものクレーターが有り、木々は薙ぎ倒されていた。
「ああ。酷え有様だったが…おいおい、まさかアレをやったのがあの『金髪の少女』だとか言わねえだろうな?」
「月並みな言い方ですが、そのまさか、です。あの少女は外見とは裏腹に、強大で凶暴な魔力を持つ怪物でした。
いえ、正確に言えば、その怪物があの少女の身体に乗り移っていたようです。
それは、自らの事を『神』と称していましたが、確かにそれだけの能力を持っていました」
「『神』だ?」
ボーマンは十賢者達を思い出す。
(…自称『神』ってのにはろくな奴がいねえな)
「ええ、その力で我々に襲い掛かってきたのですよ。
私はその戦いで逸れてしまいましたが、どうにかクリフ達は勝利を収めてくれたようです」
にわかには信じがたい話ではあるが、先程少女の死体を調べ、
少女の腕に素手で人を貫いたような痕跡を確認しているボーマンは割とすんなり受け入れる事が出来た。
- 274 名前:代理投下:2009/04/22(水) 22:47:17 ID:iepo6Lc10
- 「なるほどな…実は悪者は『金髪少女』の方、か」
「そういうことです。貴方とクリフは誤解が解ければ、表面上は主催者に対抗する者達同士。
協力し合う事になっても不思議は有りません」
理屈は通る。チェスターなんかはソフィアを殺さずに済んで喜ぶかもしれない。
「…それなら何とかなりそうだな。じゃあ協力するぜ」
「感謝致します。そうと決まれば急ぎましょう」
レザードは自分の荷物をまとめ始める。だが、ボーマンには1つ気になる事があった。
「おいおい、ちょっと待て。まだ何か有るんだろ?」
「はい?」
「俺が殺し合いに乗っていた方が都合が良いって言っただろ?だったら、他に何か俺にやらせたい事が有るって事だよな?」
「ええ。仰る通りですが、今は時間が惜しい。その話は移動しながらにしませんか?」
「…まあ別に良いけどな、それも『命を助けてもらった分の要求』に入るのか?」
マーダーにやらせたい事など汚れ仕事以外の何物でも無いだろう。確かに命は助けてくれたようだが、
正直、今一その実感は無いのだ。にも拘らず、そう幾つも要求されたのでは割に合わない気がした。
「…何か要求が有るのならば伺いますよ。私に出来る事であれば」
「別にそう面倒な事じゃないさ。何かアイテムを分けてくれりゃそれで良いぜ」
ボーマンは別にレザードにやらせたい事など無い。
いや、利用できるならそれに越した事は無いが、この男は今一信用出来ない。
それなら道具を分けてもらうくらいが無難で確実だろう。
「ならば…ふむ、そうですね、ついでですし、少々お待ちを」
レザードはそう言って、自分のデイバッグから剣を取り出した。
(剣かよ…)
ボーマンは正直落胆した。自分は剣を扱えない。
アシュトンとアイテムを交換する時になら使えそうだが、出来れば直接自分が使えるものが良い。
「…他の物は無いか?悪いが剣は苦手でな」
「いえ、この剣は、こう使うのです」
レザードはクリフの氷像の前に立つと、刃を下に向けた剣を構え、振りかぶった。
「え?(おい、ちょっと待て――)」
ボーマンがそう声を掛けようとしたが、レザードは既に剣を振り下ろしていた。
- 275 名前:代理投下:2009/04/22(水) 22:48:11 ID:iepo6Lc10
- 『バリィン!』と氷の砕ける音が響く。レザードの剣はクリフの胸から背中に突き抜け、完全に心臓を貫いた。
剣を引き抜く時、クリフの砕けた胸部がパラパラと地面に落ち、クリフの胸部には太い槍で貫かれたような風穴が開いた。
これには流石にボーマンも驚いた。
クリフが死ぬ事自体は別にどうでも良いが、レザードとクリフは仲間だったはずだ。まさか何の躊躇いも見せずに殺すとは。
レザードは続けて、凍っているクリフのデイバッグを切り落とし、唖然としているボーマンに話しかけてきた。
「彼のデイバッグを差し上げましょう。…ああ、失礼、貴方にはこのガントレットも必要ですね」
ボーマンが装備しているエンプレシアを見たレザードは再び剣を振りかぶり、クリフの両腕を砕き落とす。
もうボーマンも声を掛けようとは思わなかった。
「凍結している人間は返り血の心配がありませんからね、後始末が楽で良い。…さて、これで如何です?」
レザードはクリフの腕からミスリルガーターを外し、クリフのデイバッグに入れてボーマンの足元に放り投げた。
いつの間にかデイバッグの凍結は解除されていた。
「…こいつ、お前の仲間じゃ無かったのか?」
「その様な事は1度も申し上げておりませんが?」
「…さっき一緒に『金髪少女』と戦ったとか言ってただろうが」
「共闘したからといって仲間とは限らないでしょう?それに、彼は重大なミスを犯していますのでね、罰のようなものです」
レザードはなんでもない事のように言う。
「罰…ねえ…」
(罰って…刑罰かよ。しかも死刑じゃねえか。こいつ、上手くすりゃ利用出来るか?
とか考えてる場合じゃねえな。適当なところで逃げねえと…)
ボーマンはレザードの妙な威圧感に気圧されていた。クリフから感じた威圧感とは全く異なる威圧感だ。
そう、強いて言えば、レザードの威圧感は十賢者達から感じたそれに近い。人を人とも思わない、あの冷酷な威圧感に。
「それではお気に召しませんか?」
レザードが問いかけてきた。
ボーマンはとりあえず、今の出来事は気にしないことにして、デイバッグの中身をチラリと確認する。
ミスリルガーター以外にもいくつかのアイテムが見えた。
「…いや、上等だぜ」
そして自分の荷物とまとめた。
今装備しているエンプレシアを外し、早速ミスリルガーターを装着する。
試しに素振りをしてみるが、やはりエンプレシアに比べると格段に使い勝手が良かった。
「だけどよ、クリフがこれ装備してたのはソフィアも知ってるだろ。
俺が持ってたらやべえんじゃねえか?そもそも『俺と戦ってたクリフはどうした?』なんて聞かれたらどうするんだよ?」
「…まあ、同じ型の武器が支給されていても不思議は有りませんが、
その点には気付かずに疑問を持たれる可能性も有りますね…
しばらくそのガントレットはデイバッグに仕舞っておいて頂けますか?」
「…ま、しょうがねえな」
結局ミスリルガーターはデイバッグに仕舞い、再びエンプレシアを装着した。
- 276 名前:代理投下:2009/04/22(水) 22:49:10 ID:iepo6Lc10
- 「クリフの行方ですが、彼は鎌石村役場に仲間を待たせていました。
その方を迎えに行った事にすれば良いでしょう。その後で何が起きようとも我々の知るところでは有りません。
例え氷付けにされて砕かれようとね」
「役場に仲間が居る?なるほどな、道理で…」
ボーマンはクリフが自分を追いかけてきた理由を理解した。
実際のところは彼も役場に向かっていただけの事だったのだ。
「他にはありませんね?それでは急ぎましょう。繰り返しますが、時間が惜しい。
もう1つの取引と情報交換等は道すがら行います。宜しいですね?」
「ああ」
2人はD−5東部に向かって走り始めた。
ボーマンは最後にクリフの氷像をチラリと見て、そしてレザードの背中を睨んだ。
(こうはならねえように、気ィ引き締めてくか)
ボーマンは、レザードの後からついて行く。とてもレザードに背中を見せる気にはなれなかった。
走り始めてすぐ、ボーマンが質問をしてきた。
「それで、もう1つの要求ってのは何なんだ?」
ボーマンがレザードのやや後ろを走っているが、レザードは振り向かずに話す。
「これはソフィア達2人が生きている事が前提ですが」
「ああ。んで何だよ?」
「緑髪の男にはばれないように、ソフィアを殺害して頂きたい」
「…はあ?」
レザードの2つ目の要求。
それは、先程クリフが生きている事を知った時に生まれた目的、ソフィアの殺害だった。
ソフィアは今では戦う気構えを見せているようだが、所詮はソフィア、実力の程度は知れている。
ソフィアが生きている限り、レナスはソフィアを守り続けようとするだろう。
それはつまり、先の金龍戦の様な事を繰り返す恐れが有り、レナスを死の縁に立たせ続ける事に他ならない。
レザードは、ソフィアの為にレナスを失う、などという事は断じて許せなかった。
ならばその危険性の元凶であるソフィアには居なくなってもらう。これがレザードの出した結論。
ソフィアを殺さずとも、例えばブラムスのようにレナスが信用出来る強者にソフィアを任せ、
レナスとソフィアに別行動を取らせる事が出来るのならばそれでも良いのだが、
ブラムスが錬石村に先行している現在、そのような都合の良い強者が他に居るはずも無く、やはり殺すのが最も手っ取り早い。
いつ再び金龍のような敵が現れるかは分からないのだから。
「そんなもん自分でやれば良いじゃねえか。まさか、女は殺したくない、とか言わねえだろうな?」
「その様なつまらぬ信条は持ち合わせていませんが、少々訳が有りましてね」
レザード自らがソフィアを殺すのは容易い事だが、万が一それがレナスにばれてしまってはレナスと敵対する事になってしまう。
それはレザードの望むところではないのだ。
「引き受けて頂けますね?」
「…まあ俺は構わないけどよ。報酬は前払いでもらってる事だしな」
ボーマンはデイバッグをポンッと叩いた。
「では取引成立ですね。ただし、殺害のタイミングは状況を見て私が指示致しますので、決して先走らぬようにお願いします」
「ああ」
- 277 名前:代理投下:2009/04/22(水) 22:50:21 ID:iepo6Lc10
- ソフィア殺害の前に、ドラゴンオーブだけは何としても確保しなくてはならない。
脱出する際、ドラゴンオーブが有ればソフィアの能力『コネクション』が不必要だという事は
先程ソフィア達を見捨てた時に結論付けたが、逆に言えばドラゴンオーブが無ければソフィアが必要となってしまうのだ。
もしもドラゴンオーブが破壊されているなりなんなりでこの殺し合いの舞台から消失してしまえば、
レナスと共に脱出するには、不本意ながらソフィアに頼るしか無く、殺す訳にはいかなくなる。
「で、2人が死んじまってる場合は、さっき言ってたみたいに、緑髪の男に預けた道具の回収だけで良いのか?」
「…ええ。とりあえずは」
もしレナス、ソフィアが既に殺されている場合は、先程ボーマンに説明した通り
レナスの道具(ドラゴンオーブ)を回収する事を第一に考え、ボーマンはそれに協力させる。
つまり、レナスが生死、どちらの場合でも、ボーマンには利用価値が有るのだ。
むしろ、ボーマンと手を組んだ最大の理由は、この最悪の状況を想定しての事だった。
ドラゴンオーブさえあれば、輪魂の呪が使用出来たのだ。換魂の法も使用出来る可能性は高いはず。
ならば再びレナスを蘇らせる事が出来るはずなのだ。そうレザードは考えていた。
「とりあえず…ねえ。後からアレコレ追加するのは止めて頂きたいもんだがな」
「ご心配無く。せいぜいクリフの道具分の要求を1つする程度ですよ。
ところで、取引の話はさておき、情報交換を行いたいのですが宜しいですか?伺いたい事が有るのです」
レザードは今の内にボーマンから第3回放送の内容を聞いておきたかった。
話をしやすいよう、少し走るペースを落としてボーマンと並ぼうとする。
だが、何故かボーマンもペースを落とし、前に出てこようとしない。
レザードは振り返り、ボーマンの顔をチラリと伺う。そして前を向き直し、
(ふん…それで警戒しているつもりか?…まあいい。せいぜい役に立って頂きますよ?)
そう考え、ボーマンを蔑むように微笑んだ。
レザードとボーマンが走り去って数分後、クリフの氷像が解凍し始めた。
完全に凍り付いていた身体が元に戻り始め、徐々にクリフの目が開きだす。
クリフは胸を貫かれていたが、体中が凍結して、いわば仮死状態のようになっていた為、その時点では絶命しなかったのだ。
そして今、その凍結は自然と解除された。
(…終わったのか?)
今、クリフの胸には風穴が開き、両腕は砕け散っている。
だが凍結していた事が彼の痛覚を完全に麻痺させていた為、本来襲いかかるはずの激痛は、彼には感じられていなかった。
クリフは起き上がろうとした。が、身体が全く動かない。
胸の風穴、そして両腕から出血が始まっていた。瞬く間におびただしい程の量の血液が流れ出てくる。
クリフは再び冷気を感じ、急激に目の前が暗くなり始め、意識が薄れていった。
(何だよ、まだ終わってねえのか)
それは先程意識を失った時と同じ様な感覚だったので、クリフはまだ治療中であるものだと思い込む。
だが違った。今クリフが冷気だと感じたもの、それは単に出血多量による体温の低下だった。
出血した血液は地面に染み込むが、すぐに飽和状態となり、土の上に血溜まりを作り始めた。
(とっとと頼むぜ、レザード。ミラージュを待たせてんだからよ…)
心の中でレザードに話しかける。
だが、その場所に居るのはクリフのみだ。他には誰もいない。クリフはその事にも、もう気付けない。
クリフの意識は再び暗黒に落ちていく。
先程との決定的な違いは1つだけ。
彼が目覚める事は、もう二度と、無かったという事だ。
- 278 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/22(水) 22:54:10 ID:U/QqUqFeO
- 後は状況表と作者さんの後書きだけなのに二度目のさるさんorz
続きを頼む。
- 279 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/22(水) 23:06:45 ID:qIqfwm9y0
- 【D−5/深夜】
【レザード・ヴァレス】[MP残量:25%]
[状態:疲労小]
[装備:サーペントトゥース、天使の唇、大いなる経典]
[道具:神槍パラダイム、エルブンボウ、矢×40本、レナス人形フルカラー、ブラッディーアーマー、アントラー・ソード、転換の杖@VP(ノエルの支給品)、ダブった魔剣グラム、合成素材×2(ダーククリスタル、スプラッシュスター)、荷物一式×5]
[行動方針:愛しのヴァルキュリアと共に生き残る]
[思考1:愛しのヴァルキュリアと、二人で一緒に生還できる方法を考える]
[思考2:その他の奴はどうなろうが知ったこっちゃない]
[思考3:ドラゴンオーブを確保する]
[思考4:ボーマンを利用し、足手まといのソフィアを殺害したい]
[思考5:四回目の放送までには鎌石村に向かい、ブラムスと合流]
[思考6:ブレアを警戒。ブレアとまた会ったら主催や殺し合いについての情報を聞き出す]
[思考7:首輪をどうにかしたい]
[備考1:ブレアがマーダーだとは気付いていますが、ジョーカーだとまでは気付いていません]
[備考2:第3回放送の内容はボーマンから聞き出しています]
[備考3:アップルグミは使い切りました]
【ボーマン・ジーン】[MP残量:5%]
[状態:全身に打身や打撲 上半身に軽度の火傷]
[装備:エンプレシア、フェイトアーマー]
[道具:調合セット一式、七色の飴玉×2、ミスリルガーター、サイレンスカード×2、エターナルソード、メルーファ、バニッシュボム×5、フレイの首輪、荷物一式×5]
[行動方針:最後まで生き残り家族の下へ帰還]
[思考1:完全に殺しを行う事を決意。もう躊躇はしない]
[思考2:アシュトン・チェスターを利用し確実に人数を減らしていく]
[思考3:とりあえずレザードと一緒に行動。取引を行うか破棄するかは成り行き次第]
[思考4:菅原神社に向かいながら安全な寝床および調合に使える薬草を探してみる]
[備考1:調合用薬草は使いきりました]
[備考2:アシュトンには自分がマーダーであるとバレていないと思っています]
[備考3:ガソリン塗れの衣類は焼けています。再び引火する可能性の有無は後の書き手さん次第で]
[備考4:クリフのデイバッグはまだ詳しくは中身を確認していません]
[備考5:ミニサイズの破砕弾が1つあります]
[備考6:バーニィシューズは壊れました]
【クリフ・フィッター死亡】
【残り21人+α?】
- 280 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/22(水) 23:08:34 ID:qIqfwm9y0
- 169 名前: ◆cAkzNuGcZQ 投稿日:2009/04/22(水) 20:39:07 [ sIFsGIFM ]
以上で投下終了です。
アップルグミに期待してたらエライ目に合いました…
動かすキャラとアイテムが登場する話は隅から隅まで読まないといけませんね。
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とりあえず投下お疲れ様です
感想はじっくり読んでからまた改めて……
- 281 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/22(水) 23:42:40 ID:iepo6Lc10
- これでようやく感想書けるぜ。
これが初心者の書いた作品だと…ゴクリ といった印象が拭えない。
バトルの描写も丁寧に書かれていたし、それぞれのキャラの口調も違和感をまったく感じない作り。
展開もハラハラさせてもらいました(俺の一押しキャラボーマンさんがお亡くなりになられたかと思ったぜ)
しかも初投下にしてキャラ死亡話までしっかり書き上げているし、それに終始クオリティーを落とすことなく
このボリュームを書ききるとは恐れ入りました。 マジGJ!
後はこんだけ頑張った作品だからしっかりタイトルをつけてあげてほしいのと、
この量ならwikiに2分割(もしかしたら3分割)掲載になると思うのでそこらへんを予め言ってもらうとこの後がスムーズになると思う。
- 282 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/23(木) 00:32:07 ID:9SiVVprE0
- 投下お疲れ様です
初心者とは思えないほどの文章ですごいとしか……
レザードが本格的に外道キャラにシフト、ピンチかと思いきや首の皮1枚つながったボーマン、
1番主人公していたクリフの死、読んではらはらしましたよ
レナス&ソフィア(+チェス太)組と孤立しつつあるアシュトンのこれからが見ものです
結局クリフはミラージュが既に舞台から退場した事を知らないまま死んでしまった訳か
死者スレでの再会が見もの……というかあそこはまだ動いてるのか?
- 283 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/23(木) 00:40:42 ID:R21Spuy50
- まずはGJ!
初作品とは思えないほどの高クオリティな文章には脱帽せざるを得ない。
末恐ろしい新人が来たもんだ…。
特にバトルシーンの臨場感はすさまじいものでした。
ただ個人的な意見としては、レザードがクリフを殺す動機が「ムカついたから」だけってのが少し希薄に感じられました。
ボーマンに不信感を抱かせるだけだし、ソフィアやレナスと合流しても怪しまれそうだし
レザードにしては得も無いやや短絡的な行動に見えます。
(他のキャラならともかく、頭のいいレザードだけに)
とにかくお疲れ様でした。
これからも期待しております。
- 284 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/04/23(木) 02:59:46 ID:BC2QDA570
- すみません。さるさん喰らったら何日か書き込めないものだと思ってました。
数十分なのね…自分で投下出来たじゃん、俺…
こんなところもド素人です。
さておき、感想どうもありがとうございます!
意外に評価高いのに本気で驚いております。
特にバトルシーンは読みにくいんじゃないか、伝わらないんじゃないか
と言った意味でハラハラしてました。
キャラの視点が違うせいで2回同じシーン書くところとか、特にそうですね。
全体的に緊張感を持たせるつもりで話を進めてみたのですが、上手くいっていれば幸いです。
理屈っぽ過ぎて読みにくかったら申し訳ない。
>>281
自分ではたまにボーマンとクリフのどっちのセリフだか分からなくなったりしましたがw
キャラ死亡は自分でもどうかと思ったんですけどね。
展開的にはアリかなぁとも思いましてこうなりました。
タイトルはもうしばらくお待ちください。
内容がシリアスなのにコミカルなタイトルしか思い浮かばなくて…
ちょっと自分で修正箇所に気付いてしまったので、その時にでも。
>>282
クリフにつきましては、ミラージュとの再会を期待していた人に謝らなくちゃいけないんですよね。
個人的には、ミラージュの死を知らずに済んだのは悪くもないかな?とは思うんですが…
てか、クリフを役場に向かわせたyHjSlOJmmsさん、ホントすみません。
>>283
伝えきれずにすみません。
レザードがクリフを殺した理由は、ムカついた、というのもあるんですが、
ソフィア殺害計画orドラゴンオーブ奪還計画でボーマンと手を組む為にはクリフは邪魔だというのがメインでした。
ボーマンの前でクリフを殺したのは、「裏切ったら承知しねえぞ」的な釘を刺す為でもあるんですが…不自然ですかね?
その後でレザードが罰だなんだと言っているのは、レザードの真意という訳ではなく、ハッタリの様なもののつもりでした。
ただ、ボーマン視点なのでレザードの真意は地の文でも説明できなかったのですが…
クリフ殺害の動機は最後のレザード視点でまとめて書いておく方が良さそうですね。
修正しておきます。
- 285 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/04/23(木) 03:05:23 ID:BC2QDA570
- あ、そうそう、言い忘れました。
代理投下して下さった方々、どうもありがとうございました。
そしてお疲れ様でした。
ド素人の知識不足でお手数かけて申し訳ないです。
- 286 名前:名無しさん ◆A/Fc0qBU16 :2009/04/23(木) 03:43:24 ID:aJb+ztpt0
- GJ!! ◆cAkzNuGcZQ氏に触発された。
アシュトン、チェスター、ソフィア、レナス@ルーファス、フェイト、ヅラを
予約したいんだがいいだろうか。連続来てるのがちょっと気に掛かるんだが。
- 287 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/23(木) 06:52:08 ID:sdEPaBsoO
- 同一パートじゃなければ予約は問題無いと思われ
しかし誰も支給取りに行きそうも無いな…
ルシファー涙目w
- 288 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/23(木) 08:54:45 ID:1pnCbngE0
- 朝起きたら投下きてたああああああ!!
超大作超GJ!!
何という頭を使った肉弾戦……
支給品の利用仕方といい、ガソリンなどのフラグの有効利用といい、凄いバトル書き手がきたもんだ……!
臨場感なんか凄まじかったぜ……
期待の新人なのに空気(気体)じゃないとはこれいかに。
>>282
動かせと言うネタ振りですね分かります。
いやむしろお前さんが動かせば(ry
- 289 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/23(木) 10:17:17 ID:+pEXQhPyO
- 新作の投下乙!
まずは一言だけ言わせてくれ……テメエみたいな初心者がいるかwww(誉め言葉的意味で)
- 290 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/23(木) 19:29:57 ID:VCWtoTtC0
- >>286
また予約が来た、期待して待ってる!
これはクイック期突入か!?
>>288
書いてやりたいが、
残念ながらSO3(とRS)は未プレイで下手に動かしてやれないんだ、許せ……
そして高等な時空剣士乙
- 291 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/04/23(木) 22:12:59 ID:IIu/sOi50
- 修正所に修正稿を書いてきました。
毎度ながらwiki編集の方乙であります。
>>284クリフ、ミラージュの件ならどうか気になさらずに。
あの時はこうした方が面白くなるかなと思ってましたが、それをやらなくても十分面白い話が投下されたわけですからね。
感想は>>281で書いた通りです。本当にお疲れ様でした。それと今後の活躍に期待!
>>286ここにきてまた新たな書き手の登場!予約に期待が高まるばかり。
キャラが連続登場とかは問題無いんじゃないですかね。
ただその予約キャラの周辺にいるけど出す予定が無い連中が空気になる恐れがあるので、
大きく時間を経過させようとしている場合は注意した方がいいかも…。
まぁ、そんなの気にして書きたい事を書けない方が勿体無いし、
他の書き手がフォローしてくれるだろうから(自分も及ばずながら)思う存分やっちゃっていいんではないでしょうか?
- 292 名前: ◆A/Fc0qBU16 :2009/04/23(木) 22:52:01 ID:Byouawm/Q
- 初でどこまでフォローアップできるかわかりませんが
初なりにがんばりゃしてもらいます。時間は大きく動かす予定はないんで。
アシュトン、チェスター、ソフィア、レナス@ルーファス、フェイト、ヅラムスで
正式予約さしてもらいます!
- 293 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/23(木) 23:33:11 ID:HoZNzb7rO
- >>287
鎌石村はともかく、菅原神社の方って時間的に洵ルシオ組くらいしか行けなさそうだからなぁ…
マリア組は就寝中だし。
平瀬村に向かってるレナ、プリシスか比較的近くにいそうなロキ、ブレアなら行けるかな?
- 294 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/24(金) 00:03:05 ID:xU/ASXy10
- 相変わらずクイックとスローの差がすごいなw
早くも予約入ったし、ワクワクが止まらねえエーーーーーーーーーッ!!!!
あと、質問というかなんというか、ものすごーく言いにくいんですが、
どうやら遥か昔の私はとんだ見落としをしていまして、チサトがパラライチェックをお風呂で外すのを忘れ、
ボーマンにパラライチェック偽物説を立ててしまいました・。
ので、「この状況で敢えて装備から外していたのはおかしいんじゃないか」といったような推理に差し替えたいと思います
予約面子に影響与えかねないし、今までの分の支給品欄を全て修正しなくてはなりませんが、パラライチェックを本物に修正してよろしいでしょうか?
物凄く今更なうえに基本的な事項を守れていないようなミスで申し訳ありません。
- 295 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/24(金) 00:04:07 ID:xU/ASXy10
- 外したのを忘れて、でした。
重ね重ねすみません。
- 296 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/04/24(金) 01:04:23 ID:5aHtLv3+0
- すみません、したらばの方で質問なんですが、
昨日の投下時に、1話だけ避難スレと修正スレ間違えて
投下しちゃったんですが、それの削除って出来ますかね?
やり方が分からないのでどなたか教えて頂けると助かります。
>>292
言ってみれば同期ですね!お互い頑張りましょう!
>>288
あまり期待されると次でガッカリされそうで怖いです…
あれ?もしやこれは典型的な1発屋の流れでは…
>>289
え、えーと、ジョルノジョバァーナとか…
>>291
そう言って頂けると助かります。
実は予約前に1番気にしたフラグがクリフとミラージュ対面だったので、
この形にして、何言われるか不安だったんですよね。
まあ、結局これで投下しちゃいましたが。
- 297 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/04/24(金) 02:00:47 ID:5aHtLv3+0
- したらばの方に修正箇所の投下をしておきました。
自分ではwikiいじれないので、すみませんが、どなたか宜しくお願いします。
もしも分割掲載になるようでしたら、
2分割の場合は、
>>263の「クリフの頭上に巨大な球体の闘気の塊が発現し、爆発した。」
までが前半でお願いします。
3分割の場合は、
>>259の「(バーニィシューズを壊した責任は取ってもらわねぇとな)」
までが1つめ
>>266の最後までが2つめ
でお願いします。
後、他に修正した方が良い点が有りましたら、突っ込み宜しくお願い致します。
- 298 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/24(金) 06:28:11 ID:8I00DXq20
- >>294この際だからそういったリレーミス的なのを洗ってみてもいいかも。
自分の書いたのなら修正手伝います。
他にグラビィティーレイザーどこ行ったかご存知の方いませんか?
島にある唯一のマリアさん用武器だったんですが…
- 299 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/24(金) 09:17:28 ID:7x81b8koO
- >>298
そういやリドリーの支給品って無くなったな。
アスタニッシュグリッツかマックスエクステンションくらった時に壊れたかどっか飛んでったか…
- 300 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 19:23:29 ID:WF2StoEZO
- 例えばの話なんですが、確実に眠ったという描写は無いけど現在睡眠中になっているキャラを
実は眠っていなかった事にして動かしても良いものでしょうか?
- 301 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 20:00:01 ID:B8hYvwi+0
- 現在状況が睡眠中ってなってたらやっぱ起こす描写を入れないとまずいと俺は思う。
まぁ、その話の作者さんと交渉次第だろうけど。
- 302 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 21:33:45 ID:WF2StoEZO
- 了解しました。
もしもその時がありましたら、交渉させて頂こうと思います。
- 303 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/04/26(日) 00:53:03 ID:nSp+m68J0
- 地図を113話までで編集してみましたが、79〜113話間の
死亡者位置を入れ忘れたので再編集します。
他に抜けなどあれば指摘ください。
- 304 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 01:23:23 ID:/oTAmIS70
- >>303地図サンクス。プロットを考える時あるのと無いのとではかなり違ってくるからありがたい。
とりあえずざっと見D−05の連中が丸々E−05にいるみたいっす。
- 305 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/04/26(日) 04:14:57 ID:nSp+m68J0
- 303です、再編集終わりました。304さん指摘ありがとうございます。
先に誤ってアップしたファイル、削除が可能でしたら
分かるかたお願いします。
あと、今後に使えたらと思い、編集に使ったファイルも共にアップしました。
- 306 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 11:45:47 ID:aIPk9jrl0
- おお!現在地更新超GJです!
何か盛り上がってきた!これで勝つる!
- 307 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 23:54:39 ID:t0NkHcWyO
- 地図更新乙です!
ただ、禁止エリア予定のD−6とD−1が取り違えられていましたので、
一応報告しておきます。
- 308 名前: ◆A/Fc0qBU16 :2009/04/27(月) 00:16:06 ID:pRlikTKk0
- 地図更新乙ですー!
チェスター予約のことで、
今チェスター所持のパラライチェックのことあるんで保留にしてたほうがいいですか?
したらばに試験投下さしてもらいましたが。
- 309 名前: ◆wKs3a28q6Q :2009/04/27(月) 01:09:50 ID:heWPw75q0
- 私のせいで申し訳ない。
ガルヴァドスが把握できていないので断言はできませんが、ガルヴァドスもクロードもマヒ系の技でチサトを攻撃してませんので、
『ボーマンが偽物と決定づける過程には修正を入れるが、パラライチェックは偽物のまま』ということも可能です。
後付けもいいとこな卓袱台返しになるので勿論許可を得られればの話ですが、チェスターを麻痺させる展開になさりたい場合は仰ってください。
その場合は"何故わざわざ贋作を掴ませたのか"という点と制限の点を絡めて「パラライチェックは偽物だ」と結論を出す考察を追加して仮投下してみようと思います。
- 310 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/27(月) 01:38:24 ID:ZYdsOGy/O
- 横から失礼します。
スーファミのスタオ1でのパラライチェックの性能ですが、
「麻痺を70%の確率で防ぐ。破壊確率5%」
なんですよね。
スタオ1からの支給品の例は他にも有りますし(シウススペシャル)、実はスタオ1仕様だった!とかダメですかね?
- 311 名前: ◆A/Fc0qBU16 :2009/04/27(月) 02:19:24 ID:pRlikTKk0
- >>309
麻痺は展開に使おうか迷ってんで
本物か偽物かはっきりしたらどっちでもいいです。
- 312 名前: ◆wKs3a28q6Q :2009/04/27(月) 19:05:25 ID:heWPw75q0
- でしたら、本物ということにしてよろしいでしょうか?
面倒をかけてしまい申し訳ありません。
- 313 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/27(月) 22:01:31 ID:hrz7tv/kO
- ここまで来てクリフ脱落かよ…
ミラージュ(故)との対面楽しみだったんだがなあ
- 314 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/28(火) 15:31:55 ID:b/FANQXL0
- ここ最近のクイックぶりに期待が高まるってもんだぜ!
wiki見て自分も思ったんだが、よくあんな大きいサイズの魔法少女服があったんだな
隠し持っていた住職はコスプレ癖でもあったんだろうか?
ちなみにVPキャラがゲスト参戦したLoVのデータによると、ヅラの身長は2mもあるらしい
- 315 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/29(水) 01:08:15 ID:jzcCBwr90
- (今更言えない…。キュアブラムスの衣装のサイズなんて考えずに投下したなんて…)
- 316 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/29(水) 01:10:48 ID:giHwEoDI0
- なに?
サイズが小さすぎて入らない?
逆に考えるんだ
「ピッチピチだけど無理矢理きればいい」と考えるんだ
- 317 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/29(水) 01:23:13 ID:TitW0FAE0
- >>316
そして破れてポロリですね、分かりま……よく考えたら恐ろしい事になった
想像するなよ、絶対想像するなよ!
- 318 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/29(水) 13:04:56 ID:DdXzCi/dO
- どなたか、ブレア、ロキの構想考えている方は居られますか?
しばらく待って、誰もいないようでしたら予約させて頂くかもしれません。
- 319 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/30(木) 00:11:39 ID:qyxO/+OF0
- >>318
予約できる状態になったらしちゃって構わないと思うよ。
誰かが予約キャラと被ってしまってもそれはそれでしょうがないと割り切る為に予約とかのルールがあるわけだし
- 320 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/30(木) 20:20:38 ID:qGCPQga3O
- では、もう少し構想練ったら予約させて頂きます。
もちろん俺に構わず、どなたか先に予約して下さっても結構ですので。
って予約しないで書いてる人って居るのかな?
知りたいような知りたくないような。
後、質問なんですが、支給品の中身って勝手に決めてしまって良いんでしょうか?
それとも何か決め方は有るんですかね?
- 321 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/30(木) 22:21:34 ID:9JFu6YKzO
- なんであの時にソレを使わなかったんだよ!
とツッコミの入らない物なら何でも良いと思うよ
- 322 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/01(金) 06:22:06 ID:hoqhwFpQ0
- 以前は予約無しでも書いてたなぁ。
最近は時間かかりそうなところばかりだししてない。
- 323 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/01(金) 23:33:45 ID:o4bQyxAsO
- >>321
返答どうもです。
とりあえずその辺は大丈夫そうです。多分。
>>322
他の書き手さんもそうだとすると本格的に過疎な予感が…
- 324 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/02(土) 02:19:53 ID:Kc95Qo0w0
- >>323
だが待つんだ
ここのロワはスロークイックが激しい事と潜伏民の多さには定評があるんだ!
- 325 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/02(土) 09:42:08 ID:N5scCBc00
- それに予約が来るとその構成メンバーから雑談が始まることもあるので
早く仕上がりそうな時もあえて予約したりする俺みたいなのもいる。
- 326 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/02(土) 15:17:08 ID:F65NMaro0
- 休暇中のブレアって何してんのかなー
闘技場で超人になって賞品狩ってんのかな
- 327 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/02(土) 16:34:09 ID:ejfi8BSU0
- >>324
潜伏民…俺の事ですね。
>>325
予約にそんな使い方が有りましたか。
じゃ俺も予約行きます。
>>326
きっとIMITATIVEルシファーで遊んでるんだろう。
…嫌な兄妹だ。
- 328 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/05/02(土) 16:42:43 ID:ejfi8BSU0
- wikiの自分の書いたパート(113話)細かい点修正したので一応報告。
それなりに構想出来たので
ブレア、ロキとレナ、プリシスの予約させて頂きたいと思いますが、
この2チームってブレア達が深夜、レナ達が黎明で時間がずれるんですが、
1話で書いて良いものでしょうか?
- 329 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/02(土) 18:23:03 ID:N5scCBc00
- >>328予約ktkr! それにしてもペース速いなw俺も少しは見習わなくてわ
時間に関してはロキ、ブレアがそのズレている時間の間なにをしていたのかを書けば問題無いんでない?
- 330 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/05/02(土) 19:27:07 ID:ejfi8BSU0
- >>329
あ、書き方が悪くてすみません。この2チームは絡まないで、
深夜のブレア達のパートと黎明のレナ達のパートを書きたいんです。
どちらも1話ずつにしてしまうとやや短めになりそうなので
まとめようと思ったのですが、時間がずれてるのはどうなのかな?
と思いまして。
まあレナパートは支給品出したいだけなので書かなくてもいいんですが。
- 331 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/02(土) 20:08:41 ID:N5scCBc00
- まぁ、繋がりが無いんだったら時間を気にする必要は無いんでない?
話が完全に独立しているなら短くても2話に分けて書いてもいいだろうし1話にまとめて書いてもいいと思う。
個人的にはその二組に話の構図的にも繋がりが無いなら2話に分けた方がいいと思う。
- 332 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/02(土) 21:25:38 ID:ce5+Apg5O
- 分けられるなら、連投でもいいから形式上は分けてほしいな
- 333 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/05/02(土) 22:51:52 ID:ynIXVB4nO
- 話が短くても大丈夫ということでしたら、予約はブレア、ロキのみとさせて頂きます。
レナ、プリシスは保留で。
- 334 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/04(月) 14:23:49 ID:PpHw1jyJO
- よーやく予約きた!これで勝つる!
超期待しとります。
- 335 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/04(月) 16:23:12 ID:t8vZ3MlHO
- すみません、予約つながりで伺いたいことが。
◆MJv.H0/MJQ氏がルシオと洵で予約なさっておられますが、進捗状況はいかほどでしょうか?
純粋に心配なのと、当時、予約が被っちゃったので書いても構わないのかなーと思う気持ちが半々でして。
あつかましい話で申し訳ありませんが、氏の生存確認も兼ねて質問させていただきました。
そちらが書けるようでしたら、そのまま楽しみに待ってます。
- 336 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/06(水) 08:45:33 ID:3Wx/RUqmO
- 下がりすぎage
今DIONが大規模な規制中だからそれに巻き込まれたとか…。
でもしたらばにも動きがないしなぁ。
書き手本人が元気ならそれでいいんだが…。
- 337 名前: ◆wKs3a28q6Q :2009/05/07(木) 08:38:45 ID:SjHJ0IkY0
- したらばの修正作品投下スレにパラライチェックの件を投下させて頂きました。
問題がないようでしたらwikiを修正させて頂きたいと思います。
>>335
ちなみに一週間ほど報告がなかったら予約してもOKになると思いますよ
……ただスレを見てないだけだといいなあ。
元気でいてほしい。
- 338 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/05/09(土) 19:24:45 ID:y73iMr1G0
- 予約して雑談が始まるどころかwikiの予約状況にもスルーされて涙目の俺が投下します!
穴が有りましたらご指摘宜しくお願いします。
- 339 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/05/09(土) 19:26:58 ID:y73iMr1G0
- 「行ったようだね。それじゃこっちも行こうか?」
クロードが暗闇に走り去ったのを見届けると、ブレアとロキは歩き始めた。
ロキはブレアに突きつけていたパラライズボルトを下げて、言う。
「一応言っとくけど、下手な真似したらお前の正体ばらして歩くからね、おとなしく歩いてなよ?」
仲間に余計な事を話されると面倒なので突きつけていたが、もう必要無い。
まあ、ブレアとしては逃げたところで正体を他の参加者にばらされてしまい、
実質殺し合いから脱落する事になるのだから、ロキに従うしかないだろうが。
「おとなしく歩けって言っても、もっと速く歩けよ。
さっきの不意打ちの時も思ったけど、やっぱりウスノロだな、お前」
ブレアは振り向く事もせず、沈黙を守ったまま、歩く速度を少し上げた。
(だんまり、ね。まあどうせこいつからは、まともな情報は得られないだろうしね。
だんまりでも別に良いけど少しからかってやろうかな)
ブレアは参加者の中で、最もルシファーに近い人物だろう。
しかし、具体的な脱出方法やルシファーの弱点を知っているとは到底思えない。
何故ならルシファーからしてみれば、そんな事を知っている人物を送り込んでもメリットは何も無いからだ。
ブレアがこの島に来てからの情報や、事前に知らされているであろう何かしらの情報を聞き出すにしても、
今のこのような状況になってしまえばブレアが真実を話す保障など全く無い。
それならば、ブレアがだんまりを決めこんでいようがロキは構わなかった。
しかし、歩くペースが遅いのはいただけない。
「遅いって。もたもたしてると禁止エリアになるだろ?…こんなウスノロであのおっさん達を殺せるのかねえ?」
そう、こんなペースでは目的地が禁止エリアになってしまうかもしれない。
ロキは、まず最初の目的地には菅原神社を選んだ。
先程の放送では、菅原神社と鎌石村役場の2箇所に支給品が置かれるとの事。
エルネスト達が居た場所はD−2北部の辺り。そこからは菅原神社も鎌石村役場も、どちらも近く、同じような距離だった。
ロキは考える。
では、奴等は支給品を取りに行くだろうか?
おそらく行くだろう。敵に対処する場合、戦うにせよ身を守るにせよアイテムは多いに越した事はないのだから。
逆に、近くに有るアイテムを取りに行かない理由の方が考え付かない。
そして支給品を入手した後は、おそらくフェイトの足の治療をする為、村に留まるはずだ。
では、奴等はどちらに行くか?
先程ロキはフェイト達と情報交換をした時、奴等には『鎌石村では死体をゴロゴロ見たから危険だ』と、適当な事を教えた。
しかし、自分達を拷問しようとしたロキが教えた事を、今も馬鹿正直に信じている奴は居ないだろう。
その時のフェイト達3人の話からすると、奴等は平瀬村で強敵に出くわし逃げてきたようだ。
普通に考えれば平瀬村には近づかないと思われ、この2点のみから推測すると『奴等の行く先は鎌石村』となる。
- 340 名前:罪状はDV 判決は死刑:2009/05/09(土) 19:29:19 ID:y73iMr1G0
- だが、奴等には今ブラムスが味方についている。
ブラムスが居る今、奴等が多少の危険を冒してでも平瀬村に戻る可能性は0ではない。
むしろ、マーダーは見過ごす訳にはいかない、などというお約束の正義感を振りかざし、
その強敵の退治をブラムスに依頼する事も考えられ、その場合は平瀬村に向かう可能性は高いと思われる。
その強敵と言うのがさっきの「炎の男」(確かミカエルと名乗っていた。放送でも呼ばれていた)の事だった場合、
既に倒しているのだから、なおさら平瀬村側に向かうのを躊躇する理由は無い。
つまり結論は『どちらに行くか分からない』だ。
どちらに行っても、どちらに行かなくても、全く不思議ではない。
ならば近い方から潰していこう。
もし、奴等の言う「強敵」とやらがまだ平瀬村に居て自分に襲いかかってきても殺せば良い。
そうロキは結論付けた。
(ただ、1つ分からないんだよな。何でこいつは主催側の駒のくせにこんな弱いんだ?)
先程のブレアの不意打ちから判断すると、ブレアの身体能力はルシファーに送り込まれた駒にしては非情に低い。
ヴァルハラで見たレナスのエインフェリア達だってもっと良い動きをしていた。
単純比較すれば、ブレアはエインフェリア以下、つまり兵士でもない普通の人間程度の力しかない事になる。
ルシファーはロキの能力すら制限出来る相手だし、ブレアを強くする事くらいは簡単だっただろうに、
何故それをしなかったのだろうか?送り込むなら念の為にそれなりの能力を持たせておいても良さそうなものだが。
(まあそんなことは別に良いか。オッサン達を殺す時にはスタンガンでも持たせておけば用は足りるだろうし)
ロキは気にしない事にした。どうせ直接対決させるのではなく、暗殺させるのだから、ブレアが弱くてもそんなに関係ない。
それより、今はブレアの歩くペースの方が気になってきていた。
「だから遅いって。もっとキビキビ歩けよ」
歩くペースの遅いブレアに少しイラつき始めたロキは、ブレアの背中を押すように蹴った。
ブレアは「くっ」と呻き前方によろめくが、それでも振り返る事も歩みを止める事もしない。
「ほらほら、文句が有るなら言ってみなよ?」
そう言い、ロキはブレアを蹴りながら歩き始めた。
本当なら槍をブレアの背中に突きつけ「俺より走るのが遅かったら刺さっちゃうぞ〜」などと
ブレアをからかいながら走りたかったが、流石にそんな状況を他の参加者に見られると面倒な事になるので自粛している。
「冗談」や「イチャついていた」では通らないだろう。
(おっと、蹴ってるの見られても同じか?)
「ハハハ」
至極当然の事に気付いて思わず声を出して笑ってしまった。
ロキが突然笑い出しても、やはりブレアは振り向かない。
「…全く愛想の悪い奴だな。いや、感情表現が乏しいのか?」
嫌味を言ってみる。だがブレアはこれにも無反応だった。
ロキは蹴るのは止める事にして、ブレアを手で突いて押して歩く事にした。
到着までにどうにかリアクション取らせてみたいな、などと当初の目的とは微妙にズレた事を考えながら。
- 341 名前:罪状はDV 判決は死刑:2009/05/09(土) 19:30:36 ID:y73iMr1G0
-
ブレアは意地や細やかな反抗をする為にロキを無視しているのでは無い。
ロキに支配されているこの状況をどうにか打開出来ないか、それを考えているのでロキの戯言など無視していた。
遅く歩いているのもわざとだ。考える時間は多い方が良い。
例え蹴り続けられる、押され続けられる屈辱を味わわせられ、いらついてノイズが大きくなろうとも。
(何か…何か有るはずよ…このクソったれをブチ殺せる手が何か…)
頭の中で響いている、チャンネルの合わないラジオのような雑音に邪魔されながらも
ブレアは思いつく限りの対策を歩きながらシミュレートしていた。
『戦う』→『殺される』→『Error,Error,Error』
『逃げ出す』→『ブレアがマーダーだと広められる』or『殺される』→『Error,Error,Error』
『従い続ける』→『用済みになれば殺される』→『Error,Error,Error』
『etc.etc.etc…』→『Error,Error,Error…』
だが、今ブレアが考え得る全ての対抗策をシミュレートしても、ブレアの望む答えは得られない。
戦うにしても、このブレアの身体には戦闘能力は無く、武器の類は全てロキに抑えられている。
相手は参加者の中でもトップクラスの戦闘力を持つ男。勝ち目は0%だ。
ロキから逃げ出せるとも思えない。
逃げおおせたとしても、ブレアに都合の悪い話を広められ、
結局身動きが取れなくなり、今後は何も出来ずに終わってしまう事に成りかねない。
では従い続ければ良いのか。エルネスト、クラースを殺し、フェイトに取り入る…
いや、仲間を殺す人間をあのフェイト・ラインゴッドが許す訳がないし、
そもそも用が無くなれば、同時にロキがブレアを生かしておく必要も無くなる。
まず、間違いなく殺されるだろう。
八方塞がりとは正にこの事だった。
現状を打開し、ブレアが自由を得るにはロキを殺す以外に手はないだろう。だが、その為の手段が何も無い。
(直接的な手段はダメね…何か対策を考えないと…)
そう思い立ったブレアは、対策のヒントとなるような情報を探す為、この島に来てからの出来事全てを思い返す事にした。
彼女の頭の中にはこの島で自分が体験した事全てが、録画された映像のように正確に『記録』されている。
例えば、自分と居る時にレザードが話していた事は勿論、エイミがパンを食べながら噎せて咳をした回数等も全て記録されている。
その『記録』はブレアが思い返そうとすれば、いつでも思い返せるのだ。
ブレアはそれらの『記録』を全て掘り起こした。
スタート地点から現在に至るまでの膨大な情報量がブレアの脳裏を駆け巡る。
- 342 名前:罪状はDV 判決は死刑:2009/05/09(土) 19:31:57 ID:y73iMr1G0
- (何でも良いの。何か使える情報は無い?
チラリと視界に入った物、ごく僅かながら聞こえてきた音、漂ってきた匂い、誰かが話していた事、何でも良い。
この状況を打開するヒントが何か無いの?)
スタート地点の断崖絶壁――『Nothing』
今までの移動中――『Nothing』
レザード、エイミと行動を共にした時――『Nothing』
エイミにグールパウダーを飲ませた時――『Nothing』
(この際どんな些細な事でも良い。何か1つでも。何か。何か)
ガウェインと取引をした時――『Nothing』
クロードと出会った時――『Nothing』
ロキと会話をした時――
(…何てこと…可能性が1つ有ったじゃない)
あまり思い出したくなかったロキとの会話を全て掘り返し、ブレアは見つけた。
というより、最初からロキは言っていたではないか。
『厄介な奴の相手をしてね。命からがら逃げてきたけどこのザマさ』
(このクソったれは誰かに敗北して逃げてきたのよ!…それは誰なの!?)
先程ロキは、ブレアにこのような作戦を伝えた。
『フェイトのパーティに潜り込み、三つ目と帽子を被った刺青の2人の男を暗殺しろ』
ブレアはこの島に入る前に事前に与えられた情報を検索する。
現在生き残っている参加者で、三つ目の男と言うのは「エルネスト・レヴィード」、
帽子を被った刺青の男とは「クラース・F・レスター」の事だろうが、ロキが彼らに敗北したとはとても思えない。
この2人、いや、フェイト・ラインゴッドも入れれば3人だが、確かに彼らは相当な実力者達だ。
だが、ロキは彼らを遥かに上回る戦闘能力を持っている。
能力を制限されているとはいえ、ロキの戦闘能力ならば、彼らとの1対3の戦いでも勝つのは容易のはずだ。
それでもロキは敗北した。何故か?おそらくはまだ他に誰か居るのだ。それも、ロキを実力で圧倒出来る何者か、が。
その何者かがフェイト達と行動しているからこそ、エルネストとクラースを殺すのにわざわざブレアを利用するのだろう。
(…現在の生き残りでこのクソったれに勝てそうな人物と言えば…)
ブレアは再び事前情報を検索した。そして、答えはすぐに導き出される。
(ブラムス!不死者の王ブラムスがフェイト・ラインゴッドのパーティに居るのよ!
ヴァルハラを統治するオーディンに匹敵する実力を持つと言われるブラムスならロキに勝てる!)
打開策、つまりロキを殺す手段の取っ掛かりがようやく見つかった。
その希望がブレアのノイズをやや治め、足取りをほんの僅か軽くさせた。
- 343 名前:罪状はDV 判決は死刑:2009/05/09(土) 19:32:55 ID:y73iMr1G0
-
「ん?何だい?やる気出てきたのかな?」
それにロキが目ざとく気付き、話しかけてきた。
いや、先程からロキはずっとブレアを突いて押し続け、独り言のように喋り続けていたが、
ブレアはどちらも無視し続けていたのだ。
(いちいちイラつかせる男ね…)
当然、これも無視だ。
まだ、考えるべき問題は残っているのだから。
ブレアの意識は思考に戻る。
(『ブラムスを利用して、ロキを殺す』…私がロキから解放され、自由を得る為にはこの方法しか無い。なら具体的には…)
まずはロキの作戦と同じく、ブラムスの居るフェイトのパーティに取り入らなくてはならないが、これは問題無い。
フェイトならブレアを信用し、仲間として受け入れてくれるだろう。
そして、フェイト達に取り入ったらすぐに、
『自分がロキに脅され、エルネストとクラースの暗殺を強要されている事』
『ロキがすぐ側で自分を監視している事』
この2つを打ち明け、フェイト達と一緒にロキを倒す作戦を立てれば良い。
ロキの作戦である『エルネスト、クラース両名の暗殺』は、力の無いブレアが行うには暗殺のタイミングを見計らなくてはならず、
パーティに潜入してすぐ、という訳には行かない事はロキにだって分かっているだろう。
つまり、ロキに疑われずに、フェイト達がロキを倒す作戦を練る時間は充分に出来るという事だ。
(ここまでは何の障害も無いわ。問題なのはフェイト達がロキと戦闘する事になった時よ)
いざ戦闘となれば、ロキはブレアの裏切りに気付き、フェイト達に『ブレアは偽者だ』とばらすだろう。
フェイトはかつての冒険でIMITATIVEブレアと遭遇し、その存在を知っている。
その為、ロキに『ブレアは偽者だ』と教えられれば、誰よりも簡単にそれを受け入れてもおかしくはないのだ。
敵の言う事などフェイトは信じないようにするかもしれないが、心の何処かにブレアへの疑惑を持ち続けるのは間違いない。
つまり、ブラムスがロキを殺したとしても、ブレアは先程のシミュレートの結果通りに身動きが取れなくなってしまう。
しかし、ロキを殺すにはブラムスの力を利用するしか方法は無いし、ロキを殺さなくては、どの道ブレアは終わりなのだ。
(なら…フェイト・ラインゴッドにばらされるのを前提で、それを誤魔化す方法は…)
ブレアはもう1度『記録』を検索する。
今度はフェイトを言いくるめる、もしくは誤魔化す方法だ。
再びスタート地点から現在に至るまでの膨大な情報量が脳裏を駆け巡り、
スタート地点の断崖絶壁――『Nothing』
今までの移動中――『Nothing』
レザード、エイミと行動を共にした時――『Nothing』
エイミにグールパウダーを飲ませた時――『Nothing』
ガウェインと取引をした時――『Nothing』
クロードと出会った時――『Nothing』
ロキと会話をした時――
そして先程と同様、ロキとの会話で1つ引っかかる。
- 344 名前:罪状はDV 判決は死刑:2009/05/09(土) 19:33:46 ID:y73iMr1G0
- 『――タチヲタスケタブレア」トハベツジンダト思うよ。本物だとしても操られているか――』
『本物だとしても操られている』
(…これは…使えるかしら…?)
つまり今のブレアは『エターナルスフィア内に入っている本物のブレアがルシファーに操られている』という設定にするのだ。
この設定をフェイトに伝えれば、身動きは取りにくくなるという点は同じだが、
単純に偽者である事がばれるよりは遥かに扱いが変わってくるだろう。
ブレアが『操られている本物』であるにしても『偽者』であるにしても、ルシファー側の人物である事に違いは無い。
そして、その『ルシファー側の人物』の役割は、殺し合いを円滑に進行させる事、と言うのは誰でも簡単に想像出来るだろう。
という事は、ブレアが『偽者』である事がばれた場合、拘束されるだけならまだしも、最悪殺される事も充分有り得る。
だが『本物が操られている』のだったら?
ブレアの事を知らない参加者なら、念の為に殺しておこうと考えても仕方ないかもしれないが、
かつてブレアに助けられた事の有るフェイト・ラインゴッドなら、どうにかブレアを救う手段を探そうとするのではないだろうか。
そして、そこには付け入る隙も生まれるのではないだろうか。
(自由には動けなくなるけど、ロキに従わさせられている現状よりはまだマシね…やるしかないわ!)
ただ、ここで更に問題なのは「ブレアが操られている」事を伝える方法である。
操られている者が操られている事を伝えるなど不自然極まりない。
(古風だけど…走り書きのメモをデイバッグに忍ばせておく…なんて手かしらね)
つまり、自分はルシファーに操られているから警戒しろ、という内容のメモを自分のデイバッグに隠すように入れておくのだ。
メモには、僅かな時間だがブレアが自分の意識を取り戻した時に書いた、と言う設定を一緒に書いておけば良いだろう。
仲間になる際に、フェイトに所持品を検査させてそれを見つけてもらえればきっと上手くいく。
(後はそのメモをいつ書くか…これもまた古風だけど用足しに行く振りでもして…)
そこまで考えた時、ロキの声が耳に入ってきた。
「――ルシファーって奴も馬鹿だよな?お前みたいな役立たずを送り込むなんてさ」
(何…だと!?…こいつ…)
『ルシファー』と言う単語にブレアは反応してしまい、ついロキの方へ振り向きかけてしまう。
「おっと?反応アリかな?ふ〜ん『ルシファー』か。
敬愛する『ルシファー様』を馬鹿にされてムカついたのか?」
ロキは楽しそうに話す。
「でもそうだろ?ブレアなんて知らない俺にだって、お前が偽者だって事はすぐに看破出来たんだ。
簡単に見抜かれたお前は無能。そんな無能を送り込むルシファーもまた無能って事さ。
フレイアだってもっとマシな作戦を取るよ。そうは思わないか?」
実に楽しそうな口調だ。きっとこの男は人を見下す時が一番好きなのだろう。
(…くっ…今の内にせいぜい調子に乗っていなさい…
貴様の目的のフェイト達を見つけた時こそが、貴様の死ぬ時なのだからね!)
自分の産みの親であるルシファー。
その彼をプログラムごときにバカにされるのは許せる事ではないが、今は耐える時だ。
(でも、残念ね。貴様は私が直接殺してやりたかったのに。
出来る事なら私自身が切り刻んでやりたかった。
手足を切り落とし、動けない無様な姿を笑ってやりたかった。
喉を切り裂き、そこからそのよく動く舌を引っこ抜いてやりたかった。
動けず喋れもしない貴様に、対策のヒントをくれたのは他ならぬ貴様自身なのだと言い放ってやりたかった。
でも、ブラムスに殺させるのではそれも出来ないわね…とても残念だわ)
しかし“残念”という言葉とは裏腹に、ブレアは内心では笑っていた。
直接手を下す事は出来ないが、ロキが死ぬ瞬間を想像すると酷薄な笑いが表情にも出てしまいそうだ。
だが、表情に出してしまえばロキに怪しまれる。これも耐えなくては。
怒りにも喜びにも耐えて、ブレアは黙って、無表情で、暗く静かなエリアをただ歩く。
ロキの目的、そしてブレアの目的ともなったブラムスとフェイトを目指して。
先程までブレアに生じていたノイズは、今はもう殆ど治まっていた。
- 345 名前:罪状はDV 判決は死刑:2009/05/09(土) 19:34:50 ID:y73iMr1G0
- 【F-3/深夜】
【IMITATIVEブレア】[MP残量:100%]
[状態:体にやや痺れ ノイズは治まり気味
ロキに対する怒りと同時に、ロキを殺せる希望を見つけた事に対する喜びを併せ持つ]
[装備:無し]
[道具:荷物一式]
[行動方針:参加者に出来る限り苦痛を与える。優勝はどうでもいい]
[思考1:フェイト、ブラムスに接触、利用しロキを殺させる]
[思考2:ロキがフェイトにブレアの正体をばらした場合に備えておく]
[思考3:レザードがマーダーだと広める]
[思考4:無差別な殺害はせずに、集団に入り込み内部崩壊や気持ちが揺れてる人間の後押しに重点を置き行動]
[思考5:レナの死をクロードが知った場合クロードをマーダーに仕立て上げる(その場にいたら)]
[備考1:※ルシオ、ルーファス、クリフの特徴を聞きました。
名前は聞いていませんが、前もって人物情報を聞かされているので特定しています]
[備考2:フェイト達に会うまでは保身を優先し、誤情報を広めるつもりはありません]
[備考3:クロードの持ち物で存在を知らないのは「昂魔の鏡」「首輪探知機」の2つです]
【ロキ】[MP残量:90%]
[状態:自転車マスターLv4(ドリフトをマスター)
顔面に大きな痣&傷多数 顎関節脱臼(やや痛むが何とか修復完了)]
[装備:グーングニル3@TOP、パラライズボルト〔単発:麻痺〕〔50〕〔90/100〕@SO3]
[道具:10フォル@SO、ファルシオン@VP2、空き瓶@RS、スタンガン、ザイル、ボーリング玉、拡声器@現実世界、万能包丁@SO3、首輪、荷物一式×2]
[行動方針:ゲームの破壊]
[思考1:ブレアを使ってクラース、エルネストを殺害]
[思考2:1を実行後、ブラムスとフェイトを味方に付ける。出来なかった場合は…?]
[思考3:ブレアは用が済んだら殺しとく]
[思考4:まずは近い平瀬村から調べる]
[思考5:見つけ次第ルシオの殺害]
[思考6:首輪を外す方法を考える]
[思考7:一応ドラゴンオーブを探してみる(有るとは思ってない)]
[思考8:できれば自転車取り返したいなー]
[備考1:顎を治しましたが、後2時間位は長い呪文詠唱などをすると痛みが走るかもしれません]
[備考2:自分をフルボッコにした相手はブラムスと特定しています]
[備考3:レザードは多分殺し合いには乗っていないだろうと予測(マーダーであるブレアが殺したがっているから)]
[現在位置:F-03北部]
- 346 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/05/09(土) 19:55:45 ID:HIlfUq+8O
- 以上で投下終了です。
突っ込みどころとなりそうなのは
『ロキの目的地』
『ブレアの記録と検索能力』
『ブレアの作戦』
…って書いた事全部なんですが、如何なものでしょうか?
- 347 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/10(日) 00:08:32 ID:fdyBzXggO
- とりあえず投下乙なんだぜ。
ザッと見たところだと問題点はなさそうに思えるな。いいんじゃない?
むしろ「ブラムス」という単語を見るたびに今のあいつの姿が浮かんで、
呼んでる最中に笑いをこらえるのが辛かったw
言っちゃ悪いが、もはやノリが半分コメディだwww
今のキュアヅラムスをこの二人が見たら、果たしてどんな反応を返すのやら……
- 348 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/10(日) 08:40:56 ID:jcuOaopL0
- おお、投下来てた!
全然問題ないと思いますよ。
ヅラを利用するって方法に至る過程もしっかり描写されていますし。
頭脳派の2人には色々と期待したいなあw
それにしてもステルス気質のマーダーが多いロワだ……w
積極的に暴れてるのアシュトンさんしかおらんやないかw
予約のことは正直すまんかった。
リアルが立て込んでてすっかり忘れてました……
ちなみにwikiは誰でも更新できるし、自分で更新してもいいんだぜ!
俺もなかなか追加されないときは自分で更新してるしな。
>>335と>>337の件はどうなんだろ?
- 349 名前: ◆69O5T4KG1c :2009/05/10(日) 09:28:09 ID:1KsaH/SmO
- 投下乙です、これはいい思考描写。
とくにブレアの“検索”がテンポよくて、読んでて面白かったです。
エターナルスフィア内の偽物≒プログラムのようなものでしょうから、彼女らしさもあるよなと。
ロキとの腹の探り合いも緊張感ありましたが……ブラムスと読むだけで頭が日曜8時半になる不思議。
今のあの姿を見て、アイツの顎が外れないよう祈るよw
そして>>335は自分ですが、本人証明するものが無かったという。
ひとまず、他ロワで書く時に使ってるトリを出しておきます。
打診てから、明日で一週間ですね。このまま音沙汰が無いようでしたら、明日の夜に予約しようかと。
先に予約なさってた書き手さん、元気でいらっしゃれば良いのですが……そちらのが心配だなぁ。
- 350 名前: ◆A/Fc0qBU16 :2009/05/10(日) 22:33:11 ID:Ti4Wce7j0
- >>337に返事できなくてすまんでした。
パラライチェックホンモノでいかしてもらいます。
- 351 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/10(日) 23:07:44 ID:jcuOaopL0
- クリフの墓のため数時間かけて作った改変AAと文章が鯖重のせいで全部吹き飛んで涙目でござるの巻
webページの有効期限とかいらねーよこんちくしょう・・・
>>350
了解しました
ではwikiの方のパラライチェックを治させていただきます
103話を執筆された◆O4VWua9pzsさん、
110話を執筆された◆yHjSlOJmmsさん、
状態表の持ち物欄にあるパラライチェックを本物に差し替えさせて頂いてよろしいでしょうか?
- 352 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/10(日) 23:33:09 ID:qEOlJm1b0
- 投下乙です
ロキは相変わらず遊んでるなw
一方ブレアの方は、ロキ打倒の考え方が凄いな
細かい発言からそこまで読み取るか〜と読んでて感心した。それを全く表に出さないのも流石
- 353 名前: ◆69O5T4KG1c :2009/05/11(月) 00:48:04 ID:GSXmSnHFO
- よし、では……ルシオと洵で予約。
予約の期間は7日と考えてますが、書きためが3割あるので、月報までには投下できそうです。
- 354 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/05/11(月) 01:57:19 ID:jBBaoSBY0
- 感想ありがとうございます!
このまま問題無いようでしたら、
えーと、すみませんがどなたかwiki編集お願いします。
俺も編集の練習してみなければ。
個人的には話の量が少し短いようにも思うんですが大丈夫ですかね?
>>347
確かにキュアブラムスに匹敵されても、オーディン困りそうですがw
>>348
予約うんぬんは冗談ですので、お気になさらず。
簡単な編集なら出来るので、今後は自分で更新するとします!
鯖重は…ご愁傷様です…
>>349
ブレアの能力は完全オリジナルの割に
すんなりと受け入れられているようなのでホッとしています。
皆さんの心の広さに感謝です。
ロキがルシオ方面行っちゃったんで…辻褄合わせお願いします。
>>350
チェスターが活躍しそうな予感。期待してます!
>>352
ブレアの考察はどっかしら穴有りそうで怖かったりします。
- 355 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/11(月) 01:58:40 ID:oDWoakLE0
- 予約きた!これで勝つる!
期待して全裸で待ってます
◆MJv.H0/MJQ氏、元気にしてればいいな・・・
- 356 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/11(月) 02:30:36 ID:oDWoakLE0
- >>354
一応練習ページがあるから活用してみてね!と宣伝しておく
練習ページもモッサリしてきたし、専用の練習ページ作って既存の練習ページの中にリンク貼ってもいいんじゃないかしら
あと短さは全然問題ないです
スッキリ纏まってて読みやすいのは長所ですよ
そのスキルほしいくらいだ……
- 357 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/05/12(火) 00:54:32 ID:NO/yRKns0
- >>354投下乙です。
バトルだけでなく今後面白くなりそうなつなぎまで書けるとは恐るべし◆cAkzNuGcZQ氏
>>351了解ッス。次の土日に直接wikiを修正しておきます。
チサトが死ぬ話で、俺がはっきりとパラライズチェックを外したって描写を書かなかった為にご面倒かけて申し訳ないです。
>>355◆MJv.H0/MJQさんはレスの内容的に>>348なのでは? 違ってたら申し訳ない。
そしてさらに予約キタ。>>350、>>353共に期待してます。
- 358 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/05/12(火) 01:03:34 ID:JO1YGUIs0
- wiki編集された方、お疲れ様です!
こんなに早いとは思わなかった。114話の修正はゆっくりやるとします。
>>356
活用してみます!
纏まってるというか、広げるネタが無かっただけという…
- 359 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/05/12(火) 01:30:25 ID:JO1YGUIs0
- >>357
褒められると調子に乗るタイプなので程々にお願いしますw
自分では結構なキラーパスを出してる気もしてたりします。
ロキとブレアこの作戦で平瀬村行ってどうするのかな?とか。
- 360 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/12(火) 07:30:44 ID:KtTqPII+0
- >>357
こちらこそ読み込みが足りなくて申し訳ない
そして>>348は俺で◆MJv.H0/MJQ氏じゃないんだ、すまない……
- 361 名前: ◆69O5T4KG1c :2009/05/12(火) 19:06:32 ID:7z+kRTSeO
- したらばの試験投下スレに、ルシオと洵で投下しました。
特に気にかかる点は、後の方が繋ぎ易いかどうか、洵の参戦時期を決定して構わなかったか。
それ以外でも何かありましたら、ご意見頂ければありがたいです。
- 362 名前: ◆69O5T4KG1c :2009/05/13(水) 02:14:02 ID:SjmAwgYxO
- 問題ない、かな?
少し早いかもですが、ルシオと洵の本投下にうつります。
仮投下で指摘を頂いた誤字と、ルシオの状態表。クレス組に関する描写を少し修正してます。
- 363 名前:君が呼ぶ 哀しみのシュラオベ ◆69O5T4KG1c :2009/05/13(水) 02:15:33 ID:SjmAwgYxO
- 布に包まれてくすんだ灯は、青年から少し離れた場所にあった。
道を逸れて草地に踏み出す仲間の足取りと地続きに揺れる光源を頼りにする、目の奥が痛みを訴えている。
圧迫感に近い、それは寝不足で張った肩から伝わるのか、それとも睫毛さえ抜けかねない涙の塩辛さによるものか。
たあいもないことを全力で考えて息を抜く。重圧にもたつく胸の内を淡白にすべく、尽力する。
肉体に起因するのではない息の詰まりを抜いた青年は、脚を踏み出す前に短く双眸を閉じ、
「……く、――ぁ」
きまりわるげに、閉じた口内にふくらむ欠伸を噛み殺した。
* * *
食えるだけマシであった食料を腹に入れて、三時間弱。
三回目となる放送を聴いた洵の、こなれた胃に割り込んだ思いは紛れもない安堵だった。
『アリューゼ。ヴァルキリー。炎使いはミカエルと名乗っていたな。
俺にとっての壁となりうる輩が、揃って脱落してくれたというわけか』
戦闘狂同士の潰し合いか、あるいはゲームに乗らない者に返り討ちにされたか。
ルシオを除けば戦乙女と最も付き合いの長いらしい傭兵が共闘する様を思い浮かべて、洵はかぶりを振った。
生存者が半数を切ったためか。変更や追加の加えられた情報の山を前にして、無駄な想像に頭を使いたくない。
名簿とともに開いていた地図に書き留めた、一気に増やされた禁止エリアの配置と順番に加えて、褒美の位置。
風格を演出するためにか、どこかで一線を引いて言を紡いだルシファーの意図は、これ以上無いほどに明瞭である。
ならば、当面の問題とすべきものは。
「プラチナ、っ、……ヴァルキリー」
放送から先を考えかけた男が耳にしたのは、当面の問題とすべき青年。
レナスにとって大切な、裏を返せばレナスに大切にされていたエインフェリアの声だった。
弾かれたように口にした固有名詞から転じて、低く圧し殺した響きで呼んだレナスの代名詞は、だからこそ
“付け足された”感が否めない。さりとて、紡がれた単語の重さに差は見られないのだが――
名簿にない単語を口にしたことが気の抜かりと言わんばかりであるルシオの様子に、洵は興味を惹かれた。
「――言っても詮なき話だろうが、あの戦乙女のことだ。
少なくとも、力で他人を押し退ける振る舞いなどしなかっただろうな」
- 364 名前:君が呼ぶ 哀しみのシュラオベ ◆69O5T4KG1c :2009/05/13(水) 02:17:10 ID:SjmAwgYxO
- それがレナスでなく、彼女の姉であるアーリィ・ヴァルキュリアであれば話は別に違いないが。
ルシオの知らぬ、神と人とを“従属”で繋ぐ戦乙女の影を思い返して、洵は障害が消えたことへの快哉を隠した。
ただ、彼の。レナスにとり大切なはずの青年がみせる煮え切らない態度は意外だ。
「いや、違う。俺は、……そんなことじゃないんだ」
言語としての体をなさない、自問自答と変わらない言葉つきは、とても大切な者が喪われた者のそれとは思えない。
促されて手にした名簿も地図からも情報が欠落している。そのくせ、得手であるはずの剣を執らない。動かない。
妹のために修羅となった自身からは想像できない状態に、レナスのために動くだろうルシオは落ち込まんとしていた。
それゆえに、洵は練れた鋼の剣をいつでも抜けるよう、さりげない素振りで自身の側に寄せておく。
収束する彼の意志が、自分に対する害意であれば叩き伏せねばならない――と。
「俺はただ、……誰にも。悲しい思いをさせたくなかっただけなんだ!」
だが、青年がはっきりとかたちにしたのは自責と、言い訳であった。
「それで、ひととおりの自己満足が済めば相手を見捨てるか」
放送までの時間、ミランダを待ちながら聞いたルシオの来歴を持ち出して、洵は鋭く言を放った。
夢の中で親しい者の名を呼んだという金髪の青年が今も生きているかどうかさえ、ここにいる二人には知りようがない。
けれど、洵の控えた名簿によれば、彼の相手。“シン”という参加者は、既に殺し合いの場から脱落している。
「それは――」
「理想のほどは立派だが、この場にいる全員を掬い上げられるわけもない。
ここに連れて来られる前か。俺が最後に見た戦乙女さえ、それを傲慢と断じ、ロキだけを追ったものだ」
あの振る舞いの根本にあるものがルシオの仇討ちか、自己満足か義務感か悲哀か、洵には量れなかった。
それでも、事ここに至れば、彼女の底にあったものがいずれであろうとも構いはしない。
いなくなったものや取りこぼしたものに思いを馳せるのは、一度だけで、ひとつだけでたくさんだ。
「……すまないが、今の俺にお前を気遣う余裕はない」
お前も心配していた、ミランダを探しに行く。
ルシオを、彼の美徳であろう人のよさでもって縛りつつ、洵は腰を上げた。
- 365 名前:君が呼ぶ 哀しみのシュラオベ ◆69O5T4KG1c :2009/05/13(水) 02:20:37 ID:SjmAwgYxO
- ここで彼を殺しても問題はないが、今なお戻らないミランダの去就によっては多対一を強いられる可能性もある。
彼女の警戒のほどや二心の存在する可能性は、短いとは言えない不在の時が示していた。
手札としての神官にも、戦乙女と懇意であった者にも見切りをつけた男は、卓上を飾る薄布をひといきに抜き取り、
夜闇に目立つランタンの灯をぼかして裏口へと向かう。
「待ってくれ!」
ルシオが重い口を開いたのは、洵が居間を立ち去ろうとしたのと同時だった。
「――何だ」
一瞥した青年の瞳に、先刻と変わって強い光が宿されるさまを見た男の眉根が寄る。
「洵。今の話が本当なら、いや……そうでなくても。 彼女は――ヴァルキリーは。生きてなきゃならなかったんだ」
訥々とした言葉つきを存外に太い響きで吹き払う、彼の頬には迷いと自責が混交していた。
* * *
手短にと釘を差したものの――
ルシオの話を聴き終えた洵は、難しい表情で床に座していた。
胡座をかき、片手であごをつまんだ彼の傍にあるランタンには、いまだ灯が点いていない。
「ホムンクルスとオーディンの……成長する神の体が、本質的に同じだと?」
魔術師連中でも荒唐無稽と言うだろう話を彼が切り捨てないのは、ひとえに自身の見聞きしたものゆえだった。
アーリィによって器を奪われ、精神体を砕かれたレナスを一時封じた器は、まさしくホムンクルスだったのだから。
「ああ。ロキに殺された俺が生き返れたのも、彼女の力さ。
成長出来る神になったヴァルキリーは、ドラゴンオーブで破壊された人間界や神界を蘇らせたんだ」
だから、彼女がいなければ、すべてがどう転ぶか分からない。
「俺達と同じに、死んでヴァルキリーの中に入ったロキが生きてることにも、最初は驚いたよ。
けど、お前が“そこ”から来たって言うなら、納得がいくんだ――」
「俺達は別の時間……おそらくは、都合の良い時期から集められたということにか」
確かに、自分と同じ時期からやって来たというのなら、フレイは腑抜けていたはずだ。
滅した主神の遺骸にすがった、女神。彼女はルシファーの凶行を前にしてなお鏡面のごとくに沈着でいた記憶がある。
ゆえに、ルシオの仮説に首肯すると同時に、それよりも一歩進んだところで……洵は唸った。
- 366 名前:君が呼ぶ 哀しみのシュラオベ ◆69O5T4KG1c :2009/05/13(水) 02:22:40 ID:SjmAwgYxO
- 彼が気にかけるのは神界アスガルド、人間界ミッドガルド、冥界ニブルヘイムや妖精界アルヘイムといった
世界樹ユグドラシルの枝葉ではなく、根からして別の理で成り立つ世界の存在だった。
見たことの無い道具、“コミュニケーター”とやら。絹や綿、麻ですらない質感の衣類。獅子戦吼や鳳凰天駆、
系統だっていながら異質な、流派剣技の添え物らしからぬ格闘術。
そして数ある異質の中でも頭が抜けた、移送方陣の比でない速さを有する空間転移――。
クレスとマリア、二人との戦い以前に殺した男のナイフもだ。あれの有する機構は、神界にさえ存在していない。
それでも武具のひとつ程度なら、神まで引っ張り込んでゲームを始めたルシファーがどうとでも調達するだろう。
だが、戦士や魔術師の身につけた技や呪文ばかりは違う。あの血の通い方は、後から付け足せはしない。
それを見た今なら、あの、“ルシファーを倒した”との言葉にも得心がいこうが――
『ならば、つまり……奴もまた蘇ったのだな。
如何にしてかは知らんが、時間を渡ることも、俺達に肉を持たせる事も、奴は可能たらしめている』
それこそが洵の希望を支え、現実味をまとって胸を押し上げた。
あまりにも今さらな話ではあるが、魂のみの存在となった自分達が、レナスの手によるそれと同じに具現化――
マテリアライズされている時点で、気付くべきであったろうか。
ルシファーの、物理的な意味にとどまらない強さを。褒美という単語の裏付けを。
そして、理解している。
「ああ。確かに、由々しき事態だな……」
ためらいがちに考えを表明する優しい青年が、戦乙女と懇意であろうとなかろうと、利用できる駒に違いないと。
「だが、今はこのまま放っておいても――ある程度まで人数は減ってくれる」
だからこそ、彼の外堀を埋めるべく。
少し前には言わなかった台詞を、洵は口の端に載せていた。
本来ならば気色ばむはずのルシオからは、反応がない。それこそが明らかな反応であると断じて。
「ルシファーとやらは、神界から俺達の魂を実体化した状態で呼び出した、神のごとき輩だ。
しかし、ヴァルキリーがオーディンと同じく、成長する神となったらしいことはお前の話が証明してくれた。
彼女が“何処”から来たのかは分からん。だが、奴に……ひいてはロキやラグナロクに対抗出来うる者がいなければ」
- 367 名前: ◆69O5T4KG1c :2009/05/13(水) 02:25:29 ID:SjmAwgYxO
- 言いかけた剣士はためらうような、あるいは決意を固めたかのような風情で言葉を濁す。
「あの世界に生きる、俺の妹。阿衣に何が起こることか、知れたものではない」
濁して、今度こそは最後まで言い切った。
「洵。お前、まさか」
自ら体験した魂の死と、大切な者の死。
質のちがう喪失を両方体験していた青年は、それゆえに、彼の思うところを察した。
“貴方の言う“すべて”って、何?”
すべて。ヴァルキリーが紡いだという言の葉は、数え切れない寄り道や回り道をしたルシオの胸をえぐる。
そして、洵の指した、すべて。助けてやりたいと思う者に対する感情は、ルシオ自身も抱いていたがために。
「ああ」
洵の肯定を耳に入れても驚かなかった自身にこそ、青年は衝撃を受けていた。
「俺は、あの戦乙女に借りがある。感謝してもいる。それは事実だ」
続く、仲間の言葉。彼が戦乙女といかにして出会ったか、思えば聞いたことがない。
「だが、それ以上に。俺は、阿衣の為ならば、命も誇りも惜しいとは思わん。
……それを盲目と糺されようが、立つ世界が違おうが、阿衣を大切に思うことには変わりがない」
「あ――」
みずから認めたように、盲目にして愚直な洵の想いが、ルシオの心の底にあるものを衝く。
慕うがままに、売られると知った少女の手を引いて夜を駆け、鈴蘭の草原に行き着いたあの日。
あの日の自分は、彼のような眼差しをしていたのだろうか。
「神になり得ない俺達が誰かの命を得たければ、自他の命を失うしかあるまい」
回顧の生んだ間隙に、“皮肉だがな”と付け足された男の言葉が舞い込み、
瞬間、銀は朱に変わる。廃虚と化した街で、自分の代わりに置いて逝った少女の姿が脳裡をよぎる。
だからって、私を置いて逝かないでよ。薄れゆく感覚に、それでも突き刺さった言葉は今も鮮やかだ。
しかし、彼女ならば。すべてを守れた、彼女であるからこそ。
「――そう、なんだろうな」
青年は、譲れないものへ迷いを見せない仲間に、決定的な、
返事をした。
* * *
定時放送から、三十分ほど。
その間に、ルシオは一夜も過ごしたような錯覚を受けていた。
だが、それでも生来のカンの良さや、スラムで磨がざるを得なかった“ネズミ”としての感覚は鈍らない。
「こいつは、冗談じゃないぞ」
首肯ののちに訪れた濃密な沈黙の後に口を開いたのは、洵。
- 368 名前:君が呼ぶ 哀しみのシュラオベ ◆69O5T4KG1c :2009/05/13(水) 02:27:17 ID:SjmAwgYxO
- 今後のためにと、彼から受け取った名簿と地図の書き込みを控えながら、彼はうめきをあげた。
「気付いたか」
「ああ。まるで、貴族の連中がやるネズミ取り――盗賊を捕まえるための罠みたいだ」
ささやかな褒美である、見せしめの支給品を配置された島の北東部。
そして、それを目当てに動こうとする者を迂回させにかかる、禁止エリアの位置と発動時間。
例えば島の東からC-3――安全な場所にある褒美を目指そうとしても、1時の時点で北を、3時で南を行く選択肢が潰される。
といって、次の放送までに何とか通過できそうなF-6、G-7を目指せば、その時には襲撃側の恰好の的だ。
島を分断しようという思惑には、これでは誰もが気付いてしまう。
だからこそ、この流れには簡単に逆らえない。
「これだけあからさまなら、待ち伏せもやりやすいよな……」
あのミカエルのように、相手を選ばず戦いを求めた輩でも、陣取るべき場所は分かるはずだ。
――つまり、まずもって誰もが、殺し合いの構造から逃げられなくなってしまった。
それどころか、誰かの死が次の殺しを生む泥沼に落ち込む可能性さえ十分である。
「だが、俺達がそれに乗る必要などない。
激戦で消耗した後に、残りの者を相手どれる保証もないからな」
地と時の利を得ているからこそ。そう前置きした洵が提案したのは、傍観であった。
ここから北東に位置する神社に配置されたデイパックを回収した直後、この村に戻る。
そこに、回復の力が使えるミランダが戻っていればよし。いなければ自分達に仇なす対象と判断する。
「最初に会った時に言った、クレスとマリアって奴らもか。
名前を呼びあうなんて無防備だけど、同じような事を考える人間は、どこにでもいるみたいだな……」
洵が不意討ちから離脱した際に耳にしたという名を頭に入れて、ルシオは息をついた。
彼いわく、過去に倒したルシファーが生きていると知り、絶望したマリア。彼女は生き残りを目指してクレスと手を組んだ――
青年の側の特徴を聞くに、ルシオは陽が落ちる前に会ったチェスターの探し人である青年を思い浮かべてしまう。
彼のように裏表が無い者の仲間らしく、熟睡出来てしまうほど緊張感の無い人間が人を殺せるとは思わないが、
きっと、それを言えばプラチナが。ヴァルキリーもあの時と同じ言質をもつ台詞を紡ぐだろう。
- 369 名前:君が呼ぶ 哀しみのシュラオベ ◆69O5T4KG1c :2009/05/13(水) 02:30:19 ID:SjmAwgYxO
- 愚かな。くだらないことを。
水鏡にイヤリングを落とした時は、ひとつひとつの言葉に胸を裂かれたが、今は、それほどでもない。
けれども――
「悪い。ちょっと……すぐに、なんとかするから」
また置いていかれたら、どうしていいか分からない。
洵の提案に乗り、自身で思考できようが、やはり。回収しきれない感情は積もりに積もって、ついに堰を切る。
『あの時。ロキに殺される前も、こうだった。俺は、成長が無いな』
未熟さを露呈して、誰に言い訳をするつもりなのか。結局、それは言葉としての形を無くす。
「……他に。警戒するのはレザードと、ロキだ。
ヴァルキリーの体が死んだって、あいつらは彼女の体や魂をどう、使うか。予想できない」
強引に涙を拭ったルシオは、洵のそれと同質であろう光を、青い瞳へと宿してみせた。
* * *
ひとつだけ、ルシオは洵に告げなかった。
アービトレイター。青年自身は銘すら知らぬ英雄の携えた剣が、歩み始めた腰で重さを主張する。
詰まった吐息を漏らして彼が思うものは、神々の黄昏、ラグナロクにおける世界の破滅と再生の詳細であった。
死によって人と繋がる戦乙女。オーディンと同質の力を得て、創造の力を手にしたレナス・ヴァルキュリア。
彼女は世界の破滅に際してすべての人の魂があげる“声”を聞き取り、再びすべての人々を、世界を創りだした。
洵に出会い、未来にあるものを知った彼の決意を聴くまでは、さほど意識することもなかったが……。
“ここで戦っても、結局はアスガルド丘陵で魂の死を迎え、彼女にすべてを創られることになる”
再生に伴う不可避の運命を知ってしまえば、彼はどれほどの衝撃を受けるだろう?
自分の魂が再構成されると知ってしまえば、彼はどれほどの恣意を想像するのか?
己に訪れてしまう行く末を知ってしまえば、彼はどれほどの失望を抱くことか――
アーリィの謳った従属とやらではなく、“一緒に、生きましょう”。
いくら仲間が彼女の見せた側面を知っているとしても、こればかりは言えはしない。言ってはならない。
ただ……世界を創造した戦乙女。あるいは、寒村に生きた少女。
彼女の愛を受けた人間にして、ロキに処分された後に魂そのものを彼女に作られたルシオは、
しかし、だからこそ、創造によって孤独となった女神を哀しめなかった。
- 370 名前:君が呼ぶ 哀しみのシュラオベ ◆69O5T4KG1c :2009/05/13(水) 02:31:48 ID:SjmAwgYxO
- 『プラチナが今の“俺”を創ったとして……一体、何が問題なんだ。
たったの十四で死んじまったあいつを、俺は、ずっと忘れられなかったじゃないか。
優しかったあいつが勇敢な戦乙女になっても、彼女がプラチナ本人でなくても、変わりはなかったじゃないか!』
――銀色だったから。
下界に遺した少女の台詞がよみがえる。
そうだ。陽光に透きとおり、埋もれ水のごとく清列に流れた紫の髪に、自分は何よりプラチナを視ていた。
けれども“彼女を好きだ”ということには、今も、あの頃であろうとも、変わりはない。
最も大切にしたい感情の発露に変化がないと言うのなら、“いちど創られた自分”に、なんの問題があろう?
“他人のイメージを重ねるなんて、その人に対する侮辱でしかないのは分かってる”
すべて忘れてしまいたいとまで口にしたプラチナが、
その手を引いて人買いの手から救おうとした自分の記憶を思い出し、
創造した“ルシオ”に、あまりに幼かった、あまりに危うかった恋の一幕を、
最期に彼女を抱きとめた少年の面影を自分に反映させていたとしても、
創られた事実を哀しむ権利など、彼にはない。
『最初にそうしたのは、他の誰でもない、俺なんだ』
プラチナとヴァルキリー。
ふたりの横顔をひとつに重ねていた青年は、年齢に反して滑らかな曲線を描く頬を月光へさらす。
だから。あごを引いた口の中に反響した言葉の破片を押し隠しながらも、胸中でなぞり固めた。
『だから、今度はもう、泣いたりしない。
もう一度拒絶されても、イヤリングみたいな奇跡が起きなくてもいい。
でも。彼女に置いていかれたくない、一緒に生きたい気持ちだけは……絶対に。俺のものだ』
ややあって、懊悩を諦観でもって締め出したエインフェリアの双影が距離を縮めた。
――何事もなかったかのように、夜風は表情を変えぬまま海へと吹き抜ける。
草に埋もれかねないほどに小さな花は、その腕に素朴な白さがにじむ花弁をさらわれていった。
- 371 名前:君が呼ぶ 哀しみのシュラオベ(last) ◆69O5T4KG1c :2009/05/13(水) 02:34:03 ID:SjmAwgYxO
- 【E-01/深夜】
【洵】[MP残量:100%]
[状態:腹部の打撲、顔に痣、首の打ち身:戦闘にはほとんど支障がない]
[装備:ダマスクスソード@TOP、木刀]
[道具:コミュニケーター@SO3、スターオーシャンBS@現実世界、荷物一式]
[行動方針:自殺をする気は起きないので、優勝を狙うことにする]
[思考1:出会った者は殺すが、積極的に獲物を探したりはしない]
[思考2:ルシオを利用。彼と共にE-2に向かい、見せしめのザックを入手する]
[思考3:ミランダとの離別を半ば確信。状況次第で殺害も視野に入れる]
[思考4:ゲームボーイを探す]
[現在地:E-1/平瀬村周辺・北部]
【ルシオ】[MP残量:100%]
[状態:軽い疲労、わずかな眠気、焦燥と不安]
[装備:アービトレイター@RS]
[道具:コミュニケーター@SO3、荷物一式]
[行動方針:レナスを……蘇らせる]
[思考1:洵と共にE-2へ向かい、見せしめのザックを入手する]
[思考2:レザード、ロキを警戒。レナスの死体の状態を知りたい]
[思考3:レナスを大切に思う自身に対する諦観。現状は積極的な交戦を選ばない]
[思考4:ゲームボーイを探す]
[現在地:E-1/平瀬村周辺・北部]
[備考]:※コミュニケーターの機能は通信機能しか把握していません。
※マリアとクレスを危険人物と認識。
----------
以上、投下終了。
ご意見ご感想など、寄せて頂ければ幸いです。
- 372 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/13(水) 15:53:03 ID:OvCOVDek0
- 投下GJ!
ルシオがついにイっちゃったか……
まあでも実際蘇り経験者だから仕方ないのかもしれんなあ。
洵はスコア少ないくせに、しっかり考察したりしながら動いてるから怖いw
今のルシオなら上手く扱えそうだし、今後の洵達に期待だぜ……!
っていうかクレス達が涙目すぎるwwww
逃げてマリアさん!その村もう明確な反主催は誰もいない!
- 373 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/13(水) 19:47:31 ID:RSQkHyy5O
- 投下きてたか!
ついに平瀬村が静かに動き出したなー。
時空剣士組はしばらく動かないっぽいし、レナ達が入村後どうなるのか楽しみだ
- 374 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/13(水) 20:35:31 ID:aMm1/CenO
- 投下乙!
一ヵ所気になったんだけど、オーディンの肉体については
アーリィ戦の前にレザードが話してなかったっけ?
勘違いしてたらすまん。
- 375 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/13(水) 20:50:30 ID:4APC/vip0
- マーダーに囲まれ続けた男がとうとうマーダーになってしまったか
まるでオセロだなw
- 376 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/13(水) 20:55:36 ID:OvCOVDek0
- >>375
誰がうまいこと言えと
- 377 名前: ◆69O5T4KG1c :2009/05/13(水) 21:42:19 ID:SjmAwgYxO
- >>374
一応、執筆にあたって再プレイしています。
オーディンの肉体の組成に関しては、初出がchapter5(メルティーナ加入時)。
chapter8、アーリィ戦の前には「ホムンクルスの体を、精神体となったレナスの仮の器にする」とだけ。
メルティーナ、レザードの両者とも、ホムンクルスの組成についてはぼかしていました。
(劣化した魂をホムンクルスに移すとレザードから聞いたメルティーナの、“あなたの目的は、神と人間の――”どまり)
改めてホムンクルス≒ハーフエルフという事実にはっきりと触れられたのは、ラストバトルです。
だから、洵が見知った可能性があるのは、chapter5の時点かと。
ただ、あれは魂を選定するレナスが見聞きした光景であるため、エインフェリアは知らないと解釈しました。
あれは神族にとっても凄い秘密でしょうから、あの時点のレナスは他の者にばらす事もしないだろうと。
このあたりも巧くフォロー出来たら良かったのですが、力不足でした。
混乱させてしまって、申し訳ありません。
- 378 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/13(水) 22:34:08 ID:aMm1/CenO
- >>377
いえ、俺の勘違いですので、こちらこそすみません。
多分勘違いの原因は漫画版の設定でした…
- 379 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/14(木) 00:07:45 ID:f17LOVjd0
- |平瀬村| 洵 ルシ男 ミランダ
 ̄ | | ̄ ┗(∵ )┳('A`)┳(∵ )┓三
| | ┏┗ ┗┗ ┏┗ 三
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
マーダー マーダー マーダー
三┏( ∵)┛┏( ∵)┛┏( ∵)┛
三 ┛┓ ┛┓ ┛┓
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 380 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/14(木) 00:16:19 ID:/jOmK4yP0
- 投下乙、ついにルシオも……
平瀬村がなんともカオスになってきたなあ
洵は元々マーダーだったし、レザードやロキもアレだし、
ヅラがある意味ちゃんと生き残っているVP勢最後の良心……なのか?
>>379
不覚にもw
- 381 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/14(木) 00:17:58 ID:f1KWgcx70
- >>379
不覚にもwwwwwww
- 382 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/14(木) 03:00:44 ID:KI3M1sqLO
- 漫画版VP……懐かしい。二巻で終わったけど、繊細な絵が好きだった
ロウファのエピソードの扉絵(天秤持ったやつ)とか、今でも印象に残ってるわ
レザードの方は雑誌違いで読めなかったが、あっちはどんな感じだったんだろうか?
>>379
まさにオセロwwwww
- 383 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/14(木) 23:49:26 ID:NwZcJTmT0
- ルシオがマーダーになったのってクロードのせいだと思う
- 384 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/14(木) 23:56:04 ID:6E9x9xliO
- >>383
チェス太乙
- 385 名前: ◆1LHTcuMOHo :2009/05/15(金) 01:08:30 ID:ox6ZDvDc0
- 即リレーになっちゃうけど、ネタを思いついたからロキ、ブレア、洵、ルシオを予約していいですか?
- 386 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/15(金) 01:47:16 ID:+jnDSeZr0
- >>385
更に予約来たー!
関連で直前の話を見る限り破棄とか大掛かりな修正もないみたいだし大丈夫じゃないかと
これまたカオスな展開?になりそうで期待してます
それとwikiで魔法少女のコスチューム入れた人、先生怒らないから出てきなさいw
強いて言うならあれは支給品というよりも現地調達という括りにしたほうがいいと思う
ただそうなると仮面とか袈裟とか角材とか増やす項目が増えてしまうか
- 387 名前: ◆A/Fc0qBU16 :2009/05/15(金) 02:31:29 ID:avpJ2NGC0
- アップ遅くなっててすんません。
来週中になりそうなんで延長させてください。
- 388 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/16(土) 00:34:16 ID:b93DTiKjO
- これが噂に聞くクイック期なのかな?
応援してます!
超うろ覚えだが、レザード漫画は確かレザードが弟子と旅する話だった。
最後はレナスと戦ってたような。
- 389 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/18(月) 20:22:30 ID:IYdWb1r9O
- チェスターって何で一人だけ参戦時期が未来編突入直後なの?
- 390 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/18(月) 20:30:54 ID:6wp8RYtY0
- 「全員統一しようぜ」ってのを徹底はしなかったから、かな
- 391 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/18(月) 20:46:28 ID:IYdWb1r9O
- あ、特に理由は無いのか。
最初にチェスター出した書き手さんが決めたって事かな?
- 392 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/18(月) 20:58:15 ID:AwqE7ZTh0
- 明らかになってないだけで、ミントとかも未来編突入直後かも。
でも確かチェスター、宿屋で寝る前疲労した状態でつれてこられたわけだから、
ほぼ2日くらい寝ずに動き続けてる事になるな。
そりゃ頭が回らんわけだわw
- 393 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/18(月) 21:17:14 ID:IYdWb1r9O
- 足手まとい返上の為の特訓をしてたせいで、頭が働かなくて役立たず呼ばわりされて…
なるほど、チェス太は参戦時期から空回ってるのかw
深いな
- 394 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/05/21(木) 02:14:40 ID:StYB97aIO
- 何とか形になりそうなので、
レナとプリシスを予約させて頂きたいと思います。
予約期間は10日でお願いします。
- 395 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/22(金) 17:34:50 ID:iwYaNB+70
- うおおおおおお、予約きとる!
頑張ってください、期待してるよ!
- 396 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/05/23(土) 20:29:08 ID:azrL4R9uO
- 声援感謝致します!
何とか5月中には書き上げられるよう頑張ります!
- 397 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/05/23(土) 20:47:46 ID:azrL4R9uO
- したらばのwiki修正スレにも書いておきましたが、一応こちらでも報告。
・自分の書いたパート(113、114話)の誤字脱字修正。
・第4話で、レナディアスの追跡表が正規の話(59話)にリンクされてなかったので、勝手ながら修正させて頂きました。
後、予約状況に>>385の1LHTMOHoさんの予約を追加させて頂きましたが、宜しかったでしょうか?
- 398 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/23(土) 20:49:12 ID:HtKGYskS0
- 構わんッむしろ大歓迎です、ありがとう
wiki編集はどなたでも自由なんだぜ><
- 399 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/29(金) 15:13:22 ID:lJnpvJ1pO
- マリアとクレスが菅原神社探索した時にアドレーの死体見つけなかったのっておかしくね?
とか思ったけど、こういうのはスルーしとくべき?
- 400 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/29(金) 19:02:19 ID:CrjVC2YdO
- アドレーの遺体は屋外にあるんじゃなかったか?
菅原神社に行くときニアミスしるかもしらんが、しなかったって事にすれば問題ないんじゃないか?
- 401 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/29(金) 20:35:45 ID:KQ/ORFNk0
- ぶっちゃけ山道だし、死体は倒れてるわけだから、見つける方がすごいんだと思うよ
エリア結構広いしな
- 402 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/30(土) 00:15:07 ID:HT0NczuWO
- ふむ。入り口付近で死んでるのかと思ってたぜ。
まあ下半身だけだし、見えないのも当然か。
- 403 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/05/31(日) 19:20:49 ID:esQALLiR0
- 5月中に間に合いませんでした…
木曜まで予約延長させて下さい。
って延長当たり前みたいになってて申し訳ないです。
- 404 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/06/03(水) 20:10:42 ID:pzTJ7Vn10
- 一応完成はしたんですが、話全体の流れや展開、心理描写に不安があるので、
まずしたらばに試験投下させて頂きました。
不自然な展開だったり矛盾があったりしたらご指摘願います。
- 405 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/03(水) 21:26:54 ID:cofgCbuv0
- うわあああああああ
そうだよなあ……こんなことになったら、昔のようには戻れないんだもんなあ……
戦闘にはあまり絡まない二人だけど、だからこそ些細な処でロワの恐ろしさを実感させてくれたぜ……
個人的には全く問題ないと思います、超GJでした!
そして盗賊手袋なっつかしいwwwwww
- 406 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/06/04(木) 19:34:00 ID:BssM/v+q0
- >>405
感想ありがとうございます!
悲しんで頂ければ幸いですw
したらばには2、3日様子見て問題なさそうなら本投下すると書いたのですが、
よくよく考えてみると延長した期限は今日なので、けじめとして本投下させて頂きます。
- 407 名前:She Has The Sticky Fingers:2009/06/04(木) 19:35:02 ID:BssM/v+q0
- G−5エリアの山道。辺りは暗闇で視界が殆ど利かない。
唯一の自然光源である月明かりは密集している樹々の葉に遮られてしまっている。
稀にその隙間から僅かに射し込む光は、暗闇に目を慣らしたい人間にとってはむしろ逆効果となり、
余計に暗闇を強調しているかのようだった。
レナとプリシスの2人はランタンを点けてこの山道を下っていた。
『夜道に揺れ動く照明は人を寄せ付ける効果が有る』というのは、
この島でのたった半日だけの仲間、アリューゼがプリシスに教えてくれた事だ。
いや別に2人には誰かを呼び寄せるつもりなどは全く無い。
この暗闇の山道を歩くには、灯りを点けなければ余計に危険であり時間を取られてしまう、というだけの事だった。
一応不意打ちには備えてレナが左耳に魔眼のピアスを装着していたが、今のところピアスは何の反応も示さなかった。
「この辺だよね?レナ」
「そうね…」
もうすぐ最初の目標地点である、G−5エリアの三本の道が合流する地点に到着する。
そこには、半日程前にレナとディアスが見つけた2つの死体があるはずだった。
2人が平瀬村に行く事に決まった後、レナはまず最初にこの場所の死体の事を伝えた。
出来る事ならあのような惨殺死体など何度も見たくは無い。見ないで済むならそれに越した事は無いのだが、
この島からの脱出に繋がるかもしれない“首輪の結晶体”を回収するには
平瀬村への通り道にある彼等の死体は非常に都合が良いのだ。泣き言など言っていられなかった。
「あ…あそこかな…」
しばらく早足で進んでいると、左右に別れる道が見えてきた。倒れている2つの人間らしき物体も視界に入ってくる。
死体はレナが昼間見つけた時のままの姿のようで、周辺の荒れ具合も変わっていない。
2人は立ち止まり、レナがプリシスに話しかけた。
「酷い状態だから、覚悟しておいた方が良いわよ。…こんな言い方もあの人達に失礼かもしれないけど。でも…」
「…ねえ、レナ?――」
レナは言葉を続けようとしたが、死体を眺めていたプリシスがそれを遮って質問をする。
その声は、気のせいか若干震えているように聞こえた。
「――ここで死体見つけたのって、お昼頃って言ったよね?」
「え?…そうよ。最初の放送が終わってから…そんなに経ってなかったと思う」
「…その時から、首が斬られてたの?」
聞かれて、レナはプリシスに死体の状態までは話していなかった事を思い出す。
さっきは、ただ2つの死体がここに有る事を伝えただけたった。
「…ええ…酷いわよね…こんな事をするなんて…」
レナは再び見る事になったこの惨状に気が滅入りそうになる。
と同時に、プリシスの事が気になった。彼等に同情して塞ぎ込んだりはしないだろうか。そう思いプリシスの方を振り向いた。
だが、レナの心配など杞憂であるかの様に、何故かプリシスは死体に向かって走り出したではないか。
「プリシス!?」
プリシスは女性の死体の元に駆け寄ると、屈み込んで死体を調べ始めた。
(…首輪を回収するだけじゃないの?)
首輪の回収の為に死体の首を自分達で切断しなくてもいい、という点でも彼等の死体は都合が良かった。
だが今、どうもプリシスは首輪を回収しようとはしていない。何をしているのか、レナには見当がつかなかった。
「どうしたの?プリシス」
声をかけるがプリシスは返事を返す事無く、もう1人の死体も調べ出し、更にランタンをかざして死体周辺を調べ始めた。
視線を地面に落としながらも時折レナの方向を向くプリシスの表情は、真剣そのものだ。
どうやらレナの声は届いていない様子である。
レナは、極力死体が目に入らないようにプリシスに近付き、もう1度声をかけようとした。
- 408 名前:She Has The Sticky Fingers:2009/06/04(木) 19:36:06 ID:BssM/v+q0
- プリシスはこの2つの死体を見て、瞬時に昼間発見した夢瑠の事を連想していた。
夢瑠は現在地からほんの半エリア程の距離だけ南に離れた地点で殺されていた。
そう、まるで、この男女の死体と同じ様な状態で。
続けて連想される事はプリシスの最も考えたくない事だったが、
『きっと状況が似ているだけで、夢瑠の事とは関係が無いに決まっている』
プリシスは無理矢理にそう思い、それを証明する為に死体を調べ始めた。
(…そんなことないよね?)
放送後に発見された死体。その1、2時間後に夢瑠達に訪れた惨劇。半エリア程度の距離。
(…まさか…だよね…?)
切り裂かれている男女の身体。切り裂かれていた夢瑠の身体。身体に残る傷跡。
(…この人達も…首輪が無い…?)
切断された首。持ち去られている首輪。
だが、調べれば調べる程、考えれば考える程、両方の出来事は関連しているようにしか思えず、
プリシスの考えたくなかった或る1つの答えが導き出される。
すなわち、彼等2人を惨殺したのもアシュトンである、という答えだ。(首輪を持ち去る理由は不明だが)
プリシスもそんな答えは認めたくはなかったが、それ以外の推論をいくら都合良く組み立ててみても、
これだけの状況証拠の前では“アシュトン犯人説”以外の推論など何の説得力も持たなかった。
「…アシュトン…」
無意識に、呟いていた。
(この人達も…あたしのせいで…)
再び遭遇したアシュトンの狂気の足跡。
ネルと夢瑠の事。レオンの腕の事。アシュトンを恨みながら退場してしまったジャックとアーチェの事。そして今の彼等の事。
その足跡は否応なしにこれらの事を思い返させる。
そして思い返す度に、一度は抑え込んだプリシスの自責の念が、少しずつ膨らんで大きくなっていった。
(…あたしのせい…それじゃあ…)
だが今のプリシスには、
(あたしがアシュトンを止めなきゃ!)
泣きじゃくっていた先程までの様な自虐的な考えは無かった。
勿論、自分のせいでアシュトンを人殺しにしてしまった事や
アシュトンが死なせてしまった人達への悲しみと贖罪の気持ちは大きい。
しかしその気持ちよりも勝り、そして彼女の自責の念が働きかけたのは
“どうにかしてアシュトンを止めたい”という前向きな、希望に通じる想いだった。
(でも…止めるって言ってもどうしたらいいのかな…?
いつもだったら…どうしてたっけ?アシュトンが落ち込んでたりしたら…
あ、ひっぱたいて励ましてたんだ。いつもならそれで立ち直ってくれたんだけど
今のアシュトンは『いつも』のアシュトンじゃないんだもんね…
…ひっぱたいたくらいじゃダメだよね…人を…殺しちゃうくらい…だもん。
こんな残酷に…何人も何人も。…あたしの為に…あたしのせいで…
でも…あたしの為にやってるんなら…あたしにしか止められないんだよね! 「――ス」
どうしたらいいのか…まだ分かんないけど…頑張らなきゃ!アシュトンの為にも…) 「――シス…―リシス」
そしてその想いは少しの間、プリシスを思案に暮れさせる事になっていた。
レナが呼び掛けている事にもなかなか気が付けない程に。
- 409 名前:She Has The Sticky Fingers:2009/06/04(木) 19:37:11 ID:BssM/v+q0
- 「…プリシス?……プリシス?」
「……ほぇ?」
何度目かの呼び掛けで、ようやくプリシスの意識はレナの呼び声を認識したようだ。
振り向いたプリシスの目は、まだ今一焦点が合っていなかった。
「…あ、ゴメンゴメン、なぁに?」
「…大丈夫?何か…あったの?」
「え?…あ、ううん!……首輪。そう、この人達の首輪がどこにも無いんだよ!」
プリシスは妙に慌てた様な態度で、微妙にチグハグな返答をした。
何かを誤魔化そうとしている?レナにはそう感じられた。
だが、プリシスの誤魔化そうとしている事も気になるが、『首輪が無い』という指摘も気になった。
「…首輪が?」
あまり直視したくなかったが、レナは死体を確認してみる。確かにどちらの死体にも首輪が無かった。
昼間はどうだったかと思い返すが、駄目だった。覚えていない。
惨殺されている事自体に気を取られ、首輪にまでは気が回っていなかったのだ。
そもそも昼間首輪が無い事に気付いていたら、この場所でわざわざ立ち止まろうとはしなかったが。
「何処かその辺りに落ちてるんじゃない?」
レナもランタンをかざして辺りを見回してみるが、少し見回した程度では周りに何が有るかまでは良く分からない。
辺りの探索をしてみようと考えたところで、
「…ん、無いと思う。多分首輪は犯人が持ってったんだよ」
プリシスがそう言い、立ち上がった。
「犯人…?こんな事をする犯人がどうして?」
自分達のように脱出を目指している者ならともかく、殺し合いに乗った者が首輪を持ち去っていく必要は無いはずだ。
「…そんなの…分かんないよ…」
プリシスは小さく、悲しそうに呟いていた。
だが小声だった為、レナは聞き取る事が出来なかった。
「え?」
「……ん!何でもないよ!さ、行こっ!」
プリシスは平瀬村の方向へ歩き出した。そのあまりにもあっさりとした様子にレナは疑問を抱く。
(…探さないの…?)
首輪は、脱出する為にはおそらく必要な物なのだ。
確かに今死体には首輪は無いのだから、彼等を殺害した犯人、もしくは他の誰かが持っていったと考えるのはまあ良い。
だが、それはあくまでも推測に過ぎないのだから、もう少し周辺を探してみても良いはずだろう。
なのにプリシスはあっさりと彼等の首輪を諦めてしまっている。
プリシスは“首輪は犯人が持っていってしまいここには無い”と『考えている』のではなく『確信している』ようだった。
「プリシス…――」
レナは思った。プリシスはここで何かに気付き、隠そうとしている。
そして、はっきりとは聞き取れなかったが、先程プリシスが考え込んでいた時に呟いていた言葉。
今思えば、名前を呟いていたような気がする。レナにある予感と不安が芽生えた。
プリシスがレナの呼び掛けに振り向いた。
(この人達を殺した犯人はアシュトンなの?)
レナはそう聞こうとした。プリシスがわざわざ誤魔化そうとする事などはそれ以外考えられなかった。
「――ううん…何でもない」
だが、聞くのは躊躇われた。
『彼等を惨殺した犯人はアシュトン』
その答えはレナ自身が聞きたくない事でもあったから。
「……うん!さ、急ご!レオン達より先に戻ろーね!」
まるでゲームでもやっているかのように言い、プリシスは前を向いて歩き出す。
レナも、胸の中に芽生えた暗い不安からは目を逸らす事にして、プリシスに続いて歩き始めた。
余談ではあるが、もし今2人がこの周辺で首輪の探索をしていれば、
もしかしたらディメンジョン・スリップを握ったロジャーの死体を見つけ出せたかもしれない。
だが、2人は探索せずにこの場から離れていく。当然、ロジャーには気付きようも無い。
誰かがロジャーを発見する時はいつになるのだろうか?いや、その時は来るのだろうか?
それはまだ、誰にも分からない。
- 410 名前:She Has The Sticky Fingers:2009/06/04(木) 19:39:00 ID:BssM/v+q0
- 死体の有った場所からしばらく道なりに進んだところで、レナは地図を出して進路上を確認した。
目的地である平瀬村に入るルートは現実的に考えて2つ有る。
1つはF−3を通るルート。
こちらは村から出る、または村へ入ろうとする参加者と出会う可能性が有り、比較的危険度の高いルートだ。
もう1つはH−3北西部からG−3の禁止エリアを掠めるように通過してG−2に抜けるルート。
こちらは一見したところは禁止エリアに阻まれているが、首輪の30秒の制限時間のお陰で通り抜ける事は可能だ。
そして、首輪の30秒の制限時間を知らない人物ならあまり近寄る場所ではないだろう。
つまり、他の参加者が通る可能性は低く、安全性は高いと思われる。
レナとプリシスの2人は事前に、
レオンの『エルネストは村に居る可能性が高い』という推理、
アルベルの『出来るだけ安全なルートで進む』という旨の提案から、
安全性の高いルートであるH−3ルートから平瀬村に向かう事を決めていた。
「ねえ、平瀬村に到着する前に少し休憩しない?村に着いたら…何があるか分からないし」
レナが確認していたのは、進路上で休憩を取り易そうな場所だった。
今、レナはプリシスの事を心配していた。
その理由は、先程の死体を調べていた時と、その場所から今ここに来るまでの間の、
沈痛そうに眉根を寄せて思案に沈んでいたプリシスの様子にある。
いつものプリシスだったら何かを悩んでいる時や悲しんでいる時でも、
先程の様な露骨に思案に沈んでいる姿などは周りに見せようとせず、表向きは明るく振舞おうとするのだ。
だが、今のプリシスにはそんな様子があまり見られない。
それはつまり、感情を取り繕う余裕も無いくらいに肉体的、精神的な疲労が大きい、という事だろう。
他の参加者が集まっていると思われる平瀬村に到着してしまえば、
どんなタイミングで、どんな参加者と出会い、どんな事が起こるかは全く予測出来ないのだ。
出来る事なら、そんな危険な場所に今の状態のプリシスをこのまま向かわせるより、
村よりも安全であるはずの進路上で少しでも休ませて疲労を回復させてやりたい。
レナはそのように考えていた。
「大丈夫大丈夫!休むのはレオン達と合流してからにしよ!」
「…でも…」
「それに、今は時間がもったいないじゃん?はやくエルネストを見つけなきゃ!」
「……そう…ね」
だがプリシスを休ませたい気持ちと同時に、『時間が無く、急がなくてはならない』という気持ちもレナの中に存在していた。
状況は刻々と変化する。いつ仲間達が危険と遭遇してもおかしくないのだから、
今はプリシスの言うように、休んでいる暇を惜しんでも仲間達を探す事を優先するべきなのは間違っていない。
いや、むしろ正しいと言えるだろう。
その気持ちも持っていたレナは、今のプリシスの言葉に自分の提案を通せる意見を持ち合わせておらず、
『プリシスを休ませたい気持ち』と『急がなくてはならない気持ち』
自分の中に在るこの2つの相反する気持ちに、無力感にも似たもどかしさをただ感じる事しか出来なかった。
そして、自分が先程のプリシスの様に沈痛そうな表情を浮かべている事には気付いていなかった。
一方のプリシスは、レナが休憩を提案した真意を何となくではあるが気付いていた。
プリシスは目の端でレナを捉える。その表情は明らかに暗い。そして微妙に空気が重いように感じられる。
(やっぱり…心配させちゃったかな?)
おそらくレナは、先程から度々上の空になっていた自分を心配してくれてあの様な事を言い出したのだろう。
心配してくれるのは純粋に嬉しい事ではあるのだが、
『自分を心配して』と言うのは『自分のせいで心配させてしまった』と言う事でもあるのだから素直に喜んでもいられない。
プリシスはアシュトンの事を考えるのは後回しにして、重くなってしまっている今の空気を何とかしようと考えた。
別に誰かが決めた訳では無いのだが、前の冒険でもパーティの雰囲気を盛り上げるのは彼女の役目だったのだ。
そのムードメーカーが自身のせいで雰囲気を暗くしてしまっては元も子もない。
(そだ!アレがあったっけ)
プリシスは自分の持ち物を思い出した。『アレ』の思い出話ならレナを元気づけられるかもしれない。
「あ、そだ。レナ、良いもの見せてあげる!」
「…良い物?」
ちょっといきなりすぎたかな?と思いながらもプリシスは自分のデイバッグをまさぐり、
「じゃ〜ん!」
1つの道具を取り出した。
「あ…それ」
「そ、『盗賊てぶくろ』だよ!懐かしいでしょ?」
- 411 名前:She Has The Sticky Fingers:2009/06/04(木) 19:41:21 ID:BssM/v+q0
- 『盗賊てぶくろ』
他人の持つアイテムを一定確率で盗む事が出来る手袋だ。
成功すればどんなに厳重に守っているアイテムでも気付かれずに盗み取れるが、
失敗すると、何処からともなく聞こえてくる『ブブー』というベタな効果音のせいで必ずばれる。
「本当、懐かしいわね。…持ってきてたの?」
「違うよ。これね、あたしの支給品の中に入ってたんだよ」
「へぇ、こんな物まで有るのね。…ふふ、クロードがよくそれ持って街中走り回ってたわよね」
レナはクロードの姿を思い出した。まだこの島でクロードとは再会出来ていない。
クロードは無事なのだろうか。放送では呼ばれてはいないが、誰かに襲われて怪我をしてないだろうか。
そのような事を考え、ほんの少し、不安で胸がチクリと痛んだ。
「な〜に言ってんの。レナもじゃん」
プリシスがニンマリといった感じの笑顔で言う。
「そ、そんなことないわよ」
あまり突っ込まれたくない話に、思わず赤面して叫んでしまった。
「みんな言ってたよ!『関わり合いになりたくないカップルだな』って!」
「…もう。みんなって…ボーマンさんとエルネストさんでしょ?そんなこと言うの」
赤い顔がますます赤くなる。だが、レナは少し楽しい気分になってきていた。
「アハハ、当ったり〜♪よく分かったじゃん!
ね?ね?そういえばさ、リンガのクロードとエルネスト覚えてる?」
空気が明るくなってきたと感じたプリシスは、話を広げようとする。1つ面白かった話を思い出したのだ。
「あれよね?クロードがエルネストさんの持ってたバトルスーツを狙って、リンガ中つけ回してたのでしょ?」
レナもその話は良く覚えている。
その時のエルネストは自分をつけ回しているクロードに気付いており、
居心地悪そうにリンガの町中をうろうろと移動していたらしい。
「そーそー。そんで何か変な本に影響されてたオペラがさ、
『エルは渡さないわよ!クロード!』な〜んて変な誤解しててボーマン先生が大笑いしてさ…」
そこまで喋ってから、プリシスはしまった、と思った。
オペラの名前を出した時からレナの表情が段々曇り出したのだ。
「あっ……えと…ゴメン」
「…ううん、平気よ」
再び暗い雰囲気に戻ってしまった。
だがプリシスは悪気があって言ったのではない。
この場を少しでも明るくしようとして言ってくれた事なのだ。それはレナにもよく分かっている。
「…ボーマンさんって言ったらクロスよね」
プリシスの『お姉さん』としては、プリシスだけに気を遣わせる訳にはいかない。今度はレナが話を始めた。
「…クロス?」
「ほら、クロスで首輪にオリハルコンつけた犬が居たじゃない?」
それはプリシスも覚えていた。確か、茶色の雑種犬だ。
「あ、あの犬?可愛かったよね〜♪そだ、思い出した!
ボーマン先生さ、『犬っころの分際でオリハルコンとは生意気だ!』とか言って盗ろうとしてたっけ!」
「そうそう!結局失敗しちゃって。たまたまそばに居たアシュトンと一緒にその犬に追いかけられて、
みんな『さすがアシュトンはロクな目に…」
プリシスの顔を見て、レナはハッ、と口に手を当てた。
プリシスの笑顔は先程のレナ同様、徐々に悲しげな、力の無い笑みに変わっていく。
今は『アシュトン』は禁句に近い言葉だった。
「あ…ごめんね…」
「……ううん!い〜んだよ。楽しかった事を話してるだけじゃん!」
「…そうよね…」
「…そうだよ…」
- 412 名前:She Has The Sticky Fingers:2009/06/04(木) 19:42:13 ID:BssM/v+q0
- 楽しかった思い出話。
そう、かつての冒険は辛い事も有ったが、思い返してみれば楽しかった思い出ばかりが蘇る。
いや、辛かった事だって、今になってみれば笑いながら話せているのだ。
きっと10年、20年と経っても、何十年も経ってみんながヨボヨボの老人になっても、
あの冒険は楽しい思い出として心に刻み込まれていたはずなのだ。
…こんな事に巻き込まれさえしなければ。
今の気持ちを素直に表すかの様に沈黙が辺りを包み、2人の笑みは無くなった。
並んで歩いていた2人だったが、プリシスの歩みがやや遅れ始めた。
2人はかつての冒険を思い出して、理解した。
あの冒険の思い出は今、痛みと悲しみに包まれているのだ。
決して傷の有った思い出ではない。つい2日前までは、ただ楽しかった思い出だった。
その思い出を、何故今は思い出すとこんなにも心が痛むのだろうか。
理由は分かっている。
この無意味な殺し合いが、仲間達を傷つけているからだ。仲間達との思い出や絆までをも傷つけているからだ。
では、何故楽しかった思い出を、こんなにも悲しく思い返さなくてはならないのだろうか。
何故レナが、プリシスが、他の皆がこんな思いをしなくてはならないのだろうか。
その答えは、2人には出せなかった。
((…え?))
代わりに、2人は気付いてしまった。
((もしかして…ずっと…?))
あの冒険を、今までのように楽しく笑って思い出せる日は、もう2度と来ないのだという事を。
どうしたってレナを人質に取ったオペラを思い出してしまうのだから。
何の躊躇いも無くレオンの腕を切断したアシュトンを思い出してしまうのだから。
こんな事で命を散らせてしまった仲間達を思い出してしまうのだから…
その事に気付いた2人は、心が抉り取られたかのような、激しい喪失感を感じた。
それは、仲間の死や裏切りで感じてきたものとは全く別の、今までに経験した事の無い喪失感だった。
その喪失感は瞬く間に胸全体に広がり、大きな痛みへと変化する。
全く想定していなかった痛みに不意を衝かれた2人は、思わず泣き出したくなった。声を上げて泣いてしまいたい。
(駄目よ!私が泣いたらきっとプリシスも泣き出すもの。
堪えなきゃ!私はプリシスの『お姉さん』なんだから!)
レナは、無意識にまばたきを繰り返していた。涙を堪える為だ。
自分がしっかりしなくてはプリシスを護る事は出来ないのだから、泣く訳にはいかない。
- 413 名前:She Has The Sticky Fingers:2009/06/04(木) 19:43:10 ID:BssM/v+q0
- (だめだめ!…あたしが泣いたらレナも泣いちゃうよ。
…我慢しなくちゃ……あたしは…ムード…メーカー…だもん…!)
プリシスは盗賊てぶくろを手に装着すると、後ろからレナに近寄り、スッ、と手を動かしてレナを追い抜いた。
「へへ〜」
プリシスは後ろ向きのまま手に持った短剣を掲げ、レナに見せる。
「え…?何それ?…ってちょっと!?プリシス!?」
レナは自分の腰に手を当てる。無い。腰に挿していた短剣が無くなっている。
するとやはりプリシスが持っている短剣は…
「成功〜♪」
プリシスはレナの方を振り向く事なく、そのまま走り出した。
「『成功〜♪』じゃないわよ!ちょっと、待ちなさい、プリシス!」
(ゴメンね、レナ…今は…待てないんだ…)
プリシスは泣いていた。
プリシスの泣くまいとする想いとは裏腹に、彼女の喉は強張り、胸は熱くなり始め、涙が溢れてくる。どうしても止められない。
せめてムードメーカーとして、泣き顔をレナに見せる訳には行かなかった。見られたくなかった。
だから逃げる。涙が止まるまで、逃げなくてはいけない。レナに心配させない為に。この場を暗くさせない為に。
それがムードメーカーとしての役目なのだから。
(ごめんなさいプリシス…『お姉さん』なのにあなたを慰める事が出来なくて…)
レナはプリシスが泣いているのに気付いていた。
プリシスは気付かれてないと思っているようだが、彼女の声は涙声で上擦っていた。
それにレナも涙を堪える事が出来ているだけで、プリシスと同じ気持ちなのだ。
いくら誤魔化そうとしても分かってしまう。
そして、同じ気持ちである分、この暗く憂鬱な気分を晴らす方法が無い事にも気付いていた。
どうすればこの気分が晴れるのかレナには分からない。つまり、同じ様に落ち込むプリシスを慰める方法も分からなかった。
(だから、この鬼ごっこには付き合ってあげるね。あなたの気が済むまで…)
「プリシス!待ちなさいってばー!」
レナも走り出した。プリシスを追いかけるのだ。
この悲しい鬼ごっこが終わるまでは、せめて、何も気付かない振りをして。
自分に出来る事はそれくらいしか思いつかないのだから。
レナの目に再び涙がにじむ。レナはそれをこぼさないように空を見上げた。
樹々の隙間からは輝いてる星々が見え、涙を通して見る星の光は、様々な方向に長く伸びて広がっている。
レナにはそれがまるで、自分の代わりに星が涙を流しているように見えていた。
- 414 名前:She Has The Sticky Fingers:2009/06/04(木) 19:45:10 ID:BssM/v+q0
- 【H-04/黎明】
【レナ・ランフォード】[MP残量:45%]
[状態:仲間達の死に対する悲しみ(ただし、仲間達のためにも立ち止まったりはしないという意思はある)、精神的疲労大]
[装備:護身刀“竜穿”@SO3、魔眼のピアス(左耳)@RS]
[道具:荷物一式]
[行動方針:多くの人と協力しこの島から脱出をする。ルシファーを倒す]
[思考1:プリシスと共に平瀬村を目指す。次の、ないしその次の放送までに鷹野神社に戻る]
[思考2:レオンの掲示した物(結晶体*4、結晶体の起動キー)を探す]
[思考3:自分達の仲間(エルネスト優先)を探す]
[思考4:アシュトンを説得したい]
[思考5:エルネストに会ったらピアス(魔眼のピアス)を渡し、何があったかを話す]
[思考6:クロードに会いたい]
【プリシス・F・ノイマン】[MP残量:100%]
[状態:アシュトンがゲームに乗った事に対するショック(更に大きく)]
[装備:マグナムパンチ@SO2、セブンスレイ〔単発・光+星属性〕〔25〕〔100/100〕@SO2 盗賊てぶくろ@SO2]
[道具:無人君制御用端末@SO2?、ドレメラ工具セット@SO3、解体した首輪の部品(爆薬を消費。結晶体は鷹野神社の台座に嵌まっています)、荷物一式]
[行動方針:惨劇を生まないために、情報を集め首輪を解除。ルシファーを倒す]
[思考1:レナと共に平瀬村を目指す。次の、ないしその次の放送までに鷹野神社に戻る]
[思考2:レオンの掲示した物(結晶体*4、結晶体の起動キー)を探す]
[思考3:自分達の仲間(エルネスト優先)を探す]
[思考4:アシュトンを説得したい]
[備考1:プリシスの支給品は盗賊てぶくろでした]
[備考2:適当なところでレナに護身刀“竜穿”を返しています]
[現在位置:H-04北東部〜北部の道]
【残り21人+α?】
【盗賊てぶくろについて】
・盗賊てぶくろを装備すれば、他人が持つアイテムを盗む事が出来ます。
・盗みを行えるのは、使用者の手が対象者に触れられる距離に居る場合とします。
・盗む事が出来るアイテムは、装備欄か道具欄に表示されている物をランダムで1つとします。
・デイパック自体や、食料、コンパス等の基本支給品は盗めるアイテムの対象外とします。
・盗んだアイテムに説明書が残っているならそれも同時に盗みます。
・道具の効力で盗むので、どんなに厳重に守られているアイテムでも成功すれば気付かれる事無く盗めます。
・失敗時には必ずばれます。失敗時の効果音が聞こえてくるかどうかはどちらでも。
・使用者は1人の対象者に1度盗みを試みたら、次の放送までは同じ対象者から盗む事が出来ません。
・成否の確率、成功時に盗めるアイテムは適当に決めて下さい。
- 415 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/06/04(木) 19:52:09 ID:BssM/v+q0
- 以上で投下終了です。
支給品を出したかっただけで書いたのですが、
あまり武器の無いこの2人にこんなもん持たせて問題は無いですかね?
それも含めて何か問題点がありましたらご指摘願います。
ちなみにタイトルは「彼女は盗癖がある」という意味のつもりです。
- 416 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 20:18:11 ID:seeq+9mR0
- 投下乙・・・
楽しかった思い出が辛い記憶になるのって本当に苦しいんだろうな
ゲームとはいえ思い入れがあるから、なんとなく自分も気が重くなった
気分を取り直して、このロワに呼ばれたSO2メンバースリ集団だったのかよw
しかもゲームだとスって終わりだが、その後のオチとかもあっておもしろかったです
- 417 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/04(木) 20:49:03 ID:cj5Zeoop0
- 投下乙、なんだか切ない……
本編のピックポケット、ありすぎて困る
さすがに装備してそのとき使っていたアイテムや見た目で盗まれたらバレるだろうというアイテムは、
盗まれてもすぐ気付くよな……
例えば誰かさんのメイド服とか、誰かさんのヅラとか
ここまで書いて「盗む行為」自体に気付かれずに盗まれてしまうって事に気付いた
自分の頭の悪さに泣いた
- 418 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 12:09:47 ID:edCqOvZOO
- 新作乙。これはなかなか面白い支給品が出てきたな。
>>417
とは言え、今のヅラムスにピックポケットを仕掛けるアホはいないと思うがなあ……。
考えてもみろ――もしピックポケットでランダムに盗まれるアイテムが、
魔法少女のコスチュームだった日にはどんな悲劇が待っていることやらw
- 419 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/06/05(金) 21:41:51 ID:t0zM8u+/O
- 感想ありがとうございます!
本当に励みになります!
>>416
悲しんで頂ければ幸いです。
盗賊てぶくろにはワクワクして頂ければry
>>417
悲しんで頂ry
某メイドさんにピクポケったら、
メイド服はそのままで下に着ているミラージュローブを盗むという事も有り得るかも…
ん〜何かエロい…?
>>418
ヅラは…実はバブルローション以外ハズレしか持ってなかったりw
最低4人の読み手さんに読んでいただいて指摘無いなら大丈夫かな?
一応土曜まで待って指摘無いようでしたら、えーと、今回からは自分でwiki編集したいと思います。
- 420 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/06/07(日) 13:16:05 ID:NZO8N7YF0
- どうにか編集完了。
どこか抜けてる箇所があったら申し訳ない。
しかし…業者め。あのタイミングで広告載せたら俺がやってるみたいじゃないか…
- 421 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/10(水) 00:09:43 ID:THAaslTTO
- 予約中の人はどうなったんだろう…
- 422 名前: ◆A/Fc0qBU16 :2009/06/11(木) 01:14:47 ID:ctNweOpm0
- 長いことかかったのにすいません
どうしてもまとまらないので今回は一旦予約破棄します
まとめられたらまた来ます…
- 423 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/11(木) 14:18:06 ID:c0sHEUu20
- そうですか、残念です
頑張ってください
とりあえずトラブルに巻き込まれたとかじゃなくてよかった・・・
- 424 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/06/11(木) 21:38:06 ID:fgWgS4teO
- >>422
未完成とはいえ、お疲れ様でした。
次の機会に期待してます!
ひそかにエルネスト、クラースの【チーム中年】で予約させて頂きます。
もしも書いてる方いらっしゃいましたら遠慮なくストップかけて下さい。
やっぱり期限は10日でお願いします。
- 425 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/11(木) 21:40:36 ID:c0sHEUu20
- 応援せざるを得ない!!!!
しかし久々に点呼取りたくなってきたなあ
点呼がてら、昔投下された好きだった話の感想とかできたら嬉しいなあ
- 426 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/12(金) 20:20:02 ID:u189mA0SO
- 盛り上げたい気持ちはあるので1。
てか昨日チーム中年予約した奴なんですが。
好きな話は…てかシーンになっちゃうけど、無人君自爆のところかな。
あれは何回読んでも泣きそうになる。
- 427 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/12(金) 22:24:01 ID:VWklrgMRO
- 2!
ちなみに好きなのは『絶望の笛』
それまで脳天気だったアーチェの叩き落とされっぷりがやばい
- 428 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/12(金) 22:52:12 ID:eb2YF79E0
- 3ッ
ネタ回はやっぱり27話:その男、変質者につき―― かな。
登場話にしてブラムスのロワでの立ち位置を確立したすげえ話だと思う。
バトル回は103話:Start Up from Prolonged Darkness & その手に光を得るために だな。
2転3転するバトル展開に加えバトったキャラ全員に見せ場を持たせつつしかもルーファスの遺体というフラグを上手く扱った良作だ。
- 429 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/13(土) 00:44:37 ID:7d6dZkjs0
- 4……
演技悪ィーーーーーーッ
死ねっつーのかアアアーーーーーーーーーッ!?
作者さん同じだから敢えて「ブラムスVSミカエルの連作」と答えさせていただこう
- 430 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/13(土) 23:46:22 ID:9hOO9lDhO
- 5
「LIVE A LIVE」が一番印象に残ったかな。最期までマーダーだったオペラ死亡に涙した
- 431 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/14(日) 20:44:48 ID:/VSWS3AyO
- 6だ!
俺は「逃走しよう、そうしよう」が好きだったな。ギャグキャラだったアルベルが汚名返上とばかりの頭脳プレイ。
その後しっかりウンデレぶりをアピールしてたのは笑ったw
あとは「不協和音」クレスマリアさん関連の話は好きなのが多い。
チェスターもクロード馬鹿だけど登場話自体はシリアスなのが多いな。ギャグ回一回も無いんじゃないか?
- 432 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/18(木) 13:20:30 ID:IpR/9bsvO
- 7!セブン!セブーン!
( ゚∀゚)o彡゚セブン!セブン!セブン!
最近の平瀬村大戦がやっぱ好きだなあ。
フラグか少ないロワだけど、その少ないフラグを綺麗に生かしてる気がする。
スゴい新人さんもきてくれたしなーw
- 433 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/06/21(日) 19:29:16 ID:6gUbqduT0
- スゴくない新人さんならここに1人…
いっつも不安でいっぱいです。
今日も考察として形になってるのか…
ものすごい不安ですが、投下させて頂きます。
- 434 名前:ヴァンパイアハンターK:2009/06/21(日) 19:31:16 ID:6gUbqduT0
- 自転車がある程度速度に乗り、バランスが取れてきたところで、クラースは振り返った。
フェイト達の様子を伺うと、ブラムスがフェイトの腰に手を回し、しっかりとしがみついて飛んで行くのが見える。
「フッ」
クラースは思わず苦笑した。
「ん?どうしたクラース?」
「いや、フェイトの腰に手を回しているブラムスを見て、ちょっとな。
おそらくフェイトに言われるがままにやっているんだろうが、
ここから見てもバランスが悪そうだ。…素直と言うか律儀と言うか」
「ハハハ、確かにな。あの体格差ならフェイトの肩に手を掛ける方が安定するだろうに。
しかし、彼らに助けに来られたお姫様はどんな顔をするか…見てみたい気もするな」
「見るまでもなく想像出来るがな。…同情するよ。お姫様にも…奴を連れて行く王子様にも」
「フェイトが王子様でソフィアがお姫様なら、ブラムスはそのまま魔女という事になるのか?」
「魔法少女だろう?何百歳のな」
2人は笑った。
(もしもお姫様がミラルドで、王子様の私があの魔法少女と共に助けに行ったら…
…やはり何を言われるか分ったものではないな)
そんな事を考え、クラースは再び苦笑した。
「クラース、笑いすぎだろう」
「フフッ…ああ、すまない」
フェイト達がそのまま暗闇に溶け込んで行く事を見届けると、クラースは前を向き直した。
彼は別にフェイトを面白がって振り返っていた訳ではない。
ブラムスが離れるのを確認しておきたかったのだ。
クラースには、ブラムスが離れている今の内にエルネストから聞き出しておきたい事が有った。
「おっと」「っとと」
自転車が何かに乗り上げてしまい大きくガタガタと揺れた。
どうやら石に乗り上げたらしく、石が弾かれてココンと地面を転がっていく音が辺りに響いた。
「…エルネスト。もう少しまともに乗りこなせないのか?」
とりあえず聞きたい事を尋ねるのは後回しにして、クラースは体勢を立て直しながら文句を言う。
彼は自身が座っている荷台に掴まってバランスを保っている為、多少の揺れでも体勢を崩しやすいのだ。
ふと、エルネストの腰がクラースの目に入った。
確かに、エルネストにしがみつけば幾分かは安定するだろうとは彼も気付いてはいる。
気付いてはいるが、ブラムスの姿を笑ってしまった直後にそれは、何となく避けたい事だった。
- 435 名前:ヴァンパイアハンターK:2009/06/21(日) 19:32:20 ID:6gUbqduT0
- 「そう言うな。舗装されているとは言え碌に整備もされていない道で、おまけにこの暗さだ。
ライト…灯りを点ける訳にもいかないし、何かに引っ掛かってしまうくらいは大目に見てもらいたいが」
「…まあ、そうなんだがな、――」
確かに彼等の乗る自転車は今、ライトを点けていない。点ける訳にはいかない。
それは当然、周りに居るかもしれない他の参加者、特にロキを警戒しての事だ。
ライトを点ければ、近くに他の参加者が居た場合にはどう考えてもその光が届く。
それを見てわざわざ寄ってくるような者は、ゲームに乗っている者、もしくは自らの実力に自信のある者。このどちらかだろう。
彼等の探す、ソフィアのようなほぼ一般人と変わらない少女ならば、光などを見たら逆に警戒して近づいて来ないはずだ。
つまりライトを点ける事は危険を増やすだけでなく、ソフィア達を見つけるという目的を達成し難くなるという事でも有るのだ。
「――こんな調子で派手な音を立ててしまっていては、誰に聞こえるか分かったものじゃないぞ?
これでは灯りを点けて走っているのと大差有るまい」
「それはそうだが…灯りと違って音は消す訳にもいかないしな」
「…いや、任せてくれ」
そう言ってクラースは召喚術を発動する準備を始めた。
「どうする気だ?」
「まあ見ていろ。『シルフ!』」
自転車を中心に、優しくなびやかに吹く風が発生する。シルフ達が静かに自転車を包み込んでいるのだ。
「これで問題無い」
「問題無い?風が俺達の周りに発生しているのは感じられるが…何をしているんだ?」
エルネストの当然の質問に、クラースは説明を始める事にした。
「ミカエルとの戦いで、私が離れた場所からお前達に話しかけた事は覚えているか?」
「…ああ。確かシルフを使って声を風に乗せたとか…そんな事を言っていたな」
「そうだ。シルフは『声を運ぶ』事が出来る。では、『声を運ぶ』とはどういう事だか分かるか?」
エルネストはしばし考えを巡らし、次のように答えた。
「…『音を操っている』と言うことか」
「正解だ!流石は未来の人間だな」
クラースは素直に感心する。
彼の世界の彼の時代では、音と声が同じようなものなどと言う認識も発想もまだ無いのだ。
クラース自身も精霊達から聞くまでは気付かなかった事だった。
「フッ、お誉めに与り光栄だな。まあ文明が進んでいるというだけで、俺がお前より未来の人間とは限らないんだがな」
「ん?…なるほど。それもそうだな。
…まあそれは良いとして、説明を続けるぞ。
お前の言った通りシルフ達はある程度だが『音を操る』事が出来る。
今、我々はシルフの風に包まれているだろう?
この風は我々の発生させる音を全て空気中に散らすように運び、完全に消しているのさ」
「ほう…便利なものだ」
今度はエルネストが感心した様に言う。
だが、クラースはその表現が少しばかり気に入らなかった。
「エルネスト。精霊達は道具ではないんだ。『便利』ではなく『頼りになる』と言ってもらいたい」
「ああ、失礼。訂正しよう。だが…音が消えている実感は全く無いな」
確かに彼等にはペダルの軋(きし)む音、シャラシャラとチェーンの動く音、ガタガタと自転車が揺れる音など、
自転車の発生させている様々な音が聞こえている。エルネストが不安に思うのも無理は無いだろう。
- 436 名前:ヴァンパイアハンターK:2009/06/21(日) 19:33:09 ID:6gUbqduT0
- 「心配するな。シルフ達はしっかりとやってくれている。
私達が会話出来るように半径1m程までは音が届くが、それ以上響き渡る事は無い。
それで問題は無いだろう?」
「まあ確かにな…あまり落ち着きはしないが」
「気持ちは分からなくもないがな…何にしても、これで音により我々の居場所を特定される心配は無い。
まあ当然、私の精神力が尽きるまでの事だからそこは注意しなくてはならないが、
鎌石村に行き、F−4までの往復くらいならなんとかなるだろう。
残る問題はやはりこの暗さだが…こればかりはどうしようもないか」
前方がよく見えない為、先程のように何かに引っ掛かる事が有るかもしれず、下手をすると転倒の恐れも出てくる。
だが、流石に精霊達も光までは音のように消す事は出来ないし、
出来たとしてもシルフと同時に別の精霊まで操れば、おそらく鎌石村までクラースの精神力は持たない。
これは我慢するしかないだろう。
「それは俺に任せろ」
自信満々の様子で、エルネストが言った。
「何かするのか?」
「いや、そういう訳じゃない。俺達テトラジェネスは普通の人間よりも視力には自信が有るのさ」
確かにエルネストの言う通り、テトラジェネスは他の人間よりも視力が格段に優れている。
音を消せるクラースと、テトラジェネスのエルネストの視力。
この【チーム中年】程、安全に自転車で夜の闇を移動出来る人間など、この島には居ないかもしれない。
(しかしお前、さっき思い切り石に乗り上げて…)
クラースがそう言おうとした時、
「おっと」「うっ」
小さな窪みにタイヤを取られ、自転車が大きくガタガタと揺れた。
「…視力を自慢している割には、ちょくちょく何かに引っかかるな」
クラースは二度目の揺れに再び体勢を崩し、不快感を隠しきれずに再び文句を言った。
「ま、まあヴァンパイア程ではないんでね。こんな事もあるさ。…不満なら運転を代わるか?」
(二人乗りの自転車を運転?冗談ではない!)
エルネストは四捨五入すればもう40歳になる年齢とはいえ
過酷な環境の惑星でのフィールドワークや遺跡の探索で体力に自信があった。
だが、それに引き換えクラースは、魔術、召喚術の研究に没頭して机にかじりつきっぱなしの生活だ。
2人の体重と自転車の重さを合計すれば150〜160kgにはなる。
運転を代わったところで鎌石村に到着する前に力尽きてしまうのは目に見えているのだ。
(…文句を言ったのは薮蛇だったか?話を逸らさなくては…)
- 437 名前:ヴァンパイアハンターK:2009/06/21(日) 19:34:26 ID:6gUbqduT0
- 「…い、いや、お前に任せよう。
ところでだな…今『ヴァンパイア程じゃない』と言ったが、それはどういう意味だ?」
話の逸らしついでに、クラースはエルネストが何故ここでヴァンパイアを引き合いに出したのか、
その理由が今一分からず気になったので聞く事にした。
いや、単に気になったというだけではない。先程から彼は『ヴァンパイア』について聞き出す機会を窺ってはいたのだ。
「ん?ああ、ヴァンパイアという種族は夜目が利いて、
暗闇でも我々の昼間のように見えるのさ。…いや『暗闇の方が』と言うべきか。
俺は流石にそこまでは見えないんでね。まあ、そんな意味合いだ」
(流石に詳しいようだな。この様子ならば弱点なども知っていると期待出来そうだ)
クラースが『ヴァンパイア』について聞き出したい理由。勿論それは、ヴァンパイアの王だと言うブラムスを警戒しての事だ。
ブラムスはエルネストの援護が有ったとは言え、ミカエルをほぼ無傷で倒す実力を持つ人物(?)だ。
そのような実力者と同盟は組めたのは良い。
それは良いのだが、ブラムスはあれほどはっきりと『同盟破棄』も視野に入れている事をクラース達に告げている。
そして、ブラムスがどのようなタイミングで考えを変え、彼等に牙を向くのかは分からない。
なら、もしもの場合に備えて、ヴァンパイアに詳しいというエルネストから情報を多く聞いておくべきだろう。
クラースはそう考えていた。
「夜目が利く…夜行性という事か?」
「フッ、彼ら以上の夜行性は無いんじゃないか?何せ日光を浴びると消滅すると言われているからな」
「消滅するのか!?」
聞き出し始めからこれ以上無いくらいの弱点を聞かされ、クラースは驚きを隠せなかった。
彼の知る中にも日光に弱い魔物は数多く居るが、
弱いと言っても力が出せなくなる程度で、消滅までする魔物の話は聞いた事が無かったのだ。
クラースのリアクションにやや驚いた様子を見せて、エルネストは言った。
「あ、ああ。だが様々な説の中の1つにそういう説も有る、というだけの事だが。
消滅まではしないとしても本来の力が出せなくなったりとか、あまり影響は無い程度だとか…
まあ、効果はピンキリだ」
(ふむ…まあブラムスも昼間は移動もしていたようだし、
日光を浴びた程度で消滅するとは思わないがな。…だがヴァンパイアはヴァンパイアだ。
エルネストが言うには、日光は『効果はピンキリ』。言い換えるなら『少しなら影響は有る』のだろうからな。
多少なりとも弱体化してくれる可能性は有るだろう。
日光が有効ならば……いや、考えるのは後だ。今はもう少し色々と聞いておくとしよう)
- 438 名前:ヴァンパイアハンターK:2009/06/21(日) 19:35:19 ID:6gUbqduT0
- 「なるほどな…ヴァンパイアは日光の他には何か弱点は有るのか?」
「弱点?……ヴァンパイアはむしろ、弱点は多い種族と言えるんだが…
それにしても随分とヴァンパイアに興味を持っているようだが?」
少し気になったのか、エルネストが後ろを振り返り、逆に質問をした。
「私が気になるのはヴァンパイアというよりブラムスの方だ。
正直言って、奴が心変わりをして戦う事になった場合、何の対策も無しに勝てる相手だとは思えんからな」
クラースは本音を話した。
「そういう事か」
納得したようで、エルネストは前を向き直す。
「だが…ヴァンパイアの弱点がブラムスに当てはまるとは…あまり思えないな」
「何?…何故そう思うんだ?奴は王とは言えヴァンパイアなんだろう?」
「まあ聞け。ヴァンパイアへの有効な攻撃手段の1つ…つまり弱点の1つに『炎』が有るんだがな――」
エルネストの説明はまだ途中のようだったが、
「…う〜む、言いたい事は良く分かった。確かに当てはまりそうにはないな…」
先程のブラムスとミカエルの戦闘を見ていたクラースは理解してしまった。
クラースの見た所、ミカエルの炎はダオスの攻撃と比べても何の遜色も無い。
そのミカエルと渡り合い、ほぼ無傷で勝利しているブラムスの弱点が炎であるとは確かに考え難い。
エルネストのように『ヴァンパイアの弱点がブラムスに当てはまるとは思えない』と考えるのは無理も無い事だった。
(とは言え、他の弱点ならば通じるものが無いとは言い切れないな。…聞くだけ聞いてみても良いだろう)
クラースは前向きに考える。1つの可能性をそう簡単に諦めずに追求するのが彼の性格だ。
そんな性格だからこそ、アルヴァニスタで周りの魔法学者に認められず、嘲笑されようとも、
召喚術の研究を完成させる事が出来たのだ。
「だが…まあ参考程度にはなるかもしれないしな、ヴァンパイアに他の弱点が有るなら一応教えてくれないか?」
「そうだな…ブラムスにも共通して有効なものが有るとすれば、
『聖なる物』。それからやはりさっき言った『日光』。おそらくこの2つくらいだろう」
「『聖なる物』?…なんと言うか、またベタな…」
魔物に対して聖なる物が有効なのはどの世界も同じという事のようだ。
「ベタであろうと、一般的にヴァンパイアの最大の弱点として伝えられているものがこの2つだ。
まあさっきも言ったが、効果はピンキリだがな」
「ブラムスに有効かもしれないと言うからには何か根拠が有るのか?」
「残念ながら、根拠と言う程のものは無いな。有効だとしたらこれだろう、という推測だけだ。
…ただ、炎よりも効果的な事は間違いない」
(『聖なる物』…今から探して簡単に見つけられるとは思えないな。
…するとやはり、可能性が有るとしたら『日光』か…)
- 439 名前:ヴァンパイアハンターK:2009/06/21(日) 19:36:13 ID:6gUbqduT0
- 「そうか…すまないエルネスト、少し考えさせてくれるか」
「ん?…ああ」
エルネストが自転車の運転に専念しだすと、
「(オリジン!オリジン!)」
クラースは念波でオリジンに話しかけた。
「(何だ?クラース。何を興奮している?)」
「(興奮?興奮などしていない!妙な事を言…いや、そんな事はどうでも良い!確認したい事があるんだ)」
「(…言ってみろ)」
オリジンは“やはり興奮しているではないか”という言葉は飲み込んで、先を促す。
「(確か『アスカ』のエネルギーは日光と同等だったな?)」
『アスカ』とは超古代都市トールでクラースが契約した『光の精霊』だ。
日光からクラースが思い浮かべたのは、鳥の姿をしたこの精霊だった。
もしかしたらブラムスの弱点をつけるかもしれないのだ。興奮するのも仕方がないだろう。
「(厳密に言うならば同等ではない。アスカのエネルギーは太陽光に含まれる電磁波の1つ『紫外線』だ。
この『紫外線』のみを見るならば、太陽光のそれと同等ではある)」
「(電磁波と紫外線…そのエネルギーは未来のユークリッドかどこかで聞いた事があったな。
…しかし、『含まれる電磁波の1つ』という事は、日光よりもエネルギーは弱い、と言う事なのか?)」
「(そうではない。そもそも太陽光の中で最も生体に悪影響である波長の電磁波こそが紫外線なのだ。
太陽光とアスカの放つ光を単純比較した場合、先程は『紫外線のみならば同等』と言ったが、
地表の上で考えるならば同等ではない。むしろ生体に対して及ぼす影響はアスカの方が強力だ。
それを源とした攻撃エネルギーを考慮しないにしてもな)」
『紫外線』
日光からの紫外線には、地表に達する前にオゾン層によって遮られている波長と遮られていない波長が有るが、
最も生体に悪影響を及ぼす波長はオゾン層に遮られている側の波長である。
と言う事は、地上で浴びている日光は、日光本来の光線に比べれば安全なものだと言えるだろう。
それに対し、アスカが地上で放つ『日光と同等の紫外線』。こちらは遮っているものなど何も無い。
つまり、アスカが攻撃時に使用する破壊エネルギーはともかくとして
単純に照らす光だけを考えても、日光よりも紫外線を多く含んでいるアスカの光の方が生体には有害だと言う事になるのだ。
「(では…日光が苦手な相手なら、アスカの光だけでも一層苦手となるのか?)」
「(紫外線に弱い相手ならば、そういう事になる。
だが、その相手が太陽光の紫外線以外の電磁波に弱いという可能性も有る。
当然その場合はアスカは決定打とはなり得ない)」
「(…なるほど。つまり問題はブラムスは日光が弱点なのかどうか。
もし弱点だとして、苦手なのは『紫外線』なのか『別の電磁波』なのか…)」
そこまで考え、クラースはエルネストを見た。
「(流石にそこまで細かい事はエルネストも分からないだろうな。
何にせよ、ブラムスと戦うのなら、日の出ている時間を選ぶべきか…)」
「(…いや、その考えは少しズレている)」
「(何だと?)」
オリジンの意外な一言にクラースは聞き返した。
- 440 名前:ヴァンパイアハンターK:2009/06/21(日) 19:37:10 ID:6gUbqduT0
- 「(良いか?クラース。私がブラムスで太陽光が苦手だと仮定しよう。
その立場で同盟破棄し、お前達と戦う事を決断したとする。
どのようなタイミングでその決断をしたとしても、私なら牙を向くのは太陽が完全に沈んでからにする。
太陽が出ている間は決して動く事はしないな)」
「(ッ!…なるほど、動く時は自らの有利な時か…尤もだな。
という事は日が出ている間にブラムスと戦うにはこちらから仕掛けるしか…
いや、流石にそれは…)」
もしもそんな事をすれば、クラースが仲間を裏切っている形にしかならない。
しかも日光がブラムスの弱点だとも限らず、アスカが大して通用しない可能性だって有る。
そう考えるとクラースから仕掛ける事はハイリスク過ぎる。現実的には実行不能だろう。
(すると…ブラムスが動く時…それが日が沈んでからならば、奴は日光に弱いという事。
日の出ている間ならば、少なくとも日光が弱点ではないという事になるな。
…弱点についてはこれ以上考えられる事はなさそうだ。それなら次に考えておくべき事は…
ブラムスがどんなきっかけで同盟破棄を決断するのか…か?)
ブラムスが同盟破棄を決断するきっかけ。その予想が出来るならばしておいた方が良いだろう。
「エルネスト」
オリジンとの話を一旦終え、クラースはエルネストに意見を聞く事にした。
「…考えは纏まったのか?」
「いや、まだだ。お前に聞きたい事が有ってな」
「ああ、何だ?」
「お前はブラムスの事をどう思う?
奴が私達との同盟を破棄するとしたらどんな時か、お前の考えを聞きたい」
それを聞いたエルネストは、何故か含み笑いを始めた。
「…どうした?エルネスト?」
「…さっきは『ブラムスが気になる』と言って考え込み、今は『ブラムスの事をどう思う?』か。
いや、聞き様によっては、気になる異性の情報を得ようとする少年のようだな、と思ってね」
少年がクラースで、気になる異性がブラムス。エルネストはそんな事を想像し、1人で笑っていた。
「…茶化すな。私は真面目に聞いているんだ」
「何だ?ブラムスの意外に可愛い一面を見てコロっといっちまったんじゃないのか?」
「だ、断じて違う!何が『コロっといっちまった』だ。私から見たって古いぞ!」
「ハハハ、冗談だ冗談」
「大体誰のせいで奴があんな――」
「分かった分かった。そんなに怒るな。…それでブラムスだったな?」
騒ぐクラースの言葉を遮って落ち着かせると、エルネストは、ふむ、と少し黙り込む。
彼等の自転車は代わり映えのしない一本道を走っている。
しばらくの間、その自転車が出す音のみが2人の耳に届いていた。
- 441 名前:ヴァンパイアハンターK:2009/06/21(日) 19:38:05 ID:6gUbqduT0
- 「そうだな…俺は案外、ブラムスが同盟破棄をしない可能性も有るんじゃないかとも思っているがな」
少々考えを巡らしていたエルネストの口からは意外な言葉が出てきた。
それを聞いたクラースは驚きの表情を浮かべる。
「ブラムスが同盟破棄はしない?
…いや、確かにブラムスが、誠実で取引相手として信用出来る、と言うのは分かる。プライドも高そうだ。
だが、そういう奴だからこそ、嘘や方便でその場を誤魔化すような事はしないだろう?
なら奴の『状況次第では私達を殺す』と言う言葉にも嘘は有るまい。…違うか?」
「…『嘘や方便でその場を誤魔化すような事はしそうにない』か。
確かにそうかもしれないが、それ以外で誤魔化す事はするかもしれないぞ?」
「それ以外?」
「俺にはブラムスの言っていた事は照れ隠しのようなものだと感じられたよ。
ヴァンパイアの王…ではなく不死者全体の王か。
人間となど軽々しく馴れ合わない事をアピールする、不死者王としてのプライドによる、な」
(…不死者王としてのプライド…)
クラースの沈黙を促しだと捉え、エルネストは続けた。
「そもそもだ、仮にも『王』がこんな首輪を着けられて殺し合いを強要されているんだぞ。
それも、世界の創造主であるのは確かのようだが、見た所我々人間と変わらない男…
いや、フェイトの話では住む次元が違うだけで実際人間と変わりは無いんだったな。
いくら生きて帰る為とはいえ、結果としてそんな人間の思惑通りになるような事を『不死者王』がするだろうか?
俺はそれこそ王のプライドが許さないと思うんだが…まあ、希望的観測に過ぎないと言われればそれまでだがな」
それを聞いてクラースは唸った。エルネストの言う事は一理有るように思える。
確かにこのゲームに乗るという事はルシファーの思惑通りに動くという事。つまり言いなりになっている様なものだ。
あのブラムスがルシファーの言いなりになる…そのように言われれば、それは考え難い事ではある。
クラースは今までそんなニュアンスではこのゲームを捉えてはいなかったが、それを意識した今、
“状況次第では優勝を目指す”というスタンスを選んでいる自身に僅かながらの嫌悪感を抱いていた。だが、
「…ふ〜む…希望的観測とまでは言わないがな…
だが、ブラムスにはプライドよりも大切なものが有り、
それを護る為に同盟を破棄する、という事は考えられるだろう?」
考え難いからと言って、ブラムスの同盟破棄と言う可能性を捨てる事はしなかった。
クラースには『何としてもミラルドの元へ帰る』という譲る事の出来ない気持ちが有る。
それと同様にブラムスにも譲れないものが有り、その為には例えプライドを捨ててでも
殺し合いに乗るという事は充分に考えられるのだから。
「そうだな。まあ今言った事は俺の感と推測に過ぎない。
お前の言う通り、同盟破棄するタイミングは考慮しておくべき事だな」
エルネストは一呼吸、間を取った。
「…そうだな…要するに脱出が不可能だとブラムスが判断した時に奴は同盟を破棄する訳だ。
現時点では脱出の為に重要な役割を持つのはフェイト、マリア、ソフィアの3人。
彼等の内の一人でも退場してしまえば同盟破棄の可能性は有るかもしれない」
「そうだな」
それはクラースも同意見だった。
- 442 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 19:55:56 ID:Te/UpsVS0
- さるさんかな?
今来たんだがこのレスの前に続きが来てなかったら代理投下します
- 443 名前:ヴァンパイアハンターK(代理):2009/06/21(日) 19:57:44 ID:Te/UpsVS0
- 「ただしその時が来ても、ブラムスの知識では判断出来得ない脱出方法を伝え、
その脱出方法が有効だと考えている間ならば再び協力してくれるはずだ」
「判断出来得ない脱出方法?」
「ああ。純粋故…と言って良いのかは分からんが、
ブラムスは未知の事についてはあまり疑いも持たずに受け入れる、
という事がさっきのやり取りで分かったからな」
(さっきのやり取り?…ああ…エルネスト教授の魔法少女論の事か…)
それをブラムスが素直に信じた事について話しているのだ。
「つまり…騙すと言うのか?」
「そう言う事になるな。無論、本当に別の脱出手段が有るなら歓迎するが。
…騙すにしても、それなりに説得力の有る脱出方法を提示出来なければ、逆に危険が増すだけかもしれん。
見抜かれたらあのバブルローションが炸裂する事になりそうだ」
あえて『何処に』炸裂するのかは省略したが、2人は同じ場所を想像する。
何気なく「チーム中年」の呼吸は合ってきているようだ。
「だがエルネスト。ブラムス達が向かった先でソフィアの死体を見つける事も考えられる。
そうすると最悪の場合、合流する時点で既に裏切っている可能性も有るんじゃないか?」
「その可能性も有る。合流前に何か考える必要が有るかもしれないな。
クラース、お前は何かそれらしい脱出手段は思いつかないか?」
(…脱出方法…)
一瞬クラースが思い浮かべたのは、『時の剣・エターナルソード』の事だった。
時間と空間を操るエターナルソードならば、おそらくこの島からの脱出も不可能ではない。
だが、エターナルソードはクラース自身が彼の世界で封印したのだ。この島に存在しない以上、考えるだけ無駄だ。
「急に言われてもな…まあ、考えてみよう。お前の方は何か――」
クラースが言いかけたところで、エルネストが自転車をゆっくりと停めた。
「――…どうした?何故停めるんだ?」
「到着したぞ。後100m程で鎌石村に入る」
「何?」
クラースは辺りを見回す。
だが、彼にはこれまで同様の代わり映えしない一本道にしか見えなかった。
「見えるのか?」
「朧気にだが、建物の陰が見える。言っただろう?視力には自信があるんだ」
正面に向かい目を凝らすが、やはりクラースには朧気にも見えない。
- 444 名前:ヴァンパイアハンターK(代理):2009/06/21(日) 19:59:24 ID:Te/UpsVS0
- 「クラース。今の内に確認しておくぞ。まずは支給品が置かれた鎌石村役場からだな」
「ああ。次にブラムスが仲間達との合流場所に決めているというC−4の最も東南にある民家だ。
奴の仲間達がそこに居ないのなら、村の他の場所に居るような事もまず無いだろう」
つまり鎌石村全体を詳しく調べる必要は無いのだ。
C−4の最も東南の民家を合流地点にしたのは、D−4から村に入った場合に1番近くにある民家だから、と言う事らしい。
「まあそれも戦闘の形跡が無ければの話だがな。
もしもブラムスの仲間達に会えたら直ちにF−4に向かう。会えなかった場合だが…」
エルネストは横目でクラースを見る。
「念の為にブラムスとの合流は放送後にするか?」
これはクラースがブラムスを警戒している事を考慮しての発言だった。
(そうだな…放送後に合流する事にするなら、急いで戻る必要も無い。
この村で一休みする時間が出来、私の精神力も回復するが…まあそれを考えるのは後回しで良いか)
「それは後で考えても良いだろう。今は役場に向かうとしよう」
「…ああ。じゃあ行くぞ!」
エルネストは再び自転車を漕ぎ始めた。
役場に着くまでの間は何事も起きなかった。到着した2人は自転車から降りる。
辺りに音を立てている物は何一つ無く、誰かがいる気配なども全く無いが、油断は出来ない。
「クラース、少し離れていてくれ」
「あ、ああ。分かった」
役場のドアから少し離れた所で立ち止まると、エルネストはドアを観察した。
とりあえず、危険な物が仕掛けられている様子は無い。
「それじゃあ行くぞ」
エルネストは縄を構えた。
「ハッ!」
掛け声と共に振るわれた縄がドアの取っ手に巻きつく。エルネストは器用に縄を操り、ドアを開けた。
(大したものだな。…正直出会った時、剣も魔術も使えないと知った時はどうしたものかと思ったが)
初めて間近でエルネストの縄捌きを見る事になったクラースは素直に感心した。
「ドアには罠の類の物は無いようだ。…俺達が一番乗りかもな」
もしも他の誰かが先にこの役場に来ていたとしたら、支給品目当てに集まる参加者を狙って
罠くらい張っていてもおかしくはないとエルネストは考えていたが、とりあえずはそれは無いようだ。
「じゃあ、クラース」
「了解!『シルフ!』」
辺りに一陣の風が吹き、クラースの召喚した『シルフ』が吸い込まれるように役場内に入っていく。
もしも誰かが居るなら必ず何らかの音が発生する。シルフ達の力で役場内の音を探知するのだ。
「…誰かが居る気配は無い。
だが、シルフでは閉じている扉の奥の気配までは探知出来ないからな。注意は怠るなよ」
「分かった。周辺の探知を頼むぞ」
「任せてくれ」
「さて、鬼が出るか蛇が出るか…」
エルネストはもう1度縄を振るって手繰り寄せると、慎重に役場内に入っていった。
- 445 名前:ヴァンパイアハンターK(代理):2009/06/21(日) 20:00:36 ID:Te/UpsVS0
- 【C-03/深夜】
チーム【中年】
【エルネスト・レヴィード】[MP残量:100%]
[状態:両腕に軽い火傷(戦闘に支障無し、治療済み)]
[装備:縄(間に合わせの鞭として使用)、シウススペシャル@SO1、ダークウィップ@SO2、自転車@現実世界]
[道具:ウッドシールド@SO2、魔杖サターンアイズ、荷物一式]
[行動方針:打倒主催者]
[思考1:仲間と合流]
[思考2:炎のモンスターを警戒]
[思考3:ブラムスを取り引き相手として信用]
[思考4:鎌石村でブラムスの仲間を捜索]
[思考5:次の放送前後にF−4にてチーム魔法少女(♂)と合流]
【クラース・F・レスター】[MP残量:50%]
[状態:正常]
[装備:ダイヤモンド@TOP]
[道具:薬草エキスDX@RS、荷物一式]
[行動方針:生き残る(手段は選ばない)]
[思考1:ブラムスと暫定的な同盟を結び行動(ブラムスの同盟破棄は警戒)]
[思考2:ゲームから脱出する方法を探す]
[思考3:脱出が無理ならゲームに勝つ]
[思考4:鎌石村でブラムスの仲間を捜索]
[思考5:次の放送前後にF−4にてチーム魔法少女(♂)と合流]
[思考6:ブラムスにはアスカが有効(?)]
[現在位置:C-03 鎌石村役場]
【残り21人+α?】
- 446 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/06/21(日) 20:14:02 ID:GMFEFDiKO
- さるさんくらいました。
その旨の書き込み遅れて申し訳ありません。
しかし一向に文章力が上達する気配がない…
どなたかアドバイス的なものを頂けると有り難いです。
- 447 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/21(日) 21:12:14 ID:Te/UpsVS0
- >>446投下乙っす。
文章力は十分すぎると思うけどなぁ。
今回みたいな話だと動きに変化つけにくいから会話→考察→会話で単調になってしまうし。
その中でも考察の部分はしっかり筋道立てて考えられていたから繋ぎの話としては十分上手い作りだと思います。
個人的にはもっと大きくキャラを動かしてみては?と思うかな。
今回も含めて繋ぎの話を連続で書いてるから、全体が似たような作りになっていると感じてしまっているとかあるんじゃない?
後はかなり難しいけど次の話用においしいパスを出してみるとか。
まぁ、そんなパス出すなら自分で料理したい所だろうけど、面白い繋ぎ話って次回はどうなってしまうんだ? wktk!みたいなのが必要だと思う。
- 448 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/06/22(月) 01:49:30 ID:MlxONHMc0
- >>447
代理投下お疲れ様です!&ありがとうございます!
自分の文章の良い所って正直よく分からないんですよね。
話の作りが似通っている気は確かにしています。
ダメ出し来ない内は気にしないでいいのかな…?
キャラを大きく動かすのは…参加者がほぼ2箇所に固まっているので
少々動かしにくかったんですよね。
パスは出してるつもりでは居るんですが、
ソフィア殺害やらロキ対策やらブラムス対策やらと…
ちょっと未来を見据え過ぎたロングパスだったかもしれません。
次回はキャラを大きく動かしてすぐ次に活かせるパスを出して
面白くなりそうな話を…なんとか頑張ってみます!
構想はありますが…自己リレーになるのが気になるところです…
アドバイスありがとうございました!感謝致します!
- 449 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 02:30:23 ID:TBJpl2vP0
- 投下GJ!
個人的に文章力も話の内容も十分すぎるほど凄いと思うけどなー
俺がやりたいけど上手く出来ない事柄をきちんとやれている印象がw
目立ちにくいけどこういう『堅実な繋ぎ』は有難い存在だしねえ
こういうロングパスは後から効いてくるけど、進行が遅い過疎ロワだとその“あと”がなかなか来ないって難点があるからなあ……
個人的にはこういう話好きだけど、やっぱりロワ界ではこういった堅実な繋ぎは感想が付きにくい(が、不評にもなりにくい)ものだから、感想数とかは気にしなくていいんじゃないかしら
あと、原作やロワ内での行動と性格を結びつけたり(クラースの研究云々のとことか)とキャラを大事にしてるなあとも感じました
うん、やっぱり凄いよw
悩み出すとスパイラル入って自滅する(ソースは俺)から、とりあえず自惚れとくのが一番だと思うよ
少なくとも俺はあんたの書く作品は好きだから安心していいw
人少なくなってきてるしあんま無責任なこと言えないけど、人少ないからこそキャッチする人のことを考えない全力大暴投に挑戦するのも手かなあと思ったり
あと、強いてダメ出しをするとしたら、「…」は偶数個で使うのがメジャーだし見やすいですよってことくらいかな
最後にもう一度、GJでした
- 450 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/06/22(月) 23:43:56 ID:EUTInkXwO
- >>449
アドバイスありがとうございました!
ベタ誉めに顔がにやついております!
感想は頂けると大変有り難いですが、数はあまり気にしてないです。
むしろ点呼が…
自分の文章って何かこうキャラの動きや思考が
固いと言うかぎこちないと言うか台本通りと言うか……
そんな気がしてるんですよね。
まあでもアレだ。とりあえず気にしすぎのようなので気にしない事にします!
そして、頑張って自惚れときます!
もうそろそろ俺のシークレットタレントも開花するはずですしw
「…」の使い方は知りませんでした。
適度に使ってみます。
という訳で、次回の大暴投にご期待下さい!
いや大暴投になるかは分かりませんが。
- 451 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 00:16:14 ID:/xd+SJXS0
- 俺の感じた ◆cAkzNuGcZQ 氏の作品のいいところはキャラの扱いが丁寧だと感じられるところなんだけどな。
例えば今回の話だと>>435の終わりの方でエルネストの便利だなって発言を訂正させるところとか、
原作でそんな事言ったかとかは覚えてないけどクラースの背景を考えれば出てきてもおかしくない台詞なんだけど、
正直俺が同じ会話を書こうとしても、おそらく便利だなって言わせて終わりだったはず。
意識的にしろ無意識にしろこういったキャラの扱いが出来るってのはあなたの文章にある魅力の一つだと思う。
- 452 名前: ◆cAkzNuGcZQ :2009/06/23(火) 20:41:09 ID:B10zKtuxO
- 意識しても無いところでした…
なるほど、自分では見えない良い所も有るんですね。勉強になります。
でもそう言うのとは別に、キャラの感情の描写がなんというか機械的かな〜と
自分では感じてるんですよね。
勉強しなくては。
- 453 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 21:03:11 ID:KxHh2Y4k0
- 自己リレーになるんだけど長い事停滞しているパートを軸に書きたいんだけど大丈夫かな?
- 454 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 22:39:02 ID:H4bfdL970
- 『書きたいんだけど大丈夫かな?』……そんな言葉は使う必要がねーんだ。なぜならオレやオレたちの過疎ロワ住人は、
その言葉を頭の中に思い浮かべた時には! 実際にスレで予約を取っちまってもうすでに書き始めてるからだ!
だから使った事がねェーッ!
『自己リレーだけど予約します』なら使ってもいいッ!
- 455 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/24(水) 22:46:44 ID:t4DCw0r20
- 「俺はネタが浮かばないから盤面が動いてくれると助かる」「>>453は自己リレーで動かしたくなる」
つまりはさみうちの形になるな
- 456 名前: ◆SwBW616iaz4C :2009/06/24(水) 23:56:16 ID:KxHh2Y4k0
- >>454プロシュートのアニキ乙
>>承太郎乙
ここはジョジョネタの多いインターネッツですね。
そうですな自己リレーが怖くて過疎ロワで書き手なんぞやってられっかい!
では、チェスター、ソフィア、アシュトン、レナス、ボーマン、レザード、クロードを予約します。
- 457 名前: ◆SwBW616iaz4C :2009/06/25(木) 00:02:14 ID:KxHh2Y4k0
- あれ?いつもと鳥が違う?
もっかいテスト
- 458 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 00:04:38 ID:56mTqGb00
- う、うろたえるんじゃあない!
トリ間違えてないかい?
もっかい確認してみようぜ
- 459 名前: ◆SwBW616iaz4C :2009/06/25(木) 00:07:22 ID:KxHh2Y4k0
- これでどうだ?
- 460 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 00:09:52 ID:56mTqGb00
-
__、_、ヽ`ニ、ニ`二、ニ`ニ`、=、=ヾァー:-:ー丶、,、、,,_,.,、
⌒>\丶\ヽヽ ',!|/〃/ //,. ゙ : ' .: ゙ ,: ゙ ,/
⌒丶\丶ヽ`、', 《〈 〃ノ/. ' . '_;.,;._ ;.' , ゙ //
__\ヽヾ:ヾ_ヾミ[]―‐[〕-''''"~´ 彡 . ゙ .゙〃
⌒\ ミ|{「己川ロ后叨:.: し___! 彡 ;' . ゙ / う ・ ・ ・
ヾレュ三<´{(厶ニニ-‐、>ヽ ; : . ,゙i
⊂ ,{ {(j } }==Y∠r:ュ.ヾ, く;/^ヽ!
c { ト >-<ン ,' ~厂 ̄´`ヽ ,ィ个 } うろたえるんじゃあないッ!
' {〔!厂〈ー‐、 '":::... u } )丿,ハ
)|h `-'" / (__/,/ AAA住人はうろたえないッ!
. !| 「r三三ヽ J l /⌒l !
l | } ,. ―-| u ,/ 、_,ノj ,r一''"~´)
!.ハ ノノ二ニ二! ノ `7〈 / ゝ''"´ __
. | .ハ ヽ-r―‐- ,f 、__// ヽ/-‐''(´ _,,ノ、
_,,.. -ー―ノ / ヽ ゙ー‐ / ! `゙{'′ ノ >‐'''(´_,,/
ー-、 ヽ-r―‐< ,r'゙{:___ノ`ー(、__/ >''"´
、_,,,,,,,,,,,,,,,}!,,___{ ;' /´ '゙ ̄´ ̄´ 丶イ __
\ r―ー>''"/~"''ーく⌒ヽ._,,ノィ´ `)
\ / /7゙ <´ ノ /〈 ><~´
ヽ,/ { ヽr、\ ''" ,. -''"―-ヽ `'ー- 、
// \ \ヽ、`丶、__,,..ィ´}! ,iリ ``丶、 \
半角・全角が間違って足りはしないかい?
どうしても前のトリキーがわからなかったら、鳥変更って形でそれ使う方がいいかもね
- 461 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/06/25(木) 00:17:44 ID:4uIzLYPM0
- orz
いま初心者板でテストしてきた。
今までは作品まとめてるワードに鳥キー書いといて、コピペしてたのにいつのまにか
半角で張られるようになってやがった。
改めてチェスター、ソフィア、アシュトン、レナス、ボーマン、レザード、クロードを予約します。
- 462 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 00:31:48 ID:bUup+UEH0
- さらに予約!
これは期待せざるを得ない
先の話になるけれど、もう少ししたらスレの容量がきつくなってくるかな?
- 463 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 00:33:48 ID:56mTqGb00
- ドドンマイw
改めて期待してるんだぜ><
500までだもんなあ
もしかしたら次の投下で埋まるな
テンプレこのままでいくか、とか何か決めることあったっけ?
個人的に記録の意味も込めてwikiのテンプレ項目は以前のままがいいけど、
スレに貼るのはごちゃっとしすぎてる気がするから死んだキャラの制限とかいらないところは削った方がいいんじゃないかなと思うんだが
- 464 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 00:40:47 ID:a4U6sMVcO
- 遅ればせながら投下乙!(そして点呼も遅ればせながら8)
バブルローション炸裂の下りはワロタw
考察部分もわかりやすくてサクサク進んでるように感じるので読みやすくて好きです
あるようなら次回作も楽しみにしてます!
そして予約キタ!応援します!
- 465 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 01:37:48 ID:ITENtkor0
- ジョジョネタ出遅れた…
ミランダのストーカーやってる場合じゃなかった……
そして予約だー!超期待してます!
没スレは俺にお任せあれw
>>464
感想ありがとうございます!
読みやすい……そう言って頂けるとテンション上がりますね!
次回は…多分来月以降になりますが頑張ります!
- 466 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 14:25:56 ID:RrMdzoo/O
- ふと思ったが、今ミトラの聖水ってどこにあるの?
半壊した家に放置なのか
- 467 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 19:07:31 ID:8MWgpBsWO
- 俺の記憶が確かなら、オペラさんがヴォックスを殺した後に回収してない。
- 468 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 19:30:08 ID:lNOe7c7h0
- いや、オペラはちゃんと回収してるよ
その後はディアスがオペラの荷物を回収し、ガブ戦後にはディアスのデイパックはアルベルが持って行ったから、
……道具欄に無いってことは、まさか無人君の自爆で消し飛んだのか?
- 469 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 19:49:28 ID:ITENtkor0
- 前々から思ってたけど、
wikiの支給品のところネタバレ有りにして良いんじゃないだろうか?
試験的にセイクリッドティア更新してみたけど、
こんな感じで支給品埋めてくのは如何でしょう?
- 470 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 20:16:37 ID:56mTqGb00
- おお、GJ!
ネタバレ防止のタブ付きだし、すごい良いと思う
便利そうだわこれ
- 471 名前:469:2009/06/25(木) 20:36:48 ID:x8+RGj3YO
- しまった!
携帯から見たら何が何だか良く分からない上に、モロにネタバレだー!
どうしたものか……
- 472 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 20:38:59 ID:56mTqGb00
- うーん、元携帯書き手な俺からしてみたら「気にしないぜ」かなあ
正直支給品説明を携帯からwikiで見ることなんてない(情報ほしけりゃそれ用サイト見る)し、携帯でクリックする=携帯でネタバレ情報が見たいとみなしていいんじゃないかしら
- 473 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/25(木) 20:55:14 ID:x8+RGj3YO
- 確かに。
じゃあ、あんな感じで編集してきましょうって事で良いですかね?
>>468
確かめてみたら、オペラの荷物が無くなってるみたいね。
どーじんとかどーじん♀とか消し飛ばすとは、無人君は18禁に厳しいんだな。
- 474 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 11:56:41 ID:hVbUW0DjO
- sage忘れてたorz
>>468
>>473
吹っ飛んじゃったんですね、アルベルがこっそり持ってたら……もったいない。ズラ娘うんぬんで使えたら面白くなるかなって思ったんですが。
そして超遅れましたが投下乙!クラースの対ズラ娘作戦の練り込み具合が凄いです。この後の動向が気になりました。
- 475 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 13:00:45 ID:1kEy5XTXO
- >>474
まあ確かにミトラの聖水はヅラムスに効きまくりだろうけど、
逆に言うとヅラムス対策以外のフラグには使いにくいだろうし、無いなら無いで別にいいんじゃね?
幸いにも(?)最新作での考察通り、ヴァンパイアであるヅラムスには聖水以外の弱点も多数あるし。
(特に光属性や火属性の攻撃なんかは安牌)
ミカエルは火属性得意&闇属性に強かったから、
実はヅラムスを狩るには最適の人材だったのに、あのザマというのはなぁ……。
- 476 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 18:00:15 ID:o4FzsabQ0
- >>474-475
絶望しかねない事を言ってみよう
少なくとも1の聖水はヅラに効かないんだ……
と書いてみたものの、ロワの能力制限で効きやすくなったと考えてもいいのか
- 477 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 20:38:18 ID:TR+W8MA6O
- >>474
感想ありがとうございます!
この考察を有効に活用出来る展開になっちゃったら
それはそれで大変そうなんですがw
>>475
むしろブラムス対ミカエルでミカエルが残ったらもうミカエル優勝エンドしか見えない…
>>476
制限が無いとするとミトラの聖水は……シン用!?
アイテム追跡してると結構今まで見えなかった事が見えて面白い事に気付きました。
まさかレオンがレナの支給品を持ったままだったとは……
- 478 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/26(金) 23:03:21 ID:fsWPnr4p0
- >>475
ヅラもミカエルの炎には苦戦してたぜ
無策なミカエル自体にはさほど苦戦してた印象派ないが、炎が厄介だからって策を弄したぐらいだし
ていうかお前らほんとどこに潜んでたんだよw
- 479 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 01:37:31 ID:vnhQMRKl0
- 支給品更新してて気付いたんだけど、
オペラが40話で使った「神速の護符」って「神速の書」の間違いかな?
「神速の護符」って有ったっけ?
- 480 名前:n5k9:2009/06/27(土) 09:53:59 ID:Pn7OFSV70
- >>479神速の書だね。
それとミトラの聖水の件ですが、アイテム欄がカオスになりそうだったんで無人君と爆散してもらいました。
でもよく考えたら勿体無いですよね、魔法少女にぶっかけ…ゴクリ。
今からでも修正って可能でしょうか?
- 481 名前: ◆gneHqiXJJo :2009/06/27(土) 09:54:54 ID:Pn7OFSV70
- 最低だトリキー晒したorz
- 482 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/06/27(土) 10:00:30 ID:Pn7OFSV70
- しかも変換間違うし…。
トリキー一部だけだったし一応このままの鳥で行きます
- 483 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 11:58:10 ID:vnhQMRKl0
- >>482
ここの人は悪用したりしないでしょうし、ドンマイです!
では「神速の書」で編集しておきます。
「神速の護符」を使用している40話の修正は……
作者さんも名無しさんなので、気付いてしまった俺がやらせて頂きます。
オペラの道具の修正は問題無いんじゃないでしょうか?
確実に消し飛んだ描写は無い事ですし。
まあ消し飛んだのがどーじん×2、ミトラの聖水、透器エーテルフローズンなら
無理に修正しなくても良いようにも思いますけど。
- 484 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 12:16:58 ID:r9MV17050
- 他はともかく、エーテルフローズンは自爆で消失じゃなくて散らばって紛失しただけだろうなw
- 485 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 17:15:02 ID:I882v18+0
- 過去にさかのぼってのアイテム修正なら既に一回パラライチェックで前例があるし、そのアイテムがない状態で続きを書いた作者さんがいいよって言ったら別にいいんじゃあないかな
ちなみに私は一向に構わんッ
- 486 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/27(土) 19:08:04 ID:I882v18+0
- おお、今見たらwikiめっちゃ更新されてる・・・!
心から乙を言わせていただきたい
- 487 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/06/30(火) 00:03:24 ID:ugggmfsj0
- >>485了解しました。とりあえずは今書いてるのが終わってから他の書き手さんに伺ってみることにします。
それと、ちょっと早めの中間報告。
この土日を使って予定の半分を書き終えましたが、ちょっと期限(10日だから次の土曜?)を越えそうです。
ある程度順調に行って期限翌日の日曜に書き終えそうな感じです。
とりあえず土曜の夜の時点でどのくらいの進捗なのかを報告しに来ますので、もう少し時間を下さい。
- 488 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 02:07:18 ID:ts05e/cb0
- >>487
おkおk!楽しみにしてる!
ちょっとくらい期限過ぎるくらいで機嫌悪くならないよ
- 489 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 02:11:25 ID:S3rn9Dev0
- 支給品追跡一通り終わったー!
後はまあ適当に編集しちゃってください。
>>487
報告乙です!頑張って下さい!
- 490 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 13:00:15 ID:2/UI6JffO
- >>488時空剣士乙
わりと高度だったが見逃すと思ったら大間違いだ。
- 491 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 13:10:40 ID:2/UI6JffO
- >>489wiki編集マジ乙です。
書くときに結構便利そうっす。
- 492 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 22:02:35 ID:xWiDedf7O
- 今まで気付かなかったけど>>147の最後って縦読みだったんだな。
- 493 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/30(火) 22:13:12 ID:KKroG4fd0
- >>487
おk、期待して待ってるよ!
吉報を聞期待ものだ
>>489
心からGJを送らせて頂きたい
ホント助かります
>>492
文字のサイズのせいでズレまくると知って絶望したし、自分で解説するのも格好悪いなと思っていたが、折角だし言わせてもらおう
メモ帳にでもコピーすると、文の途中に結構な頻度で縦読み仕込んであるんだぜ…
暇なら探してやってくれると俺が喜ぶ
- 494 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 17:52:44 ID:JFwx50qoO
- ロキがビウィグ攻撃する時に使ってる影みたいな技ってシャドウサーヴァントでは無いんだよな?
原作にあったっけ?
>>493
4つほど見つけたぜ。これはアルベルの心の声なのか…
- 495 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 18:27:09 ID:1/2BEok9O
- >>494
シャドウサーヴァントはVP原作でもあった魔法だったはず。
原作でロキがシャドウサーヴァントを使ってきたかどうかはちょっと覚えてないが、
ロキは本来魔術師タイプのキャラだし、しかも一応Aルートのラスボスなんだから、
別に使えてもおかしくはないんじゃね?
ヅラムスにフルボッコされたときの描写やそれ以降のSSを見るに、
このロワのロキは、本来ならラスボスには禁じ手のキュア・プラムスも使えるみたいだし。
もしその影がシャドウサーヴァントでなかったなら、
次点でクール・ダンセルか、
さもなくばウェイト・リアクションで呼び出した使い魔あたりかな?
- 496 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 18:31:31 ID:1/2BEok9O
- ……と思ったが、さすがにウェイト・リアクションはないか。
原作準拠なら、そもそもウェイト・リアクションはプレイヤーキャラ専用のはずだし。
- 497 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 19:33:19 ID:JFwx50qoO
- いやシャドウサーヴァントと言う事なら納得なんだ。
ただ、ロキの影が動いて攻撃するような技が他にあったのかな?と思って。
じゃアレはシャドウサーヴァントで良いのね。
- 498 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 12:54:37 ID:AJbykOllO
- 質問なんだが、チェスターの衝破ってどんな技だっけ?
クロードの爆裂破みたいに地面を隆起させるだけ?
それとも地面を爆発させてつぶてを当てる技でしたか?
- 499 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 14:14:10 ID:v0laL7BB0
- 衝破
ジャンプしてから地面に向かって矢を放つ→着弾した時の衝撃でつぶてが発生しそれを当てる技
- 500 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 15:05:12 ID:3iPVH2jnO
- >>499
ちなみにいわゆる「重い」敵には多段ヒットしやすい。
敵を画面端に追いつめて使うと爽快感は抜群。
- 501 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 18:13:58 ID:GjlRhbog0
- つぶてと言うには大きくえぐれてる感じかな。
画面端と言えば、浮いてる敵の真下で震天撃つのが好きだった。
- 502 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/03(金) 18:27:29 ID:AJbykOllO
- レスサンクスです。
取り敢えず自分のイメージだと後者が近いんですね。
前者だとバトル展開練り直しになったんでよかったです。
- 503 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 01:48:49 ID:YN0C/yj+0
- ラジオは8/1か…。
くっ、よりにもよってこういう日に外せない用事が出来てしまうとは…!
ただでさえ住人少なそうなのに!
気が早いようだがみんな、俺の分まで盛り上げてきてくれよ!そして録音よろしく!
- 504 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 09:46:12 ID:1laDm6XL0
- ラジオって何?
- 505 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/04(土) 10:29:26 ID:BOCcGJzO0
- 俺も参加できるか怪しいんだよなあ・・・
ラジオ知らない人向けに貼っとくぜー
ここ以外にも多数あるバトルロワイアル系二次創作を回るラジオツアーが現在行われてるのさ
宣伝も兼ねられるし、スカイプあれば乱入可能だそうだから書き手さんが乱入したら盛り上がったりできる
リアルタイムで聴きながらの人は掲示板に書き込んで会話に参加できるから可能なら予定あけておいてくれると俺が喜ぶ
ちなみにラジオについてはこれ参照
http://www11.atwiki.jp/row/pages/49.html
- 506 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/07/04(土) 21:19:51 ID:wSZxtFW70
- 中間報告っス。
ええっと、まずはお詫びですがボーマン、レザードに出番がありませんでした。
当初のプランですと彼らにも出番があって最終的に組もうとしていたマッチメイクに必要な存在だったんですけど
そこまで持っていくプランがなんとかなるんじゃね?のノープランであった為修正も不可能なほどにgdgdになってしまいました。
一応彼らの出番の前の部分まで完成していて、丁度一区切りになっているのでそれで投下させていただきます。
因みに消費するスレの容量ってメモ帳にコピペしたときに出来るファイルのサイズですよね?
- 507 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 09:58:36 ID:VBE41Ns50
- ボーマン、レザードは残念だけどそんな事で文句言うAAAロワ住人じゃないんだぜ
容量は多分おっしゃる通りではないかと
506の書き込みまでで488818バイトのところで202バイトのこの書き込みしたけどどうかな?
- 508 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 10:01:00 ID:VBE41Ns50
- あれ?138バイト多い
そうか、IDや名前で容量増えるんだ
- 509 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 10:36:13 ID:JKAVx8ss0
- 残念だが、投下してくれるだけで嬉しいぜ
次スレは立てた方が良さげだね
結局テンプレは名簿部分の死者部分直しだけで他は現行の全部使い回しでおk?
- 510 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 10:56:00 ID:h/TBTt/ZO
- 後前スレのリンクとかそんなもんですかね?
- 511 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/07/05(日) 11:43:07 ID:iIEAbtlg0
- 容量的には大丈夫ですけど次ぎスレ逝ってきます。
- 512 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/07/05(日) 11:49:08 ID:iIEAbtlg0
- 立てれなかったorz
AAAキャラバトルロワイアルpart7
名前: 名無しさん@お腹いっぱい。
E-mail: sage
内容:
ここはトライエース(以下AAA)キャラでバトルロワイヤルを行う企画です。
参加資格は全員にあります。
参加型リレー小説というテーマを元に、皆さんで物語を作り上げていきましょう。
・企画発祥スレ
バトルロワイアル企画を考える inゲームサロン
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/gsaloon/1160050565/l50
・過去スレ
http://game12.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1162909976/
http://game12.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1172767328/
http://game14.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1186147301/
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1204348476/
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1222700688/
http://jfk.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1235281316/
・まとめWiki
http://www23.atwiki.jp/aaarowa/
・したらば掲示板
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9356/
詳しい説明・ルールは>>2以降。
誰か頼んます
- 513 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 12:05:09 ID:JKAVx8ss0
- >>510
個人的にはエイミを始めとする死んだキャラの制限とか、不要になったとこは削りたいなあ
wikiのは今後の参考(制限の度合とかの)として残した方がいいと思うけど、スレのはごちゃっとして見にくいとテンプレの意味なさないし
新規さん来てくれたし見にくさは改善したかったかな
予約制とか未だに触れる気配もないし、心得系もwikiにリンクはって「見といてね」くらいでいい気がするし
あとスレ立ては俺も失敗したすまん
- 514 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 12:45:52 ID:iIEAbtlg0
- >>513したらばにテンプレ案を作ってみましたがどうでしょう?
後スレの引越しがうまく行かなかったらあれなんで、試作品のところに投下しておきます。
新スレが立ったら埋めがてらこっちに落とします。
- 515 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 13:17:28 ID:JKAVx8ss0
- おお、いいんじゃないでしょうか
個人的にはトリップ自体親しみ薄そうだし、予約の欄に
「トリップは名前欄に『#(半角)+好きな文字列』を入力することで、全く別の文字列を表示する、本人認証に使える機能です。
万が一のため個人情報に繋がるものや、被りそうなものは避けることをおすすめします」
と付けておきたいかなーと思うが、どうだろう
- 516 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 13:18:54 ID:iIEAbtlg0
- ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「これで決まって無ければ…」
もう駄目だ、立っているだけで精一杯だ。血と一緒に残された気力も流れ落ちてるみたいだ。
爆煙の先に人影が蹲っているのが見える。
突如として吹いた夜風が煙を晴らしてくれた。
ぼんやりとした視界で捕らえたアシュトンのシルエットに違和感を覚える。
(何かが違う…。いや、それよりも倒せたのか?)
しかし、どうやら俺の願いはさっき叶えて貰った分で受付が終了したらしい。
フラリと立ち上がるその姿が見えた。でもおかしい。さっきより小さく見える。
完全に晴れた視界のおかげで漸くその違和感の正体に気付いた。
背中の龍がいないのだ。
「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」
突然叫び声を上げたアシュトンが続けて、ものすごい形相で俺を睨んできた。
「殺してやる! 次に会った時は必ず殺してやるっ! 二人が受けた苦痛を何倍にして味合わせてから殺してやるからなっ!!」
怨念の様なものを込めながら呟くアシュトンを中心に霧が発生したかと思うと、ややあってから霧が晴れた。
その時にはあいつはこの場から姿を消していた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
(なんとか追っ払えたみたいだな…)
チェスターが張り詰めていた緊張を解いた瞬間、急に膝がガクリと崩れ落ちた。
前のめりに倒れる彼を受け止めたのは硬い地面の感触ではなく、
何か別のやわらかい、擬音で例えるならフニャンといった感触だった。
「だっ、大丈夫ですか?」
意識を失いかけていたチェスターはその呼びかけで瞼を再び開けた。
その彼の目に飛び込んできたのは
(特盛りっ!)
何が特盛りなのかは敢えて説明するまでも無い。
「ごっ、ごめん! 大丈夫、大丈…」
慌てて飛び退いたものだからまたしてもグラリときてしまう。
再び倒れようとするチェスターを受け止めようとしたソフィアだったが、
散らばった瓦礫に躓いてしまい、チェスターを支えきる事は出来ず二人仲良く転倒してしまった。
「ホントッ、ごめん。もう大丈夫だから゛!」
意図せずソフィアを押し倒すような形になってしまったチェスター。
そんな彼の眼前に広がった光景は童顔巨乳美少女のあられもない姿。
激しい戦闘の末所々破けてしまっているストッキング。
チラリと白い下着が見える様に捲くれ上がったミニスカート。
そして、先ほど彼を受け止めた豊かな胸。
その周囲の布地はアシュトンの『ハリケーンスラッシュ』やら何やらを受けて白い肌や下着が見え隠れしている。
更に、チェスターは健全な17歳男子である。目を逸らそうとしてもどうしてもチラチラとそれらに目が行ってしまう。
そう、彼は将来的には仲間内から『スケベだいまおう』というありがたい称号を賜る身。
そんな彼の男としての悲しい性がそうさせるのであった。
(イカン鼻血が…)
そして、彼は昏倒した。
ただでさえ脇腹に穴が開いて血が足りない状況だというのに、余計なところからも出血してしまったのだから無理も無い。
チェスター・バークライト享年17歳出血多量にて死亡
【チェスター・バークライト死亡】
- 517 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 13:19:51 ID:iIEAbtlg0
- しまった! こっちじゃないorz
上のは忘れてくれ
- 518 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 13:21:52 ID:JKAVx8ss0
- とんでもない誤爆しおって・・・w
怖くてもう下までスクロールできないじゃねーかw
- 519 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 13:24:01 ID:iIEAbtlg0
- >>515
ちょっとその辺を変えてみました。
- 520 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 14:05:20 ID:JKAVx8ss0
- >>519
おお、GJです
あれでいいと思いますよん
作品は次スレ行ったらじっくり読んで感想書かせて頂きまsう
- 521 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 18:14:57 ID:qW+OJ5f+0
- そろそろ次スレの準備かな?
テンプレはこのアドレスの奴でいいのならダメもとで立ててくるよ
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9356/1181237517/174-182
- 522 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 18:18:13 ID:qW+OJ5f+0
- ごめんよ、自分もダメだった
>>516
現時点ではとりあえずスケベ大魔王乙とだけ
- 523 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 19:06:20 ID:VBE41Ns50
- すまん、タイトルパート6で立ててしまった…
一応聞くけど、削除しとく?…よね
- 524 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 19:11:02 ID:JKAVx8ss0
- ちょっと待て落ち着けハマーD
ナンバリング間違い程度で削除依頼は出来ないというか迷惑だからやっちゃいけないんだぜ
間違えたら間違えたで素直に受け入れてそこを使うんだ
過去ログまとめにはカッコ付けて「実質7」とでもしとけばいい
重複さす方がまずいからな、間違っても7立てちゃダメよ
テンプレは避難所のやつを貼ってきていいかい?
- 525 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 19:16:36 ID:VBE41Ns50
- そうなの?削除依頼に手間取っててよかったぜ。
てかマジすみません。
お手数ですがお願いします。
- 526 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 19:18:19 ID:VBE41Ns50
- ttp://jfk.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1246787825/
アドレスこれね。
- 527 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 19:22:50 ID:iIEAbtlg0
- >>526スレ立て乙
テンプレはしたらばの奴使っちゃっていいよね?
後は>>2ぐらいに実質part7って入れとけばいいかな?
- 528 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 20:22:00 ID:ZuZAF+v50
- テンプレ貼ってきたよ。
再誘導↓
http://jfk.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1246787825/l50 AAAキャラバトルロワイアルpart6(実質part7)
- 529 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 21:23:26 ID:JKAVx8ss0
- すまん、ちょっと私用で席外してた
テンプレ貼るって言ったのに丸投げの形になってごめん
ちょっくら頭冷やされにウルルンの元に行ってCOOL
- 530 名前: ◆H/93eGlu4s :2009/07/05(日) 21:42:11 ID:ZuZAF+v50
- 誘導も済んだ事なんで埋めがてら投下行きます。
多分さるさん出るんで出たら続きを頼みます。
- 531 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/07/05(日) 21:44:38 ID:ZuZAF+v50
- 僕はひたすらに道なりに歩みを進め続けていた。その足が目指す先は大切な仲間との再会の場所鎌石村。
ブレアさんとロキと名乗る青年と別れてからしばし歩き続けていた僕は、E−4とF−4の境目で一度その足を止めた。
このまま道なりに北へと進めば目的地には到着できる。
しかしこのままではアシュトンと交わしたもう一つの約束、仲間を集めるという事が達成できない。
特にアシュトンはプリシスとの再会をとても楽しみにしていた。
今からプリシスを探して鎌石村に辿り着く事は不可能かもしれないけれど、せめて僕達にかけられた疑いを晴らしてくれる仲間は集めておきたい。
このまま鎌石村で合流した時に、もしもアシュトンも仲間を集める事が出来ていなかったら、何のために二手に分かれたのかわからなくなってしまう。
それに正直な所、初対面の人がアシュトンの姿を見て警戒しないなんて思えない。
だったら、ここは僕が無理をするしかなさそうだ。
すっかり忘れていたけれど、僕はジャックの使っていた首輪探知機を持っている。
こいつを使って近くに誰かいないか探してみよう。出来れば1人でいる人よりも二人以上纏まっている人達がいいかな。
少なくとも殺し合いに乗っている人間が仲間を作るとは考えにくいしね。
ジャックがこの機械を見せてきた時に行っていた操作を思い出しながらあれこれと弄ってみる。
僕の不用意な発言の所為で死んでしまったと言っても過言ではない彼の事を思うと心が痛む。けれども、ここで立ち止まってはいけない。
まだここには生きている人達がいて、その中には助けを求めている人だっているはずなのだから。
なんとか動作を始めた探知機のモニターの中心点に光点が一つ、少し離れて二つの光点浮かび上がった。
(多分これは僕の首輪の反応だろう。こっちはブレアさん達だろうな。操作は出来そうだけど他には誰も周りにいないな…。
もっと広域表示とか出来ないのかな? っと。出来た出来た)
装置側面についたボタンを押してみたところ、中心にあった光点のサイズが一回りほど小さくなった代わりに、
北東に五つ光点が纏まっている箇所とそこから少し離れて一つ、南東方向と北西方向に二つの光点が重なっている箇所が表示された。
(鎌石村からそんな離れてなさそうだし、北東の方に向かってみよう。
それにもしかしたらこの人達は打倒ルシファーを掲げた大集団なのかもしれない。)
探知機をデイパックにしまい五つの光点があった地点へと僕は足を向けた。
- 532 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/07/05(日) 21:46:04 ID:ZuZAF+v50
-
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「君達はここで殺す!」
そう吼えたアシュトンが大剣を構え一直線にこちらに突っ込んできた。
(クロード? クロードがなんだって? あの口ぶり、アイツはクロードと手を組んでいるのか?
それに今の台詞は殺し合いに乗っているって事なのか?
くそっ! 訳がわからねぇ。とっ、とにかくアシュトンを無力化しないと!)
湧き出る疑問を振り払い、筒から3本いっぺんに取り出した矢を間髪入れずに2連射する。
アシュトンの機先を制すべく放たれた俺の攻撃は、その長身とは裏腹に軽やかなステップで回避されてしまった。
だが、この程度の攻撃で抑えられる様な生易しい相手ではない事は、こいつの戦いぶりを見ていた俺にだってわかっていた。
撃たずにおいた矢に闘気を送り込み、その矢をアシュトンの足元に向けて打ち出す。
矢が地面に突き刺さると同時に送り込んでおいた気が開放され大地を炸裂させた。
特訓の末に編み出した技のうちの一つ『衝破』だ。
そして、この技の役目は攻撃の他にももう一つある。打ち出した大地の破片でアシュトンの視界を奪う事だ。
この状態なら回避も、迎撃も間に合わないはず。
狙いはアシュトンの右手。武器を持つ事が出来なくなればきっとアシュトンを止められる。
そう思って放った一撃は、大地の破片と破片の僅かな隙間を潜り抜け、狙い通りの軌跡を描いた。
狙いは完璧。確かな手応えを感じた俺だったが、次の瞬間赤い炎が夜闇に瞬いた。
咄嗟にその炎を横っ飛びで回避し、体勢を整え新たな矢を構える。
そこには降り注ぐ破片をその背に受けたアシュトンが立っていた。それも無傷のままだ。
その背中から伸びる紅い龍の口に燻っている炎が見える。
(あの龍の吐いた炎で俺の矢を焼き落としたってのか?)
「へぇ、中々面白い事ができるじゃないか? でも、残念だったね。
普通の剣士だったら今の攻撃で手傷を負っていたかもしれないけど、
生憎僕にはこの二人がいるからね。今みたいな攻撃は通用しないよ」
「くそっ」
悪態と共に構えた矢を放つが、アシュトンはその攻撃を切り払った。
「無駄だって言ってるのわからない? さっきみたいに目を眩ましてからの攻撃ならいざ知らず。
君と僕との実力差じゃ正面からの攻撃なんて当たりっこないよ。だから、おとなしく僕に殺されちゃいなよ!」
今度もさっきと同様にまっすぐに突っ込んでくる。
多分俺の矢を完全に見切っているんだ。確実に捌ききれる自身があるからこその突撃だろう。
(だからって、おいそれと引き下がっていたら、守りたい者なんて何一つ守れやしない。今度こそ、俺は守りきってみせる!)
- 533 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/07/05(日) 21:47:35 ID:ZuZAF+v50
-
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
チェスターが訳のわからない事を言って寝返った時は少し驚いたけど、今のやり取りだけでわかった。こいつは僕の敵じゃない。
確かに矢を狙った所に撃つ技術は高いけど、それだけなんだ。
常に正確な狙い故に、攻撃が来るタイミングさえ掴めれば簡単に見切ることが出来る。
チェスターが新たな矢を構えた。僕の間合いまではまだ遠い。
攻撃を阻む事は出来そうにないけれど、チェスターの視線の先を捉えれば彼の狙いは丸わかりだ。
おそらく彼の狙いは僕の右肩。
攻撃の来るタイミングは狙いを定めてから攻撃に移る時の僅かな呼吸の変化。
まだだ…、まだ来ない。
残りの距離を更に詰める。
そして、残りの距離が僕の間合いまで後数歩となった所でチェスターの呼吸が変わった。
来る!
チェスターの指が矢羽を離すと同時に、踏み込んだ左足を軸に体を捻り回転させる。
僕の左肩を掠めた矢が闇の彼方へと消え去るのを横目に剣を振りかぶる。
回転の勢いと共にフルスイングした『アヴクール』の切っ先が二の矢を放とうとしたチェスターの弓を逸らした。
次の攻撃に移れるのは僕の方が早い。振り抜いた剣を両手に持ち直し、叩きつける様に『アヴクール』を振り下ろす。
だけど、この攻撃は地面を叩いてしまった。やはり使い慣れていない武器だと僅かに振りが遅れるみたいだ。
飛び退いて僕の攻撃をかわしたチェスターが反撃の矢を空中で構えている。
(狙いは僕の左足か。紙一重で交わして着地間際を攻撃するか?
いや、さっきみたいに地面を砕いてくるかもしれない。なら、間合いをいったん離した方が良さそうだ)
チェスターの攻撃と共にバックステップで距離を開ける。
寸前まで僕の左足があった位置を彼の放った矢が貫いていた。
(予測どおりだ。一気に間合いを…。なっ!?)
僕は驚いた。突如として地面に突き刺さる軌道を取っていた矢がホップアップしたからだ。
薄緑色の闘気を纏ったそれは周囲の空気を陽炎のように揺らしながら地を這って僕に迫ってきた。
「頼んだよギョロ!」
「ギャッフ!(わかった!)」
ギョロが放った火炎弾の狙いは寸分違わずチェスターの矢を捕らえていた。
なのに、その炎は矢に当たる寸前に消滅してしまった。突然の出来事に一瞬回避が遅れてしまう。
なんとか直撃は間逃れたけれど、その矢は僕の左腿を掠めていた。
「痛っ」
掠っただけのはずだったのに、僕の腿には切り傷の様な痕が残っている。
(今の攻撃は一体?)
- 534 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/07/05(日) 21:50:02 ID:ZuZAF+v50
- ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
(裏をかいた『鷲羽』でも掠り傷程度しか与えられないか…)
矢に纏わせた闘気を真空に変え、風に乗せて矢を放つ攻撃。これも特訓の中で身につけた技だ。
「ちょっと君を侮ってたみたいだ…。本気で行くよ!」
アシュトンから放たれる気迫が一段と増した気がした。
『リーフスラッシュ』
俺の体を中心に木の葉が渦を作って視界を奪い去った。さっきの金髪との戦いで見せたあの技だ。
(どこから来る? 右か? 左か? せめてあいつの位置さえわかれば…。
『震天』で手当たり次第攻撃を…。駄目だ。そんなに矢の本数に余裕が無い。そうか! あれを使えば!)
「『衝破』」
左右に一回ずつ『衝破』を使い大地を巻き上げる。
続けて俺はデイパックに手を突っ込んで目的の品を引っ張り出した。
(ボーマンさんから譲ってもらったアイテム。こんなところで出番があるなんて…)
「行けーっ」
取り出したそれを思いっきり地面に叩きつける。
地面に出来た凹凸にぶつかった『スーパーボール』が勢いよく跳ね上がり、そして、さっき巻き上げた大地の破片にぶつかりまた跳ねる。
俺の周囲を跳ね回る『スーパーボール』が木の葉の群れの一角にぶつかると地面や欠片とぶつかった時と異なる挙動を示した。
「そこか! 『紅蓮』」
矢を炎の闘気で包んで撃ち出す俺の得意技が触れた木の葉を焼いて直進する。
『スーパーボール』がぶつかった木の葉に『紅蓮』が当たると同時に俺の周囲を舞っていた木の葉が一斉に消えた。
晴れた視界の先には右の肩口に矢を受けたアシュトンの姿があった。
思った以上に距離を詰められている。すぐさまバックステップで距離を開ける。
「こんなおもちゃで…」
肩口に突き刺さった矢を抜きながら忌々しげに呟くアシュトン。
「悪足掻きをっ! 『デッド・トライアングル』」
アシュトンが目の前で突然消え去った。
そして次の瞬間には俺を取り囲むようにアシュトンが、
(3人!?)
まるで三角形を形作るように出現したアシュトン達が同時に剣を大地に突き刺した。
すると、アシュトンを頂点とした三角形の中が高濃度の魔力で満たされる。
「ぐあああぁぁぁぁっ!」
まるで体が焼かれるような衝撃に意識が飛びそうになる。
漸く魔力の渦から解放された俺は両膝を折り、前のめりに崩れ落ちた。
(駄目だ…。力が、入らない…)
しばらくは今の攻撃のショックで動けそうに無い。
「手間取らせないでよっ!」
冷たい視線を俺に投げかけるアシュトンが剣を振りかぶった。
(クソッ、こんな所で…)
剣を振り下ろそうとするアシュトンが急に飛び退いた。
さっきまでアシュトンがいた位置に複数の氷の矢が突き刺さる。
(この魔法はアーチェ? いや…、アーチェは死んだはずだ…、じゃあ誰が?)
氷の矢が放たれた先を辿るとそこには、さっきまでアシュトンと戦っていたあの娘が杖を構えて立っていた。
- 535 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/07/05(日) 21:51:21 ID:ZuZAF+v50
-
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
(どうして? あの子はあの人と戦っているの?)
戸惑う私はしばらく弓を持った子と龍を背負った男の人の戦いを眺めていた。
弓を持って戦うその姿は、私を何度も守ってくれたあの人の姿に少しだけダブって見える。
木の葉が舞い、大地が砕け、炎が闇夜を駆け抜けた。
二人の戦いはなんとか弓を持った男の子が食らいついていっていると言った感じだった。
けれど、状況は突如として一変する。
龍を背負った男の人の姿が消え、次に姿を現した時には3人になっていた。
突き立てた剣と共に地面に陣が描かれ、その中をここからでも判るくらい凄まじい紋章力が満たしていく。
地に伏してしまった男の子に龍を背負った男の人が歩み寄り剣を振り上げた。
(助けなきゃ!)
その光景を目にした時、頭の中を巡る疑問はどこかに吹き飛んで、代わりに私は強くそう思った。
(あの女の子の仇を取りに来たんじゃないの?)とか(何故仲間同士で戦っているの?)
なんて今はどうでもいいんだ。
(あの男の子は私を助けようとしてくれている。それはつまり、また誰かが私を守ろうとして傷つこうとしているという事。
役立たずの私を守ろうとして傷つこうとしている。もう誰にもそんな事になって欲しくない…。
だから私は決めたんだ。変わろうって。守られてばかりいる自分を変えようって)
「『アイスニードル』」
龍を背負った男の人目がけ氷の矢を殺到させる。矢は全て回避されてしまったけれど、なんとか男の子の事を守ることが出来た。
(そうよ。もう、守られてばかりじゃないんだから!)
そんな私の行動が癇に障ったのか、イラついた様子でこっちを睨みつけながら龍の青年は呟いた。
「どいつもこいつも邪魔ばかり! チェスターの次は君なんだから、もう少し黙っててよ!」
剣を虚空に奔らせ印を結び、鋭く巨大な氷の槍を作り出して私の方に打ち出してきた。
(『リフレクション』でなんとか弾かないと)
障壁呪紋の詠唱を始めた所で氷の槍は溶解した。
青い髪をした男の子が放った炎の矢が氷の槍を打ち落としていた。
「言っただろ! その娘は俺が守るって!」
大きく飛び退いて距離を開け、男の子はそう叫んだ。
苛立ちをよりいっそう強くした様子で、私とチェスターと呼ばれた男の子に鋭い視線を送る龍を背負った青年。
そんな彼の背負った龍が青年に声をかける。
「ギャフー」
「そうだね、ウルルン。少し頭に血が上りすぎてたみたいだ。その作戦で行こう」
そう呟いて大きな剣をデイパックにしまうと新たに赤い刀身の剣を引き抜いた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
そうだ。ウルルンの言う通りだ。別に正面からぶつかる必要は無いじゃないか。
ウルルンはこう言った。
「ギャフー(頭を冷やせアシュトン。持久戦に持ち込めばいずれ抵抗できなくなる)」
そう、僕はこの剣で牽制だけを繰り返していればいいんだ。
何故かと聞かれれば単純な話だ。紋章術使いと弓使い。この二者に共通して言える弱点は攻撃回数に限界がある事だ。
厳密に言うと剣も刃こぼれ等を考えればその範疇ではあるけれど、矢や紋章術と比べればその差はあって無い様な物だ。
ソフィアっていったっけ? 君は後何回紋章術が撃てる?
僕とボーマンさんを相手にしてた時からずっと戦いずくめだよね? そろそろ限界なんじゃないか?
そして、チェスター。今何本矢を使った? 確かあの子の荷物から取り出した矢は40本だったよね?
この短時間で結構な本数使ってたみたいだけど、残りの本数で僕を倒すことは出来るのかな?
このまま僕はこの剣から火炎弾を飛ばし続ければいい。
多少疲れるけど紋章剣技を使うのに比べたらこんなの疲労の内に入らない。
必死に、矢で打ち落としたり呪紋で逸らしたりしているけど、そのままでいいのかい?
僕は別に構わないけどね。君達が抵抗できなくなったらゆっくり殺させてもらうよ。
それが一番疲れなくて済むからね。
- 536 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/07/05(日) 21:53:16 ID:ZuZAF+v50
- ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
(クソッ! アシュトンの奴さっきから剣を振って火の玉を飛ばしてくるだけじゃないか!)
火球自体の速度はたいした事は無いから『凍牙』で簡単に打ち落とせる。
間断なく撃ってくるから反撃のチャンスは中々作れないけれど、こんなのただの時間稼ぎにしかならないじゃないか。
またもや飛ばしてきた火の玉を迎撃しようと、矢筒に手を伸ばしたその時、
俺は残りの矢の本数が心許なくなっているのに気付くと同時に、漸くアシュトンの狙いがわかった。
火炎弾を撃ち落さずギリギリまで惹きつけてから横っ飛びでそれをかわす。
(アシュトンの奴こっちの弾切れを狙って? そういやあの娘もずっと戦っていたけどまだ魔法が使える余力は残っているのか?)
さっきまでは火炎弾の合間に反撃の魔法を撃ち込んでいたあの娘が、今はずっと回避に専念している。
(クソッ、このままじゃ追い詰められちまう)
「キャッ!」
女の子が足をもつれさせて体勢を崩してしまった。その隙をアシュトンは見逃す訳も無く火球を放つ。
(間に合え!)
残り少なくなってきた矢を取り出し、火の玉目掛け『凍牙』を放つ。
しかし、焦って照準をした所為か標的から僅かに上に逸れてしまった。
「しまった!」
女の子は咄嗟にデイパックを盾にしてなんとか直撃を間逃れていた。彼女の荷物の中身が辺りに散らばったがどうやら無事みたいだ。
(もうこっちには余力が残されてない。こうなったら一発もらうのを覚悟で、勝負に出るしかない!
一撃で決める為の大技…。やっぱりあれしかないか)
特訓を続けて最近編み出した技『大牙』。
送った闘気で矢を巨大化させて放つあの技ならば、あの剣の火炎弾や炎のブレスでも焼き落とされることは無い。
けど、この技は直ぐには撃てない。送り込まなきゃいけない闘気の量の多さ故、どうしてもタメが必要になってしまう。
撃ち落されはしなくても避けられてしまっては意味が無い。
(どうすればアシュトンの足を止める事が出来る? 思い出せ。戦いの中でアシュトンは何回か足を止めていた事があったはずだ
あの娘が使った炎の魔人の攻撃の時か? 違う。
あの娘が使った無数の光線魔法の時か? 確かに足は止めていたけれど違う。
俺にも出来そうな攻撃で足を止めていた事があったんだ)
アシュトンの戦闘の光景を記憶の中から引っ張り出し、該当するシーンを必死に探し出す。
その最中に飛んで来た炎弾を横っ飛びでかわすが、着地の際に地面を砕いた時にできた出っ張りに躓いてしまった。
追撃の火球が迫ってくる。躓いた時の勢いを利用し、そのまま地面を転がりなんとか回避して体を起こす。
その時だ、探していた光景が脳裏にフラッシュバックしてきたのは。
(そうだ! アシュトンは岩の雨を降らす魔法の時や俺の『衝破』の時に足を止めていた! 視界が塞がれていたからか?
多分そうだ。下手に動くよりも迎撃に勤めた方が被害が少ないんだ。
それにアイツには二匹の龍もいる。事迎撃に関しては他の剣士なんかよりも安全に出来るんだ。
ならば、視界さえ奪えば『大牙』を叩き込むチャンスは作れる!)
女の子の方をチラリと見やる。着ている服は切り傷や擦り傷でボロボロ。その上息が上がってきている。
(もう一刻の猶予もない。ここで勝負に出る!)
- 537 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/07/05(日) 21:54:36 ID:ZuZAF+v50
- 矢筒から3本纏めて取り出して構える。
俺の動きに気付いたアシュトンが剣を振り、炎の弾を飛ばしてきた。
しかし、迎撃している余裕なんて無い。肉を切らせて骨を断つ。多少の怪我でアシュトンを止められるならば御の字だ。
「『衝破』」
火炎弾の脇を掠めるように矢を放った。火の玉の影で少しでもアシュトンにこの矢を気付かれるのを遅らせる為だ。
アシュトンの目の前の地面に着弾。砕かれ巻き上げられる大地の欠片。
それと同時に火炎弾が俺に当たった。さっきのアシュトンから受けた魔力攻撃の時に負った傷が響く。
だけど、怯む訳には行かない。炎により与えられる痛みを省みず、俺は降り注ぎ始めた地面に狙いをつけた。
「『豪天』」
一際大きなかけらに突き刺さった矢に眩い雷光が降り注いだ。
「ギャッ!」「ギャッフ!」
これで、アシュトンも二匹の龍も目を潰されたはずだ。
アシュトンは粉塵を受けて目をつぶっているし、その間を守る為に二匹の龍は暗闇に目を凝らしていた。その最中にあの雷。
(今しかない!)
掴んでいた最後の矢を装填し思いっきり弦を引き絞る。
矢に巡らした闘気を質量に変え、矢を次第に巨大なものに変えていく。
その矢のサイズが槍を越え、そして、大地に根を下ろす大樹の様に巨大になった。
「『大牙』!!」
弦を離し、戒めを解かれた巨大な1本の矢が真っ直ぐにアシュトンへと突き進んでいく。
『大牙』をその身に受けたアシュトンは周囲の瓦礫や木々を巻き込みながら吹き飛ばされた。
「どうだ?」
アシュトンが吹っ飛んだ時に巻き上がった土煙と、夜闇の所為でどうなったかわからない。
手加減をする余裕なんてなかった。もしかしたら殺してしまったかもしれない。
でも、この女の子を守る為にはしょうがなかったんだ。
(クソッ、なんでこんな事に…)
そんな事を考えている時だ、炎の中に吹雪の入り混じった空気の渦が煙の向こうから飛んで来たのは。
それを間一髪でかわして矢を抜き煙の先を見据える。
- 538 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/07/05(日) 21:56:36 ID:ZuZAF+v50
- 「今のは結構危なかったよ…。後一瞬気付くのに遅れたら僕はこの剣みたいにバラバラになっていたんじゃないかな?」
そう言って煙の向こうからアシュトンが出てきた。その手に握っていた炎を出す剣は刀身を砕かれ柄だけになっていた。
その柄を放り捨て、デイパックから大剣を引き抜く。
「もう面倒だ…。ギョロ、ウルルン。アレをやるよ。バックアップをお願いね」
そう言うとアシュトンは両手で持った大剣を眼前に掲げ凄まじい量の魔力を放ちだした。
まるで嵐の中にいるかの様な風が巻き起こる。さっきの分身攻撃の比じゃない魔力がこの位置からでも感じられる。
撃たせたらヤバイ。
直感がそう告げている。どんな攻撃かわからないが身を隠すような場所も無いこんな所で直撃を受けたら無事じゃあすまない。
「させるか! 『鷲羽』」
この風に流されること無く、また、龍の炎の息に撃ち落される事のない攻撃を選択する。
「「ギャギャッ、ギャフ!」」
すると、アシュトンの背に生えた二匹の龍の内赤い方が大地に火炎の息を当て無数の瓦礫と粉塵を巻き上げ、
もう一方の蒼い方の龍がそれらを凍らせて即席の氷の盾を作り上げ俺の『鷲羽』を弾いた。
「大いなる創造神トライアよ――」
アシュトンが剣を振り上げる。その剣閃を追う様に蒼白い凝縮された魔力が光の筋を残す。
(責めて、この娘だけでも!)
この女の子はずっと守っていた緑色の長髪をした男を覆う様に抱きしめていた。
俺はこの身を盾とする為にアシュトンとこの娘の間に立ち塞がる。
「全ての敵を滅せよ!! 『トライエース』」
一閃
刀身から蒼白い燐光が迸り、極限まで凝縮した魔力が開放される。
大気がぐらりと歪み、周囲の粉塵や瓦礫、更には焦土の中生き残ることが出来た僅かな木々でさえ飛び散らした。
更にもう一閃
巻き起こる爆風。大気が更にいびつに歪み、よじれ、空間そのものが悲鳴をあげた。
そして最後にもう一閃
一際強烈な魔力の奔流。数百匹の魔獣の咆哮に似た大音響と共に空間、果ては重力すら捻じ曲げるかの様な凄まじく圧倒的な力。
その全てが俺たちに牙を剥いた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「思った以上に疲れるね…。これもルシファーが言ってた制限って奴なのかな?」
『トライエース』を使った疲労からその場に膝を突くアシュトン。
「ギャフ、フギャ(大丈夫かアシュトン?)」
「あぁ、大丈夫だよ。ちょっと眩暈がしただけさ。さぁ、早くあの三人の首輪を回収しよう。
そうしたらボーマンさんと合流しようか。まだあの人には使い道がありそうだからね」
「フギャフフギャー(待て、どうやら技の威力も制限されていた様だ)」
ウルルンの言葉を聞いて顔を上げたアシュトンは、ゆっくりと脇腹を押さえながら立ち上がるチェスターの姿を捉えた。
「そうみたいだね…。でも、もう抵抗する力すら残ってはいないだろうからさっさと済ましちゃおう」
(巻き込まれた瓦礫に当たって、穴でも開いちゃったのかな?
あんまり運はいい方じゃないみたいだな。少し親近感を感じるよ)
剣を支えにしながら立ち上がると、その剣を引き摺る様にしてチェスターに歩み寄るアシュトン。
「これでまた一歩、プリシスの一番に近づける訳だね…。フフフッ、待っててねプリシス。僕がもっと首輪を集めてあげるから…」
何かに取り憑かれた様な不気味な笑みを浮かべたアシュトンは、確かな足取りでチェスターへと迫った。
- 539 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/07/05(日) 21:58:17 ID:ZuZAF+v50
-
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
(クソッ、視界がぼやける。腕にも力が入らない。結局俺はこのまま誰一人守り抜く事すら出来ずに死んじまうのか…。
クレス悪い…。あれだけ大口叩いて別れたってのに、アーチェの仇を討つ事も、この娘を守る事も出来なかった…)
思い返せばここ最近の記憶は後悔ばかりだ。
村を守れなかった事。再会したクレス達の足手纏いにしかなれていない事。
ここに来てから起きた分校での出来事。アーチェの死。
そしてこの女の子の事。
(せめてアシュトンだけは止めないと…。俺がこの娘に持ってきちまった災いだからな…。
くそっ、俺に力があれば…。何でもいい。俺に力をくれ。この娘を守れるだけの力をっ!)
そう俺は願った。神様なんていないって思っている。それでも祈らずにはいられなかった。
心の底からこの女の子を守りたいとそう思った。その思いを遂げる為強く、強く願った。
そして、その願いが何かを起こした。
先程この女の子のデイパックから転がり落ちていた水晶玉が、俺の足元で赤く眩い光を放っている。
(これは…? あの娘の荷物から出てきた…。一体なんだろう?)
俺はそれに思わず手を伸ばした。触れた途端体に何かが流れ込んで来る。
その瞬間。今まで俺の頭の中にあった微かにしかない、
雲の様に掴み所の無い断片的なイメージが、一つ、また一つと、まるで実体を持つかの様に収束していった。
そう、これは特訓の中で浮かんでいた断片的なイメージ。これを習得できればきっとクレス達の助けになれる。
そう感じ、いつも掴もうとしては霞のように消えていってしまっていたその感覚が、今俺の中に確かに一つの形を成して存在していた。
触れていた水晶玉は光を失い、透明な水晶玉に戻っている。
今の現象が俺に何か影響を及ぼしたのかわからない。
わかる事は唯一つ。俺にはまだこの娘を守れる可能性が残されているという事。
矢を構える。
この技に必要なのは送った闘気が拡散しない様に矢に定着させる事。
そして、それを幾重にも重ね合わせ、ただ一点のみを貫く為に研ぎ澄ます。
そう、どんなに強固な鱗に覆われた龍でさえ、その一撃の下に屠る。
そんな意味を込めたこの技の名前は、
「『屠龍』! ぶちぬけぇええええ!!」
解き放たれた赤き必倒の一撃。
俺の想いの全てを乗せた一筋の光がアシュトンに襲い掛かった。
- 540 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/07/05(日) 22:00:08 ID:ZuZAF+v50
- ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「フギャー!(やばいぞアシュトン! 避けろ!)」
(出来ない。体が重くて思うように動かせない。『トライエース』の反動?
違う、もう呼吸は整えられてるし、さっきまでこんなに体が重いなんて事は無かった)
ふと、前を見ると女の子と目が合った。その手に持っている杖が輝きを放っている。
(あの娘の紋章術? 重力操作の?)
「ギャース!(チッ、世話の焼ける宿主だ!)」
「フギャー!(全力で行く、踏ん張れよ!)」
ギョロとウルルンが同時に巨大なブレスを真っ直ぐ向かってくる赤い闘気を纏った矢に浴びせる。
それでもチェスターの放った矢は一向に止まる気配を見せない。二人の吐く炎と氷の渦を受けながらも真っ直ぐに迫ってきている。
体は未だにあの女の子の紋章術で動かせない。だから、せめて二人の応援をしようと彼らを見上げた時、僕は自分の目を疑った。
何故かはわからないけど二人の体が透けてきているのだ。
「二人共もう止めるんだ! このままだと君達が魔力を使い果たして消滅してしまうよ!」
こんな事今まで無かったけど、どう考えても今魔力を使い果たそうとしている事が原因なのは明白だ。
「ギャッ(何寝言を言っている)」
「ギャフッ(お前が死んだらどの道俺達も死ぬんだ。無駄口叩いてないで手伝え)」
「駄目だ、あの娘の紋章術の所為で体が動かないし剣も持ち上げられない」
尚も迫り来る赤い闘気を帯びた矢に懸命にブレスを放ち続ける二人。
それでも勢いを少し落とすのが精一杯。確実に僕らの命を奪おうとそれは迫って来ていた。
「ギャギャ(ウルルン)」
「ギャーフ(そうだな…)」
「どうしたのさ? 二人共?」
僕はいつもと違う雰囲気の声を発する二人に急に嫌な感覚を覚えた。
「ギャッギャギャフン(今まで楽しかったぞ。アシュトン)」
「ちょっと!? ウルルン? 何言ってるの?」
「ギャース(このままでは3人纏めてあの世行きだからな。お前だけでも生きろ、アシュトン)」
「ギョロ!? 何勝手な事を言ってるのさ?」
「ギャフフギャフー(なんだかんだ言って俺たちはお前の事が気に入ってるんだ)」
「ギャッギャー(だから、お前にはもっと生きていて欲しい)」
二人が信じられない事を言っている。僕を生かす為に死のうとしている。
止めなくちゃ、そんな事受け入れられるはずが無い。
「待ってよ! また僕を困らせる様な事を言って! お願いだからたまには言う事を聞いてよっ!」
「ギャー(いいか? これを凌ぎきれたら一旦退け。北西の方角から二人。まだ遠いが近づいてきている)」
「ギャッフ(ボーマンが味方を連れて来たとは考えにくい。『トライエース』を撃った疲労状態でこれ以上の戦闘は危険だ)」
もう二人の姿は目を凝らさなければ視認出来ない程に薄くなっている。
「ギョロ! ウルルン! 話を聞けよっ! 僕達はこれからもずっと3人でっ!」
つい語気が荒くなってしまったけど、二人が思い直してくれるならそんな事構わない。
「ギャフー(生きろよ)」
「ギャース(生きろよ)」
そう言い残し二人は更に吐き出すブレスを巨大にさせた。
僕らに迫る矢は漸く止まり、そして纏わせた闘気を拡散させるように巨大な爆発を起こした。
- 541 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/07/05(日) 22:01:36 ID:ZuZAF+v50
-
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「これで決まって無ければ…」
もう駄目だ、立っているだけで精一杯だ。血と一緒に残された気力も流れ落ちてるみたいだ。
爆煙の先に人影が蹲っているのが見える。
突如として吹いた夜風が煙を晴らしてくれた。
ぼんやりとした視界で捕らえたアシュトンのシルエットに違和感を覚える。
(何かが違う…。いや、それよりも倒せたのか?)
しかし、どうやら俺の願いはさっき叶えて貰った分で受付が終了したらしい。
フラリと立ち上がるその姿が見えた。でもおかしい。さっきより小さく見える。
完全に晴れた視界のおかげで漸くその違和感の正体に気付いた。
背中の龍がいないのだ。
「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」
突然叫び声を上げたアシュトンが続けて、ものすごい形相で俺を睨んできた。
「殺してやる! 次に会った時は必ず殺してやるっ! 二人が受けた苦痛を何倍にして味合わせてから殺してやるからなっ!!」
怨念の様なものを込めながら呟くアシュトンを中心に霧が発生したかと思うと、ややあってから霧が晴れた。
その時にはあいつはこの場から姿を消していた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
(なんとか追っ払えたみたいだな…)
チェスターが張り詰めていた緊張を解いた瞬間、急に膝がガクリと崩れ落ちた。
前のめりに倒れる彼を受け止めたのは硬い地面の感触ではなく、
何か別のやわらかい、擬音で例えるならフニャンといった感触だった。
「だっ、大丈夫ですか?」
意識を失いかけていたチェスターはその呼びかけで瞼を再び開けた。
その彼の目に飛び込んできたのは
(特盛りっ!)
何が特盛りなのかは敢えて説明するまでも無い。
「ごっ、ごめん! 大丈夫、大丈…」
慌てて飛び退いたものだからまたしてもグラリときてしまう。
再び倒れようとするチェスターを受け止めようとしたソフィアだったが、
散らばった瓦礫に躓いてしまい、チェスターを支えきる事は出来ず二人仲良く転倒してしまった。
「ホントッ、ごめん。もう大丈夫だから゛!」
意図せずソフィアを押し倒すような形になってしまったチェスター。
そんな彼の眼前に広がった光景は童顔巨乳美少女のあられもない姿。
激しい戦闘の末所々破けてしまっているストッキング。
チラリと白い下着が見える様に捲くれ上がったミニスカート。
そして、先ほど彼を受け止めた豊かな胸。
その周囲の布地はアシュトンの『ハリケーンスラッシュ』やら何やらを受けて白い肌や下着が見え隠れしている。
更に、チェスターは健全な17歳男子である。目を逸らそうとしてもどうしてもチラチラとそれらに目が行ってしまう。
そう、彼は将来的には仲間内から『スケベだいまおう』というありがたい称号を賜る身。
そんな彼の男としての悲しい性がそうさせるのであった。
(イカン鼻血が…)
そして、彼は昏倒した。
ただでさえ脇腹に穴が開いて血が足りない状況だというのに、余計なところからも出血してしまったのだから無理も無い。
チェスター・バークライト享年17歳出血多量にて死亡
【チェスター・バークライト死亡】
- 542 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/07/05(日) 22:03:13 ID:ZuZAF+v50
-
○●○●○●○●○●○●○●○●
(ここは…?)
俺はやけに眩しい所に寝転がっていた。
起き上がると鼻からツツーっと鼻血が垂れて来るのを感じ取ったので素早く袖で拭った。
(おかしい、さっきまで夜だったのに…。しかもさっきの女の子がいない)
「チェスターさん」
背後から聞き覚えのある声に呼びかけられた。俺は立ち上がって声の主の方に向き直った。
「お久しぶりです。お元気にしてましたか?」
そう言って礼儀正しい一礼と共に優しい笑顔を俺に向けたのは
「ミント? ミントじゃないか!?」
「はい」
そう、目の前にいるのはサラリと流れるような長い金髪と、聖母の様な微笑みを併せ持つ女の子。
どこからどう見てもあのミントだ。
「どうして死んだミントが俺の前に? 待てよ? もしかして、俺死んじまったのか?」
錯乱する俺の質問に首を左右に振るミント。
「いいえ、チェスターさんはまだ生きていますよ。ただ、近くを通りかかるって話を伺ったものですから。一言挨拶を、と思いまして。
それと、どうしてもあなたに会いたいという人を連れてきました」
そう言ってミントは俺の視界から外れるように横に移動した。
ミントの背後に隠れていた人物が俺の目の前に現れた。
見間違うはずも無い。アイツの姿がそこにはあった。
ピンク色の髪をポニーテールに纏め、その髪と同じ色をした瞳でいつも挑みかかるように睨んできたアイツだ。
「アーチェ!」
アーチェに歩み寄る。話したい事がいっぱいあった。沖木島では再会して直ぐクロードに殺されちまったから。
だけど急に現れるものだから何を話せばいいかわからなくなっちまった。
よく見るとアーチェは俯いて小刻みに震えている。
そうかそうか。俺と会えてお前も嬉しいのか。こういうところはやっぱりかわいいなと思ってしまう。
「アーチェ…」
ズドム!
呼びかけながら一歩踏み出した俺の顔面にアーチェの鉄拳が炸裂した。
2HIT! 3HIT!
「何よ! 何よ! ちょっとあの娘がかわいいからってデレデレしてっ!」
4HIT! 5HIT! 6HIT!
「そんなに大きいのがいいのか!? 大きいのがいいのかぁー!!」
7HIT 8HIT! 9HIT!
「このスケベだいまおう! チェスターなんかーっ!」
訳もわからず連打を浴びた俺はグロッキー状態。頭の周りをヒヨコ達がくるくると回っている。
「巨乳の角に頭をぶつけて死んじゃえー!!」
10HIT!
アーチェのアッパーカットが俺の顎にクリーンヒット。俺はマットの上に沈んだ。
「しばらくこっち来んな! 行こっ! ミント!」
「あっ! 待って下さいアーチェさん。それではチェスターさんごきげんよう。クレスさんとクラースさんにも宜しくお伝え下さい」
(えっ!? ちょっとミント! この扱いは酷くないっすか?)
そうして俺は、この眩しい真っ白な世界の中で暗闇へと落ちていった。
- 543 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/07/05(日) 22:04:51 ID:ZuZAF+v50
-
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ってか、待てアーチェ! 巨乳に角なんてないぞ!!」
アーチェに向けて手を伸ばした俺の手は擬音にしてフニュンといった感触のモノを掴んだ。
【チェスター・バークライト生存確認】
次第に覚醒していく意識。今俺の右手に掴んでいるモノの正体を知覚するのに2秒程かかった。
どうやら俺はさっき助けた女の子に膝枕されている状態な様だ。
そして、伸ばした手は彼女の豊かな胸を下から持ち上げている様な格好になっていた。
「キャアッ!」「うわぁ、ごめん!」
慌ててその場から飛び退く俺。しまった。また急に動いちまったら。
「って、あれ? 傷が塞がっている」
「あの…、うなされていた様ですけど大丈夫ですか?」
胸を抱きかかえ、ちょっと涙目になりつつ上目遣いで俺に尋ねてきた。
(何だこれは? 反則だろ…)
「いや! もう! ホント大丈夫だから。それよりも君が傷を治してくれたのか?」
「はい。これを使って」
そう言って彼女はなにやら複雑な構造をした金属の塊を俺に見せてきた。
「もうエネルギーが切れちゃったから使えないけど、まだ痛みますか?」
傷はもう痛まない。服を捲くって確認してみたが綺麗に傷が塞がっている。
(どういった原理か判らないけど、きっとミントの法術を貯めこんでおける道具かなんかなんだろう。っとそれよりも)
「なぁ、君に聞きたい事があるんだ」
突然まじめな顔になった俺にこの娘も表情を強張らせる。
「君言ったよね。金髪の女の子を殺したって。アシュトンから君を守ったけど、事と次第によっては君を…」
殺す。そう続けようとしたが、どうしてもその続きは声に出せなかった。
命がけで守った娘だからだろうか。それとも、ずっとそばにいる長髪の男を守りながら戦っていた姿を見た所為だろうか。
不思議とこの娘が理由も無くあんな惨い殺し方をする訳が無いという確信があった。
少女は目を伏せポツポツと言葉を紡いでいく。
「多分あなたが言っている女の子は私達との戦いで負った傷が原因で亡くなったんだと思います。
でも、そうするしかなかったんです。でなければ私達は皆あの子に殺されていた…」
「ちょっと待ってくれ! あの女の子に? だって君達はそこの男の人と、
もう一人の金髪の男の人も含めて3人もいるじゃないか! それがあの子一人に?」
「そうだ! クリフさん! あの人はとても強いからきっと大丈夫だとは思うけれど、やっぱり心配。助けに行かなくちゃ」
そう言ってこの女の子は横たわる男を背負おうとして
「キャッ!」
つぶれた。
「おいおい、大丈夫か? 君の体格でそいつをおぶってくなんて無理だ。
それよりもさっきの続きを聞かせてくれ。納得できたら俺も手を貸すから」
男の下敷きになったこの娘を引っ張り出して、服についたホコリを払ってやった。
別にセクハラ目的とかそんなんじゃないんだからな。勘違いすんなよ。
「すみません。ありがとうございます。それでは続きですけれど…」
こうして彼女は自分達と金髪の少女との間に何があったのかを俺に話してくれた。
- 544 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/07/05(日) 22:06:48 ID:ZuZAF+v50
- 【D−5/深夜】
【ソフィア・エスティード】[MP残量:10%]
[状態:疲労中]
[装備:クラップロッド、フェアリィリング、アクアリング、ミュリンの指輪のネックレス@VP2]
[道具:ドラゴンオーブ、魔剣グラム、レザードのメモ、荷物一式]
[行動方針:ルシファーを打倒。そのためにも仲間を集める]
[思考1:レナス@ルーファスを守る]
[思考2:クリフと合流する]
[思考3:フェイトを探す]
[思考4:四回目の放送までには鎌石村に向かい、ブラムスと合流]
[思考5:自分の知り合いを探す]
[思考6:ブレアに会って、事の詳細を聞きたい]
[思考7:レザードを警戒]
[思考8:チェスターを信頼]
[備考1:ルーファスの遺言からドラゴンオーブが重要なものだと考えています]
[備考2:ヒールユニット@SO3を消費しました]
【チェスター・バークライト】[MP残量:50%]
[状態:クロードに対する憎悪、肉体的・精神的疲労(中程度)]
[装備:光弓シルヴァン・ボウ@VP、矢×15本、パラライチェック@SO2]
[道具:チサトのメモ、アーチェのホウキ、レーザーウェポン@SO3、荷物一式]
[行動方針:力の無い者を守る(子供最優先)]
[思考1:クロードを見つけ出し、絶対に復讐する]
[思考2:このままソフィアについて行く]
[備考1:チサトのメモにはまだ目を通してません]
[備考2:クレスに対して感じていた劣等感や無力感などはソフィアを守り抜けた事で無くなりました]
[備考3:スーパーボールを消費しました]
[備考4:レーザーウェポンを回収しました]
【レナス・ヴァルキュリア@ルーファス】[MP残量:40%]
[状態:ルーファスの身体、気絶、疲労中]
[装備:連弓ダブルクロス、矢×27本]
[道具:なし]
[行動方針:大切な人達と自分の世界に還るために行動する]
[思考1:???]
[思考2:ルシオの保護]
[思考3:ソフィア、クリフ、レザードと共に行動(但しレザードは警戒)]
[思考4:四回目の放送までには鎌石村に向かい、ブラムスと合流]
[思考5:協力してくれる人物を探す]
[思考6:できる限り殺し合いは避ける。ただ相手がゲームに乗っているようなら殺す]
[備考1:ルーファスの記憶と技術を少し、引き継いでいます]
[備考2:ルーファスの意識はほとんどありません]
[備考3:半日以内にレナスの意識で目を覚まします]
[現在位置:D−5東部]
- 545 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/07/05(日) 22:08:19 ID:ZuZAF+v50
-
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「一体何が起きたっていうんだ?」
E−4を北東方向に突っ切ろうとしていたクロードが、目的地の確認をしようと探知機にスイッチを入れた時だった。
そこに表示されていたのは六つ集まっていた反応の内二つが北西に移動していた。
そしてそれを追う様にして少し離れた位置にあった光点も移動している。
他の三つの光点は位置を変えていない事から何かあった事は明確であった。
それを確認したのが一時間位前の出来事。
そしてD−5に足を踏み入れたので、再確認の為に探知機を起動したクロードは目的地に更なる変化が訪れている事に気が付いた。
「近くに誰かいる?」
目的地としていた三つの反応があった場所には現在二つしか反応が無かった。
そして、おそらくさっきまでその地点にいたと思われる反応が自分の直ぐ近くにあるのだ。
(何があったのかを聞かなくちゃ)
探知機の反応を頼りに周辺を探すクロード。
「この辺りの筈なんだけれど…。うわっ!」
夜の暗闇の所為で足元にあった何かに躓いてしまった。
やけに重たい感触だったのだが、今のは一体なんだろうと振り向いたクロードは驚いた。
「ちょっ!? 君大丈夫? って、アシュトンじゃないか!? しっかりしろアシュトン!」
アシュトンを助け起こし、肩を揺さぶる。
「うっ、クロード?」
目を開けたアシュトンと目が合った。何故倒れていたのか? とか、平瀬村に向かったんじゃないのか? 等の疑問が浮かんだが、
まず最初にクロードはアシュトンの体の変化について尋ねた。
「アシュトン。ギョロとウルルンはどうした?」
二人の名を呼ばれたアシュトンその身を強張らせる。
「…。あいつらが…」
今までクロードが見たことも無い暗い怒りを秘めた表情のアシュトンが先程の戦いで起きた出来事を語り始めた。
- 546 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/07/05(日) 22:09:44 ID:ZuZAF+v50
- 「…」
アシュトンの語った内容を聞き終えたクロードは言葉を失った。
「僕行かなくちゃ…」
フラリと立ち上がったアシュトンを慌ててクロードが止める。
「行かなくちゃってどこに? そんな体でどうするつもりなんだよ?」
「決まってるじゃないか、二人の敵討ちだよ。僕はあいつらが許せないんだよ。僕から大切な友達を奪っていったあいつらが。
あの時は二人が逃げろって言ったから逃げてきたけどさ、このままだとあいつらがどこかに行ってしまうからね。
少し休んで疲れも取れたから大丈夫だよ」
「アシュトン、君がどれだけ悲しいのかはよくわかるよ。でもね、敵討ちなんかしてもあの二人は生き返らないんだよ」
(そう、ここで死んでしまった皆も…)
「そんな事はわかってるよ! でもあの二人の為に何かして上げられる事がこれ位しかないんだ!
だから僕は行くよ。クロードが止めたって無駄だからね」
それを聞いたクロードは少し悲しげな顔をした。
(あの温厚なアシュトンがこんなにも憎しみに囚われてしまうなんて…。
それにねアシュトン。ギョロとウルルンが命がけで守ろうとした君に対して望む事は、敵討ちとかそんな事じゃなくて、
二人はなにがあろうと君に生き抜いて欲しいって思っているんじゃないのかな?)
そう口に出そうとしたがクロードはやめておいた。
今の彼にはきっと何を言っても心に届かない。そう判断したのだ。
だから変わりに
「わかった。僕も行くよ。敵討ちを認めることは出来ないけど、そんな危険な連中を野放しにするなんて出来ない」
アシュトンに対して同行を求めた。
こんなにも危うい状態の友人を放っておくなんて事は彼には出来なかったし、
近くにいればアシュトンの無茶を止める事が出来るかもしれないと思ったからだ。
「そう…。じゃあついて来て、こっちだよ」
アシュトンは剣を掴んで虚ろな眼をしながら北の方向へと歩みだした。
クロードも荷物を纏めてアシュトンの後について行く。
これが良くない兆候だとはわかってはいたものの、今のクロードにはどうする事も出来なかった。
- 547 名前: ◆yHjSlOJmms :2009/07/05(日) 22:10:38 ID:ZuZAF+v50
- 【D-5/黎明】
【クロード・C・ケニー】[MP残量:100%]
[状態:右肩に裂傷(応急処置済み、大分楽になった)背中に浅い裂傷(応急処置済み)、左脇腹に裂傷(多少回復)]
[装備:エターナルスフィア@SO2+エネミー・サーチ@VP、スターガード]
[道具:昂魔の鏡@VP、首輪探知機、荷物一式×2(水残り僅か)]
[行動方針:仲間を探し集めルシファーを倒す]
[思考1:アシュトンと共に行動]
[思考2:プリシスを探し、誤解を解いてアシュトンは味方だと分かってもらう。他にもアシュトンを誤解している人間がいたら説得する]
[思考3:レザードを倒す、その為の仲間も集めたい]
[思考4:ブレア、ロキとも鎌石村で合流]
[備考1:昂魔の鏡の効果は、説明書の文字が読めないため知りません]
[備考2:アシュトンの説明によりソフィアとチェスターは殺し合いに乗っていると思っています]
【アシュトン・アンカース】[MP残量:60%(最大130%)]
[状態:疲労中、激しい怒り、体のところどころに傷・左腕に軽い火傷・右腕打撲・ギョロ、ウルルン消滅]
[装備:アヴクール、ルナタブレット、マジックミスト]
[道具:無稼働銃、物質透化ユニット、首輪×3、荷物一式×2]
[行動方針:第4回放送頃に鎌石村でクロード・プリシスに再会し、プリシスの1番になってからプリシスを優勝させる]
[思考1:チェスターとソフィアを殺してギョロとウルルンの仇を討つ]
[思考2:プリシスのためになると思う事を最優先で行う]
[思考3:ボーマンを利用して首輪を集める]
[思考4:プリシスが悲しまないようにクロードが殺人鬼という誤解は解いておきたい]
[備考1:ギョロとウルルンを殺された怒りが原因で一時的に思考1しか考えられなくなっています]
[思考2:イグニートソード@SO3は破損しました]
[現在位置:D−5南西部]
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