「○○。いるかしら。」 「はい、何でしょうか?咲夜さん。」 僕は○○。この幻想郷に来て2ヶ月が過ぎようとしていた。 僕と咲夜さんの出会いは迷いの竹林だった。 妖怪に襲われていた僕をたまたま通りかかった咲夜さんが助けてくれた。 そして紅魔館という屋敷に連れて行かれ、よくわからないまま執事として働くことになった。 咲夜さんにあとから聞いた話だが、僕は「食料」として迎えられたはずだったのに、 レミリアお嬢様が僕のことを気に入ったらしい。お嬢様曰く、 「○○。これは運命なの。この運命からは逃れることなどできない。」 だそうだ。意☆味☆不☆明だがお嬢様に感謝しなければならないのはたしかだろう。 「お嬢様がお呼びになってたわよ。すぐに行ってくれるかしら?」 「りょーかいです咲夜さん。」 執事移動中・・・ 「お呼びでしょうか?レミリアお嬢様。」 「来たわね○○。今日は貴方に話があるの。」 「僕に・・・ですか・・・。」 まさかクビだろうか。それともついに「食料」にされてしまうのか。 どちらにせよ僕はこの幻想郷では生きていけなくなる。 「○○。貴方は私のことが好きかしら?」 なんと・・・どちらでもなかった。しかも自分が好きだかどうかだとは・・・ 「はい。私はレミリアお嬢様が好きです。「食料」にされる  はずだった僕を執事として迎えてくれて・・・もちろん  皆さん好きですよ。咲夜さんも美鈴さんもこあくまさんも  パチュリーさんも妹様も。」 「私が言っているのはそういう好き嫌いじゃないわ○○。」 「と言いますと?」 「本当に貴方は鈍感ね○○・・・」 「咲夜さんやパチュリーさんにもよく言われます。」 「私が言いたいのは恋人・・・つまり私と付き合いたいか  どうかで好きかと聞いてるの。」 「そう。私は貴方が大好きよ○○。」 大好きよ○○。たしかにそう聞こえた。いくら鈍感と言われた僕でも 大好きという意味くらいわかる。でも・・・ 「お嬢様。僕もレミリアお嬢様のことが大好きでございます。」 「じゃあ・・・!」 「しかし僕は執事で人間です。身分の違いもあれば寿命の違いもあります。」 「それについては心配ないわ。貴方が私の夫になれば身分なんて無くなったも同然。」 「しかし寿命が・・・」 「貴方も私と同種族・・・つまり吸血鬼になれば何の問題も無いわ。」 お嬢様と同種族・・・つまりそれは妖怪になる・・・人間を捨てるということになる。 しかし、お嬢様と一緒に居られるなら・・・! 「わかりました。僕は人間をやめます。そして貴方、  レミリア・スカーレットを永遠に愛すことを  あの紅い月に誓います。」 「月に誓うなんて不誠実ね・・・でもうれしいわ○○。」 「これもまた運命なのでしょう。」 こうして僕とお嬢様は恋人となった。 もちろん紅魔館のみんなも祝福してくれた。 「むきゅ・・・レミィに先越されちゃうなんてね・・・でも  おめでとう二人とも。」 「お嬢様○○さんおめでとうございます!私も  パチュリー様より早くいい相手を見つけます!」 「あとでパチェに怒られてもしらないわよー。」 「式はいつ挙げるんですか?式場も私がしっかりと  番をしときますよー。」 「寝てたらクビだからな中国。」 「おめでとうございます。お嬢様。  そして・・・○○も。」 「咲夜さん・・・。ありがとうございます。」 「○○。いいえ、これからは旦那様と呼ぶべきかしら。」 「いつもの呼び方でいいですよ咲夜さん。」 「駄目よ○○。主人と従者の関係はきっちりとしなければ。」 そんな感じであっという間に時間は過ぎた。 「まさか1時間の話で執事から屋敷の主に変わるとは・・・」 硬かった支給ベッドは天蓋付きのフカフカベッドになっていた。 コンコン ドアをノックする音が聞こえた。 「失礼します。旦那様。」 咲夜さんだった。 「お茶のご用意ができましたのでお持ちしました。」 お飲み物をお持ちしましたってか。 「ご苦労様です。咲夜さん。」 「咲夜とお呼びくださいといつも・・・」 「はいはいわかったよ咲夜・・・」 「どうぞ旦那様。」 「ありがとう。」 やはり呼び捨ては抵抗がある。 「少しよろしいでしょうか旦那様?」 「何ですか?」 「この後少しお時間をいただきたいのですが・・・」 「わかった。レミリアにも伝えとくよ。」 「ありがとうございます。」 初めて咲夜さんに頭を下げられた・・・大丈夫かな? 一時間後・・・ 「失礼します旦那様。」 「どうぞ咲夜。」 「それで何の用でs・・・」 言い切る前に口に何かが入り込んだ。 恐る恐る見てみると咲夜さんがキスをしていた。 しかもかなり強引に舌を入れてきている。 抵抗を試みるも咲夜さんの力には勝てず 結局30秒ぐらいキスされ続けた。 「ぷはぁ・・・ご馳走様でした。」 「どうして・・・こんなことするんですか・・・?」 「それは貴方のことが好きだからよ。」 そんなバカな・・・僕はレミリアの夫なのに・・・ 「因みにお嬢様のことなら心配ないわ。私の能力で・・・」 「やっ・・・やめろ!」 ・・・ しかし何も起こらなかった・・・いや実際は起こっているのだが・・・ 「!まさか私以外に時を止めた空間で動ける人が居たなんて・・・」 どうやら僕に彼女の能力は効いてないらしい。 「でも好都合だわ・・・。」 好都合だと? 「お嬢様と再び愛し合いたければ止まった空間の中で  私を愛し続けなさい。」 そんな・・・しかしレミリアを助けるにはこれしか方法が無い。 そして僕と咲夜さんの歪んだ恋愛が始まった・・・ 「うー。○○ーどこー?咲夜もいないし・・・」 ある日、幻想郷最速のブン屋は紅魔館あたりの湖で古びた 日記帖を拾った。 「ずいぶんと古びた日記帳ですねぇ・・・なにか  記事になるような面白いことはないですかねぇ。」 ブン屋はページを適当にめくり続けた。 □月◇×日  今日から紅魔館で働くことになった。 みんな優しそうな人達ばかりだ。 とにかく拾ってくれた咲夜さんと お嬢様に感謝しなければ。 □月△○日 たまたま聞こえてきたのだが お嬢様が「うー。」と呟いていた。 かなり萌えた・・・。 イケナイ。イケナイ。 ロリコンは犯罪です。 □月×◇日 お嬢様に告白された。 そしてお付き合いが始まった。 式は来週挙げるらしい・・・ 早すぎでしょ^^; □月××日 咲夜さんとの生活が始まった。 幻想郷の時間が止まっているため 朝も昼も夜も訪れない。 居るのは瞳が濁った咲夜さんだけだ。 △月×○日 咲夜さんはおかしい。 レミリアの前に僕を連れて行き 目の前でキスをし始める。 今度はなにをするかわからない。 ×月??日 今日が何日かわからなくなってきた。 あともう少し、もう少しで・・・ レミリアに・・・ ?月??日 やとさくやさんしんだ やとじかんうごいた れみりあにあいたい あいたいあいたい あいたいあいたい あいたいあいたい あいたいあいたい あいたいあいたい あいたいあいたい あいたいあいたい あいたいあいt・・・ 「あややや・・・これは大スクープですねぇ・・・。」 何故この日記帖が紅魔館の外にあったのかは未だに謎である。 完